ねず林分の研究 I 西植田地区-香川大学学術情報リポジトリ

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第11巻 通巻第29旨(1959) 53 ね ず 林 分 の 研 究

Ⅰ西 植 田 地 区

浅 野 二 郎,吉 田 香 車

Studies on“Nezu”(Juni’peyIus ri女ida)fbr・eStS

IInvest短ationin Nishi−u三上da District

Jir.6AsANO and ShigeyukiYosHIDA

(Labor・aねr・一y Of For・eStr・y)

(ReceivedJuly13,1959)

1 は じ め に 香川県は,高塩霧雨のいわゆる瀬戸内気候圏に属し,森林の成立にとって必ずしも看利な環境条件下にあるとはい えない、叫乃,県内の森林級面積は,県の全面積の約50%を占める約9万加で,その約80%ほ私看林である. この私有林の殆んどほ1′}2ba前後のいわゆる零細森林所養老によって経常され,そしてこの軍用森林折箱者の殆ん どが中小凝家である。従ってその森林の取扱いは勢い,営麒林的色彩が淡く,またその経営ほ極めて粗放である。. 一両,稲作を中心と.する県下の農業ほ極めて集約的に経営され,林業はこの集約な農業に層々の密から奉仕する関 係に・あると.いえる.このような条件下における香川県の森林,将に袋桝他に験する亀城の森林ほ将兵なとりあつかい が種々見られるのであるい 即ち,ここに取り上げるネズ林分も亦このような背景によって成立を見るものと考えるのであり,事実,ネズ林分 はその多くが農耕地に・近接する,所謂盈山的な地域に分礪するし,その生産されるネス材も,農用具,償桝資材等に 多く向けられているのである 2 調査地の概;兄 ネえ林分は県下の各地に広く分布するが,今跡ま,特に豪讃の木田珊⊥I卵酒砥E酎矧丞を調査地として選んだ一.こ の山田町西植田地区は高聡旧市内より南に約20km,阿誤山系の山茨脈である仏山一・r一脈を背景とし,春日川の水源を・ なす地域であり,常に山田月1東植田地区,西に香川郡香南朝川覚矧さ,南に塊江呵責掠馳さ,北西には高慮満三谷町, 北は山田町川島地区,等にかこまれた農山村部落で,農家戸数約フ00戸,農耕地面倒£夫々田約300ba,畑約110hで 特用作物としてのタバコ耕作熟の旺盛な点では県下でも特に睦目すべく,しかも上質薬を生産する地域とされている, また稲作についてみても,その集約度および桝作技術の点から県内ても耕作技術の進んだ他藩に入るものと見られ る一九この地区の山林についてほ,全山林両横約1,200balこのうち,村外老の所有両横約500baを除く残り約 フ00baの殆んどが地域内の戯家の所扇にかかるものである.即ち農家山戸当りの平均折和」胴碩櫻は約1ムaで,県平 均値に近く零細頻模の林業経営が行われている、更に,その森林の取り扱いに・しても,木莱の用朝生掛こ向けられる 他,家畜用の採草地としてLほ勿論,タバコ栽培用温床資材,粗菓資材,新材臥その他農鄭目丸太材等の供給地とし ての森林の盛業経営に対するほたらきほ大きく,戯業経営と密接なi対係が保たれて1、て,所謂頻用杯的取り扱いがな されている場合が多い∩ 3 ネズの取り扱い この地域一層の森林の多くは前述のように,農用杯的な色彩が濃く,その多くは天然更新によるアカマツ杯で,立 木度は一腰に低く,従って林分は比較的疎開した状態をこある.. 而して,ネズ林分はこのようなアカマツ林に随伴して最も多く見出される.一腰の林業的な観念からすれば,元凍 ネズのような樹種はむしろ雑木として刈り私われるべき性質のものであろうが,この他域一骨では,農具周,戯用肇 材等とLての利用の必乳」二から,雑木的な頓り抜いをせず,むしろ天然椎樹を保題するのが適例である.しかLなが ら,これに対して特に特権的な保護育成雅美を方出す寄ほなく,一版に自然の生長にまカゝせる. 従って,林分内での立 木状態も極めて不適則,区■々で,その取り扱いもなげやり的であり,通甜識伐は行わず,わずかに不完全ながらも校 内だけが行われている状況で,その伐採は全くナスビ伐り的である‖ ネス湖こ分は,このようにして扱われるが,この

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香川大学爵学部学術報告 地域一偏ほ慣行として,このようなマツ林に・対し想期前に,戯菜摘材料の採頓を目的 と.した徹底した下草の刈取り,搬出を行う,この場合マツ,ネズほ除外し,雑乱濯 木ほ勿論のこと,相当大きく生長した下木まで刈り取り,更に落葉,落枝まですべて 採集する..この際の林地面の掻き起しがマツ,ネ/ズの天然稚鵡の発生を促す(1)ものと 思われる.また一・固このような徹底した下草搬出は,森林そのものを趨めて辟悪化せ しめるものと考えるが,ネズ林分の存在はこのような状態下にあって,林地に対し何 がしカ;の保護作用をする(2)のではないかと考えられる. なおネズはマツ等に校べ生長が極めて遅く(第1,2,3,4図参照)従ってその伐期は 高い付 この地域では普通ネズ新の利用面から宋口5分,長さ5−6尺標準の小丸太材 および末口1寸,長さ15尺標準の丸太材が要求されるのであるが,この丸太類の生産 のためにほ凡そ,小丸太材で30年,丸太材で60一−フ0年を零し,このため普通マツの主 伐に相前後してネズの小丸太材の生産のための伐採が行なわれる一.この場合,:30年生 前後の一朝分の中で比較的優良生育を京すものが伐採の対象となり,生育状態中等以 下の多くの林木と.,特に優秀な生育を京す優秀木と.が伐りのこされる∴而して,この 伐り残された少数の優秀木はしばしば100年臥上も保残され,柱材,床柱材等の建築 用材に向けられ,−・力中等以下の伐り残された多くのネズは更に30∼40年仕立てられ ネズ丸太材の生産に向けられる. 4 調査の方法 ネズの生血の状況を明らかにするた捌こ,聾者らは,従薬植生状態の調査に広く行 われているQua血a七洪(S)を適用する審とした.もっとも,このような極く∵局部の 所謂標本を抽き出し,その結果か ら全林の状態を推定することに.は 多くの問題がある(4ニであろう.特 に港間題のように十林分内でも地 形的に.も,また,林木の取り扱い の上からも極めて不均一・な状腰を 示している場合にほ特に然りであ る.それ故にここで取り上げる Quad工a七港による調査結果は, その結果を以て直ちに,全林の状 態であるとするものではなく,む しろ,その杯分の示す種々相の一 神相川(1000しⅠ】1じ) ◆−−∫・−・−■′ 漬 崩 幹 ′ ● .■▲r−−−−・−−−′l−

側聞(m) ′ 1・り ′ ′ 棉 ■ つの型を示すものと解する. 5 この調査でほQuadIa七の一辺 をユOmにとり,これを2到真に分け これを各区画毎に.4小区に薄田分し て調香を待った.調査結果ほ一色 刷では到底明かな図示ができない ので図面を割あいし,その結果を 取りまとめて表示する事とした. また,調査上必要な萩杯の取り扱 い力の種々な諌項については森林 所有者から直選聴取することとし また必要な統封的事項については 当該地区の森林組合,町役場等の ′●−−/ ′− / 0Ⅰ2 8 4 5cm 第1閲 ネズ樹幹析解 (調査地工 42年生) 35 づ042 5 10 15 20 25 30 籠2図 絵 成 長 盤

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筍11巻 通巻第29学(1959) 55 調告に.よった. なお参考のため,調杏地1のネズ増樹の1永を抽き出して,樹幹析解を行った結果を掲げておく.(冬頂部材横算 出にはHube工式を,幹脚部材棍算帥こは愚民の方法を適用した) 幹材横 \川−ニト 捕箭(m) 5 10 15 20 25 30 35 40・12 第3因定期平均成長 5 調 査 調査地工(神′晦) 神ノ峰調査地ほ西植田地区の南端,地区内で最も高所部を占め,襟首600mの神ノ峰を含む約5王1aの一触で250′・■ 350の西面傾斜をなし,基岩は花崗岩で礫質感土,その深度は申儒で,下生としてコナラ,ノブ,等の潤英樹を伴う, 比較的疎開した天然更新によるアカマツ杯である.この林分は約10年荊伐採され現在ほ,フ0∼80年生の優良アカマツ が全林たわたって117凍,母樹として残されていて,林面にはこの母樹に.よるところの主として6′・・■7年生のアカマツ 天然生准尉がよく建立し,極めて良好な成長を示しつつある.ネズはこのようなマツ林分坤に下層林分として入って いるのであるが,調査地内のネズの分布状態は一億でなく,主として斜面中腹の,上方の開いた部分によく族生し, 偏頗な分布を示している…(第5図参照) いま杯内の略々中央部忙あるネズの一周地を選び,QuadTa七洪にネって得た績果を総合してみると,ネズについ ては母樹と.して現在働きつつあるもの9凍,これから得られたと考えられるネズ天然生稚樹36木,この稚樹と現在母 樹と.して働いているものとの中間令期にあるもの(但しこれは実際忙は見掛けよりも相当高令のものから糠蘭期を出 たばかりのものまでの広い範囲のものを含む)二33凍〔贋1表(1)参照〕でネガだけについてみれば,その天然更新の態勢は 概ね満足すべきもののようであるり またアカマツに・ついても稚桝の生立状態は更新の−上からみて大体充分と見倣し得 第1表 調査地工のQuadI■at調査の結果 (1)ネズミサシ (2)アカマツ 註 第1表∼第3表の伐採木についての計測は切株によった.

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香川大学曲学部学術報告 56 る状態笹あり,これは他の2調蛮地の林面が雑草,澱木に占羞され て天然椎樹の発生を著しく阻害しているのに対し,適当な林面処理 に.よってこのような状況をもたらしているものと考え.る 第5因 調査地工の林況 第6因 調査地工におけるアカマツ およびネズの生立状況 課査地Ⅱ(神内) 未調査地ほ,西樋田地区の中央南寄りの地点で,この他区の背後山地をなす仏山山脈が平坦部,農耕地に接続する 部分で,150′}250の傾斜蟹を待った,北面斜地の約5baの一団砲である.その基岩は花崗岩で,砂質壌土,士旗深 度中位で,重体は天然更新に・よるアかマツ林である.ここのアカマツ林は戦時中坑木材供出のため津村氏のいう中層 木(ヲ)と見倣される部分の林木を全て伐出し,・また戦後,上層の優良木を三回に亘ってナスビ伐り的に伐採し,現在伐 採前の森数に・して約30%即ち1如当り約200凍が立っている∴林分の下生ほツツジ,シャシヤソポ,ナツハゼ,ヒサ カキ,ネザサ等で,密生し,マツ天然生椎樹は調査地Ⅰに比較して著しく少く,現在この林地には部分的にグロマツが 植栽されている,もっとも,これほ必ずしもこの林分が天然更新の不可能である事を意味するものではなく,他の理 由に・よるもののようである〟 ネズの分布の状腰粧ついては,調査地工と大体同様な傾向を持つといえ.るが,ただその 草生する部分にあっ七も,生息密度は調査地工より低いし,ネズ天然堕稚周の発生数も亦−・股に少い. この間の状況ほQua血a七洪による調査結果からもうかがえるのであって,調査地工(神ノ峯)と,木調杏他のア カマツについて見ると工では全立木凍数100本,稚儲10ブ森,このうち母樹と見倣し得るもの2永,他は幼稚樹で,壮 幼令から椎常に向って−その凍数を次第に増し,将に椎嵩が目立って多い.これに対し凍調査地では母樹と見倣し得る もの:3凍に対し,稚樹がわずかに:34承認められただけであって,天然更新の萎として極めて不満足と.いうべく,また ネズについてみても,工では直径3cm以上のもの24凍に/対し,幼合木18木,稚眉36本を示す,一・方Ⅱでは3cm以上 のもの19本に対し,幼稚樹は少く3cm以下のもの8凍でlのそれに較べ半数以下,また稚掛こし、たっては9本で工 第2表 調査地ⅡのQuad工・at調査の結果 (1)ネズミサシ (2)アカマツ \讐際垣径(cm) 種 男打−− \、 ト2ィ′9 6′−8J 討 伐 採 木 生 立 木 枯 死 木 計 木木木苗 採立死 伐壁枯稚 9 5 5 9 2 1 4 4 7 4 19 19 11 封

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第11巻 通巻第29啓(1959) 57 の36本に較べ,およそ施しか生宜していない..〔第1表(1)(2)および第2表(1)(2)参照〕これほ本調査地がササ,雁木そ の他雑草が密生し,そのためマツは勿論,ネズ椎樹の発鎮を阻零していると考える 第7因 調査地Ⅱの林況 第8図 調査地Ⅱにおける下刈の状況 調査地Ⅱ(郷) 本調査地は,西植田地区の略々中央に位する丘陵地で,丘陵地の一部分ほ畑作鞄と.してすでに開墾されているい調 査地はこの丘陵地の西南傾斜確で,森林土康は花崗岩を基岩とする地質壊土であり,深度は浅く地味ほ悪い.面積は 約0‖4baで趣く狭く,かつてほブカマツ天然更新林であったが,最近このアカマツを皆伐し,同時に.下層林分を構成 していたネズの一部を整理し,伐り残されて成立状態のネス林分の下に胡在クロマツを植林している.ただ好都合に もアカマツ杯の一部が以前の状態で残されているので,いまこの残存杯分から推して皆伐以前のアカマツ林の状態を 考えてみると,ツツジ ,ホウソ,サルナノワイパラ,シャシヤソポ,ヒサカキ,ネザサ等の濯木をはじめ雑草が密生し アカマツ椎樹ほ殆んど見られザ,また毒杯木であるアカマツはその形質,生育状態共に極めて悪く,痔悪林であった 事が推察される.いま不良杯分の成立がどのような原因に基づくものであるかの問題は暫く措くと.して,このアカマ ツ不良杯分に随伴するネズ林分も亦概して不良であり,またネズ稚樹の建立も比較的少い 調査地内に・おけるネズの分布状態は前述の調査地工およびⅧと少しく事情を異にし,全調査地内に概ね均等に分布 している‖ これは上層林分が充分疎開していた事に因るものかも知れない.(第10図参照) 第3表 調査地ⅡのQuad工a七調査の結果

a アカマツ残存地 (1)ネズミサシ

但)アカマツ \\撃讐直徽cm) \ 1ノ}10】11′−20 b アカマツ嘗伐地 ネズミサシ いま調査地内のこ地点,即ちアカマツ生立地点(a) と.,アカマツ皆伐地点(b)とについてQua血a七二法に よる植生調査を行った結果を対照してみると,(a)点 におけるネズ生立木は総数27凍でこのうち地際直径1” 2‖9cmのもの6凍,3∼5.9cmのもの12未,6cm以上の もの9凍となっている.これを(b)点についてみると 生立木,伐採木の合印こよる直径級別凍数分配の示す傾 ′}29ト3′→5.916′−9‖2

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香川大学農学部学術報告 58 向は(a)と略々等しく,3∼5.9cmが最も多く,総討匿おいても両地点,略々相等しい値を示してこいる.つまり (a),(b)ともにネズの立木状態は,アカマツ伐採前においてほ,殆んど同一状態であったと見倣して良いよう である.そこで,いまこの下垂を整理した(b)点を観察ずると,(a)点ではみられなかったネズの天然生植樹が 点々と見出され,この林地におけるネズ杯分の天然更新の継続の可能性を暗示すると共に林地表面の処理がネズ天然 生椎樹発生の成否に大きな影響のある事を窺えるのである. 第10因 調査地皿の林況(∴ァヵマツ皆伐鞄) 文 献 望(1950) 仕)岡崎,四季井編‥林業実験実習署,170ノ}1フ2,蔑京. 朝倉書店(1956). (5)中村賢太郎:育林学原論,308∼309,貰京,地球出 版(1950). 第9因こ調査地皿の林況(アカマツ幾布地) 参 考 (1)中村賢太郎:森林作業法,171′}17二3,東京,朝倉告 店(1950). 但)木多静六:森林家必携,10,貰京,日本農林社 (1955■). (3)藤島信太郎:突践造林学講義,62∼73,東京,養賢 S u m m a r y

Startingin1958,We are CarTyingstudiesandinvestigations oflo=aldistinctive forest stands of

“Nezu”(7uni少CruSrigida),Whichisoneofthemo3tpOpulま工afforestingtreesinKAGAWAprefecture

Havingfinishedrecentlythe study onitin Nishi−ueda Districtin our startinginvestigations・We

report here our findings as follows:

1.Mostofthe stands of“Ne2;uM are ownedin smal1tractbyfarmer$inthevicinity,underextensive

managementasfarmwoodlandsin smal1scale

2.Thegrowthof=NezuWisverysluggish,buttheyseem to fit for the stands there小They are

raisedforproductionofpoles′Whichar・ehighlyesteemedforfencestakes constructionpiles′building

materials and materials of farmimplements etc。

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