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鳴門教育大学学術研究コレクション

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Academic year: 2021

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小中の円滑な接続をもたらす小中連携のあり方についての研究 一中規模中学校区の事例から一 学 校 教 育 専 攻 生徒指導コース 池 田 一 彦 1 研究の課題と目的 (1)研究の課題 筆者は 10年近く前、適応指導教室で勤務し ていた。そのとき出会った子どもたちは,小中 の移行期をうまく乗り越えられなかったこと がきっかけに不登校になった事例が多かった。 その要因としていろいろ考えられるが、小中が 連携して、この時期を円滑に移行することによ って、問題は軽減される可能性が高いと考えた。 この小中移行期の現状を見ると、中学校に入 学した子どもたちの学習意欲の低下やいじめ や不登校の増加等の課題が顕著に表れている。 成長段階の不安定さとともに、小学校から中学 校への急激な環境の変化が子どもたちに大き な影響を及ぼしていることが推察される。 小中移行期の課題として、まず、カリキュラ ムの問題があげられる。各教科の授業時数の配 分や重点化、指導内容の重複や飛躍があり、学 習について行けない子どもが増加する。 第二に考えられるのが指導法上の問題であ る。授業を中心とした指導法、指導体制につい ても大きな段差がある。 第三に、学校に適応するための対応の問題が あげられる。中学校では学校生活に適応するた めに充てる時間が少なく、適応に時間がかかる 子どもが対応できない状況もみられる。 第四に、教師と生徒との関係をめぐる問題も ある。学級担任から教科担任に移行することで、 教師との関係に戸惑う子どもも少なくないD 指導教員 葛 上 秀 文 (2)研究の目的 本研究では小 6から中 1にかけて一つの学 年の子どもたちの成長を追いながら、小中の移 行期における子どもの変化、小中の教師聞の意 識の相違、教師と子どもの関係、子ども向士の 関係性についての違いについての分析を通し て、小中の移行期における課題を明らかにし、 小中の円滑な接続を促すために必要な小中連 携のあり方について考察するo 2 研究の方法 ①小学校6年時及び中学校1年時における子 どもへのアンケート調査、②小学校教師、中学 校教師へのアンケート調査、③観察、④小学校 教師と中学校教師による座談会、を行った。 3 研究の結果と考察 (1)小中の接続の課題 結果を分析する中で、小中の接続の課題とし て、次の 4点が明らかになった。 ① 授業の進め方 授業の進め方においては、ゴールで、ある中学 校卒業時への意識の強さの違いから、テンポや 重点に段差が生じていたc小学校では了寧な対 応で個別の理解や関心・意欲を重視し、中学校 では入試を意識するため、より知識重視で、集 団全体の進度が優先される傾向があった。 ② 評価 小学校教師は、学級担任制を背景に、子ども を総合的に見るため、理想主義的な傾向がある。 中学校教師は教科担任制で、総合的には評価し 68

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-にくい状況にあり、現実的であるD また高校入 試を意識し、学習面から子どもを見ることが多 くなる。保護者や子どもの意識も学習寄りに変 化する。また、小学校も中学校も絶対評価を基 準に考えているが、中学校では高校入試の影響 で、相対評価の意識が強くなりやすい。 ③ 教師と子どもの関係 子どもにかかわる教師が少なく学級担任の 影響が強い小学校では、ルールは学級担任との 関係性の上に成り立っている。ルールがあいま いになり、そのときどきの先生の指示や態度が 子どもたちの行動の基準となる状況が起こり やすい。教科担任制である中学校では、子ども にかかわる教師が多いため、生徒指導上の共通 理解@共通認識の意識が高く、学校としての共 通化したルールが必要との認、識がある。 小学校、中学校における生徒指導の理念と方 法が異なるために、一貫性のある指導が実現し にくい状況がある。小中のルーノレの質の変化に 対応しにくい子どもほどその影響は強くなる。 ④ 教師聞の連携 生徒指導上の問題を把握するためや個別の 対応が必要な子どもへの配慮のために、情報交 換が必要であるという意識は強い。授業の進め 方や評価、ルールの質に関する連携についても、 意識している教師はいる。しかし、違いと見て いる場合が多く、互いの特長を生かしていくよ うな意識は薄い。互いの特長を生かして連携す ることが必要で、ある。 (2)円滑な接続に向けての方策 課題の解決に向け、次の4点を提案した。 ① 授業の進め方 中学校 3年生の段階で、つけておきたい力を 設定し、学年に応じて達成させたい基準とそれ を実現させるための学習活動を小中学校で連 携させることができれば、意図を持った学習内 容の繰り返しゃ先取りもでき、意欲的な学習に もつながる。小学校と中学校の授業の進め方の 特徴も、 9年間を見直して展開する。 ② 評価 小学校においても、中学校においても、絶対 評価で自分を見つめることができ、相対評価の 場面にも対応できるようにしていく。理解や問 題の難易度だけでなく、いろいろな観点から個 性を評価することや、本来序列化できないもの も、視点や基準によってそこに順番が付くこと も、理解させていくような機会を確保する必要 がある。 ③ 教師と子どもの関係 生徒指導において小学校 6年間の延長上に 中学校があるということを再確認して一貫し た指導を行うことが望まれる。 小学校で9年間を見通して小学校低学年段 階で、の関係性に依存するルールから、中学校で の関係性に依存しないルールへの緩やかな連 続性を生み出せれば、より子どもの戸惑いは減 る。中学校で、はルーノレの意義を考えて、関係性 に依存している小学校との連続性を確保する。 ④ 教師間の連携 目的をもった教師聞の連携を基盤にしてに 小中の連携を見直すことが、小中の円滑な接続 につながる。段差やそれぞれの特長を理解し、 生かして連携していくことが真の連携につな がっていくo 4 今後の課題 連携のあり方について考察した。今後はこの ような連携を進めていく上での細かい部分を 研究していかなければならない。

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カリキュラムの編成とそれを進めるにあた つての学校内のいろいろな分野や分掌の動 きや留意点について O 小学校で、の教科担任制について

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入学以前のガイダンス機能の充実

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校区内の小学校による小小連携 O観点を変えた社会的な調査・研究 69

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