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シェイクスピアの 『ソネット集』 : 彼の造語とイマジネイションについて

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(1)

シェイクスピアの『ソネ

一一 彼 の造 語 とイマ ジネイ

ョ ン につ と`て

英米文学教室

キ J 装 → I

OED(勁

9 0″

T'D喀

Sん

つ】

力孵

,Tv)1こ

新語あるいは意味の最初の用例が記録 されてい

る場合

,現

代の作家は勿論

,多

少事情が異なるにせよ

,エ

リザベス朝の作家にとつても

,名

誉なこ

とであるに違いない。新語を造ったり

,新

しい語義をつけ加えることは

,常

に言葉に新鮮 な興味を

持ち続けている創作家にとっては

,最

大の課題の一つであろう。

文学は言葉か ら成 り立つ芸術であり

,言

葉に大き―

な関心が払われるが,そ の関心の大きな部分 を

しめるものは

,言

葉に新鮮な魅力を与 えること

,言

換 えれば

,陳

腐でない表現を使うことであろう。

それに新鮮 な魅力を与える仕方はいくらかあると思われるが

,芸

術的

,倉J造

的であり,ま た鮮烈な

1象

を与 える点で

,造

語および新語義を凌 ぐものは多くないかと思われる。

これはわが国においては

,新

語を作る俳人の関心といくらかの点で似ているかと思

.う

。中村草田

男氏 は, 万 緑 の 中 や 吾 子 の 歯 生 え そむ る

の句で

,初

めて「万純 という語を用いた。生長するわが子の押えがたい生命力の背景を万緑とと

らえた

.点

において

,見

渡すかぎり緑のみとい う背景とともに

,強

烈な父性愛の感ぜ られる句であ

る。これ

│が

新話であるだけに一層父親の熱つぽい感動が強烈―

で新鮮である。これは工安石の「万緑

叢中紅―

,れ

からとった語であるが,わ が国では彼が初めて使った。そしてこれは最近では新緑と

いう語より多く使われているとのことである

.す

この一語によって「万純 が定着 し,そ の句が永く

生き残 りかつ俳人申イ子草

1田

男の名声が定着する一四となっていると思 う。

エ リザベス朝の作家殊にシェイクスピアは今日の作家と比べて新語および新語義を多く作った。

それは「地味肥沃な英語の荒野子 とぃう新語を作るによい時代的背景も有利に作用していると思 う

;シ

ェイクスピアに造語が多いのはそれだけの理由ではないと思われる。

ここではそういう重大な意味を持つ新語

(新

語義を含めて

)を

Willian Shakespeareの

Tん9 Sο

婢をι

s(1609年 出版

)に

関して詳述 し

,そ

れを作る基盤となつたシェイクスピアのイマジネイシ

ョンについて考察 したい。

first recOrdを 品詞の転換による新語

,接

頭辞あるいは扶尾辞附加による新語

,新

合成語

,語

義の拡大およびその他に分類 してみた。まず品詞の転換について。

名詞を動詞に転換 した例は次のものであ―

る。

=′ "ι

9,喀

on all"(す

べてのものを貧 り食う

, 俊

(2)

シェイクスピァの『ソネット集』

75番

)の

g′vttο

2(大

食漢

)は

名詞 (まれ に形容 詞

)の

用例 は多 く見 られ るが

,動

詞 は こ こが初 め ての記録 で ある。 “

HOw have mine eyes Out Of their spheres been″

ι

ι

9'"(私

の 目は その円座 よ り飛 び出 して しまった ことだろ うか

,1lo番

)の

FJι は名詞で は な く

,動

詞 と して初 めて

使 わ れた。 ここで は単 なる病 気の発作で はな く

,発

作 を起 こ し飛 び出す とい う運 動 の意味 も加 えら

れて い る。 なおかっ 目が眼宙 よ り飛 び出す とい う平板 な意で なく

,病

気 の発作 を受 けるよ うに

,突

然 にかつ狂 気 じみて

,目

が躍 り出す さまが鮮 明に読 み とれ るよ うで ある。

動詞 か ら名詞 に転 換 された例 は次 の もので ある。 “These b′92Cん

9d gave my heart anoth_

er youth"に

の流 し目が私 の心 に第二 の青春 を与 えた

,1lo番

)。協 目をす る意 の動詞 う′9ηcんは1400

年 に使 われた例 があ るが

,名

詞 と して は

,こ

れ が 最初 の用 例 で あ る。 次 に同 じソネ ッ ト1lo番 に

And wOrse cssη

s proVed thee my best Of 10ve"(劣

悪 な人 と交際 してみ ると

,あ

なた が最上 の愛人で あることがゎかった。)があ る。9ssα

yで

試 み る とい う動詞の用例 は古 くからある力二 この意 の名詞 は シェィ クス ピァの造語 になる。cssαysを4多飾 す る形容詞

worseは

実 質的 には 9ssttd

の 目的語で あるか ら

,多

少 動 詞 の 性 格 を保 持 して い るよ うだ。

Or say with princes if it

shall go well By oft ,T9,ガ

thet l in

heaven find."(天

に よ く現 わ れ る前兆によって,

天 下太 平 に関 して王侯 の よ うな調子で言 う

,14番

)一

ここでのPTθttc歩は名詞 で あ りpredictiOn

(前兆

)の

意 を持 って ぃ る。

次│こ形容詞より動詞への転換 の例 ― “

Whichん

αρρ

J9s thOse that pay the willing loan"(喜

んで借 金 を返 す人 た ちを幸福 にする

, 6番

)一

んαρρυは動詞 と して は最初 に使 われてぃる。 動詞 を形容詞 に使 った例 をあげ ると,“

Then can l grieve at grievances roT9gο

η?"(そ れ

に過去 の悲 しみ も悲 しめ る

,30番

),動 詞 ′οヶ9gο

OEDに

よ る と900年か ら使 わ れ て いるが

,そ

の 過去 分詞 が形容詞 と して使 われた最初の例であり

,現

在で はFοT9gο

29が

形容詞 と して も定着 して い

る。 “

Lest my b9ψ

αJ′

9J guilt shOuld dO

thee shame"(私

の嘆 かわ しぃ罪 が あなた を辱 か しめ る と困 るので

,36番

),う?ψα″

9,の

前 に所 有代 名詞 が附加 されて いるので

,

これは完 全 に形容 詞 と して使 われて いる。

名詞が形容詞 に転換 された例 は,“

Like as the waves make tOwards the,9う

b′

9,shore"

(波が小石 の浜へ寄 せ るよ うに

,60番

)で

あ る。名詞 ρあ

b′

9で

は シ ェィクス ピァ以前 に沢 山の用例

が見 られ るが

,そ

れ を動詞 は勿論形容 詞 と して使 われた例 はなかった。形容詞が名詞 として使 われ た例 は “

With my 9″

ι

9T2the outward hOnouring"(私

考情 を動作 に示 して相 手 の威 容 を称 讃 す る

,125番

)の

9″オ

9T2で

あ る。名詞 と して使 われた 釘 ι

9T2は

OEDに

よ るとこれが唯― の例 で あ る。 以上 の よ うに『 ソネ ッ ト集』 で は品詞 が自由に転 換 されている。 べ る と比較的簡単 に品詞 を転換 して いたょ うで ぁるが,3以 上 の よ う 色 的 なもので あろ う。 エ リザベス朝 の作家 は今 日に比 な柔軟性 は シェィ クス ピァに特 接頭辞 あるいは接尾辞 を附加 して新語を作った例 は次の通りである。“2ηb′θ

ss some mother"

(妻とな り母 となるべ き人の幸 を奪 う

, 3番 ),

“〔

Thosc hOurs〕

Win that 22μ

JT which

fairly doth excel"(こ

の年月は優 れて美 しいものを醜 くするだろう

,5番

。動詞 としての吻力 √T

OEDで

は唯―の例 である。),“デ9 αι

2T"?dd"(醜

,11番

),“

many maiden gardens yet

22s9ι "(まだ植 えられてぃない多 くの処女園

,16番

),“

By chance, Or nature's changing

course 2瘍

Tttη9,"(偶 然 あ るいは 自然 の推移 によって美 を奪 われて

(3)

鳥取大学教育学部 人文 。社会科学 第27巻 第2号

did my ripe thoughts in my brain lη

んθα

Ts9"(私

の成熟 した詩 想 を脳髄 の 中 に納 棺 した,

86番

)の

れん9α

Tscで

hearsc(棺

,名

)に

接 頭辞 in_がっ けられて動詞 に使 われて い る。 これ

は比喩 的 な使 い方 で もある。 “

thou age 2η

うT9'"(ま だ生 まれていない人 々 よ

,114番

)の

2ηbT9'

は シェイ クス ピアの造語で あ り

,今

日で は廃 語 に なって い る。

次 にシェイ クス ピアの作 り出 した新 しい合成語 を例 示 しよ う。 “s9′F‐s2うdιαηc,α′ fuel"(自 給

自足 の薪

, 1番

),“PTο切か

p'9J April"(素

道 な色 彩 の

4月

,98番

),“this '′′‐νTcsιjη

g world"

(この悪 しざ ま に解 釈 しよ うとす る世 界

,140番

)が

そ れ で あ る。

次 は新 語義 につ い て。 “

And summer's green an='T,9J up in sheaves"(夏

の緑 が こ とご と く束 ね られて

,12番

),g'TJは

帯 な どで腰 を巻 く意 で あ るが

,

ここで は比喩 的 に使 われた最初 の例 で ある。 “SιT9ιcん

9E metre of an antique song"(古

い歌 の無理 に飾 り立 てた言葉

,17

)で

のSιT9ιC鹿 】は手足 などの伸 び きった意 味 をもって い るが

,こ

こで は言葉 を限 界以上 に飾 り

立 てた意味で初 めて使 われて いる。次 の “I Slgん

the lack of many a thing l sought"(私

が求 めた多 くの もの もな くな っ た こ と を悲 しむ

,30番

)の s'gん は「溜 息 をつ いて言 う」 で はな く,

「 溜 息 をつ いて悲 しむ」 の意 をもって い る

,即

ち語義 が拡大 して使 われて い る。 “To s,Jθ

this

title is impanelled A quest of thought"(こ

の主張 を裁 くため に思想 とい う陪審貝 が選 ば れ た

,46番

)の

s'】θは片 身 に切 る

,支

持 す る意 とい うより,(あ る主張 を

)ど

ち らか一方 に決す る意で 使 われて い る。S''9の話義 が拡 大 されたので あ る。 “B9ggα

T,Of b100d to bhsh through

l

ely veins"(生

々 と した血管 を流 れ る赤 い血潮 が ない

,67番

)の

う9=gα

TEは

単 な る欠 乏 して い

,貧

乏であるとい う意で は な く

,比

喩 的 な意 で使 われた最初 の用例 で あ る。 “dιTαテη9】 touches"

(誇張 した筆法

,82番

)の

sιTαテη

9'は

言 葉 につ い て 使 わ れ た 最 初 の例 で あ る。 “

Thou truly

fair, wert truly syηραιん

'z9', In true plain l17ordS, by thy truc‐

telling friend"

(あなたの真 の美 しさは

,真

実 だ け を語 るあ なたの友 人 によ って

,飾

らない真 実 の言葉 で

,よ

く表

現 された

,82番

)の

dgηραιんサZぞ は

,同

情 す る意 の 自動 詞 で な く,(美 しい あなた に

,美

しい言 葉

)対

応 させ て 表現 す る意 の他 動詞で ある。 “

Philomel in summer's FTο

ηテ

doth sing"(ナ

イ チ ンゲ ール は夏 の初 め に歌 う

,102番

)の

FTο2ιは普通 は物 の位 置 を示 す が

,

こ こで は時 間に関 し

て用 い られている。 “

in the chronicle of

ψαsι

9J time"(過

ぎ去 った時代 の年代記の なかに,

106番

)の

ναdι9'も時 間 につ いて使 われて い る。 “

made myself a

ηOι′9υ

to the view"(私

自身 を公開の席 で技 を演ず る道化役 と した

,110番

)の

ηοι′9gは雑色 の服 で は な く

,そ

れ を着 る道 化役 の意味 で あ る。 “

Mine eye well knows what with his =vsι

is'greeing。 "(私 の日は 好 み に合 致す るもの を よ く知 って い る

,114番

)の

g"dと は賞味 す る意 で使 われて いず に

,個

々人 の 好 み

,意

向 の意味 で使 われて い る。 “I have Fr99vぞηι

been with unknown minds"(私

は取 る に足 らない人 とも親 しくしていた

,■

7番 )の FT99292ι は度 々起 る

,常

習 的 なで は な く

,

あ る人 と親 しい とい う意味 で あ る。 その意義 の拡 大 していつた心理 の軌跡 はわかるよ うな気がする。“It S2FF9Ts

not in smiling pomp"(そ

れ はほほ えむ来幸 にあって も悪 い影響 を受 けない

,124番

)。 “

AH my

vows are oaths but to

η

's2s9thec"(私

の誓 いはみ ん なあなた を誤 ま り伝 えた誓 いなのだ,152 番

)の

ηおαsCは (語 句 を

)誤

用 す る意 を比喩 的 に拡 大 して,(あ る人 につ いて

)虚

偽 を言 う意 と し て使 われてい る。 その他 の項 目に次 の よ うな新 語 が あ る。 “this huge rο η 'VT9"(この巨大 な円

,21番

),“

When

sparkling stars

ιψ

'T9not thou gild'st the even"(き

ら星 が顔 を出 さない夜 もあなたは黄

(4)

岡村俊 明:シェイクス ピアの『ソネ ッ ト集』 金 色 にそめ る

,28番

。 ιψJT9を シェイ クス ピァが初 めて使 った),“T9gブο

2c10ud"(空

に浮 く雲, 33番 ― T9gJο2 1ょ初 めて限定詞 と して使 われた),“

we two must be

ιψα Jη"(ゎ た した ち二人 は 別 れ別 れ にな らなければ な らない

,36番

。 述 語 と して最初 の例),“

in Our l

es a s9,α

Tαb′9 spite"(ゎた した ちの生活 にわた した ちを引離す よ うな悪意 がある

,36番

)―― のs9,αTαb′θは引 き 駆 され ると受動 の意で使 われたので な く

,引

き離す ことが可能 と能動 の意で使 われた唯一の例 で あ る。 “but 9FF9o施α′

is Out"(し

か し実際 は見 えない

,113番

)の

9〃

9cチ 2α′Jtyは効 果 的 にとい ぅ 意 で は なぃ。 “

this

ηα,,Jη

g fever"(狂

気 にす るよ うな熱病

,119番

)の

ηα 'れ η

gは

狂 気 になる と い う受 動 の意で は な く

,能

動 の意で ある。 次 に上 記 に引用 した シェィ クス ピァの手 になる造語 (新語義 も合 めて

)は

すべ て定着 して現在 に 至 るか とい うと必 らず しもそ うで は ない。

OEDに

唯 ― の 用例 しかあげ られて ぃない単語

,あ

るい は廃 語

,又

は ご く稀 に しか使 われて い ない ものは次の通 りで ある。品詞 の転換 による新語 (10の う

6)一

predict, bewailed, gluttOn, blench, fit, extern。

接 頭辞 あるいは接尾辞 による新 語

(7の

うち

4)一

unfair,featureless,unset,unbred。

合 成 語 に よ る新 語 (す べ て

)一

self_subきtantial, prOud_pied, in_wrestng。

新 語 義 (14の うち

6)一

gird, side, syn_

pathizc, gust, frequent, misuse。 その他

(7の

うち

2)一

separable, effectually。 実 に41の 新語の うち

,21個

が廃 語 に等 しい運命 をもって いる。 その うちで特 に品詞の転 換

,接

頭 辞 あ るいは接尾辞 附加 の新 語,、 新合成 話 は唯― の用例 しかあげ られてい ない場合 が多い。 それは語 義 の拡 大 によ る単 語 と比べ る と

,著

しい対照 をな して い るよ うに思 われ る。 この範疇 で は

,唯

― の 用例 の単 語 は sideと

misuseの

みで あ り

,廃

語 に なって い る単 語 も

4個

か ら

9個

の例 が引用 されて Fohり

,同

時代 人 お よび後 世 に与 えた影響 は大 きく

,歴

史 的使 命 は十三分 に果 た した とぃって ょぃ。 この範疇 の用例 につ いて考 え る と

,

こ れ らは ほ ぼ す べ て比喩 的 に使 われていることがわかる。例 えば “

And summer's grecn aH g'T,9, up in sheaves"の

gガ

T'は

帯 な どで】要を巻 くよ う に (省略 されて い るが

,喩

)夏

の緑 が東 ね られ る (本

)意

で あ る。帯 と腰 (それ ぞれ喩 義

)が

藁 と麦 (それぞれ本義

)に

転 換 して い る。 =J″'を使 った場 合

,腰

を帯で縛 ることか ら連想 され るイ メー ジが

,秋

の収穫物 にも遥 曳 し

,機

械 的 なbindと 違 って

,詩

的想像 の幅 は大 きくなる。 また喩 義 を省略 し

,girdedで

喩 義 を連 想 させ て ぃ るが

,

これは簡潔 で凝縮 した表現で あるといえる。 そ して 例 えば 乙女 の腰 を帯で巻 くとい うょ うななまめか しぃ風情 を換起 す るが

,そ

れ は移 ろいやす ぃゅ え に一層 美 しく感 ぜ られ る乙女 を連想 させ る。比喩 的語の底 にこ うい うぃ くっかの具体性 があるが, それ は転 義 によって も消失 して い ない わけで ある。 これ らは θ

EDに

よると初 出で ある力ヽ そうでない場合で も

,美

しく詩的 な表現 が『ネネッ ト集』 には多い。

dead metaphOrゃ

月並 な比喩では な くて

,斬

新で詩的な比喩 を考究 してみたい。 そ う す ることが

,

シェイクス ピァの造語 (新語義 を合 めて

)の

秘密 を解 く手掛 りを与 えて くれるかも知 れない。

CarOline SpurgeOnは そ の 著 SんαttdρθαT9'S r切 9Tυ (Cambridge,1965)で シ ェ イ ク ス

ピア及 びエ リザベ ス朝作 家 の イメー ジを次の

8つ

の項 目に分類 して い る。即 ち

Nature,Animals,

(5)

一に中中

呻山山山

山呻]︲︲

︲︲︲︲

鳥取大学教育学部 人文 ・社会科学 第27巻 第2号

Domestic,BOdy,Daily Life,Learning,Arts,lmaginat

eである。 この分類 を『 ソネ ッ ト 集』 の比喩 的単 語 に援 用 してみ ると,4前

5者

は多 く見 られた力ヽ 詩 的 な語 に限定す ると

,Learning,

Artsは

多 くない よ うで あ る。 最後 のImaginativeはその項 目に属 す る語 を更 に分類 す る と

,そ

の他

の項 目の イメー ジにはい る。従 って

Learning,Arts,Imaginat

eの

比喩 は ここで は害J愛 した。 前

5者

に属 す るもの はそれぞれ

5個

引用 す る。

まず

Natureに

つ いて考察 しよ う(日本言吾訳は イタリック体 を中心 に して

,他

は省円締 ることもある。)

when hs youthful morn Hath travelled on to age's Sι

99,g night"(老

年の険 しい暗 夜

,63番

),“

In me thou see'st the

ιψJ′

Jg/3J of such day"(私

の 中 に薄 明 を見 るだ ろ う,

73番 ),“

Your sん

α′′οψθsι

help will hold me up af10at"(ご

く浅 い援 助で も私 を浮 かばせ

るだ ろ う

,80番

),“

My Self bring

ψαι

9T for my stain"(私

自身 が汚名 を清 め る水 を持 って くる

,109番

),“

you

ο'9T―gT99η

my bad"(私

の 欠点 を緑 の芝で おおい隠す,/112番

)で

あ る。

Animalsの

範疇 と して は

,

thOugh

ηο切免ι¢

d On the w ind"(私

は 風 に乗 る とい え ど も,

51番 ),“

In

ψれ

=¢

' speed no motiOn shall l know"(′

亀翼 の速 さの なか に も

,51番

),“a

modern cvJ′′"(現代の鷲ペ ン (文人),83番),“

The teeming autumn bjg With rich Jη

cTCas9"

(立派 な子孫 (実

)を

字 んだみの りの秋

,97番

),“ 〔I〕 …・Gο

T9J my own thoughts"((猪

などの

角 で

)私

の考 えを傷 つ けた

,110番

)。

Domesticな

もの と して は

,

and hath stell'd Thy beauty's fOrm in

ιab′

9 0f my

heart"(私の 心 の 画 板 に あ な たの美 の 形 を描 い た

,24番

),“

their

ηα

dttJ buds"(そ

の仮面 の 薔

,54番

),“The rich‐

prOud cost of

οψοTη

buried age"((着

物 がす り きれ る よ うに,

栄華 を極 め た貴 重 な品 が

)老

朽 し

,64番

),“Others, but sι 9ψα

TEs of their excellence"(自

分の美を主人からの預 かり物のように

,他

人へ伝 える執 事 にす ぎない

,94番

),“

The humble sα

Jυ9

which wounded bosoms fits"(傷

つ い た心 によく効 く謙遜 とい う名の軟膏

,120番

)で

あ る。

Bodyに

属 す るものは

,

“all full with F¢ αS'】

23 0n your sight And by and by clean

dιαTυ

9E fOr a look"(あ

なたの姿 をほ しい ま ゝに見 て満足 す るが

,す

ぐに あなた に会 えないで飢

える (切望 す る),75番),“

my eye so bα

TTθη

of new pride"(目

新 しい美 し さ に欠 ける,

76番),“

Of

ηοVιん

9J graves"(口

を開いて亡者 を待つ 墓

,77番

),“

have l s′

92ι

in your

report"(あなたを讃 美す ることを怠 って きた

,83番

),“I Will acquaitance sι Tαη

=′

and look

strange"(交友 を打 ち切 る

,89番

)で

あ る。

Daily Lifeに

属 す るものは

,

And puts apparel on my

ιαιι

9TC'10ving"(1ゴ

ろ切 れの よ うな愛

,26番

),“hiS 'ηpT】dο

29' pride"(人

目 に触 れ させ な い美 しい 衣 装

,52番

),“CαριJυ9

gOod attending Capι aJtt ill"(従 者 の 善 が首 領 の 悪 に仕 え る

,66番

),“theSe bαsια

T'sign

of fair"(私生 児美 の徹 章

,

うわべのみの美の姿

,68番

),“

Bring me with the

′9υ9′

of your

frown"((銃

の照準 の よ うに

)あ

なたの不興顔 の正 面 に私 を据 えて下 さい

,117番

)で

あ る。 以上述 べ て きた こ とか ら言 える こ とは

,自

然 界 の生物

,そ

こに見 られ る多 くの現象又 は出来事; あ るい は,焉や猪 や′亀な どの棲 息 す る動物 界

;机

や着物

,病

,貴

族 に仕 える執 事 などの家庭 生 活 に 関す るもの

;山

海 の珍味 に満足 しあ るいは飢 えて い る状況

,ま

た は女性 の不妊 や人 々の睡眠 などの 肉体 に関す る表現

;牢

獄 や戦争 または人 々の氏素姓 を示 す 日常生活 に関す るイメー ジが見 られ る こ とで ある。例 と して はあげ なかったが

,草

,季

,太

,巡

,墓

,船

,投

錨 な ど

5つ

の項 目 に またが る

,ま

た その中で も さらに分布 の広 い多 くの詩 的比喩 的語 が見 られ る。他 に詩 的表現には特

(6)

岡村俊 明:シェイクス ピアの『ソネ ッ ト集』

に見 るべ きもの は なかった が

,法

,学

,芸

術 な どの比喩 もある。事物 (省略 は されて い るが あ る物 とある物 が結 びつ いて比喩 となる

)の

分 布 が広 い こと

,事

物 が異 なって い るにかかわ らず その 相似 た性 質 を通 じて じつ に自然 に結 びつ け られて い るこ とがわかるで あろ う。

次 に い く らかの例 を取 出 し検 討 を加 え よ う。63番の “age's sι

992y night"の

d歩99p♂で ぁ

るが,(坂 力

1険

しい意で使 われ るの が普 通 で ある。 ここで は急激 に襲 って くる老衰 と秋 の 日の釣瓶 落 しに暮 れ る状況 を表 わ して ぃ る。51番の “ηοαηι

9'On the wind"の

ηο

"ηι9'は 馬 に乗 る意で あ るが

,そ

れが比喩 的 にな り

,抽

象 名詞 助屯 に乗 る

,風

の よ うにはや く駈 ける意 になって いる。 54番の “

their

ηαdんθ』

buds"は

苦 のバ ラの ことで あるが

,美

女 が舞踏 会で仮 面 をかぶ るよ うに , バ ラが仮面 をかぶ ってい る。89番の “I win acquaintance sttTα ηg′

9"の

大意 は「 交 友 を打 ち切 る」 で ある。dιT αηg′9は 首 を しめて殺 す等の意 をもっているが

,こ

こで は抽象 名詞 「知 己」 を くび

り殺 す意で使 われて い る。26番の “

And puts apparel on my

はぼ ろぼ るの着物 に使 われ るの が普通で あるが

,

ここで は比喩 的 に チαサ姥

T9J 10ving"

のとαチ施T9' 「愛」 に使 われて い る。 これ らはg'T'に ついて既述 したと同 じく

,喩

義が本義 に遥曳 し

,鮮

明で絵画的で

,詩

的幅が大 き くなっている。 このよ うに自由闊達 に次 から次へ と比喩的表現が作 られているが

,

これは普通の人 間 とは違 ったそれを作 り出す特別 な基盤 があるのではないかと思 われる。

mounted on the wind"を

例 にとってみ る と

,シ

ェイクスピアの イマ ジネイ

ては

,馬

に乗 ることも風 に乗 ることも大 きな違 いが なかったのではないだろ うか。 ョン に と っ

quaintance strangle"で

,人

間の首 を しめることと

,抽

象名詞の首 を しめることは

,大

きな差 異 がなかったと思 われる。薔 のバ ラも仮面の美女 も

,険

しい坂 も釣瓶落 しの夜 などについても同様 なことがいえる。 シェイクス ピアは本質的には

,動

,植

,鉱

物 および抽象的 なもの に対 して, われわれが持 っている区分は設 けず森羅万象 をほぼ単一の次元に並べ

,生

命のないものにも生命 を 与 えた。彼の頭脳 はけたはずれて柔軟で あったと思 われる。 これは常時比喩が生 まれる基盤の

1つ

といえよ う。 次 に物事 にたいす るシェイクスピアの把握 について考 えてみたい。」

.MiddletOn Murryは

その 著Tん9 PTοb′9η ο

F S,ダ

θ

(Oxford, 1973)で

, シェイクスピァはあるイメー ジを種 々の角度 から取 り上 げているとして

,シ

ェィクス ピアの劇 および詩 から次のような例 をあげているぎ

Your praises are too largeibut that yOur youth, And the truc blood which fairly peeps through it, Do plainly give you out an unstained shepherd...

Tん9予Tπ,2ι9″'s Tα ′9 1V, iv。

147

He tells her sOmething

That makes her b106d 100k Out. Good sOoth, she is

The queen of curds and cream.

Tんθ,1句2ι9T's Tα ′

9 1v.iv.159

ヽン   “

(7)

鳥取大幸教育学部 人文・社会科学 第27巻 第2号

The

wine peep through their scars.

4ηttο″

g

αη

' C′

θοクαテTα III. xiii. 191

Flora peering in April's front.

Tん

9蘭

鳴ηι9T's Tα ′

9 1Vo iv. 2

Who o'cr the white sheet papers〔

s'0〕 her whiter chin, TrDθ Rα

,9 ο

F LttcT9C9 472

did ralsc his chin

Like a dive‐

dapper peering through a wave,

Who, being look'd on, ducks as quickly in.

79免

2s

α2' 4'OηJs 85 これ らはみなある物 か らある物 が顔 を覗 かせ る

,と

い うイメージで ある。赤面す る (羞らいの血 が その美 しい顔 を覗 かせ る

)や

傷 口か ら酒 がふ き出す (酒が顔 を覗 き出す

)や ,花

の女神 フローラが

4月

の初 めに顔 を覗 かせ る

,白

い敷布 か らさらに白い預 を覗 かせ る

,波

問からかいつぶ りが浮ぶ よ うとこ(顔を覗 かせ る),預をあげる表現 がそれで ある。マ リーの あげた例 が示す よ うに

,単

一のイメ ージで あるが

,シ

ェイクス ピアはそれを幅広 く立体的 に捕 えていることがわかる。 『ソネッ ト集』で はいかに多岐 にわたって捕 えられているか

,そ

の例 を 形

Lと

「窓」 のイメー

ジ につ いて考察 して み よ う。最初 は りL。 “

Gusts of Winter's day and barren rage Of

death's eternal cold"(永

遠 に冷 めたいもの としての死

,13番

),“

For precious friends hid

in death's dateless night"(永

遠 の夜 と して の死

,30番

),“

SWeCt roses do not so;

Of their swect deaths are sweetest odOurs made"(甘

美 な香 りを残 す死

,M番

),

Tired with all these, for restful death l cry"(安

′息にみちた死

,66番

),“

From hence

your memory death cannot take"(万

物 を分つ わけで はない殉 ,“

SO Shalt thou feed on

Death, that feeds on men"(人

間の食物 としての死

,146番

),“

And Death once dead,

there's no more dying then"(生

物 のように生死 をもっている死

,146番 )が

ある。死は多面的

に把握 されていることがわかる。

次 に「窓」 について。 “

SO thOu thrOugh windows of thine age shalt sce"(老

令 とい う窓 ―一 子供の こと

,3番

),“

That hath his windows glazed with thine eyes"(目

が ガ

ラス としてはいっているその店の窓

,24番

),“

Mine cyeS have drawn thy Shape,and thine

fOr me Are windows to my breasど

'(あ なたの 目は私 にとって私の胸 の窓

,24番

)。

以上の例 か らも明白なように『ソネット集』 において も

,物

事 が幅広 く多面的 に把握 されている。

で は事物 が立体的に把握 され

,そ

の枠 が取 りはらわれ

,単

一の次元 に並べ られていれば

,比

喩 的表現

は自由に作 られるのだろ うか。 その秘密 を解 く鍵 を端的 に示 しているあぶ 次のソネットで あろ うぎ

For it no form delivers to the heart

(8)

岡村俊 明:シェィクス ピアの『ソネ ッ ト集』

Of his quick Objects hath the mind no part,

Nor his Own vision holds

vhat it dOth catch:

FOr if it see the rud'st Or gentlest sight,

The mOst sweet favOur Or deformed'st creature,

The mOuntain, Or the sea, the day, or night:

The crOlv, Or dove, it shapes them to yOur feature.

Incapable Of more, replete 、vith you,

My mOst true mind thus maketh mine untruc。

(CXHI)

And that your 10ve taught it this alchemy?

To make Of monsters and things indigest,

Such cherubins as yOur sweet self resemble,

Creating every bad a perfect best

As fast as Objects tO his beams assemble:(CXIV)

鳥で も花で も

,粗

野 なもので も優 しい景物で も

,最

も美 しいあるいは奇怪 な生物で も

,山

,海

,昼

あるいは夜で も

,目

でみたもの をその枠組 をはず し

,貴

公子 に変 えて しま う。 あるいは怪物で も形 の整 わないもので も美 しい貴公子 に似 た天使 に変 える

,物

事 が彼の 目の光の届 くところに集 まれば あらゆる醜悪 なもの も完全 な美 に変えて しま う。錬金術 にもたとえられる転換あるいは結合の強い 作用 が見 られる。その作用 はここでは “

your iove"貴

公子 に対す る強 い愛 (強烈 な感覚作用

)で

あるといえる。従 って比喩 とい うものは

,そ

の基盤 として事物 を多面的

,立

体的 に把握 し

,な

おか つ その枠 を取 り除 き

,新

羅万象 を単一の次元 に並べていなければいけないことはぃ うまで もない。 また「 シェイクスピァは何一つ忘れなかった」 と批評家が言っているように,7彼は抜群の記憶 力の 持 ち主で あった。 したがって一度見聞 きしたものは決 して忘れず

,

しかもそのス トックは巨大 なも ので あったで あろ う。その状況 は少 しの刺激 があれば異 なった事物が

,そ

の巨大 なス トックから容 易 にかつ生々 とその共通す る特徴 を通 じて結び合 わされ

,比

喩的表現 が生み出 される。 そ してその 引 き金の働 きをす るのが

,強

烈 な感覚で あるとい うことになる。

斬新で詩的比暉

(first recOrdで

ないもの

)お

よびそれを作る基盤となっているシェイクスピ

アの イマ ジネイシ ョンにつ いて考察 して きた。 この基盤 は彼 の造語 にも適用 されるで あろ うか。 まず 品詞 の転 換 につ いて。「小石」 という静的 な名詞 は「小石で敷詰め られた」という広がりのある 形容詞 “

pebbled shOre"と

され

,名

詞「 大食奥

Jは

「大食漢 の よ うに貧 り食 う」“gluttOning"と 名詞 の属 性 が動的 に

,か

つ広 く把握 されて お り

,名

詞「病 気 の発作」 “fit"は病 気 の発作 を受 ける よ うに突然 かつ狂 気 じみて 目が躍 り出す

,

と変 え られて ゆ く。 これ らは事物 を立体 的 に把握 し

,か

つ その枠組 をはず し

,ま

た無生物 を も生 きてぃ るもの と して考 えることか ら生み出 され ると思 われ る。 しか し “blench",“ predict",“

extern"は

これだ けで は説 明で きな い よ うで あ る。 接 頭辞 (接尾 辞)附加 の場 合 は ど うで あろ うか。inhearseは

hearse(名

,棺

)に

in‐ を附加 し

,比

(9)

鳥取大学教育学部 人文・社会科学 第27巻 第 2号 的 に動詞 として使 われている。

hearseか

ら想像 されるものが,in‐ と結合 されたことにより

,幅

広 く連想 される。 しか し他の語

(unbleSS,featureless等

)は

二者 が結合 され

,そ

の概念 が大 きく なり

,新

語 となった とはい えるが

,既

述 の基盤 が適用 され るかどうかは,『ソネ ッ ト集』の用例だ けでは判断に苦 しむ。また新合成語の場合 にも

,こ

の基盤 を適用す ることは索強付会の弊 をまぬがれ ないだろ う。 他の造語 (語義の拡 による

)の

場合 は どうで あろ うか。 その基盤 はそつ くりそのままあてはまる とい える。詩的

,比

喩的単語 も語義の拡大 による新語 も

,そ

れを作 り出す シェイクスピアのイマジ ネイションは同 じで あるといえる

,い

や新語で あるだけに

,そ

の基盤 はもっと強回 に存在す る,倉J 造 にさい してはその要素が強烈 に作用 しているといえる。 そ して新語義 による新語はシェイクスピ アの造語のなかで も

,主

流 をなしていることは既述 した通 り事実で あろ う。 シェイクスピアは同時代の他の作家 と比べて も

,造

語 および詩語が格段 に多い。筆者 はこれ らは 共通す る基盤 から作 り出 されたので はないかと推定 して きたが

,そ

れは『 ソネ ッ ト集』の合成語 お よび接頭辞附加 による新話 には必 らず しも適用 されなかつたが

,品

詞の転換 による大部分の新語 お よび新語義 による新語 に適 用 されることが明 らかになつた と思 われる。

注〕

1『 合本俳 旬歳時 記』 (角川書店

,新

版,1974年

),p.438.

2大 塚高信著『 シェイクス ピア及び聖書の英語』 (研究 社,1951年

),

3see E. A. Abbott, A Sioた9s,9α″

'C″ G″αれ加αT(1869; rpt. 4 spurgeon, Charts I, 1, 5 Murry, pp.103--4 Shobo, 1962), p.190・ Sんα力ιs,9,T9: Tん? Sο″″9ιs(Cambridge

(Lincoin i Un ersity of Press,

6引

用 したテキス トは

J D.Wilson(ed), TL¢

N9ψ

Un erSity Press,1966)である。

7Edward A. Armstrong, Sん α19s29αT9'S raagttαιわ,

(10)

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