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図人権教育を通して育てたい資質 能力 人権教育の指導方法等の在り方について [ 第三次とりまとめ ] をもとに作成 5

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Academic year: 2021

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(1)第2章 人権教育についての基本的な考え方 1 人権教育がめざすもの “人権”とは、一人一人が人間らしく生きていくために、生まれながらにしてもっている大切 な権利であり、人が個人として尊重され、安全で安心して生活を送るために欠くことのできない ものです。 全ての人は、一人一人がかけがえのない存在として認められ、自分の可能性を最大限に伸ばし、 自分らしく幸せに生きたいと願っています。また、一人一人の人権が尊重され、生まれてきてよ かったと感じられる人生を送りたいと思っています。 しかし現実には、人権に関する様々な問題が存在しています。“全ての人の人権が尊重され、 安心して生活できる社会”を実現するために、私たち一人一人があらゆる場で人権教育に積極的 に取り組み、その問題を解決していくことが大切です。. 2 人権教育を通して育てたい資質・能力 人権教育とは、 「人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動」であり、 「国民が、その発達段 階に応じ、人権尊重の理念に対する理解を深め、これを体得することができるよう」にすること と、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」 平成年

(2) に示されています。 [第三次とりまとめ]では、学校における人権教育の目標を、「一人一人の児童生徒がその発 達段階に応じ、人権の意義・内容や重要性について理解し、自分の大切さとともに他の人の大切 さを認めることができるようになり、それが様々な場面や状況下での具体的な態度や行動に現れ るとともに、人権が尊重される社会づくりに向けた行動につながるようにすること」としていま す。 この目標を達成するためには、人権に関する知的理解と、自分の大切さとともに他の人の大切 さも認める人権感覚をバランスよく身に付けることが大切です。次ページの図で示しているよう に、人権に関する知的理解とは、知識的側面について自ら積極的に学ぶことで深まるものです。 また人権感覚は、価値的・態度的側面と技能的側面の学習で高められるものです。 こうした、人権に関する知的理解と人権感覚の両方が身に付くことによって、自分や他者の人 権を守ろうとする意識・意欲・態度が生まれ、自分や他者の人権を守るための実践行動につなが ります。. -4−4−.

(3) 図. 人権教育を通して育てたい資質・能力. 「人権教育の指導方法等の在り方について[第三次とりまとめ] 」をもとに作成. −5−.

(4) 3 人権教育の4つの視点 人権教育は、社会に存在している様々な人権課題の解決を図り、人権が尊重された社会づくり をめざしています。就学前教育、学校教育、社会教育の各分野で推進されていますが、取組を効 果的に進めるために、次の4つの視点を大切にして推進する 必要があります。. (1) 人権が大切にされる社会をめざす(目的) 人権教育は、人権や人権問題について学習し、理解することだけで終わるのではなく、自 らの生活を高め、全ての人の人権が大切にされる人権文化の豊かな社会をつくることをめざ しています。そうした社会を実現するためには、保育所・幼稚園等、学校、家庭、地域が一 体となって取り組むことが大切です。 取組の方向性 ① 人権について学習したことを生活に生かします。 ② 保育所・幼稚園等、学校、家庭、地域が一体となって人権尊重のまちづくりを進めます。 . (2) 全ての人が等しく学習機会を得る(機会) うた. 「世界人権宣言」でも謳われているように、教育を受けることそのものが人権の一つです。 全ての人々に教育を保障していくことは、人権教育を進める前提となります。 同和教育のなかでは、長期欠席・不就学の子どもに教育を受ける権利を保障する取組が行 われてきました。 現在においても、いじめや不登校などで苦しんでいる子どもがいます。そのことが理由で 学習機会が奪われることがないよう、保育や教育を保障する必要があります。また、経済的 理由等から厳しい環境に置かれている子どもについても、学習の機会を充実することが求め られています。発達障害等を含め特別な教育的支援を必要とする子どもに対しては、将来の 社会参加と自立に向けて、幼児期から一人一人の特性に応じた学習の機会や学習内容も充実 していくことが求められます。 そのためには、常に子どもの現実から出発しつつ、一人一人の子どもの状況に応じた取組 を保育所・幼稚園等や学校全体で行っていくとともに、地域の関係者や関係機関と連携しな がら、きめ細かな支援を行うことが大切です。 また、子どもに「確かな学力」を育むためには、学校全体として個に応じた目的意識のあ る学習指導や望ましい人間関係づくりなどを大切にし、学習意欲の向上に努めることが必要 です。そのため、授業改善をさらに進め、全ての子どもに学力と進路を保障し、未来に夢を もって自己実現に向かうことができるように取り組むことが重要です。 社会教育においても、全ての住民に生涯の各ステージで、人権や人権問題についての学習. −6−.

(5) の機会を充実することが必要です。また、読み書きが困難な非識字者や外国籍の住民の方々 に、生活するうえでの基礎的な能力を身に付けるための学習の場を保障することや、いじめ などの理由により十分に学校に通うことができず、結果としてニートやひきこもり状態にあ る人々の社会的な自立を支援するための仕組みづくりも必要です。. 取組の方向性 ① いじめや不登校問題の解消に向けた取組を進めます。 ② 発達障害等を含め、特別な教育的支援を必要とする子どもへの支援を充実します。 ③ 放課後における学習支援などを通して、厳しい環境にある子どもの学習の機会を充実 します。 ④ 自らの希望や願いを実現させるための学力・進路の保障に向けた取組を進めます。 ⑤ 生涯を通して人権について学ぶ機会を充実します。. トピック <今日も机にあの子がいない>  終戦直後の混乱時には、極度の貧困等を理由に、学校に行けなかった子どもが被差別部落を中 心に大勢いました。その長期欠席・不就学対策として、昭和  年に全国で初めて、福祉教員が高 知県で配置されました。福祉教員は、義務教育を保障するために保護者に対して、長期欠席・不   就学の子どもの出席を促すために、日々家庭訪問を繰り返し、子どもや保護者、地域に働きかけ. ました。そして、学力の向上や進路の保障に向けた取組を進めてきました。 「今日も机にあの子が いない」とは、その福祉教員たちの地道で熱心な取組をまとめた実践記録のタイトル名です。. <識字学級>  識字学級とは、差別などにより就学適齢時に満足な学習機会に恵まれず、文字の読み書きの能 力を身に付けることができなかった方々に対して、その力を取り戻すための学習会のことです。  「 『高知の識字』資料集」 高知県教育センター 平成2年 によれば、 「識字運動とは、字を識る 運動のことであるが、日本の場合、部落解放運動のなかで『部落差別によって奪われた文字を取 り返す営み』として重視され、識字学級を中心に取り組まれています。」と著されています。. -7−7−.

(6) (3) 人権が大切にされた環境で学ぶ(環境) 学校や地域の学習会など教育の場において、一人一人の人権が尊重された 環境でなければ、教育活動は十分な効果をあげることはできません。 学習者は、人権について知識や技能を学ぶだけでなく、人権が大切にされた環境のなかで 学ぶ心地よさを経験することによって、人権の大切さを実感するようになります。このよう に、学習者は「隠れたカリキュラム」 教育する側が教えようと意図する・しないに関わら ず、学習者がその場の雰囲気や環境から学びとっていく全ての事柄のこと

(7) のなかで学んで いるということを踏まえて教育を進めていくことが大切です。  そのために、就学前教育及び学校教育においては、直接指導する保育者・教職員の姿勢そ のものが人権教育の重要な部分であると言えます。子ども一人一人の大切さをしっかり自覚 し、一人の人間として接することが大切になってきます。そのため、“一人一人の生活実態 や、行動に至るまでの原因・背景をつかんで指導しようとしているか”、“互いによさを認 め合い支え合える人間関係を学級に築くことができているか”、“自ら望ましい言語活動に 心がけ、学校・学級全体の言語環境を整えようとしているか”など、実践を通して自らの人 権意識を見つめ直し、より確かな人権感覚を身に付ける必要があります。また、子ども自身 が、自らの大切さや他の人の大切さを認めることができるような環境づくりに、主体的に取 り組むことも重要なことです。 学校における人権教育は、人権についての学習の時間の枠だけにとどまるものではありま せん。教科学習や特別活動をはじめ、全ての教育活動において、子どもの人権が十分に尊重 される必要があります。また、障害のある子どもとない子どもが共に学び、共に生きること の意義を踏まえ、教育環境や教育内容の充実に努める必要があります。生徒指導においても、 自分の大切さとともに他の人の大切さを認めるという人権感覚を育成することを通して、暴 力行為やいじめなどの生徒指導上の諸問題の未然防止に努めることが重要です。 社会教育においては、あらゆる場面で一人一人の発言の機会が大切にされる環境づくりに 努めることが必要です。学習活動においては、参加体験型などの手法を用いることにより、 互いの気付きや考えの深まりを大切にし、学習者自身の意識の変容や実践行動につなげるき っかけをつくることが重要です。 取組の方向性 ① 実践を通して、保育者、教職員が自らの人権意識を見つめ直し、より確かな人権感覚を 身に付けます。 ② 一人一人の人権が尊重された環境のなかで学習することを通して、人権に関する知的理 解と人権感覚を育みます。 ③ 子ども自身が、自らの大切さや他の人の大切さが認められるような環境づくりを進めま す。 ④ 安全で安心して学ぶための環境を充実します。. -8−8−.

(8) (4) 人権や人権課題について学ぶ(内容) 私たちが自分の能力を十分に発揮し、人権教育がめざす社会をつくり上げていくために は、これまでの歴史の中で確立されてきた私たちの基本的人権や、その権利を行使すること の意義や責任について学ぶことが大切です。 現代社会には、様々な差別があり、基本的人権を侵害しています。そして、社会の進展と ともに新たな人権課題も生まれてきています。「高知県人権施策基本方針 -第1次改定版 -」では、これまでの県民に身近な7つの人権課題(同和問題、女性、子ども、高齢者、 障害者、HIV感染者等、外国人)に、新たに3つの人権課題(犯罪被害者等、インター ネットによる人権侵害、災害と人権)が加えられました。これら個別の人権課題の解決に は、それぞれに固有の歴史や特質などの課題があることを踏まえて、正しい理解と認識を 深めることが必要です。そのため、差別の現実や社会の実態から深く学ぶという視点を基 本にしつつ、学習者が人権課題について学ぼうとする意欲や関心をもつことができるよう、 個別的、具体的な指導を実施していくことが重要です。. 図 県民に身近な  の人権課題               出典:高知県人権施策基本方針 -第  次改定版-. 一方で、同基本方針が示している人権課題は、氷山の一角であり、根底の部分では全ての 課題がつながっていると考えることができます。一つの人権課題の学習の成果をそれ以外 の人権課題と重ねて考える力を育てる必要があります。 学習する際は、それぞれの人権課題について学習する個別的な視点と、法の下の平等や 個人の尊重といった人権に関する普遍的な視点の双方が必要であり、これらを相互に関連・ 補強させながら取組を進めることが重要です。 人権や人権課題について学ぶことは、具体的な事例を通して、他者の心の痛みに共感す ることでもあり、身近なところから課題解決に向けた行動をしていくことが求められてい ます。 取組の方向性 ① 基本的人権とその権利の行使や責任について学習する普遍的な視点と、個別の人権 課題について学習する個別的な視点を相互に関連・補強しながら、人権についての 正しい理解と認識を深めます。 ② 誤った認識や人権意識の欠如が偏見・差別の原因とつながっていることを理解でき るようにします。 ③ 人権課題を自分自身の問題として捉え、その解決に向けた態度を育みます。 -9−9−.

(9) トピック <普遍的な視点と個別的な視点>  現在及び将来にわたって人権擁護を推進していくうえで、女性、子ども、高齢者、障害者、 同和問題、アイヌの人々、外国人、*+8 感染者やハンセン病患者等をめぐる様々な人権問題は 重要課題となっており、国連  年国内行動計画においても、人権教育・啓発の推進に当たっ ては、これらの重要課題に関して、 「それぞれの固有の問題点についてのアプローチとともに、 法の下の平等、個人の尊重という普遍的な視点からのアプローチにも留意する」こととされて います。                    出典「人権教育・啓発に関する基本計画」. <人権学習を進めるために大切にしたいポイント>  これまでの同和教育の実践のなかから大切にしたい視点を以下の  点に整理し、 人権学習を進めるためのポイントとして示します。 (2)自分との関わりを見つめる. (1)現実や実態から学ぶ 人権について正しく学ぶとともに、人権. 人権や人権課題が、決して他人事では. 課題の現状を正しく認識しましょう。同時. なく、自分と深くかかわっていることを. に、差別や人権侵害で苦しんでいる人、い. 実感することが大切です。そのため、自. じめや家庭環境等でつらい思いをしている. 分のこれまでの経験や体験を振り返り、. 子どもの現実や実態から学び、課題解決に. 考え方や言動を見つめ直しましょう。. 向けて取り組みましょう。. (3)知識・技能・態度(人権教育を通して. (4)参加・体験による主体的な学びを. 育てたい資質・能力)を身に付ける. 取り入れる. 「知識」としてだけの学びではなく、「技. 学習者がいきいきと参加し、体験を通. 能」や「態度」と互いに関連させながら、. して主体的・能動的に学ぶことを重視し. それぞれをバランスよく育み、日常生活や. ましょう。その手法として、探究的な学. 社会生活のなかで人権課題の解決に向けて. 習などを積極的に取り入れましょう。. 行動できるようになることをめざしましょ う。. (5)組織的、計画的に取り組む. (6)連続性と協働の視点で取り組む. 人権教育主任を中心に組織として人権教. 子どもの成長・発達を軸として、校種. 育についての全体計画・年間指導計画を策. 間での教育の連続性を大切にしましょ. 定しましょう。また、計画 2NCP →実施 &Q. う。保育所・幼稚園等、学校、家庭、地. →評価 %JGEM →改善 #EVKQP のシステム. 域が協働して、子どもの育ちを支えてい. を確立し、育成すべき資質・能力などの見. きましょう。そのためにも、開かれた保. 通しをもって、計画的に取組を進めましょ. 育所・幼稚園等・学校づくりを積極的に. う。. 進めていきましょう。 - 10 − 10 −.

(10)

図  人権教育を通して育てたい資質・能力      「人権教育の指導方法等の在り方について[第三次とりまとめ] 」をもとに作成

参照

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