原 著
*1
淑徳大学看護学部(Syukutoku University) *2
東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻(The University of Tokyo)
2006年9月13日受付 2007年4月13日採用
日本における病院勤務助産師のバーンアウトに関する研究
Burnout of Japanese midwives working in hospitals
秋 月 百 合(Yuri AKIZUKI)
*1, 2藤 村 一 美(Kazumi FUJIMURA)
*2 抄 録 目 的 本研究の目的は,わが国における病院勤務助産師のバーンアウトの実態を明らかにすることである。 対象と方法 全国の産科診療を行う72病院に勤務する839人を対象に,自記式質問紙を用いた量的横断的調査を実 施した。バーンアウトの測定にはMaslach Burnout Inventry(MBI)尺度を用いた。MBI下位尺度と基本 的属性,助産師特性,勤務特性,勤務施設特性,職務満足,仕事継続意向,勤務病棟での働きやすさの 認識との関連をみるために,一元配置分散分析,t検定ならびに相関分析を行った。 結 果 回収率は87.2%,有効回答数はn=708であった。対象者の平均年齢は35.2歳であった。各下位尺度 の平均得点は,「情緒的消耗感」15.67 4.50,「脱人格化」11.89 4.32,「個人的達成感の後退」20.61 4.30 であった。婚姻歴,助産・産科看護経験年数,1日勤務時間,月残業時間ならびに有休消化等と情緒的 消耗感ならびに脱人格化との間に有意な関連が見られた。職位ならびに勤務形態と個人的達成感の後退 との間に有意な関連が見られた。職務満足と個人的達成感の後退の間に,仕事継続意向と情緒的消耗感 ならびに個人的達成感の後退との間に負の相関関係があることが明らかになった。 結 論 わが国における病院勤務助産師のバーンアウトは,看護師を対象とした先行研究と比較して情緒的消 耗感,脱人格化は同様もしくは低い傾向に,個人的達成感の後退においては低い傾向にある可能性が示 唆された。因果関係は明確ではないが,仕事満足ならびに仕事継続意向とバーンアウトとの間に関連が あることが示唆された。今後,各医療機関において事業場内産業保健スタッフ等による病院勤務助産師 へのサポート体制を整備すること,助産師の配置を拡大すること,新人助産師への卒後教育を充実させ ることの重要性が示唆された。 キーワード:助産師,バーンアウト,MBI,職務満足,仕事継続意向 Abstract Purposehos-日本における病院勤務助産師のバーンアウトに関する研究
pitals. Methods
We conducted a quantitative cross-sectional survey by self-reported questionnaire in 839 midwives working in the obstetric departments of 72 hospitals in Japan. Burnout was assessed by Maslach Burnout Inventory (MBI). In order to determine the relationship between condition and background, the following factors were investigated: socio-demographics, characteristics of midwife work experience, workload, workplace features, job satisfaction, intention to pursue their career, and personal assessment of working environment. ANOVA, t-test and correlation analyses were conducted to identify relationships between MBI subscales and the above-mentioned factors. Results
The response rate was 87.2%. In order to conduct statistical analysis, appropriate data from 708 respondents were used. Average age was 35.2 years. The results of emotional exhaustion, depersonalization, and sense of reduced personal accomplishment, which were MBI subscales, were 15.67±4.50, 11.89±4.32 and 20.61±4.30, re-spectively. Marriage status, maternity care experience, working hours per day, overtime work per month and paid holiday status, etc., had significant relationships to both exhaustion and depersonalization. Job status and shift sys-tem were significantly related to sense of reduced personal accomplishment. Significant negative correlations were found between job satisfaction and sense of reduced personal accomplishment. Another negative correlation was found between intention to pursue and both emotional exhaustion and sense of reduced personal accomplishment. Conclusion
In comparison with the results of previous studies examining nurse burnout, emotional exhaustion and deper-sonalization were at the same level or lower. With regard to sense of reduced personal accomplishment, it was lower in this study when compared to previous results. Although causality cannot be confirmed, it was shown that there are relationships between burnout and both job satisfaction and intention to pursue. The implications for medical practice in hospitals include the placing of health care professionals on-site to treat midwives, the hiring of more midwives on staff and the on-going post-graduate education of midwives with limited experience.
Key words: midwife, burnout, MBI, job satisfaction, intention to pursue career
Ⅰ.緒 言
母子保健領域における社会的ニーズが多様化する昨 今,助産師に求められる役割は,周産期管理にとどま らず女性の生涯を通じた支援へと拡大している。産科 診療の現場では,少子化や産科医の減少等により産科 と他科との混合管理化が進み,助産師の労働環境も大 きく変化している。日本助産師会(2003)の調査によ ると,助産以外の業務を担うことで,専門性を十分に 発揮できないジレンマを感じる助産師の存在が報告さ れている。また,助産師の独占業務である助産は,医 師との役割の重複点であるものの,医師の助産師に対 する理解不足などから,多くの助産師がストレスを 抱いていることが知られている(Miller, 1997;濱松, 2000)。このようなことを背景に,わが国の助産師は 職業上のストレスを経験し,バーンアウトのようなス トレス反応を経験していると考えられる。そしてそれ は,昨今の助産師を含む看護職者の離職の一因になっ ているとも考えられる。 バーンアウトとは,Maslach(1976)によれば,「極 度の身体疲労と感情の枯渇を示す症候群」であり,対 人関係に端を発するものとされている。保健医療従事 者に特有のストレス反応として捉えられ,患者や医療 者との対人関係の困難がひとつの誘因と考えられてい る(田尾, 1996)。一旦バーンアウトに陥ると抑うつを 引き起こし,長期欠勤や離職を導くとの報告もある (Bada, 1999;Leiter, 1998;Armstrong-Stassen, 1994)。保健医療従事者の仕事満足や患者の医療満足との関連 も指摘され,バーンアウト傾向の高い看護師ほど仕 事満足が低く(Piko, 2006;Lee, 1996),バーンアウト 傾向の高い看護師からケアを受けている入院患者ほ ど,ケアへの満足が低いことが示されている(Leiter, 1998)。 バーンアウトに関する先行研究を概観すると,職種 別には,教師を対象とした研究,看護師,理学療法士, 福祉施設職員などの医療従事者を対象とした研究,患 者の介護家族を対象とした研究等があり,とりわけ看 護職者を対象とした研究は数多い(荻野, 2004 ; Burke, 2003 ; Demir, 2003 ; McGrath, 2003 ; 田尾, 1989)。近年 は,バーンアウトを防止するために関連要因を探る研 究が盛んに行われ,特に職場環境要因を検討した研究 が多く実施されている(北岡, 2004 ; Lee, 1996 ; 久保, 1994 ; 中村, 1993a)。 助産師に関しては,助産師の職業上のストレス内容
混合病棟に勤務する助産師のストレス内容(三宅, 1999),ストレス要因としての職場環境(中村, 1993b) など,助産師の職業上のストレスについて記述的に明 らかにした研究が存在する。しかし,助産師のバーン アウトに関する実証研究は,欧米において散見される ものの(Sandall, 1998 ; Bakker, 1996),わが国におい てはほとんど行われていない。これは,バーンアウト を調査した先行研究の多くが,助産師を看護職者とい う枠組みに包含し,看護師と助産師を区別せずに分析 対象としているためである。 先述のように,助産師の置かれている職場環境が変 化し,求められる役割が多様化している現状において, 質の高い母子保健サービスを提供し続けるには,助産 師が精神的に健康であることが必要不可欠であり,と りわけ助産師がバーンアウトに陥らないことは非常に 重要である。さらにこのことは,医療機関の経営・管 理の観点からも重要な要件である。したがって,わが 国における助産師のバーンアウトの実態を明らかにす る必要があるといえよう。そしてそれは,看護師とは 区別される必要がある。なぜならば,助産師は,正常 妊娠ならびに分娩の管理においてその裁量を認められ, 業務内容において看護師と一線を画しているためであ る。また,彼らの職場環境や役割の多様化に鑑みると, 助産師の精神健康は,看護師と性質を異にすると考え られるからである。 そこで本研究では,日本における病院勤務助産師の バーンアウトの実態を把握することを目的とした。具 体的には,1)日本の病院勤務助産師のバーンアウトの 程度を明らかにする,2)対象者の基本的属性・助産師 特性,勤務特性,勤務施設特性とバーンアウトとの関 連を明らかにする,3)バーンアウトと職務満足,仕事 継続意向,勤務病棟における働きやすさの認識との関 連を明らかにすることである。
Ⅱ.方 法
1.対象と方法 1 )調査対象者の選定 厚生省健康政策研究会編1999-2000年度版病院要覧 を用いて,全国の都道府県から200床以上の総合病院 を抽出した。①北海道・東北,②関東・甲信越(東京・ 神奈川を除く),③東京・神奈川,④東海・北陸,⑤ ⑥⑦からはそれぞれ20病院,合計161病院を無作為抽 出した。 まず,各病院の看護部長,産科師長(管理者)宛て に,研究協力依頼状ならびに返信用葉書を送り,調査 への協力意向を調査した。調査協力が可能な場合,調 査窓口となる担当者を決めてもらうよう依頼した。返 信用葉書には,調査協力の可否,協力が可能な場合は, 病院名,所在地,担当者の名前と職位,助産業務に携 わる助産師の人数に関する記載欄を設け,記入のうえ, 返信を依頼した。 2 )調査方法 量的調査による横断研究を採用した。1)で調査協力 意思を示した72病院に勤務する839人の助産師を対象 にした。勤務助産師数分の無記名自記式質問紙調査票 と封筒ならびに一括返信用の封筒を,各病院の担当者 宛に郵送した。調査票の配布・回収は各病院の担当者 に依頼し,記入済みの調査票は,病院単位で一括して 返送してもらった。 2.分析に用いた変数と尺度 1 )対象者の基本的属性・助産師特性,勤務特性,勤 務施設特性 対象となる助産師の基本的属性として,年齢,婚姻 歴,学童期前の子どもの有無,教育を受けた機関,助 産師特性として,助産・産科看護経験年数,通算分娩 担当件数,過去1年の分娩担当件数,勤務特性として, 職位,給与,現職場での経験年数,1日勤務時間,月 残業時間,月夜勤回数,有休消化,雇用形態,勤務施 設特性として,勤務形態,病棟管理形態,産科病床数, 年分娩件数などを尋ねた。 2 )バーンアウト バーンアウトの測定尺度には様々なものがある。 Maslach & Jacksonらが作成したMBI(Maslach Burn-out Inventory)(22項目),Maslach & Jackson の尺度 をより一般的に用いるために改定したMBI-GS(16項 目),田尾らがMBIを日本人向けに改定した尺度(17 項目),そしてpinesらが作成したBIなどである。さ らにMBI尺度は,5件法ならびに7件法で測定する方 法がある。本研究では,Maslach & Jacksonらが作成した尺度 を,田尾らがわが国のヒューマンサービス労働現場に 適合するよう改定したMBI尺度を用いた。この尺度
日本における病院勤務助産師のバーンアウトに関する研究 は3つの下位概念「情緒的消耗感」,「脱人格化」,「個人 的達成感の後退」から構成されており,これまでに国 内外において信頼性・妥当性が確認されている。元来, 頻度と強度の両者を尋ねるよう開発されているが,後 の研究で両者は強い相関関係にあることが指摘されて いるため,本研究では経験頻度を5件法(5;いつもあ る,4;しばしばある,3;ときどきある,2;まれにあ る,1;ない)で測定する方法を採用した。情緒的消耗 感は「1日の仕事が終わると,『やっと終わった』と感 じることがある」などの5項目で構成され,脱人格化 は「同僚や患者と何も話したくなくなることがある」 などの6項目から構成されており,点数が高いほど情 緒的消耗感ならびに脱人格化が高いことを示す。一方 個人的達成感の後退は,「我ながら,仕事をうまくや り終えたと思うことがある」などの逆転項目である6 項目から構成される。点数が高くなるにつれ個人的達 成感が後退していることを表す。本研究の対象者にお けるCronbach α係数は,情緒的消耗感=0.81,脱人 格化=0.82,個人的達成感の後退=0.80であった。 3 )職務満足,仕事継続意向,勤務病棟における働き やすさの認識 現在の仕事への満足度,現在の仕事の継続意思,勤 務病棟における働きやすさの認識について対象者の主 観的評価を捉えるために,先行研究を参考に各1項目 を作成し,「まったくそう思わない」から「非常にそう 思う」の5件法で尋ねた。点数が高いほど職務満足が 高く,仕事継続意向が強く,また働きやすい職場であ ると認識していることを示す。 3.分析方法 1 )情緒的消耗感,脱人格化,個人的達成感の後退の 合計得点ならびに平均得点を,それぞれ算出した。 2 )情緒的消耗感,脱人格化,個人的達成感の後退と 基本的属性,助産師特性,勤務特性ならびに勤務施 設特性との関連について,独立変数が順位変数・カ テゴリー変数の場合,2値変数ではt-testを,3値以 上の離散変数では一元配置分散分析を行った。また, 連続変数の場合,単相関分析を行った。 3 )情緒的消耗感,脱人格化,個人的達成感の後退と 職務満足等の意識との関連については相関分析を 行った。
統計処理にはSPSS version 11.5 for windowsを使用 し,有意水準は5%とした。 4.倫理的配慮 東京大学大学院医学系研究科・医学部倫理委員会の 承認を得た(承認番号1075)。調査票中で研究の目的 を伝えた後,個人のプライバシーに十分に配慮するこ と,対象者本人の自由意思で協力の有無を決定できる こと,調査は匿名で行われ個人を特定することはでき ないこと,結果は学術的な目的以外に使用しないこと を説明した。各病院の調査担当者には対象者に回答を 強制しないよう依頼し,回答内容が担当者に知られる ことがないよう,対象者各自で調査票を封筒に入れ封 をしてもらった。
Ⅲ.結 果
1.回収率ならびに対象者の背景 調査協力を依頼した161病院のうち,協力の意思を 示した72病院(44.72%)に勤務する助産師839人に調 査票を配布した。返信があったのは71病院に勤務す る732人(回収率87.24%)であり,有効回答は708人(有 効回答率84.39%)であった。 平均年齢は35.25(range22-63)歳であった。これま でに教育を受けた機関のうち,看護師教育を受けた機 関は看護師養成所(3年課程)が最も多く(45.6%),助 産師教育を受けた機関は,助産師養成所(59.9%)に次 いで短期大学専攻科が多かった(28.1%)。これまでの 通算分娩担当件数は,100∼300件が最も多く(26.1%), 1000件以上の人が5.9%存在した。過去1年の分娩担 当数は,20∼40件が最も多く(243人,34.3%),全く 担当しなかった人が35人(4.9%),100件以上取り扱っ た人は15人(2.1%)であった。勤務施設の特性として, 東京・神奈川の病院に勤務している人が74人(10.5%) であり,年間分娩件数が200∼400件の病院に勤務す る人が最も多かった。その他の属性・諸特性について は,表2に記す。 2.MBI下位尺度と基本的属性,助産師特性,勤務特 性ならびに勤務施設特性との関連 MBI下位尺度の合計得点ならびに平均得点の全体 平均を算出した。合計得点の全体平均は,情緒的消耗 感15.67 4.50(range5-25),脱人格化11.89 4.32(range 6-30),個人的達成感の後退20.61 4.30(range 6-29)で あった(表1)。 各下位尺度を従属変数とし,基本的属性・諸特性を 独立変数として分析した結果,有意差がみられたものN mean SD range mean SD 全体 684 48.15 10.0 (2385) 2.83 0.59 情緒的消耗感 696 15.67 4.50 ( 525) 3.13 0.90 脱人格化 693 11.89 4.32 ( 630) 1.98 0.72 個人的達成感の後退 697 20.61 4.30 ( 629) 3.44 0.72 注)各N数が異なるのは,欠損値を除外して分析したためである。 表2 対象者の属性・諸特性とMBI下位尺度との関連 情緒的消耗感 脱人格化 個人的達成感の後退
N mean SD N mean SD N mean SD
全体 696 15.67 4.50 693 11.89 4.32 697 20.61 4.30 年齢 ∼25歳 25∼29歳 30∼34歳 35∼39歳 40∼44歳 45∼49歳 50歳∼ 69 160 133 108 97 60 61 16.54 16.28 16.35 15.33 15.28 14.10 14.39 4.52 4.06 4.67 4.40 4.39 4.54 4.63 F=3.806 p=0.001** 70 160 134 106 95 59 61 11.40 11.91 12.13 11.92 12.27 11.37 11.54 4.21 4.28 4.68 4.06 4.04 3.69 4.61 F=0.561 p=0.762 70 161 135 108 96 60 59 21.34 20.39 21.10 20.57 20.68 20.47 19.02 4.07 4.12 4.16 3.58 4.80 4.66 4.79 F=2.100 p=0.051 婚姻歴 既婚(含内縁) 未婚・離死別 322 366 14.92 16.36 4.49 4.37 t=4.268p=0.000*** 321 364 11.41 12.30 4.00 4.44 t=2.760 p=0.006** 325 364 20.32 20.83 4.20 4.34 t=1.561 p=0.119 助産・産科看 護経験年数 ∼1年未満1年∼3年未満 3年∼5年未満 5年∼10年未満 10年∼20年未満 20年∼ 53 78 87 136 232 109 16.85 16.62 15.49 15.88 15.61 14.39 3.73 4.54 4.30 4.63 4.61 4.34 F=3.318 p=0.006** 54 79 86 135 229 109 10.59 12.63 11.01 12.18 12.24 11.60 3.46 4.40 4.26 4.37 4.73 3.46 F=2.707 p=0.020* 54 79 87 137 231 108 21.57 20.28 20.98 20.76 20.46 20.18 3.98 4.04 4.26 4.17 4.37 4.66 F=1.074 p=0.374 職位 師長または副師長 主任または副主任 スタッフ 56 71 563 14.64 15.73 15.80 4.18 4.76 4.49 F=1.71 p=0.18 56 69 562 12.09 11.90 11.90 4.06 4.31 4.35 F=0.046 p=0.955 55 71 565 19.53 19.65 20.88 4.84 4.75 4.14 F=4.679 p=0.010* 現職場での勤 続年数 ∼1年未満1年∼3年未満 3年∼5年未満 5年∼10年未満 10年∼ 105 133 114 140 203 15.45 16.08 15.68 15.36 15.75 3.90 4.69 4.46 4.85 4.46 F=0.511 p=0.728 107 130 115 140 200 10.64 12.38 11.37 11.73 12.67 3.40 4.37 4.46 4.40 4.42 F=4.844 p=0.001** 106 131 116 141 202 21.03 20.66 20.93 20.31 20.44 3.93 4.33 4.34 4.36 4.38 F=0.669 p=0.614 勤務時間(日) 8時間未満 8∼10時間未満 10時間以上 147 483 59 14.42 15.82 17.58 4.38 4.47 4.23 F=11.56 p=0.000*** 147481 58 11.00 12.22 11.76 3.73 4.43 4.58 F=4.532 p=0.011* 147483 60 20.65 20.52 21.23 3.84 4.31 5.08 F=0.751 p=0.472 残業時間(月) してない 1∼10h未満 10∼20h未満 20∼30h未満 30∼40h未満 40∼50h未満 50h以上 21 352 163 72 37 27 14 11.95 15.37 16.31 15.58 15.78 16.37 19.21 4.83 4.44 4.34 4.03 4.52 5.05 3.70 F=4.978 p=0.000*** 21 349 163 71 38 27 14 9.90 11.60 12.45 11.92 12.11 11.81 14.21 4.50 4.12 4.38 3.92 4.97 4.30 5.62 F=2.206 p=0.041* 21 351 165 72 37 28 14 21.38 21.03 20.24 20.01 19.30 20.68 19.07 4.20 4.20 4.25 4.31 4.35 4.42 4.60 F=2.026 p=0.060 有休消化(年) 全部消化した だいたい消化した 半分くらい消化した 少ししか消化しなかった まったく消化しなかった 21 39 109 407 46 13.62 15.18 15.37 15.75 17.57 4.25 3.87 4.55 4.53 5.02 F=3.359 p=0.010* 19 39 111 405 46 10.89 11.74 12.00 11.90 14.00 4.43 3.89 4.48 4.21 5.16 F=2.859 p=0.023* 21 39 110 408 46 19.05 19.79 21.02 20.65 20.33 4.44 4.51 4.33 4.26 4.48 F=1.334 p=0.256 病棟形態 産科独立病棟 産科と婦人科の混合病棟 産婦人科と他科の混合病棟 94 197 399 15.85 16.13 15.41 4.64 4.44 4.46 F=1.819 p=0.163 93198 396 12.16 11.94 11.82 4.56 4.63 4.12 F=0.252 p=0.777 92199 400 20.66 20.28 20.77 4.60 4.10 4.26 F=0.889 p=0.412 勤務形態 2交代 3交代 87564 15.4315.76 4.274.56 t=0.634p=0.526 86562 10.7912.07 3.964.39 tp=0.011*=2.546 87564 19.6120.86 4.224.27 tp=0.011*=2.555 注)独立変数が2値変数はttest,離散変数は一元配置分散分析を行った。各N数が異なるのは,欠損値を除外して分析したためである。 *p<0.05,**p<0.01,***p<0.001
日本における病院勤務助産師のバーンアウトに関する研究 を表2に示す。情緒的消耗感と婚姻状況との間に有意 な関連が見られ,既婚者に情緒的消耗感が低い傾向が みとめられた(t=4.268, p=0.000)。また年齢(F= 3.806, p=0.001),助産・産科看護経験年数(F=3.318, P=0.006),1日の勤務時間(F=11.56, P=0.000),月 の残業時間(F =4.978, P =0.000),年有休消化(F = 3.359, P=0.010)においても情緒的消耗感との間に有 意な関連がみられた。これらを多重比較したところ, 助産・産科看護経験年数では,20年以上と1年未満(p =0.014)ならびに1∼3年未満(p=0.011)との間に有 意差がみられ,20年以上の人に情緒的消耗感が低い傾 向が示された。1日の勤務時間については,8時間未満, 8∼10時間未満,10時間以上のすべての群間で有意な 差が認められ,1日の勤務時間が長いほど情緒的消耗 感が高かった。また,月の残業時間においては,まっ たくしていない群と他の時間群との間に,50時間以上 の群とまったくしていない群ならびに1∼10時間未満 の群との間に有意差が認められ,まったく残業してい ない人の情緒的消耗感は最も低く,50時間以上残業し ている人の情緒的消耗感は最も高かった。有休消化 は,まったく消化していない群と全部消化した群(p =0.009)ならびに半分くらい消化した群(p=0.046) との間に有意差がみとめられ,まったく消化していな い人ほど情緒的消耗感が高かった。通算分娩担当件数 と情緒的消耗感の単相関分析の結果,弱い負の相関が みられた(相関係数0.127, p<0.01)。 脱人格化と有意な関連がみられたのは,婚姻歴(t =2.760, p=0.006),助産・産科看護経験年数(F= 2.707, p=0.020),現職場での勤続年数(F =4.844, p =0.001),1日の勤務時間(F=4.532, p=0.011),月の 残業時間(F=2.206, P=0.041),有休消化(F=2.859, p=0.023),勤務形態(t=2.546, p<0.011)であった。 既婚者のほうが未婚者よりも脱人格化得点が低く,3 交代制で勤務する人のほうが2交代制で勤務する人よ り脱人格化得点が高かった。一元配置分散分析で有意 差がみとめられたものについて多重比較を行ったとこ ろ,現職場での勤続年数では1年未満と1∼3年未満(p =0.016)ならびに10年以上(p=0.001)との間に有意 差がみられ,1年未満の人に脱人格化が低い傾向が認 められた。1日の勤務時間では,8時間未満の人は,8∼ 10時間未満の人より有意に脱人格化得点が低かった (p=0.008)。有休消化では,まったく消化していない 人が少ししか消化していない人よりも脱人格化得点が 有意に高い傾向がみられた(p=0.016)。 個人的達成感の後退と有意な関連がみられたのは, 職位(F=4.679, p=0.010),勤務形態(t=2.555, p< 0.011)であった。師長や主任に比べスタッフのほうが 個人的達成感の後退得点が高く,2交代制で勤務する 人のほうが3交代制で勤務する人より個人的達成感の 後退得点が低かった。 4.MBI下位尺度と職務満足,仕事継続意向,勤務病 棟における働きやすさの認識との関連 MBI下位尺度と職務満足,仕事継続意向,勤務病 棟における働きやすさの認識との相関分析の結果を 表3に示す。情緒的消耗感と仕事継続意向,個人的達 成感の後退と職務満足ならびに仕事継続意向との間に 0.4以上の負の相関がみられた。
Ⅳ.考 察
MBI下位尺度得点 MBI尺度には7件法と5件法があり,得点の算出法 として平均得点ならびに合計得点を算出する方法があ る。個人的達成感の後退尺度については,先行研究に よって得点の付与の仕方が異なり,高得点ほど個人的 達成感が高いことを示す研究がある一方,個人的達成 が後退していることを示す研究もある。このように同 じ尺度を用いてバーンアウトを測定していても,測定 方法の違いにより研究間の比較が必ずしも容易とは言 えない。研究間の比較を可能とし,今後研究結果を有 効に活用していくためには,測定方法の統一が図られ る必要がある。 このような状況ではあるが,本研究結果を田尾らが 表3 MBI下位尺度と職務満足,仕事継続意向,勤務病棟における働きやすさの認識との関連 情緒的消耗感 脱人格化 個人的達成感の後退 職務満足 0.387** 0.330** 0.438** 仕事継続意向 0.409** 0.385** 0.442** 勤務病棟の働きやすさの認識 0.398** 0.363** 0.347** Speaman相関係数.**p<.01にした古瀬(2003)の研究結果と比較すると,情緒的 消耗感ならびに脱人格化得点は,本研究結果のほうが 高い傾向を示したが,個人的達成感の後退は本結果の ほうが低い結果を示した。看護師を対象とした先行研 究と比較すると,情緒的消耗感ならびに脱人格化得点 は,単一県内の看護職者を対象とした福島ら(2004) の研究結果より本結果の方が低い傾向にあった。看護 職者のバーンアウトをユニットごとに明らかにした山 崎らの研究(2003)との比較においては,情緒的消耗 感は本研究対象のほうが内科病棟に勤務する看護師よ り低かったものの,外科病棟に勤務する看護師と大き な違いはなかった。また,いずれの下位尺度において も精神科病棟に勤務する看護師より本研究対象の助産 師のほうが低い傾向を示した(久保, 1994)。一方個人 的達成感においては,看護師を対象とした諸研究よ り,本結果のほうが個人的達成感が高い結果が得られ た(福島, 2004;臼井, 2002;久保, 1994)。これは,助 産師が正常な妊娠分娩に関して裁量権を与えられてお り,自律性が高い職種であることを反映していると考 えられる。 山崎ら(2003)の研究における周産期母子センター に勤務する看護職者と比較すると,本研究対象者のほ うが情緒的消耗感ならびに脱人格化においてやや低い 傾向にあったが,個人的達成感の後退においては大き な違いはなかった。また福島ら(2004)の研究における 産婦人科系病棟に勤務する看護職者との比較において は,いずれの下位尺度においても同様の結果であった。 これらのことから,病院に勤務する助産師は,一般 にバーンアウトに陥りやすいといわれている看護師と 比較し,情緒的消耗感,脱人格化においては同様もし く低い傾向にある可能性が示唆された。また,個人的 達成感においては,看護師や介護支援専門員よりも高 い傾向にある可能性が示唆された。 MBI下位尺度の関連因子 MBI下位尺度とその関連因子について,t-test,一 元配置分散分析ならびに多重比較を行った結果を考察 する。 夫(パートナー)がいる人のほうが独身者より,情 緒的消耗感,脱人格化において低い傾向が示された。 久保ら(1994)の研究でも同様の結果が示されている。 夫(パートナー)が存在することにより,仕事上のス 年齢が高くなるにつれて情緒的消耗感が低くなって いた。助産・産科看護経験と情緒的消耗感との間に有 意な関連が認められ,とりわけ3年未満の人は,20年 以上の人に比べ有意に情緒的消耗感が高かった。ま た,通算分娩担当件数が少ない人は情緒的消耗感が高 いという結果が得られた。久保ら(1994)は,年齢40歳, 勤務年数11年程度をバーンアウト経験の臨界点と分析 しており,この時期に看護師の技量や気持ちの持ち方 に変化が訪れる可能性,もしくはバーンアウトを経験 し耐性が備わる可能性を指摘している。本研究対象に おいても類似の考察が可能であるが,これらの要因が 複合的に影響しているものと考える。年齢,助産師経 験年数と通算分娩担当件数は共変関係にあると考えら れ,年齢が若い人ほど助産経験年数が少なく分娩担当 数も少なくなる構図が考えられる。分娩介助は,助産 師の専門性の中核であり,また彼らの技術如何によっ ては母子の健康に支障をきたす可能性がある。経験の 少ない若手の助産師は分娩介助に対する自信が身につ いておらず,母子の健康を預かるという責務の重さな どから精神的負担が大きいと考えられる。また,専門 職として自立するためにあらゆる学習や技能の習得が 求められるだけでなく,仕事上の多様な業務内容を覚 えていかなければならない状況にあることから,情緒 的消耗感が高まっているのではないかと推察される。 現職場での勤続年数が1年未満の人は,1∼3年未満, 10年以上の人より有意に脱人格化得点が低かった。ま た,助産・産科看護経験年数が1年未満の人は,脱人 格化が低い傾向にあった。いずれにおいても,1年未 満という時期は,新しい業務内容や職場環境に慣れる ことが重要な時期である。バーンアウト理論によると (田尾, 1996),脱人格化は情緒的に消耗した挙句に起 こる状態と考えられているため,新しい職場に就いて 1年未満,助産・産科看護経験1年未満という時期には, 脱人格化はおきにくいのではないかと考えられる。 職位と個人的達成感の後退との間に有意な関連がみ られ,主任,師長はスタッフより個人的達成感の後退 が低い傾向がみとめられた。主任・師長という職位へ の昇格は,それまでの実績が肯定的に評価されたこと を意味する。また,主任・師長の職位に就く人は,臨 床経験が豊富であり,業務遂行能力や看護実践能力に おいてスタッフよりも高い可能性が考えられる。こう したことが,主任・師長の個人的達成感を高めている
日本における病院勤務助産師のバーンアウトに関する研究 要因として考えられる。 1日の勤務時間と情緒的消耗感ならびに脱人格化と の間に有意な関連がみられ,10時間以上勤務している 人に高い情緒的消耗感が認められた。有休消化と情緒 的消耗感ならびに脱人格化との間に有意な関連がみら れ,まったく有休を消化できていない人に高い情緒的 消耗感ならびに脱人格化がみとめられた。また,残業 時間と情緒的消耗感ならびに脱人格化との間に有意な 関連がみられ,とりわけ月50時間以上残業している人 に高い情緒的消耗感,脱人格化が認められた。これら の結果から,仕事上の量的な負荷が助産師のバーンア ウトを助長する可能性が示唆された。病院に勤務する 助産師が,日々業務に忙殺されて働く様相が浮かび上 がる。 平成14年に行われた厚生労働省の「労働者の健康 状況調査」によると,労働者一般において物理的多忙 さは,人間関係の困難に次ぐ主要なストレス源のひ とつである。看護職者においても,業務過多により ストレスを感じているとの報告が数多くなされてお り(McGrath, 2003 ; 臼井, 2002 ; Motowidlo, 1986),精 神ならびに身体両側面の健康への影響が知られてい る(山崎, 2002 ; 影山, 2001 ; Armstrong-Stassen, 1994)。 Sandall(1998)は,本結果と同様,助産師の勤務時間 が長くなるにつれて情緒的消耗感が高くなることを明 らかにしている。病院に勤務する助産師の場合,勤務 形態において看護師と大きな違いはない。シフトワー クのもと,時間内に決められた業務を終えなければな らないといった勤務形態や勤務病棟における配置人員 の不足といった状況が,彼らの労働時間の増加を引き 起こしている可能性も否定できない。 3交代制で勤務する助産師のほうが,2交代制で勤務 する助産師より脱人格化得点が高く,個人的達成感が 後退している傾向がみとめられた。3交代制では,勤 務時間帯が小刻みにシフトすることから,出勤回数が 多く休息時間が断続的なり,十分な休養をとりにくい。 また,引継ぎの回数が多いことから,自ずと業務量も 多くなる。さらには,夜中の出退勤に伴う心理的負担 もある。このようなことが複合し,疲労感やストレス, さらには脱人格化を引き起こしている可能性が考えら れる。一方,2交代制は3交代制に比べると夜勤の勤務 時間が長いため,分娩担当となった場合,継続的に産 婦へのケアを行えるメリットがある。こうしたことが, 2交代制で勤務する助産師のほうが個人的達成感が高 かった要因のひとつと推察される。 職務満足,仕事継続意向,勤務病棟における働きやす さの認識との関連 本結果から,バーンアウトと職務満足,仕事継 続意向との間に0.4以上の負の相関が確認された。 Armstrong-Stassen(1994)らは,看護師のバーンアウ トと離職意向との因果関係を調査し,情緒的消耗感が 離職意向を引き起こすことを明らかにしている。本研 究では因果関係は明確にはできないものの,情緒的に 消耗した結果,仕事継続意向が低まった可能性は否定 できない。また,個人的達成感の後退が仕事への不満 を引き起こし,仕事継続意向を低めている可能性も考 えられる。これらのことから,看護職者の離職や定着 率の悪さが問題視されている昨今において,助産師の バーンアウトを含む精神的健康に対応していくことは 非常に重要であると考える。先述したように,本研究 対象の助産師は,看護師や介護専門員と比較し個人的 達成感が高い職種である可能性が示唆され,また個人 的達成感の後退と職務満足,仕事継続意向との間に負 の相関が示されたことからも,より個人的達成感を助 長するような対策を講じることで,職務満足や仕事継 続意思が高まると考えられる。 実践への示唆 本研究結果から,病院に勤務する助産師のバーンア ウトを軽減するために,以下のような対応が各医療機 関において望まれる。 まず第1に,助産師の精神的ストレスに対するサポー トシステムの充実を図ることである。近年,助産師を 含めた看護職者のストレスマネジメントとして,臨床 現場では様々な取り組みがなされている。新人看護 職者に対するサポート体制であるプリセプター制度は, 既に多くの医療機関で導入されている。また,管理者 からのサポートとして,師長や教育担当師長が個別面 接を行い,スタッフの相談に応じているところも多い。 これらは,厚生労働省が平成12年に策定した「事業場 における労働者の心の健康づくりのための指針」の「ラ インケア」に相当する。また,指針にある「セルフケア」 として,個々のストレス対処能力を高めるよう研修会 を開催する施設もある。さらには,「事業場内産業保 健スタッフ等によるケア」として,リエゾンナースや カウンセラーを配置したり,相談室や電話相談を設け たりする施設もみられる。そのほか,ピアサポートグ ループを開催する施設,自己啓発のために研修会への 参加を推進する医療施設もある。事業場内産業保健ス
実させ,できるだけ多くの医療機関で実践されること が望まれる。とりわけラインケアは事業場内産業保健 スタッフ等によるケアと併存させることが重要である。 なぜなら,ラインケアを担う管理者とケアを受けるス タッフとの間には利害関係が潜在するため,十分に機 能しない可能性も考えられるからである。管理者はス タッフの様々な相談に応じる一方で,スタッフの能力 を評価する役割を担っており,このような関係性にお いて仕事上のストレスや心の悩みを相談することは, 否定的な評価を受けてしまう可能性が危惧され,相談 が躊躇される可能性が考えられる。また,ケアを提供 する側の管理者もストレス状態にある場合が考えられ, 十分な対応ができない可能性もある。このようなこと から,中立的で専門的立場の者を施設内に配置し,ス タッフがいつでも必要とするサポート源を選択・活用 できるよう,体制を整えておくことが重要といえる。 2点目は,各医療機関における助産師の配置を拡 大することである。平成18年の診療報酬改訂により, 看護職員配置基準に区分A7対1というランクが新設さ れた。これは,旧来表記における看護職員配置1.4対1 に相当する。本結果から量的負担が助産師のバーンア ウトを高めていたことからも,より多くの医療施設に おいて,この配置基準を充足することが望まれる。 3点目は,助産経験の少ない新人助産師に対して,分 娩介助を含めた助産ケアの実践能力を向上させるよう, 卒後教育をより充実させることである。とりわけ業務 量の負担に配慮しつつ,十分なサポートのもとに助産 ケアの機会を与えることが,若年齢で経験の少ない助 産師の情緒的消耗を抑える有効な方策のひとつと考え られる。 本研究の限界と今後の課題 最後に本研究の限界について述べる。まず1点目は, 病院勤務助産師のバーンアウトと諸特性との関連,職 務満足や仕事継続意向等との関連について検討したも のの,本研究は横断研究であるため因果関係までは明 らかにできなかった。今後は追跡調査を行うことによ り因果関係を明確にしていく必要がある。 2点目は,基本的属性,助産師特性,勤務特性,勤 務施設特性を独立変数としてバーンアウトとの関連を みたが,病院勤務助産師のバーンアウトを説明する変 数としては限られていた。今後は助産師のバーンアウ 職場環境特性を説明変数に含め,2変量間の分析だけ でなく,多変量解析によってバーンアウトの影響要因 を体系的に明らかにしていく必要がある。
Ⅴ.結 論
本研究の結果,わが国における病院勤務助産師の バーンアウトは,看護師を対象とした先行研究と比較 して情緒的消耗感,脱人格化においては同等もしくは 低い傾向に,個人的達成感の後退においては低い傾向 にある可能性が示唆された。因果関係は明確ではない が,職務満足と個人的達成感の後退,仕事継続意向と 情緒的消耗感ならびに個人的達成感の後退との間に強 い相関関係があることが明らかになった。今後,各医 療機関において事業場内産業保健スタッフによる助産 師へのサポート体制を整備すること,助産師の配置を 拡大すること,分娩介助を含めた助産ケアの実践能力 を向上させるよう,新人助産師への卒後教育をより充 実させることの重要性が示唆された。 謝 辞 本調査にご協力いただいた病院の看護部長・産科師 長ならびに調査窓口となっていただいた方,そして調 査に参加していただいた助産師の皆様に深く御礼申し 上げます。また,本研究に助成していただいた日本助 産学会に深く感謝の意を表します。 (本研究は,平成16年日本助産学会学術奨励研究助成 を受け実施した研究の一部である。) 引用文献Armstrong-Stassen, M., Al-Ma’Aitah, R., Cameron, S. (1994). Determinants and consequences of burnout: A cross-cultural comparison of Canadian and Jordanian nurses, Health care for women international, 15, 413-421. Baba. V.V., Galperin, B.L., Lituchy, T.R. (1999).
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Bakker, R.H.C., Groenewegen, P.P., Jabaaij, L., et al. (1996). Burnout’ among Dutch midwives, Midwifer y, 12, 174-181.
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