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高齢者に対するサート(主動型リラクセイション療法)を用いた心理援助に関する研究

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(1)

を用いた心理援助に関する研究

竹 尾 枝里子・大 野 博 之・奇   恵 英

The Study of Psychological Support for aged persons

by using of Self-Active Relaxation Therapy

Eriko Takeo・Hiroyuki Ohno・Hyeyoung Ki

Ⅰ 問題・目的

 Erikson,E.H.(1950,1963) は 人 間 の 人 格 は 生 涯

にわたって漸成的に発達するとし,ライフサイクルの

中に 8 つの時期を区別して記述している(枷葉・北村,

2002)。高齢者はその時期の中でも老年期に該当してお

り,その段階の発達課題は「統合 対 絶望」である。

Erikson(1990)によれば,そのような人生最後の二つ

の相対するものの統合にかかわるものの重要な面とは,

これまでの経験を思い出し再検討しようとする意欲,老

年期にふさわしい一新されたやる気である。

 つまり,発達課題を達成するために必要なのは,どの

ような困難な人生であろうと一度現在のその位置から立

ち返って自身の人生と向き合おうとする勇気であると言

える。

 千草(2011)のまとめるエリクソンのライフサイクル

論によれば,いきいきとした老後の人生はまた,未来へ

の展望をもたらし,

「祖父母的生殖性」が発揮される。

それが,

「未来への関心

--- 今日の若い世代の未来,ま

だ生まれていない世代,そして世界全体としての存続へ

の関心に結びつける能力」を発揮すると述べた。

 これらのことから,過去を現在の自分が積極的に再検

討することにより人生の統合が促され,現在の自分がい

きいきと過ごすことに繋がることが考えられる。それに

より未来への展望を生み,より発展的な人生に繋がるこ

とが考えられる。

 サートで,その人に唯一実存する今,ここ(大野,

2011)に働きかけることは,先のことや,過去を思い返

して不安を覚える高齢者にとって,

「今・ここにいる自

分存在の総体的な実感とその自分を積極的に受け容れる

こころのあり方」である自分感(大野,2011)を得るこ

とに繋がる。

 以上のことから,今回の狙いとして,サートを取り入

れることにより,自分感(大野,2011)を得て,今,こ

こ(大野,2011)にあるその人が,積極的な再検討をど

のようにしていくか、下記の通り調べることを目的とす

る。

  1 .高齢者に対するサートの導入がもたらす効果に関

する検討。

  2 .高齢者の方々の語りから,「人がどういうふうに

生きていくのか」についての検討。

Ⅱ 方法

1 . 予備調査

 高齢者 3 名を対象として半構造化面接を実施。その内

容は,

( 1 )過去のことをどう捉えているか( 2 )自分

のことも含め現在についてどう捉えているか( 3 )今の

自分はどのような未来を作っていくことができるか」に

関するものであった。

「過去について」

「現在について」

及び「未来について」のそれぞれの項目についてそれぞ

れの思いを語り,さらに語りの内容について,過去につ

(2)

( 3 )調査手続き

 ①サート(40分から 1 時間程度)系統Ⅰ,系統Ⅱを実

施。

 ②個別の半構造化面接(半構造化面接に要した時間は

対象者によって違いはあるが,およそ40分~ 1 時間を

要した。例外として

B さんのみが約 2 時間かかった。)

 ③個別の半構造化面接の項目

  項目は深瀬・岡本(2010)が Erikson et al(1986/

1990)から抜き出した心理社会的課題に対する質問の

第八段階と,Erikson の発達課題達成尺度の統合性:

絶望を参考にした。内容は以下の通りである。

  (ⅰ)サート体験後の感想(ⅱ)過去経験してきた事を

今どう捉えているか(ⅲ)過去経験してきた事を踏

まえて今の自分自身についてどう思うか(ⅳ)今

の自分はどの様な未来を作っていけると思うか。

 ④面接を進める際に留意した点

  (ⅰ)未曾有な体験をした対象者であること,過去の

経験を引き出す質問項目であるため,話せる範囲

のみでということを事前に伝えた。

  (ⅱ)本人の了解の上で,IC レコーダーを用いてイ

ンタビューを実施した。

  (ⅲ)個人情報に関する内容については慎重に対応す

るという説明をし,了解を得た。

( 4 )面接記録

 半構造化面接の内容については

IC レコーダー,イン

タビュー用紙を用いて記録し,逐語録を作成した。

( 5 )分析方法

  8 名の対象者へのインタビュー内容を,先行研究(原

田,2003)に準じてグラウンデッド ・ セオリー ・ アプ

ローチを用いた。具体的な手続きとして,逐語録から

データの切片化を行い,ラベル名をつける。それぞれの

ラベル名の共通点や関連度を検討し,複数のラベル名か

らなるカテゴリ化を行う。これらの分析には,筆者以外

に臨床心理学を専攻する大学院生 2 名が加わり,結果の

妥当性・信頼性の確保に努めた。

Ⅲ 結果

 本調査では,

8 名を対象としてサートを実施した後,

半構造化面接を行った。

 その際,サートの位置づけは,その人に唯一実存する

今,ここ(大野,2011)に働きかけることで自分感を得

るために行なう。今,ここ(大野,2011)でリラックス

すること,さらに能動的に話すことの手助けになること

からサートを取り入れる。更に,半構造化面接の位置付

けとしては,当人の人生の在り様についていかに向き

合っているかを知る為のツールとし,それ自体に効果を

求めることを目的とはしない。

 2011年に起きた自然災害である東日本大震災の被災地

A 県の高齢者にサートを適用することによって,面

接者に心を開いて,本人の体験を語ることができるよう

になると考えられた。この場合,様々な対象者はサート

をしたことによって,気持ちがすっきりした状態であ

り,自己コントロール感を得ている様子が窺われた。そ

の結果,予備調査で得られた内容以上に,面接内容が広

がり,深みをもつことになった。未曾有の大震災という

重い体験をしたにも関わらず,それぞれの体験をおしみ

なく面接者に語る様子が見られた。

 本調査による半構造化面接の結果について,8 名の中

から 3 名のものを以下に示す。その理由として,A さん

はサート適用した際の効果に加え,過去・現在・未来の

語りの内容が明確であり,積極的な再検討の様子が見ら

れたためである。B さんはサート適用の効果に加え,過

去・現在・未来を語る中で人生の受容に関する内容につ

いて語られたためである。C さんはサートの適用を素直

に受け止めていたが,未だ震災の恐怖から解放されず,

心身の問題を抱えた状態で日常生活を送っていた事例で

あったためである。

C さんは,インタビューの結果, 4 年

経過した時点でも過去・現在・未来について被災体験の

影響を受け,未来に対しても戸惑いを隠せない状況を

語った。

1 .事例 A

 Aさん 女性 61歳 サートのリピーターである。

( 1 )サートの感想

 今は正座してる時に背筋がぴっとのびる感じ。歩けな

い時とか,去年とかよりも姿勢が良くなった感じ。すっ

とした感じ。背筋が伸びるとそれと共に気持ちがすっと

した感じ。前日まであった腰の痛みがなくなって,いつ

も通りの状態。

  (スーパーヴァイザーの)先生が来て,あの頃と体

が違うって言われた。

(2011年)初めて来た時にやって

もらったから。自分を鏡で見たわけじゃないけど,

「あ

あー姿勢よくなったな」って感じる。気持ちがね,痩せ

たのかなって思ったくらい。私にはそのくらいサートが

合ってると思ってる。やってみて気持ちがすっきりした

んでしょうね。

  「ここがいいな,気持ちいいな」っていうのは,私が

気持ちいいことをやってる方(セラピスト)に伝えると,

(セラピストが)ここはこうしようかな」って思えるの

かなと思って。

 指に力いれて痛いと思ったけど,それも,気持ちいい

痛さというか。指先をのばしてそんなふうに感じまし

た。これってすごいなと思いました。これだけで変わる

んだっていう。自分でもびっくりしました。

 サートは(セラピストの)話し方が優しいとかそうい

うのも関係あるのかなって考えたりした。

 昨日考えたけど。ほんとうにこれ気持ちがいい,合う

人,合わない人いるかわからないけど,私には合うと思

う。合わない人もちょっと動かせばいいだけだから。

(3)

( 2 )内容分析

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表 1  A さん内容分析表

(4)

( 3 )関連図

2 . 事例 B

 Bさん 女性 83歳 サートのリピーターである。

( 1 )サートの感想

 すごく軽くなった。家では眠かったが,サートをして

目が覚めた。ボランティアの人と会ったり,

(スーパー

ヴァイザーの)先生にしてもらったりしたことで目が覚

めた。目が覚めてお話がしたくなりました。

 サートをして今日も良かったです。今日も伸びるのが

できましたからね。今度来るまでのびのびと元気にして

います。あぐらをかくのは練習しています。次に皆さん

が来るまでね。昔は,女の子は正座するのが当たり前で,

あぐらなんてかけなかったの。家厳しかったから。おか

げ様で私育ったけどこの頃になってあぐらをかけないの

が悔しい。エプロンでするとなかなかできなくてね。伸

びるかな。

〈アドバイスを受け〉寝てやればいいんです

ね。朝起きる前にやるのがいいでしょ?今これ聞いたか

ら,この通りにやります。次に皆さんが来るまでに立派

な体になってます。

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1  A さんの語りの内容による関連図

(5)

( 2 )内容分析

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表 2  B さん内容分析表

(6)

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(7)

( 3 )関連図

3 . 事例 C

 C さん 女性 64歳 この時サートをするのがほぼ初

めて。

( 3 ) 㛵 㐃 ᅗ

ḟୡ௦࡬ࡢఏ㐩

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図 2  B さんの語りの内容による関連図

 サート自体は痛くなかった。

(そこから派生して抱え

ている辛さを話す。

【過去の経験】カテゴリの,

〈被災体

験による身体の痛み〉のラベルがそこで語られたことで

(8)

80

( 2 )内容分析

3 . ஦ ౛ C

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表 3  C さん内容分析表

⮬㌟䛾⤒㦂䛛 䜙 䛾ᩍカ 䜔䛳䜁䜚䛽䛘䚸㏨䛢䛺䛝䜓㥏┠䛰䛺䛸ᛮ䛳䛶䚹 ⮬㌟䛾య㦂䜈 䛾ᜍᛧ䛸ᮏᙜ 䛾Ẽᣢ䛱䛾ⴱ ⸨ 㧗ྎ䛻ᐙᘓ䛶䜛䛡䛹䚸ᾏ䛾ഐ䛻ఫ䜏䛯䛟䛺䛔䛸ᛮ䛖䛡䛹䚸ᾏ䛜ዲ䛝䛰䛛䜙䛹䛖䛧䜘䛖䜒䛺䛔䚹 ᕼᮃ䛾䛛䛺 䜟 䛺䛥 ᪩䛟ᐙ䛜ᘓ䛳䛯䜙䚹䛺䛛䛺䛛䛭䛾ᐙ䛜㐍䜎䛺䛔䜣䛷䛩䚹୍㌺ᐙᘓ䛶䜛䛴䜒䜚䛺䜣䛷䛩䛡䛹䚸䛺䛛䛺䛛ᤖ䜙䛺䛟䛶䚹 䠄ᘓ䛶䛶䜛᭱୰䛳䛶䛔䛖ឤ䛨䛷䛩䛛䛽䚹䠅䜘䛖䜔䛟ᒇᩜ䜢䛴䛟䛳䛶䚸ᘓ䛶䜛䜀䛳䛛䜚䛻ḟ䜒ᘓ䛯䛺䛔䚸ᒣ䜒ᖹ䛻ぢ䛘䛶 䛡䛳䛣䛖ᅵ䛜ධ䛳䛶䚸ᅵ䛜ⴠ䛱╔䛟䜎䛷⨨䛔䛶䜛䜣䛰䛽䚹 ㌟య䛾③䜏䛻 䜘䜛᪥ᖖ䛾ᅔ 㞴䛥 ᫇䛾䜘䛖䛻೺ᗣ䛻䛺䜜䜀䛒䜜䛰䛡䛹䚸③䛔䛸䛣䜝䛜䛒䜜䜀䛒䜣䜎䜚ᴦ䛧䛟䛺䛔䚹㌴䛻஌䛳䛶䛶䜒㻭ᕷ䜎䛷䠎᫬㛫䛛 䛛䛳䛶 ᚟䠐᫬㛫䛷䛧䜗䚹ᖐ䛳䛶䛟䜛䛸䛧䜣䛹䛔䜒䜣䛽䚹 䛒䜎䜚䛚㓇䜒㣧䜑䛺䛔䛧䚸䜏䜣䛺䛾䛣䛣䜙䜈䜣䛷㣧䜐䛸䛝䜒䛒䜛䛡䛹䚸㣧䜣䛷䛶䜒䛣䛖ᴦ䛧䛟䛺䛔䛾䛽䚹 䛥䛳䛝䛝䛯䛾䛿⚾䛾ጜ䛾ፉ䛺䜣䛰䛡䛹䚹䛰䛛䜙䛚䜜⏿䜔䛳䛶䜒䜏䜣䛺㞟䜎䛳䛶௙஦䛧䛶䜛䜏䛯䛔䛺䜣䛰䛡䛹䚸⚾ 䛜䛯䜎䛻ᡭఏ䛳䛶䜛䛡䛹䛣䛳䛱䛿୍ே䛷䜔䜛䛧䛛䛺䛔䛧䚸⾜䛡䛺䛔䚹 䛒䜣䜎䜚䛖䜛䛥䛟ゝ䛳䛶䜒䛽䚸඲↛ゝ䛖䛣䛸⪺䛛䛺䛔䛛䜙䚹㯲䛳䛶ぢ䛶䜛䛰䛡䛰䚹䠄ⱞ䛧䛔䛷䛩䛽䚹䠅ᜥᏊ䛻䛿ዲ䛝䛺 䜘䛖䛻ゝ䛳䛶䜛䛡䛹䚸᎑䛥䜣䛸䛛Ꮮ䛻䛿䛒䜣䜎䜚ゝ䛘䛺䛔䚹䛣䛾䛤䜝Ꮮ䛯䛱䜒኱ே䛻䛺䛳䛶䛝䛶䚸䛹䛖䜔䛳䛯䜙ゝ䛖 䛣䛸⪺䛟䜣䛰䜝䛖䛳䛶䚹䛜䜏䛜䜏ゝ䛳䛶䜒䛧䜗䛖䛜䛺䛔䛧䛽䚹 ᜥᏊ䛿௙஦䜢㎡䜑䛶᮶䜛䛧䚸ᮍ䛰䛻௙஦䛧䛺䛔䛷䜆䜙䜆䜙䛧䛶䜛䚹䝇䝖䝺䝇䛜䛯䜎䜛୍᪉䛰䛽䚹ⱝ䛔ே䛯䛱䛿ⱝ䛔 ே䛯䛱䛷⪃䛘䛜䛒䜛䛛䜒䛧䜜䛺䛔䛡䛹䚸䛭䛾䜈䜣䛜ᚰ㓄䛷䚹 䠄ᚰ㓄䛜䛒䛳䛯䜙௒䛾᫬㛫䜢ᴦ䛧䜐䛣䛸䛜䛷䛝䛺䛔䛷䛩䜘䛽䚹䠅䛖䞊䜣䚸䜒䛖䛽䛘䚸ᜥᏊ䛿௙஦⾜䛳䛶䜛䛧䚸᎑䛥䜣 䛿௙஦䛥䛒䜛䛡䛹䜒⾜䛛䛺䛔䜣䛰䛛⾜䛳䛯䜣䛰䛛䜟䛛䜙䛺䛔䛡䛹䚸䛣䛳䛱䛿ู䛷䛩䛸䛔䛖䜅䛖䛻ឤ䛨䜙䜜䜛䚹 ᬽ䜙 䛧䛾୰䛷 䛾኱ኚ䛥 ⚾䛜䚹⚾䜙䛿䛨䛔䛥䜣䜀䛒䛥䜣䛔䜛䛧䚸ᜥᏊ䛿⊂㌟䛜୍ே䛔䜛䛧䚸䛭䛾䠐ே䛷䛒䜜䛧䛺䛝䜓䛺䜣䛰䛽䚹䠔䠌䛻䛺䜛䛚 䜀䛒䛥䜣䛺䜣䛰䛡䛹䚸䛺䛛䛺䛛䛽䚸䛒䛾ே䜒Ẽᣢ䛱䛜䛒䜜䛷䛧䜗䛖䛛䜙䛣䛳䛱䛜୍ᴫ䛻䛒䛒䛫䛘䛣䛖䛫䛘䛳䛶ゝ䛳 䛶䜛䛡䛹䛹䛖䛛䛺䚹 ᚰ䛾ᨭ䛘 䛸䛺 䜛ே䛾႙ኻ 䜎䛒䛽䚸ጡ䛜䛔䛶䛭䛾䜀䛒䛥䜣䜒ὠἼ䛾๓䛿䛔䛯䛛䜙䛽䚸᫇䛛䜙䛒䜜䛰䛳䛯䛛䜙䛽䚸ヰ䛫䜀䛝䜚䛜䛺䛔䛡䛹䛽䚹 ㏆䛟䛻ហ⑵䛣䜌䛩ே䛜䛔䛯䛛䜙䚸ᐇᐙ䛾䛩䛠䛭䜀䛷䠑ศ䛟䜙䛔䚹䛭䛣䛷䛣䜌䛩䜣䛰䛡䛹䚸䛭䛾ே௒᪋タ䛻䛔䜛䛾䚹 䛰䛛䜙ᐇᐙ䛻䜒ㄡ䜒䛔䛺䛔䛾䚹 ௙஦䛜䛷 䛝䛺 䛔႙ኻឤ ௙஦䛜䛺䛟䛺䛳䛯䛳䛶䛔䛖䛾䛜୍␒䛽䚸䜎䛒↓⌮䛺௙஦䜒䛷䛝䛺䛔䛧䚹 ⱝ䛥䜈䛾⩎ᮃ ⱝ䛔ே䛿䛒䜣䛺᫂䜛䛟䛶䛔䛔䛜䛽䚹ⱝ䛔䛳䛶䛔䛔䛽䛘䚹 ḟୡ௦䜈䛾ఏ㐩 ఏ䛘 䜙 䜜䛺䛔 ⌧≧䛜ኚ໬ 䛧䚸᫇䛾⏕ά 䜢ྲྀ䜚ᡠ䛧䛯 ࿘ᅖ䛸䛾␯እ ឤ ᐙ᪘㛵ಀ䛷 䛾 㝸䛯䜚 ᮍ᮶䛻䛴䛔䛶 ⌧ᅾ䛾ᝎ䜏䜔䛭 䛾ே䛻ᙳ㡪䜢୚ 䛘䜛䛷䛝䛤 䛸 䛭䛾⤒㦂䛛䜙 ᚓ 䛯䜒 䛾

(9)

高齢者に対するサート(主動型リラクセイション療法)を用いた心理援助に関する研究

( 3 )関連図

Ⅳ 考察

に受け止めた時に,目の前のことに向き合うことがで

き,自分らしさを得ることが可能となる。更にその自分

⮬㌟䛾⤒㦂䛛 䜙 䛾ᩍカ ⮬㌟䛾య㦂䜈 䛾ᜍᛧ䛸ᮏᙜ 䛾Ẽᣢ䛱䛾ⴱ ⸨ ᕼᮃ䛾䛛䛺 䜟 䛺䛥 ㌟య䛾③䜏䛻 䜘䜛᪥ᖖ䛾ᅔ 㞴䛥 ᬽ䜙 䛧䛾୰䛷 䛾኱ኚ䛥 ᚰ䛾ᨭ䛘 䛸䛺 䜛ே䛾႙ኻ ௙஦䛜䛷 䛝䛺 䛔႙ኻឤ ⱝ䛥䜈䛾⩎ᮃ ᪩䛟䛖䛱䛜ᘓ䛳䛶䛽䚸௬タ䠐䛴䛻䜟䛛䜜䛶䜛䛾䛽䚹䜏䜣䛺䛷୍⥴䛻ఫ䜣䛰䜙䛹䛖䛺䛾䛛䛸ᛮ䛳䛶䜛䜣䛰䛡䛹䚹 ᪩䛟ᐙ䛜ᘓ䛳䛶䜏䜣䛺䛜ᐙ䛻ఫ䜑䜛䜘䛖䛻䛺䜜䜀䚹 ḟୡ௦䜈䛾ఏ㐩 ఏ䛘 䜙 䜜䛺䛔 ఱゝ䛳䛯䜙䛔䛔䛛䜟䛛䜣䛺䛔䚹 ⮬ศ䛻䛴䛔䛶 ᜍᛧ䜔ⴱ⸨䜢 ᢪ䛘 䛯⮬ศ 䛩䛠ឤ᝟䛜ඛ䛻䛯䛳䛶⚾䛿䛰䜑䛺䛾䚹䛷䜒䛰䛔䜆䜘䛟䛺䛳䛯䛾䚹ᬑẁ䛣䛖⪺䛔䛶䛶䜒䛽䚸䛩䛠Ἵ䛡䛶䛧䜎䛖䚹 ⌧≧䛜ኚ໬ 䛧䚸᫇䛾⏕ά 䜢ྲྀ䜚ᡠ䛧䛯 ࿘ᅖ䛸䛾␯እ ឤ ᐙ᪘㛵ಀ䛷 䛾 㝸䛯䜚 ᮍ᮶䛻䛴䛔䛶 ⌧ᅾ䛾ᝎ䜏䜔䛭 䛾ே䛻ᙳ㡪䜢୚ 䛘䜛䛷䛝䛤 䛸 䛭䛾⤒㦂䛛䜙 ᚓ 䛯䜒 䛾

㐣ཤࡢ⤒㦂

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図 3  C さんの語りの内容による関連図

(10)

( 1 )A さん

 A さんの語りからは,サートを日常的に取り組み,

サートを続けていることが分かる。サートに対して日常

的に考え,それによる提案も積極的に行なっている。

 語りの内容から分かるのは【過去の経験】での①〈過

去の喪失体験の振り返り〉と,②〈目標とする他者との

出会い〉の二つが大きな要素として語られている。【過

去の経験で考えたこと】の中では,そこで起きた喪失体

験による苦しみを,息子の言葉をきっかけとし,

〈肯定

的捉えの努力〉をし,

【その経験から得たもの】として

〈思考方法の変容体験〉をむかえている。

【現在】では,

思考方法は先のことを不安に思いわずらうのではなく,

〈現在の楽しみ〉というように,現在を楽しむ肯定的な

ものへと変容した。そのことにより「被災体験で自身の

望む職に就けた」

と言うように,

〈過去経験の肯定的捉え〉

をすることができている。

 更に,

【過去の経験】として起こった 〈目標とする他

者〉との出会いによって得られた〈他者幸福の願い〉と

いう【価値観】は,

【未来について】の〈恩返しの連鎖

という願い〉と繋がっている。

  【現在】の A さんは,それらの二つの大きな過去の

経験を通しての【価値観】を持っており,過去に納得し,

現在に楽しみを見出している。未来に対しては〈同じ境

遇の人達の現状変化〉があり,それに対する不安もある

が,その中でも現在を大切にし,

〈死後への意識〉とあ

るように、自身の死後にはそのことを夫に伝えるという

自分なりの希望を見出している。

 サートに能動的に取り組み,積極的に自身の身体の感

じに気付きを得たり,サートに対しての提案をしたりす

る姿勢と,過去のことを積極的に,肯定的に捉えなおし,

現在を楽しもうとする姿勢は通じるものがあると考えら

れる。

 

( 2 )B さん

 B さんの語りからは,A さん同様にサートなどの体

を動かすことを日常に取り入れて行っていることが分か

る。更にサートを通しての人との繋がりをとても大切に

思っている。

 語りからは,

【過去の経験】として〈被災体験〉を挙

げた。

【過去の経験で考えたこと】からは,

〈地域への感

謝〉というように,その〈被災体験〉により,自身の住

んでいる地域に深い感謝の念を抱いている。更に【過去

経験で考えたこと】からは〈出会いに感謝する〉という

ことからも、

〈被災体験〉を通して出会えた人達に深い

感謝をしていることがわかる。だが,その中で被災前後

での〈人・身の回りの変化〉を挙げており,人の根性が

悪くなったことを語っている。だが,その中でも【現在】

はいきいきと〈生育歴から得る自分らしさの感覚〉を維

持し,

〈自尊心〉を持ちながら,被災前後での〈人・身

の回りの変化〉を客観的に受け止めており,それと共に

仮設住宅に来た人との〈相互交流の楽しみ〉を得ている。

自身の生育歴から得た【価値観】は,

B さんにとって【現

在】の生活を乗り越えるための力強さと,自身の人生は

良かったと思わせる力を与えている。

【現在】

【人生に

ついて】からは,自分の生きてきた人生,現在の楽しみ,

過去を乗り越えてきた自尊心から得られる満足感が見て

取れる。それらが〈次世代の幸せの願い〉に繋がってい

ると考えられる。

 B さんは,贅沢はいけないという〈自分なりの価値観〉

のもと,自分に与えられるものに非常に謙虚であり,与

えられたサートという方法を日常の中に上手に取り入

れ,それに対しても深い感謝のもと行っていることが考

えられた。

 

( 3 )C さん

 

C さんは,家に一人でいるところに声をかけてサート

を行った。サートについての感想を聞いたところ,

「心

と体がバラバラになりそうだったね」という発言からは

じまり,

【過去の経験】として,自身の辛い〈被災体験

による身体の痛み〉について語る。

 C さんは【過去の経験】を経て,①〈他者にわからな

い痛み〉

,②〈家族間での距離〉が,強く【現在】に影

響を与えていると考えられる。

 津波で流された経験から,腰に痛みが出るようになっ

たが,それは他者から見えない部分でもあり,理解され

にくい部分である。それは〈身体の痛みによる日常の困

難さ〉を与えている。更にそのことから〈仕事ができな

い喪失感〉を感じている。喪失感で言えば,以前は家族

全員で一世帯に暮らしていたが,

〈被災体験〉を経て一

家がバラバラに暮らすこととなった。そこで,

【未来に

ついて】では〈現状が変化し、昔の生活を取り戻した

い〉と考えており,また皆で暮らせる家が建つことでそ

の願いがかなえられると考えているが,現状としてそれ

はかなわない希望であり,

〈希望のかなわなさ〉がある。

その希望も,自身の身体的限界からも,次世代の者に託

すしかない状況であるが,その希望通りに動かない家族

と,うまく家の建設が進まない状況がある。家族の考え

ていることがわからずに,

〈家族関係での隔たり〉を感

じていると共に,

〈周囲との疎外感〉を感じている。こ

のことからも,他者に理解されないのは身体的痛みだけ

ではなく,心理的痛みもあることは容易に想像できる。

その痛みを理解してくれるはずの人が施設にうつり,

〈心

の支えとなる人の喪失〉を経験している。これらのこと

からも,

【現在】も様々な葛藤の中にいる

C さん像が浮

かび上がる。さらに,C さんは【過去の経験】にとらわ

れ,そのことから【現在】も葛藤し続けているため,

【次

世代への伝達】することは考えにくかったのではないか

と考えられる。

 サートをする時と,面接をする時では,C さんには違

いが見られた。サートをする時には「痛くないですか」

(11)

という質問に「大丈夫です」と言い,筆者からは平気そ

うな様子に見えた。だが,面接では自身の痛みについて

涙を流しながら語った。サートをすることによって,表

に見せる明るい

C さんと,裏に苦しい気持ちを抱えて

いる

C さんのギャップがより明確に見えたと考えられ

る。

 語りの内容からは,人生を受容することができている

とはとても言い難い内容であった。だが,サートを終え

た後の面接により,他者にそのことを話せる状態になっ

ていたことはとても重要なことであると考えられる。こ

の面接が,過去に留まり続けていた

C さんにとって,

他者との交流の中で自分の人生と向き合う大きなきっか

けとなったと考えられる。

3 .まとめ

 以上述べた

3 例の対象者を中心に,面接におけるサー

トの役割が大きいことを実感的に確認した。予備調査で

は,過去のことを思い出深そうに話し,自分の人生につ

いて納得を示したように話してはいるものの,本調査で

の結果では,より深くそれぞれの人の人生やその人のあ

り方が映し出される結果となった。今回積極的な再検討

が促されると仮定されたが,その中でも再検討している

人もいれば,それが現在も肯定的にできない人もいるこ

とが明確になった。

 今回は,サートを通し自分感を得ることによって,今,

ここ(大野,

2011)の自分が積極的に過去を再検討する

際のその人の現在の在り方についての理解が深まった。

更に,サートを通して当人の在り方を,サート,語りと

いう多様な側面から見ることができたことが考えられ

る。

 対象者と面接者の関係性について本稿では十分に触れ

ることができなかったが,話の内容が面接者との信頼関

係をもつことに重要な示唆を与えてくれた。

 以上述べてきたように,東日本大震災を体験した人た

ちの過酷な体験から多くのことを学ぶことができた。と

りわけ高齢の人たちが語る体験は被災地の現状の凄まじ

さに加え,その厳しい状況に立ち向かいながら現状を受

け止める力強さを合わせて感じ取ることができた。

Ⅴ 謝辞

 本研究の対象者としてご協力頂いた被災者の皆様に心

から感謝致します。更に,調査や資料の分析にご協力頂

いた大学院生の皆さまに心からお礼申し上げます。

Ⅵ 引用文献

①千草篤麿.(2011)高齢者の回想と未来展望 ②Erikson,E.H.,Erikson,J.M,&Kivnick,H.Q.(1990). 老年期:生き生きしたかかわりあい(朝長正徳・朝長梨枝子, 訳).東京:みすず書房(Erikson,E.H.,Erikson,J.M,& Kivnick,H.Q.(1986)Vital involvement in old age. New York: W.W.Norton.) ③深瀬裕子,岡本祐子.(2010)老年期における心理社会的課 題の特質:Erikson による精神分析的個体発達分化の図式第Ⅷ 段階の再検討 ④原田杏子,(2003)人はどのように他者の悩みをきくのか― グラウンデッド・セオリー・アプローチによる発言カテゴリー の生成― ⑤枷場美穂,北村圭三.(2002)老年期の統合性と「人生」・「老 い」・「死」のイメージとの関連 ⑥大野博之,奇恵英.(2006)SART(Self-Active Relaxation Therapy; 主動型リラクセイションセラピー)における体験過 程 ⑦大野博之.(2011)心理療法のためのリラクセイション入門; 主動型リラクセイション療法《サート》への招待 ⑧下仲順子,中里克治,高山緑,河合千恵子.(2000)E. エリ クソンの発達課題達成尺度の検討

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