気候と自然災害レポート
2011年版
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もくじ
エグゼクティブ・サマリー: 2011 年に発生した自然災害 3 2011 年の天候 7 2011 年大西洋ハリケーンシーズン 9 2011 年東太平洋のハリケーンシーズン 10 2011 年太平洋西部の台風シーズン 11 2011 年インド洋および南太平洋サイクロン 12 2011 年米国の竜巻シーズン 13 2011 年米国山火事シーズン 14 2012 年の気候と大西洋ハリケーン予測 15 気温と降雨の見通し:2012 年 1-3 月 16 気温と降雨の見通し:2012 年 3-5 月 17 大西洋ハリケーンシーズン予測 18 2012 年大西洋ハリケーンシーズンの見通し 20 2011 年 月次 カタストロフィー・レビュー 21 米国 21 その他の北米地域(カナダ、メキシコ、バミューダ、カリブ海諸島) 34 南米 40 ヨーロッパ 45 アフリカ 50 アジア 53 オセアニア(オーストラリア、ニュージーランドおよび南太平洋諸島) 68 付属資料 A: 熱帯大気海洋システムと発生頻度の相関性 72 大西洋 (ENSO) 72 東太平洋 (ENSO) 73 西太平洋 (ENSO) 74 南半球(ENSO) 75 付属資料 B: 世界の歴史的自然災害 76 連絡先 78 Impact Forecasting について 79 Aon Benfield について 79エグゼクティブ・サマリー: 2011年に発生した自然災害
2011 年は世界中で壊滅的な自然災害が多発し、非常に過酷な年となった。日
本は歴史的な地震・津波により甚大な被害を受け、この災禍による死亡者数は
16,000 人近くに上った。ニュージーランドではクライストチャーチで起きた 2 回の
地震による被害からの大規模な復興に取り組んでいる。米国では、竜巻、強風、
雹などの発生件数が記録的なものとなった。東南アジアで起きた大洪水は広範
囲に渡り大きな被害を及ぼし、オーストラリア、北アメリカ、南アメリカの各地域も
洪水の被害を受けた。ハリケーン・アイリーンが 米国に上陸したが、これは
2008 年以来の初の上陸となった。世界の各地では、この他に 10 個の熱帯低気
圧が上陸した。また 1880 年に気温測定が始まって以来、2011 年は歴史上で
11 番目に暖かい年となった。
2011 年に世界で起きた自然災害は 253 件(顕著な保険損害、経済的損害 、死者数、大きな人的被害をもたらし た気象・気候による自然災害を集計対象とした)に上り、各地で甚大な被害をもたらした。 その被害の総額は、経 済的損害額が 4,350 億米ドル、保険損害額が 1,070 億米ドルに上る。 2011 年の経済的損害額は自然災害に よるものとして過去最大となった。また、2011 年の保険損害額は 2005 年に次いで史上 2 番目となったが、 1,200 億米ドルの保険損害があった 2005 年は、その大部分の 900 億米ドルがカトリーナ、リタ、ウィルマなどの 巨大ハリケーンによってもたらされたものであった。 アジア、米国 、そしてオセアニア (オーストラリア、ニュージーランド および 南太平洋諸島) は 2011 年に大きな 保険損害を被ったが、これは アジアとオセアニアで起きた歴史的な地震、米国で起きた春の悪天候、 アジアとオ セアニアで起きた洪水によるものである。 経済的損害額は日本の地震・津波が大半を占め、自然災害による過 去最大の経済的損害となった。タイで起きた大洪水、ニュージーランドで起きた 2 つの地震、米国で起きた数々 の(竜巻などを伴う)悪天候も、大きな経済的損害につながった。 2011 年の自然災害による保険損害額上位 10 件のうち、4 件が悪天候(竜巻、雹、強風)、3 件が地震、2 件が 洪水、そして 1 件が熱帯低気圧であった。日本の地震・津波は、2011 年の最大の経済的損害および保険損害を もたらし、保険損害額はおよそ 350 億米ドル、経済的損害額は約 2,100 億米ドルと推定されている。マグニチュ ード 9.0 の巨大地震・津波が 3 月 11 日に発生し、日本だけで 15,844 人の犠牲者を出した。 Exhibit 1 は 2011 年における自然災害による保険損害額上位 10 件 を示しているが、その合計は 862 億 5,000 万米ドルに上り、2011 年の保険損害総額の 81%を占める。残りの 209 億米ドルは冬季の荒天、悪天候、洪水、 熱帯低気圧、地震、干ばつ、噴火 や山火事によるものである。4 2011 年の自然災害による総死者数は約 24,500 人に上り、250 人以上 が死亡するなるような災害が 少なくとも 8 件あった。2011 年の死者数は、推定 303,000 人が死亡した 2010 年と比べると少ない。 2010 年の被害が大きくなった背景として、ハイチ地 震による死者数が約 230,000 人に上ったこと、ロシ アの酷暑・ 山火事による死者数が 56,000 人に上 ったことがある。 2011 年で最も深刻だったのは 3 月 11 日に日本で 起きた地震・津波であった。少なくとも 15,844 人が 死亡し(行方不明者は 3,451 人と公表) 、日本以外 にも太平洋周辺地域で多数の死者を出した。この 地震は、1923 年、1896 年、1707 年、1293 年に発 生した地震に次いで、日本の歴史上、5 番目に多数 の犠牲者を出した。Exhibit 2 は犠牲者の多かった 自然災害の上位 10 件を示したものである。
2011 年に最も建築物に被害をもたらしたのは、7 月から 11 月にタイで広範囲に起きた洪水であった。 少なくとも 790 人が死亡し、住宅、工場、ビルやそ の他建築物を含む 400 万以上の物件が被災した。 この洪水による経済的損害額および保険損害額は 自然災害としては東南アジアで過去最高となった。 100 万件以上の建物被害もしくは保険金支払いが 報告されるような自然災害としては、他にもパキスタ ンで起きた洪水と、日本で起きた地震・津波がある。 パキスタンは 2 年連続で、洪水により 100 万件以 上の物件が被害を受けた。 2011 年は 10 億米ドル以上の経済的損害をもたら す自然災害が 37 件あった。その 37 件のうち、少な くとも 10 件が 50 億米ドルを超すものであった。 2011 年において 10 億米ドル以上の被害となった 件数は 前年の 43 件より 16%少なかった。しかし、 50 億米ドル以上の被害となった件数は 10 件であ り、前年の 9 件より 1 件多かった。 米国で 10 億米ドル以上の経済的損害となった件数 において 2011 年は過去最高となった。国立気候デ ータセンター(NCDC)によると、少なくとも 12 件が 10 億米ドル以上の損害となり、2008 年の 9 件の記 録を抜いた。一方、弊社がこのレポート作成にあた って集計したデータによると、米国では 2011 年に 10 億米ドル以上の経済的損害をもたらす災害件数 が 17 件もあった。その 17 件のうち、半数以上の 9 件 が(竜巻などを伴う)悪天候によるものだった。他 の 8 件は洪水(3 件)、冬季の荒天(2 件)、熱帯低 気圧(2 件)、干ばつ/山火事(1 件)によるものだった。 米国以外では、10 億米ドル以上の経済的損害をも たらす災害が 20 件発生し、その内訳は、アジアで 10 件、オセアニア で 4 件、ヨーロッパで 2 件 、南ア メリカで 2 件、北アメリカで 2 件であった。 2011 年の自然災害の種類別の最大の経済的損害 額は各々、次のようになった: 地震: 日本 (3 月 11 日) − 2,100 億米ドル 洪水: タイ(7 月 - 11 月) − 450 億米ドル 悪天候: 米国 (4 月 22 - 28 日) − 102 億米ド ル 熱帯低気圧: 米国、バハマ、カリブ諸島(8 月 22 - 30 日) − 85 億 5,000 万米ドル 冬季の荒天: 米国(10 月 28 - 30 日) − 30 億 米ドル 干ばつ/山火事: 米国(1 月- 12 月) − 100 億 米ドル
6 2011 年に経済的損害をもたらした 37 件の災害の うち、17 件が 10 億米ドル以上の保険損害をもたら し、2010 年の 10 件と比較して 70%増となった。こ の 17 件のうち、少なくとも 5 件は 50 億米ドル以上 の損害となった。2010 年はこの規模の損害はチリ 地震の 1 件しかなかった。グローバルでみた保険 損害という観点では、2005 年が依然として過去最 高となっているが、これは主に米国に上陸した巨大 ハリケーン(カトリーナ、リタ、ウィルマ)によるもので ある。 米国では 2011 年において、10 億米ドル以上の経 済的損害をもたらした自然災害が 9 件あり、2010 年の 4 件から倍増した。その 9 件のうち、6 件が (竜巻などを伴う)悪天候によるものであった。対流 性暴風雨による保険損害の合計額は米国史上最 大のものとなった。他 3 件はハリケーン・アイリーン、 ミシシッピ川流域で起きた洪水、そして 1 月下旬-2 月初旬に起きた 冬の嵐である。 米国以外で 10 億米ドル以上の保険損害をもたらし た 8 件の災害の内訳は、オセアニアが 4 件、アジア が 3 件、ヨーロッパが 1 件となっている。米国以外 の保険損害は日本の地震・津波が大半を占めたが、 これは、ハリケーン・カトリーナに次ぐ、史上 2 番目 に大きい損害額となった。ニュージーランドは、2 月 と 6 月にクライストチャーチを襲った 2 回の地震に より歴史的な保険損害を記録した。10 億米ドル以 上となった他の 5 件は、オーストラリアのクイーンズ ランドに上陸したサイクロン・ヤシ、オーストラリアの クイーンズランドの洪水、タイで起きた歴史的洪水、 日本に上陸した台風ロウキー(15 号)、フランス南 部とイタリア北部で起きた大規模な洪水によるもの であった。
2011年の天候
2011 年は 34 年連続で全球平均気温を越えるような年となった。国立気候データセンター(NCDC)の 11 月デー タによると、 2011 年における地球の大陸と海洋を合わせた平均気温は長期でみた平均気温より 0.52°C (0.94°F)高くなり、2011 年は 1880 年に全球平均気温の観測が開始されて以来、11 番目に暖かい年となった。 今のところ、2010 年が最も暖かかった年であり 、全球平均気温より 0.64°C (1.15°F)高かった。気温が最後に 全球平均気温以下となった年は 1976 年であり、平均より 0.09°C (0.16°F)低かった。 海水温や海流などの変動は、海水温の上昇・低下 度合いに影響する。エルニーニョ・南方振動(ENSO) サイクルは太平洋中央域の海水温の変化をもたら し、 低気圧経路に劇的な変化をもたらした。海水温 が上がる期間はエルニーニョ・サイクル、海水温が 下がる期間はラニーニャ・サイクルと呼ばれる。 2011 年は 2010 年 7 月から続いた穏やかなラニー ニャ・フェーズで始まった。 ラニーニャ・フェーズは、 2010 年の 10 月・11 月・12 月に勢力がピークに達 した後、2011 年の始めの数か月で次第に弱くなっ ていった。そのまま勢力の衰退が続き, 5 月には ENSO ニュートラル・フェーズへと移った。 ニュート ラル・フェーズは夏に長く続いたが、その後 9 月で は ラニーニャ・フェーズへと戻る兆候が観測された。 米国海洋大気庁(NOAA)はラニーニャの再来を 9 月初旬に公式発表する一方、このラニーニャ・サイ クルが強まり、冬の間維持されると予測した。太平 洋中央の海水温を観測する Niño-3.4 インデックス は、ENSO サイクルの計測に利用されている。 2011 年は世界の大洋で発生する熱帯低気圧の発 達が、6 年連続して例年より少なくなったが、風速 74 mph (119 kph)以上で定義されるハリケーン、 台風、サイクロンが計 39 件、風速が 111 mph (179 kph)以上でカテゴリー3 以上の大型暴風雨が 21 件、上陸したハリケーン、台風、サイクロンが 11 件であった。25 年平均を見ると、約 47 件のハリケ ーン、台風、サイクロンが発生し、そのうち 24 件が サファ・シンプソン・ハリケーン・スケールでカテゴリ ー3 以上であった。平均して約 18 のハリケーン、台 風、サイクロンが世界各地で上陸する。2011 年は 名前の付いた暴風雨が 76 件のみで、この 25 年間 で 3 番目に少ない年として 1988 年に並んだ。25 年間の平均は年間 87 件である。8 次のセクションでは各地域の熱帯低気圧の発生について、各地域毎に、それぞれの国々に影響を及ぼした通常 あるいは顕著な暴風雨と比較しながら、詳しく記述する。
2011年大西洋ハリケーンシーズン
2011 年の大西洋のハリケーンシーズンは非常に活 発であった。1887 年、1995 年、2010 年と並び、観 測史上 3 番目に多くのハリケーンが観測された。毎 年約 13.2 個のハリケーンが観測された過去 25 年 平均と比較しても、2011 年は通常より 44%多く、6 月から 11 月の間だけで 19 個の名前の付く暴風雨 が観測された。この 19 個の暴風雨のうち、7 個が ハリケーンに発達し、この数は過去の平均値 6.9 個 とほぼ一致する。2005 年は 15 個のハリケーンが 観測された史上最多の年として未だに認識されてい る。3 個のハリケーンはカテゴリー3 またはそれ以 上の勢力となり、その個数は過去 25 年間の平均 (3 個)と一致する。このうち 1 個のハリケーンがカリ ビアン諸国および米国に上陸したが、その数値は 上陸するハリケーンの年平均である 3 個を下回る。 2011 年は大型ハリケーンが上陸しない年として 6 年連続の記録を伸ばす結果となった。 2011 年の大西洋ハリケーンシーズンは、ENSO の 中立状態とシーズン後半の勢力の弱いラニーニャ の発生により影響を受けた。ラニーニャは、熱帯低 気圧の発達を促す高層大気を作り出す。温められ た海水表面温度もまた大西洋の熱帯低気圧の発達 を促進する。ENSO とハリケーンの頻度の関係につ いては、付属資料 A を参照頂きたい。 2011 年の大西洋ハリケーンシーズンは 8 個連続し た熱帯低気圧の発生で始まった。1851 年に始まっ た公式の観測以来、ハリケーンレベルへ発達しない 熱帯低気圧がこれだけ多く発生した年はない。ハリ ケーン・アイリーンは、その年初めてのハリケーンと して観測され、バハマ諸島にカテゴリー3 のハリケ ーンとして到達する前にカリブ海東側を通過した。 ハリケーン・アイリーンは、米国へ 3 回上陸したが、 最初の上陸となるノースカロライナ州への上陸の前 には勢力を弱めた。ハリケーン・ケイティアはカテゴ リー4 に迫る当シーズン最強の勢力に発達したが、 上陸することはなかった。ハリケーン・マリアとオフェ リアはカナダの海運業の一部に影響を及ぼしたも のの、到達前に通常の低気圧に弱まった。ハリケー ン・リナはカテゴリー2 まで勢力を伸ばしたものの、 ユカタン半島に上陸する前に熱帯低気圧に変わっ た。ハリケーンシーズン後の分析により、国立ハリ ケーンセンターは熱帯低気圧ネイトの格付けをハリ ケーンレベルへと引上げた。10
2011年東太平洋のハリケーンシーズン
2011 年の東太平洋のハリケーンシーズンは予想 以上に平穏で、名称が与えられた暴風雨はわずか 11 個、すなわち平均値の 15.5 件より 29%少なか った。しかしながら、11 件の暴風雨のうち 10 件が ハリケーンとなった。これは過去 25 年平均の 8.4 個を 19%上回る結果となった。東太平洋で発生し た 11 件という件数は、同じく 11 件発生した 2006 年以降で最大の発生数であった。2011 年のハリケ ーンのうち 6 個が大型ハリケーン(カテゴリー3 以上) に分類され、そのうち 1 個が上陸した。 エルニーニョ・南方振動(ENSO)は今年のハリケー ン活動に再び影響を及ぼした。中立状態からラニー ニャ期への遷移のため太平洋海域の西部および中 部の冷たい海水の上昇が活発になり、シーズンの 後半は、熱帯低気圧の発生に悪影響を及ぼした。 付属資料 A に ENSO サイクルに関するハリケーン の発生頻度を示している。 東太平洋ハリケーンシーズンは、立て続けに 5 つ のハリケーンの発生から始まった。そのうち 3 個は カテゴリー4 だった。5 個のハリケーンのうち、ベアト リス(カテゴリー1)はメキシコ沿岸をかすめたものの 上陸はしなかった。7 月後半に発達したハリケーン・ ドーラは、カテゴリー5 をわずかに下回る毎時 155 マイル(250 キロ)を記録し、この記録は今シーズン の最大風速となったが、このハリケーンは太平洋上 に留まった。ハリケーン・グレッグ、ヒラリー、アーウ ィン、ケネスも発生したものの上陸はしなかった。シ ーズン中、上陸した唯一のハリケーンはホバで、10 月上旬にメキシコ西部にカテゴリー2 のハリケーン として上陸した。しかし、今シーズンで最も注目すべ き熱帯低気圧は熱帯低気圧「12-E」 だった。この暴 風雨は最小の風速でメキシコ南部に上陸したが、大 気の遅い動きが集中豪雨をもたらし、中米全体で多 くの死傷者を出した。2011年太平洋西部の台風シーズン
太平洋西部における台風活動は、2011 年に 6 年 連続で長期平均を下回ることとなった。台風シーズ ン中には、20 個の名前のついた熱帯低気圧が発 生し、これは過去 25 年間の平均 26.0 個を 23%下 回る。このうち、同平均 16.6 個を 27%下回る 10 個 が台風になり、同平均 9.1 個を 23%下回る 7 個が カテゴリー3 以上の強さになった。そして、同平均 9.2 個を 35%下回る 6 個の台風が上陸した。 フィリピンでは、2011 年に 4 個の台風が上陸し(さ らに 1 個は非常に接近した)、台風活動の盛んなシ ーズンとなった。最初に列島に上陸した台風は、カ テゴリー1 のノックテンで、7 月後半にルソン島北部 を横断した。この台風は、その後中国の海南島とベ トナム北部を横断し、最終的には季節性のモンスー ン雨と相まって、タイに広大な洪水をもたらすことに なった。フィリピンに上陸した最も強い台風は、カテ ゴリー4、最大風速 250 kph (155 mph)のスーパ ー台風ナンマドルで、この台風は最終的に台湾に 再上陸した。シーズン中にフィリピンに最も被害を与 えたのは、9 月後半に到来したカテゴリー3 の台風 ネサットで、その後 1 週間も経たない間にスーパー 台風ナルガエが続いた。いずれの台風も中国に上 陸したが、上陸時にはかなり勢力が弱まっていた。 太平洋西部においてシーズン中最も強い台風 2 つ (スーパー台風ムイファーとソングダー)は、いずれ もカテゴリー5 で最大風速 260 kph (160 mph)で あった。ムイファーは韓国に、ソングダーは日本に それぞれ上陸する前に著しく弱まり、熱帯低気圧と なった。このシーズンでその他の注目すべき台風に、 一時期カテゴリー4 にまでなり、9 月後半に 170 kph (105 mph)の風速で日本を襲ったロウキーが ある。カテゴリー1 の台風マーオンも日本に上陸し た。12
2011年インド洋および南太平洋サイクロン
インド洋および南太平洋においては過去 3 年と同 様平均的なサイクロン活動が見られた。発生した暴 風雨の内、26 が命名されたが、その数は過去 25 年平均の 32.4 個と比較すると 20%減となった。命 名されたそれらの暴風雨のうちサイクロンまで発達 したのは 12 個であり、同じく過去 25 年平均の 15.4 個と比較すると 22%減となった。5 つのサイク ロンがカテゴリー3 もしくはそれ以上となったが、過 去 25 年平均の 7.8 個と比較すると 36%減となった。 上陸したのは 2 つのみで、これも過去 25 年平均の 4.2%減となった。 オーストラリアへ上陸したサイクロンは 1 つにとどま ったが、同国においては過去 2 番目に最悪な災害 となった(最悪は 1974 年のサイクロン・トレーシー)。 2011 年に当地域で発生したサイクロン中で最も強 力であったヤシは、2 月上旬に時速 250 キロの最 大瞬間風速を伴った最大勢力で上陸した。クイーン ズランド北部へ差し掛かると勢力はすぐに弱まった が、後にノーザン・テリトリーおよびサウス・オースト ラリアを通過した。オーストラリアを取り巻く南太平 洋およびインド洋で発生したその他の熱帯低気圧 は洋上に留まり直接被害は生じなかった。サイクロ ン・カルロスおよびダイアンは、2 月下旬に西オース トラリアにおいて強い降雨をもたらしたが、強風は発 生しなかった。 南太平洋およびインド洋においては、オーストラリア 以外では、注目すべきサイクロンが 2 つあった。サ イクロン・ウィルマは 1 月下旬にトンガおよびニュー ジーランド北島を襲い、一時は最大瞬間風速時速 215 キロを伴うカテゴリー4 にまで発達した。このサ イクロンは、この 2 つの地域を襲った時には既に熱 帯暴風雨となっていたものの、甚大な降雨をもたら した。サイクロン・ビンギザは 2 月中旬に風速 185 キロのカテゴリー3 で上陸した。インド洋での 3 番目 の(そしてこの年最後の)上陸サイクロンは 12 月遅 くにやってきたサイクロン・テインであり、カテゴリー1 のサイクロンとして南インドの海岸に上陸した。2011年米国の竜巻シーズン
2011 年は、米国において竜巻の活動が最も著しい 年となった。オクラハマ州のノーマンにある暴風雨 予測センター(SPC)は 12 月末までに 1,718 件の 竜巻を記録した。2010 年は 1,282 個、2009 年は 1,156 個、過去 25 年間平均は 1,203 件である。 2011 年は過去 25 年間の平均より 43%も多かった。 2011 年には 6 個の EF-5 の竜巻があり、一年間に 最も多くの F5 もしくは EF-5 の竜巻があった年とし て 1974 年に並んだ。2011 年は EF-5 の竜巻が複 数接地(タッチダウン)したが、これは 1998 年以来 であった。 2011 年はキラー・トルネード(死者を出す竜巻)が 米国各地で 59 個発生した。これは、2010 年の 21 個、2009 年の 9 個からの大幅な増加を意味する。 2011 年のキラー・トルネードは 553 人の死者を出 したが、これは 25 年間平均である年間 75 人より 極めて多い。2011 年の竜巻による死者数は、1950 年に米国国立気象局(NWS)で記録が始まって以 来最悪なものとなり、1875 年に非公式に記録が始 まって以来 2 番目に最悪なものとなった。死者の多 くは 4 月・5 月に発生し(540 人)、米国の中部・東 部に壊滅的な影響を与えた歴史的な竜巻が続いた。 年間に多くのキラー・トルネードが発生した中で、5 月 22 日にミズーリ州のジョプリンを襲ったものが最 悪となった。ピーク時には 250 mph (405 kph)に達 した EF-5 の暴風により、少なくとも 162 人の死者を 出し、町に壊滅的な被害を与えた。ジョプリンの竜 巻は 1947 年以来最も犠牲者の多い竜巻であり、ま た世界で最も経済的損害の大きな竜巻となった。 2011 年 4 月 27 日は、8 つの竜巻により 10 人の死 者が出た凄惨な日であった。アラバマでは、ハック ルバーグの 210 mph (340 kph) の EF-5 の竜巻 が、5 つの郡に渡る 106.9 マイル (172.0km)の距 離を移動し 72 人の死者を出し、タスカルーサ・バー ミンガムでは 190 mph (305 kph)の EF-4 の竜巻 が 64 人の死者を出した。14
2011年米国山火事シーズン
米国を襲った 2011 年の山火事の件数は 25 年間 の平均を下回ったものの、1 件あたりの山火事の焼 失面積(エーカー)は平均を上回る結果となった。ア イダホ州ボイジーにある国家合同火災対策局 (NIFC)によると、全米で約 73,484 件の山火事に よって 8,706,852 エーカー(3,526,275 ヘクタール) の土地が焼失した。2010 年は、71,971 件の山火 事によって 3,422,724 エーカー(1,386,203 ヘクタ ール)の土地が焼失し、過去 25 年間の平均では、 山火事 76,134 件によって 4,950,942 エーカー (2,005,132 ヘクタール)が焼失した。Exhibit 13 は、 2011 年の山火事シーズンに 1 件の山火事あたり 平均 118.48 エーカー(47.99 ヘクタール)の土地が 焼失したデータを示しており、25 年間の平均値 64.66 エーカー(26.19 ヘクタール)を大きく上回る。 これは 2005 年の記録(山火事 1 件あたり 130.17 エーカー(52.72 ヘクタール))以降、最高の焼失率 となっている。最低の焼失率は 1998 年の山火事 1 件あたり平均 16.41 エーカー(6.64 ヘクタール)で あり、低く止まった理由はこの年の前半に非常に強 いエルニーニョによってカリフォルニアにもたらされ た豪雨であると考えられる。 2011 年は、例年の平均を下回る山火事件数および 1 件あたりの焼失面積(エーカー)を 1 月に記録した ものの、2 月から 3 月にかけて徐々に増加し始めた。 4 月には、山火事発生件数は平均を若干下回った ものの、特にテキサス州、オクラホマ州、ニューメキ シコ州、アリゾナ州にかけての南部地域で発生した 山火事によって、長年の平均を大きく上回る速さで 全焼失面積(エーカー)の記録を伸ばす結果となっ た。2011 年は、平均を上回る気温と平均を下回る 湿度に加えて暴風や極めて低い土壌含水率といっ た長い干ばつによってもたらされた諸事情が南部地 域で重なったことにより山火事が多発した。5 月まで に山火事の勢力はどんどん強まり、アリゾナ州で記 録されたワロー火災(Wallow Fire)は州の歴史上 最大の山火事となった。6 月から 8 月にかけては、 山火事件数は平均を若干下回ったものの、1 件あ たりの燃焼面積(エーカー)は平均を大きく上回った。 9 月上旬には被害はテキサス州へ移り、バストロッ プ郡複合火災(Bastrop County Complex Fire)に よって住宅 1,645 棟が焼失し、州の歴史上最も被 害額が大きい最悪の山火事となった。10 月から 12 月上旬にかけての第 4 四半期には、山火事発生件 数および 1 件あたりの焼失面積(エーカー)は例年 の水準へと戻った。2012年の気候と大西洋ハリケーン予測
一年の世界中の天候変化に影響を与える主な要因 のひとつが ENSO(エルニーニョ南方振動)であり、 ENSO は中央太平洋海水温の異常な上昇や低下 が、通常 3 年から 7 年おきに主に 8 月から 2 月の 間に発生する現象である。 通常、貿易風は東から吹き、太平洋の深層の冷海 水を南アメリカの西海岸沿いの海面に湧昇させてい る。一方、海水が西へ流れるため、海面水位は、太 平洋西部が太平洋東部より 60 センチメートル(2 フ ィート)高くなる。暖かい海水は太平洋の西部へ流 れ込み、太平洋の西部における雷雨の活動が活発 になる。 エルニーニョが発生すると、通常東から西へ吹く貿 易風が弱まったり、時には逆流したりする。暖かい 海水が滞留するか東部へ広がることで、太平洋中 央部から東部にかけて雷雨の活動が強まる。暖か く、非常に湿った状態は通常、12 月から 4 月の間 にペルー、エクアドル、ブラジル、アルゼンチンでみ られる。中央アメリカ、コロンビア、アマゾン川流域 は乾燥しており、東南アジア、オーストラリアの大部 分もまた同様である。アフリカでは、エルニーニョの 影響で、南部地域は通常よりも乾燥し、東部地域は 通常よりも湿った空気が発生する。冷たい北極気団 はカナダ北部に滞留しながら、北米では、寒帯ジェ ット気流(北極の寒気吹き出しの発生原因であるジ ェット気流)が通常、北へ押し寄せられている。そし て一般的に、アメリカ北部やカナダ南部の各地で平 均気温が上がる。通常は冬に南下する亜熱帯ジェ ット気流は北に押し上げられながら蛇行し、アメリカ 南部とメキシコ北部全域に一連のストームをもたら す。 ラニーニャの時は、貿易風が強まり、太平洋の深層 からの冷海水の湧昇をさらに促進する一方、太平 洋西部には暖かい海水が蓄積する。太平洋西部で は雷雨の発生が多くなり、中央および東太平洋地 域では、少雨・干ばつとなる。海水温の変化は大気 のジェット気流に影響するため、エルニーニョ現象と 同じく、ラニーニャ現象の影響も世界中に波及する。 主な影響は通常、年初に湿った空気が流れ込む太 平洋西部で顕著である。冷たく湿った空気がアフリ カ南部と南アメリカ東部全域に 12 月から 2 月の間 に流れ込む。亜熱帯ジェット気流はさらに南下し、冷 たく湿った空気が北米の西海岸の北部に流れ込む。 一方、乾いた温暖な空気は、米国南部やメキシコ北 部にかけて流れ込む。ラニーニャ現象が 6 月、7 月、 8 月に続くと、暖かく湿った空気は頻繁にインドネシ アやアジアの南部に流れ込むようになる。一方、冷 たく湿った空気はカリブ海の南部に流れ込む。 次ページ以降に、平均値と比較した世界の気温、降 水量の予測(2012 年 1 月から 5 月)を地図上に示 した。エルニーニョとラニーニャが太平洋と大西洋の 熱帯低気圧の発生に与える影響については付属資 料を参照されたい。16
気温と降雨の見通し:2012年1-3月
2011 年 12 月時点では、太平洋中央部で弱いラニーニャ現象が続いていた。この状況は、2012 年に入ってから 数ヶ月は続くと見られる。しかし、1 月以降、コンピュータ気候モデルは、現在のラニーニャは 2 月から弱まり始め ると示すようになった。ラニーニャが次第に弱まるという可能性はあるものの、3 月まではとどまると見られる。
気温と降雨の見通し:2012年3-5月
ラニーニャ現象は引き続き弱まって ENSO−ニュートラルへ移行していくが、その影響は 3 月、4 月、5 月にかけ て持続すると見られる。米国南部の平野部では、例年よりも高い気温や例年より非常に少ない降雨量等のラニ ーニャに関連する典型的な気象状況が予想される。カナダ北部の一部地域やヨーロッパ、アフリカ北部でも例年 よりも気温が高くなると予想される。一方対照的に、東南アジアの一部地域では、例年よりも高い湿度と低い気温 が戻ってくる可能性がある。オーストラリア北部や南アメリカ、カナダ南部の一部地域でも気温が低くなる可能性 がある。18
大西洋ハリケーンシーズン予測
多様な機関による大西洋におけるハリケーンシーズ ンの予測は、毎年メディアを賑わしている。これらの 機関は入手した気象および気候データを用いて予 測を行い、いくつかの機関では 6 ヶ月前までにその 年の大西洋ハリケーンシーズンは活動的になるか どうかを予測している。公的機関に始まり、大学、企 業など幾つかの異なる団体がこのような予測をして いる。これらの中で継続的に予測を公表している機 関をあげると: コロラド州立大学(CSU)、Klotzbach 博士およ び Gray 博士が中心となってコロラド州立大学 および企業の援助によって活動しているグルー プ 米国大洋大気庁 (NOAA), 気候および気象に 関する調査を担う米国の公的機関 Tropical Storm Risk (TSR)、Saunders 教授 および Lea 博士を中心として、ロンドンを拠点 にエーオンベンフィールドの援助によって活動 しているグループ いくつかの機関が予測に用いた詳細なパラメーター を公表している一方、予測に関して一般的な方法論 のみを挙げているグループも見受けられる。CSU および TSR は予測値として具体的なハリケーンの 発生数を予測しているが、NOAA は範囲で示すに 留まっている。 下表は、5 月 1 日から 6 月 10 日の間に予測された ハリケーンの発生数を、入手可能な限り過去 5 年 分まとめたものである。加えて、長期予測は短期の それよりも多くの情報をもたらすことを強調するため に 5 年間の累積予測数を示した。
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2012年大西洋ハリケーンシーズンの見通し
CSU と TSR は、12 月の初旬に翌年の大西洋ハリケーンシーズンの予測を発表する。以下の表は、その予測を まとめたものである。
2011年 月次 カタストロフィー・レビュー
米国
4 月・5 月の歴史的な悪天候は、甚大な被害と多くの犠牲者を出した ハリケーン・アイリーンが 2008 年以来初めて米国に上陸した ミシシッピ川・ミズーリ川流域で発生した洪水が数十億米ドルの被害を出した 強力な暴風雨が、大晦日と元日にアメリカ中西部、 東南部及びミシシッピ川流域周辺で悪天候をもたら し、少なくとも 8 名が犠牲となり、数十名が怪我をし た。強風や雹を伴う何十ものトルネード(少なくとも EF-3 以上が 7 つ) がイリノイ、ミズーリ、オクラハマ、 アーカンソー、ミシシッピ州の各地にダッチダウン (接地)し、経済損失合計は数千万米ドルに及んだ。 1 月 7 日から 12 日にかけて、アメリカ東部は冬型 気候により被害を受けた。この年最初に発生した暴 風雨は、7 日から 8 日にかけて五大湖周辺に大量 の降雪をもたらした。その後、2 番目の暴風雨がメ キシコ湾岸で発生したため、8 日、9 日には東南部 に注目が移ったが、1 番目の暴風雨は広範囲に雪 氷をもたらし、少なくとも 11 名の犠牲者が出た。11 日、12 日には、2 つの暴風雨が結合した強力なノー イースターが生じ、ニューイングランド沿岸に 6 から 30 インチ (15 から 76cm)の積雪をもたらした。経 済損失合計は数千万米ドルとなった。 17 日から 24 日にかけて、アメリカ東部で起きた 2 つの冬の暴風雨によって 10 名の犠牲者が出た。 17 日、18 日には、最初の暴風雨が雨、雪、氷を北 東部にもたらし、一方でより潜在性をもった 2 番目 の暴風雨が 19 日から 21 日にかけて、プレーンズ (大平原地帯)、中西部、テネシー渓谷、及び大西 洋岸を横断した。2 番目の暴風雨は北極気団が原 因であったが、中西部や北東部で休校や休業、全 米鉄道旅客公社(アムトラック)の営業中断などが 発生した。 記録的に大規模な 2010- 2011 年の冬季シーズン の 3 番目の冬の暴風雨は、24 日から 26 日にかけ て米国東部で激しい冬型の雨と悪天候をもたらした。 暴風雨の発達につれ、6 つのトルネードがフロリダ の中部と南部でタッチダウンし、何百もの住宅や建 物が破壊された。25 日、26 日までには、低気圧の 大部分は北東に向かってアパラチアを横断し、ノー イースターがワシントン D.C., フィラデルフィア, ニュ ーヨークシティ, ボルティモア、そしてボストンに大量 の積雪をもたらした。このため、深刻な交通の混乱 が発生した。22 大型の冬の暴風雨が記録的な雪氷と激しい雷雨を もたらし、コロラドからメイン州までの 2,000 マイル (3,218 キロ)以上に影響が及び、1 月 31 日から 2 月 2 日にかけて 36 名以上が犠牲になった。22 の 州で 5 インチ(13 センチ)以上の積雪があり、18 イ ンチ(45 センチ)以上の積雪がその他の 7 州で記 録された。シカゴでは州の記録として 3 番目となる 降雪があった。悪天候により、アメリカ全土で 18,000 便以上のフライトがキャンセルされた他、厳 しい寒さで、グレートプレーンズ南部の農作物への 被害が発生した。また、南部の前線境界に沿った東 南部とミシシッピ渓谷で 1 日に悪天候が発生した。 経済損失合計は少なくとも 20 億米ドルであり、保 険会社は 115,000 件以上の保険金請求を受け付 け、11 億米ドルを上回る保険損害となった。 記録的な雪と寒さが 2 日から 6 日にかけて、グレー トプレーンズ南部、南西部砂漠地帯、および南東部 を覆った。少なくとも 4 名となった犠牲者は暴風雨 によるもので、14 の州に直接的被害を与えた。北 極気団が停滞し、予期せぬ寒気がグレートプレーン ズ南部とミシシッピ渓谷下部を覆った。テキサス農 業生活サービス(Texas AgriLife Extension Service)によると、極寒が農作業の中断や、農作物 への被害をもたらした。経済損失合計は 6 億 5,000 万米ドルとされ、保険会社は 45,000 件以上の保険 金請求を受け付け、損害額は 4 億米ドル超となった。 20 日から 21 日にかけて冬の暴風雨が中西部、オ ハイオ渓谷、北東部各地を襲い、少なくとも1名が 死亡した。ミネソタ、ダコタ、ウィスコンシン、ミシガン、 ペンシルベニア、五大湖周辺では大雪となり、雨と 突風が入り混じりながら木々、電線をなぎ倒し、何 千もの建物と自動車が破壊された。 24 日から 25 日にかけてさらなる冬の暴風雨が米 国東部を襲い、カンザスからメイン州にかけて大量 の積雪と冷たい雨をもたらし、悪天候が南東部を襲 った。この暴風雨により、少なくとも 4 名の犠牲者が 出た。スコールライン(寒冷前線に先駆けて出現す る激しい気象をもたらす前線)がアーカンソー, テネ シー, ルイジアナ, ケンタッキー, ミシシッピ, アラバマ、 ジョージア州各地を短期間に移動し、広範囲に影響 を及ぼした。経済損失合計は 2 億 2,500 万米ドル と推定され、保険会社は、20,000 件以上の保険金 請求を受け付け、保険金支払額は 1 億 2,500 万米 ドルを超えた。 2 月 27 日から 3 月 4 日にかけて乾燥した空気と強 風がテキサス西部での数件の山火事を引き起こし た。突風が 70 mph (110 kph)に達し、140,000 エ ーカー (56,600 ヘクタール) もの土地を焼きつくし、 ポッター、ランドール及びミッチェルの各郡では、少 なくとも 241 件の住宅、建物が被災し、破壊された。 大量の煙により、少なくとも 1 件の交通事故死があ った。経済損失合計は 1,450 万米ドルとされる。 27 日から 28 日にかけて強力な暴風雨が悪天候と 洪水をプレーンズ、中西部、南東部、オハイオ渓谷、 北東部にもたらし、4 名が死亡した。暴風雨予測セ ンター(SPC)によると竜巻、強風、大きな雹が、オク ラハマからペンシルベニア州にかけて記録された。 オハイオ州では激しい雨によっていくつもの河川が 洪水位を超え、州の各地で洪水が発生した。経済 損失合計は 2 億 5,000 万米ドルと推定され、保険 会社には 45,000 件以上の保険金請求と 1 億 5,000 万米ドルを超える支払いが生じた。
3 月 5 日から 7 日にかけて冬の暴風雨が豪雪、豪 雨及びいくつかの悪天候を中西部、ミシシッピ渓谷、 南東部、北東部にもたらした。スコールラインが 5 日には少なくとも 10 個のトルネードをルイジアナに もたらしたが、 EF-2 のツイスターがレイン市で 150 件の住宅に被害を与え、1 名の犠牲者を出した。ミ シシッピとアラバマ州でもさらなる被害が報告された。 6 日には、竜巻がノースカロライナを襲った一方で、 強風がバージニア州東部で被害をもたらした。ニュ ーイングランドでは、豪雪と突風が電柱や木々をな ぎ倒した。 大規模な山火事により 7 日から 9 日にかけてニュ ーメキシコ各地が火災の被害を受け、シルバーシテ ィ近辺で約 1,800 エーカー (728 ヘクタール) が焼 失した。地元の消防士によると、クエイル・リッジ火 災(Quail Ridge Fire) は少なくとも 60 件の建物を 破壊した(13 件の住宅含む)。死傷者は報告されな かった。 8 日から 11 日にかけて強風が更なる豪雪、豪雨、 そして悪天候を中西部、ミシシッピ渓谷、南東部、北 東部各地にもたらし、少なくとも 4 名の死亡者が出 た。最も顕著な影響はテキサスから南北カロライナ 州にかけて生じた悪天候によるものであった。何十 もの竜巻が 8 日と 9 日にテキサス、ミシシッピ、ルイ ジアナ、テネシー州に接地し、構造物への被害をも たらした。10 日から 11 日にかけて、強い雨が人口 過密な北東部と東部を襲い、突発的な洪水と川の 氾濫をもたらした。経済損失合計は 2 億米ドルとさ れ、保険会社には少なくとも計 20,000 件の保険金 請求と 1 億 2,000 万米ドルを超える支払いが生じ た。 米国西海岸沿いとハワイは、11 日に日本を襲った マグニチュード 9.0 の地震による影響を受けた。地 震によって引き起こされた津波によって、カリフォル ニアとハワイの広範囲に渡る地域で被害が出た。カ リフォルニアの津波被害の合計額は 5,000 万米ド ル以上に上ったが、主にドック、港、船への被害に よるものだった。ハワイでは、850 万米ドル以上の 被害がインフラに出た一方で、個人用不動産、地場 企業への被害額は 2,990 万米ドルと推定された。 何十件もの野火がオクラハマ、テキサス州の各地で 12 日、13 日に生じ、15 件以上のけがの報告がさ れた。オクラハマ州では、オクラハマ郡が最も被害 を受け、少なくとも 37 件の住宅が被災もしくは損壊 した。これらの郡全体での被害は 300 万米ドルとさ れ、州全体では 49 件の住宅が損壊した。テキサス 州では、ジャックスボロとグランベリーで少なくとも 8 件の住宅が損壊した。 強烈な暴風雨が 20 日から 23 日にかけて米国を横 断し、少なくとも 3 名が犠牲者となった。暴風雨は 20 日にカリフォルニアに上陸した後、激しい雨と突 風をシエラネバダにもたらした。地滑りと鉄砲水によ り何百件もの家屋・企業に、1,700 万米ドル以上の 被害が起きた。低気圧の中心がプレーンズからニュ ーイングランドを横断したことにより、激しい雪など の悪天候が生じた。経済損失合計は数千万米ドル に上った。
24 悪天候が 26 日から 28 日にかけて、広範囲の米国 深南部各地で被害をもたらした。 ミシシッピ、アラバ マ、ジョージアの各州では深刻な被害があったが、こ れは 5 セント硬貨からゴルフボール大の雹が主な原 因であった。経済損失合計は 2 億 2,500 万米ドルと され、 保険会社には 25,000 件以上の保険金請求 と 1 億 5,000 万米ドルを超える支払いが生じた。 また、29 日から 31 日にかけて別の悪天候が南東 部で発生したが、これは停滞前線境界付近で低気 圧が発達したためである。ルイジアナ州では少なく とも 5 つの竜巻が接地し、ミシシッピ州では少なくと も 4 つの郡が大きく被害を被った。30 日、31 日に は、36 時間に渡ってほぼ絶え間なく強い雨や雷雨 が続くなど、中央フロリダへと被害が移った。住宅、 飛行機格納庫、事業所、自動車に対する被害は、タ ンパ湾広域地区に広範囲に拡大した。経済損失合 計は 3 億 5,000 万米ドルとされ、保険者には、 37,500 件以上の保険金請求と 2 億米ドルを超える 支払いが生じた。 勢力の強い春の暴風雨が米国東部を 4 月 3 日か ら 5 日にかけて襲い、少なくとも 9 名の犠牲者を出 した。3 日にはスコールラインによってカンザス, ミズ ーリ, アイオワ、ウィスコンシン州の広範囲に被害が もたらされた。また、4 日から 5 日の早朝にかけて はミシシッピ渓谷、南東部、オハイオ渓谷、中部大 西洋岸諸州を横切り始めた。暴風雨予測センター (SPC) は 1,476 件の暴風雨レポートを記録し、 2000 年以来の 1 日の記録を塗り替えた。ジョージ ア州では少なくとも 7 人の犠牲者が出、被害が最も 深刻であった。更なる竜巻がケンタッキー, ルイジア ナ, テネシー、ミシシッピ州の構造物に被害をもたら した。5 日以降、ノースカロライナ、バージニア、フロ リダ州の各地で暴風雨による追加的被害が出た。 経済損失合計は約 28 億米ドルに上り、保険者には、 275,000 件以上の保険金請求と 20 億米ドルを超 える支払いが生じた。 8 日から 11 日にかけて別の暴風雨が西側中部、プ レーンズ、南東部の各地にわたる広範囲に悪天候 をもたらした。オクラハマとカンザス州では、強力な スーパーセルがゴルフボールから野球ボールサイ ズの雹をもたらした。8 日から 9 日にかけてその他 の 7 つの州で更なる被害が発生した。9 日と 10 日 には、雷雨の一団がテネシー渓谷を南東へと横切 った。南北カロライナ州が特に被害が大きかった。 10 日と 11 日には、 ウィスコンシン州でいくつもの 竜巻が接地し、五大湖に再び注意が移った。10 日 の遅くから 11 日には、悪天候が甚大な雹害をミシ シッピ渓谷と南プレーンズにもたらした。経済損失 合計は 2 億 2,500 万米ドルに上り、保険者には、 290,000 件以上の保険金請求と 15 億米ドルを超 える支払いが生じた。 ノース・ダコタとミネソタ州では、レッド川流域が洪水 に見舞われたが、これは度重なる降雨による過剰な 雨水が、川や渓流へと流れ込んだためである。レッド 川以外においても盆地へと流れ込む川や渓流が洪 水位を超えた。レッド川の水位は 9 日にファーゴで最 高位に達し、38.75 フィート (11.81 メートル)を記録 したが、これはファーゴにおける 4 番目の記録とな った。ファーゴ、ムーアヘッド、キャッスルトン、ハーウ ッドにおける構造物自体への被害は軽微であった が、合計 60 マイル(95 キロメートル)以上に渡る何
十もの道路が浸水し、大きなダメージを受けたこと により、交通インフラに多大な被害があった。経済 損失合計は 2,000 万米ドルとされた。 乾燥した空気と突風が、9 日から 30 日にかけてい くつもの山火事をテキサス各地で引き起こし、少なく とも 2 名の消防士が犠牲となった。テキサス森林サ ービスによれば、150 万エーカー(607,000 ヘクター ル)の土地と、少なくとも 310 件の住宅、事業所、教 会が焼失した。保険損失は約 1 億 5,000 万米ドル に上った。柵、パイプライン、他の農業設備への追 加的被害は、3,300 万米ドルとなった。 14 日から 16 日にかけて数日間にわたる竜巻が発 生し、米国の中部と東部が被害を受けた。、何百件 にも上る竜巻の接地の報告と、何千件にも上る大粒 の雹と強風の報告があり、少なくとも 48 名の犠牲 者が出た(ノースカロライナ州だけで 24 名)。14 日 にはオクラハマ、カンザス、アーカンソー各州が重 大な被害を受けた。15 日には、悪天候が南東部 (特にミシシッピ、アラバマ州) と中西部へと移り、 100 以上の竜巻が接地した。16 日までにはカロライ ナから中部大西洋地域にかけてのスコールライン の前線でスーパーセルが発達した。ノースカロライナ 州では、多くの竜巻が接地し、州全体に甚大な被害を もたらした。経済損失合計は25 億米ドルとされ、保 険者には150,000 件以上の保険金請求と 17 億米 ドルを超える支払いが生じた。 新たな強力な暴風雨が、19 日から 21 日にかけて 広範囲の悪天候をプレーンズ各地、ミシシッピ渓谷、 中西部、オハイオ 渓谷、南東部に及ぼした。19 日 には、北テキサスからオハイオ北東へと被害が報 告されたが、これは危険なスコールラインと共に暴 風雨が生じたからである。20 日は、最も被害を受け た地域はアーカンソー、ミシシッピ、アラバマ、ジョー ジア各地に拡大した。その後、いくつかの河川で激 しい雨により、水位が洪水位にまで達し、鉄砲水の 注意報・警報が中西部と南東部で発令された。経済 損失合計は 12 億 5,000 万米ドル以上とされ、保険 者には、150,000 件以上の保険金請求と 8 億米ド ルを超える支払いが生じた。 22 日から 28 日にかけて、気候変動によって勢力 の強いいくつかの暴風雨が米国中部から東部にか けて次々と発生したが、27 日には、歴史的な竜巻 をもたらすこととなった。この竜巻は少なくとも 344 名の犠牲者と 2,000 名以上の負傷者を出した。暴 風雨の最初の一波は、ミズーリ州セイント・ルイス大 都市圏を襲った。もっとも破壊的な竜巻は EF-4 の 竜巻で何千もの家屋と国際空港を襲った。25 日、 26 日までには、悪天候が、南プレーンズ、ミシシッ ピ渓谷、中西部、ニューイングランドを襲った。26 日 と 27 日には、歴史的な悪天候が発達し、南プレー ンズから北東部にわたる地域を襲った。48 時間以 内に何百もの竜巻が接地し、322 名(アラバマでは このうち 238 名)が犠牲となった。アラバマ、ミシシッ ピ、テネシー州が大打撃を受けた。米国立測候所 (NWS)によれば、3 つの EF5 の竜巻がアラバマ州 ハックルバーグ、アラバマ州レインズビル、ミシシッ ピ州スミスビルで接地し、EF5 並みの EF4 の竜巻 が 11 個発生した。NWS は、27 日にも 312 個の竜 巻が接地し、24 時間以内の接地数の最高記録とな ったと発表した。アラバマ州タスカルーサは、時速 190 マイル(305 キロ)の EF4 の竜巻により、大きな 被害を受けた。経済損失合計は 102 億米ドルとさ れ、保険者には、700,000 件以上の保険金請求と 73 億米ドルを超える支払いが生じた。
26 活発な嵐と記録的な積雪をもたらした冬の季節が 去ったあと、4 月中旬から 5 月半ばにかけニューヨ ーク州からメイン州に至る一帯では、大雨と雪解け が重なって洪水が発生した。バーモント州知事は、 同州のシャンプレーン湖の周辺で少なくとも 500 戸 の家屋が損壊または大きな被害を受けたと発表し た。ニューヨーク州では、洪水により 1,000 戸以上 の住宅が被災した。損害額は合わせて 7,500 万ド ルに上ると見られた。 ミシシッピ川からオハイオ川流域では 4 月 25 日か ら 5 月末にかけて、降り続く大雨に雪解けが相まっ て大洪水となり、3 州に連邦災害宣言が発せられた。 洪水に起因して少なくとも 9 人が死亡した。洪水被 害は、カナダ南部と南北ダコタ州からイリノイ、イン ディアナ、ミズーリ、ケンタッキー州にかけて、さらに アーカンソーとテネシー、ミシシッピとルイジアナの 各州にも及んだ。全米農業団体連合会によると、 360 万エーカー(145 万ヘクタール)以上の農地が 被害を受けた。洪水と意図的な堤防破壊、放水路 の開門によってミシシッピ川の上下流域で発生した 水害の被害額は農業を中心に少なくとも 40 億ドル に達した。全米リスク管理協会によると、農作物の 保険損害は官民の補償額合わせて少なくとも 11 億 ドルに上った。 5 月 10 日から 13 日にかけ米国中部と東部の各地 で悪天候により少なくとも 2 人が死亡した。最も大き な被害が出たのはミネソタ、南北カロライナの各州 およびミシシッピ川流域の各地で、主に野球ボール 大のサイズにも達した雹と強風による被害であった。 経済損失は 3 億ドルとなり、保険金請求件数は 5 万件以上、支払いは 2 億ドルを超えた。 モンタナ、南北ダコタ、ネブラスカ、アイオワ、ミズー リの各州に及ぶミズーリ川流域一帯は 5 月から 6 月にかけて、数次にわたり川の氾濫による洪水に 見舞われた。一部では記録的な高さとなった貯水池 の水位を下げるために、陸軍工兵隊が水の放流を 数回試みた。この放流により下流域では水かさが 増し、数か所の堤防を決壊または決壊寸前に至ら しめた。この洪水による被害額と復旧コストは少なく とも 10 億ドルとなった。 一連の暴風雨が 5 月 21 日から 27 日にかけて米 国各地で歴史的な悪天候をもたらし、少なくとも 185 人が死亡、1,300 人が負傷した。ミズーリ州の ジョプリンでは強力な竜巻が発生し、死者は少なくと も 162 人、負傷者 1,150 人を数え、大規模な被害 ももたらした。1 件の竜巻としては米国立測候所が 統計を取り始めた 1950 年以来最大の犠牲者をも たらした竜巻となり、その強さは時速 200 マイル (325 キロ)以上の風速を伴う EF-5 とされた。同時 期に 2 つ目の EF-5 の竜巻がオクラホマで観測され、 テキサス南部からニューイングランドにかけての地 域が悪天候により大きな被害を受けた。暴風雨予 測センター(SPC)は少なくとも 180 件の竜巻の発 生を確認し、経済損失は 91 億ドル、保険金請求件 数は少なくとも 75 万件、保険金の支払いは 67 億 5,000 万ドルに上った。 テキサス州の各地で 5 月 28 日から 30 日に異常乾 燥と風速 50 マイル(85 キロ)の突風により山火事 が発生した。アマリロ地域の外側で発生した 2 件の 山火事によって、少なくとも 12 戸の家屋と 1,400 エ ーカー(557 ヘクタール)以上の土地が焼失した。
5 月 28 日から 6 月 1 日にかけて新たな悪天候に よって米国中部と東部の地域で少なくとも 3 人が死 亡した。雷を伴った強力な暴風雨が竜巻、大きな雹、 強風をもたらし、プレーンズ、中西部、オハイオ川流 域と北東部の各地に被害をもたらした。最も大きな 被害は 6 月 1 日にマサチューセッツ州の西部と中 部を襲った複数の竜巻によるもので、少なくとも 18 の地区で広範囲な被害が確認された。経済的損失 は 5 億ドル以上、保険金請求件数は少なくとも 3 万 件、保険金支払いは 3 億ドルを超えた。 スーリ川流域では主にノース・ダコタ州で 5 月末か ら 6 月末までの間数回にわたり洪水が発生した。マ イノットではスーリ川は常に記録的な水位に達し、 市内の少なくとも 4,200 戸の住宅と事業所が洪水 被害を受けた。交通インフラも大きな被害を受け、 全体的な経済損失は 10 億ドルとなった。 6 月にはアリゾナ、ニューメキシコ、テキサス、フロリ ダ州の各地で山火事が発生し、2 人が死亡した。ア リゾナ州での主な山火事は「ワロー火災」で 53 万 8 千エーカー(21 万 8 千ヘクタール)以上を焼き尽くし、 78 戸の建造物を焼失させた。ニューメキシコでは、 「トラック火災」によって少なくとも 19 戸の建造物が 焼失した。テキサスの「イースト・テキサス複合火災」 は 2 万 9,002 エーカー(1 万 1,700 ヘクタール)の 土地と少なくとも 40 戸の建物を焼失させた。フロリ ダでは、「ブルーリボン火災」の消火にあたっていた 少なくとも 2 名の消防士が死亡した。消火費用は全 体で少なくとも 1 億 6,000 万ドルとなった。 暴風雨が発達し、6 月 1 日と 2 日にセントラル・プレ ーンズの各地に 10 件あまりの竜巻、大きな雹、突 風をもたらした。カンザス州の中部と北部は一部地 域でソフトボール大の雹が降るなどして特に大きな 被害を受けた。経済損失は 7,500 万ドルと見込ま れ、保険金請求件数は少なくとも 1 万件、支払いは 約 5,000 万ドルとなった。 6 月 8 日から 10 日にかけ各地で悪天候が発生し、 中西部、オハイオ川流域、北東部で特に大きな被 害が発生した。暴風雨予測センター(SPC)に寄せ られた大きな雹と強風による被害報告は 1,000 件 近くになり、経済損失は 3 億ドルと推定され、保険 金請求件数は少なくとも 3 万 5,000 件、支払いは 約 2 億ドルに上った。 6 月 14 日から 15 日早朝にかけプレーンズ南部の 各地を、雷を伴った暴風がいくつも通過し、オクラホ マで大きな被害が出た。経済損失は 1 億 2,500 万 ドル、保険金請求件数は少なくとも 2 万件、支払い 損害額は約 8,500 万ドルとなった。 6 月 16 日から 22 日にかけて東部の 3 分の 2 の大 半の地域で、8 日間にわたる強烈な悪天候が続い た。南北カロライナ州からプレーンズ中部までの範 囲に前線が停滞し、一部地域で低気圧が発達した。 この間の SPC が確認した 3,000 件以上の暴風雨 被害の報告のうち大多数は突風と大きな雹によるも のであった。大きな被害があった地域はイリノイ州 シカゴ大都市圏とケンタッキー州の著名なチャーチ ル・ダウンズであった。経済損失は 15 億ドル、保険 金請求件数は少なくとも 20 万件、保険金支払いは 11 億 5,000 万ドル以上となった。 6 月末に南西部砂漠地帯で新たな山火事が発生。 最大の山火事はニューメキシコ州の「ラス・コンチャ
28 ス」山火事で、12 万 4,000 エーカー(5 万 100 ヘク タール)以上を焼き尽くした。ロス・アラモスとその周 辺には少なくとも 95 戸の建造物が焼失した。テキ サスでは、森林管理局によれば 2 件の大きな山火 事(「ダイア・ミル火災」と「ベアリング火災」)があり、 少なくとも 1,500 万ドルの木材が焼失し、経済的損 失は 5 億ドルに上った。 中西部では 6 月 30 日から 7 月 4 日にかけ悪天候 が続き広い範囲に損害が発生、少なくとも 2 人が死 亡した。シカゴ大都市圏では極めて強い風と野球ボ ール大の雹による被害が出た。ミネソタとウィスコン シン州の各地でも、竜巻、大きな雹、突風により被 害が発生した。ウィスコンシン州のバーネット郡では 2 人が死亡した。全体の経済損失は 8 億ドル、保険 金請求件数は少なくとも 9 万件、支払いは 6 億ドル を超えた。 7 月 10 日から 14 日にかけて雷を伴った強い暴風 が中西部、ロッキー、プレーンズの各地に被害をも たらした。強力なデレーチョ(雷雨を伴い直進する風 嵐)が 10 日に南北ダコタ、ミネソタ、ウィスコンシン 州で大きな被害を発生させ、11 日には五大湖地方 まで到達した。シカゴ大都市圏では風速 80 マイル (130 キロ)の風が吹き荒れ、倒木や電線が切断さ れるなど広範囲に被害が発生した。また、コロラド州 のデンバー大都市圏でもゴルフボール大の雹が降 り広範囲に被害をもたらした。全体の経済損失は 14 億ドルと推定され、保険金請求件数は 16 万件 以上、支払いは 9 億 2,500 万ドルを超えた。 シカゴ大都市圏では 7 月 22 日から 24 日にかけ断 続的に大雨が降り洪水が発生した。一部地域では 大規模な洪水となり数千戸の住宅では地下室が浸 水した。交通インフラにも影響が及び、ほとんどすべ ての主要なハイウエイが冠水した。経済損失は 2 億ドルと見込まれ、保険金請求件数は 2 万 5,000 件以上、支払額は 1 億 2,500 万ドルを超えた。 熱帯暴風雨ドンがメキシコ湾南部で発達し、7 月 29 日にテキサス南部に上陸した。しかし弱い暴風雨で あったため、上陸後わずかな雨を降らせただけで消 滅した。 7 月 29 日から 8 月 1 日にかけ雷を伴った激しいス トームが前線に沿ってプレーンズ北部、中西部、北 東部を移動した。いくつかの強烈なストーム・セルが、 ゴルフボールあるいは、野球ボール大の大きな雹と 強風をもたらした。集中豪雨によって数か所で鉄砲 水が発生した。経済損失は約 3 億ドル、保険金請 求件数は 5 万件以上、支払額は 2 億ドルを超えた。
長引く干ばつと猛暑によってオクラホマ州各地では 山火事が起きやすい環境にあったが、7 月 27 日か ら 8 月 9 日にかけ複数の山火事が発生した。最大 規模の火災はポーニー郡で発生し、46 戸の住宅を 含む少なくとも 123 戸の建造物が焼失し、経済損 失は 2,000 万ドルとなった。エドモンドの町では別 の火災が発生し少なくとも 13 戸の家屋が小屋や納 屋とともに焼失した。 8 月 7 日から 10 日には前線の停滞によりプレーン ズ、中西部、北東部の各地が悪天候に見舞われ、 少なくとも 1 人が死亡、数人がけがをした。最も被 害を受けたのはプレーンズ、特にオクラホマ、カンザ ス、ネブラスカ、ミズーリの各州であった。さらに、五 大湖とニューイングランドの各地でも暴風被害が発 生した。 中西部、テネシー、オハイオ渓谷、中部大西洋地域 では寒冷前線が発達し 8 月 13 日と 14 日に悪天候 に見舞われた。シカゴ大都市圏ではゴルフボール 大の雹が降り強風が吹き荒れた。その後暴風は発 達しながらインディアナ州中部へ進み、インディアナ 州主催の祭典会場では、風速 70 マイル(110 キロ) の強風によってコンサートステージが崩壊し、7 人 が死亡した。また、ミシガン、オハイオ、ケンタッキー、 バージニア、メリーランド、南北カロライナの各州で も被害が発生した。 オハイオ川流域とニューイングランドの各地で 8 月 13 日と 14 日に集中豪雨による洪水が発生した。ニ ュージャージー州が一番大きな被害を受け、11 イン チ(280 ミリ)に達した雨がカンバーランド郡で広範 囲な洪水を引き起こし、同郡におけるインフラ損害 は 2,000 万ドルとなった。オハイオ州各地、特にポ ート・クリントンでも大きな被害が出た。さらに、ニュ ーヨーク、ペンシルベニア、デラウェア州でも洪水被 害が起きており、全体の被害額は 5,000 万ドル以 上と見込まれた。 プレーンズの各地では、8 月 18 日と 19 日に雷を伴 った強い暴風雨がもたらした大きな雹と強風によっ て被害が発生した。特にネブラスカ州オマハ大都市 圏では野球ボール大の雹が降り広い範囲で被害が 出た。地元の空港では多数の航空機と主要ターミナ ルビルが雹により深刻な被害を受けた。また、アイ オワ州南西部、ミズーリ州北西部、カンザス州東部 でも被害があった。経済損失は 11 億ドル、保険金 請求件数は 11 万件以上、支払いも 8 億ドル以上と なった。 コロラド州南部で 8 月 22 日夜マグニチュード 5.3 の地震が発生し、小規模の被害が広い範囲に発生 した。震源はコロラド州トリニダード西南西 9 マイル (15 キロ)、もしくはデンバーの南 180 マイル(290 キロ)の地点で、地震により同州およびニューメキシ コ州北部でも住宅やその他の建造物への被害があ った。最も共通して見られた被害は煙突の倒壊と壁 の亀裂であった。小規模ながけ崩れも発生し一部 の道路が不通になった。米地質調査所(USGS)に
30 よると、この地震は同地域で少なくとも過去 40 年間 で最大規模となった。 8 月 23 日、中部大西洋地域でマグニチュード 5.8 の地震が発生し、広い範囲に被害が及び一時的な 避難も余儀なくされたが、死者や重傷者は出なかっ た。地震は現地時間午後 1 時 51 分(協定世界時 17:51 UTC)、バージニア州ミネラルの南南西 5 マ イル(8 キロ)の地点で発生、震源の深さは 3.7 マイ ル(6 キロ)であった。揺れは東部海岸線一帯の広 い範囲で感じられ、ワシントン D.C.ではワシントン 大聖堂の中央塔にある 3 本の小尖塔が壊れ、小規 模な建物被害も発生した。米国立公園局によると、 ワシントン・モニュメント、スミソニアン協会本部の建 物(スミソニアン・キャッスル)にも亀裂が入った。ま たさらに小規模被害やガス管、水道管の破損被害 がニューヨーク、メリーランド、ニュージャージー、デ ラウェア、ペンシルベニア、およびウエスト・バージ ニア州の各地でも確認された。バージニア州の震源 地に近いリッチモンド大都市圏ではあちこちで被害 が報告された。経済的損失は約 2 億 5,000 万ドル、 保険損害額は約 1 億ドルとなった。 8 月 23 日と 24 日には、五大湖とオハイオ川流域 の各地を横切って進む暴風雨によって被害が発生 した。ウィスコンシン州のクラーク郡では風速 130 マ イル(210 キロ)の風を伴った EF-2 の強さの竜巻に よって少なくとも 1 人が死亡した。また、ミシガン、イ ンディアナ、オハイオ、ペンシルベニア北西部でも、 雹と強風による被害が広く確認された。 ハリケーン・アイリーンが 8 月 26 日から 28 日にか けて、東海岸の 3 か所にそれぞれ上陸し、南北カロ ライナ州からメイン州に至る各地に集中豪雨と非常 に強い突風をもたらした。高潮、鉄砲水、川の氾濫 による洪水が発生し、少なくとも 46 人が死亡、数十 人がけがをした。また、800 万近くの世帯で停電し、 1 万 3,000 以上のフライトがキャンセルされた。数 万戸の住宅、事業所、その他の建造物、自動車に 広範囲な被害をもたらし、被害地域はノースカロラ イナ、バージニア、メリーランド、ワシントン D.C.、デ ラウェア、ペンシルベニア、ニュージャージー、ニュ ーヨーク、コネチカット、ロードアイランド、バーモント、 ニューハンプシャー、マサチューセッツ、およびメイ ンの各州に及んだ。経済損失は 73 億ドルを超え、 保険金請求件数は 83 万 5,000 件以上、支払い保 険金は少なくとも 43 億ドルに上った。 8 月末にテキサスとオクラホマ州の各地で数十件の 山火事が発生した。異常な干ばつと(華氏で)気温 が三桁に達する(摂氏 37.8 度)猛暑、強風が相まっ て山火事が発生しやすい環境になっていた。最も大 きな火災はテキサスで発生し、パロ・ピント郡の 「101 ランチ火災」によってブラッドの町近くで少なく とも 39 戸の住宅が焼失した。オクラホマ州ではオク ラホマ・シティの北東にあたる州の中心部で山火事 が発生した。そのうちの 1 件の火災で 4,000 エーカ ー(1,620 ヘクタール)以上の土地と少なくとも 30 戸 以上の家屋が焼失した。
テキサス州中心部の広い範囲で 9 月の最初の 2 週間で数十件の山火事が発生し、2,000 戸以上の 家屋と建造物が焼失、少なくとも 4 人が死亡した。 最大の被害をもたらした山火事は「バストロップ郡 複合火災」で 9 月 4 日にバストロップ市の北東部で 発生し、3 万 4,068 エーカー(1 万 3,786 ヘクタール) 以上の土地を焼き尽くし、少なくとも 1,673 戸の住 宅が焼失した。この山火事は単発の山火事としては テキサス州で史上最大の被害をもたらしたものとな った。その他の火災でさらに 385 戸の家屋が焼失 した。テキサス保険審議会によると、7,500 件以上 の保険金請求が受け付けられ、支払いは 5 億 2,500 万ドルを超えると見られており、このうちバス トロップ火災によるクレームは少なくとも 1,500 件、 保険金支払額は 3 億 2,500 万ドルに上った。 五大湖地方を暴風雨がゆっくりと移動したのに伴い、 9 月 1 日から 3 日にかけ、各地に悪天候がもたらさ れた。暴風雨予測センター(SPC)では数百件の雹 と強風損害の報告を確認しており、特に、ウィスコン シン、イリノイ、インディアナ、ミシガン州の被害が顕 著であった。経済損失は約 1 億 2,500 万ドルとなり、 保険金請求は少なくとも 1 万 5,000 件、支払いは 7,500 万ドル以上となった。 熱帯暴風雨リーが 9 月 4 日、ルイジアナ州の中南 部に上陸し、その後、中部大西洋地域からニューイ ングランド地方へと進んだ。この暴風雨によって少 なくとも 13 人が死亡した。また、この暴風雨によっ て南部、北部の多くの州は大量の雨(ところにより 悪天候)に見舞われ、ハリケーン・アイリーンの災害 からまだ復興途上にある一部の地域も影響を受け た。ペンシルベニア、ニューヨーク、ニュージャージ ー州では大雨によって河川が氾濫し、数千の住宅、 事業所、自動車が水に浸かった。インフラへの被害 も広範囲に発生した。洪水による経済損失はペンシ ルベニア州だけで 10 億ドルに上ると見込まれた。 保険損害に関しては、保険者と連邦緊急事態管理 庁(FEMA)に提出されたクレーム件数は 10 万件以 上となり、損害額は 5 億ドルを超えた。