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X 線 教 育 訓 練 資 料 ( 「 原 子 力 ・ 放 射 線 と 環 境 」 資 料 )

To foreign students、 Please see the Radiation Protection texts of US Environmental Protection Agency (http://www.epa.gov/radiation/topics.html) 機 械 工 学 科 中 村 祐 三 1 . は じ め に 私 達 は 、 日 常 生 活 に お い て 常 に 自 然 界 か ら 放 射 線 を 浴 び て い る 。 ま た 、 医 療 な ど で は 積 極 的 に 放 射 線 を 用 い た 診 断 や 治 療 が 行 わ れ 、 工 学 の 分 野 で は 人 工 的 に 作 る 電 子 線 、 X 線 な ど の 放 射 線 を 利 用 し た 技 術 が 多 用 さ れ て い る 。自 然 に あ る 放 射 線 も 、技 術 と し て 用 い る 放 射 線 も 、 身 体 に 与 え る 影 響 は 同 じ で あ る 。 従 っ て 、 こ れ を 安 全 に 利 用 す る 知 識 と 技 術 の 修 得 が と て も 重 要 で あ る 。 平 成 2 0 年 度 の 教 育 訓 練 で は 、 我 々 の 工 学 部 の X 線 発 生 装 置 だ け で な く 、 様 々 な 放 射 性 物 質 と 放 射 線 に 関 す る 話 を く わ え る 。 な お 、 こ の 教 育 訓 練 は 、 電 離 放 射 線 障 害 防 止 規 則 と い う 法 律 に 定 め ら れ た 事 項 に 準 拠 し て 実 施 す る 。 大 学 や 学 部 の ル ー ル と は 思 わ ず 、 遵 守 に 心 が け て 欲 し い 。 2 . 自 然 放 射 線 と 暮 ら し や 研 究 の 中 の 放 射 線 ( 1 ) 自 然 放 射 線 私 達 は 年 間 に 2.4 mSv( ミ リ シ ー ベ ル ト ) の 放 射 線 を 浴 び て い る 。 放 射 線 の 単 位 の 一 つ で あ る Sv は 、 放 射 線 が 生 体 に 与 え る 影 響 に 関 し て 定 義 さ れ て い る ( 後 に 説 明 す る ) 。 自 然 放 射 線 は 、 図 1 に 示 す よ う に 、 1 ) 宇 宙 か ら や っ て く る と て も 高 い エ ネ ル ギ ー の 粒 子 が 地 球 の 大 気 に 侵 入 し て 空 気 の 分 子 と 衝 突 し て 発 生 す る 放 射 線 、 2 ) 地 球 創 成 の こ ろ か ら 大 地 に 存 在 す る 放 射 性 物 質 に よ る 放 射 線 、 3 ) 私 達 の 身 体 に 取 り 込 ま れ て い る 放 射 性 物 質 に よ る 放 射 線 、 で 構 成 さ れ て い る 。 自 然 放 射 線 に よ る 被 爆 の 量 は 環 境 に よ っ て 変 わ る 。 例 え ば 、 飛 行 機 に 乗 っ た ら 、 高 度 が 高 く な る 分 だ け 1 ) の 宇 宙 放 射 線 の 被 爆 量 が 増 え る 。 ま た 、 建 物 の 壁 か ら は 放 射 性 物 質 で あ る ラ ド ン が 放 出 さ れ て お り 、 部 屋 を ず っ と 閉 じ た ま ま に し て い る と ラ ド ン に よ る 放 射 線 被 爆 が 増 え る 。 土 壌 や 鉱 石 に は 比 較 的 多 量 の 放 射 性 物 質 が 含 ま れ て い る こ と が あ り 、 土 地 に よ っ て も 2 ) の 大 地 か ら の 放 射 線 被 爆 の 量 は 変 わ る 。 肥 料 や 栄 養 食 品 に 含 ま れ て い る カ リ ウ ム は 放 射 線 を 出 す 。 3 ) の 私 達 の 体 内 被 爆 は カ リ ウ ム が も っ と も 大 き い 。 ( 2 ) 暮 ら し の 中 の 放 射 線 私 達 が 暮 ら し の 中 で も っ と も 放 射 線 の 被 爆 を 受 け る の は 、 医 療 の 診 断 や 治 療 で 使 わ れ る X 線 で あ る 。 図 1 に あ る よ う に 、 C T 検 査 で は 自 然 放 射 線 の 数 倍 の 線 量 の X 線 を 受 け 、 胃 の 検 診 等 で は 自 然 放 射 線 の 数 分 の 1 程 度 の 線 量 の X 線 を 受 け る 。 鹿 児 島 に は 川 内 に 原 子 力 発 電 所 が あ る が 、 発 電 所 の 周 辺 で 健 康 診 断 程 度 の 線 量 が 1 時 間 あ る と 、 原 子 炉 が 停 止 さ れ る こ と に な っ て い て 、 異 常 と 認 め ら れ る の は そ の 1 0 0 分 の 1 程 度 の 線 量 が 1 時 間 で 測 定 さ れ た 場 合 に な っ て い る こ と が わ か る 。 0.001 0.01 0.1 1 10 異常が発生し原子力事業者が通報しなければ ならないレベル(1時間) 胸のX線集団検診(/1回) 軽水炉周りの線量目標値(/年) 東京・NY飛行機往復 国内の自然放射線の差(県別) 原子力緊急事態となるケース(1時間) 胃のX線集団検診(1回) 一般公衆の線量限度(/年、医療被曝を除く) 自然放射線(/年) 胸部CT(1回) 線量 (mSv) 外部被爆 宇宙線 (0.36 mSv/y) 大地放射線 (0.41 mSv/y) 体内   食物  (0.24 mSv/y) ラドンなど (1.5 mSv/y) 暮らしの中の放射線 自然放射線  年間  2.4 mSv 図 1

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( 3 ) 研 究 に お け る 放 射 線 工 学 部 で 行 っ て い る 研 究 に お け る 放 射 線 は 、 X 線 回 折 装 置 (XRD) 、 X 線 光 電 子 分 光 装 置 (ESCA) な ど に お け る X 線 、 走 査 型 電 子 顕 微 鏡(SEM)に お け る 電 子 線 や X 線 が 専 ら で あ る 。 こ れ ら に つ い て は 後 に 説 明 す る 。 ま た 、表 1 に 示 す よ う に 研 究 で 用 い る 物 質 の 中 に も 放 射 性 物 質 が 含 ま れ て い る 。 た と え ば 、 塩 化 カ リ ウ ム KCl に 含 ま れ る 天 然 カ リ ウ ム K は 原 子 番 号 19 で 、原 子 核 に は 19 個 の 陽 子 が 含 ま れ る が 、原 子 核 を と も に 構 成 す る 中 性 子 の 数 は 20 個 、21 個 、22 個 の 場 合 が あ り 、陽 子 と 中 性 数 の 合 計 数 で あ る 質 量 数 は 39、 40、 41 と な る 。こ の よ う に 原 子 番 号 が 同 じ で 、中 性 子 の 数 が 異 な る も の を 同 位 体( ア イ ソ ト ー プ )と い い 、 カ リ ウ ム の 場 合 に は 天 然 の 同 位 体 は 39K 存 在 比 93.2581% 安 定 同 位 体 40K 存 在 比 0.0117% 放 射 性 同 位 体 41K 存 在 比 6.7302% 安 定 同 位 体 と い う 割 合 で 構 成 さ れ て い て 、 こ の う ち 0.012%の 40K が 放 射 性 崩 壊 し て 放 射 線 ( β 線 、 γ 線 ) を 放 出 し ま す 。 こ れ を 放 射 性 同 位 元 素 ( ラ ジ オ ア イ ソ ト ー プ 、 R I ) と 言 う 。40K の よ う に 放 射 性 崩 壊 を す る 性 質 の こ と を 放 射 能 と 言 う 。39K や 41K は 放 射 能 を 持 た ず 、 安 定 同 位 体 と 呼 ば れ る 。 図 2 は 、R I で あ る 40K の 崩 壊 図 で あ り 、 縦 軸 が 原 子 核 の エ ネ ル ギ ー に な っ て い る 。 40K は エ ネ ル ギ ー 的 に 高 い 不 安 定 な 状 態 に あ り 、 1.33 MeV の β 線 を 放 出 し て 原 子 番 号 41、 質 量 数 40 の 40Ca に な る か( 89%)、電 子 捕 獲( EC)と い う 反 応 を 起 こ し て 1.46 MeV の γ 線 を 放 出 し て 原 子 番 号 18、質 量 数 40 の 40Ar に な る( 11%)。こ の 原 子 核 崩 壊 に よ っ て 最 初 の 40K の 原 子 数 が 半 分 に な る ま で の 時 間 を 半 減 期 と 言 う 。 表 1 に お い て 、ト リ ウ ム の 内 232Th、ま た ウ ラ ン 235U、238U は α 線 を 放 出 す る 放 射 性 崩 壊( 一 部 β 崩 壊 も 含 ま れ る ) を 起 こ す が 、 形 成 さ れ た 娘 核 種 も 次 々 に 放 射 性 崩 壊 を 起 こ す 。 こ の よ う に 放 射 性 崩 壊 を 起 こ す 一 連 の 核 種 の こ と を 放 射 系 列 と い う 。 ウ ラ ン の 中 で も っ と も 同 位 体 存 在 比 が 大 き い 238U の 場 合 、 238U → 234Th → 234 mPa → 234U → 230Th → 226Ra → 222Rn → 218Po → 214Pb → 214Po → 210Tl →2 10Pb → 210Bi → 206Hg → 210Po → 206Tl → 206Pb( 安 定 ) で 表 さ れ る ウ ラ ン 系 列 が あ る 。呼 吸 に よ っ て 体 内 被 爆 を 生 じ る ラ ド ン Rn は こ う し た 放 射 系 列 に 含 ま れ る 。 ま た 、 表 1 に お い て 、 ト リ ウ ム Th、 ウ ラ ン U は 核 分 裂 反 応 を 起 こ す こ と が で き る 。 こ の た め 、こ れ ら は 核 燃 料 物 質 と し て 扱 わ れ 、法 的 規 制 も 異 な る 。工 学 部 は 、核 燃 料 物 質 を 取 り 扱 え る 施 設 を 有 し て い な い の で 、 こ れ ら の 物 質 に つ い て は 使 用 禁 止 で あ る 。 α 4.49×109 99.28 α 7.13×108 0.72 α 1.39×1010 100 β 4×1012 62.93 β、γ 7.5×1010 2.6 α 1.4×1011 15.07 α 2.4×1015 23.9 β 1.1×1011 0.089 β ~1022 34.49 β 6×1014 95.77 β 5×1010 27.85 γ 6×1015 0.24 β、γ 1.2×109 0.0119 放射線 半減期(年) 同位体存在比% 核種 K 40 19 V 50 23 In 115 9 4 Rb 87 37 Sm 147 62 Te 130 52 La 138 57 Lu 176 71 Nd 144 60 Re 187 75 Th 232 90 U 235 92 U 238 92

天然の主な放射性同位元素

は放射系列を作る (238U・・・>226Ra→222Rn) 崩壊図

Ar

40 18

K

40 19

Ca

40 21 −

β

89% EC 11% γ エネルギー( Q値) 1.46MeV 1.33MeV 1.26x 109 表 1 図 2

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3 . 放 射 性 崩 壊 と 放 射 線 ( 1 ) 原 子 の 質 量 と エ ネ ル ギ ー 質 量 等 価 則 原 子 番 号 Z の 原 子 で は 、図 3 に 示 す よ う に 、Z 個 の 陽 子( p)と N 個 の 中 性 子( n)か ら な る 原 子 核 の 周 り を 、 Z 個 の 軌 道 電 子 が 運 動 し て い る 。 陽 子 の 質 量 は Mp = 1.00728 u、 中 性 子 の 質 量 は Mn = 1.00866 u で あ っ て ほ ぼ 等 し く 、電 子 の 質 量 me = 0.000549 u よ り も は る か に 大 き い (u は 原 子 質 量 単 位 と 呼 ば れ 、 1 u = 1.66 x 10−27 kg) 。 こ の た め 、 原 子 の 質 量 は ほ と ん ど 陽 子 と 中 性 子 に よ っ て 占 め ら れ て い る と 言 っ て よ い 。 原 子 核 の 性 質 は 陽 子 数 と 中 性 子 数 に よ っ て 決 ま っ て く る た め 、原 子 核 の 種 類 を あ ら わ す の に 、A N ZX の よ う に 書 く 。 こ れ を 核 種 と 言 う 。 ま た 、 A は 質 量 数 と 呼 ば れ 、 A = Z + N、 つ ま り 陽 子 と 中 性 子 の 数 の 合 計 で あ る 。 よ り 一 般 に は 、 質 量 数 の 関 係 か ら N が 省 か れ た XA Z 、 あ る い は 、核 種 X は 元 素 記 号 で 表 す た め 原 子 番 号 も 既 知 で あ る こ と か ら XA の よ う に 略 さ れ る こ と が 多 い 。 こ こ で 、 原 子 番 号 6 で 中 性 子 数 6、 質 量 数 12 の C126 の 原 子 の 質 量 を 考 え て み る ( 図 4 ) 。 陽 子 、中 性 子 、電 子 を そ れ ぞ れ 必 要 な 数 だ け 取 り 揃 え た と き の 質 量 は Mo = 6Mp + 6Mn + 6me = 12.09864 u で あ る 。し か し 、実 際 の C126 の 質 量 はM =12uで あ っ て 、そ れ ぞ れ の 粒 子 が ば ら ば ら の と き よ り も 質 量 は 小 さ く な っ て い る 。 こ れ を 質 量 欠 損 と い い 、12C 6 の 場 合 に は 、 質 量 欠 損 はΔM = M – Mo = 0.09894 u で あ る 。 特 殊 相 対 性 理 論 に よ れ ば 、 質 量 m は エ ネ ル ギ ー E と 等 価 で あ り 、E=mc2で あ ら わ す こ と が で き る 。こ こ で c は 光 の 速 度( 2.998×108 m/sec)で あ る 。エ ネ ル ギ ー の 単 位 と し て 、1 eV ( エ レ ク ト ロ ン ボ ル ト ) = 1.602×10−19 J を 用 い る と 、 1 u の 質 量 は 931.5 MeV の エ ネ ル ギ ー に 相 当 す る 。よ っ て 、126Cの 質 量 欠 損 は E = ΔMc2 = 92.16 MeV で あ る 。す な わ ち C126 は 、そ れ ぞ れ の 粒 子 が ば ら ば ら で あ る と き よ り も 、原 子 を 構 成 し た 方 が E = 92.16 MeV だ け エ ネ ル ギ ー 的 に 安 定 で あ る こ と を 意 味 す る 。こ の エ ネ ル ギ ー は 原 子 核 に お け る 陽 子 と 中 性 子 の 結 合 エ ネ ル ギ ー と し て 用 い ら れ る( 原 子 核 と 軌 道 電 子 間 の 結 合 エ ネ ル ギ ー は こ れ よ り も は る か に 小 さ い の で 無 視 し て よ い ) 。 図 3 . 図 4 .

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( 2 ) 原 子 核 の 安 定 性 核 種 X が 安 定 か 、 あ る い は 放 射 線 を 放 出 し て 別 の 核 種 に 変 換 す る 放 射 性 を 持 つ か は 、 原 子 核 の 安 定 性 に よ る 。こ こ で は 、原 子 核 の 性 質 を 表 す 古 典 的 な モ デ ル で あ る 液 滴 モ デ ル で 説 明 す る 。液 滴 モ デ ル で は 、原 子 核 を 水 滴 の よ う に 考 え る 1)。す な わ ち 、原 子 核 の エ ネ ル ギ ー は 、( 1 )陽 子 と 中 性 子 が 一 様 な エ ネ ル ギ ー で 結 合 す る 体 積 効 果 、( 2 )原 子 核 の 表 面 に あ る 陽 子 ま た は 中 性 子 の 結 合 が 切 れ て い る た め に エ ネ ル ギ ー が 高 く な る 表 面 効 果 、( 3 )陽 子 と 中 性 子 は 対 に な っ た ほ う が 安 定 で あ る こ と に よ る 対 称 性 効 果 、( 4 )陽 子 間 の 静 電 的 反 発 力 に よ り エ ネ ル ギ ー が 高 く な る 静 電 効 果 に よ っ て 表 さ れ る と す る 。原 子 核 の 結 合 エ ネ ル ギ ー を B と す る と 、陽 子 あ る い は 中 性 子( 原 子 核 を 構 成 す る 粒 子 と し て 核 子 と い う )一 個 あ た り の 結 合 エ ネ ル ギ ー は 以 下 の 式 で 表 さ れ る 。 (MeV) 8 . 11 711 . 0 ) 2 ( 7 . 23 8 . 17 75 . 15 1/3 2 2 42/3 2 A f A Z A Z A A A Mc A B=Δ = 第 1 、2 、3 お よ び 4 項 は そ れ ぞ れ 体 積 効 果 、表 面 効 果 、対 称 性 効 果 、静 電 効 果 を 表 す 。第 5 項 は 陽 子 数 、質 量 数 の 偶 奇 に よ っ て 原 子 核 の 安 定 性 が 異 な る こ と か ら 生 じ る 偶 奇 性 効 果 で あ る 。こ の 式 は ワ イ ツ ゼ ッ カ ー の 式 と 呼 ば れ 、図 5 に 示 す よ う に 、自 然 界 に あ る 安 定 な 同 位 元 素 の 結 合 エ ネ ル ギ ー を よ く 記 述 し て い る こ と が わ か る 。図 5 よ り 、核 子 あ た り の 結 合 エ ネ ル ギ ー B/A は 、 質 量 数 と と も に 急 速 に 増 加 し 、 質 量 数 60 く ら い で 最 大 値 と な り 、 減 少 し て い く こ と が わ か る 。こ の こ と は 後 に 述 べ る よ う に 、重 い 原 子 核 が 不 安 定 で 、放 射 性 崩 壊 で よ り 軽 い 原 子 核 に な る 性 質 を も っ て い る こ と を 裏 付 け て い る 。 ま た 、図 6 は 、横 軸 に 中 性 子 数 N、縦 軸 に 陽 子 数 Z を と っ た と き の 核 種 の 安 定 性 を 示 す グ ラ フ で あ り 、 グ ラ フ 中 の 黒 印 で 示 さ れ る 安 定 同 位 体 に つ い て は N/Z = 1.02 + 0.015A2/3の 関 係 が あ り 、こ れ か ら ず れ る と 放 射 性 崩 壊 が 生 じ や す い こ と を 示 し て い る( な お 、重 い 原 子 核 で は 陽 子 の 数 が 増 え て 静 電 的 反 発 力 が 大 き く な る と 不 安 定 に な る た め に 、中 性 子 の 数 の ほ う が 多 い ) 。 図 5 . 図 6 .

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( 3 ) α 崩 壊 図 7 に 示 す よ う に 、 重 い 原 子 核 は エ ネ ル ギ ー 的 に 不 安 定 で あ り 、 ヘ リ ウ ム (He) の 原 子 核 で あ る α 粒 子 を 放 出 し て 崩 壊 す る 。 崩 壊 前 の 親 核 種 を X と す る と 、He の 陽 子 数 は 2 、 中 性 子 数 は 2 、 質 量 数 は 4 で あ る か ら 、 α 崩 壊 は α + → − − Y X AZ A Z 4 2 と 書 く こ と が で き る 。 こ こ で 、Y を 娘 核 種 と い う 。 ( 4 ) β 崩 壊 図 6 、 図 7 に 示 す よ う に 、 原 子 核 を 構 成 す る 陽 子 と 中 性 子 の 数 の 間 に は 安 定 と な る 比 率 が あ る 。こ の 比 率 よ り も 中 性 子 が 多 い 場 合 に は 、原 子 核 に お い て 中 性 子( n)は 陽 子( p) に な る 。 す な わ ち 、 e e p n→ + −+ν 中 性 子 は 電 荷 を 持 た な い た め 、陽 子 に 変 換 す る 際 に は 、負 の 電 荷 を 持 つ 電 子(e−)を 放 出 す る 。 こ れ を β−線 と い う 。 ま た 、νeは 反 電 子 ニ ュ ー ト リ ノ と 呼 ば れ 、 電 荷 を 持 た ず 、 物 質 と は ほ と ん ど 相 互 作 用 し な い 中 性 微 子 で あ る 。 こ の よ う な 原 子 核 の 崩 壊 を β−崩 壊 と い う 。 親 核 種 X が β−崩 壊 す る 場 合 、 e A Z A ZXY+β +ν − +1 と 書 く こ と が で き 、 娘 核 種 Y は 質 量 数 は 変 わ ら な い が 、 原 子 番 号 が ひ と つ だ け 増 加 す る 。 陽 子 数 を 中 性 子 数 の 安 定 な 比 率 よ り も 、陽 子 の 数 が 多 い 場 合 に は 、原 子 核 に お け る 陽 子 は 中 性 子 に な る 。 す な わ ち 、 e e n p→ + ++ν 、 e A Z A ZXY+β +ν + −1 で あ っ て 、原 子 核 中 の 陽 子 は 中 性 子 に 変 換 す る と と も に 、正 の 電 荷 を 持 つ 陽 電 子( e+)が 放 出 さ れ る 。こ の 陽 電 子 の こ と を β+線 と い い 、こ の よ う な 崩 壊 の こ と を β+崩 壊 と い う 。こ の と き 、β+崩 壊 で は 、親 核 種 X は 、質 量 数 が 同 じ で 原 子 番 号 が 一 つ だ け 減 っ た 娘 核 種 Y と な る 。ま た 、νeは 電 子 ニ ュ ー ト リ ノ と 呼 ば れ 、中 性 で 物 質 と ほ と ん ど 相 互 作 用 し な い 中 性 微 子 で あ る 。電 子 と 陽 電 子 は 、電 荷 が 負 と 正 と い う 違 い が あ る が 、質 量 は 同 じ で あ る た め 、物 質 と の 相 互 作 用 は 同 じ と 考 え て よ い 。 こ の た め 、 β―崩 壊 ( 線 ) 、 β崩 壊 ( 線 ) を ま と め て β 崩 壊( 線 )と 呼 ぶ こ と が 多 い 。β 線 の エ ネ ル ギ ー は 連 続 的 で あ る た め 、そ の 最 大 値 を 用 い て エ ネ ル ギ ー を 表 す の が 通 例 で あ る 。 ま た 、 原 子 核 に は 陽 子 が 過 剰 に あ る が 、 β+崩 壊 を 起 こ す ほ ど に は エ ネ ル ギ ー 的 に 高 く な い 場 合 に 、 原 子 核 に も っ と も 近 い K 殻 の 軌 道 電 子 を 原 子 核 が 捕 獲 し て 以 下 の 反 応 を 起 こ す こ と が あ る 。 p + K 殻 軌 道 電 子 → n + νe こ れ を 電 子 捕 獲 (EC) と い う 。 電 子 捕 獲 で は 直 接 の 崩 壊 反 応 と し て 物 質 と 相 互 作 用 し な い ニ ュ ー ト リ ノ が 放 出 さ れ る 。し か し 、K 殻 の 軌 道 電 子 を 失 っ た た め に 、よ り 高 い エ ネ ル ギ ー 準 位 の 軌 道 電 子 が K 殻 の 空 位 に 落 ち 込 ん だ 際 、 特 性 エ ッ ク ス 線 が 放 出 さ れ る 。 図 7

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( 5 ) γ 崩 壊 原 子 核 が エ ネ ル ギ ー 的 に 高 い 励 起 状 態 に あ る 場 合 、そ の エ ネ ル ギ ー を 電 磁 波 と し て 放 出 し 、 よ り 安 定 な エ ネ ル ギ ー 状 態 に 移 る 。放 出 さ れ る 電 磁 波 を γ 線 と い い 、こ の 崩 壊 を γ 崩 壊 と い う 。 改 め て 図 7 に 示 し た 40K の 放 射 性 崩 壊 に つ い て み て い る と 、 89% の 割 合 で β―崩 壊 に よ り 1.33 MeV の β-線 を 放 出 し て 原 子 番 号 が 一 つ 大 き い 40Ca に 崩 壊 す る 。残 り 11% は 、電 子 捕 獲 に よ り 原 子 番 号 が 一 つ 減 っ た 40Ar の 励 起 状 態 の 原 子 核 に 崩 壊 し 、 1.46MeV の γ 線 を 放 出 す る 。40Ar は 電 子 捕 獲 に よ り 軌 道 電 子 が 励 起 状 態 に あ る た め 、 X 線 を 放 出 す る 。40K の 崩 壊 に よ り 放 出 さ れ る 放 射 線 の 種 類 、 エ ネ ル ギ ー 、 割 合 を 表 2 に 示 す 。 図 7 . 表 2 .40K か ら の 放 射 線 ( 6 ) 放 射 線 の 種 類 自 然 界 の 放 射 性 同 位 元 素 か ら 生 じ る α 線 、β 線 は 電 荷 を 有 し 、ま た γ 線 は 電 磁 場 を 持 つ た め に 、物 質 と 静 電 相 互 作 用 し 、物 質 を 構 成 し て い る 原 子 や 分 子 を 電 離 し て 陽 イ オ ン・電 子 対 を 形 成 す る 能 力 が あ る た め に 、電 離 放 射 線 と 呼 ば れ る 。こ れ に 対 し 、原 子 炉 で 発 生 す る 中 性 子 、あ る い は β 崩 壊 で 発 生 す る ニ ュ ー ト リ ノ は 電 荷 が な い た め に 、直 接 的 な 電 離 作 用 は な い 。 し か し 、中 性 子 が 物 質 中 の 原 子 の 原 子 核 と 衝 突 し 、こ れ に よ っ て は じ か れ た 原 子 核 が 電 離 作 用 を 起 こ す こ と か ら 、二 次 的 に 電 離 作 用 が あ る 。ま た 、放 射 線 は 、α 線 、β 線 の よ う な 粒 子 線 、γ 線 や X 線 の よ う な 電 磁 波 に 分 け る こ と も で き る 。表 3 に は 、宇 宙 線 、人 工 的 に 作 ら れ る 放 射 線 も 含 め た 放 射 線 の 種 類 を 示 す 。 表 3 原 子 番 号 Z 放 射 線 エネルギー(keV) 割 合 (%) β+ 482.9 0.00104 β- 1311 89.28 γ線 1461 ~11 0.251 0.001 0.31 0.00072 2.88 3.3×10-8 2.956 0.93 X 線 (4 0Ar) 3.19 0.074

物質を電離する粒子や電磁波を言う。

中性子線(宇宙、人工) 非荷電中間子(宇宙) 中性微子(宇宙) 2次電離放射線 (間接電離) 他の原子核等に衝突し て、散乱や原子核反応 により電離作用 α線 、陽子(宇宙、人工) 重陽子などの荷電粒子(宇宙、人工) 荷電中間子(宇宙、人工) 核分裂片(人工、天然) β線 電子(人工) 1次電離放射線 (直接電離) 粒子 γ線(原子核由来) X線(人工、軌道電子由来) 1次電離放射線 電磁波 電離 放射線 中性子線(宇宙、人工) 非荷電中間子(宇宙) 中性微子(宇宙) 2次電離放射線 (間接電離) 他の原子核等に衝突し て、散乱や原子核反応 により電離作用 α線 、陽子(宇宙、人工) 重陽子などの荷電粒子(宇宙、人工) 荷電中間子(宇宙、人工) 核分裂片(人工、天然) β線 電子(人工) 1次電離放射線 (直接電離) 粒子 γ線(原子核由来) X線(人工、軌道電子由来) 1次電離放射線 電磁波 電離 放射線

放射線

22 40 18

Ar

21 40 19

K

19 40 21

Ca

β

89%

EC

11% 1.46MeV 1.33MeV 1.26億年 カリウム アルゴン カルシウム

γ

エ ネ ル ギ ー

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4 . 放 射 能 ( 1 ) 放 射 能 と 放 射 能 の 強 さ 放 射 能 と は 、原 子 核 が 放 射 線 を 放 出 し て 崩 壊 す る 性 質 の こ と を 言 う 。ま た 、こ の 性 質 を 表 す 大 き さ と し て 、単 位 時 間 当 た り に 生 じ る 原 子 核 の 崩 壊 数 を も っ て 放 射 能 の 強 さ と 定 義 す る 。 た だ し 、 放 射 能 の 強 さ も ま た 放 射 能 と 呼 ば れ る こ と が あ る 。 今 、時 刻 t = 0 に お い て 、放 射 性 核 種 X の 原 子 核 の 数 が No個 で あ っ た と す る 。 1 個 の 原 子 核 が 単 位 時 間 当 た り に 崩 壊 す る 確 率 を λと す る 。時 刻 t に お い て N 個 の 原 子 核 が 残 っ て い る 場 合 、 次 の 微 小 時 間 dt に お い て 、 1 個 の 原 子 核 が 崩 壊 す る 確 率 はλdt で あ る か ら 、 原 子 核 の 減 少 数 dN は 、 Ndt dt N dN =− ×λ =−λ と な る 。 初 期 条 件 t = 0、 N = Noの も と に こ れ を 解 く と t oe N N= −λ と な り 、λの こ と を 崩 壊 定 数 と い う 。 放 射 性 崩 壊 に よ っ て 原 子 核 の 数 が 半 分 に な る ま で の 時 間 を 半 減 期 と い う 。 半 減 期T を 用 い る と 、 T t o N N / 2 1 ⎟ ⎠ ⎞ ⎜ ⎝ ⎛ = 、 T T 693 . 0 2 ln ≈ = λ と 表 す こ と が で き る 。 ま た 、 単 位 時 間 当 た り の 崩 壊 の 頻 度 で あ る 放 射 能 の 強 さ を A と す る と 、 N T N dt dN A=− =λ =ln2 と な る 。 放 射 能 の 強 さ の 単 位 は Bq( ベ ク レ ル ) を 用 い る 。1 Bq は 1 秒 当 た り 1 回 の 崩 壊 頻 度 で あ る (1 Bq = 1 dps ( decays per second、 崩 壊 /秒 )) 。 ( 2 ) ケ ー ス ス タ デ ィ : KCl の 場 合 今 、 試 料 と し て 100 g の KCl を 購 入 し た も の と す る 。 KCl の 分 子 量 は 74.6 g/mol で あ り 、 40K の 同 位 体 存 在 比 は 0.012% で あ る か ら 、 100g の KCl 中 に 含 ま れ る 40K の 個 数 は 、 19 23 0.00012 9.7 10 10 02 . 6 6 . 74 100 × × × = × = g g No で あ る 。ま た 40K の 半 減 期 はT=1.26×109y×365d×24h×3600s=3.97×1016sで あ る 。購 入 後 か ら 使 用 す る ま で の 時 間 t に 対 し て 半 減 期 が 非 常 に 長 い の で 、(1/2)t/T (1/2)0=1と し て よ い 。 し た が っ て 、 放 射 能 の 強 さ は 図 8 T t o N N ⎟ ⎠ ⎞ ⎜ ⎝ ⎛ = 2 1 T N dt dN A=− =0.693

「放射能」の定義

(1)放射性崩壊をする性質のこと (α崩壊、β崩壊、γ崩壊など) 放射性崩壊の法則 時刻t = 0でNo個であった放射性同位体に ついて、時刻tの個数Nは、以下で表される。 T:半減期 (2)放射能の強さ 単位時間当たりに放射性核種が崩壊する頻 度をいう。 単位 ベクレルBq (1Bq = 1dps、崩壊/秒) キュリーCi (1Ci = 3.7 × 107Bq) No No/2 No/4 T 2T 時間t 原子核数N 半減期 接線の傾きの大きさ =放射能の強さ T t o N N ⎟ ⎠ ⎞ ⎜ ⎝ ⎛ = 2 1 T N A=0.693

(8)

kBq 7 . 1 Bq 10 7 . 1 10 97 . 3 10 7 . 9 693 . 0 693 . 0 693 . 0 3 16 19 = × = × × × = ≅ = No T N T A と な る 。 放 射 能 の 強 さ は 崩 壊 に よ っ て 出 て く る 放 射 線 の 量 を 表 す 。40K で は 89% が β―線 で 残 り が γ 線 で あ っ た か ら 、100g の KCl で は 1 秒 当 た り 1500 個 の 1.3MeV の β―線 が 放 出 さ れ 、11% 、 す な わ ち 1 秒 当 た り 186 個 の 1.46MeV の γ 線 が 放 出 さ れ る こ と に な る 。 5 . X 線 ( 1 ) 電 子 と 物 質 の 相 互 作 用 γ 線 も X 線 も 電 磁 波 で あ る が 、 前 者 が 原 子 核 か ら 放 出 さ れ る 放 射 線 で あ る の に 対 し 、 後 者 は 人 工 的 に 作 る 放 射 線 で あ る 。 先 に 進 む 前 に 、 大 切 な こ と と し て 、 電 磁 波 は 量 子 ( 光 子 ) と し て 取 り 扱 え 、波 長 をλと す る と き 光 子 の 運 動 量 p を λ / h p= エ ネ ル ギ ー E を λ ν hc/ h E= = で 表 す こ と が で き る こ と に 注 意 し て お く 。 こ こ で h は プ ラ ン ク 定 数 ( h = 6.626×10−34 J·s)、νは 振 動 数 (= c/λ) 、 c は 光 の 速 度 で あ る 。 図 9 は 、 材 料 の 観 察 や 分 析 に 用 い る 電 子 顕 微 鏡 の 原 理 図 で あ る 。 電 子 顕 微 鏡 で は 、金 属 フ ィ ラ メ ン ト を 加 熱 し て 熱 電 子 を 表 面 か ら 放 出 さ せ た 後 、観 察 試 料 と の 間 に 数 10 kV の 電 圧 を か け て 、電 子 を た た き つ け る 。電 子 銃 に は フ ィ ー ル ド エ ミ ッ シ ョ ン タ イ プ の も の も あ り 、電 子 銃 か ら 試 料 に た た き つ け る ま で の 間 に 、電 子 ビ ー ム を 細 く し た り 試 料 表 面 上 を 走 査 で き る よ う に レ ン ズ が 入 っ て い る 。こ の と き 入 射 電 子 の 加 速 電 圧 を V、エ ネ ル ギ ー を E と す る と 、 E=eVで あ る 。 図 9 で は 、20kV で 加 速 さ れ た 電 子 が 銅 試 料 に 入 射 し た 場 合 を 想 定 し て い る が 、 入 射 電 子 の 侵 入 深 さ は 数μm で あ り 、 試 料 の 原 子 番 号 が 低 い と も っ と 深 く ま た 広 く 侵 入 す る こ と に な る 。入 射 電 子 の 侵 入 領 域 に お い て 、表 面 層 か ら は 電 子( オ ー ジ ェ ー 電 子 、二 次 電 子 、反 射 電 子 ) が 放 出 さ れ る と と も に 、X 線 ( 連 続 X 線 、 特 性 X 線 ) が 放 出 さ れ る 。 こ の よ う に 試 料 表 面 か ら 放 出 さ れ る 電 子 や X 線 を 利 用 す る 観 察・分 析 装 置 と し て 、走 査 型 電 子 顕 微 鏡( SEM)、 EPMA( electron probe microanalysis)、電 子 後 方 散 乱 回 折( EBSD)装 置 な ど が あ る 。試 料 が 非 常 に 薄 く 、加 速 電 圧 が 高 く て 入 射 電 子 が 試 料 を 容 易 に 透 過 で き る こ と を 利 用 し て 組 織 観 察 を 行 う 装 置 に 、 透 過 電 子 顕 微 鏡 (TEM) が あ る 。

SEM、 EPMA、 EBSD、 TEM で は 真 空 チ ャ ン バ ー 内 で 電 子 ビ ー ム を 得 る の で 、 真 空 チ ャ ン バ ー 容 器 の 金 属 壁 が 試 料 表 面 か ら 出 た 電 子 や X 線 を と め て い る 。 こ の た め 、 こ れ ら の 装 置 に つ い て は 原 則 と し て X 線 防 護 の 必 要 性 は な い 。

(9)

( 2 ) X 線 発 生 の 原 理 : 連 続 X 線 図 1 0 の よ う に 、 エ ネ ル ギ ー E = eV の 電 子 が 物 質 中 に 入 射 し た 場 合 、 入 射 電 子 は 物 質 を 構 成 す る 原 子 と 相 互 作 用 を す る 。 そ の う ち の ひ と つ が 、 入 射 電 子 と 原 子 核 と の 静 電 相 互 作 用 で あ り 、 負 の 電 荷 を 持 つ 入 射 電 子 は 、 原 子 核 の 有 す る 正 の 電 場 に よ り そ の 軌 道 を 曲 げ ら れ る こ と に な る 。 電 子 が 軌 道 を 曲 げ ら れ る 場 合 、 電 磁 波 を 放 出 す る 。 電 磁 波 の エ ネ ル ギ ー は そ の 曲 が り 方 が 大 き い ほ ど 大 き い 。 し た が っ て 、原 子 核 か ら 遠 け れ ば 曲 が り 方 が 小 さ く 、原 子 核 に 近 け れ ば 曲 が り 方 が 大 き い の で 、こ の よ う に し て 放 出 さ れ る 電 磁 波 の エ ネ ル ギ ー は 連 続 的 に 変 化 し 、 こ れ を 連 続 X 線 ( 制 動 X 線 、 白 色 X 線 ) と い う 。 こ の と き 、 連 続 X 線 の 最 大 エ ネ ル ギ ー Em a x は 、 入 射 電 子 が 失 う 最 大 エ ネ ル ギ ー に 等 し く 、 eV hc E = = min max λ と な る 。こ こ で 、λm i nは 最 小 波 長 で あ る 。こ れ よ り 、 最 小 波 長 は 電 圧 V の 単 位 kV と す る と (nm) 24 . 1 min V eVhc = = λ で 与 え ら れ る 。 ま た 、原 子 核 と の 静 電 相 互 作 用 に よ り 軌 道 が 曲 げ ら れ て 試 料 表 面 か ら 放 出 さ れ る 電 子 を 反 射 電 子 と い う 。原 子 核 の 静 電 引 力 は そ の 原 子 番 号 Z に 比 例 し て 大 き く な る の で 、 原 子 番 号 の 大 き い 試 料 ほ ど 、反 射 電 子 の 放 出 量 が 多 い こ と に な る 。 ( 2 ) X 線 の 発 生 原 理 : 特 性 X 線 図 1 1(a)の よ う に 、 入 射 電 子 が 物 質 を 構 成 す る 原 子 の 軌 道 電 子 と 衝 突 し て 、こ れ を 叩 き 出 す 過 程 が あ る 。こ の よ う に し て 、表 面 か ら 電 子 が 放 出 さ れ る 場 合 、2 次 電 子 と い う 。軌 道 電 子 が 叩 き 出 さ れ た 後 の 原 子 の エ ネ ル ギ ー は 高 い 状 態 に あ る の で 、 図 1 1(b)に 示 す よ う に 、 よ り 高 い エ ネ ル ギ ー 準 位 の 軌 道 電 子 の 殻 か ら 電 子 が 空 位 の 軌 道 に 入 る 。こ の 際 、両 者 の エ ネ ル ギ ー 差 に 相 当 す る 電 磁 波 が 特 性 X 線 と し て 放 出 さ れ る 。 K 殻 、 L 殻 、 M 殻 ・・・の 軌 道 電 子 の エ ネ ル ギ ー 状 態 は 主 量 子 数 n = 1, 2, 3,・・・に 対 応 付 け ら れ る 。 入 射 電 子 と の 衝 突 に よ っ て K 殻 の 電 子 が は じ き 出 さ れ た 場 合 、よ り エ ネ ル ギ ー の 高 い L 殻 電 子 が 落 ち 込 む 。こ の 際 、放 出 さ れ る 特 性 X 線 の こ と を Kα線 と い う 。L 殻 よ り も 高 い エ ネ ル ギ ー の L 殻 電 子 が K 殻 の 空 位 に 落 ち 込 む 図 1 0 . 図 1 1(a). 図 1 1(b).

(10)

こ と も あ り 、 こ の と き 放 出 さ れ る 特 性 X 線 を Kβ線 と い う 。Kα線 、 Kβ線 の エ ネ ル ギ ー は 次 の よ う に 与 え ら れ る 。 Kα線: E(Kα)=E2−E1、Kβ線: E(Kβ)=E3−E1 こ こ で 、E1、E2、E3は そ れ ぞ れ K 殻 、 L 殻 、 M 殻 電 子 の エ ネ ル ギ ー 順 位 で あ る ( そ れ ぞ れ の 殻 の 電 子 の エ ネ ル ギ ー 準 位 は 若 干 異 な っ て お り 、 た と え ば Kα線 は Kα1線 と こ れ よ り 僅 少 に エ ネ ル ギ ー が 低 い Kα2線 に 分 け ら れ る ) 。 各 軌 道 電 子 の エ ネ ル ギ ー 準 位 は 、 古 典 的 な ボ ー ア の 水 素 モ デ ル を 、 原 子 番 号 Z の 原 子 に つ い て も 適 用 す る こ と で 大 ま か に 評 価 で き る ( 古 典 量 子 論 に 基 づ く 計 算 法 は 図 1 2 に 示 す )。ボ ー ア の 水 素 モ デ ル と 異 な り 、 原 子 核 の 正 電 場 が 軌 道 電 子 の 負 の 電 荷 分 布 で 遮 蔽 さ れ て い る た め 、 電 場 の 大 き さ が そ の ま ま 原 子 番 号 を 用 い る の で は な く 、有 効 原 子 番 号 Ze f fを 用 い な け れ ば な ら な い 。 図 1 2 の 計 算 結 果 に 従 う と n 番 目 の 軌 道 の エ ネ ル ギ ー 準 位 Enは 2 2 0 n Z E En =− eff と な る 。 こ こ で E0は 定 数 で あ る 。 こ れ よ り 、n 番 目 の 軌 道 か ら m 番 目 の 軌 道 の エ ネ ル ギ ー 準 位 差 Em nは 、 ⎟ ⎠ ⎞ ⎜ ⎝ ⎛ = − = 2 2 2 0 1 1 n m Z E E E E eff m n mn と な る 。Kα線 で は m = 1、 n = 2、 Kβ 線 で は m = 1、 n = 3 で あ る の で 、 4 3 ) ( 2 0 12 eff Z E E K E α = = 9 8 ) ( 2 0 12 eff Z E E K E β = = と な っ て 、 特 性 X 線 の エ ネ ル ギ ー は 有 効 原 子 番 号 の 2 乗 に 比 例 し て 増 加 す る ( モ ー ズ リ ー の 法 則 と い う ) 。 図 1 3 は 、 広 範 囲 の 元 素 に つ い て 、 特 性 X 線 の 原 子 番 号 依 存 性 を 示 し た も の で あ り 、 図 中 の 実 線 は Ze f f2 に 比 例 し た 最 適 化 曲 線 で あ る 。 モ ー ズ レ ー の 法 則 で は 、 特 性 X 線 の エ ネ ル ギ ー E を 2 0) (Z Z C E= − 古典的水素類似原子によるモデル ・原子核の有効電荷をZeffとし、電子は半径rでそ の周りを速度vで運動し、遠心力が働いている。 ) , 2 , 1 ( 2πr=nλ n= L 電子 原子核 v me 遠心力 静電引力 電子の波長λ r 2 2 2 4 r e Z r m o eff e πε = v r e Z r e Z m E o eff o eff e πε πε 8 4 2 2 2 2 − = − = v K殻 L殻 M殻 n = 1 n = 2 n = 3 軌道電子の結合と構造 r1 r3 r2 遠心力 静電引力 電子の全エネルギー ・電子の波長をλとすると、 λ h m p= ev= ・量子化条件 2 2 3 2 2 2 2 2 4 8 2 r e Z r m h n r m p r m o eff e e e πε π = = = v o eff e n n h e Z m r ε π 2 2 2 2 1 = 42 22 4 n Z h e m E eff o e n=− ε 遠心力: εo:真空の誘電率 ・K、L、M、・・・(n = 1, 2, 3,・・・)殻のエネルギー準位 E1 E2 E3 古典的水素類似原子によるモデル ・原子核の有効電荷をZeffとし、電子は半径rでそ の周りを速度vで運動し、遠心力が働いている。 ) , 2 , 1 ( 2πr=nλ n= L 電子 原子核 v me 遠心力 静電引力 電子の波長λ r 2 2 2 4 r e Z r m o eff e πε = v r e Z r e Z m E o eff o eff e πε πε 8 4 2 2 2 2 − = − = v K殻 L殻 M殻 n = 1 n = 2 n = 3 軌道電子の結合と構造 r1 r3 r2 遠心力 静電引力 電子の全エネルギー ・電子の波長をλとすると、 λ h m p= ev= ・量子化条件 2 2 3 2 2 2 2 2 4 8 2 r e Z r m h n r m p r m o eff e e e πε π = = = v o eff e n n h e Z m r ε π 2 2 2 2 1 = 42 22 4 n Z h e m E eff o e n=− ε 遠心力: εo:真空の誘電率 ・K、L、M、・・・(n = 1, 2, 3,・・・)殻のエネルギー準位 E1 E2 E3 特性 X 線のエネルギー (ke V ) 0 20 40 60 80 100 120 0 20 40 60 80 100 C D E F G H I J Kα1 Kα2 Kβ Lα1 Lα2 Lβ1 Lβ2 Lγ1 原 子 番 号 Z 図 1 2 . 図 1 3 .

(11)

11 で 表 す こ と が で き る 。 図 1 3 に お い て こ の 式 を 最 適 化 し て 得 ら れ た C、Z0の 値 を 表 3 に 示 す 。一 方 、 特 性 X 線 の 波 長 をλと す る と 、モ ー ズ レ ー の 法 則 は 2 0) (Z Z C hc E hc − = = λ と 書 き 直 す こ と が で き る 。 こ の よ う に 、 特 性 X 線 の エ ネ ル ギ ー 及 び 波 長 は 原 子 番 号 に 依 存 す る た め 、 こ れ ら を 測 定 す る こ と に よ り 、 物 質 中 に 含 ま れ て い る 元 素 の 種 類 を 調 べ る こ と が で き る 。 こ の 原 理 を 利 用 し た の が EPMA や EDX で あ る 。な お 、モ ー ズ レ ー の 法 則 は 低 原 子 番 号 、 高 原 子 番 号 で ず れ て く る 。 こ の た め 、 実 際 に は 実 験 に よ っ て 得 ら れ た 値 を も ち い て 最 適 化 す る こ と が 必 要 で あ る 。 ( 3 ) X 線 管 X 線 発 生 装 置 で は X 線 の 線 源 に 、 図 1 4 に 模 式 的 に 示 す よ う な X 線 管 を 用 い て い る 。 X 線 管 は 真 空 管 で あ り 、加 熱 し た フ ィ ラ メ ン ト か ら 生 じ る 熱 電 子 を 電 圧 V で 加 速 し て 、金 属 の タ ー ゲ ッ ト に 照 射 し 、 タ ー ゲ ッ ト 表 面 か ら 連 続 X 線 と 特 性 X 線 が 放 出 さ れ る 。 X 線 管 は 遮 蔽 体 で 覆 わ れ て お り 、 目 的 と す る 大 き さ の ビ ー ム が 窓 あ る い は 絞 り を 通 し て 放 出 さ れ る 。 タ ー ゲ ッ ト に 入 射 す る 電 子 の 運 動 エ ネ ル ギ ー は 、そ の 全 て が 熱 エ ネ ル ギ ー と な り タ ー ゲ ッ ト を 加 熱 す る と い っ て 過 言 で は な い 。タ ー ゲ ッ ト か ら 放 出 さ れ る X 線 の エ ネ ル ギ ー を WX、 タ ー ゲ ッ ト に 注 入 さ れ る 電 気 エ ネ ル ギ ー WE と す る と 、X 線 の 発 生 効 率ηは 、 V Z W W t E X =1.1×10−9 = η で 与 え ら れ る 。こ こ で Ztは タ ー ゲ ッ ト 物 質 の 原 子 番 号 で あ る 。 銅 ( Zt = 29) を タ ー ゲ ッ ト に 用 い 、 電 圧 V = 40 kV を 用 い る と 、 % 13 . 0 0013 . 0 10 40 29 10 1 . 1 × 9× × × 3 = = − η と な り 、 X 線 の 発 生 効 率 は 非 常 に 小 さ い 。 X 線 管 に 流 れ る 管 電 流 を i と す る と 、 注 入 さ れ る 電 気 エ ネ ル ギ ー は WE = iV で あ る 。 X 線 発 生 装 置 の 一 つ で あ る X 線 回 折 (XRD) 装 置 で は 大 体 V = 40 kV、 i = 30 mA 程 度 の 電 圧 、 電 流 を 用 い て い る 。 タ ー ゲ ッ ト に 1cm3程 度 の 体 積 の 銅 を 用 い た と し よ う 。 タ ー ゲ ッ ト に 注 入 さ れ る 電 気 エ ネ ル ギ ー はWE =1.2kWと な る 。 銅 の 比 熱 は 0.38 J/g/ oC、 密 度 は 8.92g/cm3で あ る の で 、WE =1.2kWの エ ネ ル ギ ー が 注 入 さ れ る と 、 1 秒 あ た り の 温 度 上 昇 速 度 は C/s 0 35 g/cm 92 . 8 cm 1 C J/g/ 0.38 J/s 10 1.2 o 3 3 o 3 ≈ × × × = dt dT と な り 3 秒 ほ ど で 融 点 に 達 し て し ま う 。し た が っ て 、タ ー ゲ ッ ト は 注 入 熱 量 を 十 分 に 奪 い 去 る こ と が で き る よ う な 強 制 冷 却( 通 常 水 冷 )が 必 要 と な る 。逆 に 、何 ら か の 故 障 で 冷 却 が と 特 性 X 線 C (keV) Z0 Kα1 0.012794 5.3822 Kα2 0.012076 4.3095 Kβ1 0.014602 5.6716 Lα1 0.001887 7.2145 Lα2 0.00185 6.8484 Lβ1 0.002659 12.935 Lβ2 0.002437 10.005 Lγ1 0.00338 15.672 i 図 1 4 . 表 3 .

(12)

ま っ た 場 合 に は 、 直 ち に X 線 管 の ス イ ッ チ を 切 る 必 要 が 出 て く る 。 放 出 さ れ る X 線 の 強 度 I は 、十 分 な 有 意 さ を も っ て 計 測 が 可 能 か ど う か 、あ る い は 事 故 が 生 じ た 場 合 の 被 爆 の 度 合 い を 見 積 も る の に 重 要 で あ る 。X 線( 連 続 X 線 )の 強 度Iは 、放 出 さ れ る X 線 の 全 エ ネ ル ギ ー に 比 例 す る の で 、 2 9 10 1 . 1 ZV iV CZiV C W C CW I = X = η E = × × − t × = ′ t と 書 け る 。こ こ で 、C、C’は 定 数 で あ る 。こ れ ら の こ と か ら 、X 線 発 生 装 置 の 使 用 の 際 に は 、 タ ー ゲ ッ ト 物 質 、 管 電 流 、 管 電 圧 の 記 録 が 必 要 で あ る こ と が 理 解 で き る で あ ろ う 。 ( 4 ) X 線 の 波 長 と 強 度 図 1 5 は 、モ リ ブ デ ン(Mo)を タ ー ゲ ッ ト と し 、管 電 圧 を 10 kV か ら 25 kV ま で 変 化 さ せ た と き に 放 出 さ れ る X 線 の 強 度 の 波 長 依 存 性 を 模 式 的 に 示 し た も の で あ る 。Mo の Kα線 の エ ネ ル ギ ー は 17.4 kV、Kβ線 の エ ネ ル ギ ー は 19.6 kV で あ る 。 よ っ て 、 こ れ 以 上 の エ ネ ル ギ ー を も っ た 電 子 を 入 射 さ せ な け れ ば 特 性 X 線 で あ る K 線 は 出 て こ な い ( こ の た め に 必 要 な 電 圧 を 励 起 電 圧 と い う ) 。 一 方 、 こ れ よ り も 低 い 電 子 の エ ネ ル ギ ー を 与 え る 電 圧 で は 、連 続 X 線 の ス ペ ク ト ル が 最 短 波 長λm i n を 起 点 と し て 表 れ る ( 連 続 X 線 の 項 を 参 照 の こ と ) 。 す で に 、 連 続 X 線 の 強 度 に つ い て は 上 の ( 3 ) 項 に 述 べ た 。 こ こ で は 、 特 性 X 線 の 強 度 に つ い て 若 干 触 れ る 。 特 性 X 線 は 図 1 5 に 見 る よ う に 、 鋭 く 大 き な ピ ー ク と な り 、 そ の 強 度 を I’と す る と 、 n V V i C I′= ′′( − 0) 、 i: 管 電 流 、 V: 管 電 圧 で 表 す こ と が で き る 。こ こ で V0は 特 性 X 線 の 励 起 電 圧 で あ り 、指 数 n の 値 はV2V0の と きn≈2、 0 3V V > でn≈1で あ る 。 定 数 C”は 実 験 定 数 で あ る 。 ( 5 ) X 線 回 折 ( XRD) 結 晶 は 、原 子 あ る い は 分 子 が 規 則 正 し く 3 次 元 的 に 並 ん だ 構 造 で あ る 。外 部 か ら 一 定 波 長 の X 線 が 結 晶 に 入 射 し た と き 、結 晶 構 造 に 起 因 し て 回 折 現 象 が 生 じ る 。図 1 6 の よ う に 、あ る 原 子 面 の 間 隔 を d と す る と 、隣 り 合 っ た 原 子 面 で 反 射 さ れ る X 線 の 行 路 差 は PBQ で 表 さ れ る 。 A 点 な ら び に B 点 か ら 散 乱 さ れ た X 線 の 位 相 が 一 致 す る と き 、互 い に 強 め あ う 回 折 が 生 じ る 。 こ の 反 射 X 線 が 生 じ る 条 件 は 、 行 路 差 PBQ が X 線 の 波 長 の 整 数 倍 で あ れ ば よ い 。 よ っ て 、 ) , 2 , 1 ( , = L =n n PBQ λ が 回 折 条 件 と な る 。一 方 、結 晶 構 造 の 幾 何 学 か ら 、X 線 の 入 射 角 をθと す る と 、 上 記 の 回 折 条 件 が 生 じ る た め に は 、

波長

λ

(nm)

25 kV 20 kV 15 kV 10 kV

K

α

K

β 0 0.1 0.2 0.3 特性X線 連続X線

λ

min

Mo

図 1 5 . A B P Q 原子面 間隔 d 単色X線(波長λ) 入射X線 反射X線 λ θ θ θ 結晶 θ A B P Q 原子面 間隔 d 単色X線(波長λ) 入射X線 反射X線 λ θ θ θ 結晶 θ 図 1 6 .

(13)

θ sin d BQ PB= = で な け れ ば な ら な い 。 よ っ て ) , 2 , 1 ( , sin 2d θ =nλ n= L を 得 る 。こ れ を ブ ラ ッ グ の 回 折 条 件 と い う 。よ り 厳 密 に 回 折 条 件 を 扱 う た め に は 、構 成 原 子 と X 線 の 相 互 作 用 に よ る 原 子 散 乱 因 子 、な ら び に 結 晶 構 造 に 起 因 す る 構 造 因 子 の 両 者 を 取 り 入 れ た 回 折 理 論 を 勉 強 す る 必 要 が あ る 。 X 線 回 折 装 置 の 簡 単 な 原 理 を 図 1 7 に 示 す 。 固 定 さ れ たX 線 管 か ら 試 料 に X 線 が 照 射 さ れ 、 試 料 表 面 か ら は 散 乱 X 線 が 生 じ る 。試 料 はθの 角 度 だ け 回 転 す る と と も に 、 散 乱 X 線 を 計 測 す る デ ィ テ ク タ ー が 2θだ け 回 転 す る 。 散 乱 波 の う ち 、上 に 示 し た ブ ラ ッ グ の 回 折 条 件 を 満 た す も の の み が 強 い 反 射 X 線 を 生 じ 、デ ィ テ ク タ ー に 強 い ピ ー ク と し て 記 録 さ れ る 。 な お 、 図 1 7 に 示 し た よ う に 、X 線 回 折 装 置 を 使 用 す る 際 に は 、 装 置 内 は X 線 が 出 て い る の で 、放 射 線 を 被 爆 す る 区 域 と な る( 法 律 で は 管 理 区 域 と い う )。X 線 回 折 装 置 外 は 、遮 蔽 ・ 防 護 措 置 を 施 し X 線 の 漏 洩 が な い な ら 、 管 理 区 域 外 で あ っ て 法 的 な 規 制 は 受 け な い が 、 被 爆 事 故 防 止 の た め 、 管 理 区 域 に お け る 規 則 を 準 用 し て 予 防 に 努 め て い る 。 6 . 放 射 線 と 物 質 の 相 互 作 用 放 射 線 に は 、α 線 の よ う な 荷 電 粒 子 、β 線( 電 子 、陽 電 子 )の よ う な 電 荷 を 持 つ 軽 い 粒 子 、 中 性 子 や ニ ュ ー ト リ ノ の よ う な 電 荷 を 持 た な い 粒 子 が あ る 。 一 方 で 、 γ 線 と X 線 は そ れ ら の 形 成 機 構 が 異 な る も の の 同 じ 電 磁 波 で あ り 、 一 般 に γ 線 よ り も X 線 の 方 が エ ネ ル ギ ー が 小 さ い 。放 射 線 と 物 質 と の 相 互 作 用 は 、放 射 線 の 種 類 な ら び に エ ネ ル ギ ー に よ っ て 異 な っ て く る 。 逆 に 放 射 線 の 種 類 と エ ネ ル ギ ー に よ っ て 、物 質 中 の 透 過 能 力 も 異 な っ て く る 。 図 1 7 は 、放 射 線 の 遮 蔽 に つ い て よ く 説 明 さ れ て い る 図 の 焼 き 直 し で あ る 。同 じ エ ネ ル ギ ー を 有 す る と き( 通 常 自 然 界 で は MeV の エ ネ ル ギ ー で あ る ) 、 α 粒 子 は 紙 1 枚 で 遮 蔽 で き 、β 粒 子 は 数 m m 厚 の ア ル ミ 板 で 遮 蔽 で き る 。し か し 、γ 線 の 遮 蔽 は 10 cm 厚 の 鉛 、 50 cm 以 上 の 厚 さ の コ ン ク リ ー ト が 必 要 と な っ て く る 。 こ の よ う な 物 質 の 阻 止 能 の 差 は 、逆 に 言 え ば 、α 粒 子 は 非 常 に 短 い 距 離 で 物 質 に エ ネ ル ギ ー を 与 え 、β 粒 子 が 物 質 へ の エ ネ ル ギ ー 付 与 が α 粒 子 よ り も 小 さ く 、さ ら に γ 粒 子 は 非 常 に エ ネ ル ギ ー 付 与 が 小 さ い こ と を 意 味 し て い る 。 ま た 、 放 射 線 に よ り 生 じ る 様 々 な 効 果 は 、 放 射 線 と 物 質 を 構 成 す る 原 子 や 分 子 と の 物 理 的 X線管 ディテクター 試料 θ θ 2θ 遮蔽 警告灯 X線管 ディテクター 試料 θ θ 2θ 遮蔽 警告灯 図 1 6 . アルファ線は紙1枚程度で 遮蔽できる。 ベータ線は厚さ数mmのア ルミニウム板で防ぐことが できる。 ガンマ線は透過力が強く、 コンクリートであれば50cm、 鉛であっても10cmの厚み が必要になる。

放射線と物質の相互作用

紙1枚 数mm厚のAl板 10cm厚の鉛 図 1 7 .

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過 程 を 起 因 と し て 派 生 す る 。 放 射 線 障 害 と し て 知 ら れ る 生 体 へ の 影 響 は 、 放 射 線 と 原 子 あ る い は 分 子 と の 物 理 的 相 互 作 用 が 、 本 来 な い 化 学 的 要 因 を も た ら し 生 体 へ の 何 ら か の 障 害 を 拡 大 し て い く も の で あ る 。 ( 1 ) 粒 子 の 速 度 、 運 動 量 、 エ ネ ル ギ ー 粒 子 の エ ネ ル ギ ー が 大 き く な る と 、古 典 力 学 の 適 用 が 不 可 能 と な る 。相 対 性 理 論 に よ れ ば 、 粒 子 が 静 止 し て い て い る と き の 質 量 を moと す る と 、 速 度 v で 運 動 し て い る と き の 質 量 m は 2 1 / −β =mo m 、 た だ し 、β =v/c、c は 光 の 速 度 と な る 。 こ れ よ り 、 粒 子 の 運 動 量 p な ら び に 全 エ ネ ル ギ ー E は 2 1 / −β = =mv mov pE=mc2 =moc2/ 1−β2 で 与 え ら れ る 。粒 子 が 静 止 し て い る と き の エ ネ ル ギ ー 、す な わ ち 静 止 エ ネ ル ギ ー はEo =moc2で あ る 。 よ っ て 、 粒 子 の 運 動 エ ネ ル ギ ー を KE と す る と 、 ) 1 1 / 1 ( 2 2 = − =E E m c β KE o o で 与 え ら れ る 。 今 、1.02 MeV の エ ネ ル ギ ー で 運 動 す る 電 子( β 粒 子 )を 考 え て み る 。電 子 の 静 止 質 量 を me と す る と 、質 量 エ ネ ル ギ ー 等 価 則 よ り 、電 子 の 静 止 エ ネ ル ギ ー は mec2 = 0.51 MeV で あ る 。よ っ て 、2mec2 = 1.02 MeV と な る 。 古 典 力 学 で は 運 動 エ ネ ル ギ ー は KE = mev2/2 で あ る の で 、 2 2 2 2 m c m KE e e = = v よ り 、v=2c と な っ て 、 光 の 2 倍 の 速 度 と な る 。 速 度 が 光 の 速 度 を 超 え る こ と は な い の で 、 古 典 力 学 は も は や 正 し く な い こ と は 明 ら か で あ る 。 相 対 性 理 論 を 用 い る と 、 ) 1 1 / 1 ( 2 2 = 2 − 2 − = mc mc β KE e e よ り 1−β2 =1/3、 ∴β=v/c=2 2/3≈0.766c を 得 て 、 電 子 ( β 粒 子 ) の 速 度 は 光 の 速 度 の 76.6% で あ る こ と が わ か る 。 次 に 、1.02 MeV の エ ネ ル ギ ー で 運 動 す る α 粒 子( He 原 子 核 )を 考 え て み る 。α 粒 子 の 質 量 を Mαと す る と 、2mec2 = 1.02 MeV で あ る こ と を 利 用 し て 、 ) 1 1 / 1 ( 2 2 = 2 − 2 − = mc Mαc β KE e よ り 、β= (1+2me/Mα)2−1/(1+2me/Mα) を 得 る 。Mα (4.00 u) >> me (5.49×10−4 )で あ る の で 、β =v/c≈2 me/Mα =0.023と な り 、1.02 MeV の α 粒 子 の 速 度 は 光 速 の 2.3% に 過 ぎ な い 。こ れ く ら い 遅 い と 粒 子 の 運 動 を 古 典 力 学 で 扱 っ て も よ い 近 似 値 を 得 る 。 次 に 、 電 磁 波 で あ る X 線 や γ 線 に つ い て 考 え て み る 。 こ れ ら の 放 射 線 は 、 波 で あ る と 同 時 に 、 質 量 0 の 粒 子 ( 光 子 ) と し て 捕 ら え る こ と が で き る 。 た だ し 、 質 量 は 0 で あ っ て も 速 度 c、p=h/λの 運 動 エ ネ ル ギ ー を も ち 、E=hc/λの エ ネ ル ギ ー を 有 す る 。し た が っ て 、X 線 や γ 線 と 物 質 と の 相 互 作 用 に お い て 、 運 動 量 保 存 則 や エ ネ ル ギ ー 保 存 則 を 用 い て 力 学 的 な 取 り 扱 い を 行 っ て も 良 い 。 も う 一 つ 重 要 な こ と が あ る 。 電 子 (e−) と 陽 電 子 (e+) が 合 体 し た 場 合 、 以 下 の よ う に 、 2 個 の γ 線 が 互 い に 逆 方 向 に 放 出 さ れ る 。

γ

2

+

+ −

e

e

( γ 線 の エ ネ ル ギ ー は そ れ ぞ れ 0.51MeV 以 上 ) こ れ を 電 子 対 消 滅 と い う 。β+線 が 物 質 中 に 入 射 し た 場 合 、物 質 内 で 減 速 さ れ た 後 、物 質 中 の

(15)

電 子 と 合 体 消 滅 し て γ 線 が 形 成 さ れ る 。 陽 電 子 の こ と を ポ ジ ト ロ ン と い う 。 こ れ を 利 用 し た 医 療 技 術 と し て 、 癌 の 診 断 に 用 い ら れ る ポ ジ ト ロ ン 断 層 法 、PET((positron emission tomography))が あ る ) 。 逆 に 1.02 MeV の γ 線 を 物 質 中 に 入 射 す る と 、 電 子 と 陽 電 子 の 対 が 形 成 さ れ 、 そ れ ぞ れ 逆 方 向 に 放 出 さ れ る 。 + −+e e γ ( 電 子 と 陽 電 子 の エ ネ ル ギ ー は そ れ ぞ れ 0.51 MeV 以 上 ) こ れ を 電 子 対 生 成 と い う 。こ の よ う に 、高 エ ネ ル ギ ー の γ 線 は 波 と 粒 子 性 を も つ だ け で な く 、 粒 子 で あ る 電 子 と 陽 電 子 の 生 成 ・ 消 滅 に も か か わ っ て い る 。 ( 2 ) 粒 子 間 の 衝 突 今 、 電 荷 の な い 粒 子 1 ( 質 量 m1、 運 動 量 p1、 運 動 エ ネ ル ギ ー E1) が 、 静 止 し て い る 他 の 粒 子 2 ( 質 量 m2) に 衝 突 す る 場 合 を 考 え る 。 こ こ で は 簡 単 の た め 、 粒 子 1 と 粒 子 2 は 正 面 衝 突 を す る も の と し 、 衝 突 後 の 粒 子 1 の 運 動 量 、 運 動 エ ネ ル ギ ー を そ れ ぞ れ p’1、 E’1、 粒 子 2 の 運 動 量 と 運 動 エ ネ ル ギ ー を p’2、 E’2 と す る 。 運 動 エ ネ ル ギ ー 以 外 の エ ネ ル ギ ー 散 逸 が な い 弾 性 衝 突 で は 、 運 動 量 と エ ネ ル ギ ー 保 存 則 よ り 、 2 1 1 p p p = ′+ ′、E1=E1′+E2′ で あ る 。 粒 子 の 速 度 が 小 さ く 古 典 力 学 近 似 が で き る 時 に は 、 運 動 エ ネ ル ギ ー は 2/(2 ) m p E= な の で 、 エ ネ ル ギ ー 保 存 則 よ り 0 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 ) ( 2 2 2 2 2 1 2 1 2 1 1 2 1 2 1 2 1 2 1 1 2 1 2 2 1 2 1 2 2 1 2 1 1 2 1 2 2 1 1 2 1 1 2 1 2 2 2 1 2 1 = − + ′ − ′ + = − ′ + ′ − + ′ = − ′ − + ′ = − ′ + ′ p m m m m p m p p m m m m m p m p m p p m p m p m p m p p m p m p m p m p だ か ら 、 衝 突 後 の 粒 子 1 の 運 動 量 は 、 m2 = 0 の と き p1′=pで あ る こ と に 注 意 し て 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 2 1 2 1 2 1 2 1 1 2 ) ( 2 ) ( 2 2 2 p m m m m p m m m m m m m m m p m p m m m m p + − = ⎪⎭ ⎪ ⎬ ⎫ ⎪⎩ ⎪ ⎨ ⎧ + − ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ − + = ′ で 与 え ら れ る 。 こ れ よ り 粒 子 1 と 粒 子 2 の 質 量 が ほ ぼ 等 し い と き の 正 面 衝 突 で は 、p1′≈0で あ っ て 粒 子 1 は と ま り 、 粒 子 2 が p と ほ ぼ 等 し い 運 動 量 を も っ て 弾 き 飛 ば さ れ る 。 粒 子 1 の 質 量 が 粒 子 2 の 質 量 よ り も は る か に 大 き く m1>>m2の 場 合 に は p1′≈pで あ り 、粒 子 1 は 衝 突 後 も 前 方 へ 運 動 す る( 前 方 散 乱 )。一 方 、粒 子 1 の 質 量 が 粒 子 2 よ り も は る か に 小 さ く m1<<m2の 場 合 に は p1′≈−p で あ り 、 粒 子 1 は 衝 突 に よ っ て 跳 ね 返 さ れ る ( 後 方 散 乱 ) 。 衝 突 に よ っ て 粒 子 1 の 運 動 エ ネ ル ギ ー の 一 部 が 、 粒 子 2 の 励 起 エ ネ ル ギ ー I に 用 い ら れ る 非 弾 性 衝 突 の 場 合 、 エ ネ ル ギ ー の 保 存 則 は 以 下 の よ う に な る 。 I E E E1= 1′+ 2′ + こ れ よ り 、 衝 突 後 の 粒 子 1 、 2 の 運 動 エ ネ ル ギ ー が 弾 性 衝 突 の 場 合 よ り も 減 少 す る こ と が わ か る 。 粒 子 1 と 粒 子 2 が 電 荷 を 持 っ て い る 場 合 に は 、 そ れ ぞ れ の 電 荷 に よ る 静 電 ポ テ ン シ ャ ル が エ ネ ル ギ ー 保 存 則 に 加 え て 、 散 乱 過 程 を 計 算 す る こ と に な る 。 し か し 、 上 に 述 べ た 弾 性 衝 突 の よ う に 、 粒 子 1 と 粒 子 2 の 質 量 の 違 い に よ る 散 乱 の 違 い は 本 質 的 に 変 わ ら な い 。 ま た 、 古 典 力 学 か ら の ず れ が 大 き く な る 高 エ ネ ル ギ ー 粒 子 の 場 合 に は 、 ( 1 ) 項 で 述 べ た よ う に 相 対 性 理 論 を 用 い た 衝 突 の 解 析 が 必 要 と な る が 、 こ の 場 合 に も 粒 子 1 と 粒 子 2 の 質 量 の 違 い に よ る 散 乱 の 違 い は 本 質 的 に 変 わ ら な い 。 さ ら に は 、 X 線 や γ 線 の よ う に 電 磁 波 の 場 合 に は 、 p=h/λ、E=hc/λと お き な お し て 衝 突 の 解 析 が 必 要 と な る 。

(16)

( 3 ) α 粒 子 と 物 質 と の 相 互 作 用 放 射 線 が 物 質 中 に 入 射 し 、dx の 距 離 だ け 進 む 間 に−dE だ け の エ ネ ル ギ ー を 失 う と き 、−dE/dx を 阻 止 能 と い う 。 α 粒 子 の よ う な 荷 電 粒 子 の 場 合 に は 、 エ ネ ル ギ ー 散 逸 の 過 程 は 、 物 質 を 構 成 す る 原 子 の 原 子 核 と の 衝 突 過 程 に よ る も の( 核 的 衝 突 )と 、物 質 中 の 電 子 と の 衝 突 過 程( 電 子 的 衝 突 ) の 二 つ に 大 別 さ れ 、 阻 止 能 は e n dx dE dx dE dx dE ⎟ ⎠ ⎞ ⎜ ⎝ ⎛ − ⎟ ⎠ ⎞ ⎜ ⎝ ⎛ − = − と 書 け る 。 こ こ で 右 辺 第 1 項 が 核 的 阻 止 能 で あ り 、 第 2 項 が 電 子 的 阻 止 能 で あ る 。 図 1 8 に 示 す よ う に 、 入 射 し た α 粒 子 が 原 子 核 の 近 傍 を 通 る 際 に は 、 原 子 核 ( 質 量 M、 原 子 番 号 Z) と の 間 に 静 電 的 な 反 発 力 Fn = −2Ze2/(4πεor2)に よ り 散 乱 が 生 じ る (εoは 真 空 の 誘 電 率 、 r は 入 射 粒 子 と 原 子 核 の 距 離 ) 。 原 子 核 の 質 量 M は α 粒 子 の 質 量 Mαよ り も 大 き い の で 、 散 乱 角 が 大 き く な る ( ラ ザ フ ォ ー ド 散 乱 ) 。 し か し 、 原 子 核 の 大 き さ は 原 子 よ り も 非 常 に 小 さ い の で 、 こ の 核 的 衝 突 過 程 が 起 こ る 確 率 は 小 さ い 。 一 方 、 α 粒 子 が 物 質 中 の 1 個 の 電 子 と 衝 突 す る 場 合 に は 、 Fe = 2e2/(4πεor2)の 静 電 引 力 に よ る 静 電 引 力 に よ る 衝 突 過 程 と な る 。 物 質 中 に 入 射 し た α 粒 子 の エ ネ ル ギ ー 散 逸 過 程 は も っ ぱ ら 電 子 と の 衝 突 に よ る 。 し か し 、 こ の 電 子 的 衝 突 過 程 で は 、Mα >>meな の で 、 ( 2 ) 項 に 述 べ た よ う に 、 α 粒 子 は ほ と ん ど 運 動 エ ネ ル ギ ー を 失 わ な い 前 方 散 乱 と な っ て 、 直 線 的 に 運 動 す る こ と に な る 。 こ の 際 、 電 子 は 弾 き 飛 ば さ れ る の で 、 物 質 中 の 原 子 は イ オ ン 化 す る 。 こ の と き 、 α 粒 子 が 失 う エ ネ ル ギ ー は 原 子 の イ オ ン 化 エ ネ ル ギ ー I に 相 当 す る 。 相 対 論 を 取 り 入 れ た 電 子 的 阻 止 能 は 、 以 下 の ベ ー テ ・ ブ ロ ッ ホ の 式 で 与 え ら れ る 2)。 ⎟⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎝ ⎛ − − − − = ⎟ ⎠ ⎞ ⎜ ⎝ ⎛ 2 2 2 2 4 2 ) 1 ln( 2 ln 4πε I β β m NZ m e z dx dE e e o e v v こ こ で z、v は 入 射 粒 子 の 価 数( α 粒 子 で は z = 2)と 速 度 で あ り 、Nは 物 質 中 の 単 位 体 積 あ た り の 原 子 数 で あ る 。 図 1 8 . 図 1 9 . 図 1 9 は 、212Po か ら 放 出 さ れ た α 線( 8.78 MeV)の 空 気 中 で の 電 離 数( 左 の 縦 軸 、(dE/dx)e/I)、 透 過 し た α 粒 子 の 割 合 ( 右 の 縦 軸 ) の 距 離 依 存 性 で あ る 。 図 1 9 よ り 、 α 粒 子 の エ ネ ル ギ ー

α粒子と物質の原子との相互作用

α粒子 電子と(M α>> me) 原子核と(Mα < M) 原子核のはじき出し (確率は非常に小さい) 原子核(質量M) 電子雲 電子、陽イオンの対を作る!=電離作用が大きい 質量 Mα 運動エネルギー E 直線的な軌跡 ラザフォード散乱 軌道電子、原子核との 電気的相互作用 1)α粒子はHeの原子核であり、2価の正電荷をもっている。 → 原子核(正電荷)と電気的に反発力、電子(負の電荷)と引力を及ぼす。 2)α粒子は電子よりもはるかに重いため、衝突しても電子を弾き飛ばし、その 軌道はほとんど変化しない。 電子の弾き飛ばし 相対強度(%)

ブラッグ曲線

50 100 RmRex

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が 高 い と き に は 、 運 動 エ ネ ル ギ ー は ほ ぼ 一 定 と み な せ 、 阻 止 能 は ほ ぼ 一 定 で 、 α 粒 子 が 物 質 中 で と め ら れ る 割 合 が 非 常 に 小 さ い こ と が わ か る 。 し か し 、 α 粒 子 が 運 動 エ ネ ル ギ ー を 失 い 速 度 が 小 さ く な っ て く る と 、 核 的 阻 止 能 の 寄 与 が 大 き く な っ て き て 阻 止 能 が 増 加 し 、 物 質 中 で と め ら れ る 割 合 が 増 え て く る ( 図 1 9 に 示 す よ う に 、 阻 止 能 の 距 離 依 存 性 を ブ ラ ッ グ 曲 線 と 呼 ぶ )。物 質 中 で 阻 止 さ れ た 入 射 粒 子 の 割 合 が 50% の と き の 距 離 を も っ て 平 均 飛 程 Rm、透 過 率 が 0 と な る 外 挿 値 で 外 挿 飛 程 Re xを 定 義 す る 。 実 験 的 に 測 定 さ れ た エ ネ ル ギ ー E(MeV)の α 粒 子 の 空 気 中 の 飛 程 RA i r(cm)は 、 E

RAir =0.56 ( E < 4 MeV) 、 RA i r = 1.24E – 2.62( 4 MeV < E < 8 MeV) で 与 え ら れ る 。 エ ネ ル ギ ー E の α 粒 子 が 物 質 中 に 入 射 し た 場 合 、n = E/I だ け の 電 子・イ オ ン 対 を 形 成 す る 。 α 粒 子 に 対 し て 測 定 さ れ て い る 空 気 の 分 子 の 電 離 エ ネ ル ギ ー は I = 98 eV で あ る 。よ っ て 、212Po か ら の 8.78MeV の α 粒 子 は 9.0×104個 の 電 子 ・ イ オ ン 対 を 作 る こ と に な る 。 一 方 、 上 の 式 よ り 飛 程 は R = 8.3 cm で あ る の で 、 1 mm 厚 の 空 気 層 あ た り 平 均 で 1800 個 程 度 の 電 子 ・ イ オ ン 対 を 形 成 す る こ と に な る 。 阻 止 能 の 式 よ り 、 数 MeV の エ ネ ル ギ ー で はβ <<1な の で 、 飛 程 は 古 典 力 学 近 似 で 、

=−

= = E e e o E E e e o dE I M E m E NZ M e z m dE I M M m M NZ M e z m dE dE dx R 0 4 2 0 0 2 2 4 2 2 ln 8 2 ln 2 / 8 α α α α α α πε πε v v と な る 。 今 、 原 子 番 号 Z’、 原 子 数 密 度 N’、 電 離 エ ネ ル ギ ー I’の 物 質 に 同 じ エ ネ ル ギ ー E の α 粒 子 が 入 射 し た 場 合 の 飛 程 R’は 、 上 の 式 で 対 数 の 項 は あ ま り 変 化 し な い た め 、 R’と R の 比 は Z N NZ R R ′ ′ ≈ ′ と で き る 。 こ の よ う な 考 え を 基 に し て 、 実 験 的 に は 、 以 下 の Bragg-Kleeman の 式 が 15% 程 度 の 誤 差 で 飛 程 を 表 す こ と が 知 ら れ て い る 2)。 R M M R ρ ρ ′ ′ = ′ 、 た だ しρ(ρ') , M( M’) は 飛 程 R( R’) の と き の 物 質 の 密 度 と 原 子 量 こ れ よ り 、 空 気 (15oC、 1 気 圧 でρ= 1.23×10−3 g/cm3 =3.8 M ) の 飛 程 RA i r(cm)を 用 い る と ) ( / 10 2 . 3 4 M R cm R′= × − ′ Air ρ′ と な る 。212Po か ら の 8.78MeVα 粒 子 が Al( M’ = 27 g、ρ’ = 2.73 g/cm3)に 入 射 し た 場 合 、R’ = 0.0051 cm = 51 μm と な る ( ク ッ キ ン グ 用 の ア ル ミ フ ォ イ ル は 12 μm 程 度 で あ る の で 、 1 枚 で 包 む だ け で は 212Po か ら 出 る α 線 の 遮 蔽 は で き な い )。先 に 与 え た RA i rの エ ネ ル ギ ー 依 存 性 を 用 い る と 、 ρ′ ′ × = ′ 1.8 10−4 M E/

R ( E < 4 MeV)、R′=4×10−4 M′(E−2.11)/ρ′ (4 MeV < E < 8 MeV) を 得 る 。 生 体 で は 数 MeV の α 粒 子 の 飛 程 は 数 10 μm で あ る 皮 膚 の 表 皮 の 厚 さ は 約 200 μm で あ る の で 、 α 粒 子 は 表 皮 内 で 止 め ら れ る こ と に な る 。 た だ し 、 飛 程 が 短 い と い う こ と は 、 そ れ だ け 多 く の 照 射 損 傷 が 発 生 す る と い う こ と で あ り 、 生 体 に 与 え る ダ メ ー ジ が 大 き い こ と を 意 味 す る ( 後 に 示 す よ う に 、 生 体 に 与 え る 影 響 の 大 き さ を 表 す 線 質 係 数 と し て X 線 が 1 で あ る の に 対 し て 、 α 粒 子 で は 20 を 用 い る ) 。 ( 4 ) 電 子 お よ び β 線 と 物 質 の 相 互 作 用

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参照

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