淡路富男 営業力開発研究所 http://members.jcom.home.ne.jp/0377975901/ ※内容の詳細については上記にアクセス下さい。 ※未定稿につき誤字などはご容赦下さい。 1.営業力開発の重要性 ◆営業を開発する意義 これからの営業は、営業方法や提案ツールの改善や改良といった取組み だけでは、期待した成果を得ることは殆ど不可能です。成果の出せない営 業には、他の経営機能と同じように抜本的な革新が求められています。そ こで必要なのが「開発」のコンセプトです。それは自社の営業力を製品開 発のように顧客の視点から開発することです。 この営業への「開発」の適用は特別のことではなく、 以前から提唱されていたことです。マーケティングの大 家であるコトラーと並ぶ地位に位置付けられているハー バート大学のレビット(写真参照)は、著書「マーケテ ィングの革新(1962 年)」の中で「マーケティング R&D の勧め」として 「開発」の重要性を明らかにしています。
5.製品開発のように「最強の営業力」を開発する
5.製品開発のように「最強の営業力」を開発する
-マーケティング(営業)を開発する- 企業は新製品開発に注いでいると同じ体系的組織 的な注意を、営業(マーケティング)にも注ぐべき である。製品や生産工程でやるような新しいアイデ アを引き出すための正式な部門を設置すべきであ る。その任務は新製品の開発ではなく、現製品の流 通と営業の新しい方法を創造することを第一の役割 とする。 営業活動は、顧客に提供する製品・サービスの重要な一部を構成します。 企業が、新製品や新サービスの開発を通じて既存の顧客をさらに満足させ、 新規の顧客を獲得するように、営業といった目に見えにくいサービスにも、 顧客の視点から「開発・設計」することで、顧客満足の実現に大いに貢献 することができます(図参照)。 企画・開発が、毎年新製品を上市するように、顧客に提供する製品・サ ービスの一部でもある営業を改良・開発します。これにより、既存営業に 関する顧客からの不満部分は改良し、さらに顧客を満足させる新機能を付 加することで、顧客ニーズに適合した新営業を市場に送り出します。 営業が対象とする顧客は常に変化します。新製品を開発して顧客の変化 に対応するように、営業も常に顧客の変化に対応できるように開発・設計 していかなければなりません。 製品開発・設計 製品開発・設計 サービス開発・設計 サービス開発・設計 営業開発・設計 営業開発・設計
製品
製品
サービス
サービス
営業活動
営業活動
顧
客
顧
客
顧客への価値
営業も
開発
する
◆開発の基本 新しいものをつくるといったことは、開発や製造分野が得意ですから、 この分野の考え方や方法を営業力開発に取り入れます。開発・製造分野で は「開発・設計」をエンジニアリングとします。これを営業に適用してマ ーケティング的な営業エンジニアリングを考えると、下記のようになりま す。 -営業エンジニアリングとは- 人・製品・資金・情報・組織を総合して、最適(最経済)な 営業システム(活動の流れ)を開発・設計・確立すること。 ・エンジニアリング活動の本来的機能は「開発・設計」である。 ・常に最適のシステムを志向する。 ・営業システムとは営業の目的的な活動を統合したものである。 ・開発・設計 ①新開発・設計 新たにシステムをまとめあげる。 ②再開発・再設計 既存のシステムを一層効果的なものにする。 ③問題解決 そのシステムについての固有の問題を設定 し(あるいは問題が生起し)、その問題を 解決、すなわちシステムを変更する「問題 解決」 開発・設計には、上記のように3つの段階の開発・設計があります。営 業力開発の実践でも、対象のすべてを新開発・設計するわけではありませ ん。なかには改良や改善程度で目的をはたす部分もあります。3つの段階 が混在することになります。 開発や製造分野では、このエンジニアリング(開発・設計)の考え方を 活用して、新製品の開発と製造現場の生産性向上を実現しています。この 考え方は多少アレンジされながら、現在では物流業界や流通業界で活用さ れています。営業分野にも、新しい営業の開発・設計に、エンジニアリン グの活用を行います。
◆野中教授が指摘する営業の欠落部分 この業務や仕事のプロセスを、顧客の視点から根本 的に見直し開発するやり方は、開発や製造現場を中心 にしてプロセス改革として実践され、大きな成果をあ げてきました。 この方法を営業(マーケティング)に適用することの必要性とその成果 に関しては、先のレビットに加えて、最近でも重要な指摘がなされていま す。知識活用の権威である一橋大学の野中教授は、次の三つを指摘し、エ ンジニアリングを活用した業務改革の必要性を明らかにしています。 ①エンジニアリングとは生産、販売、あるいは開発といった職能別 に分れている組織を、顧客の満足を高めるという観点から業務の プロセスごとに編成し直すことである。 ②日本人や日本企業には、自らが体系に基づいて形成した行動パタ -ンや組織構造を、明確な言語によって表現し、新しいコンセプ トとして普遍化する努力に欠けている。 ①の顧客の満足を高めるという視点から業務を見直すといったことは、 1980 年に設定されたマ-ケティングの定義と同じであり、顧客主導の営 業力開発の方向性を確認することができます。 ②の「経験から抜け出すべき」とする指摘は、営業力開発に関する重要 な方向を明示しています。経験重視では、組織の営業は不安定な「超営業」 の依存することになります。必要なのは「普通の営業担当者」が成果を出 せる営業の開発です。この②文章を営業のケースに置き換えると下記のよ うになります。 「営業には自らが経験に基づいて形成した営業行動パタ-ンや営 業構造を、明確な言語によって表現し、新しい営業コンセプトと して普遍化する努力が必要」といったようになります。 新営業の開発は、現在の営業活動を分析してその目的を明らかにし、そ こから新しい環境変化に対応できる新営業を開発しそれを実践することが その内容になります。
2.営業力開発の効果性 ◆原則実施の困難性 長きにわたって売れない営業は、これまでの経験的な営業のやり方を、 顧客の視点から、新たに開発したり組み直すことは当然のことになります。 改革してこなかった既存の営業を、目的に応じて、過去のやり方にとらわ れず、開発することが求められています。 ここで「それは理論としてわかるが」「原則はそうだか実際は理論や原 則どおりにはいかない」といった声が、革新を回避したい営業関係者から 聞こえてきそうです。これまでの営業革新のコンサルテ-ションの経験か らしても、原則的、抜本的といった改革原則ほど実行が困難なのです。 それは改革原則が間違っているからではありません。成功の多くは、顧 客から見てあたりまえのことを徹底してやり抜いていることにあります。 この原則実施の困難性は、それまで誰もが原則的と思っていることは、過 去からの蓄積があり多くの人に関係していますから、その変更はすべての 人に変化を求めることになるところから生じます。この変化への取組みは、 営業のように経験的な現状に固執する人には煩わしいことになります。 しかし、われわれが目指さな ければならない営業革新は、顧 客の視点から、今の仕事を価値 のあるものに開発設計していく ことで、営業担当者の誰もが、 組織最上の営業を活用できるよ うにすることです。顧客接点で の顧客志向の開発設計こそが、 市場に生かされている企業には 最も効果的なものなのです。 ◆革新してこなかったツケは売 れない営業に 営業は変化に対しては、いろいろ文句をつけてその改革を嫌がります。 崩壊しかかっている営業システムを前にしても「革新案は理論であり、現 実はもっと泥臭く複雑である」とし、市場のあたりまえを軽ん、自分勝手 な例外をもうけて、結局は中途半端な誰もが不満を持つ改善に終わってし
まいます。 この「営業は忙しい」「営業は経験が大事、その論理は現実的でない」 の一言で営業革新を先送りし、目の前にある現実的な小手先の取組みを踏 襲してきた結果が、現在どのようなことを引き起こしているのか、十分に 確認する必要があります。 業績が悪化してから「あの時に革新しておけばよかった」といっても遅 いのです。まさに変化こそが常態です。旧いやり方を墨守するようでは、21 世紀での企業の成長は皆無です。 企業再生の糸口は、顧客の視点から顧客接点を担当する組織の営業を開 発することです。それは普通の営業担当者が中心となって活躍する営業部 隊の実現です。御社には最強の営業力開発が必要です。 ◆著者紹介