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語っている 一方 英国人アナリストのダグ バリーは次のように言う 米海兵隊のF-35Bを搭載することは ほとんど役に立たない海に浮かぶ国有財産を持ったイギリスを きまりの悪い立場から解放するものだ しかも それは両国にとってメリットがあり大きな運用上の利点がある と では 英海軍が期待を寄せる F-

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Academic year: 2021

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1 F-35B の出現と空母時代の終焉 (雑誌「水交」No.645 号 平成 29 年新春号から) イギリスが建造中の新型空母「クイーン・エリザベス」の艦長は、本艦が就役したのち にアメリカ海兵隊のF-35B の部隊に丸ごと展開してもらい、これを搭載して運用する体制 にもっていきたいと最近語っている。最新空母に外国の部隊を乗り込ませて平時から運用 するという話はあまり聞いたことがない。英国は何故そのようなことをするのか、F-35B とはどんな能力を持った戦闘機で、米軍はそれをどのように使おうとしているのか、また、 将来の海上戦力はどうなってゆくのか、などについて海外のメディア情報を紹介しつつ考 察してゆく。 英国の新型空母 クイーン・エリザベス級はロイヤル・ネイヴィーのための過去最大の空母で、満載排水 量7 万トンはインヴィンシブル級の 3 倍以上の規模を誇り、建造価格は 20 億ポンド(約 3 千億円)超と言われている。昨年(2016 年)5 月に乗員が配属され、今年にかけて海上公 試が予定されており、早ければ今夏に海軍に引き渡される。2 番艦の「プリンス・オブ・ウ ェールズ」はそれよりも約2 年遅れの工程線表となっている。 その搭載機については計画時点から紆余曲折があった。計画当初はシーハリアーの後継 として STOVL(ストーブル:短距離離陸垂直着陸)の F-35B を採用すると言われていた が、その開発が当時非常に難航していたことと、この機会に米海軍なみの正規空母を持ち たいとの熱い思いからF-35C に変更され、母艦もそれに対応すべく CATOBAR(キャトー バー:カタパルト発艦拘束着艦)を艤装することになった。しかし本装置の価格が 2 倍以 上に高騰したことやF-35C の開発遅れ等から再び元の F-35B に戻し、母艦も艦首に「スキ ージャンプ」を装備しただけの、正規空母とは言えないものとなった。 このような状況の中で一昨年、空母の取得責任者キース・ブラウント英海軍准将はメデ ィアに対し、「新空母の攻撃能力を高めるために米海兵隊の航空機とパイロットを利用す るのは同盟国のドクトリンとして極めて自然な発想だ。米艦とともに行動してその防護任 務に当たることもあり得る。我々が使うのと全く同じ航空機を運用している米海兵隊に、 このフライト・デッキを使わせないなんてもったいない。」と語った。 この話が出てきた背景としては、英国側には空母の就役後直ちに空母航空団として使え るF-35Bが予算不足で持てないという事情、また米国側には新機種のF-35Bを様々なプラッ トホームで使って戦術や装備品の開発改善に供したいという事情、この二つの思惑が一致 したものと考えられる。 事実、昨年9月に入り、ファロン英国防大臣とカーター米国防長官との会談で英国の新空 母に米海兵隊F-35Bを搭載する話が現実のものとなった。本空母艦長のジェリー・キッド大 佐はメディアに対し「米海兵隊が本艦に定期的に配備されることを心から望んでいる」と

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2 語っている。 一方、英国人アナリストのダグ・バリーは次のように言う。「米海兵隊のF-35Bを搭載す ることは、ほとんど役に立たない海に浮かぶ国有財産を持ったイギリスを、きまりの悪い 立場から解放するものだ。しかも、それは両国にとってメリットがあり大きな運用上の利 点がある」と。 では、英海軍が期待を寄せるF-35B とはどのような能力を持った航空機なのか。 F-35B の能力 ロッキード・マーティンF-35 ライトニングⅡは米軍の統合打撃戦闘機(JSF)計画で開 発された第5 世代の多用途戦闘機で、各軍の用途別に 3 種類の派生型がある。空軍向けの F-35A、海兵隊向けの F-35B、そして海軍向けの F-35C の 3 タイプである。 空軍向けのA は CTOL(シートール:通常離着陸)型で、長い滑走路を持った陸上基地 から運用するタイプでF-35 の基本型である。海軍向けの C は前述したように CATOBAR を装備する正規空母でしか運用できない。着艦進入速度を落とすために翼面積を増やし、 強制着艦時の衝撃に耐える強度を持たせた設計となっているが、基本的には A と同じ推力 構成である。しかし、海兵隊向けのB は A、C と全く異なる STOVL 能力を持つ。これに よって本機は滑走路のない場所からでも、あるいはカタパルトを持たない甲板上からでも 運用が可能となる。本機はAV-8B ハリアーⅡの後継としての位置づけであるが、ハリアー とは異なりターボファン排気+リフトファンの組み合わせによる洗練された低燃費の STOVL 性能を持ちつつ、速力はハリアーの 2 倍のマッハ 1.6 を誇る。 当初、B は複雑な揚力推進システムの問題から開発作業が難航し、2011 年にはゲイツ米 国防長官がB の開発を中止する方針を打ち出す事態にもなった。しかし、その後の関係者 の驚異的な努力によってB は他の 2 タイプよりも早く、一昨年 7 月に IOC(初期運用能力) の獲得を宣言したのである。 ただしSTOVL 機の欠点として、その兵装や燃料の搭載量に制約があることは事実である。 公表資料によれば兵装搭載量は A、C の約 8 トンに対し B は 6.8 トン、戦闘行動半径は 1,150km に対し 850km となっている。この不利を克服するため、燃料搭載を最小にして発 艦した後に空中給油をしたり、英空母のようにスキージャンプを艤装して発艦重量を極力 増やす努力が行われている。しかし、この欠点を補っても余りある、いやSTOVL の利点と 組み合わせることで劇的に変化する大きな能力をF-35B は有しているのである。 それは、3 タイプに共通する能力でもあるが、極めて高いステルス性能、統合化されたセ ンサー融合技術、そして高度なネットワーク連接性である。ステルス性能に関する具体的 なRCS の数値はもちろん公表されていないが、一説によればレーダー反射断面積は第 4 世 代戦闘機F/A-18 などの 1m2のオーダーに対して0.001m2のオーダー(マイナス30dB)と 言われており、これはF-35 の被探知距離が F/A-18 の五分の一以下であることを意味する。 もう一つの重要な機能としてネットワーク連接がある。その核となるのがデータリンク であり、編隊内のF-35 同士や早期警戒機 E-2D などとリアルタイムで情報のやり取りを行

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3 う最新のソフトウェア無線技術を用いたMADL(マーデル:多機能先進データリンク)を 装備している。これによって敵情報を友軍内で共有し、機体のステルス性能との相乗効果 で、敵に探知されることなく先制攻撃を可能とする。 このステルス性、センサー融合、データリンクによるネットワークをSTOVL 能力と組み 合わせて、米軍はどのようにこれを運用しようとするのか。 キル・ウェッブへの参加 昨年9 月 12 日、ニューメキシコ州ホワイトサンズ試験場で、海軍と海兵隊による重要な 一つの試験が行われた。それは、海兵隊のF-35B が超水平線で探知した標的のターゲッテ ィング・データを海軍のイージス・テストサイトがデータリンクで受信し、サイトからSM-6 長射程対空ミサイルを発射してこの標的を撃墜したというものである。これは何を意味す るのか。 海軍は現在、空母打撃群の艦艇・航空機からの目標情報をまとめてセンサー&シュータ ーのネットワーク、すなわちキル・ウェッブを構築するように設計されたNIFC-CA(ニフ カ:Naval Integrated Fire Control-Counter Air:海軍統合射撃指揮対空能力)ネットワー クによるCEC(Cooperative Engagement Capability:共同交戦能力)の実戦配備を推進 しているが、右の試験はこの計画を飛躍的に増強させるものとなる。 例えば、現状では早期警戒機E-2D 先進型ホークアイで収集されたターゲッティング・デ ータが、空母打撃群内のイージス・ベースライン 9 を装備した巡洋艦または駆逐艦に転送 され、それらの艦は自らのレーダーに頼ることなく、E-2D のトラック・データを使うだけ で対空ミサイルを発射することができる。このE-2D の役割に F-35 が新たに加わることで、 あるいはE-2D に代わることで、相手に見えない複数のセンサーとして敵の懐深く侵入し、 イージス艦に目標データを直接送信あるいは中継することが可能となるわけである。 今の米海軍に欠けているものは長射程の対艦ミサイルと言われてきた。そこで海軍はそ れを挽回すべくDistributed Lethality(打撃力の分散)構想を立ち上げて、長射程対艦兵 器の開発を急ピッチで推し進めている。昨年 1 月にイージス艦「ジョン・ポール・ジョー ンズ」から試験発射されたSM-6 の対艦バージョンは退役艦の FFG「ルーベン・ジェーム ズ」を撃沈している。また射程800km と言われる新型対艦ミサイル LRASM を VLS から 発射する試験にも昨年7 月に成功した。射程 1,000km を超すトマホークの対艦バージョン は2015 年初め実証試験に成功し実戦配備されることが既に決まっている。 なにもF-35 に重い爆装をさせて飛ばせる必要はない。後方に位置する水上艦から長射程 の対空・対艦ミサイルを撃ち込んでもらえばよい。F-35B はセンサー&ネットワーク機と して飛ばせば十分なのである。それも空母からでなく。 空母不要論 米海軍のご意見番ノーマン・ポルマーは昨年11 月メディア誌上で次のような持論を展開 した。すなわち、最近イスラム国攻撃の任務で地中海東部に派遣された「ハリー・S・トル

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4 ーマン」打撃グループの1 日の平均出撃回数はわずか 10 回で、しかも弾薬投下は出撃 1 回 につき平均0.78 発でしかなかった。たったこれだけの運用をさせるのにどれだけの費用が かかっているのか。満載排水量10 万トンの原子力空母に 5,000 名の男女乗員、プラス随伴 する巡洋艦、駆逐艦を含めて、それを維持する燃料、糧食、補給品など。最新空母 1 隻の 建造コストは約150 億ドル(1 兆 6 千億円)、そして就役した後も膨大な維持費を 50 年間 払い続けなければならない。過去に米海軍が持っていた偉大な能力、すなわち長距離爆撃 能力のA-6 イントルーダー、対潜能力の S-3 バイキング、空中警戒能力の F-14 トムキャッ トはすでに無い。次世代のF-35C は確かにステルス性能や他の新しい能力を備えているけ れども、航続力の短い「何でも屋」であることに変わりはない。このことは空母がもはや 海軍の最高の盾と鉾ではないことを意味する。敵を攻撃したければF/A-18 を飛ばせる必要 は無く、数百マイル離れた所から駆逐艦や潜水艦にトマホークを撃ってもらえばよい。か たや、海兵隊の強襲揚陸艦の建造費は空母の五分の一で、しかも広大な甲板から最新の F-35B を簡便に運用可能だ。戦闘指揮官に空母 1 隻と強襲揚陸艦 4 隻のどちらが欲しいか 聞いてみるといい。現在建造中のフォード級 2 隻はしかたがないとして、その後の空母計 画は再考すべきである、と。 この発表の前後、米軍は今年1 月に F-35B の 1 個飛行隊を海兵隊岩国基地に前方配備す ると発表した(これはF-35 の部隊を海外配備する初の事例となる)。また、強襲揚陸艦「ワ スプ」を今年ノーフォークから佐世保に転籍させることも明らかにした。海軍の発表によ れば、「ワスプ」は最近、F-35B の搭載に必要な改修や戦闘システムの性能向上などの工事 が行われ、今秋には岩国のF-35B 航空隊を搭載して艦上での運用がスタートすると言われ ている。 トランプ政権に替わろうとも、米国のアジア太平洋リバランス政策は軍事面で着実に進 展するものと思われる。我国はこれにどう呼応すべきか。英国の事例は参考となるのか。 「ドーンブリッツ2013」演習では、ヘリ搭載護衛艦「ひゅうが」及び輸送艦「しもきた」 に V-22 オスプレイが初めて着艦し、「ひゅうが」ではエレベーターにより艦内格納も行わ

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5 れた。昨年発生した熊本地震でもオスプレイが同艦をベースに救援活動を行い実運用がで きることを実証した。現在我が国には大型飛行甲板を持つ自衛艦として「おおすみ」型輸 送艦3 隻に加え、ヘリ搭載護衛艦がまもなく 4 隻揃うことになる。一方、次期防で航空自 衛隊は28 機の F-35A タイプと 4 機の E-2D を調達する計画を持ち、陸上自衛隊は V-22 を 17 機取得する計画と聞く。海上防衛立案者の今後の知恵と勇気が試される年になりそうで ある。 おわりに 戦争とは弾頭を相手に送り届ける手段の歴史でもある。大艦巨砲時代は艦砲という手段 を使って数十キロメートル先へ弾頭を届ける時代であった。空母打撃グループの時代は艦 載機という手段で重い兵装を積んで数百キロメートル先へ弾頭を届ける時代であった。今 は艦載機よりも安価で長射程のミサイルが、後方に位置する艦艇や陸上発射ビークルのセ ルから数百~千キロメートル先の敵艦・航空機を目指して弾頭を送り届けてくれる。 センサー機・中継機を飛ばせる甲板をもつ艦とウェポン・キャリアー艦がいれば水上打 撃力として十分な時代になりつつある。正規空母の時代は終わりを告げようとしているの かもしれない。 (岩﨑洋一 幹候29 期)

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