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オスマウスの社会行動制御におけ るエストロゲン受容体βの役割

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Academic year: 2021

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(1)

Roles of estrogen receptor β in the

regulation of social behaviors in male mice

著者

仲田 真理子

発行年

2016

その他のタイトル

オスマウスの社会行動制御におけ るエストロゲン

受容体βの役割

学位授与大学

筑波大学 (University of Tsukuba)

学位授与年度

2016

報告番号

12102甲第7901号

URL

http://hdl.handle.net/2241/00144980

(2)

審査様式2-1

-

氏 名

仲田

真理子

学 位 の 種 類

EA

博士(

神経科学 )

A

学 位 記 番 号

EA

博甲第 7901 号

A

学 位 授 与 年 月

EA

平成 28 年 5 月 31 日

A

学位授与の要件

EA

学位規則第4条第1項該当

A

審 査 研 究 科

EA

人間総合科学研究科

A

学 位 論 文 題 目

EA

Roles of estrogen receptor β in the regulation of social

behaviors in male mice (オスマウスの社会行動制御におけ

るエストロゲン受容体βの役割)

A

EA

筑波大学教授

博士(医学)

一谷 幸男

A

EA

筑波大学教授

博士(医学) 宇野

A

EA

筑波大学教授

理学博士

志賀

A

EA

鹿児島大学教授

博士(心理学) 富原

一哉

論文の内容の要旨

相手に応じた適切な社会行動は、動物の生存・生殖に必要不可欠である。動物は、相手の年齢・性別 や生殖能力、新奇な個体かどうかを識別し、これらの社会的情報をもとにとるべき行動を選択する。例 えば、雄マウスは、雌に対しては性行動を行うが、雄同士が遭遇した場合は攻撃行動を含む社会的相互 作用を繰り返してヒエラルキーを構築する。これらの雄の社会行動の発現には、性ステロイドホルモン、 テストステロンが重要な役割を果たしている。精巣から分泌されたテストステロンは脳内のアンドロゲ ン受容体に、またはエストラジオールに変換されてエストロゲン受容体に結合する。2 種類のエストロ ゲン受容体、エストロゲン受容体α(ERα)とエストロゲン受容体β(ERβ)がテストステロンによ る雄の社会行動制御を仲介していることが知られている。 これまで、雄の性行動や攻撃行動の発現に促進的な役割を果たす ERαの脳内作用機序については、 ノックアウトマウスや部位特異的遺伝子ノックダウンなどの方法を用いて徐々に明らかにされてきた。 一方、ERβの社会行動制御における役割には不明な部分が多い。ノックアウトマウスを用いた先行研 究からは、ERβは単に典型的な性行動や攻撃行動を発現させるというよりも、経験や状況に応じて、 それぞれの行動発現の程度をファインチューニングしていることが示唆されてきた。本研究では、ER βによる社会行動の制御が脳内のどこでいつどのように行われているのか、そして、ERβによる行動 調節作用が雄マウスの社会的相互作用においてどの程度の重要性を持つのかを明らかにすることを目 的とした。

(3)

審査様式2-1

-

2 実験1~実験4では、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いた RNA 干渉法により、オスの社会行動制 御に重要な役割を持つ2つの部位、内側視索前野(MPOA)と内側扁桃体(MeA)で ERβの部位特異 的ノックダウンを行い、各脳部位でのERβ遺伝子発現の抑制が雄の社会行動に与える影響を検討した。 また、思春期から成体期にかけてのノックダウンと、成体期のみでのノックダウンの効果を比較するこ とで、それぞれの部位の ERβがいつ、雄の社会行動制御に重要な役割を果たしているのかを明らかに することを目指した。 その結果、思春期前のMPOA での ERβノックダウンにより、成体期の攻撃行動が減少した。したが って、MPOA では思春期の ERβが、攻撃行動を制御する神経回路の雄性化に関与している可能性が示 唆された。(実験1)。また、MPOA での成体期のみの ERβノックダウンは、今回検討した性行動、攻 撃行動、雄型性的選好のいずれにも影響を与えなかったことから、MPOA での成体期の ERβはこれら の行動の発現には必要ではないことが示唆された(実験2)。一方 MeA では、成体期における ERβの 発現が雄型性的選好に必要であることが明らかになった(実験3)。通常雄は非発情雌や雄のにおいより も生殖可能な発情雌のにおいを好んで探索するが、成体期においてMeA で ERβがノックダウンされた マウスでは、発情雌-非発情雌間の選好が消失し、実際に性行動が可能な直接接触場面においても、ノッ クダウン群の雄は発情雌を性行動相手として選好しなかった。一方、発情雌-雄間の選好は MeA での ERβノックダウンによって阻害されなかったことから、MeA の ERβは雌の発情状態を識別し、発情 雌を性行動の相手として選択するために必要であることが示唆された(実験3、4)。 さらに、ERβの発現が継続した社会的関係の構築にどの程度の重要性を持つのかを検討するために、 実験5では ERβ遺伝子の欠損(ノックアウト)が繰り返し遭遇した他個体との関係構築に与える影響 を検討した。その結果、ERβノックアウトマウス同士のペアは、野生型(コントロール)マウスと比 べて、社会的相互作用の継時的変化が少なく、同じ個体との遭遇を繰り返しても、野生型マウスと同じ ようにヒエラルキーを構築することができなかった。 以上の結果より、雄マウスの ERβは、脳内で部位特異的・時期特異的に社会行動の異なる側面を調 節していること、生殖相手となる異性の選択および同性他個体との継続的な関係構築に重要な役割を持 つことが示唆された。

審査の結果の要旨

(批評) 本研究は、オスマウスの社会行動制御におけるエストロゲン受容体β(ERβ)の役割について、RNA 干渉法による遺伝子発現の抑制や、遺伝子ノックアウトマウスを用いて検討したものである。その際、 ERβによる行動制御が脳内のどの部位で、どの時期に行われているのかに注目し、重要な役割を持つ と考えられる2つの部位、内側視索前野と内側扁桃体で受容体の部位特異的ノックダウンを行い、また 思春期から成体期にかけてのノックダウンと、成体期のみのノックダウンの効果を比較した点に価値が 認められる。雄マウスの ERβが、脳内で部位と時期特異的に社会行動の異なる側面を調節しているの を示唆するなど、新しい知見を提示した点で高く評価できる論文である。 平成 28 年 4 月 8 日、学位論文審査委員会において、審査委員全員出席のもと論文について説明を求 め、関連事項について質疑応答を行い、最終試験を行った。その結果、審査委員全員が合格と判定した。 よって、著者は博士(神経科学)の学位を受けるのに十分な資格を有するものと認める。

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