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情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report セリフ記述を用いたインタラクティブストーリー作成システム 朝香拓人 星野准一 近年, ユーザからの働きかけによってストーリー内容が能動的に変化していく, インタラクティブストーリーの技術がコンピュータゲーム等の分野で広く使われ

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Academic year: 2021

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1 ⓒ2012 Information Processing Society of Japan

セリフ記述を用いたインタラクティブストー

リー作成システム

朝香拓人 星野准一

近年,ユーザからの働きかけによってストーリー内容が能動的に変化していく, インタラクティブストーリーの技術がコンピュータゲーム等の分野で広く使わ れている.しかし,インタラクティブストーリーの作成は専門知識が必要になるな ど,敷居が高いものであった.本研究では,専門知識を持たない人でも,ストーリー 内容を表すセリフによる簡潔な表現によって,意図した内容のインタラクティブ ストーリーを容易に構成できるシステムを提案する.

The interactive story creation system using

words description

TAKUTO ASAKA JUNNICHI HOSHINO

In recent years, Interactive story technique changing contents actively are widely used in the field of computer game. However, it's hard to call on interactive story creation because it requires expertism. In this study, even people without specialized knowledge, by a compact representation by lines representing the contents of the story, we propose a system that can easily configure the interactive story of what you intended.

1.

はじめに インタラクティブストーリーとは,仮想世界で展開するストーリーの中のオブジェ クトやキャラクタに能動的に働きかける事により,進行するストーリーの展開や結末 がリアルタイムに変化していくコンテンツである.インタラクティブストーリーはコ ンピュータゲームの分野で特に注目されている.ノベルゲームやアドベンチャーゲー ムのように,選択肢などを用いて展開が変化していくコンテンツが想像されがちだが, アクションゲームや FPS などのリアルタイム性の高いコンテンツでは,臨場感のある ストーリー体験のために欠かせない技術となっている.これらのゲームにおいて, ユ ーザは CG で描かれた仮想世界の登場人物の 1 人として仮想世界に参加し,他の登場 人物である NPC (Non Player Character) と関わることでストーリーを体験する.本シス テムでは,ストーリーを体験するユーザは仮想世界の登場人物ではなく,外部から仮 想世界を観察し,干渉するという立場をとっており,多くのゲームコンテンツとは異 なるが,インタラクティブなストーリーの内容を作り手が作り出していくという点に おいては同様である.

一方,近年,動画共有サービスやイラスト SNS など,一般のユーザが創作したコン テンツを他のユーザが楽しむ UGC(User Generated Content)サービスの需要が高まって きている.このようなサービスの扱うコンテンツは自作のムービーやイラスト,小説 など多岐にわたる.UGC サービスにおいてインタラクティブストーリーを扱い,新し い創作活動の一つとして周知することができれば,限定された用途だけでなく,様々 な分野への応用が期待できる. しかし,インタラクティブストーリーの作成には,独自のスクリプト言語などの専 門的な知識や,アニメーションの作成などが必要となり,一般のユーザとっては敷居 が高いものである.スクリプト言語を用いてインタラクティブストーリーを記述する 手法では,ストーリー遷移に用いるパスや遷移条件を全て手動で作成する必要があり, 本来ストーリー内容に関係のないタグや数値,フラグ情報等の入力が必要となる. また,多くのデータや AI を用いてシミュレーションを行い,偶発的なストーリー を生成する手法があるが,基本となる物語が定まっていて,それに応じてキャラクタ の行動が決まっているというトップダウン的な構成方法では無く,キャラクタが能動 的に行動を取ることでストーリーが生成されるというボトムアップ的な処理であるた め,物語的な雰囲気を感じにくいという問題がある. そこで本研究では,物語の中で登場人物たちが発するセリフを記述してストーリー を作成することで,専門知識を持たない人でも簡潔な表現によって意図した内容のイ ンタラクティブストーリーを容易に構成できるシステムを提案する.

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2 ⓒ2012 Information Processing Society of Japan

2.

従来研究

インタラクティブストーリーの研究は, 1970 年代から研究が進められてきた. 初期の研究には,仮想世界での事実とキャラクタの振る舞いのルールからストーリ ーを生成する Tale-Spin [1]や, HTN (Hierarchical Task Networks) と呼ばれる階層的な タスクのツリーを用いたストーリー展開の記述によるキャラクタの行動制御[2],認 知モデリング言語を使った[3]などがある.[4]では,多数のキャラクタがそれぞれエ ピソードツリーと呼ばれるイベント進行の構造を持ち,キャラクタ同士で相互作用 を行いながらそれぞれのキャラクタが別々のエピソードツリーを実行していくこと で,キャラクタ達が能動的に行動を起こす.[5]は,判断木によるストーリー展開の 記述によるキャラクタの行動制御の研究である.これらの研究では,自動生成され たキャラクタの行動によって,全体のストーリーが表現される.Façade [6]では,自 然言語によるリアルタイムな対話により,会話劇で表現されたインタラクティブな ドラマが展開する. インタラクティブストーリーの作成に関する研究では,リアルタイムでユーザや お互いに反応するインタラクティブな行動パターンを持つアクターをスクリプトで 制作することができる Improv [7]や,インタラクティブ映画におけるスクリプト記 述の研究[8]があるが,これらの研究は専門的な知識を持つユーザが扱うことを意識 している.本研究では,一般的なユーザが簡単に扱えるものを目指す.

3.

システムの概要 本章では,セリフ記述を用いたインタラクティブストーリーの作成,鑑賞および, コンテンツの共有等の機能を持ったインタラクティブストーリー作成支援システム 「isca」の全体の概要について解説する. isca のシステムの全体の概要は図1のようになる.インタラクティブストーリーの作 成は 3 つのセクションに分かれており,ストーリーの登場人物となるキャラクタの作 成機能,舞台となるフィールドの作成機能と,ストーリー作成機能がある.機能を分 割することで,あるストーリーに登場したキャラクタを別のストーリーに登場させた り,同じ舞台で複数のストーリーを作成するといったことが可能である. 作成したコンテンツは,専用の SNS に投稿することができる.SNS への参加形態は, 登場人物や舞台が設定されているインタラクティブストーリーの投稿,登場人物とな るキャラクタ単体での投稿,ストーリーの舞台となるフィールドの投稿がある.これ もコンテンツの作成と同様,それぞれのコンテンツを独立した形で投稿することで, 投稿されたキャラクタや舞台を組み合わせてストーリーを作成できる. 投稿されたコンテンツは,web や専用のアプリケーションから自由に閲覧することが でき,自分や他のユーザの作品を鑑賞することができる.また,鑑賞した作品に対し てコメントなどのフィードバックを行うことができる.キャラクタやフィールドは, ダウンロードして自分のインタラクティブストーリーに使用することができ,さらに, インタラクティブストーリーをダウンロードし,編集を加えたコンテンツを投稿する ことも可能である. ストーリーを作成するユーザは,物語世界に登場するキャラクタや物語の舞台,ス トーリーの内容の作成をシステム上の各種エディタで行うことができる.特徴となる のが,ストーリーの記述方法である. 本システムではストーリーを構成する単位を「セリフ」と「アクション」および、イ ベントを指定する対象となるキャラクタ名からなるイベントノード(図 3)で表現し,イ ベントノードの連結によってストーリーを表現する.アクションは,キャラクタがど のような行動をとりながらセリフを言ったかを表現するために用いる.例えば,「喜ぶ」 や「怒る」,「驚く」などがある. 3.1 インタラクティブストーリー 本システムにおけるインタラクティブストーリーは,起こりうるストーリー展開が ストーリーの作り手によって用意されており,鑑賞するユーザが行ったインタラクシ ョンによって,先のストーリーの展開が変化していくコンテンツである.3D モデル 図 1:システムの概要

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3 ⓒ2012 Information Processing Society of Japan によって表現されたキャラクタのアニメーションやセリフなどによってストーリー 展開を表現する(図 2). ストーリーを体験するユーザは,アニメーションによってリアルタイムに進行する ストーリーを見ながらキャラクタやその他のオブジェクトにインタラクションを行う ことができる.働きかけに応じたリアクションが発生し,また,進行するストーリー の内容が変化していく. 図 2 の右側のボタンが,インタラクションを行う際に使用するボタンである.ハン ド,機嫌 UP,機嫌 DOWN のいずれかのボタンをクリックした後,キャラクタをクリ ックすることでインタラクションを行うことができる. ハンドではキャラクタやオブジェクトを移動させることができ,機嫌 UP および機 嫌 DOWN を使用してキャラクタの感情パラメータを変化させる.

4.

ユーザインターフェース インタラクティブストーリーの作成作業は,システムが提供する各種エディタを用い て行う.図 4 はキャラクタエディタ,図 5 はフィールドエディタである.これらのエ ディタでは,用意された3D の素材を選択・配置することで,手軽にコンテンツを作 成することができる. インタラクティブストーリーを作成するためのストーリーエディタは,図 6 のように, イベントノードのリストの編集パネルおよびアクションを指定するためのアクション パネルからなる. イベントノードを縦に並べていくことで、上から順にイベントが再生されるストーリ ーを作成することができる.イベントノードを縦のリストの横に配置することで,左 側リストの中の一つ上のノードからストーリー分岐が発生する.横方向に複数のノー ドを並べることで,複数の分岐ルートを作成することが可能である. イベントに指定するアクションは,アクションパネルに配置されたボタンを押すこ とで選択することができる. 図 2:再生されるシーンの例 図 3:イベントノード 図 4:キャラクタエディタ 図 5:フィールドエディタ

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4 ⓒ2012 Information Processing Society of Japan

5.

イベント制御とインタラクション 多くのインタラクティブストーリーでは,短いエピソードを連結して再生すること でストーリーを表現し,再生するエピソードを複数の候補からなんらかの条件で選択 することで,物語の分岐や内容の変化を実現している. 一般のコンピュータゲームでは,物語の分岐のために,ゲーム中のイベントでの選 択肢やプレイ内容に基づいてフラグを管理するものが多い.インタラクティブストー リーの従来研究においては,仮想空間上の事実と行動のルールを照らし合わせて展開 を決定する手法[1]や,キャラクタが視野などの知覚情報を持ち,ユーザのインタラク ションをトリガーとして対応したエピソードを選択する手法[4],ユーザが入力した自 然言語の文章に対応したエピソードを選択する手法[6]などがある. これらの手法では,分岐した先の物語の内容に適した遷移条件をあらかじめ設定し ておくことで,意図したインタラクティブストーリーを作成することができる.しか し,複数のコンテンツを作成することを考慮した場合,遷移条件として用いるのに適 している情報はコンテンツごとに変化する.また,UGC での利用を考慮すると,他者 が作成した既存のコンテンツを編集するという場面が考えられるが,この際,内部の イベントの構造や遷移条件について細かく知る必要がある. 本研究では,ユーザが記述したセリフの内容からイベントの遷移条件を決定するこ とで,これらの問題を解決している.セリフの内容と,感情に関連する語句を集めた 感情関係語句データベースを比較して感情パラメータを決定し,これを遷移条件とし て利用することで,コンテンツごとに異なるフラグや制御構造を必要とせず,容易に イベントの追加や編集を行うことができる. 感情パラメータには Izard が提唱した,人間の表情形成による感情分類[9]から,「喜 び」「哀しみ」「怒り」「嫌悪」「恐怖」「罪」「恥」「興味」「驚き」の 9 種類のパラメー タを用意する.この感情モデルを用いることで,イベント制御だけでなく,キャラクタ の表情の変化にも用いることができる. ストーリーの再生時,これらのパラメータはイベントの進行およびユーザからの働 きかけによって変化していく.ストーリーの再生を開始する前に,ユーザが作成した 全イベントリストを走査して,記述されたセリフおよびアクションから,ノードパラ メータと呼ばれるデフォルト状態でのイベントの感情パラメータを決定し,これを発 生条件とする.感情パラメータは,ストーリーに登場するそれぞれのキャラクタが持 っており,ノードパラメータはイベントノードごとに,それぞれのキャラクタに対応 するパラメータを一つずつ持つ. ノードパラメータの決定に用いる感情関係語句データベースには,セリフの中にある 単語が記述されていた場合,前述の 9 種類の感情パラメータがどれだけ増減するかと いうスコアが格納されている.格納されている語句は,WordNet-Affect[10]から抽出し た感情に関連した語句および,ストーリーに使われやすいと思われる語句を中心に集 めた独自の単語群からなる. インタラクションはキャラクタの機嫌を良くするもの,悪くするもの,キャラクタを つかんで移動させるもの、およびオブジェクトをつかんでキャラクタに渡す、ぶつけ る等のインタラクションを用意した.これらの操作を行うことで再生時のキャラクタ の感情パラメータが変化し,ストーリーの内容が分岐する. 5.1 キャラクタの振る舞いとイベント制御 本システムでは,キャラクタはユーザから与えられたイベントに記述された行動をと るほか,イベントが与えられていない間は自ら歩き回ったり,近くにいる別のキャラク 図 6:ストーリーエディタ 図 6:ストーリーエディタ

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5 ⓒ2012 Information Processing Society of Japan タがセリフを言ったり行動を起こしたとき,そのキャラクタに注目するなどの行動を とる. また,ユーザのインタラクションに対してリアクションを返す. これらのキャラクタ の振る舞いの制御は,イベントの制御と平行して行う必要がある.そのため,本システ ムでは,キャラクタのリアクションを制御するモジュール,イベント制御を行うモジュ ール,及びイベントが割り当てられていないキャラクタの普段の行動をスケジューリ ングするモジュールを各層に分割し,それぞれが独立した木構造を持ち状態遷移を行 うことで,キャラクタの振る舞いを決定する. 各層はリアクション制御層,イベント制 御層,スケジュール制御層の順に優先度が高く設定されており,ユーザが働きかけを行 うとリアクション層に処理が移る. 5.2 リアクション制御 ユーザの働きかけに対するリアクションの制御を行うリアクション層では,キャラク タの状態とユーザが行ったインタラクションの種類から,キャラクタがとるリアクシ ョンを選択・再生する処理を行う.キャラクタそれぞれが持つ感情パラメータや,現 在イベントが割り当てられているか否か等の状態から,実行するリアクションが選択 される. ハンドボタンを使ったインタラクションが行われた場合は,ユーザがドラッグした 位置までキャラクタが歩いていくというリアクションをおこなう.機嫌の操作のイン タラクションが行われた場合は,対応したエフェクトとアニメーションを実行し,感 情パラメータを制御する. 5.3 イベント制御 ユーザが作成したイベントのリストを木構造として持つ..木構造のノードは前述の イベントノードである.それぞれのイベントノードは,ユーザによって指定されたセ リフ,アクション,キャラクタ名の他に,イベント遷移のためのローカルな時間変数 とイベント選択に用いる感情パラメータを持つ. キャラクタがそれぞれ木構造を持つのではなく,一つの木構造を実行し,それぞれの キャラクタに対してイベントの実行を指示する. 5.4 スケジュール制御 イベントが指定されておらず、なおかつユーザからのインタラクションに対するリ アクションを行っていないキャラクタは、スケジュール制御モジュールによって行動 が決定される. それぞれのキャラクタが独立して制御され,キャラクタの状態に応じて移動や,アイ ドルモーションの再生などの行動を選択する. また、近くにしゃべっているキャラクタがいる場合等,キャラクタの視線や身体の 向きの制御もスケジュール制御モジュールで行う.

6.

評価実験 6.1 4 コマ漫画を用いた予備実験 本システムが採用している,セリフを記述していく方法を用いて作成できるストーリ ーの多様性を確認するため,4 コマ漫画を用いた予備実験を行った.同一の絵に対し てセリフを記述したとき,完成した 4 コマ漫画の物語にどの程度のバリエーションが あるかを調査した.実験は以下のように行った. ・セリフが記入されていない 4 コマ漫画を用意する(図 7). ・同一の 4 コマ漫画を複数の被験者に渡し,セリフを記入してもらう. 16 人の被験者を対象に実験を行い,12 個の作品が集まった.集まった 12 作品は表 1 に示すように,似たものはあるものの,まったく同じ内容だったものは無く,絵が同 じものであってもセリフの内容によって違ったストーリーを表現することができるこ とが確認できた. 6.2 イベント制御システムの評価 本システムのストーリー制御手法とインタラクティブストーリー作成支援システム の評価を行うために,大学生 5 名を対象に評価実験を行った.実験の手順を以下に示 す. 1.インタラクティブストーリーの鑑賞 作成されたコンテンツに対して自由にインタラクションを行いながら鑑賞を行って もらう. 2.インタラクティブストーリーの作成 ストーリーエディタを用いてコンテンツの作成を行ってもらう.手順1で用いたコ ンテンツに対して自由に編集を行ってもらう.また,作成したコンテンツを鑑賞して もらう. 実験終了後,アンケート調査を行った(表 2). ストーリー内容の変化が確認できた かという設問では良い評価を得られ,本システムのイベント制御手法の有効性を確認 できた.コンテンツの編集のしやすさについては,おおむね良い評価を得られたが, イベント数が増加するとエディタ上での操作がしにくくなるという結果が得られた. インタラクティブ性についての質問では,キャラクタのモーションのパターンが少な いといった意見が得られた. 現時点では,この評価によって得られた意見にあるようにモーションのパターンはあ まり多くないが,4 コマ漫画を使って得られた結果から,動きのパターンが限られて いても様々なストーリーを表現できるのではないかと思われる.

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6 ⓒ2012 Information Processing Society of Japan 作品番号 内容 1 サンタからプレゼントをもらったと少女がよろこぶが,サンタはいないと クマがばかにして,締め付けられる. 2 プレゼントからしゃべるクマがでてくる.くまが世界征服をめざしている と話し、少女がとりおさえる. 3 プレゼントの中身が空であり、新鮮な空気がプレゼントだとクマが言う. 怒った少女に締め付けられたクマが空気を欲する. 4 プレゼント交換になにを入れるか迷う少女.プレゼント選びなら任せろと クマが登場するが,少女はクマを箱に入れようとする. 5 サンタからのプレゼントを少女が開けようとすると,クマがプレゼントを 置いたのは少女の父であるとばらす. 6 プレゼントが過剰梱包だと少女が言うと,クマが「木っ端みじんにしてや る」と言いだす. 7 少女がプレゼントを用意するが,プレゼントが自分でないことにクマが怒 り,喧嘩になる. 8 少女が彼にプレゼントを渡そうとするが,彼はクマに食べられている.少 女が怒って締め付けると中から彼の声がする. 9 少女がクマにプレゼントの鮭をあげようとするが,毎日鮭を食べさせられ て飽きていたクマが文句を言う. 10 プレゼントの中身が気になる少女に,中身はお菓子の詰め合わせであると クマが明かす.すでにクマが食べてしまったと判明し,少女がこらしめる. 11 お歳暮に海老をもらった少女.クマが全部たべてしまうが,海老は国宝の 海老だったとわかり,少女が吐き出させようとする. 12 少女がプレゼントを渡そうしていた相手と現在付き合っているのは自分 だとクマが言う.少女はクマが女の子だったことに驚きつつ,締め付ける.

7.

まとめ UGC での展開を目指し,インタラクティブストーリーの作成を容易にするために,セ リフの記述によるインタラクティブストーリーの作成を実現するイベント制御,およ びインターフェースを開発し,評価を行った. 評価実験の結果,インタラクティブストーリーを作成する最低条件である内容の変 化等は充分に実現できているが,エディタの使いやすさやモーションのパターン数等 に関して課題が残る結果となった.今後,これらの問題を改善していく.

参考文献

1) Meehan, J. The metanovel: Writing stories by computer. Ph.D. Dissertation. Yale University. 1976. 2) Funge, J., Tu, X. and Terzopoulos, D. 1999. Cognitive modeling: knowledge, reasoning and

planning for intelligent characters. In Proceedings of SIGGRAPH 99, 29-38.

3) Cavazza, M., Charles, F. and Mead, S.J. AI-based Animation for Interactive Storytelling. Proceedings of Computer Animation, IEEE Computer Society Press, Seoul, Korea, pp. 113 -120 , 2001. 評価項目 1(悪) 2 3 4 5(良) ストーリー内容の変化 0人 0人 0人 2人 3人 コンテンツの編集のしやすさ 0人 2人 1人 1人 1人 インタラクティブ性 0人 1人 1人 2人 1人 表1:4 コマ漫画を用いた予備実験の結果 表 2:イベント制御システムの評価結果 図 7:4 コマ漫画を用いた予備実験

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7 ⓒ2012 Information Processing Society of Japan 4) 中野 敦,河村 仁,三浦 枝里子,星野 准一:" Spilant World: エピソードツリーによる インタ

ラクティブなストーリー創発型ゲーム", 芸術科学会論文誌 Vol. 6 No. 3 pp. 145 - 153 5) M. Cavazza, F. Charles, S. J. Mead: “Agents' Interaction in Virtual Storytelling”, IVA 2001, pp.

156-170, 2001.

6) Mateas, M., and Stern, A. 2003. Façade: An experiment in building a fully-realized interactive drama. GameDevelopers Conference, Game Design track.

7) Perlin, K. and Goldberg, A. 1996. Improv: A System for Scripting Interactive Actors in Virtual Worlds. In Proceedings of SIGGRAPH 96, 205-216.

8) 江谷典子,土佐尚子,中津良平"インタラクティブなストーリー生成のためのスクリプト制御 ",A-16-10 1997. 23

9) Izard, C. E.: The Face of Emotion, NewYork:Appleton-Century-Crofts.(1971)

10) Strapparava, C., Valitutti, A.: an AffectiveExtension of WordNet, Proceedings of LREC’04,pp.1083-1086.(2004)

謝辞

本研究を進めるにあたってご協力いただいた研究室メンバーの皆さま,特に,シ ステム実装について様々なアドバイスをくださった森崇志さんに感謝の意を表し ます.

参照

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