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ナビケーション、進行Ⅳ.3 進行
Ⅳ.3.1 進行総論 必要な備品は以下のようである: ①地図 ②コンパス ③高度計 ④筆記具、消しゴム、紙、小さな拡大鏡 ⑤防水で、丈夫、透明で、首に架けて持ち運べる地図入れ ⑥目出帽 進行は、好天時には比較的簡単でも、視界が不足するときにはきわめて難しいものとなり、 ガイドは本当の熟練を必要とする。 悪い視界の中でのパーティーの進行は、厳格さと組織力を要求する。ガイドは自分に従わ せなければならず、たとえそれが命令的に思われようとも、自分の決定を尊重させなければ ならない。成功がその対価となる。 最後に、いわゆる「勘」は家においてこなければならず、下準備と器具に絶対的な信頼を おかなければならない。同じく、目印となる地点や特徴的な地帯に到達したと思う時には、 時期尚早の欲求や歓喜に用心しなければならない。実際、悪天候の折には、目印とする岩壁 に似てはいないものはない、ある別の突出部が目印とする岩壁に似ているということもあれ ば、また別の突出部がそれにより似ているということもある。よって「3つの中の2つの真 理」の法則を尊重しなければならないだろう。すなわち: ア、合致した高度 イ、合致した方位角 ウ、合致した説明 これらの要素の内の2つはつねに下準備したものに適合していなければならない。そして3 番目のものは凡おおよそ似ていなければならない。さもなければ、後ろに戻るか、あるいはより遠 くに目印を探さなければならない。 例:正しい高度 & 正しい説明 & 20°以内の誤差で不正確な方位角 = 地点が正しい 正しい高度 & 不正確な説明 & 不正確な方位角 = 地点は正しくない 行進の方法: 行進の方法は1つではなく幾つかある。状況に最も相応しいものを選択することになろう。72 Ⅳ.3.2 照準(ベアリング)の方法 コンパスを用いて:Ⅲ.2.4 を参照。 磁石(compas)を用いて: 磁石がコンパスと異なるのは、それが可動式の文字盤を持っておらず、可動式であるのは 方位決定のシステム全体だという点にある。 ひとたび角度の値が判ったならば、照準のシステムはコンパスのそれと同じになるだろう。 *注意:ガスの中の一瞬の切れ間にも細心の注意を払わなければならない。そして確実な目 印の地点を位置付けできたなら直ちに、時じ宜ぎに聡さとく角度の読み取りを行わなければならない。 その角度は非常に貴重であることが明らかになるだろう。 Ⅳ.3.3 与えられた方角をどのようにたどるか 平坦で危険のない地形上を除いては、方位角が望むように真っ直ぐに進行することは、現 実的には不可能である。 ここでは有効な幾つかの方法を大雑把に示すことにするが、経験豊富な利用者は独自の他 の有効な方法をそこから見出すことが出来よう。: スキーを用いた照準(視界ゼロのとき、ホワイトアウトなど) スキーの軸を、照準軸のための目印のように利用する: ○スキーの先端部を前方にして、スキーを照準軸の上に1列に並べることで、たどるべき方 角を示すまで、スキーを回転させる。 この方法は熟練を要するが、比較的正確で素早くできる。というのも方角を確かめるため にそのたびに立ち止まる必要がないからである。
N
S
120 (図-66)4
ナビケーション、進行 逆照準(バックベアリング) 過ぎてきた地点に後ろ向きに照準を合わせることによって、あるいは隊列の並びを管理し 調べることによって、方角を確かめることが、しばしば必要である。 逆照準の角度は、方位角の角度の値に 180°足すことで、あるいは引くことで得られる(Ⅲ. 1.3を参照)。 偏角が無視できる場合には、可動式の文字盤を修正することなしに、北ではなしに南に向け て照準を合わせることができる。 N S 120 N S 120 (図-67) 照準(ベアリング) 逆照準(バックベアリング)74 15°以上の傾斜において一定の方角を維持する: そのような斜面においては、真っ直ぐに行進することは不可能である。そのときには次の ようにして進まなければならない: ○隊列のメンバーの間隔を 15 mから 20 mに保持させる ○斜めの上りで(例えば)50 歩前進する。方角を変更する。50 歩を数えて印をつける。繰 り返し 50 歩続ける。それから方角を変える、等・・・。 辿るべき方角の軸は理論的には大きな対角線の真ん中の点、A、B、C、Dを結んだ直線 となる。 ○逆照準を行う。その軸は、重要地点上を辿る隊列のメンバーによって確認される。 停止と逆照準 たどるべき方向 50 歩 出発 停止と逆照準 停止と逆照準 50 歩 50 歩 (図-68) A B C D
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ナビケーション、進行 障害物の通過: 障害物が比較的狭くて視界が普通であるときには、最初の縁の上に目立つ印を置く、これ を迂回して障害物の向こう側にまわって目印の正面までやって来る、逆照準を行って、再び 直線上になるように方向を取る。 障害物が大きい、あるいは視界が悪いとき: ○Aに目印を置く。最初の方角に一定の値の角度を足しながら、障害物を避けることができ るABの方角を取る。そして、歩数を数えて踏破される距離を見積もりながら、障害物に 沿って進む。 ○最初の方角BCを再び取ることによって、障害物を越える。 ○障害物を越えたら直ぐに、最初の方角と逆照準を行いながら並行に戻って行く。そして同 じ距離だけ(同じ歩数)その方向をたどるCD。 ○そこで、逆照準を確認した後に、Aにおいてと同じ方位角を再び取る。 氷河上での狭いクレバス等 北 方位角=30° 目印 狭い障害物 逆照準の地点 (図-69) 方位角=30°76 *注意:特定の型のコンパスは 45°と 90°の迂回の目印を具えている - そのときはそれを 直接使う。 最初に選んだ方角で障害物を避けることが出来なかったならば、そのときは目印まで戻って、 そして反対方向に向かって同様の試みを行うこと。 (参考)45°、90°の目印を備えたコンパス A B C D 大きな障害物 (大きなクレバス等) α=90° α=270° 120歩 120歩 α =3 0° 方位角=30° 90°の位置の 目印 45°の位置の 目印 (図-70) (図-71、レンザチックコンパス) 方位角=30°
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ナビケーション、進行 Ⅳ.3.4 意図的な逸脱(エイミングオフ) この方法は、十分に重要な目印上では、しばしば適用される。それは、鞍部を越えたり避 難場所を見つけたり、その他のために、非常に有用なものとなる。 この方法は、以下の手続きからなる:目標地点に確実に達するために、理想であるような方 位角から、意図的に右あるいは左に逸れた方位角をとる。次に、自分の位置を認識しながら、 そこで理想の地点に戻る。その際、等高線に沿って進むこともあり、あるいは別の方位角を 用いることもあり、あるいは地形によって与えられた起伏(例えば岩壁)に従って行くこと もある。 目的は、2,929mのコル・ドゥ・ブザンを探し出し、次にその北西に位置する2,838 m地点に行くことである。 *展開の手法 : ○A地点にいる。しかし悪い視界を考えると、A地点にいるのかC地点にいるのか正確には わからない(この2つの地点は高度が同じであり、また互いに似ている地帯の上に位置し ている)。 ○A地点からコル・ドゥ・ブザンに行くためには、直接の方位角は220°である。 ○しかし、出発点上で生じうる誤りを考えると、その方位角をたどることはコル・ドゥ・ブ ザンではなくてC地点に導かれるかもしれない。従って、その方位角をたどることはでき (図-72、「意図的な逸脱」の方法の使用例)78 ない。 ○意図的な逸脱は次のような意図を持っている。岩尾根BDにふれるところに確実に導いて くれるような方位角を取る、次にその尾根に沿ってコルまで歩く。 ○従って、この意図的逸脱は270°の方位角を採らなくてはならない。その方位角は、 3,000mに位置するその岩壁にぶつかるようになるため、A地点からB地点に、ある いはC地点からD地点に導かれる。 ○その岩壁に沿っておよそ215°の方位角で端までたどって行き、そして高度2,920 mまで下る。そして190°の方位角をたどることによってコル・ドゥ・ブザンに至る。 ○それから、2,838m地点にたどり着くために、300°の方位角をたどる。 Ⅳ3.5 どのように等高線をたどるか 等高線に従って進むことは、与えられた針路に従って同じ高度で進むことを意味する。 地形に応じて、その高度を維持することは非常に難しくなる。従って、等高線に+10mと -10mの間を進むことを意識的に認識しておく必要がある。 例)2,050mの等高線に従って進む場合、2,040mと2,060mの変動幅をみてお こう。それは20mの幅をなす。 Ⅳ.3.6 等高線に接する直線の利用(コンタリング) (Ⅲ.2.6を参照)(技術的な説明:Ⅲ.2.7を参照) この行為は、きわめて有効であって、進行のための他の方法に付け加えられる。同様に、 それは多くの練習を必要とする。 実際の利用: ●悪い視界の際に迷った場合は、自分の位置を定める方法の1つである。 ●進行過程が正しいかを確認することが出来る。 ●技術的な準備が出来ている場合には、ルートにおけるその地点を通る手がかりとなる。 (注意) ○この場合にも、地図を非常に良く読み取ることが必要である。 ○高度計を既知の標高に合わせなければならない。 その規則は次のとおりである:標高差250mから300m毎に、また1時間から1時間 半の間隔毎につねに確認・再調整しておく。 ○小さな起伏に用心する - そのためは、起伏を目立たせるために隊列を1列に並べる。 ○スキーを水平に置く:山側のスキーを可能であれば斜面の線上に(フォールライン上に)
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ナビケーション、進行 置く、そのとき谷川のスキーは直角に交わるように向きを変える。そうすることによりス キーが等高線に接する直線上に持ってくることが出来る。 ○新雪では、ストックを同じように差し込む。 ○弱い斜面や細やかな起伏上ではこの操作は避ける。 ○隊列保つため、自分を直線上に整列し直すように、振り返ることをいつも忘れない。Ⅳ.4 幾つかの工夫
Ⅳ.4.1 距離の評価 踏破される距離の、少なくとも近似的な測定をすることが、有用である: ○歩数を数える、その数に各々の歩幅で進んだ距離を乗ずる。自分の歩幅を知っていること が前提となる。 ○同じくスキーの長さとの関係で計算することもできる。 ○使用しているロープの長さを目盛り(単位)にした上で、伸ばされたロープの長さの総計 を評価することができる:2番手のよくひびく合図で、先頭は自分の行進の地点に目印を 付ける、そして2番手はその目印の近くを通過するときに次の合図を送る。こうして立ち 止まることなく引き出されたロープの長さを計算する(ほとんどピンと張ったロープ)。 Ⅳ.4.2 時間の評価 悪い視界の折に、たどるべき道筋に注意がうばわれて、時間の観念が非常に混乱しかねない。 ○腕時計を頻繁に見るように気を付けること、あるいは隊列のメンバーに定時的に時間を教 えてもらうようにすることが必要となる。 ○悪条件のときは所要時間が3ないし4倍になりうることを知っておくこと。 Ⅳ.4.3 補完的な幾つかの注意点 あらゆる役立つと思われる要素は用いることがよい。 ○風の方角 ○物音 ○におい(ほとんどの避難所は煙のにおいで発見されている!) ○登山家は好奇心旺盛である:ガスが切れてちらりとでも見せるもの(岩壁、草つき帯など) をいつも見ようとしている。 ○計器が正しいということを信じる。計器が指し示すならば、現状の見かけにかかわらず、 より先を見通そうとする。例えば、気圧計が下がりつつあれば、現状の天候が良くても天 候が悪化する恐れがあることを予見しなくてはならない。 ○既存のトレースは必ずしもよいものではない。用心なしにそれをたどることは、危険に身 をゆだねることに等しい。80 ○最後に、よく考慮に入れなければならないが、進行では3つの要素(コンパス、高度計、地図) は完全に相互補完的であるが、地形に応じて、そのどれかがある時機に、より重要となる だろう。 Ⅳ.4.4 訓練の仕方 目を閉じて、あるいは、視界の範囲が何らかの方法で(帽子、マスクなど)限られた状態 で、方位角をたどる。 好天の折に、実際に通られるルートを、ナビゲーションカードと地図とで着想されたルート とを、比較してみる。そうして犯された誤り、避けるべき間違い、確実な点を明らかにして、 地形との関係で修正を行う。 好条件のときと悪条件のときに定期的な実践が必要であり、それがガイド・リーダーに対し て次のものの関係を素早く認識することを可能ならしめる。すなわち: ● 地図上と地形の実際の起伏との関係 ● 地図上の距離と実際の距離との関係 ● 計算された所要時間と地形上で実際に経過する時間との関係