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土木学会構造工学論文集(2012.3)

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構造工学論文集Vol.58A(2012 年 3 月) 土木学会

鋼小片から製作した試験片によるシャルピー衝撃試験に関する研究

Charpy impact test with test specimens made with Stop-Hole-size cores 小野潔*,穴見健吾**,及川光晴***

Kiyoshi Ono, Kengo Anami and Mitsuharu Oikawa

*博士(工), 大阪大学大学院准教授, 工学研究科地球総合工学専攻(〒565-0871 大阪府吹田市山田丘 2-1) ** 博士(工),芝浦工業大学准教授, 工学部土木工学科(〒135-8548 東京都江東区豊洲 3-7-5)

*** 芝浦工業大学, 工学部土木工学科(同上)(現在,東日本旅客鉄道(株)) In order to examine or repair fatigue damaged steel bridges, it is necessary to obtain information of mechanical and chemical properties of steel of damaged members or joints. However, for the aging bridges, it is sometimes difficult to obtain such kinds of information from design articles. For such case, a sample material might be taken from the structures, but the sample should be as small as possible. This study examines the use of small steel pieces regarded as cores, which are taken from stop-holes or bolt-holes. Test specimens for Charpy impact test are made with small steel pieces by Electron Beam Weld (EBW) and the effect of the steel piece size and the other parameters on Charpy absorbed energy are examined.

Key Words: Charpy impact test, small steel pieceold steel キーワード:シャルピー衝撃試験,鋼小片,経年鋼材 1.はじめに 近年,鋼橋の疲労損傷事例1)~7)が報告されている.そ の中には,鋼桁ウェブにおける1m を超えるき裂6)や鋼 管の約半周にも及ぶき裂 7)といった,疲労き裂を起点と したぜい性破壊によるものと推測される重大な損傷も報 告されている.これらの疲労損傷は過酷な環境下で供用 されている我が国の基幹交通網を構成する鋼橋で多く報 告されているが,疲労損傷の発生は作用応力の大きさと 回数,および疲労強度に支配されるため,供用年数の経 過とともに損傷橋梁が増加する可能性もあり,今後損傷 橋梁を効率的に再生し維持供用していくことが非常に重 要である 8).その実現には,損傷原因を把握し余寿命評 価などに基づく補修・補強法を含めた維持管理計画を策 定することが必要となるが,その検討のために機械的性 質(強度・伸び性能・破壊靱性など)や化学成分といっ た鋼材の基本的情報が必要となる場合も多い.しかし, 特に経年橋梁では,資料が残っていなかったり,もとも と鋼材規格としての要求値が無く必要な情報が得られな いこともある.そのような場合,鋼橋の一部を切り出し て,試験片・試料を採取することがある.例えば,ぜい 性破壊をおこしたと考えられる部材の破壊靱性を調査す るために部材から切り出して試験片を製作してシャルピ ー衝撃試験を行ったり 7),また溶接補修の可能性を検討 するために部材から試料を取り出して化学成分分析を行 う 9)場合がある.しかしながら,健全な部位から,試験 片・試料を大きく取り出すことは極力避けた方が望まし い. 一方,疲労損傷の応急・恒久対策としてき裂進展防止 を目的としたストップホール工法が多く用いられる.ま た,補修・補強法として鋼板をボルト接合することがあ る.その際得られるストップホールやボルト孔のコアを 用いて鋼材の性質が把握できれば,非常に効率的かつ有 用である.鋼材の化学成分のような情報はストップホー ルのコアのような少量の試料でも計測可能である.それ に対し,JIS 等の規格に準拠した試験片を用いて機械的 性質を測定する場合には,試験鋼材(コア)に他の鋼材 を接合して試験片を製作する必要がある.その接合手法 として溶接接合が挙げられるが,その際,溶接接合によ る熱影響や,試験鋼材の強度と取り付ける鋼材の強度や 熱影響による硬化部の強度の差異による拘束効果の影響 を受けず試験鋼材の機械的性質を正確に測定することが できる試験片設計をする必要がある.これまで橋梁から 採取したコアに鋼材を圧接接合し材料試験を行っている

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9)実績はあるが,本研究で対象とするストップホールの コアから切り出した鋼小片のような非常に小さな試料を 用いて図-1 に示す接合に圧接接合を用いることは困難で ある. そこで,本研究では,近年,架設された橋梁の他,昭 和初期に架設された経年橋梁も対象に,ストップホール もしくはボルト孔のコア程度の鋼小片(以下,単に「鋼 小片」という)からシャルピー衝撃試験片を作成してシ ャルピー吸収エネルギーを適切に測定するための検討 を行った.具体的には,図-1 に示すように,切欠部を含 む領域のみを鋼小片とし,それ以外の部分を一般の鋼材 として両者を溶接接合して試験片を製作することとし た.本研究では溶接接合として入熱量が少なく熱影響範 囲の小さい電子ビーム溶接(Electron Beam Weld)(以下, 単に「EBW」という)を用い,主として鋼小片の幅 B を パラメータとしてシャルピー吸収エネルギーとの関係 について整理を行った. 2.対象とした鋼材および機械的性質等 本研究では,経年橋梁に用いられている鋼材の性質を 把握することも主眼の 1 つとしている.そこで,現在, 橋梁で一般的に使用されるSM490 の他,以下に示す昭和 初期のほぼ同時期に架設され,撤去された2 つの実橋梁 から試験鋼材(古材)を切り出し検討に供した.これら 2 種類の古材 1 および古材 2 の鋼種や機械的性質等に関 する情報は得られていない. ・古材1:昭和初期に日本の橋梁メーカーで製作された プレートガーダー橋の横桁ウェブから切り出した鋼 材(写真-1 (a)). ・古材2:昭和初期にアメリカで製作された鋼トラス橋 の弦材から切り出した鋼材(写真-1 (b)). これらSM490,古材 1,古材 2 の 3 種類の鋼材の鋼小 片を対象とした.そして,EBW で試験片を製作する前 に,これらの鋼材の基本的な性質の調査を行った. 2.1 引張試験 古材1 については,5 号試験片を長手方向および長手 直角方向から各3 本ずつ合計 6 本,古材 2 については 4 号試験片を長手方向から3 本を製作した.SM490 材につ いては,圧延方向から5 号試験片を 3 本製作した.表-1 に試験結果(平均値)の一覧を,図-2 に引張り試験から 得られる公称応力-公称ひずみ関係の一例を示す.表-1 には,一般構造用圧延鋼材および溶接構造用圧延鋼材が 初めてJIS 化された時(1952 年)の SS41 および SM41, 最新のJIS(2008 年)の SS400 および SM400A の引張試験 に関する規定も併せて示す.表-1 に示すように,古材 1 および古材2 は現行の SS400 および SM400A の強度や伸 びに関する規定を満足しており,強度的には現在の SS400 もしくは SM400A 相当の鋼材であることがわかる. 図-2 の公称応力-公称ひずみ関係に示されるように, 現在のSS400 の応力-ひずみ関係と同様に降伏棚が存在 するものとなっている.なお,図-2 には古材 1 の長手方 向の公称応力-公称ひずみ関係を示しているが,表-1 に 示す機械的性質からもわかるように,長手方向および長 手直角方向の強度に大きな差は見られなかった. 2.2 化学成分分析 古材1,古材 2 および SM490 材の化学成分分析を行っ た.その結果を表-2 に示す.表-2 に示す化学成分のうち, C については JIS G1211 で規定される赤外線吸収法によ り,S については JIS G1215 で規定される赤外線吸収法 により,Si,Mn および P については JIS G 1258 で規定 される誘導結合プラズマ発光分法分析法により,それぞ れ分析を行った.なお,表-2 には 1952 年の SS41 および SM41,最新の JIS(2008 年)の SS400 および SM400A の化 学成分に関する規定を併せて示す.SS41 および SM41 の ストップホール等のコア 接合 普通の鋼材 B ストップホール等のコア 接合 普通の鋼材 B 図-1 コアからの試験片の製作 (a) 古材 1(鋼桁の横桁ウェブ) (b) 古材 2(鋼トラス橋弦材) 写真-1 昭和初期の鋼橋から切り出した鋼材

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化学成分がJIS に初めて規定されたのが 1952 年であり, 古材1 および古材 2 はそれより 20 年程度以上前に製作 された鋼材ではあるが,表-2 から,古材 2 の C,古材 1 および古材2 の S は SM400A の規定を満足しないものの, それ以外の成分についてはJIS の SS400,SM400A の規 定を満足していることがわかる. 2.3 ミクロ組織観察 古材1,古材 2 および SM490 のミクロ組織観察を金属 顕微鏡により行った.板厚1/4 の位置におけるミクロ組 織観察結果(倍率:200 倍)を写真-2 に示す.写真-2 よ り,いずれの鋼材もフェライトおよびパーライトが混在 する組織であり,またその組織はSM490 が最も微細であ り,古材2 が最も粗いことがわかる. 2.4 シャルピー衝撃試験 古材1,古材 2 および SM490 のシャルピー衝撃試験を 行った.古材1 および SM490 は板厚が 9mm の鋼材を実 験に供したため,板厚中心が試験体のV ノッチ中心と一 致する試験片幅7.5mm のサブサイズ(以下,単に「サブ サイズ」という)のV ノッチ試験片を製作した.古材 2 は板厚が30mm の鋼材であり,板厚 1/4 の位置が V ノッ チ中心となるようにサブサイズ試験片を製作した.なお, V ノッチは古材 1 および古材 2 では部材長手方向に直角 方向に,SM490 では圧延方向および圧延直角方向に導入 した.JIS の規定によれば,シャルピー衝撃試験片は圧 延方向から採るとされており,これはV ノッチを圧延直 角方向に導入した場合に相当する.本研究では,SM490 から製作したサブサイズ試験片について,V ノッチを圧 延直角方向に入れた方向を「ロール方向」,圧延方向に 入れた方向を「ロール直角方向」ということにする. 試験温度は,-60℃,-30℃,0℃の 3 温度とし,SM490 のロール直角方向の試験片では各温度で3 体ずつ,それ 以外の試験片では各温度で5 体ずつシャルピー衝撃試験 を行った. 古材1 と古材 2 のシャルピー吸収エネルギーを比較し たものを,図-3 に示す.図-3 より,-60℃および-30℃で は,古材1 のシャルピー吸収エネルギーが古材 2 より若 干大きくなっている程度であるのに対し,0℃では古材 1 のシャルピー吸収エネルギーは古材2 の 4~5 倍程度の 値となっている.しかしながら,本研究で供した古材1, 古材2 ともに 0℃での吸収エネルギーは 20J 程度以下で あり,後述するSM490 のシャルピー吸収エネルギーと比 (a) 古材 1 (b) 古材 2 (c) SM490 写真-2 ミクロ組織観察結果 0 100 200 300 400 500 600 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 公称ひずみ 公 称 応 力 (M P a) 古材1(長手) 古材2 SM490 図-2 公称応力-公称ひずみ関係 表-1 鋼材の機械的性質 引張強さ 破断伸び 上降伏σyu下降伏σyl σB δ

(MPa) (MPa) (MPa) (%) 長手 289 265 428 40.7 長手直角 283 262 424 40.3 古材2 長手 239 224 442 37.0 ≧23 - 41~50 ≧20 ≧23 - 41~50 ≧21 ≧245 - 400~510 ≧17 ≧245 - 400~510 ≧18 SM490 ロール 399 378 531 37.2 ※「SS41(JIS-1952)」の応力度の単位は「kg/mm2」である. ※「SS41(JIS-1952)」の「破断伸び」は鋼材の厚さが9mm以上の値である. ※「SS400(JIS-2008)」は鋼材の厚さが16mm以下の値である. ※「SM400(JIS-2008)」は鋼材の厚さが5mmを越え16mm以下の値である. SM400A(JIS-2008) SS400(JIS-2008) SS41(JIS-1952) 降伏応力度 試験片の長手 方向と鋼材の 方向との関係 古材1 SM41(JIS-1952) 表-2 化学成分分析結果 C Si Mn P S (%) (%) (%) (%) (%) 古材1 0.18 0.01 0.46 0.031 0.038 古材2 0.29 0.08 0.55 0.032 0.048 SS41(JIS-1952) - - - ≦0.080(※注1) ≦0.060 SM41(JIS-1952) - - - ≦0.040 ≦0.050 SS400(JIS-2008) - - - ≦0.050 ≦0.050 SM400A(JIS-2008) ≦0.23 - ≧2.5×C ≦0.035 ≦0.035 SM490 0.17 0.27 1.20 0.017 0.004 注1)転炉による場合の値である.

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較すると低い値となっている. ロール方向およびロール直角方向の SM490 のシャル ピー吸収エネルギー,古材1 および古材 2 のシャルピー 吸収エネルギーを図-4 に示す.図-4 より,SM490 のシャ ルピー吸収エネルギーは,いずれの温度においても古材 1 および古材 2 より大きい値となっているが,既往の研 究10)でも報告されている通り,ロール直角方向のシャル ピー吸収エネルギーはロール方向と比較してかなり低 くなっていることがわかる. 3.鋼小片を EBW で接合して製作した試験片 EBW で試験片を製作する場合,熱影響部そのものに よる影響や,試験鋼材強度と取り付ける鋼材の強度や熱 影響による硬化部の強度の差異による拘束効果の影響 を受けることなく,試験鋼材の機械的性質を正確に測定 することができる試験片設計をする必要がある.例えば 破壊靱性を評価する一つの手法であるシャルピー衝撃 試験片をストップホールもしくはボルト孔等のコアか ら作成する場合,図-1 に示すように,V ノッチを含む領 域のみ試験鋼材から作成し,その以外の部分を他の鋼材 で溶接接合して製作することになるが,熱影響部そのも のや熱影響部による拘束効果の影響を受けない試験鋼 材である鋼小片の幅B を十分に検討する必要がある.瀬 尾らの既往の研究11), 12)でも,本研究で対象とした接合方 法であるEBW を用いてシャルピー衝撃試験片を製作し, 熱影響を受けない幅B とシャルピー吸収エネルギーの関 係について報告がなされている.しかしながら,これら の研究では,長大橋以外の橋梁ではほとんど用いられる ことのない 80 キロ級の高張力鋼を対象としており,瀬 尾らの研究成果がSM490 といった 50 キロ鋼が使用され ることが多い一般的な橋梁に対して適用できるかどう かは不明である.さらに,疲労損傷対策が必要となる橋 梁の中には,本研究で対象とした古材のように,JIS の 規定が存在する以前の鋼材を使用して製作された経年 鋼橋も多数存在するため,そのような鋼材も対象にした 検討を行う必要がある.そこで,2 章で紹介した 3 種類 の鋼材のうち,古材1 および SM490 を対象に,鋼小片を EBW で接合して試験片の製作を行った.なお,古材 2 を対象としなかったのは,鋼材自体のシャルピー吸収エ ネルギーが小さすぎるため,EBW による影響がほとん どでないと考えたためである. 3.1 鋼小片のサイズ 本研究では,図-1 に示すように,ストップホールもし くはボルト孔(程度)のコアから試験片の切欠き(V ノ ッチ)部を含む部位を作成し,その両側に鋼材を接合す ることでシャルピー衝撃試験に用いる試験片を製作す ることを目的としている.ストップホールまたはボルト 孔として直径Φ24.5mm もしくは Φ26.5mm を考え,その 場合,Φ20mm の円柱のコアが残ると想定すると,図-5 に示すように一辺13mm(B=10×√2=14.14・・・>13)の正 方形の鋼小片を取り出すことが可能と考えられる.そこ で,B=13mm を最大幅と設定して,図-6 に示すように, この幅B の鋼小片の側面に鋼材を接合して,サブサイズ のV ノッチ試験片を製作することとした.なお,ストッ プホールのコアを活用する場合,き裂先端が幅B の鋼小 片に含まれないように注意してストップホールをあけ る必要がある. 3.2 EBW による鋼小片を用いた試験片の製作 EBW は高電圧タイプ電子ビーム加工機(ビーム容量: 60kV,100mA,6kW.加工時の真空度:1×10-4torr)を 用いて,加速電圧 60kV,ビーム電流 65mA,溶接速度 650mm/min の条件で試験片の片面からの電子ビームに より行った.以下に製作の流れの概要を示す(図-7 参照). 0 10 20 30 -80 -60 -40 -20 0 20 試験温度 (℃) シ ャル ピー 吸収 エネ ルギ ー (J ) 古材1 古材2 0 50 100 150 200 -80 -60 -40 -20 0 20 試験温度 (℃) シ ャ ル ピ ー 吸 収 エ ネ ル ギ ー ( J) SM490(L方向) SM490(C方向) 古材1 古材2 図-3 古材 1 と古材 2 の比較 図-4 SM490 ロール方向およびロール直角方向, 古材 1 および古材 2 の比較

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・鋼小片の他,スペーサー(図-7 の①),試験片の端部 となる鋼材(図-7 の②),裏当て金をセットする. ・上記のセット終了後,EBW(図-7 の青色の実線)を行 う. ・EBW 後,スペーサーの部分で小切断(図-7 の黄色の 点線)を行う. ・小切断後,所定の寸法まで切断する,削る等により試 験片(図-7 の赤線で示したもの)を製作する. 3.3 EBW で製作した試験片の種類 古材1 および SM490 を試験鋼材とし,EBW を用いて サブサイズのV ノッチ試験片を製作した.試験片の一覧 を表-3 に示す.試験片名の最初の文字の「古」は古材 1 を,「S」は SM490 をそれぞれ鋼小片の材質として使用 した試験片であること示す.表-3 に示すように,EBW の 間隔に相当する鋼小片の幅B をパラメータとして試験片 を製作した.また,古材1 については,EBW で鋼小片 の両側に取り付ける鋼材の強度の違いがシャルピー吸 収エネルギーに与える影響を調査するため,鋼小片の両 側部分をSM570 とした試験片「古-d」も製作した.さら に,SM490 については,EBW で接合した試験片のロー ル方向とロール直角方向の違いによるシャルピー吸収 エネルギーについても考察を行うため,鋼小片をロール 直角方向から切り出した試験片「S-d」も製作した. なお,試験片の製作を依頼した会社のEBW の過去の 経験から,3.2 に示す条件でEBW を実施した場合の熱 影響範囲はEBW の中心位置に対して片側 3mm 程度,合 計で6mm 程度とのことであった.よって,表-3 には熱 影響を受けないと想定される幅「B-6」の値も記述してあ る.表-3 の「B-6」の値からもわかるように,試験片「古 -c」および試験片「S-c」は V ノッチを有する試験区間全 てが熱影響を受けることを想定した試験片である. 3.4 EBW 部周辺のマクロ観察および硬度測定 EBW による熱影響の調査を行うため,試験片の両面 に対して,EBW 部周辺のマクロ観察および硬度測定を 行った.一例として,SM490 の試験片「S-a」および試 験片「S-c」のマクロ観察結果を写真-3,写真-4 に,硬さ の測定結果を図-8,図-9 にそれぞれ示す.図-8 および図 -9 中の赤の点線は想定される EBW の中心位置を示して いる.EBW 部周辺(高さは試験片高さの中央位置)を 0.5mm ピッチでビッカース硬さ試験(試験力 9.8N)によ り測定した.なお,これから写真および図で,「表面」 Φ=20mm

B=14.1・・>13(mm)

Φ=20mm

B=14.1・・>13(mm)

3 B-6 3 B (単位: mm) (B:試料幅) (B-6:熱影響を受けない幅) EBWの中心 3 B-6 3 B (単位: mm) (B:試料幅) (B-6:熱影響を受けない幅) EBWの中心 図-5 想定したコアと鋼小片 図-6 鋼小片を EBW で接合して製作した試験片

鋼小片 鋼小片 鋼小片

EBW

鋼小片 鋼小片 鋼小片

EBW

図-7 鋼小片を用いた EBW による試験片製作法 表-3 EBW で製作した試験片の種類 EBW間隔 未影響(想定) 試験区間 両側部分 B (mm) B -6(mm) 古-a 13 7 古-b 9 3 古-c 4 -古-d SM570 13 7 S-a 13 7 S-b 9 3 S-c 4 -S-d 直角(C) 13 7 長手 ロール(L) SM490 SM490 試験片 鋼材 試験片の採取方向 古材1 SM490

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がEBW の入射側となっている. 写真-3,写真-4 より,いずれの試験片についても,EBW で電子ビームを入射する側とその反対側で熱影響部の 幅が異なり,入射側の熱影響部の幅が広くなっているこ とがわかる.そのことは図-8,図-9 の硬さの測定結果で も同様のことが言え,ビッカース硬さ値の高い範囲が試 験片の両面で異なっており,入射側の方がビッカース硬 さの値が大きい幅が広いことがわかる.表-4 に,各供試 体のEBW 間の領域ついて,ビッカース硬さ試験結果を もとに求めた,鋼材母材の硬さと同程度の硬さである領 域の幅L の値を示す.この幅 L の領域は母材と硬さが同 程度であることから,熱影響を受けていないと考えられ 表面 裏面 (a) 表面 (b) 側面 (c) 裏面 写真-3 試験片「S-a」(B=13mm)の EBW 周辺部のマクロ観察結果 表面 裏面 (a) 表面 (b) 側面 (c) 裏面 写真-4 試験片「S-c」(B=4m)の EBW 周辺部のマクロ観察結果 0 100 200 300 400 500 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 12 中心からの距離 (mm) ビ ッ カ ー ス 硬 さ (H V ) 0 100 200 300 400 500 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 12 中心からの距離 (mm) ビ ッ カ ー ス 硬 さ ( H V ) (a) 表面 (b) 裏面 図-8 試験片「S-a」(B=13mm)の EBW 周辺部の硬さの分布 0 100 200 300 400 500 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 12 中心からの距離 (mm) ビッカース 硬さ ( H V ) 0 100 200 300 400 500 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 12 中心からの距離 (mm) ビ ッ カ ー ス 硬 さ ( H V ) (a) 表面 (b) 裏面 図-9 試験片「S-c」(B=4mm)の EBW 周辺部の硬さの分布

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る.表-4 より,鋼小片の幅 B が小さくなれば熱影響を受 けていない幅L も小さくなるといった相関関係がみられ る.また,幅B が同じであれば,表面および裏面の熱影 響を受けていない幅L は,古材 1 および SM490 の両者 でほとんど差が無いことがわかる. 4.シャルピー衝撃試験結果 図-10~図-12 に,古材1,SM490(ロール方向),SM490 (ロール直角方向)のシャルピー衝撃試験から得られる シャルピー吸収エネルギーを示す.古材 1,SM490(ロ ール方向),SM490(ロール直角方向)の試験片で EBW のない試験片の結果は,それぞれ「古-無」,「S-無」,「 S-無-C」と表記している.なお,シャルピー衝撃試験後の 試験片の破断経路は,EBW の有無および EBW の中心間 隔に相当する鋼小片の幅B の値に関係なく,全ての試験 片で最小断面に沿っていた. 図-10 に示す古材 1 のシャルピー吸収エネルギーにつ いて,-60℃および-30℃ではいずれの試験片もシャルピ ー吸収エネルギーの値自体が小さいこともあり,EBW の 有無,幅B の値に関わらずシャルピー吸収エネルギーに 大きな差は見られない.それに対して,0℃の試験結果 では,試験片によってはシャルピー吸収エネルギーに差 が見られる.EBW のない試験片「古-無」,EBW の幅 B を13mm とした試験片「古-a」および試験片「古-d」(取 付け鋼材がSM570)では,各試験片のバラツキは見受け られるものの,1 つの集合となっており特段の差は見ら れず,他の試験片のシャルピー吸収エネルギーと比較し て若干高い値となっている.それに対し.幅B を 4mm とした試験片「古-c」のシャルピー吸収エネルギーが他 の試験片の結果と比較して低い値となっており,幅B を 9mm とした試験片「古-b」は 2 つのグループの中間に位 置している.このことから,幅B が大きく熱影響を受け ない幅L が大きくなるほど,シャルピー吸収エネルギー が大きくなっており,幅B が 13mm の場合では EBW を しない場合と同様のシャルピー吸収エネルギーが得ら れていることがわかる.また,間隔B が 13mm でつかみ 部の鋼種をSM570 材とした試験片「古-d」のシャルピー 吸収エネルギーとつかみ部をSM490 材とした試験片「古 1-a」の試験結果には差がほとんど見られておらず,幅 B を13mm とした試験体では取付け鋼材の強度の影響は殆 どないと言える. 図-11 に示すロール方向の SM490 のシャルピー吸収エ ネルギーについて,図-10の古材1と比較して幅Bが4mm の試験片「S-c」を除き全体的にシャルピー吸収エネルギ ーが大きくなっているためばらつきは見られるが,幅B が大きくなるにつれてシャルピー吸収エネルギーが大 きくなり,古材1 の場合と同様,幅 B が 13mm の試験片 「S-a」は,EBW の無い試験片「S-無」とシャルピー吸 表-4 硬さから判断した熱影響を受けていない幅 L 鋼小片幅 未影響(想定) B (mm) B -6(mm) 表面 裏面 平均 古-a 13 7 8 10 9.0 古-b 9 3 3 4 3.5 古-c 4 - 0 2 1.0 S-a 13 7 7 10 8.5 S-b 9 3 3 4 3.5 S-c 4 - 0 1 0.5 試験片 未影響(硬さ測定結果):L (mm) 0 10 20 30 -80 -60 -40 -20 0 20 試験温度 (℃) シ ャ ル ピ ー 吸 収 エ ネ ル ギ ー (J ) 古-無(EBW無し) 古-a(B=13mm) 古-d(B=13mm,SM570) 古-b(B-9mm) 古-c(B=4mm) 図-10 古材 1 のシャルピー吸収エネルギー 0 50 100 150 200 -80 -60 -40 -20 0 20 試験温度 (℃) シ ャ ル ピ ー 吸 収 エ ネ ル ギ ー (J ) S-無(EBW無し) S-a(B=13mm) S-b(B=9mm) S-c(B=4mm) 図-11 SM490(ロール方向)のシャルピー吸収エネルギー 0 20 40 60 80 -80 -60 -40 -20 0 20 試験温度 (℃) シ ャ ル ピ ー 吸 収 エ ネ ル ギ ー (J ) S-無-C S-d(B=13mm:C方向) 図-12 SM490(ロール直角方向)のシャルピー吸収 エネルギー

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収エネルギーが同程度となっていることがわかる. 図-12 に示すロール直角方向の SM490 のシャルピー吸 収エネルギーについて,図-11 のロール方向と比較して 全体的にシャルピー吸収エネルギーが小さくなってい るものの,幅B が 13mm の試験片「S-d」と EBW の無い 試験片「S-無-C」のシャルピー吸収エネルギーには差が みられないことがわかる. 以上の結果より,今回の溶接条件でEBW により鋼小 片を用いてシャルピー衝撃試験片を製作した場合,鋼材 自体のシャルピー吸収エネルギーが小さい場合を除き, 幅B が小さくなるほどシャルピー吸収エネルギーが小さ くなる傾向が見られ,幅B が 13mm の場合では,EBW をしない場合と同等のシャルピー吸収エネルギーが得 られる結果となった.EBW の中心間隔に相当する鋼小 片幅B が小さい試験片でシャルピー吸収エネルギーが小 さくなった理由として,写真-4 および図-9 に示すように, 試験片のVノッチの存在する領域自体が熱影響部となっ ていて材料劣化していることの他,熱硬化部によるV ノ ッチ近傍の塑性変形領域が狭い領域のみに限定される こと12), 13)が考えられる.この後者の影響については,以 下の5 章で解析的に検討を行う. 5.EBW による材料不均一の影響に関する解析的検討 本研究で検討したEBW を用いて製作した試験片から 得られるシャルピー吸収エネルギー値に影響を及ぼす 可能性のある因子としては,試験部の断面の溶接熱影響 による性質の変化の他,溶接部が硬化することによる硬 化部に挟まれた試験部の塑性変形挙動への影響も考え られる.そこで本章では,熱硬化部による塑性拘束の影 響について,熱影響を受けない幅L をパラメータとして 解析的に簡易に検討を行った.シャルピー吸収エネルギ ーはVノッチ先端からの破壊の発生時に試験体に蓄えら れるひずみエネルギーと破壊に伴う破面形成に消費さ れるエネルギーの両方が含まれると考えられ,衝撃的な 作用力の評価を含めて解析的な検討は困難である.しか し,ここでは既往の研究12, 13)を参考に,静的に力を載荷 した時にVノッチ部の塑性変形を熱硬化部がどの程度拘 束するかについて検討することにより,熱硬化部による 塑性拘束がシャルピー衝撃試験結果に影響を与えない 取付け幅について検討を行った. 解析は汎用ソフト MARC を使用した三次元弾塑性 FEM 解析により行った.解析モデルの説明を図-13 に示 す.図-13(a)に示すように,解析モデルは本研究の実験で 用いたサブサイズ試験片とし,硬化部幅は図-8(a)に示す 表面のEBW による熱影響部(硬さの値が大きい幅)を 参考に 4mm とし,板厚方向には等幅とした.鋼材の応 力-ひずみ関係は,図-13(b)に示すように,硬度計測結果 を参考に硬化部の降伏点は試験部の2 倍とし,応力-ひず み関係はバイリニア型とした.この硬化部の応力-ひずみ 関係は,ビッカース硬さと引張強度の関係 14)を参考に, 硬化部の強度変化の影響を検討するために簡易に設定 したものである.支点間隔は40mm とし,載荷は試験片 中央(V ノッチ断面)上面に強制変位で 2mm を与えた. V ノッチ先端の最小要素寸法は 0.1mm 程度であり,全て の解析ケースでモデル全体の要素分割を同じとしてい る. 材料不均一の影響を検討するために,豊田ら13)は,切 欠き先端の相当塑性ひずみと試験体全体に蓄えられる ひずみエネルギーの関係,瀬能ら 12)は載荷点変位が 0.4mmを基準とした時のひずみエネルギーやそこからの き裂進展に伴うエネルギー解法率などを指標として検 討を行っている.ここでは,硬化部による塑性変形の拘 束の程度を見ることを目的としており,板厚中央のV ノ ッチ先端の相当塑性ひずみが0.3 となった時点,および 載荷荷重が6.0kN となった時点において取付け幅をパラ メータとして比較を行った.なお,鋼小片の幅B に代わ り,熱影響を受けていない幅(以下,本章で「硬化部間 隔」という)L に着目して整理を行った. 図-14(a)にVノッチ先端の相当塑性ひずみが0.3となっ た時のV ノッチ先端近傍の相当塑性ひずみ分布を示す. 全てのケースで相当塑性ひずみが 0.001~0.5 の間で色識 4mm 4mm 硬化部間隔L 10mm 7.5m V ノッチ近傍部 応力(N/mm2) ひずみ 280 560 420 700 硬化部 試験鋼材・取付け鋼材 0.2 (a) 試験片のモデル化 (b)鋼材の応力-ひずみ関係 図-13 解析モデル

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別した相当塑性ひずみ分布を示している.図-14(b)には, その時の試験体全体に蓄えられる全ひずみエネルギー を示している.なお,参考のためにモデル全体を硬化部 の強度を持つ材料としたモデル(溶接なし強度2 倍)も 併せて示している.硬化部間隔L が 10~4mm の間では塑 性変形が発生している領域はほぼ硬化部内に限定され ている.そして,V ノッチ先端の大きな塑性変形の分布 やひずみエネルギーの変化を見ると,硬化部間隔 L が 10mm 程度ではほぼ硬化部による影響は見られていない ことが分かる. 図-15(a)に載荷荷重が 6.0kN となった時の V ノッチ先 端近傍の相当塑性ひずみ分布を示す.全てのケースで相 当塑性ひずみが 0.001~0.5 の間で色識別した相当塑性ひ ずみ分布を示している.図-15(b)には,その時の試験体全 体に蓄えられる全ひずみエネルギー,およびV ノッチ先 端の相当塑性ひずみを示している.同一荷重で比較する と,硬化部間隔L が小さくなるに従い,明らかに塑性化 領域,特に切V ノッチ先端近傍の高い塑性ひずみ領域が 非常に小さくなり,また,V ノッチ先端の相当塑性ひず みおよび試験体全体に蓄えられる全ひずみエネルギー も非常に小さくなるが,V ノッチ先端の相当塑性ひずみ が0.3 で同一とした場合と同様,硬化部間隔 L が 10mm 程度ではEBW 無しの場合と比較して殆ど差異が見られ ていないことが分かる. 以上のいずれの検討によっても,熱硬化部の存在によ り,硬化部の間にあるV ノッチ近傍の塑性ひずみやその 分布,さらには試験体に蓄えられるひずみエネルギーは 影響を受けるが,硬化部間隔L が 10mm 程度になるとそ の影響は非常に小さくなることが分かる.この結果は, 鋼小片の幅 B が 13mm の試験片では,古材 1 および SM490 の 2 種類の試験鋼材とも,硬化部間隔 L に相当す る熱影響を受けない幅(試験片の表裏の平均値)は約 溶接なし L=10mm L=6mm L=4mm 4mm 10mm 6mm 0 10 0 10 20 ひ ず み エ ネ ル ギ ー   (J ) 硬化部間隔L (mm) 溶接なし 溶接なし 強度2倍 (a) 相当塑性ひずみ分布 (b) 硬化部間隔 L とひずみエネルギーの関係 図-14 V ノッチ先端部の相当ひずみが 0.3 の時の解析結果 溶接 なし L=10mm L=4mm L=2mm 4mm 10mm 2mm 0 10 0 10 20 0 0.1 0.2 ひ ず み エ ネ ル ギ ー   (J ) 硬化部間隔L (mm) 相 当 塑 性 ひ ず み Empty 相当塑性ひずみ Solid ひずみエネルギー 溶接なし 強度2倍 溶接なし 荷重6kN (a) 相当塑性ひずみ分布 (b) 硬化部間隔 L とひずみエネルギーの関係 図-15 載荷荷重が 6.0kN の時の解析結果

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9mm であり,EBW のない試験片と同様のシャルピー吸 収エネルギーが得られたという事実と一致していると 言える. なお,今回の検討では,硬化部が試験部の塑性変形を 拘束する様子を検討することを目的に,硬化部の応力- ひずみ挙動を仮定し,ある基準(塑性ひずみ0.3 や載荷 荷重6.0kN)を簡易に設定して比較検討を行っているが, より大きな塑性変形を生じる場合など実際の試験体の 挙動についてはさらなる検討が必要である. 6.まとめ 本研究は,鋼材として現在のSM490 の他,経年橋梁と して昭和初期に架設された鋼桁横桁ウェブおよび鋼ト ラス橋弦材から取り出した鋼材(古材 1,古材 2)も対 象に,ストップホールやボルト孔のコア程度の鋼小片か らシャルピー衝撃試験片を作成してシャルピー吸収エ ネルギーを適切に測定するための検討を行った.以下に 本研究で得られた主な知見を示す. ・ 機械的性質については,古材1,古材 2 のいずれに ついても,降伏強度,引張強さ,伸びは現行JIS の SS400,SM400A の規定を満足している.化学成分 については,古材2 の C,古材 1 および古材 2 の S は現行JIS の SM400A の規定を満足しないものの, それ以外の成分についてはJIS の SS400,SM400A の規定を満足している. ・ 古材1 および古材 2 のシャルピー吸収エネルギーは SM490 と比較して小さく,特に古材 1 のシャルピー 吸収エネルギーは0℃における試験でも 10J 未満と 非常に小さい.また,SM490 のロール直角方向のシ ャルピー吸収エネルギーはロール方向と比較してか なり小さい. ・ 鋼小片を電子ビーム溶接(EBW)で接合し,鋼小片 の幅(EBW の中心間隔)をパラメータとして試験片 を作成した.試験片のマクロ観察結果および硬度測 定の結果,鋼小片の幅が大きくなれば熱影響を受け ない幅が大きくなるといったように,両者には相関 関係が見られる. ・ 鋼小片の幅が小さくなれば,シャルピー吸収エネル ギーが小さくなる傾向が見られるが,鋼小片の幅を 13mm とした試験片では通常の試験片と同様のシャ ルピー吸収が得られる.このことは,ストップホー ルのコア程度の鋼小片を用いて製作した試験片でも シャルピー衝撃吸収エネルギーを適切に評価できる 可能性を示している. ・ 鋼小片の幅が小さい試験片でシャルピー吸収エネル ギーが小さい理由として,熱影響自体による材料劣 化の他,解析的な検討より熱影響部によりV ノッチ を含む領域の塑性変形が抑制されることが考えられ る. 謝辞 本研究は,基盤研究(S)「重度の疲労損傷を受けた鋼橋 の機能回復・機能向上を目的とする橋梁再生工学の確 立」(研究代表者:東京工業大学 三木千壽教授)の一 環として行われました.ここに感謝致します. 参考文献 1) 日本道路協会:鋼橋の疲労,1997.

2) http://iiw-wg5.cv.titech.ac.jp/, IIW-XIII-WG5, Repair of fatigue loaded welded structures.

3) Miki, C. and Konishi, T.: Retrofit Engineering for Steel Bridge Structures in Japan, A-0673, IABSE SYMPOSIUM, WEIMAR, 2007. 4) 三木千壽:造る時代から守る時代へ-技術者に求める モノ-,(財)首都高速道路技術センター技術講習会資 料,2008. 5) 日本道路協会:道路橋補修・補強事例集(2007 年版), 平成19 年. 6) 日本道路協会:道路橋補修・補強事例集(2009 年版), 平成21 年. 7) 三木千壽, 小野潔, 横山功一, 原田隆郎:横断歩道橋 の支柱に生じたき裂損傷の原因調査と対策,土木学会 論文集A,Vol. 65,No. 3,pp.618-629,2009. 8) 西川和廣:道路橋の寿命と維持管理土木学会論文集, No.501/I-29,pp. 1‐10,1994. 9) 三木千壽,冨永知徳,柳沼安俊,下里哲弘:既設鋼橋 脚の補修溶接におけるラメラティアの発生の可能性 検討,土木学会論文集,No.759/I-67,pp.69-77,2004. 10) 志田悠歩:既設橋梁の鋼材品質確認のための材料試 験法に関する研究,芝浦工業大学修士論文,2010. 11) 瀬尾健二,正木順一:シャルピー衝撃試験による溶 接部切欠靱性評価に対する一考察,溶接学会誌,第 51 巻,第 3 号,pp.39-45,1982. 12) 瀬尾健二,正木順一,野方文雄,佐藤邦彦:シャル ピー衝撃試験による溶接部切欠靱性評価に対する一 考察(II)-遷移温度のおよぼす材料的不連続の影響 -,溶接学会論文集,第1 巻,第 2 号,pp.123-129, 1983. 13) 豊田政男:溶接構造物の破壊靱性要求と靱性試験法 -溶接部のもつ特異性が生む問題について-(その 2)溶接部靱性試験法はいかにあるべきか,溶接学会 誌,第54 巻,第 2 号,pp.15-22,1985. 14) 三木千壽:鋼構造,共立出版株式会社,2000. (2011 年 9 月 14 日受付)

参照

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