「
JCOGプロトコールマニュアル version 3.1
JCOG プロトコール審査委員会の審査を受けるプロトコールは本マニュアルに従って作成する。 マニュアルの記載については原則として、 1.テンプレート部分(そのまま使用するもの):黒字 MS P ゴシック 2.解説部分(説明書きであり、プロトコール完成時には削除されるもの):赤字 MS P ゴシック 3.記載例(文章や表の例であり、修飾して使用できるもの):青字 MS P ゴシック に区別される。 注:本マニュアルの記載は原則として上記の形式に従っているが、切り分けが容易ではない箇所については 必ずしもこの限りではない。 JCOG データセンター作成 ドラフト(ver.0): 1999 年 6 月 26 日 第 1 版(ver. 1.0): 2000 年 5 月 22 日 第 1 版再審査提出: 2001 年 10 月 9 日 JCOG 運営委員会承認(ver. 1.0): 2001 年 11 月 5 日 第 2 版運営委員会承認(ver. 2.0): 2008 年 9 月 6 日 第 3 版運営委員会承認(ver. 3.0): 2015 年 4 月 28 日 JCOG データセンター改訂(v3.1): 2016 年 6 月 14 日JCOG プロトコールマニュアル version 3.1 2/113 注記事項 NOTES
1)カバーページ(表紙)
プロトコールのカバーページには以下の情報を記載する。 ・ Japan Clinical Oncology Group
・ 研究グループ名(和名・英名問わず): 例:胃がんグループ ・ 実施主体の研究班名称: 主体となる国立がん研究センター研究開発費、厚生労働科学研究班、日本医療研究開発機構研究費のいず れか 例:国立がん研究センター研究開発費 26-A-4 「成人固形がんに対する標準治療確立のための基盤研究」班 ・ JCOG 研究番号と研究略称 略称には「がん種の略号」「薬剤またはレジメンの略号」「開発相(phase)」が含まれることが望まし い。 例:OPAS-1、MIRACLE study、NSCLC-GEM+CDDP-P2 など ・ プロトコール名: 試験タイトルと略称には「,(半角カンマ)」は使用しないこと。「+(半角プラス)、+(全角プラス)」に 変更する。 例:「○○に対する○○・・○○のランダム化比較第 III 相試験実施計画書」 試験のタイプ名:ランダム化比較第 III 相試験、非ランダム化検証的試験、ランダム化第 II 相試験、 第 II 相試験、第 I/II 相試験、第 I 相試験、実施可能性研究、妥当性研究など ・ グループ代表者:氏名、所属機関 ・ 研究代表者:氏名、所属機関、住所、電話番号(内線*2)、FAX 番号、E-mail アドレス ・ 研究事務局:氏名、所属機関、住所、電話番号(内線*2)、FAX 番号、E-mail アドレス *2 内線番号がある場合は必ず記載すること。 ・ 承認日・改訂/改正日・発効日: 委員会承認前のドラフトにおいては、プロトコールコンセプト承認日を記載。 プロトコールのプロトコール審査委員会承認後は承認日を加える。 プロトコール改訂・改正の際は効果・安全性委員会の承認日および発効日を加える。 例:20XX 年 XX 月 XX 日 JCOG 運営委員会プロトコールコンセプト承認(PCXXXX) 20XX 年 XX 月 XX 日 JCOG プロトコール審査委員会審査承認 20XX 年 XX 月 XX 日 ver1.1 改訂 JCOG 効果・安全性評価委員会承認 XX 月 XX 日発効 20XX 年 XX 月 XX 日 ver2.0 改正 JCOG 効果・安全性評価委員会承認 XX 月 XX 日発効 2)プロトコール内容変更について(第 13 章も参照) プロトコール内容変更の際には、変更内容の発効(activation)に先だって「プロトコール改訂申請」を効果・安 全性評価委員会に提出し承認を得なければならない。JCOG データセンターが管理する試験においては効 果・安全性評価委員会への申請前に JCOG データセンター長の了承が必要である。下記の改正とするか改 訂とするかは改訂申請受領後に効果・安全性評価委員長が決定する。 改正(Amendment): 試験に参加する患者の危険を増大させる可能性のある、または試験の primary endpoint に実質的な影響を 及ぼすプロトコールの部分的変更。効果・安全性評価委員会および各医療機関の承認を要する。 効果・安全性評価委員会への申請前に当該グループ代表者およびデータセンター長の承認が必要である。 プロトコールのカバーページに効果・安全性評価委員会の承認日および発効日を記載する。 効果・安全性評価委員会で「改正」に相当すると判断された時点で患者登録が継続されていた場合には、患 者登録を一時停止し、改正内容につき各医療機関の承認を得る。承認が得られた場合、各医療機関の施設 コーディネーターは各医療機関の承認文書のコピーをデータセンターへ送付する。承認文書が確認された施 設から順次登録を再開する。 改訂(Revision):
JCOG プロトコールマニュアル version 3.1 3/113 試験に参加する患者の危険を増大させる可能性がなく、かつ試験の primary endpoint に実質的な影響を及ぼ さないプロトコールの変更。効果・安全性評価委員会および各医療機関の承認を要する。各医療機関での審 査形式を通常審査とするか迅速審査とするかは各医療機関の判断に委ねる。原則として「改訂」の際には患 者登録の一時停止は行わない。 効果・安全性評価委員長への申請前に当該グループ代表者およびデータセンター長の承認を必須とする。 プロトコールのカバーページに効果・安全性評価委員会の承認日および発効日を記載する。 発効日以降、医療機関の承認前であっても原則として承認された改訂内容に従って試験を実施する。施設の 事情により、医療機関の承認まで改訂内容を発効できない場合には、研究事務局およびデータセンターへ相 談すること。各医療機関で承認が得られた場合、各医療機関の承認文書のコピーのデータセンターへの送付 は不要であるが、監査の際に確認されるので承認文書原本は施設コーディネーターが保管する。 メモランダム/覚え書き(Memorandum): プロトコール内容の変更ではなく、文面の解釈上のバラツキを減らしたり、特に注意を喚起するなどの目的で、 研究代表者/研究事務局から試験の関係者に配布するプロトコールの補足説明。書式は問わない。なお、プ ロトコール内容の変更にはあたるが、登録患者のリスクを軽減するために、試験に携わる研究者間で速やか な情報共有が必要と判断される場合には、改訂申請を前提としたメモランダムを発行する。 配布前にグループ代表者とデータセンター長の承認が必要である。配布前もしくは配布後速やかに効果・安 全性評価委員会への報告を要する。 プロトコールのカバーページへの記載は不要である。 3)文章表現について ・ 本マニュアルに従って必要な記述をすればプロトコールはかなりのボリュームになる。冗長な表現は極 力避け、簡潔明瞭な記載を心がけること。 プロトコールは当該疾患の専門家である臨床医のみが読むためにあるのではない。専 門外の臨床医(委員会委員)、生物統計家、データマネージャー、CRC らの研究協力者 とのよりよい協力関係の中で試験を実施するためのコミュニケーションツールでもある。 よって、専門家である研究事務局にとって自明のことであっても、非専門家にとって自明 でないものは記述すべきである。当該専門領域の専門用語は極力用いず、用いる場合 は初出時に簡単な解説を付けること。 ・ 適格規準、診断規準、治療変更規準などの記載において、「または」や「かつ」を用いて「○○または× ×であり、かつ△△である」のように 1 文内に複数の規準を組み込むと、論理が不明確または非論理的 となることが多い。むしろ、下記のような表現を用いる方がよい。 以下のすべてを満たす場合・・ ①○○または××である ②△△である ③◎◎である 以下のいずれかを満たす場合・・ ①○○である ②××かつ△△である ・ ひとつの文に肯定条件と否定条件が含まれないように注意すること。 ・ 二重否定表現(否定の否定)は避ける。 ・ 「、」「・」「/」などは「and」や「or」いずれにも解釈されるので、極力避けること。 ・ プロトコールでは解釈のバラツキを避けるために、「同じ意味のものには同じ言葉を用いる」原則を重視 する。また同時に、「異なる意味のものに同じ言葉を用いない」ことも重要である。 4)章構成 ・ プロトコール検討や審査、試験実施中の参照を効率化するため、少なくとも最上位レベル、できればレ ベル 2 までの章番号は本マニュアルの記載に従う(例:1. 目的、2.1. 対象)。 ・ 原則として章番号は第 3 レベルまで(1.1.1.)とし、すべての章に章タイトルを付ける。第 4 レベルに相当す る章立てや、章タイトルが不適切と思われる項目については 1)、2)や①、②などとする。章立てに用い る項目の種類は、第 4 レベルは 1)のような片カッコつきの数字にし、第 5 レベルは①のような囲み数字 とする、のように統一するとよい。
JCOG プロトコールマニュアル version 3.1 4/113 ・ なお、登録開始後の改正や改訂の際の差し替え時の作業の軽減を図る目的で、第 1 レベルの各章の始 まりで改ページすること。 ・ すべてのページの右上段に、JCOG 研究番号を入れる。研究の略称も入れてよい。 ・ すべてのページの右下段に、該当ページ番号/全ページ数となるよう、ページ番号を入れる。 5)本マニュアルのバージョン ・ 本マニュアルの更新は JCOG データセンターで行う。そのため、細部の内容は頻回に修正・追加が加わ って行く。大きな内容変更は JCOG 運営委員会審査承認を要することとし、その場合のバージョンアップ は 2.0、3.0 のように 1 の位で示す。小さな内容変更は JCOG データセンター長の責任において行い、1.1、 1.2 のように小数第 1 位以下で示す。 6)用語について 「症例」か「患者」か? プロトコールは患者からの要望があった際には提示するものであり、患者が読んで不愉快に感じる可能 性を最小にする目的で、「症例」は用いず「患者」「~例」などの使用が望ましい。「症例報告」、(解析におけ る)「症例の取扱い」、など、「患者」とすると意味が違ってしまう場合はこの限りではない。 「率」と「割合」 「奏効率」や「生存率」で汎用されている「率 rate」は、本来、死亡率やハザードなど「速度」の概念(分母 に時間の尺度を持つ)として用いられるべきである。例えば、「死亡率」の場合の「率」は「単位時間あたり単 位人数あたりに発生する死亡」であり「率」は正しい。ところが、いわゆる奏効率や生存率、有病率の場合 は分子も分母も人数であり、速度の概念を含まない。そこで、速度の概念を含む前者を「率」、速度の概念 を含まず 0~1 の範囲に収まる後者を「割合(proportion)」とすると、区別しやすく、誤解が少ない、という報 告がある。JCOG でもこれに従い、「奏効割合」「生存割合」を推奨するため、本マニュアルでは「割合」を優 先した。しかし、世界中で「奏効率」「生存率」と汎用されているため、これらの表現の使用を禁ずるもので はない。 7)共用基準範囲について 従来 JCOG では、2 年毎に各医療機関で使用中の(施設)基準範囲を収集し、臨床検査値で定義される有 害事象の Grading に使用してきた。しかし、各医療機関における施設基準範囲のばらつきが、検査値自体の ばらつきよりもむしろ大きいことが問題となっていた。
2013 年 6 月、特定非営利活動法人日本臨床検査標準協議会(Japanese Committee For Clinical Laboratory Standards:JCCLS)にて共用基準範囲の策定作業が開始された。この「共用基準範囲」は日本臨床衛生検査 技師会調査など 6,345 人分のデータが用いられ、基準範囲の定義と設定方法も個々の臨床検査値の分布を 考慮されたものとなっており、全国約 200 の医療機関が参加する JCOG 試験で用いる基準範囲としてはこれ 以上適切なものはないと判断した。共用基準範囲は 2014 年 3 月現在も策定中であるが、基準範囲の概要は ほぼ固定したことを受け、JCCLS より JCOG での使用許諾を得た上で、同共用基準範囲を「JCOG 共用基準 範囲」として 2014 年 4 月より使用することとした。 ただし、JCCLS における「共用基準範囲」は、CTCAEv4.0 中の臨床検査値すべての項目は網羅されていな いため、一部の項目については、JCOG 運営委員会で承認された基準範囲を用いる。
JCOG プロトコールマニュアル version 3.1 5/113 カバーページレイアウト例
Japan Clinical Oncology Group(日本臨床腫瘍研究グループ)
○○○○グループ 日本医療研究開発機構委託研究開発費 革新的がん医療実用化研究事業 「研究課題名」 国立がん研究センター研究開発費 26-A-4 「成人固形がんに対する標準治療確立のための基盤研究」班
JCOG
16XX
XXXX に対する XXXX 治療に関するランダム化比較第 III 相試験実施計画書 ver0.1
英語の試験名を記載
略称:
(略称は CRF のヘッダにも用いるため、試験の概要が判別できるものであること。具体的には、 「がん種の略号」「薬剤またはレジメンの略号」「開発相(phase)」が含まれることが望ましい。全角 120 文字以内。) グループ代表者:XXXX (グループ代表者は氏名と所属のみ記載する) XX 大学大学院医学研究 XXXXX 科 研究代表者:XXXX XX 大学大学院医学研究 XXXXX 科 〒XXX-XXX XX 県 XX 市 XXXX 3-1-1 TEL:0XX-XXX-XXXX (内線 XXXX) FAX:0XX-XXX-XXXX E-mail:[email protected] 研究事務局:XXXX XX 大学大学院医学研究 XXXXX 科 〒XXX-XXX XX 県 XX 市 XXXX 3-1-1 TEL:0XX-XXX-XXXX (内線 XXXX) FAX:0XX-XXX-XXXX E-mail:[email protected] 20XX 年 XX 月 XX 日 JCOG 運営委員会プロトコールコンセプト承認(PCXXXX) 20XX 年 XX 月 XX 日 JCOG プロトコール審査委員会審査承認 20XX 年 XX 月 XX 日 ver1.1 改訂 JCOG 効果・安全性評価委員会承認 XX 月 XX 日発効 20XX 年 XX 月 XX 日 ver.2.0 改正 JCOG 効果・安全性評価委員会承認 XX 月 XX 日発効注) 作成段階のプロトコールです。倫理審査委員会には提出しないでください。
JCOG プロトコールマニュアル version 3.1 6/113
0. 概要
・ 2 ページ以内で試験の概要を記載する。以下の①~③に該当するデザインの試験では、冒頭にシェーマを付 ける。 ①すべてのランダム化試験(第 II 相、第 III 相) ②複数のレジメンの組み合わせによる第 II 相試験 ③複数のモダリティの組み合わせによる第 II 相試験 0.1. シェーマ (シェーマの例) シェーマでは、試験の概要を判りやすく図示する。よって必要最低限の情報が含まれていればよい。 原則として薬剤投与量は不要。 原則として、標準治療は A 群で左側または上、試験治療は B 群で右側または下に配する。 0.2. 目的 本文の目的と同文にする。 エンドポイントも記述。 0.3. 対象 4.1.適格規準を記載する。除外規準は、試験特異的で特に重要な事項以外は不要。 ※患者登録の際には「4.2.除外規準」を参照すること。 0.4. 治療 プロトコール治療の全体像、レジメンの骨子、使用薬剤と用量・投与法を示す。 0.5. 予定登録数と研究期間 予定登録患者数:XXX 人 登録期間:XXX 年。追跡期間:登録終了後 XXX 年。解析期間 1 年。総研究期間:XXX 年 0.6. 問い合わせ先 下記カッコ内の XX.X.には、対応する章番号を記入する。 適格規準、治療変更規準など、臨床的判断を要するもの:研究事務局(表紙、XX.X.) 登録手順、CRF 入力など:JCOG データセンター(XX.X.) 有害事象報告:JCOG 効果・安全性評価委員会事務局(XX.X.)胸部食道扁平上皮癌
c-stage II, III 75才以下 PS 0-2 未治療
ランダム割付
cN0/N1 施設B 群:術前化療
食道切除術 5FU+CDDP 2コース 食道切除術 5FU+CDDP 2コースA 群:術後化療
JCOG プロトコールマニュアル version 3.1 7/113 目次 原則としてレベル 2(例 1.1)までの目次を作成する。ワープロソフトの目次機能使用を推奨。 「0.概要」と「1.目的」の間に設ける。 0. 概要 ... 6 0.1. シェーマ ... 6 0.2. 目的 ... 6 0.3. 対象 ... 6 0.4. 治療 ... 6 0.5. 予定登録数と研究期間 ... 6 0.6. 問い合わせ先 ... 6 1. 目的 ...10 2. 背景と試験計画の根拠 ...11 2.1. 対象 ... 11 2.2. 対象に対する標準治療 ... 12 2.3. 治療計画設定の根拠 ... 13 2.4. 試験デザイン ... 14 2.5. 試験参加に伴って予想される利益と不利益の要約 ... 17 2.6. 本試験の意義 ... 18 2.7. 附随研究(試料解析研究を含む) ... 18 2.8. JCOG-バイオバンク・ジャパン(BBJ)連携バイオバンク ... 18 2.9. QOL 調査(実施する場合のみ) ... 19 2.10. 複数試験登録について(実施する場合のみ) ... 19 3. 本試験で用いる規準・定義...20 3.1. 病期分類規準(例) ... 20 3.2. 切除不能胃がん(例) ... 20 4. 患者選択規準 ...21 4.1. 適格規準(組み入れ規準)... 21 4.2. 除外規準 ... 25 5. 登録・割付 ...27 5.1. 登録の手順 ... 27 5.2. ランダム割付と割付調整因子 ... 27 5.3. 多段階登録 ... 28 5.4. 二次登録の手順(電話登録を許容する場合) ... 28 5.5. 登録終了の手続き ... 29 6. 治療計画と治療変更規準 ...30 6.1. プロトコール治療 ... 30 6.2. プロトコール治療中止・完了規準 ... 34 6.3. 治療変更規準 ... 36 6.4. 併用療法・支持療法 ... 40 6.5. 後治療 ... 51 7. 予期される有害事象 ...52 7.1. 予期される有害反応 ... 52 7.2. 有害事象/有害反応の評価 ... 53
JCOG プロトコールマニュアル version 3.1 8/113 8. 評価項目・臨床検査・評価スケジュール ...55 8.1. 登録前評価項目 ... 55 8.2. 評価期間の定義(必要な場合のみ) ... 56 8.3. 治療期間中の検査と評価 ... 56 8.4. 治療終了後の検査と評価項目 ... 57 8.5. スタディカレンダー ... 59 9. データ収集 ...60
9.1. 症例報告書(CASE REPORT FORM : CRF) ... 60
9.2. 放射線治療品質管理・品質保証に関するもの ... 62 10. 有害事象の報告 ...63 10.1. 報告義務のある有害事象 ... 63 10.2. 施設研究責任者の報告義務と報告手順 ... 64 10.3. 研究代表者/研究事務局の責務 ... 65 10.4. 参加施設(当該施設を含む)の施設研究責任者の対応 ... 66 10.5. 有害事象発生施設の研究機関の長の対応 ... 66 10.6. 効果・安全性評価委員会での検討 ... 66 11. 効果判定とエンドポイントの定義 ...67 11.1. 効果判定 ... 67 11.2. 解析対象集団の定義 ... 75 11.3. エンドポイントの定義... 76 12. 統計的事項 ...85 12.1. 主たる解析と判断規準 ... 85 12.2. 予定登録数・登録期間・追跡期間 ... 87 12.3. 中間解析と試験の早期中止 ... 89 12.4. SECONDARY ENDPOINTSの解析 ... 93 12.5. 最終解析 ... 94 12.6. 探索的解析 ... 94 12.7. 研究終了 ... 94 13. 倫理的事項 ...95 13.1. 患者の保護 ... 95 13.2. インフォームドコンセント ... 95 13.3. 個人情報の保護と患者識別 ... 96 13.4. プロトコールの遵守... 97 13.5. 医療機関の倫理審査委員会の承認... 97 13.6. プロトコールの内容変更について ... 98 13.7. JCOG 研究に関わる者の利益相反(COI)について ... 99 13.8. 補償について ... 99 13.9. 知的財産について ... 99 13.10. 本試験に関する情報公開 ... 99 14. モニタリングと監査 ... 100 14.1. 定期モニタリング ... 100 14.2. 施設訪問監査 ... 102 14.3. 放射線治療の品質管理・品質保証活動 ... 102 15. 特記事項 ... 104
JCOG プロトコールマニュアル version 3.1 9/113 15.1. 例:腫瘍縮小効果の中央判定 ... 104 15.2. 病理診断の中央判定(病理中央診断)... 104 15.3. 附随研究 ... 104 15.4. QOL 調査 ... 105 15.5. JCOG-バイオバンク・ジャパン(BBJ)連携バイオバンク ... 105 15.6. 複数試験登録について(実施する場合のみ) ... 105 16. 研究組織 ... 106 16.1. 本試験の主たる研究班(資金源)... 106
16.2. JCOG(JAPAN CLINICAL ONCOLOGY GROUP:日本臨床腫瘍研究グループ) ... 106
16.3. JCOG 代表者... 107 16.4. 研究グループとグループ代表者 ... 107 16.5. 研究代表者 ... 107 16.6. 研究事務局 ... 107 16.7. 放射線治療研究事務局 ... 107 16.8. 外科手術研究事務局 ... 107 16.9. 薬物療法研究事務局 ... 108 16.10. 病理中央診断事務局 ... 108 16.11. 病理判定委員 ... 108 16.12. 参加施設 ... 109 16.13. JCOG プロトコール審査委員会 ... 110 16.14. JCOG 効果・安全性評価委員会 ... 110 16.15. JCOG 監査委員会 ... 110 16.16. JCOG 利益相反委員会 ... 110 16.17. データセンター/運営事務局 ... 110 16.18. 放射線治療品質管理・品質保証支援組織 ... 110 16.19. プロトコール作成 ... 110 17. 研究結果の発表 ... 111 18. 参考文献 ... 113 19. 付表 APPENDIX... 113
JCOG プロトコールマニュアル version 3.1 10/113
1. 目的
・ 2~3 行を目安に簡潔に試験目的を記述する。その際、対象集団(stage)と評価する治療法を明確に表現する こと。
・ Primary endpoint、secondary endpoint(s)を記述する。
・ Primary endpoint は試験の主要な目的のために評価する変数であり、secondary endpoint は試験の副次的な 目的のために評価する変数である。Primary endpoint は通常一つであるが、secondary endpoint は複数設定 してよい。必要登録数の算出には primary endpoint を用いる。 ・ 「エンドポイント(endpoint)」は、もともと「end」の「point」すなわち「終点」「ゴール」「目標」を指し、転じて「目的」 の意味でも使われるが、臨床研究/臨床試験においては“outcome measure”(結果を測るものさし)の意味で 用いられるため、JCOG では「エンドポイント」を「目的」の意味では用いない。 例 1)第 III 相試験 遠隔臓器転移を有する(stage IV の)○○癌患者に対する XXX 療法の臨床的有用性を標準治療である YYY 療法とのランダム化比較にて検証する。
Primary endpoint は全生存期間、secondary endpoints は無増悪生存期間、有害事象発現割合とする。 例 2)第 III 相試験
切除可能な臨床病期○の○○癌患者に対する XXX 療法による術前補助化学療法が、標準治療である 外科切除単独に対して優れていることをランダム化比較にて検証する。
Primary endpoint は全生存期間、secondary endpoints は無増悪生存期間、治癒切除割合、有害事象発現 割合とする。
例 3)第 II 相試験
遠隔臓器転移を有する(stage IV の)○○癌患者に対する XXX 療法の有効性と安全性を評価する。 例 4)feasibility study/pilot study
切除可能な臨床病期○の○○癌患者に対する XXX による術前補助化学療法の有用性評価のための第 III 相試験の準備として、同療法の実施可能性を評価する。
JCOG プロトコールマニュアル version 3.1 11/113
2. 背景と試験計画の根拠
・ 以下の内容について、他分野の研究者が理解できる平易な表現にて明確かつ簡明に記述する。 ・ 目標とする日本語レベルは新聞の日本語。美辞麗句や自画自賛は不要。主観的な表現は極力控え、具体的 かつ客観的な記載に努める。 ・ 論文や学会抄録での報告内容を引用する場合、単に「・・と報告されている」という解釈のみ述べた曖昧な表 現ではなく、報告されている数値(点推定値・区間推定値)も記載すること。ひとつの表の中や同一パラグラフ の中で一連の研究結果の対比を示す場合、同じ単位で表記すること。例えば OS の MST の記載に「年」「月」 「週」が混在することは避けること。 2.1. 対象 2.1.1. 疫学 ・ 非専門家が読むことを前提として、対象疾患(当該がん種の疾患概念など)の説明、疫学的事項(疾患の頻 度、増加・減少の trend など)、我が国特有の事情など、我が国における状況を中心に、可能なら諸外国との 対比を含めて述べる。複数の臓器がん領域に渡る JCOG における当該試験の位置付け・重要性を示す上で、 どの程度の common disease、あるいは rare disease なのかを示すことは必須であるため、省略不可とする。 ・ 試験の意義を非専門家に理解してもらう上で必要と判断される場合は、項タイトルを「疾患概念」や「疾患概 念と疫学的事項」などとし、疾患概念の説明を加えること。 2.1.2. 臨床病理 ・ 対象がん種の主な組織型や試験の対象となる組織亜型などを説明する。 2.1.3. 病期分類 ・ 対象がん種で用いられる病期分類を説明する。 2.1.4. 病期別の標準治療と予後の概略 ・ 2.1.3.のそれぞれに対する標準治療とその予後を簡潔に示す。標準治療の詳細は 2.2.に記載するので、ここで は読者が対象がん種の治療全体を把握するのに必要な簡単な記載でよい。 2.1.5. 腫瘍関連合併症 ・ 対象疾患に起因する特徴的な合併症、特に治療における患者管理において注意すべき合併症とその対処に ついて説明する。治療による有害反応は 2.3.に記述すること。試験の対象とする stage での合併症について記 述すればよい(stage I~ II 対象の試験において、まず stage IV のみでしか生じないものは記載不要)。 ・ 小細胞肺癌における SIADH、多発性骨髄腫における腎不全やアミロイドーシス、胃癌における潰瘍性病変か らの出血、大腸癌による腸閉塞などが該当する。 2.1.6. 再発/増悪形式 ・ 根治的外科切除や標準治療により腫瘍が消失した後の再発形式や、腫瘍が縮小した後の増悪形式につい て主なものを記述する。再発時期について特徴があれば記述する(例:食道癌治癒切除後の再発はほとんど 3 年以内にみられる。乳癌治癒切除後の再発は 10 年以上経ってからみられることも稀でない、など)。これら の記載は無再発生存期間や無増悪生存期間、再発形式などをエンドポイントとすることの妥当性を判断する 材料となる。 ・ 再発/増悪の診断における疾患特異的な問題点があれば記述する(例:胃癌の腹膜転移は腹水や腸閉塞が 出現するまでは画像検査では診断が困難であるなど)。 2.1.7. 予後因子/予測因子・ 対象疾患で知られている予後因子(prognostic factor)や、再発や奏効についての予測因子(predictive factor、 治療効果予測因子とも言う)を引用文献と共に記述する。ハザード比やオッズ比が文献に示されている場合 はその点推定値や区間推定値(信頼区間)と共に表形式でまとめる。割付調整因子選択の妥当性の検討に 必要である。 2.1.8. 対象集団選択の根拠 ・ 試験の対象となる stage の特定とその臨床像を記述し、「なぜこの対象としたか?」が判るように説明する。原 則としてがん種と stage など、有効性のパラメータに大きく関連する因子について特定し説明する。 ・ なお、20 歳未満の未成年患者を試験に組み入れるにあたっては、ヘルシンキ宣言でも述べられているように、
JCOG プロトコールマニュアル version 3.1 12/113 「患者本人だけでなく法的な資格を持つ代理人(親権者など)からも同意が必要である」などの特別な配慮が 必要であり、背景の記述や説明文書、同意文書の書式も、成人のみの試験の場合とは異なる配慮が必要で ある。未成年患者を試験に組み入れることが妥当かつ重要である場合はそうした配慮を行った上で適格規準 の年齢下限を 20 歳未満の年齢に設定することは可であるが、その妥当性が十分示せない場合は安易に未 成年者を組み入れる適格規準にしないこと。未成年者を組み入れる適格規準にする場合はその妥当性につ いて本項に記載する。米国の臨床試験において適格規準での年齢下限が 18 才となっているのは、米国での 成人が法的に「18 才以上」であるためであり、日本で行う試験にそのまま導入するのは適切でない。 ・ 説明した対象集団から、実際に個々の適格規準、除外規準で対象を絞りこんだ点についても記述する。年齢 の下限(未成年者を組み入れる試験の場合)、上限の根拠、PS の上限の根拠などを記述する。特に臨床試 験で一般的に用いられている規準と異なる場合には必ず記述すること。除外規準については、JCOG で一般 的に用いられるもの以外が必要な場合のみ説明する(イリノテカンの試験での「下痢」に関する規定など)。 ・ 高齢者のみを対象とした試験以外では、年齢上限を設けることを原則とする。暦年齢が必ずしも患者のリスク や治療の忍容性を反映しないことはよく知られているが、高齢者機能評価尺度等もまだ現在のところ、暦年 齢に換わるリスク評価の尺度として確立しているわけではない(JCOG 高齢者研究小委員会が取り組んでい るところである)。やはり非高齢者に比して超高齢者では重篤な有害事象の発現リスクや有害事象発現時の 重篤化のリスクは高いことが知られており、また併存症の重篤化や他病死のリスクも高く、リスク/ベネフィット バランスは非高齢者とは異なると考えられる。また、例えば大部分の登録患者が 75 歳以下の場合に、80 歳 の患者や 85 歳の患者が 1 人ずつ試験に登録されたとしても、試験の結果(試験治療が有効である/安全であ る)が 85 歳まで一般化できるわけではなく、試験の social/scientific value が増すとは考えられない。得られる 価値とリスクのバランスを考えれば、年齢上限を定める方が適切と考えられる。 2.2. 対象に対する標準治療 2.2.1. 現在の標準治療に至る治療開発の経緯
・ 対象集団における現時点の標準治療が確立されてきた主たる経緯を概説し、現在の”state of the art”の治 療が何か、その場合の予後(生存や再発などの有効性データ)、および現時点の標準治療での unmet medical needs(現在の標準治療で困っていること、足りないことは何か)について説明する。 ・ 複数のモダリティによる集学的治療が標準治療である場合、それぞれのモダリティの治療についての概略も 記述すること。試験で実際に規定する手術手技などの詳細は原則として「6.1.3.外科的切除術」で記述する。 試験の rationale に関係する場合はここで概略を記述する。 ・ JCOG では、「標準治療」を「科学的証拠に基づいて患者に第一選択として推奨すべき治療」と定義している (JCOG ポリシー01「基本規約」)。これは、がん種や stage 等で特定される、試験の対象集団に含まれる標準 的なリスクの患者に第一選択として推奨すべき治療を意味する。高リスクの患者や併存症や臓器障害を有す る患者も含めて「一律に適応すべき治療」を意味しない。この考え方は、「第一選択として推奨すべき治療」で あっても当該患者にとってはリスクが高いと判断される場合に担当医の医学的判断により別の治療を選択す ることを否定するものではない。各グループはグループ会議等で、これを前提に議論して、「対象に対する標 準治療」を決定すること。 ・ 標準治療が確立されていない場合はその旨を明記し、広く用いられている治療が何かを記述する。ランダム 化試験の結果のみが“エビデンス”ではない。以下のうち、より上位のエビデンスが優先的に標準治療の決 定に用いられるべきだが、上位のエビデンスが存在しない時には順次下位のエビデンスを用いて理論構築 すべきである。「ランダム化試験の結果がない=標準治療がない」ではないし、「エビデンスがない=施設/医 師の好みでなにをやってもよい」でもない。 ① 結論が同じ、複数のランダム化第 III 相試験の結果 ② 結論が異なる他の第 III 相試験がない、単一の第 III 相試験 ③ 結論が異なる他の第 III 相試験がある時の、自分たちで実施した第 III 相試験 ④ 自分たちで実施した検証的な非ランダム化試験(単アーム試験) ⑤ 自分たちの臨床試験がない状況での、海外の第 III 相試験 ⑥ 臨床試験がない状況での、コミュニティのコンセンサス ⑦ コンセンサスがない状況で、理論的に最善と考えられる治療 ・ ほとんどの試験において、それを計画するのに主として参照した過去の研究(key trial(s))があるはずである。 計画する試験が第 II 相試験であっても第 III 相試験であっても、試験計画の時点で標準治療を決めた(いくつ
JCOG プロトコールマニュアル version 3.1 13/113 かの)第 III 相試験が存在するはずである。そのような key trial(s)についてここで試験デザインや主な有効 性・安全性のデータ(数値)を記述する。複数の key trials がある時は表にして見やすくするなど配慮すること。 2.2.2. 本試験の標準治療レジメン ・ 第 III 相試験もしくはスクリーニングデザインのランダム化第 II 相試験における標準治療群の治療レジメンにつ いて説明する。総論的な説明は 2.2.1.で行い、本試験用に加えた工夫や詳細な条件についてここで根拠と共 に説明する。本試験の標準治療レジメンにより期待される効果と予期される有害反応について記述する。 2.3. 治療計画設定の根拠 ・ 「2.3.1. 薬剤」、「2.3.2. 外科切除術」、「2.3.3. 放射線治療」は、記載の論理の流れによっては「2.2.1. 現在の標 準治療に至る治療開発の経緯」または「2.3.4. 本試験の試験治療」に盛り込んでもよい。 2.3.1. 薬剤 ・ 試験治療レジメンに含まれる薬剤の作用機序や特徴、臨床試験の有効性データを中心に薬剤選択の根拠と なった情報を記述する。薬剤別の有害反応データの詳細は「7.予期される有害反応」で記述するが、リスク/ ベネフィットバランスの考察を左右するような主な毒性はここで記述する。 ・ 試験で用いる薬剤が、対象疾患に対して適応が承認されているかどうか、および承認されている用法・用量 も薬剤毎に記述する。適応がない薬剤を用いる場合や承認用法・用量以外の用法・用量を用いる場合はそ の旨を明記し、問題点に対する考察や対策などについて記述する。日常保険診療下で行う時は薬剤費(1 回 投与分、総投与分としての見込み)も記述する。研究費で購入する場合は「施設は保険請求しない」ことを明 記し、かつ「15.特記事項」にも章立てて記載すること。 2.3.2. 外科切除術 ・ 外科的手術手技の評価やプロトコール治療に外科切除を含む集学的治療の試験の場合、試験で用いられる 手術手技について説明する。手術手技の評価を目的とする場合は、切除範囲や郭清範囲等をシェーマを用 いて図示するなど、可能な限り非専門家にも理解できるよう工夫する。シェーマを含む詳細記述は、rationale を示すのに有用と思われる場合はここに、そうでなければ「6.1.3.外科的切除術」に配する。 ・ 術前化学療法(放射線治療)+切除術の場合、化療後や放治後に手術を行うことで合併症のリスクが高まる 可能性があることに言及し、(データがあればデータを示す)それがリスクとベネフィットのバランスで考えた 場合に試験の rationale を損なわないことを説明する。 2.3.3. 放射線治療 ・ 放射線治療の照射法や線量自体の評価を目的とする場合や、プロトコール治療に放射線治療を含む集学的 治療の試験の場合、線量や照射野の規定・放射線治療計画の決定根拠などを説明する。 ・ 照射野はシェーマを用いて図示することが望ましい。照射野が rationale を示すのに有用と思われる場合はこ こに、そうでなければ「6.1.2.放射線治療」に記載する。 ・ 化学放射線療法の場合、化学療法と放射線治療の併用によって増強しうる毒性についても言及する。データ がある場合は提示すること。 2.3.4. 本試験の試験治療レジメン ・ 治療レジメン設定の根拠について述べる。過去の同一レジメン・類似レジメンの臨床試験における有効性(生 存、再発、奏効割合など)・安全性(一般的な毒性と重篤な有害事象)のデータを詳細に記述する。第 III 相試 験の場合はそのレジメンを評価した第 II 相試験のデータ、第 II 相試験の場合はそのレジメンを評価した第 I 相試験のデータを特に詳細に記述する。第 III 相試験や複数の治療レジメンからなる第 II 相試験では治療レジ メン毎に記載する。 ・ 試験治療により期待される効果と予期される有害反応について記述する。 ・ 複数のモダリティによる集学的治療が試験治療である場合、それぞれのモダリティ毎に章を分けて記述する ことが望ましい。 ・ JCOG や JCOG 以外のグループで、本試験の継続や解釈に影響を与え得るような試験が計画、実施されて いる場合には、その内容を記述する。 ・ 入院治療と外来治療の別も、その根拠と共に記述する。オプションとしては、「必ず入院にて行う」、「入院治 療を原則とするが外来治療も可とする」(ただしこの場合適切な来院間隔を治療計画の中に示すこと)、「第 1 コースは入院とするが、第 2 コース以降は外来通院治療も可とする」、「入院治療・外来通院治療の別は問わ
JCOG プロトコールマニュアル version 3.1 14/113 ない」などが考えられる。
・ 複数の臨床試験の報告を紹介する際には、全生存期間(中央値 Median survival time: MST や 5 年生存割 合)、奏効割合、毒性の程度や頻度などは文章で羅列せず、可能な限り表形式でまとめ、本文中に挿入す る。 例) ・・表 2.3.4.に示すごとく、化学放射線療法と放射線単独治療のランダム化比較試験の報告によれば・・ 表 2.3.4. 報告者 報告年 薬剤 照射量(cGy) CR 割合 2 年生存割合
Araujo et al.6) 1991 5FU/MMC/cisplatin 5,000/5,000 75% vs. 58% 38% vs. 22% Herskovic et al.7) 1991 5FU/cisplatin 5,000/6,400 73% vs. 60% 38% vs. 10% Roussel et al.8) 1988 MTX 5,600/4,500 記載なし 12% vs. 6% 2.3.5. 標準治療と試験治療のリスク/ベネフィットバランスのまとめ
・ ここでは試験治療が標準治療と比べて toxic new であるか、less toxic new であるかが判るようにリスク/ベネ フィットバランスに関する要約を示す。冗長になることを避けるため、前項までの記載をそのまま再掲はしな い。表にしてわかりやすく示すことは可。また、「まとめ」なので前項までに記載のない新しい情報を記載する ことは不可。臨床試験を行う意義は、「2.6.本試験の意義」に記載する。 ・ 優越性試験の場合は試験治療のデメリットの大きさ、非劣性試験の場合は試験治療のメリットについて記載 する。 2.3.6. 後治療 ・ 当該疾患に対してプロトコール治療終了後に予想される後治療(1st line の試験の場合、2nd line として予想さ れる治療)を、エンドポイントに対する影響の考察と共に述べる。エンドポイントの選択が適切かどうかの判断 材料となる。 ・ 後治療を規定しない場合、する場合、それぞれの根拠を述べる。 2.4. 試験デザイン ・ ここでは、試験目的で掲げた臨床的疑問(clinical question)に答えを出すために、本試験の対象をどのように 設定し、その対象に対してどういう指標で臨床的ベネフィット(clinical benefit)を測ることにしたかというエンド ポイントの設定根拠と、それがどれくらいの値になれば新たな標準治療とみなせる、または第 III 相試験に進 む価値があると判断することにしたのかという判断規準(decision criteria)を記述する。 ・ 以下の項目について、第 3 レベルの章に分割して記述の中に盛り込むことが望ましい。 2.4.1. 計画されている第 III 相試験デザイン(第 II 相試験の場合) ・ 集学的治療の第 II 相試験の場合、試験デザインの妥当性を検討するには、その試験で positive な結果が得 られた場合に予定されている第 III 相試験のデザインの情報が必要であるため、第 III 相試験で予定されてい る対照群の治療(標準治療)や primary endpoint などの試験概略を示す。 ・ 第 III 相試験では本項は不要。 2.4.2. エンドポイントの設定根拠
・ エンドポイントの設定根拠について記載する。特に、第 III 相試験で全生存期間以外を primary endpoint にする 場合や、第 II 相試験で奏効割合以外を primary endpoint にする場合は、その妥当性を説明すること(true endpoint として用いる時には測られる患者のベネフィットについて記載し、surrogate endpoint として用いる場 合には OS に対する surrogacy について記載する)。 例)第 III 相試験:全生存期間・非劣性 本試験は切除可能胸部食道癌を対象とし、標準治療である開胸食道切除手術に対して、胸腔鏡下食 道切除術の非劣性を検証することを目的とした第 III 相試験である。胸腔鏡下食道切除術は短期・長期の 安全性については開胸食道切除手術に優ることが期待できるが、有効性においては劣る可能性もあり、 両術式の優劣を決定するには安全性と有効性のバランスの総合評価が必要であり、全生存期間による 評価が最も適しており、かつ、食道癌において全生存期間の surrogate endpoint となる指標は確立してい ないことから、真の endpoint である全生存期間を primary endpoint とした。
例)第 II 相試験:無病生存期間・優越性
JCOG プロトコールマニュアル version 3.1 15/113 Sargent らは、大腸癌術後補助化学療法の 18 のランダム化比較試験の統合解析を行い、大腸癌の術後 補助化学療法の臨床試験において、無病生存期間が全生存期間の surrogate endpoint として妥当である ことを示した。この統合解析では 3 年無病生存割合の点推定値が 5 年生存割合の点推定値とほぼ一致す ることも示されており、primary endpoint を無病生存期間とし、3 年の追跡期間の後に主たる解析を行うこと の妥当性を示している。なお、この統合解析では無病生存期間における二次がんの定義が試験毎に異な ることから二次がんをイベントとせず再発・死亡のみをイベントとした無病生存期間(JCOG での無再発生 存期間に相当)の surrogacy を示している。この統合解析の結果のみをみれば JCOG の標準定義におけ る無再発生存期間を全生存期間の surrogate endpoint として用いるべきであるが、多くの大腸癌の術後補 助化学療法の臨床試験では二次がんもイベントに含めた無病生存期間が用いられている。本試験では JCOG0205 や米国 NSABP の定義と同じく、あらゆる二次がんをイベントに含んだ無病生存期間を primary endpoint とするが、これは主な転移形式のひとつである肺転移において、肺原発の二次がんであるか肺 転移であるかの区別がつきにくいことが主な理由である。なお、無病生存期間の定義の中には大腸の多 発癌のみをイベントにする定義もあるが(MOSAIC 試験等)、この定義では肺原発と肺転移の区別がつき にくいという問題は解決されない。Sargent らの統合解析で二次がんをイベントから除いた理由も試験毎 に定義が異なることが理由であるため、本試験では JCOG の標準的な定義に従った、あらゆる二次がん (ただし carcinoma in situ や粘膜内癌は除く)をイベントに含めた無病生存期間を primary endpoint に設定 した。ただし、無再発生存期間も secondary endpoints のひとつとして算出する。
2.4.3. 臨床的仮説と登録数設定根拠
・ 臨床的仮説(clinical question)と判断規準(decision criteria)を明記する。第 III 相試験の場合、優越性試験か 非劣性試験かの区別を明記し、非劣性試験の場合は非劣性での判断を行うことの妥当性(例:毒性が軽い、 外来治療可能などの有効性以外の試験治療群のメリット)を述べる。 例)第 III 相試験 本試験の主たる研究仮説は「試験治療(○○療法)群の全生存期間が標準治療(××療法)群に対して 上回る」であり、この仮説が検証された場合、○○療法をより有用な治療法と判断する。 ・ 登録数の設定に必要なパラメータ(例:MST、5 年生存割合、奏効割合などの過去のデータ、期待できる上乗 せ効果、臨床的に意味があると判断される上乗せ効果など)を根拠と共に示す。登録数の設定は主たる試験 の結論を導くために必要な数字であるため、ここで必要なパラメータは、primary endpoint に関するものである。 ここでは登録数設定の根拠となったパラメータと設定した登録数を記述するのみでよく、統計的考察を含む詳 細は「12.2.予定登録数・登録期間・追跡期間」で述べる。 ・ 登録期間については、試験開始時の施設倫理審査委員会承認手続き等を考慮し、サンプルサイズ設定に用 いた期間に 6 か月ほどの上乗せをもって設定する。 ・ 患者登録終了の手続きについては、5 章に記載する。 例)第 III 相試験 従って、本試験では 5 年生存割合として XX%の上乗せ効果を期待することとし、両群の全生存期間の真 の差が 5 年生存割合で XX%に相当する差より小さければ、臨床的に意義なしと判断することとした。 以上のパラメータを用いて後述(「12.2.予定登録数・登録期間・追跡期間」参照)する考察に基づいて必要 登録数を計算し、登録期間○年、追跡期間△年として、両群計 XXX 例を予定登録数とした。ただし、登録 期間については、施設倫理審査委員会への手続きにかかる期間を考慮し、○+0.5 年とした。 2.4.4. 患者登録見込み ・ 当該疾患に対する過去の試験の登録状況*や予測集積状況を示し、予定登録期間内に予定登録数が集積可 能であることを述べる。過去の試験の登録実績ではなく診療患者数に基づいて見込む場合には、当該がん 種の診療患者数、うち本試験の対象病期の患者数、うち本試験の適格患者数(または適格である割合)を示 し、それに見込み同意取得割合を掛けて年間見込み登録数を算出する。 *当該グループの JCOG スタディによる登録実績がある場合はそれを最優先する。 ・ 同一疾患に対して当該グループで他に臨床試験を行っている場合は、その試験と対象が重複しないことを明 記する。やむを得ず重複する場合はその旨を説明すること。JCOG の試験でなくても当該グループの参加施 設が参加している他の大きな試験(製造販売後臨床試験など)がある場合は、それとの関係も記述する。
JCOG プロトコールマニュアル version 3.1 16/113 2.4.5. 割付調整因子設定の根拠 ・ ランダム化試験で動的割付*(最小化法など)を行う場合、動的割付の際に調整する因子と、その選択根拠も ここで記述する。 *従来、割付層別因子と呼ばれていたが、正しい呼称ではないため JCOG のプロトコールでは用いない: 「5.2.ランダム割付と割付調整因子」の解説参照。ただし慣習的な使用や学会発表においてはその限りでは ない。 ・ 割付調整因子に含める必要があるのは、もし大きく偏った場合に primary endpoint に影響して治療効果の差 を正しく評価できなくしたり解釈を困難にしたりする因子である。従って、ここでは全生存期間が primary endpoint である第 III 相試験においては過去の全生存期間に関する予後因子のエビデンスが述べられ、無再 発生存期間が primary endpoint である第 III 相試験においては再発に関する予後因子のエビデンスが述べら れる必要がある。「2.1.7.予後因子/予測因子」の記載を受けて、2.1.7.で述べた予後因子のうち、どれを採用し たかを根拠と共に述べることが望ましい。2.1.7.で示したハザード比やオッズ比の数値を再掲する必要はな い。 ・ 割付調整因子に含めるか否かは、「治療群間で primary endpoint に差がない」という帰無仮説が正しい状況 において考えることを優先すべきであり、これは臨床試験の方法論がαエラーの制御をβエラーの制御より 優先する枠組みであることに起因する。つまり、primary endpoint が全生存期間である場合には、治療群間に 全生存期間で差がないことが真実である場合に、ある因子の分布が群間で偏ったために見かけ上の全生存 期間の差が生じる状況(交絡)、すなわちその因子が全生存期間について予後因子である状況が該当する。 一方、ある因子が治療効果予測因子であるということは、治療群間で全生存期間に差がある、もしくは差があ るサブグループが存在するという、対立仮説が正しいという状況に対応した考察である。「αエラーの制御を βエラーの制御より優先する」という立場に立てば、治療効果予測因子の候補となる因子は割付調整因子と する優先順位は予後因子よりも低いことになる。以上より、割付調整因子とすべき因子の候補が複数ある場 合には、「予後因子」を「治療効果予測因子」よりも優先させることになる(ただし、予後因子の影響の大きさ、 治療効果予測因子の影響の大きさの如何によっては、予後因子を差し置いて治療効果予測因子を採用する 可能性がないわけではない)。 ・ 「割付調整因子はいくつまで許容されるか?」は試験計画時によく出される質問である。JCOG 標準としてい る最小化法では、調整因子の数が多くとも技術的には対応可能である。しかし、割付調整をする際に確率的 な要素を導入してはいるものの、ある因子について偏りを小さくするための割付調整を行うことで、他の因子 の群間での偏りを助長する可能性が常にある。既知の因子で偏りが生じた場合には解析の際に事後的に調 整することも可能であるが、未知の因子・測定されていない因子で偏りが生じたとしても我々はそれを知るこ とができない。割付調整因子が多すぎることに対する懸念が未知の因子に偏りが生じることであるため、割 付調整因子がいくつまでなら大丈夫でいくつを超えると望ましくないかを定式化することは不可能である。以 上を踏まえた上で、それでもなんらかの目安はあった方がよいとの考察の下、JCOG では SWOG が経験に基 づいて適切としている「割付調整因子は 3~4 つまで」を標準とする。 ・ なお、割付調整因子の数、割付調整因子の層の数を決める際には、主たる解析での解析方法との対応につ いても考慮が必要である。JCOG では検証的なランダム化比較試験の主たる解析手法の標準を割付調整因 子を用いた層別ログランク検定としており、この方法は各層毎に検定を行うわけではなく試験全体で一つの 検定を行う方法ではあるものの、割付調整因子の数や割付調整因子の層の数が多いことが理由で複数の割 付調整因子の組み合わせで構成される各層毎の被験者数・各層毎に観察されるイベント数が少ない場合に は解析上支障が生じ得る。そのような場合には、層別ログランク検定を行う際に割付調整因子の複数の層を 併合して解析を行う、あるいは、相対的に影響が少ないと考えられる因子を用いずに解析を行うなどの対応 方針を主たる解析実施前に定めることになる。そのため、計画段階でこれらの状況についても検討の上、割 付調整因子および各因子の層の定め方を決める必要がある。 1)施設 ・ 第 III 相試験では特に理由がない限り調整因子に含める。 例) 登録患者の背景、治療、有効性評価、安全性評価における施設間差の存在は広く知られており、施設での 調整は JCOG における標準となっている。
JCOG プロトコールマニュアル version 3.1 17/113 2)β2-MG, CRP によるリスクグループ(例) β2-MG, CRP の組み合わせによるリスクグループの報告(下表)に基づき、Low/Intermediate/High の 3 カテ ゴリーとする。 Risk group 条件 生存期間中央値 Low β2-MG<6 mg/dL かつ CRP<6 mg/dL 54 か月 Intermediate β2-MG、CRP いずれかが≧6 27 か月 High β2-MG≧6 かつ CRP≧6 6 か月 2.4.6. 病理中央診断について ・ 病理中央診断を行う研究においては、対象がん種の病理診断上の特性(例:診断の困難性、施設診断のバ ラツキの現状など)と病理中央診断が必要な理由、および中央診断を行う項目の概要を記述する。 2.4.7. 効果の中央判定について ・ 腫瘍縮小効果等の中央判定を行う研究においては、対象がん種の画像診断上の特性(例:診断の困難性、 施設診断のバラツキの現状など)と中央判定が必要な理由、および中央判定を行う項目の概要を記述する。 2.5. 試験参加に伴って予想される利益と不利益の要約 ・ 試験の登録患者が本試験に参加することによって生じると予想される利益と不利益を記述する。記述内容は 説明文書と不整合がないよう注意すること。 ・ 通常、「予期される(expected)」は、好ましいものか好ましくないものかを問わず「エビデンスをもって予想でき る」の意であり、「予期される有害事象」はこの意味で用いられる。一方、ここで言う「予想される foreseeable/ anticipated」とは、必ずしもエビデンスがあるもののみに限らず、論理的に推定・推察し得る利益や危険も含 まれる。 2.5.1. 予想される利益 ・ 本試験に参加することで、登録患者が得られると予想される利益(benefit)について記述する。 ・ 患者が試験に参加することで特別な診療上の利益は生じない場合、そのことを明記する。 ・ ただし、研究費で購入して配布する薬剤を用いるような場合を除き、通常の JCOG 臨床試験では標準治療ま たはその可能性のある治療法のオプションが行われる。試験の治療レジメンで用いる薬剤はいずれも市販 薬剤であり、薬剤費を含む診療費はいずれも患者の保険より支払われるため、患者が試験に参加することで 特別な診療上の利益は生じないのでそのことを明記する。 例) 本試験で用いる薬剤はいずれも本試験の対象に対して適応が承認され保険適用されているものであり、い ずれの群の治療法も日常保険診療として行われ得る治療法である。また、試験参加患者の試験期間中の薬 剤費を含む診療費はすべて患者の保険および患者自己負担により支払われるため、日常診療に比して、患 者が本試験に参加することで得られる、特別な診療上、経済上の利益はない。 2.5.2. 予想される危険と不利益 ・ ここでは、患者が試験に参加することで予想される不利益とそのリスク(害を被る可能性/確率)を要約し、そ れに対してリスクを最小化するために取られたデザイン上の工夫や有害事象に対する対策の主なものを示 す。まず本試験特有の工夫を示す。プロトコール治療に伴う有害事象の詳細は 2.2.と 2.3.に記載してあるため、 ここでは日常診療で標準治療を受ける場合に比して増大すると予想される不利益について記載する。日常診 療では行われない検査を行う場合や日常診療よりも検査の頻度が高まる場合は不利益とみなして記載する。 日常診療における危険と不利益と同等と予想されるのであれば、その旨記載する。 例) A 群 B 群ともに行われる手術、HD-MTX 療法、放射線治療等は通常の保険診療として行われるものであ り、日常診療に比して特別な危険や不利益が生じるわけではない。手術後の化学療法と放射線治療による 毒性のうち、放射線治療の急性期の有害反応は照射に伴う脳浮腫であり、嘔気、嘔吐が出現することがあ る。遅発性障害として脳萎縮に伴う記銘力障害などの知的機能障害や、主に血管内皮細胞の障害に起因す ると考えられている脳実質の脳壊死などが挙げられる。特に後者は周囲の脳浮腫を伴い、画像診断上、腫 瘍の再発と区別がつきにくいことも多く手術的摘出を要することもある。 B 群で付加される TMZ による有害反応は、投与直後から数時間以内に出現する嘔気、嘔吐、数週間後に 出現する骨髄抑制などがある。白血球減少、血小板減少などの骨髄抑制は TMZ の次の投与の量・時期にも
JCOG プロトコールマニュアル version 3.1 18/113 影響を与えるものである。また、時に肺線維症や Pneumocystis 肺炎などの呼吸器障害を来すこともある。こ れらが試験に参加することで増大するリスク・不利益とみなせる。 ・ 次に、JCOG 試験一般として、定期モニタリングにより、定期的に毒性の程度や頻度がチェックされ、予想され るレベルを超えていると判断される場合は試験中止を含む試験計画の変更が検討されることや、予期されな い有害事象は JCOG の安全性情報報告システムに従って報告、審査され、必要に応じて施設への情報伝達 がなされるなど、本試験において、患者のリスクを最小化する努力が最大限行われていることを主張する。 例) これらの有害事象のリスクや不利益を最小化するために、「4.患者選択規準」、「6.3. 治療変更規準」、「6.4 併用療法・支持療法」などがグループ内で慎重に検討されている。また、有害事象が予期された範囲内かど うかをデータセンターと効果・安全性評価委員会がモニターすると共に、重篤な有害事象や予期されない有 害事象が生じた場合には「JCTN-有害事象報告ガイドライン」、「JCOG 臨床安全性情報取扱いガイドライン」、 および関連する諸規定に従って慎重に検討・審査され、必要な対策が講じられる体制が採られている。 施設(医療機関)に対する注意事項(適応外使用を含む場合) 本試験のプロトコール治療の実施に際して、施設では、通常の一般診療と同様に保険請求を行うため、事 後的に保険査定を受ける可能性がある。しかし、施設の損失が発生した場合も JCOG 研究組織として補填す る仕組みを持たないため、その場合は参加施設(医療機関)の損失となる。実際に施設の損失が発生した場 合には試験の継続参加の可否を施設研究責任者と研究代表者/研究事務局間で慎重に協議する。各施設の 研究責任者はそのことも含めて施設 IRB および医療機関の長の承認を得ること。 2.6. 本試験の意義 ・ 本項には、本試験を行うことにより得られる知見の重要性を主張する記述を総括的に記述する。すなわち、 将来の患者に対するベネフィットに関して本試験が貢献しうる点を主張する。ただし、「非常に意義は大きい」 や「極めて重要である」といった自画自賛は避けること。
・ 特に第 III 相試験の場合は、positive results が得られた時のインパクトだけでなく、negative results に終わった 際にも重要な知見となり得ることを記述すること。言い換えれば、negative results に終わった時に有用な臨床 的結論が得られない第 III 相試験は social/scientific value が低いと言える。
2.7. 附随研究(試料解析研究を含む) ・ 試料解析研究を含む附随研究を行う場合は、JCOG ポリシーに従い本プロトコールとは別に附随研究実施計 画書を作成する。このため、本章では当該研究が本試験に及ぼす影響と利点・欠点を中心に記述する。 ・ プロトコール立案・作成時点では計画されていない場合は、その旨を明記すること。 例)プロトコール作成時点では計画されていない。 2.8. JCOG-バイオバンク・ジャパン(BBJ)連携バイオバンク ・ プロトコール立案・作成時点で全 JCOG 試験共通のプロトコールに基づく JCOG-BBJ 連携バイオバンクでの 血液試料(DNA・血漿)のバンキング(以下、「共通バンキング」と呼ぶ)への参加の意志を明記すること。 【参加しない場合】
本試験は、全 JCOG 試験共通のプロトコールに基づく JCOG-BBJ 連携バイオバンクでの血液試料(DNA・ 血漿)のバンキングへは参加しない。
【参加する場合】
本試験は、全 JCOG 試験共通のプロトコールに基づく JCOG-BBJ 連携バイオバンクでの血液試料(DNA・ 血漿)のバンキング(以下、「共通バンキング」と呼ぶ)に参加する。 JCOG-BBJ 連携バイオバンクにおける共通バンキングは、事前に計画された試料解析研究の有無によら ず、JCOG で実施される臨床試験に登録された患者の試料を収集して一括保管し、将来実施される試料解析 研究に試料、および本体研究を通じて得られた診療情報を適切に提供することを目的として実施される。 対象は、本試験への参加に同意した患者のうち、JCOG-BBJ 連携バイオバンクへの試料の提供と将来の 試料解析研究での利用について同意(以下、バンキングへの同意)が得られた患者である。 共通バンキングで収集する試料は、全血と日常診療における保存病理組織である。血液から分離・抽出さ れた血漿・DNA が JCOG-BBJ 連携バイオバンクで保管され、将来実施される試料解析研究へ提供されること となる。また、手術や生検・臨床検査等の日常診療における保存病理組織も将来の試料解析研究で使用さ れ得るものの、研究によって必要な病理組織の種類、標本作製方法および組織量は異なり、前向きに一定
JCOG プロトコールマニュアル version 3.1 19/113 の方法で病理組織をバンキングすることが効率的であるとのコンセンサスは必ずしも得られていない。さらに 保存病理組織から薄切した標本を長期保存する場合、試料が劣化(DNA が断片化)するとの意見もある。こ れらの問題を JCOG と BBJ 関係者で協議した結果、診療後の保存病理組織に関しては将来の利用について の同意のみを得ることとし、実際の収集は、個別に実施計画書を作成し、研究内容に最も適した手順を実施 計画書に定めた上で開始する。 共通バンキングにおける試料の収集、保管、および将来実施される試料解析研究への試料提供方法の詳 細な手順は、全 JCOG 試験共通の「JCOG-バイオバンク・ジャパン連携バイオバンク実施計画書」に定められ ている。JCOG-BBJ 連携バイオバンクの共通バンキングに参加するには、参加施設の倫理審査委員会の審 査承認を得る必要がある。 なお、将来 JCOG-BBJ 連携バイオバンクに保管された試料を用いて試料解析研究を行う際は、「試料解析 研究実施計画書」を新たに作成の上、JCOG プロトコール審査委員会および試料解析研究に関わる施設の 倫理審査委員会の審査承認を得る必要がある。 2.9. QOL 調査(実施する場合のみ)
・ QOL 調査を行う場合は、JCOG ポリシー「QOL 調査」に従うこと。
・ 本章では、QOL 調査を実施する理由、使用する評価尺度(例:FACT-L、 EORTC-QLQ-C30 等)と評価項目、 QOL 調査を実施するための組織・体制について簡潔に記載する。 ・ 詳細な手順等は、15.特記事項に記載すること。 2.10. 複数試験登録について(実施する場合のみ) ・ 本試験以外に競合する臨床試験が実施され、複数試験登録に関する規定を設ける場合の取扱いは、JCOG ポリシー「患者登録と試験開始」に従うこと。 ・ 他の臨床試験との複数試験登録を許容する場合、本章にその理由について簡潔に記載する。 ・ 複数試験登録を実施する場合の詳細な手順は、15.特記事項に記載すること。
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3. 本試験で用いる規準・定義
・ 試験の対象集団を規定する上での stage や疾患の程度・拡がりを診断する規準を記載する。
・ 原則として、患者選択(適格規準)や割付調整因子、治療前評価項目に関係する規準や定義が該当する。 「切除不能胃がん」、「進行乳がん」、非ホジキンリンパ腫における International Prognostic Index などが例とし てあげられる。効果判定規準はこの章ではなく「11.1.効果判定」に記載する。エンドポイントの定義はこの章で はなく「11.3.エンドポイントの定義」に記載する。 ・ 診断規準名称が同じであっても原著と変法の違いや、日常用いている版などが施設や研究者により異なるこ とがしばしばあるため、診断規準や規約の名称のみでなく、バージョンを明記すると共に、試験で用いる実際 の定義の内容(要約・抜粋可)を文章または表で記述すること。試験で用いない stage の定義は省略してもよ い。 ・ 略語は初出時にスペルアウトする。必要であれば、3 章に略語表を入れてもよい。 記載例 本試験では組織分類は「○○癌取扱い規約第 X 版」に従う。病期分類は「UICC TNM 悪性腫瘍の分類 第 7 版 2009 年度版(UICC-TNM 第 7 版)」に従う。 ※取扱い規約での TNM 分類と区別するため、UICC による TNM 分類の場合は「UICC-TNM」と表記する。 3.1. 病期分類規準(例)
病期分類(staging)には UICC TNM 悪性腫瘍の分類 第 7 版 2009 年度版(UICC-TNM 第 7 版)を用いる。 N0 N1 M1 T1 I IIB Ⅳ T2 IIA IIB Ⅳ T3 IIA III Ⅳ T4 III III Ⅳ T1:腫瘍浸潤が粘膜固有層または粘膜下層にとどまる T2:腫瘍浸潤が固有筋層にとどまる T3:腫瘍浸潤が食道外膜に及ぶ T4:腫瘍浸潤が食道周囲臓器に及ぶ N0:所属リンパ節転移なし N1:所属リンパ節転移あり M1:遠隔転移 ただし、主病巣が胸部下部食道の場合の腹腔リンパ節転移、主病巣が胸部上部食道の場合の頚 部リンパ節転移は M1a(旧規約の M1 LYM)として stage Ⅳに分類する。
3.2. 切除不能胃がん(例)
以下の①~③をすべて満たすものを「切除不能胃がん」とする。
① 臨床所見または手術所見により stage IV と診断される。ただし、腹腔細胞診(CY1)のみにより stage IV と なる場合は含まない。(3.1.の表の網掛け部分が該当)
② 画像診断を含む臨床所見にて手術適応がないと判断された非手術例、または胃切除術(試験開腹も含 む)を行ったが根治度 C に終わった手術例。