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フィードバック ~ 様々な電子回路の性質 ~ 実験 (1) 目的実験 (1) では 非反転増幅器の増幅率や位相差が 回路を構成する抵抗値や入力信号の周波数によってどのように変わるのかを調べる 実験方法 図 1 のような自由振動回路を組み オペアンプの + 入力端子を接地したときの出力電圧 が 0 と

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~様々な電子回路の性質~

実験(1)

・目的 実験(1)では、非反転増幅器の増幅率や位相差が、回路を構成する抵抗値や入力信号の周 波数によってどのように変わるのかを調べる。 ・実験方法 図 1 のような自由振動回路を組み、オペアンプの+入力端子を接地したときの出力電圧 が0となるように半固定抵抗器を調整する(ゼロ点調整のため)。 +入力端子に振幅100mV 程度の 1kHz 正弦信号を加え、入力信号と出力信号をオシロス コープで同時に観察する。増幅率 A と入出力の位相差φを R1の関数として測定する。R1 を測定するときにはR1と回路の他の部分の並列接続の抵抗を測定していることにならない ように、ジャンパを外す。同様の実験を、入力信号を1kHz にして行う。 50kHz 以下で A~20 となるように R1を調節する。A とφの周波数依存性を 1kHz まで の範囲で測定する。 これらの結果を、理想的な非反転増幅器の振る舞いを表す式(理論式) φ と比較する。 図1 非反転増幅器 2010 年度版 物理工学実験法 東京大学工学部応用物理学実験室 から引用

(2)

2 ・実験結果 増幅率A と位相差φの R1依存性(周波数 1kHz) ポテンショメーター[kΩ ] R1[kΩ ] V1[V] V2[V] A φ [π rad] A 理論値 0.23 5.28 0.10 3.20 32.0 0.00 31.3 0.60 5.65 0.10 2.90 29.0 0.00 29.3 1.02 6.07 0.10 2.80 28.0 0.00 27.3 1.83 6.88 0.10 2.40 24.0 0.00 24.2 2.52 7.57 0.10 2.22 22.2 0.00 22.1 3.53 8.58 0.10 2.00 20.0 0.00 19.6 4.41 9.46 0.10 1.80 18.0 0.00 17.9 6.12 11.17 0.10 1.55 15.5 0.00 15.3 7.38 12.43 0.10 1.40 14.0 0.00 13.9 8.85 13.90 0.10 1.25 12.5 0.00 12.5 9.95 15.00 0.10 1.175 11.75 0.00 11.7 ※灰色のセルが直接の測定値。 ※V1はオペアンプの+入力端子の電位、V2は出力端子の電位である。 ※ポテンショメータと直列に接続した抵抗の大きさの測定値は、5.05kΩであった。 増幅率A と位相差φの R1依存性(周波数1MHz) ポテンショメーター[kΩ ] R1[kΩ ] V1[V] V2[V] A φ [π rad] 0.227~9.947 5.28~15.0 0.10 0.46 4.6 0.46 ※A、φは R1には依存しなかった。 0 5 10 15 20 25 30 35 4 6 8 10 12 14 16 増幅率 A R1[kΩ]

増幅率

A

(周波数1kHz) 増幅率A A理論値

(3)

3

増幅率A と位相差φの周波数依存性

周波数 f[kHz] V1[V] V2[V] A 20Log10A ⊿t[μ s] φ [π rad] 20Log10A 理論値 φ 理論値

10 0.10 2.0 20 26.0 0.00 0.00 26.1 0 30 0.10 2.0 20 26.0 0.50 0.03 26.1 0 60 0.10 2.0 20 26.0 0.60 0.07 26.1 0 100 0.10 2.0 20 26.0 0.55 0.11 26.1 0 140 0.10 1.9 19 25.6 0.60 0.17 26.1 0 170 0.10 1.8 18 25.1 0.60 0.20 26.1 0 210 0.10 1.7 16.5 24.3 0.60 0.25 26.1 0 260 0.10 1.5 14.5 23.2 0.50 0.26 26.1 0 340 0.10 1.2 12 21.6 0.45 0.31 26.1 0 430 0.10 1.0 10 20.0 0.40 0.34 26.1 0 600 0.10 0.675 6.75 16.6 0.35 0.42 26.1 0 800 0.10 0.55 5.5 14.8 0.275 0.44 26.1 0 1000 0.10 0.45 4.5 13.1 0.23 0.46 26.1 0 ※50kHz 以下で A~20 となる R1は8.32kΩであった。 10 100 10 100 1000 増幅率 A [ dB ] 周波数f [kHz]

増幅率

A

(R1=8.32kΩ) 20LogA 20LogA理論値

(4)

4 ・考察 周波数が100kHz 以下の領域では、理想的な非反転増幅器が従う式 φ がどのようなR1に対してもほぼ成り立っている。しかしながら、周波数が100kHz 以上の 領域では、徐々にこの理論式から外れていき、増幅率 A は減少し、位相差φが生じる。こ れは、周波数が大きな領域では、オペアンプのゲインが小さくなるため、 の近似の精度が低下するためであると考えられる。 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50 10 100 1000 位相差 φ [ π r ad ] 周波数f [kHz]

位相差

φ [π rad]

位相差φ φ理論値

(5)

5

実験(2)

・目的 実験(2)では、移相回路の増幅率や位相差が、入力信号の周波数によってどのように変わ るのかを調べる。 ・実験方法 図2 の回路で R=16kΩ、C=0.01μF としたものを基板上に組む。この回路の出力・入力 の電圧振幅比A と位相差φの周波数依存性を、10kHz~100kHz の範囲で調べる。この結 果を理論と比較する。 理論では、回路の伝達関数G は ω ω π π であるから、 π π π π と求められる。このことから、 π π となるとき、すなわち π のとき、|G|は最大値 1/3 をとり、argG=0 となると予想できる。 2010 年度版 物理工学実験法 東京大学工学部応用物理学実験室 から引用 図2 移相回路

(6)

6 ・実験結果 増幅率A と位相差φの周波数依存性 f[Hz] V1[mV] V2[mV] A ⊿t[μ s] φ [π rad] A 理論値 φ 理論値 10 100 0.90 0.009 24750 0.50 0.010 0.49 20 100 2.0 0.020 12000 0.48 0.020 0.48 40 100 4.0 0.040 5400 0.43 0.040 0.46 80 100 8.0 0.080 2500 0.40 0.079 0.42 160 100 14.75 0.148 1075 0.34 0.148 0.35 250 100 20.5 0.205 575 0.29 0.209 0.28 350 100 25.5 0.255 300 0.21 0.256 0.22 500 100 29.5 0.295 150 0.15 0.299 0.15 700 100 32 0.320 52.5 0.07 0.324 0.07 1000 100 33.5 0.335 0.0 0.00 0.333 0.00 1500 100 32 0.320 -25 -0.08 0.321 -0.09 2000 100 29.5 0.295 -37 -0.15 0.298 -0.15 3000 100 24.5 0.245 -35 -0.21 0.248 -0.23 4500 100 19 0.190 -32 -0.29 0.191 -0.31 7000 100 13 0.130 -26 -0.36 0.133 -0.37 10000 100 9.5 0.095 -19 -0.38 0.096 -0.41 15000 100 6.4 0.064 -13.5 -0.41 0.065 -0.44 25000 100 3.9 0.039 -8.7 -0.44 0.040 -0.46 50000 100 1.95 0.020 -4.5 -0.45 0.020 -0.48 100000 100 0.95 0.010 -2.3 -0.46 0.010 -0.49 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 10 100 1000 10000 100000 増幅率 A 周波数f [Hz]

増幅率

A

増幅率A A理論値

(7)

7 ・考察 増幅率A、位相差φともに、全ての周波数 f で理論とほぼ同じ値となった。また、確かに f=1000kHz 付近で|G|は最大値 1/3 をとり、argG=0 となっている。 移相回路の増幅率は、特徴的な周波数 = π において最大値をとり、f=0 や f=∞ではほ ぼ 0 となる。この性質を使えば、特定の周波数成分の寄与のみを取り出すことが出来る。 また、このとき、入力との位相差がほとんどない出力を取り出せる。 -0.6 -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 10 100 1000 10000 100000 位相差 φ [ π r ad ] 周波数f[Hz]

位相差

φ [π rad]

位相差φ φ理論値

(8)

8

実験(3)

・目的 ウィーンブリッジ型発振回路の発振の条件を調べる。また、増幅率と発振の早さの関係 を定量的に調べる。 ・実験方法 図 3 のような回路を組む。ポテンショメータの抵抗値を変えることにより非反転増幅器 の増幅率A を変えて、発振が起こり始める A の値を求める。また、増幅率 A を変化させる ことで発振の早さがどのように変わるのかを、ストップウォッチを用いて信号の振幅が 20mV から 10V まで増大するまでの時間を測定することで調べる。 図3 の回路の振る舞いを理論的に考えてみる。図 4 の回路の点線内のうち、直列に接続 されている抵抗をR1、直列に接続されているコンデンサをC1、並列に接続されている抵抗 をR2、並列に接続されているコンデンサをC2とすると、点線内の回路の伝達関数F(s)は、 τ τ τ τ τ τ となる。ただしτ 、τ 、τ である。このことから、図 3 の回路 におけるオペアンプの+端子から出力端子までの伝達関数は、 τ τ τ τ τ τ τ τ τ τ τ であることが分かる。 2010 年度版 物理工学実験法 東京大学工学部応用物理学実験室 から引用 図3 ウィーンブリッジ型発振回路

(9)

9 分母多項式が0 となるときが回路の振動が発散する臨界点となり、そのときの増幅率 A の 値は 臨界 τ τ τ τ で求められる。特にR1=R2、C1=C2のときはτ1=τ2=τ12であるから、 臨界 となる。 ・実験結果 発振が起こることが確認できた最大のポテンショメータの抵抗値は0.8386kΩであった。 このとき、信号の振幅が3 倍になるのに 5 秒程度かかった。また、図 3 で 5.1kΩとなって いる抵抗の測定値は5.043kΩ、12kΩとなっている抵抗の測定値は 11.896kΩであった。こ のことから、発振が起こった最小の増幅率A は、 臨界 であると計算できる。 R1=15.915kΩ、R2=15.892kΩ、C1=0.01013μF、C2=0.01032μF であったため、理論的 には 臨界 τ τ τ τ = であり、R1=R2、C1=C2を仮定したときの理論値 臨界 に比べて実験値に近くなってい る。 2010 年度版 物理工学実験法 東京大学工学部応用物理学実験室 から引用 図4 移相回路とオペアンプ

(10)

10 ※t1~t4は、信号の振幅が20mV から 10V まで 500 倍に増大するまでの時間である(各 R1 に対して4 回ずつ測定した)。 ※発振時間T は信号の振幅が e 倍になるのにかかる時間、すなわち T=(t の平均)/Ln(500) とした。 ※発振が起こる最大のポテンショメータの抵抗値が実際は0.8390kΩであると推定して、 A臨界=3.02244とした。この推定は、十分に長い時間観測すれば今回確認できた0.8386kΩ よりも大きなポテンショメータの抵抗値でも発振した可能性があること、発振する最大の ポテンショメータの抵抗値を0.8390 kΩとすれば、下のグラフが直線的になることから来 ている。 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 発 振 時 間 T [ s] 1/(A-A臨界)

発振時間

T [s]

(A臨界=3.02244) 可変抵抗 [kΩ ] R1[kΩ ] 増幅率 A t1[s] t2[s] t3[s] t4[s] tの平均[s] 発振時間 T[s] 発振 時間 誤差[s] 1/(A-A臨界) 0.8380 5.8810 3.02279 5.51 5.98 5.43 5.95 5.72 0.92 0.05 2908 0.8376 5.8806 3.02292 4.03 4.37 4.53 4.27 4.30 0.69 0.03 2077 0.8370 5.8800 3.02313 3.07 3.05 2.93 2.95 3.00 0.48 0.01 1454 0.8362 5.8792 3.02340 2.13 2.11 2.22 2.23 2.17 0.35 0.01 1038 0.8358 5.8788 3.02354 2.02 2.10 1.97 2.09 2.05 0.33 0.01 908 0.8350 5.8780 3.02382 1.49 1.43 1.49 1.43 1.46 0.23 0.01 727 0.8344 5.8774 3.02402 1.38 1.36 1.36 1.37 1.37 0.22 0.00 632

(11)

11 なお、実験により実際に発振することが確認できた最小の増幅率であるA臨界=3.02258 を 用いれば、グラフは以下のようになる。 ・考察 ウィーンブリッジ発振回路は、増幅率A が一定以上になると発振し、その発振の速度は A が A臨界から離れれば離れるほど大きくなる。 1/(A-A 臨界)と発振時間 T が比例の関係 臨界 にあると仮定すれば、その比例定数 k は、 臨界 のグラフ、左から 番目点より 臨界 のグラフ、一番右の点より 程度であると推定できる。仮に、A臨界=3.02258 のモデルを採用すれば、 臨界 のグラフ、左から 番目点より 臨界 のグラフ、一番右の点より となり、1/(A-A臨界)の値が十分小さい範囲でのみ k に従っている。 他の平衡だが不安定な物理現象の例としては、半円柱型の面上に置かれた球体の運動の 様子が挙げられ、少しでも平衡点から離れるとますますその平衡点から遠ざかる。また、 その速度が坂の勾配(半円柱の半径の小ささ)に依存する点も、今回の実験との類似点である。 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 0 1000 2000 3000 4000 5000 発 振 時 間 T [ s] 1/(A-A臨界)

発振時間

T [s]

(A臨界=3.02258)

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結論

回路の種類によっては、異なる周波数の入力に対する、増幅率や位相遅れの大きさが異 なることがある。この性質を利用すれば、特定の周波数成分による寄与のみを選択的に取 り出すことが出来るため、これらの回路は実用上重要である。

引用文献

2010 年度版 物理工学実験法 東京大学工学部応用物理学実験室

参照

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