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(1)

視覚-運動制御を考慮したマウスポインティングの基礎検討と支援技術に関する研究

朝日 元生 (ヒューマンインタフェース工学講座)

1

はじめに

近年,高解像度ディスプレイの普及によって,ポインティ ング時間が増加する傾向にある.そのため,ポインティング 時間の短縮を目的とした様々な支援技術が提案されており, その中にターゲットサイズを拡大する手法がある.この手 法には,ターゲットサイズを視覚的に拡大する手法と,ター ゲット内でのカーソル速度を遅くする手法がある.しかし, 先行研究では,視覚的な拡大手法について,ポインティング パフォーマンスの向上を目指した詳細な検討がなされていな い.また,カーソル速度を遅くする手法では,目的外のオブ ジェクトでの動作がポインティングを阻害する可能性につい て議論されていない. そこで本研究では,視覚的なターゲットサイズの拡大を用 いて,カーソルがターゲットに捉えられる感覚を提示する新 たな支援技術を提案する.また,単一オブジェクトで行われ る通常のポインティング実験に加え,ターゲットへの到達過 程に複数のオブジェクトを配置した実験を行い,提案手法の 有効性と視覚-運動制御に関して議論する.

2

提案手法

図 1 に示すように,カーソルがターゲット内に入ると,一 定距離以内でターゲットはカーソルに追従するように滑らか に伸びる.また,カーソルがターゲット外に出るとターゲッ トは滑らかに元の形に戻る.このように,カーソルがター ゲットに捉えられるような感覚を視覚的に提示する.

3

実験

3.1 実験 1:単一オブジェクト環境での実験 単一オブジェクト環境において,提案手法の Visual,先行 研究で提案されているターゲット内にカーソルが入るとカー ソルの速度が遅くなる Sticky,Visual と Sticky の両方を組 み合わせた Both の 3 手法を比較する.実験は,ターゲット 距離(4, 16, 32, 48 cm),ターゲットサイズ(0.5,1.0,2.0 cm),手法(Visual,Sticky,Both),ターゲットの伸びる程 度やカーソル速度の遅くなる度合いを表す拡大率(1.6,2.0, 4.0)の 4 要因反復実験であり,比較用として通常ターゲッ トでのポインティングも行う(Normal).実験参加者は 12 人である.実験には 30 インチのディスプレイを使用し,入 力デバイスには光学式マウスを用いる. 図 2 に各手法のターゲット距離ごとのポインティング時 間を示す.図 2 から,Visual は Normal よりもポインティン グ時間を短縮できることを確認した.拡大率によってポイ ンティング時間やエラー率に差は見られなかった.参加者に よる主観評価は,Both が最も高く,Sticky,Visual と続き, Normalが最も低かった. 3.2 実験 2:複数オブジェクト環境での実験 ターゲットの周りにターゲットと同じ手法が適用される妨 害刺激を配置し,ターゲットに到達するためには必ず妨害刺 激を通らなければならないような実験環境を構築し,実験 1 と同様の比較をする.実験は,実験 1 の結果を考慮し,ター ゲット距離(16,32 cm),ターゲットサイズ(0.5,1.0,2.0 cm),手法(Visual,Sticky,Both,Normal),妨害刺激の ターゲット周りの配置方法(1 周,2 周)の 4 要因反復実験 とし,ターゲットの拡大率は 2.0 で固定する.実験参加者は 18人で,その他は実験 1 と同様である. 図 3 に各手法の妨害刺激の配置方法ごとのポインティング 時間を示す.同図から,Visual が最もポインティング時間が 短く,ターゲット内でカーソル速度を遅くする手法(Sticky, Both)では妨害刺激を通る回数が多くなるほどポインティン

Initial target width Final target width

図 1: 提案手法の様子 400 600 800 1000 1200 48 32 16 4 Pointing time [ms] Target distance [cm] Task method Visual Sticky Both Normal 図 2: ターゲット距離ごとのポインティング時間

Visual Sticky Both Normal 800 900 1000 Pointing time [ms] Method Distracter situation 1 loop 2 loops 図 3: 妨害刺激ごとのポインティング時間 グに時間がかかる結果となった.参加者による主観評価は, Visualが最も高く,Normal,Sticky と続き,Both が最も低 かった.

4

考察

2つの実験を通して Visual では短い時間でポインティン グをすることができ,ポインティング支援技術として有効で あることが確認できた.また,実験 1 のアンケートでは,拡 大率が 1.6 のときは,Sticky よりも Visual のときにカーソ ルを遅く感じた人が多い結果となり,これは,視覚的な拡大 のみでもカーソルがターゲットに捉えられる感覚を提示で きる可能性を示すものである.実験 2 では,Sticky と Both において,ターゲットに向かう途中に妨害刺激があると,妨 害刺激上でもカーソル速度が遅くなるため,ポインティング 運動計画を変更しなければならず,低い主観評価となった. Visualではそのような状況が生じないため,運動計画を変 更せずにスムーズにターゲットへのポインティングが可能で あり,高い評価を得ることができたと考えられる.

5

おわりに

カーソルがターゲットに捉えられるような感覚を視覚的に 提示するポインティング支援技術を提案した.また,単一オ ブジェクトでの環境と,複数オブジェクトが配置された環境 のもとでポインティング実験を行い,提案手法の有効性を確 認した.今後は,視覚的な拡大手法についてのさらなる検討 や,他の手法と提案手法を比較する予定である.

(2)

大阪大学大学院情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 博士前期課程修士学位論文発表会資料 平成¾½年¾月½¿日

信頼度マッピングによる実物体の



への表示

大野 翼



ヒューマンインタフェース工学講座



はじめに

新製品のデザイン会議などは,立体模型を複数人で囲み, その形状を確認・修正しながら進められることが多い.一方 で,企業のグローバル化によって,遠隔地にいる複数人同士 で会議を行う機会が増えてきている. このような場合,模型の形状を静止画やテレビ電話で伝え る方法が一般に用いられている.しかし,これらの方法では 議論対象の形状を立体的に把握出来ないため,円滑に話し合 いを進めることが難しい. そこで本稿では,いくつかの視点画像から任意視点画像を 生成できる信頼度マッピング法と,多人数共有型立体ディス プレイ  を応用することで,実物体の立体映像を 遠隔地にいる複数人に対して同時に提示できるシステムを提 案する.また,システムの実現のために撮影機器やアルゴリ ズムを検討し,実装する.

提案システム

 概要 図に提案システムの概要を示す.これは実物体を撮影 し,遠隔地にいる各利用者の任意視点画像を生成する撮影側 と,被写体の立体映像を遠隔地にいる複数人に対して同時に 提供する表示側から構成される. 撮影側は被写体をいくつかのサンプル視点から撮影する装 置と,撮影したサンプル画像から,サンプル視点間の任意の 視点画像を生成する信頼度マッピング法処理 で構成され る.また,表示側は,表示装置である  と,利用 者の視点位置を取得するトラッカ,表示処理 から構成さ れる.  被写体の撮影 必要なサンプル画像を最小のカメラ数で撮影できる撮影 装置を設計した.まず,十分な画質を持った視点画像を生成 するために必要なサンプル視点間隔の角度を検討した結果, 以下であれば十分であることがわかった.また,サ ンプル視点が  の利用者が取り得る視点位置をカ バーするため,被写体を中心とした緯度方向に 間隔 で 台カメラを設置した.また,経度方向に配置するカメ ラ数を削減するため,被写体を回転させて一周分撮影するこ ととした.  信頼度マッピング法による視差画像生成 信頼度マッピング法処理 は,表示側でトラッカが取得 した利用者の両眼の位置に対応する被写体の視点画像を,撮 影したサンプル画像からリアルタイムに生成する. 通常の信頼度マッピング法では,被写体の表面が存在する 確率を表す信頼度マップと呼ばれるレイヤを積層し,その確 率情報を元に任意視点画像を生成する.しかし, はマスクにあいた穴の中央に立体映像を浮かせて提示する ディスプレイであるため,背景のない被写体を表示する必要 がある. そこで,提案システムではこれを改良し,予めサンプル画 像の背景をマスクとした値画像を生成しておき,各信頼 度マップをかけあわせる.これにより背景の存在確率を と して背景を除去すると共に,任意視点画像の画質を向上で きる.   への表示 表示側では,直接指示可能で歪みの無い立体映像を複数人 に対して同時に提供することのできる  に,撮影 側で生成した任意視点画像を,両眼視差画像として表示す る.なお,従来の  は,プロジェクタが筐体の一 面から張り出しており,観察の妨げになっていたため,短焦 点プロジェクタを用い,光学系の配置を工夫することで,突 出部のない  を新たに設計して実装した.

実装結果

図に,実際に製作した装置を,図に表示結果を示す. また,実物体の遠隔共有がどの程度実現されたかについて評 価と考察を行った. まず,今回試作したターンテーブルによる被写体の撮影に  秒かかった.遠隔でのデザイン会議に用いる場合を想定 すると,形状の変更は数分に一度程度と考えられるため,十 分な速度であると考えられる.また,撮影時に被写体を回転 させる代わりに,撮影装置に用いるカメラを増加させれば, リアルタイムに撮影しながら表示できると考えられる. 一方,人の利用者に立体映像を表示した場合の更新頻度 は  であり,視点に追随している感覚を利用者に与 えることができた.しかし,一般に動画に必要な画像の更新 頻度は と言われているため,今後はボトルネックと なっていた信頼度マッピング法を高速化する等の改善が必要 である. 次に,画質に関して 名の参加者に主観的な評価をして もらい,立体視が出来ているとの意見を得た.ただし,被写 体の細い部分が消えているとの意見もあった.そのため,今 後は細い部分を高解像度で撮影できるよう撮影装置を改良す るなどの対策が必要である.

おわりに

本稿では,立体的な実物体を遠隔地間で共有するため,実 物体を撮影した画像から信頼度マッピング法を応用して任意 視点画像を生成し,遠隔地にある  で視差画像と して表示するシステムを提案した.また,そのために必要な 撮影装置等を検討して製作し,システムの評価を行った.今 後は,信頼度マッピングのさらなる高速化・高画質化や,表 示画質の定量的な評価などを行う予定である. 図  提案システム概要 撮影装置 新たに設計した      図 実装システムの写真 利用者の視点 利用者の視点 図 実装システムの出力例

(3)

3

次元形状モデル検索におけるモーションクエリに関する研究

小川 兼人 (ヒューマンインタフェース工学講座)

1

はじめに

近年,テキストやスケッチなどの様々なクエリを用いた 3 次元形状モデル検索システムが提案されている.我々は,誰 もが直感的に,かつ容易に 3 次元モデルを検索できるシス テムを目指し,ユーザがモデルから想起するモーションをク エリとして用いる検索システムを提案し,検討を進めてい る.モーションは自由度が高い反面,個人差があるため,シ ステム利用の際には,キャリブレーションが必要である.し かし,既存システムでは,検索対象とする全モデルのモー ションを取得する必要があるため,手間がかかり,実用的で はない.一方で,これまでの評価実験などから,人がモデル から想起するモーションには類似関係が存在する可能性が高 いことが明らかになった.すなわち,光の 3 原色のように, その組み合わせで様々なモーションを表現できる“ 原動 ”の 存在が推測される.そこで本研究では,モーションクエリ検 索システムを用いたモーションの分析を通じて,原動の存在 を明らかにする.さらに,これをモーションクエリ検索に応 用し,キャリブレーションの手間を削減する手法(図 1)を 提案する.

2

提案手法

2.1 モーションの取得 まず,原動を探求するにあたり,性別・国籍・モーション の入力方法を考慮した参加者 24 名から,自律的に動くモデ ル 17 種と人が動かすモデル 20 種の計 37 種のモデルのモー ションを取得した.取得にはモーションセンサを内蔵した ActiveCubeを利用し,取得回数は各モデルにつき 5 回,時 間は 4 秒,取得周波数は 40Hz とした.取得した x,y,z 軸 の加速度と,ヨー,ピッチ,ロール角を絶対値化したデータ を,スライディング・ウィンドウ方式によって分割し,各分 割センサデータについて特徴量を求める.この際,ウィンド ウ幅を 16,重複率を 50%とした.特徴量には,平均,差分 平均,分散,最大パワースペクトル,エネルギー,周波数領 域エントロピーを用いた.特徴量を算出後,サポートベクタ マシンを用いて識別を実施し,ウィンドウ毎の識別結果を得 る.本研究では,この識別結果のうち,最も多いモデル数に 対するクエリとして求めたいモデル数の割合をモーション類 似度と定義し,モーションの分析指標として用いる. 2.2 モーションの分析 取得した全モーションから,原動を探求するために,モー ション類似度の指標を用いて,モデル間のモーション関係性 について分析する.分析には自己組織化マップ (SOM) を用 いた.24 名の参加者の全取得モーションを,自律的に動く モデルと人が動かすモデル別にクラスタリングし,分析した 結果を図 2 に示す.図 2 より,自律的に動くモデルに関して 図 1: 提案手法の流れ は,空のモデル(左)と陸のモデル(右)にクラスタ分けさ れている.さらに,乗り物のモデル(左上から右下)と動物 のモデル(右上)にもクラスタ分けされている.また,乗り 物を除いた人が動かすモデルに関しては,身に着けるモデル (左上)と遊ぶモデル(右下),さらには,食べるモデル(右 上)と鑑賞するモデル(左下)にクラスタ分けされているこ とがわかった.以上より,37 種のモデルのモーションは,空 の乗り物(空乗),空の動物(空動),陸の動物(陸動),陸 の乗り物(陸乗),着るもの(着),食べるもの(食),遊 ぶもの(遊),見るもの(見)の 8 種の基本モーション,す なわち 8 原動を用いて表現できる可能性が示された.

3

提案手法と従来手法との比較評価

本実験で取得した 37 種のモーションが,8 原動の組み合 わせで表現できることを検証するために,キャリブレーショ ンが 8 種の提案手法と 37 種の従来手法との比較評価を実施 した.まず,参加者 12 名の全取得モーションを用いて,各 モーションの原動の組み合わせ割合情報からなる“ モーショ ンマップ ”(図 3)を作成した.次に,これらの参加者とは異 なる 12 名の参加者の原動をキャリブレーションに用い,全 モデルのモーション類似度結果を算出した.まず,キャリブ レーション時間に関しては,従来手法の 592 秒に対し,提案 手法では 128 秒と大幅に短縮でき,システムの実用性が向上 した.また,検索精度に関しては,クエリモデルがモーショ ン類似度結果の 1 位に提示される割合が,従来手法の 73%に 対し,提案手法では 30%と低下した.しかし,5 位以内で見 てみると,提案手法においても 81%と比較的高い割合を示 した.以上より,検索精度の更なる向上が必要ではあるが, キャリブレーションの手間を削減しても,所望モデルを上位 に検索できることがわかった.さらにこの結果より,本実験 で取得したほぼ全てのモーションが,8 原動の組み合わせで 十分に表現できることを示した.

4

おわりに

本研究では,モーションの分析を通じて,組み合わせるこ とで多様なモーションを表現できる基本モーション“ 原動 ” の存在を明らかにした.また,それを利用し,モーションク エリを用いた 3 次元形状モデル検索システムにおけるキャリ ブレーションの手間の削減手法を提案した.今後は,提案手 法の更なる検索精度の向上や,より多様なモーションを表現 可能な最小構成原動を探求していく予定である. 図 2: 自己組織化マップを用いたモーションの分析   図 3: モーションマップ

(4)

大阪大学大学院情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 博士前期課程修士学位論文発表会資料 平成 21 年 2 月 13 日

表層パターンを用いた WWW からの連想意味関係の自動抽出

門脇 英男 (ユニバーサル対話エージェント講座)

1

はじめに

言語知識を体系化することは,機械翻訳や情報フィルタ リング,情報検索におけるクエリ拡張など,様々な場面にお いて有効である.そのため近年では,WWW (World Wide Web)上の情報から関連語や用語間の意味関係を抽出する研 究が盛んに行われている.しかし,それらの多くは,同義関 係や階層関係,関連関係の抽出にとどまっている.より詳細 な意味関係を抽出することができれば,高度な言語処理や新 たなアプリケーションへの適用が期待できる. そこで本研究では,ユーザが入力した検索語の連想意味 関係を WWW 上のテキストから自動抽出する手法を提案す る.ここで,連想意味関係とは,ある語句から連想される動 作主名詞,場所名詞,時間名詞,別表現である.さらに,語 句の連想のしやすさと検索エンジンのヒット数の関係につい て実験を行い,その結果から新たな指標として「飛躍度」を 提案する.

2

表層パターンを用いた連想意味関係の自動抽出

2.1 飛躍度 飛躍度とは,ある語句から連想される語句が内容的に飛躍 している度合いを数値的に表した指標と定義する.この飛躍 度を定式化するために,「語句の連想のしやすさ」と「検索 ヒット数に基づく 2 語の共起の強さ(共起度)」の関係につ いて実験を行った.実験参加者は 30 名(男性 21 名,女性 9 名)である.下準備として,1 つのテーマと 10 の語句を ひとまとめにした語句セットを 10 セット作成する.その際, テーマ毎に意味が明確な名詞と曖昧な名詞を各 5 語選択し た.次に,検索エンジンを用いて語句セット内のテーマと各 語句との共起度を算出し,共起度が高い順に語句を並べる. 一方,参加者には,与えられた語句セットに対して,テーマ から連想しやすいと思う順に語句を並べてもらう.そして, 共起度による語順と参加者による語順との相関を求める.共 起度には共起頻度,相互情報量,Dice 係数,Jaccard 係数, Simpson係数,Cosine 類似度を用い,相関はスピアマンの 順位相関係数により算出した.実験の結果,図 1 に示すよう に Simpson 係数が参加者による語順と最も相関が高くなっ た.これらの結果より,式 (1) のように飛躍度を定式化する. なお,K は定数であり,ここでは経験的に 10 とする. 飛躍度 (X, Y ) = (1− Simpson 係数 (X, Y ))K (1) 2.2 動作主名詞の抽出 WWW上における 2,3,4-gram (2,3,4 個の連続する 形態素列) の動作主名詞出現パターンリスト(動作主 PL) を作成し,その中から動作主名詞の抽出に適した表層パター ンを選定した(表 1(a)).これらの表層パターンと検索語を クエリとして検索し,検索結果から表層パターンの直前の名 詞を動作主名詞の候補語として抽出する.続いて,各候補語 の WWW 上での出現パターンと動作主 PL との適合率を求 め,閾値以下であれば動作主名詞として不適切だと判断し, 除外する.4-gram 動作主 PL を用いて閾値を 0.16 に設定 した際に,適合率 0.681,再現率 0.904 で候補語を絞り込め た.最後に,式 (1) を用いて飛躍度を算出する. 2.3 場所名詞の抽出 表 1(b) に示す表層パターンを用いて WWW 上から場所 名詞の候補語を抽出する.次に,場所 PL を用いて不適切な 候補語を除外する.4-gram 場所 PL を用いて閾値を 0.27 に 設定した際に,適合率 0.773,再現率 0.895 で不適切な候補 語を除外できた.最後に,式 (1) を用いて飛躍度を算出する. 2.4 時間名詞の抽出 表 1(c) に示す表層パターンを用いて WWW 上から時間 名詞の候補語を抽出する.次に,時間 PL を用いて不適切な 候補語を除外する.3-gram 時間 PL を用いて閾値を 0.54 に 設定した際に,適合率 0.904,再現率 0.855 で不適切な候補 語を除外できた.最後に,式 (1) を用いて飛躍度を算出する. 2.5 別表現の抽出 表層パターン「である + 検索語」をクエリとして検索し, 検索結果から別表現の候補語を抽出する.続いて,「である +検索語」の直後の語句の品詞が「名詞」「未知語」 「助詞-連体化」の場合には,その候補語は検索語の別表現として 不適切だと判断し,除外する.最後に,飛躍度を算出する. WWW上での出現回数が検索語からの連想のしやすさを近 似的に表すと考えられるため,別表現の飛躍度は出現回数の 逆数とする.

3

実行結果と考察

検索語として「麻生太郎」を入力した.飛躍度が低い動作 主名詞,場所名詞,時間名詞,別表現として「小沢一郎氏」 「日本」「首脳会議後」「日本の総理大臣」,中程度の語句とし て「番記者」「秋葉原」「生放送後」「若者向け漫画愛好家」, 高い語句として「ダメ人間」「南米大陸最南端」「繁殖期」「ク レー射撃のオリンピック選手」などが抽出された.以上の結 果より,ユーザが自由に飛躍度を選択・変更できるようにす ることで,例えば発想支援などのアプリケーションにおいて より柔軟かつ独創的な発想が可能になると考えられる.

4

おわりに

本研究では,ユーザが入力した検索語の連想意味関係を WWW上のテキストから自動抽出する手法を提案した.さ らに,語句の連想のしやすさと検索エンジンのヒット数の関 係について実験を行い,その結果から新たな指標として「飛 躍度」を提案した.今後は,映像や物語のシナリオ作成のよ うな創造的活動を支援するアプリケーションへの適用を検討 していく予定である. 図 1: 実験結果 表 1: 表層パターン

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Department of Multimedia Engineering, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University 2009/2/13

Non Example-based Automatic Detection of Stroke Correspondences in 2D Drawings

2 次元スケッチにおける例示によらない自動ストローク対応付け

Ngo Thi Tu Trung (Human Interface Engineering Lab.)

1

Introduction

Sketch is an easy and fast way to express one’s thought. In recent years, extensive efforts related to sketch have been developed such as sketch inbetweening and Chinese charac-ter recognition. These researches require a technique called stroke correspondence detection. This is a process to find correspondence between strokes which make up the draw-ings. However, most conventional methods are based on ex-isted examples with properly defined structures or drawing order and stroke’s connection relations (mutual adjoined strokes). This limits users’ freedom and contradicts with the intrinsic ambiguous and messy nature of sketch.

We propose a non example-based method to automati-cally detect stroke correspondences of two drawings with-out considering strokes’ input order and connection rela-tions. The method is composed of two stages: drawings’ normalization and stroke correspondence detection.

2

Non Example-based Automatic Stroke

Correspondence Detection

2.1 Objective Drawings’ Normalization

Before applying the main correspondence detection algo-rithm, two input drawings such as the ones in Figure 1 are normalized. First, we find stroke’s two principal axes using statistical principal component analysis method. Stroke’s center is the center of the rectangle surrounding each stroke which is found based on two principal axes. Similarly, drawing’s center is found based on composed strokes’ cen-ters. Next, drawing’s center is translated to coordinate system’s origin and all contained strokes’ centers are trans-lated together with it. Then scaling is conducted to fit the drawing and all strokes’ centers to the unit square. 2.2 Finding Stroke Correspondences

In this stage, we first calculate three kinds of similarity based on 2D coordinates of centers of strokes and drawing: Euclidean distance, angle and mix feature similarity which is the sum of two former similarities. We then apply sta-ble marriage algorithm for each of the similarity and find matching results for each of them. Stable marriage algo-rithm is a method to find a stable matching - a matching in which both elements of one pair cannot find other ele-ment which prefers them over their present match. These results are compared and same point pairs are extracted. The loop of similarity calculation, stable marriage algo-rithm and comparision is repeated until there is no point left.

3

Evaluation

An experiment is performed to evaluate efficiency of our stroke correspondence detection method.

3.1 Experiment

We used a databse of 60 drawings with different stroke number. We showed each of 20 drawings randomly to a

participant. We have 6 participants use mouse to draw drawings with same stroke number and same structure with the ones they are shown. Figure 1(a) shows an example in database and (b) shows a subject-drawn one. After drawing, corresponded strokes are displayed in same col-ors. Each participant is asked to count strokes which are corresponded differently from their intuition. Participants are students with average age of 25 and more than 5 years of computer experience. Most of them have little experi-ence with doodles.

(a) Database’s drawing (b) User’s drawing Figure 1: Experiment’s example

3.2 Results and Discussion

Data collected from participants is calculated to find average correct correspondence rate for each stroke num-ber. We plotted a graph to show the relation of stroke number and correct correspondence rate (Figure 2). From the result, drawings with stroke number from 3 to 6 have higher correct correspondence rate. When stroke number increases, correct correspondence rate decreases but still oscillates between 0.7 and 0.94. Our algorithm’s accuracy falls when the drawing has many strokes which distribute densely like the legs in Figure 3. Because our algorithm bases largely on a position of strokes’ center in the draw-ing, the more stroke number is, distances between strokes’ centers have almost same values and this causes inaccuracy. In 14 and 22 cases, the rate suddenly decreases. Based on users’ comments, we consider small sample number (com-paring to other cases) and messy drawings are the reasons.

Figure 2: Relation of stroke number and correct correspon-dence rate

Figure 3: Case with low corre-spondence rate

4

Conclusion

We propose a method to automatically detect stroke cor-respondence in 2D drawings in relatively real time. The method allows users to draw relatively freely with accu-racy rate ranges from 0.7∼1. In the future, we plan to employ stroke’s size, stroke’s merging and splitting.

(6)

大阪大学大学院情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 博士前期課程修士学位論文発表会資料 平成 21 年 2 月 13 日

コンピュータ利用者の苛立ちとマウス・キーボード操作に関する研究

中塚 哲博 (ヒューマンインタフェース工学講座)

1

はじめに

近年の情報化は,私たちの生活に恩恵をもたらしたが,そ の反面テクノストレスやデジタルデバイドの増加といった問 題を引き起こしており,利用者のストレスの検知や緩和が望 まれている.近年,生理センサなどの特別なデバイスを用い たストレス認識手法が多数研究されているが,高コスト性や 装着時の負荷などの問題があり,一般の利用者が利用可能な 方法は少ない. そこで本研究では,人がストレス時に引き起こすとされる 苛立ちの感情に注目し,一般的に利用されているマウスと キーボードを用いた苛立ち検知手法を検討した.まずアン ケート調査により,コンピュータの不具合が利用者を苛立た せる要因(苛立ち要因)や操作変化(苛立ち時の操作)を抽 出した.次に人を苛立たせる実験(苛立ち実験)を実施し, 苛立ち要因の妥当性と,苛立ち時の操作により利用者の苛立 ちが検知可能かを検証した.

2

苛立ち経験に関するアンケート調査

まず,利用者の苛立ち要因と苛立ち時の操作を抽出するた めに,アンケート調査を実施した.回答者は情報系専攻の 大学生と大学教職員 29 名で,「これまでの PC 作業で最も苛 立った経験 3 つ」について,主に記述式で回答してもらった. その結果,苛立ち要因として,フリーズなどの「予期しない 遅延(26 %)」,書類提出期限が迫っているなどの「急いで いる(16 %)」,自分の思う通りに動かない「予期しない動 作(10 %)」などを抽出した.また,苛立ち時の操作として は,「マウスの不必要なクリック・移動(33 %)」,同じ操作 を何度も行う「連打系操作(20 %)」などを抽出した.なお, 53%の回答者は苛立ち後も作業を継続して苛立ちが残留ま たは増加し,一方 22 %の回答者は休憩してリラックスした という結果となった.

3

利用者の苛立ち要因とマウス・キーボード操作

3.1 利用者を苛立たせる実験の設計 次に,2 章で抽出した苛立ち要因を用いて,苛立ち実験を 設計した.タスク内容は,マウスとキーボードを用いた単純 なタスクとして,アイコン移動タスク 5 回とテキスト複写タ スク 1 回をそれぞれ 10 試行ずつを 1 フェーズとし,これを 3 回繰り返す計 60 試行を用意した.実験要因は,2∼3 フェー ズ中で苛立ち要因の発生の有無,2 フェーズと 3 フェーズの 間に 5∼10 分の途中休憩の有無とした.なお,苛立ち要因 (有)の場合は,「急いでいる」状況を想定し,タスク中に, 参加者の平均タスク完了時間から計算される「制限時間」を 常時与えた.また,「予期しない遅延・動作」として,2∼10 秒間画面停止する「フリーズ」,秒動作が重くなる「応答遅 延」,同じタスクを繰り返させられる「再入力」,マウス・ キーボードが効かなくなる「入力無効」の 4 種類を,それぞ れ一定時間ランダムに与えた.タスク内容と苛立ち要因のパ ラメータ調整のため,実証実験の前に,情報系専攻の大学生 14名を対象に予備実験を実施した. 3.2 実証実験 設計した苛立ち要因が確かに利用者を苛立たせるか,およ び苛立った利用者が確かに苛立ち時の操作をするかを検証す るため,実証実験を実施した.参加者は,本研究の目的を知 らない情報系専攻の大学生 6 名で,内 4 名に苛立ち要因を与 え(以下,参加者 A∼D と呼ぶ),その他 2 名に苛立ち要因 を与えなかった(以下,参加者 E,F と呼ぶ).また,6 名の 参加者に 2 要因 (苛立ち要因, 休憩) を,A と B に (有,無), Cと D に (有,有),E に (無,無),F に(無,有)と割り当 て,マウス・キーボードのタスク 1 試行完了毎に,苛立ち度 (− 2:かなりイライラが減少した∼+ 2:かなりイライラが増 加した)を回答してもらった.実験中は,マウスとキーボー ドの操作を 60Hz で記録した. 図 1: 参加者毎の苛立ち度の推移 図 2: クリック数の変化 図 3: マウス移動距離の変化

4

結果・考察

参加者毎の苛立ち度累積の推移(約 30 分間)を図 1 に示 す.マウスタスク時の苛立ち要因(無)のフェーズ 1 から苛 立ち要因(有)のフェーズ 2 にかけて,参加者 A∼D 代表値 の苛立ち変化の平均が有意に大きかった (p < .05).このこ とから,フェーズ 2 におけるマウスタスク時の苛立ち度増加 は,設計された苛立ち要因だけによるものと示唆される.一 方,キーボードタスク時は,苛立ち変化の平均がフェーズ 1 がフェーズ 2 より大きく,苛立ち要因による苛立ち度増加が 見られなかった.これは,キーボードタスク自体が参加者を 苛立たせたこと,参加者が苛立ち要因を学習したこと,順序 効果などが原因と考えられる.なお,フェーズ 2 からフェー ズ 3 にかけての苛立ち変化の平均はやや減少していた.これ は,参加者の休憩,学習,順序効果などが影響したためと考 えられる. 次に,操作解析の結果として,タスク進行に関連しない, 不必要なマウスクリック数と不必要なマウス移動距離の参加 者 A∼D 代表値の平均を図 2 と図 3 に示す.マウスタスク 時のフェーズ 1 からフェーズ 2 にかけて,これら 2 操作が有 意に増加していた (それぞれ p < .01,p < .05).つまり,参 加者はフェーズ 2 の苛立ち要因発生時点の前後においても, フェーズ 1 より不必要な操作をしていたと言える.さらに, これら 2 つの操作は,アンケート調査で抽出した苛立ち時の 操作と一致しており,利用者の苛立ち検知手法にとって有効 な指標となると考えられる.なお,フェーズ 3 ではこれら 2 操作は減少しているが,この理由として,苛立ち変化の平均 の減少,参加者の慣れ,苛立ち要因の学習などが考えられる.

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おわりに

一般的に利用されているマウスとキーボードを用いて,コ ンピュータの不具合により利用者が苛立つ要因と,その時の 操作の抽出を試みた.アンケート調査と実証実験により,予 期しないフリーズなどの発生は利用者を苛立たせ,利用者の 不必要なマウスクリック・移動の操作によって苛立ちを検知 できる可能性を示した.今後は,実環境における長期実験に より,苛立ち時の操作による苛立ち検知の評価が課題である.

(7)

加速度センサによる手指衛生行動識別手法

濱 恵美子 (マルチメディアエージェント講座)

1

はじめに

近年,医療機関における院内感染が社会問題となってい る.その対策として,センサによって取得した看護師の手洗 いや消毒といった手指衛生行動を識別・評価し,必要に応じ て警告を出すことが有効だと考えられる.手指衛生行動の識 別は従来の行動識別と比較して,識別対象のクラス数が多い こと,継続時間が短い行動が存在することなどから困難な課 題である.本発表では,従来の行動識別手法をもとに,手指 衛生行動に適したパラメータを実験的に求め,その結果に基 づいて開発した行動識別手法について報告する.

2

加速度センサを用いた手指衛生行動識別手法

本研究では,看護師を対象としたシステムへの応用を前提 とし,患者のプライバシー保護や,本来の業務の妨げになら ないことなどの制約から,図 1(a) に示す小型無線加速度セ ンサを用いて行動を識別する.センサ装着位置は,同図 (b) に示す左右上腕・胸ポケット・腰背部の 4ヶ所とする.100Hz でサンプリングした加速度データをスライディングウインド ウに分割し,ウインドウごとに「平均」,「標準偏差」,「エネ ルギー」,「周波数領域エントロピ」,「相関係数」の 5 種類の 特徴量を求める.本研究では対象となる各動作の継続時間が 短いため,複数のクラスラベルが含まれるウインドウが発生 しやすい.そのようなウインドウはサンプルから棄却し,単 一のクラスだけが含まれるもののみをサンプルとして抽出す る.抽出した特徴量に対し,識別対象の行動をラベルとする 教師有り学習を適用する.クラス分類器は,Support Vector Machine (SVM)のペアワイズ手法を用いる.

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実験と評価

データ収集 実際の現場に近いデータを取得するため,病院 の手洗い場において実験を行った.実験 1 では,手指衛生を 専門とする看護教員 1 人を対象とし,ガイドラインに示さ れる正しい方法で行った手洗い・消毒のデータを取得した. 実験 2 では,現役看護師 5 人を対象とし,参加者自身が正 しいと思う方法で行った手洗い・消毒のデータを取得した. データは 1 人 5 試行で,対象となるクラスは人手による観測 をもとに抽出し,図 2 の項目軸に示すように,手の各部分に ついての「洗い」,「濯ぎ」,「消毒」の動作と蛇口開閉などの 動作,手袋着脱を識別対象とした.動作クラス数は,実験 1 で 40 クラス,実験 2 では新たに見られた「消毒液の右手掌 注ぎ」,「手掌消毒」を加えた 42 クラスである. ウインドウサイズの評価 まず,ウインドウサイズ (W) が 識別に与える影響について評価した.ウインドウサイズは, 手指衛生行動の平均継続時間が平均 1.6∼2.1 秒程度である ことから,その前後の 64(0.64 秒),128(1.28 秒),256 (2.56 秒)の 3 種類について比較した.実験 1 のデータについ て,試行に関する一つ抜き交差検定法 (Leave-one-trial out: 以下 LOTO) で評価した. 結果を図 2 に示す.ここで,ウイ ンドウサイズが大きいと,複数の行動がウインドウ内に現れ るため,抽出されるクラスの欠落数が増える.W=64 では クラスの欠落はほぼ抑えられたが,W=256 では濯ぎの各動 作や左右の「手首洗い」などの半数以上のクラスでサンプル 数が 5 以下となり,W=256 ではサンプルが十分に獲得でき ないクラスが多数存在することが示された.図 2 において, 観測されたクラスでは平均 85%以上の適合率を得た.また, 実験 2 のデータに対して,参加者に関する一つ抜き交差検定 法により識別を行った結果,「手袋装着」や「手拭き」といっ た周期的な動きを含まないクラスでは,ウインドウサイズが 大きいほど適合率は高く,「指先洗い」や「消毒液プッシュ」 などの瞬間動作や細かい動きを含む動作では,ウインドウサ イズが小さいほど適合率が高くなっていることが示された. センサ数の評価 加速度データは,図 1(b) の 4ヶ所のセン サについて取得するが,識別に必ずしも全てのセンサを用い る必要はない可能性がある.ここでは,実験 1 のデータに対 し,左右上腕の 2 つのみのセンサを用いた場合と,4 つのセ ンサを用いた場合について LOTO で評価した結果について 述べる.全体として,各クラスの適合率は一部の濯ぎ・消毒 動作を除き,センサ 4 つの場合の方がやや高くなる傾向が あった.また,センサ 2 つの場合では「指交差洗い」,「手掌 濯ぎ」はそれぞれ「手掌洗い」,「指交差濯ぎ」に誤識別され, 適合率が 0%となった.これは,「手掌」と「指交差」の洗い 方を区別するには,上腕 2 つのセンサのみでは困難だという ことを示す. 時系列情報を用いた識別の検討 ここまでで述べた SVM に よる識別手法では,識別の際に各動作間の前後関係を考慮 していないため,時系列情報を用いた識別について検討す る.時系列情報を用いたモデルとして,Dynamic Bayesian Network(DBN)の最も単純なモデルを考える.これは 1 次 の隠れマルコフモデルと等価であり,識別の際には観測され た特徴ベクトルに加え,前状態からの遷移確率を考慮する. ただし,SVM と比較して学習・識別の際の計算コストが高 いため,DBN で用いる特徴ベクトルは,SVM で用いたも のをもとに,主成分分析によって累積寄与率が 95%以上に なるように次元数を削減したベクトルを用いる.実験 1 の データに対して LOTO により SVM と DBN の手法を比較 すると,SVM では 90.4%,DBN では 92.9%の識別率が得ら れた.一方,実験 2 のデータに対して同様の比較をすると, 識別率は SVM で 79.6%,DBN では 74.4%であった.これ は,主成分分析によって特徴ベクトルの次元数を減らした際 に,実験 1 では各クラスの特徴が捉えられる空間へ変換され たのに対し,実験 2 では,重要な成分が抜け落ちたことが考 えられる.このため,手洗い動作内,消毒動作内など類似す る前後の動作間の誤識別が目立ち,誤識別の連鎖が起こった と考えられる.

4

おわりに

本研究では,加速度センサを用いた手指衛生行動識別手法 について検討し,短い行動には小さいウインドウサイズが適 切であること,センサ 2 つでは識別が難しいクラスがある こと,時系列情報を用いる場合,類似する動作の連続する部 分では誤識別の連鎖が起こり得るため,注意が必要であるこ とを示した.今後は,DBN のモデルとして「手袋」,「手洗 い」,「濯ぎ」,「消毒」の 4 つからなる上位階層を加えた階層 隠れマルコフモデルを適用することによって,時系列情報の より有効な利用が期待できる.また,個人適応の考えをもと に,個人間の識別に対応させることも今後の課題である. (a)センサの外観 (b)装着位置 図 1: 加速度センサの外観とセンサの装着位置   図 2: ウインドウサイズによる平均適合率の変化     

(8)

大阪大学大学院情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 博士前期課程修士学位論文発表会資料 平成 21 年 2 月 13 日

3 次元環境における被写体追跡のための空間分割に基づくカメラパス生成

浜崎 裕史 (ヒューマンインタフェース工学講座)

1

はじめに

ユーザがキャラクタを操作することで 3 次元環境を探索す るアプリケーションが増えてきた.これらにおけるカメラの 制御として,被写体であるキャラクタを追跡するものがよく 用いられる.しかし,ただカメラが被写体を追従するだけの 単純なアルゴリズムでは,環境内にある障害物との衝突や, 障害物による被写体の遮蔽が起こる.これらを防ぐために, 衝突・遮蔽回避の制御条件をカメラの動き制御に加える必要 がある.また,環境は廊下や広間といった空間の組み合わせ で構成される場合が多く,空間毎に異なった被写体の捉え方 をするようにカメラ制御条件を加えるものもある.これらの 制御条件を設定するには,カメラの制御を行うカメラプラン ナーと呼ばれる人が,環境を詳細に把握し適切にプログラム していく必要があるため手間がかかる.そこで本研究では, 制御条件を満たす被写体追跡のためのカメラパスを自動生成 する 2 つのアルゴリズムを提案する.

2

障害物との衝突と被写体の遮蔽の回避を伴う

カメラパス生成

衝突・遮蔽回避の研究は多いが,被写体を捉えるカメラ移 動が滑らかでなく,また被写体や障害物が動く動的環境には 適応できないといった問題があった.そこで,障害物とカメ ラが交差しない領域を環境から取り出し,その領域内で被写 体を捕捉可能な地点までカメラを滑らかに動かすことによ り,従来の問題点を解決するカメラパス生成アルゴリズムを 提案する.障害物とカメラが交差しない領域は,階層的なボ クセル分割に基づくロードマップグラフ構築手法を用いて抽 出する.階層的なボクセル分割とは,環境を木構造 (kd 木も しくは 8 分木) に基づく異なるサイズのボクセル群に分割す るものである.また,ロードマップグラフとは,カメラが移 動できる領域をグラフ構造で表したものである. 2.1 アルゴリズム 本アルゴリズムは,ロードマップグラフ構築処理とカメラ パス生成処理からなる.最初に環境を階層的にボクセル分割 し,障害物と交差しないボクセルの集合を取り出す.そして 各ボクセルを拡大して重複する領域を作る.これより,取り 出したボクセルをノードとし,重複する領域をエッジとする カメラのロードマップグラフを構築する.このグラフ上でカ メラを動かすことで,障害物との衝突を回避する.次にグラ フ上で被写体を含むボクセルとカメラを含むボクセルの間 の最短経路を求め,その経路に沿ってカメラを動かすことで カメラパスを生成する.ボクセルは凸包であるため,カメラ が被写体を含むボクセルに到達した場合,カメラは必ず被 写体を捉えることができ,被写体の遮蔽を回避できる.さら に,カメラを動かす際には,フックの法則に基づく力を加え ることにより,被写体を追跡する滑らかなカメラパスを生成 する.また本アルゴリズムは,処理に僅かな変更を加えるこ とで,動く障害物が存在する動的な環境にも対応できる. 構 築したグラフから動く障害物と交差しているボクセルを除去 し,かつカメラパス生成の際にフックの法則に基づく障害物 からの反発力を考慮する.これより,動的な環境においても 障害物を避け,被写体を捉える滑らかなカメラパス生成を実 現する. 2.2 カメラパス生成結果 動く障害物が存在しない静的な環境でカメラパスを生成し た結果を図 1 に示す.障害物を回避し,被写体を捉える滑ら かなカメラパスを生成できていることがわかる.また動的環 境においても図 2 のように制御条件を満たすカメラパスを生 成できたことがわかる.また,ボクセル分割に用いる木構造 として kd 木と 8 分木があるが,両者でボクセル群の空間充 填率が同じ場合,kd 木の方がより少ないボクセル数で空間 を満たすことができる.これは経路探索コストの減少を意味 し,静的環境では,kd 木を用いる方がカメラパス生成の効 率が良いと言える.しかし逆に考えると,これは kd 木の方 がボクセル 1 個当りのサイズが大きいことを意味するため, 動く障害物と交差したときに取り除かれるグラフの領域が増 加する.従って,動的環境では経路探索コストだけでなくカ メラの可動領域も減少するため,一概に kd 木が良いとは言 えず,カメラプランナーは場合に応じて両木構造を使い分け る必要がある.

3

環境の構造による被写体の捉え方の変更を

伴うカメラパス生成

環境が広間や廊下などの形・広さが異なる空間の組み合わ せで構成されている場合,環境の構造に基づいて被写体の捉 え方を変化させたい場合がある.本章では,これを制御条件 としたカメラパスの自動生成について述べる.事前に,空間 毎にカメラの動きを用意しておくことで,任意の環境におい て被写体の捉え方の変更を伴うカメラパスを生成するアルゴ リズムを考案し,実装する. 3.1 アルゴリズム 本アルゴリズムを実現するためには,環境から自動的に構 造を抽出し,その構造に応じてカメラの動きを設定する必要 がある.そこで環境の構造抽出のために環境を仕切り毎に分 割し,分割した空間 (セル) 毎に被写体の捉え方を変更する アルゴリズムを提案する.まず環境を仕切り毎に分割するこ とができるセル・ポータルグラフ構築手法を用い,セルを取 り出す.そしてセル毎に,事前にカメラの動きを設定してお いた空間と比較し,最も類似度が高い空間において設定した カメラの動きをセルに適用する.実装例では,両者の空間を 形状で比較することで,環境の構造によって被写体の捉え方 を変更するためのカメラパスを生成する. 3.2 カメラパス生成結果 図 3 の環境で試作システムを動かし,環境の構造抽出のた めのセル分割処理と,セル毎にカメラの動きを変更する処理 を実行した.この結果,環境の構造に応じて被写体を遠方か ら,あるいは近方から捉える等のカメラパスが生成されたの を確認した.

4

おわりに

本研究では,空間分割により設定した制御条件を満たす被 写体追跡のための 2 つのカメラパス生成アルゴリズムを提案 した.最初に障害物との衝突と被写体の遮蔽回避の実現のた めのボクセル分割に基づくカメラパス生成,次に環境の構造 により被写体の捉え方を変化させるためのセル分割に基づく カメラパス生成のアルゴリズムを提案した.今後,前者につ いては,動的環境でより効果的なロードマップグラフを構築 するための kd 木と 8 分木の比較,後者については,空間分 割精度向上を目指しセル・ポータルグラフ構築手法の改良, また,空間の比較精度向上のために他の比較要素の検討など をしていきたい. ⵍ౮૕ 䉦䊜䊤 䉦䊜䊤䊌䉴 㓚ኂ‛ 図 1: 静的環境 ⵍ౮૕ േ䈒㓚ኂ‛ 䉦䊜䊤 䉦䊜䊤䊌䉴 図 2: 動的環境 ⵍ౮૕ ⵍ౮૕ ⅣႺ ⵍ౮૕䈱ᝒ䈋ᣇ1 ⵍ౮૕䈱ᝒ䈋ᣇ2 図 3: 環境の各空間における被写体の捉え方の違い

(9)

インタラクティブな 3 次元仮想環境のためのサーバレンダリングに関する研究

安田 敏宏 (ヒューマンインタフェース工学講座)

1

はじめに

ネットワーク経由で 3 次元仮想環境を扱うコンテンツが増 えている.これらの多くはクライアント側で仮想環境を構築 するクライアントレンダリングを用いている.しかし,この 手法は仮想環境構築の精度や速度がクライアントのスペック に依存し,専用のプラグイン等が必要であるという問題があ り,エンドユーザへの普及を妨げている. 一方,サーバ側で仮想環境を構築し,クライアント側には 視点画像のみを送信するサーバレンダリングは,クライアン ト側の処理量を大幅に軽減することができ,スペックに依存 しない仮想環境の構築が可能である.しかし,サーバ側にか かる負荷のためにリアルタイムな応答が困難であるという欠 点があり,小規模な仮想環境やリソースの不足した携帯端末 向けの仮想環境など,限定的な使用にとどまっている. そこで本研究では,誰もが容易に利用可能な 3 次元仮想環 境を目指し,サーバレンダリングの利点を最大限に活かした 仮想環境の実現を目的とする.具体的には,サーバ側の描画 エンジンの切り替えにより多様な画像が出力できることを利 用した,クライアント側の表示装置によらない仮想環境の実 現や,既存のウェブ技術との親和性を保持できることを利用 した,ウェブブラウザ上での 3 次元仮想環境の実現が可能と なる.その中で本研究では,ウェブブラウザ上でのインタラ クティブな 3 次元仮想環境の実現を例に,CSS を用いた負 荷軽減手法を提案し,その有用性を示す.

2

ウェブブラウザ上での 3 次元仮想環境の実現

2.1 提案手法 サーバレンダリングを用いて,既存のウェブブラウザのみ でインタラクティブな 3 次元仮想環境を実現する手法を提 案する.さらに,サーバ側の負荷軽減のため,既存のウェブ 技術との親和性を活かし,CSS(Cascading Style Sheets) を 用いた擬似画像提示による画像生成回数の削減手法も提案す る.ウェブブラウザは Web を利用する際に最もよく使われ るツールであり,ほとんどの端末で標準に搭載されている. そのため,PC 初心者であっても扱いやすい仮想環境を提供 することができる.また,受信した視点画像をウェブブラウ ザで表示することから,専用のプラグイン等のインストール も不要である. 2.2 サーバレンダリングによる仮想環境の構築 サーバとクライアントの機能は次のようになっている. サーバ: サーバ側では,クライアント側からレンダリング 条件が送られると,あらかじめ構築された仮想環境の視点位 置などを変化させ,視点画像を生成する.そして,クライア ント側に該当画像のアドレスを送信する. クライアント: クライアント側では,ユーザのインタラク ションに応じたレンダリング条件をサーバ側に送信する.そ して,受信した画像アドレスを参照し,ダウンロードした画 像をウェブブラウザ上に表示する. 2.3 画像生成回数の削減手法 サーバ側の負荷軽減手法として,CSS を用いた擬似画像 提示による画像生成回数の削減手法を提案する.一般的に, 仮想環境内の閲覧では,目的のオブジェクトを探し回る探索 タスクと,そのオブジェクトをじっくり閲覧する観察タスク を繰り返している.そして,これらはインタラクションの間 隔により区別され,短い場合は探索タスク,長い場合は観察 タスクと判断できる.そのため,探索タスク中は画像精度よ りも更新速度が重要とされており,また観察タスク中は更新 速度よりも詳細な画像が必要とされる.そこで,タスクに応 じて画像精度を優先した高精細画像と,更新速度を優先した 擬似画像を切り替えることで,サーバ側の画像生成回数を削 減する.提案手法では,この擬似画像提示に CSS を用いる. まず,各オブジェクトをその周囲から 1 度刻みでレンダリン グした画像をあらかじめサーバ側にキャッシュしておく.そ して,クライアント側から新たなレンダリング条件を受信す ると,サーバ側で各オブジェクトの視点画像上での位置と大 きさを算出し,それをクライアント側に送信する.クライア ント側では,そのデータを基に必要なオブジェクトの画像を CSSを用いて配置することで擬似画像を提示する.

3

実装結果

サーバは,CPU: Pentium 4 3 GHz,メモリ: 1 GB,GPU: NVIDIA GeForce 6600GT(128 MB)を搭載した PC 上で構 築した.また,OS は Windows XP で,Apache HTTP Server 2.2.4および,PHP 5.2.4 を動作させており,クライアント・ サーバ間の通信は 1 Gbps の LAN 上で行った.その結果, ウェブブラウザのみで 3 次元仮想環境を実現できることを 確認した.また,図 1(a) に CSS を用いた提案手法により生 成された擬似画像,図 1(b) に同一視点位置からの高精細画 像を示す.これらの図から,擬似画像は自動車モデルのアス ペクト比など,一部オブジェクトの形状が正しく再現できて いないものの,各オブジェクトの位置や前後関係は再現でき ており,十分に仮想環境の状況を把握できる品質であること が分かった.また,擬似画像から高精細画像への切り替えの 際に違和感はなく,インタラクションの間隔によって探索タ スクから観察タスクへスムーズに移行できた.また,評価と して高精細画像と擬似画像の場合について,応答速度を測定 した.対象とする仮想環境は,オブジェクト数が 200 個,ポ リゴン数が 4,175,600 個で構成されている.また,提示画像 を 640×480 pixel とし,画像生成時間,クライアント処理時 間,転送・表示時間の項目別に 100 試行の平均値を測定し た.表 1 に示す測定結果から,擬似画像提示時には,高精細 画像提示時に比べて応答時間が 75.4%短縮できていることが 分かる.

4

おわりに

本研究では,誰もが容易に利用可能な仮想環境の構築を目 指し,サーバレンダリングの利点を最大限に活かした実現例 の 1 つとして,CSS を用いたウェブブラウザ上でのインタ ラクティブな 3 次元仮想環境を実現した. 今後は,ウェブブラウザ上での 3 次元仮想環境におけるさ らなる応答時間の短縮手法を検討し,100 msec 以内のリア ルタイムな応答を目指す.また,サーバレンダリングを用い た他の実現例を検討し,実装および評価をする予定である. (a)擬似画像 (b)高精細画像 図 1: 結果画像 表 1: 測定結果 (msec) 提示画像 画像生成 クライアント処理 転送・表示 合計 高精細画像 909 13.1 202 1124 擬似画像 45.0 15.1 218 278

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大阪大学大学院情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 博士前期課程修士学位論文発表会資料 平成 21 年 2 月 13 日

毛状物体を用いた視触覚インタフェース

山抱 加奈 (ヒューマンインタフェース工学講座)

1

はじめに

毛を撫でる行為は,人と生物との間の直接的なコミュニ ケーション手段の一つであり,人は毛状物体を介して方向や 圧力,触感,感情といった多くの情報をやり取りしている. 例えば,人は犬や猫を撫でる際に無意識に毛並に沿って手を 動かし,その行為によって安らぎや温かみを感じる.また, このような人と生物との間の直接的なコミュニケーションを ヒューマンコンピュータインタラクション (HCI) に応用す ることで,直感的なユーザインタフェースを実現する研究が 盛んになっている. そこで本研究では,色,柔らかさ,細長い形状といった毛 状物体の特徴を活かした視触覚インタフェースを提案する. 提案システムでは,プラスチック製の光ファイバ (POF),カ メラ,プロジェクタという簡単なシステム構成を用い,毛 状表面における手指検出と画像出力によって,毛状インタ フェースとのインタラクションを実現する.

2

毛状タッチディスプレイ

提案システムの構成を図 1 に示す.提案システムでは,POF を用いた毛状物体のディスプレイとカメラ,プロジェクタに よって手指検出と画像出力を行う. 2.1 POFを用いたディスプレイ 提案システムでは,多数の POF 束を束ねた片側断面をイ ンタラクション面とし,もう片側は各束を 2 分割して一方を カメラによる撮影面,もう一方をプロジェクタによる投影面 とする.今回の試作機では,85× 85 mm のインタラクショ ン面に対して 1 本あたり 500 mm の POF を 28,800 本用い る.POF のインタラクション面の長さを変更することによ り様々な硬さの毛状物体を表現することができる. 2.2 手指検出手法 プロジェクタからの可視光が手指表面において拡散反射す る原理を用いる.プロジェクタ側の投影面から高輝度の単色 光を出力した状態でインタラクション面に触れると,手指表 面により拡散反射された光がカメラ側の POF 束に入射し, 撮影面において触れた部分の輝度が高くなる.得られたカメ ラ画像に,背景差分を用いて 2 値化処理し,さらにモルフォ ロジ処理を施してノイズを除去することで,検出画像を生成 する. 2.3 画像出力手法 手指表面の拡散光による輝度変化と描画による輝度変化を 区別して正確な入力検出を行うために,手指検出用の単色光 と描画用の画像を時分割で表示する.カメラ側ではプロジェ クタの周波数と同期して開閉する液晶シャッタを利用する. 単色光が投影されている場合に液晶シャッタを開け,描画用 画像が出力されている場合に閉じることで,単色光に対する 手指の拡散光をカメラで取得することができ,手指検出と画 像投影を同時に実現することができる. 2.4 インタラクション 提案システムでは,例えば図 2 のように触れた部分の毛状 物体の色が変化するといったインタラクションが行える.入 力検出にカメラによる画像認識を用いているため,指による インタラクションだけでなく,手の平全体を用いて撫でると いったインタラクションも可能である.また,平らで硬い従 来のディスプレイでは感じることができないような,毛状物 体特有の触感もフィードバックとして得ることができる. 2.5 評価 提案システムを用いて最小のインタラクション面積に関し て実験を行った.その結果,高さ 110 mm の POF 束に対し て直径 15× 15 mm まで認識できることを確認し,撫でる インタラクションに対応できることを確認した.また,8 人 に提案システムでインタラクションを行ってもらいアンケー ト調査を実施したところ,ディスプレイに奥行きがあり反発 力が感じられる,触り心地がよいといった意見が得られた. また,毛状物体を用いたインタフェースに求める硬さは人に よって異なることが分かった. 2.6 応用例 応用例としては,撫で方によってブラシストロークが変化 するペイントシステムなどが考えられる.将来的には,ぬい ぐるみロボットの表面に設置して撫で方によって感情を表現 することや,美術館などの公共施設の床に敷き詰めて,外観 を損なうことなく順路を提示するなどの用途を考えている.

3

おわりに

毛状物体の特徴を活かした視触覚インタフェースとして, 毛状タッチディスプレイを提案し,実装して評価実験を行っ た.今後はインタラクション面を拡大し,ディスプレイの認 識精度の評価を行う予定である.さらに,撫でるインタラク ションに加え,引っ張る,ねじる,分けるなどといった毛状 物体の形状変化を検出するための手法を検討したい. 図 1: システム構成 図 2: インタラクションの様子

図 1: 提案手法の様子 40060080010001200 4832164Pointing time [ms] Target distance [cm]Task method Visual Sticky Both Normal 図 2: ターゲット距離ごとのポインティング時間
Figure 2: Relation of stroke number and correct  correspon-dence rate

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