学習指導要領改訂が英文法例文に及ぼす影響に関する研究 : 使用語葉レベルの観点から

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学 習 指 導 要 領 改 訂 が 英 文 法 例 文 に 及 ぼ す 影 響 に 関 す る 研 究

使 用 語 葉 レ ベ ル の 観 点 か ら

中 住 幸 治 1.問題の所在と目的 ほ と ん ど の 英 文 法 教 材 に は 「 英 語 例 文」が 掲 載 さ れ て い る 。 例 文 に よ っ て 学 習 者 は 該 当 文 法 項 目 が 文 中 に 実 際 に 使 わ れ て い る こ と を 視 覚 的 に 確 認 し,学 習 を 通 じ て そ の 意 味 や 用 法 等 を 理 解 す る。さ ら に そ の 例 文 が 学 習 者 の 記 憶 に 残 れ ば,実 際 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 場 面 で 応 用 す る こ と が で き る 。 Larsen-Freeman (1999)は, 正確 な 形 態 で(accurately),伝 え る 意 味 を十分 に 込 め て(meaningfully), 状 況 に 応 じ て 適 切 に(appropriate ly)学 習 者 が 学 習 文 法 事 項 を 使 い こ な す た め に , 指 導 者 が “form,meaning, use"を と い う 3要 素 を 相 互 に 関 連 付 け(interaction)な が ら 文 法 を 指 導 す る 必 要 性 を 指 摘 し て い る。英 文 法 指 導 で は 上 記 の 要 素 を 備 え た 良 質 な 英 文 法 例 文 を 活 用 す る こ と が 必 要 で あ る が , 実 際 に は 問 題 の あ る 例 文 が 見 受 け ら れ る 。 そ の 例 と し て 中 住 (2014) は , 情 報 不 足 の 例 文 (e.g.He has gone to Brazil.)や , 文 法 的 に 問 題 の あ る 例 文 (e.g.Some of the students hadn't eaten lunch yet.)な ど を 挙 げ て い る 。 中 住 (2014)は さ ら に , 例 文 が 「長 す ぎ る , 意 味 が 難 解 」 と 感 じ て い る 学 習 者 の 意 見 も 紹 介 し て い る。 2015年 度 は 現 行 版 学 習 指 導 要 領 が 正 式 に 施 行 さ れ て 3年 目 で あ り 3ヵ 年 分 の 検 定 教 科 書 が 出 揃 っ た こ と に な る 。 今 回 の 改 訂 で は , 文 法 事 項 , 語 禁 等 で 幾 っ か 変 更 が な さ れ て い る が,も し そ の 変化が 例 文 の 難 化 に つ な が る と す れ ば , 学 習 者 に も 教 員 に も 負 担 に な る の で は な い か。本 研 究 で は 例 文 中 の 語 葉 レ ベ ル に 焦 点 を当て,現 行 ・旧学 習 指 導 要 領 下 の 検 定 教 科 書 に 掲 載 さ れ て い る 英 文 法 例 文 を 比 較 す る こと で , ど の よ う な 変 化 が 起 き て い る か を 検 討 す る こ と を目的 と す る。 2.研 究 の 背 景 2.1 . 良 質 な 例 文 の 条 件 よ い 英 文 法 例 文 の 条 件 を 先 行 文 献 よ り 整 理 す る と 以 下 の 通 り と な る。 ー よ F h d

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A.内 容 的 要素 1 )印象 ・イ ン パ ク ト ( 松 畑 ・高塚, 1989 ;白井, 2012) 2)学 習 者 の 興 味 関 心 ( 和 泉 ,2009;内海, 2010) 3)身 の 周 り ・身近さ(池田, 2002) 4)文 脈 (Lock,1996 ;和田,2010) B 言語 的 要 素 5)文 法 事 項 を 使 用 す る 必 然 性 ( 小山内, 2010;村野井, 2011) 6)母 語 話 者 に と っ て 自 然 な 表 現 ( 佐 藤 , 201 J) #但し,学 習 者 の 状 況 を 考 慮 、 の 上 創 作 す る 文 も 有 効 (Cook,201 J) 7) リズム ・音 声 ( 斎 藤,2001 奥 津,2002) 8)簡 潔 さ[短 文 ・分 り や す さ

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(竹中,2000;中住,2014) こ の 中 で 「意味 の 分 り や す さjに 関 し て は , 和 泉 (2009)がKrashenのモ ニターモデノレ(MonitorModel)と 関 連 付 け 理 解 可 能 な(comprehensible) i+1の イ ン プ ッ ト を 豊 富 に与える」こと を 日 本 の 英 語 教 育 向上の た め の 提言 の ー っ と し て い る。文 法 学 習 に お い て"i+l"が 対 象 文 法 事 項 で あ る と す る と, これ 以 外 の 要 素 は 全 て 「理 解 可 能」で あ ること が 必 要 で あ る。さらに, 文 法 例 文 は テ キ ス ト 本 文 と 異 な り , 未 知 語 の 推 測 に 不 可 欠 な 前 後 関 係 等 の 文 脈 も 限 定 さ れ るO そ の 意 味 で,英 文 法 例 文 の 質 を 見 る 際 に,語 実 レ ベ ル が学習 者 に 適 切 で あ る か も 十 分 に 考 慮 す る 必 要 が あ る 。 2.2. 現 行 学 習 指 導 要 領 の 変 更 点 現 行学習 指 導 要 領 (文 部 科学省, 2010)で は , 文 法 面 で主に 1)文 型 か ら 文 構 造 へ の 用 語 変 更 , 2)受け 身 の う ち 助 動 詞+受 け 身 か ら 助 動 詞 ( + 未 来 表 現 ) へ の 指 導 文 法 事 項 の 変 更 , 3)全 て の 文 法 事 項 を コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 英 語 ( 以 後 コ ミ ュ 英 ) 1で 適 切 に 取 り 扱 う こ と , と い う 変 更 が あ る。語 数 に 関 し て 高 校 3年 間 の 合 計 語 数 は 現旧とも 1,800語 で あ る。し か し , 中 学 校 で の学習 語 数 が 900語 か ら 1,200語 と な り ,増 え た 300語 は旧版 の 英 語I か ら 移 る と 考 え る の が 自 然 で あ る。従 っ て , 中 高 6年 間 で 見 る と 語 数 は 300 語 増 , と い う こ と に な る。さ ら に 旧 版 の “ 語 程 度 ま で (文部省, 1999)" か ら 現 版 で は “ 語 程 度 " と 上 限 を 示 す 表 現 が 消 え て い る。こ れ は , 語 数 制 限 を 超 え て 新 出 語 を 扱 う こ と が 認 め ら れ る こ と を 意 味 す る。教 科書例 文 が 主 に 本 文 引 用 例 文 と , そ れ 以 外 の 英 文 か ら 構 成 さ れ て い る こ と を 考 え る と,語 数 増 の 影 響 が 例 文 に も 及 ぶ 可 能 性 は 十 分 に あ る。理 解 可 能 な イ ン プ ットという観点、から見る と , こ の 語 数 増 が 文 法 学 習 に 関 し て 学 習 者 の 大 き な 負 担 と な り 得 る 点 、 が 危 慎 さ れ る。 つ 4 F h d

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2.3.レ ベ ル 別 語 業 表

英 語 語 葉 を 日 本 入 学 習 者向け に レ ベ ル 別 に 分 類 し た 代 表 的 な 語 葉 表 に JACET 8000とCEFR-JWordlistが あ る。JACET8000 (以後 JACET)は“日 本 人 と し て 英 語 を 使 っ て 仕 事 が で き る た め の 「 基 本 8000諾」を 決 め る 基 準 として(相 津 ・石 川 ・村田,2005)"作 成 さ れ た も の で , 頻 度 順 に level1から level 8ま で 分 け ら れ て い る 。 一 方 CEFR-Jとは, “欧州評議会 (Councilof Europe)で 開 発 さ れ た CEFR( 外 国 語 の 学 習 , 教 授,評 価 の た め の ヨ ー ロ ツ パ言語 共 通 参 照 枠 ) に 準 拠 し , そ れ を 日 本 の 英 語 教 育 の 枠 組 み に 適 用 し た (投野, 2013)" も の で あ る。そ し て CEFR-J“ 活 用 の た め に 考 案 さ れ た 語 集 表 (投野, 2013)"がCEFR-JWordlist (以 後 CEFR-J)で あ る。 語集 レ ベ ル は “ 英 語 力 の 核 を 作 る (投野,2015)"2レ ベ ル (Al,A2)と, “アカデミック ・ 分 野 別 語 葉 (投野,2015)"2レ ベ ル (Bl,B2)の4レ ベ ル 構 成 と な っ て い る。 両 語 葉表の 対 応 関 係 を 示 し た イ メ ー ジ を 図 lに 示 し て い る。

I

JACET 8000 I

I

CEFR-J

I

Level8 (1000) 最終到達レベル Level 7 (1000) 大学英語専門 Level6 (1000) 大学英語以外専門 82 (2789) 大学一般教養 Level 5 (1000) 難関大受験 Level4 (1000) 高3・大学受験 81(2453) Level3 (1000) 高2 Level 2 (1000) A2 (1416) 晶1 中3 Level 1 (1250) 中2 中1 A1 (1165) 小学校 注 ()内はレベル別語項目数 図1JACET 8000とCEFR-JWordlistの対応イメージ 諾 項 目 の レ ベ ル 別 分 類 方 法 に は そ れ ぞ れ 特 徴 が あ る。ま ず 共 通 点 と し て は , 両 方 と も時 制 ・分 詞 ・比 較等 変化 形 を 持 つ 語は 原 則 基本 形 に ま と め て 分 類 さ れ る。一方 相 違 点 と し て は , JACETが 同 じ 綴 り の 語 を 全 て一語 項 目 と し て ま と め る の に 対 し , CEFR-Jで は 品 詞 が 異 な る と 同 じ 語 で も 異 な る レ ベ ノ レ に 分 類 さ れ る 場 合 が あ る。 表 lの例を見ると, “use, used"がJACET q J F h d

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で は 2語 項 目,CEFR-Jで は4語 項 目 と し て 分 類 さ れ る。さ ら に 固 有 名 詞 に つ い て も , 表 lの 通 り 基 準 が 異 な っ て い る 場 合 が あ る。本 研 究 で は 英 文 法 例 文 の 語 葉 レ ベ ル を 多 角 的 に 検 討 す る た め , こ れ ら の 語 葉 表 を 両 方 と も 用 いる。 表1 JACET 8000とCEFR-Jの語分類例 JACET 8000 CEFR-J use (名詞) Level 1 A2 use (動詞,)used (過去(分詞)形) A1 一一一一目則一(野~jill Level 4 A2 used <to)-(法助動詞) B1 一一一一一一一躍旦一一一一一一一 Level 1 A1 旦 Level 1 A1 頻出固有名詞 (Japan,English, Level 1 リスト外 London, African, Christmas, etc) Atlantic, Aborigine, Pacific, prop(固有名詞) A1-B2 Mediterranean, Olympic 2.4.研 究 課 題 例文 に 関 し て は 前 述 の 通 り 多 く の 議 論 は な さ れ て い る が , そ の 質 に 関 す る 研 究 は ほ と ん ど な さ れ て い な い。ま た コ ー パ ス を 用 い た言語 分 析 は 近 年 盛 ん で あ り ,石川 (2008)や 赤 野 ・堀 ・投里子(2014)等 で も 様 々 な 分 析 方 法 が 紹 介 さ れ て い る が , 英 文 法 例 文 を 用 い た 語 葉 レ ベ ル 分 析 は ほ と ん ど 見 ら れ な い。本 研 究 で は , 英 文 法 例 文 の 質 の 中 で 語 葉 レ ベ ノ レ に 焦 点 を 絞 り , 以 下 の 2点 を 研 究 課 題 と し て 設 定 す る 。 RQl 主 要文 法 事 項 聞 で 英 文 法 例 文 の 語 支 レ ベ ル に 違 い が あ る か。 RQ2 検 定 教 科 書 の 改 訂 に 伴 い , 主 要 文 法 事 項 中 の 英 文 法 例 文 の 語 葉 レ ベ ル に 変化が 起 き て い る か。 3.研 究 の 概 要 3.1.目的 学 習指 導要 領 の 改 訂 が検 定 教 科書 の 英 文 法例文 の 語 葉 レ ベ ル に 影 響 を 及 ぼ し て い る か ど う か を 検 討 す る こ と。 3.2.収 集 デ ー タ デ ー タ 収 集 教材は 高 等 学 校 英 語 教科書 ( 現行 版 コ ミ ュ 英 I . II,英 語 表 現 ( 以 後 英 表 ) I . II,旧版 英 語 I . II,ラ イ テ ィ ン グ ) と し た。教 A 斗 A F h d

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現教行科版書名(出版社名) コミュ葺1,コミュ英 E旧版教科 採択率1採択率│英語トE .dII.伸空管:d(]草衰章一籍上一 11.3; 8.1 A11 Aboard ~sta( 三省堂) 8.9' 6.2 ~sta Crown(::::省堂) 8.4' 10.3 Crown ¥州d(数研出版)一 5.6; 6.0~vid 旦回目主

L

啓J強直) 5.2' 6.5Element P~vv~~..()~.<東京書籍} 5.2; 5.3Power On J肱 帥p!'.d第と:竺貫主主 435B 4388 堕l昆.Qia号仁p Pro-vision(桐原書庖) Pro-vision 言 十 52.9' 51.0 英表 11英表IIII日版教科書 霊択率[採択率│ライティング 7.4I 7.4IProminence 6.7I 6.7 IExceed 6.71 9.7 ICrown 601 5.218反Diooer 67.8I 73.8目 注各採択率は内外教育(2014)より 科書の選択では, 2014年 度 の 現 行 版 教 科 書 の 採 択 率 や 教 科 書 難 易 レ ベ ル の バ ラ ン ス 等 を 考 慮 し た 。 加 え て コ ミ ュ 英 に つ い て は , 同 一 出 版 社 教 材 を 2 つ ま で に 限 定 す る こ と や , 旧 版 教 科 書 と の 難 易 レ ベ ル 連 関 性 も 考 慮 、 し た。 ま た 英 表 に つ い て は , 関 連 す る旧 版 ラ イ テ ィ ン グ が 文 法 事 項 を 扱 っ て い な い 場 合 は 例 文 の 収 集 が で き な い た め,選択 対 象か ら 除 外 し た 。 そ の 結果, 表 2に 示 し た 現 行 版 26冊,旧版 21冊の 教 科 書 を 分 析 対 象 と し た 。 例 文 を 収 集 す る 文 法 事 項 は , 現 行 版 学 習 指 導 要 領 で 指 定 さ れ て い る 文 構 造 を 含 む 9事 項 , 未 指 定 な が ら 全 選 択 教 材 に 掲 載 さ れ て い る 4事 項 を 加 え て 計 13事 項 と し た 。 表 3に は 文 法 事 項 名 並 び に 例 文 数 等 を 示 し て い る 。 表3分析対象文法事項の文数・語数等について 学 習 指 導 要 領 指 定 未指定だが全教材掲載 関 係 代 関 係 副 it形式 分 詞 構 い 文 構 造 不 定 詞 名 詞 詞 助動詞 時 制 相 仮 定 法 j分 詞 受 動 態 動 名 詞 比 較 主/目 制

i77389010191093858107691111531103J857B19819971

f

l

文数 371 369 羽 153 358 139 似 282 143 加 176 179 加 標 準 偏 芽 311 267 284 311 277 257 322 338 340! 264 210 259 275 │例文数 1 339 311 225 119 180 120 364 171 100I 167 125 100 125 1 日 I':':':'~.". 1 版│平均語数│779 881 10881142 8821060 90211401114j870 B38 839 985 │標準偏差L173 2.40 3.27 3.16 2.70 2.78 3.22 3.29 3.13! 2.48 2.49 3.34 2.77 3.3.例 文 語 糞 に 対 す る 語 葉 表 ご と の レ ベ ル 別 語 群 設 定 収 集 し た 例 文 中 単 語 の 語 象 レ ベ ル 設 定 に は , オ ン ラ イ ン 版 の JACET8000

分析プログラム(htto://www.tco-io.o r. io/~shimD と CEFR-J 活用語葉集 Version

1 (投野 (2013)著 書 付 属 CD-ROM)を 用 い た。最 初 に 表3で 示 し た 数 の 英 文 を 基 に,上記 オ ン ラ イ ン 版 に よ り JACET基 準 の レ ベ ル 別 語 項 目 数 と 単 語リスト を 作 成 し た。但 し , 過 去 分 詞 形 か 形 容 詞 か (e.g.used)等 オン ラ イ ン 上 の 分 類 が で き な い も の は 自 力 で 例 文 と 照 合 す る 等,語 葉 リ ス トの微調整も行った。 に - u F h d

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次 に,前 述 CD-ROM,excel関 数 , 例 文 照 合 に よ っ て 語 葉 レ ベ ル を JACETか らCEFR-Jに 変 換 し た。語群表記に関しては, CEFR-J は当初 の4レベル (A1, A2, 81, 82)を そ の ま ま 4語群とした。JACETで は 文 法 事 項 に よ っ て 難 レ ベ ル 語 項 目 数 が 極 端 に 少 な く な る 傾 向 等 を 考 慮 、 し て level4-5とlevel6-8を合算 し, 5レベル(L1,L2, L3, L4-5, L6-8) ・5語 群 と し た 。 レ ベ ル 内 に収ま ら な い 語葉については, JACET 8000分 析 プ ロ グ ラ ム の 分 類 法 を 参 考 に , 1)語頭 が 小文字 [8外,L外,] 2)語 頭 が 大 文 字 [固 有,] 3)ア ラ ビ ア 数字,I'dな ど で あ ら わ れ る 'dなど[その他]の3語 群 に 分 類 し た 。 従 っ て 総 語 群 数 を JACET が8語群, CEFR-Jが7語 群 と し た 。 語 群 ・語 集 レ ベ ル こ と に 分 類 し た 語 項 目 実数一覧 に つ い て は Appendixに 示 し て い る。 3.4. デ ー タ 分 析 デ ー タ 分 析 で は主にカイ 2乗 検 定,残差分析, Cramer'sVを 用 い た。その 際 に は オ ン ライン版のjs-STARも利用 し た(!!tt口・//www.kisnet.or.i口/naooa/ software/star/freq/ chisq ixi.htm:11.)。 な お 本 研 究 で は 検 定 教 科 書 の 英 文 法例文 単 語 が , ど の 語 葉 レ ベ ル か ら 選 ば れ て い る か に 焦 点 を 当 て , 各 単 語 の 使 用 頻 度 は 研 究対象 外 と し た た め , 語 項目数 は 実 数 の み を 用 い て 分 析 す る。 4.結 果 4.1 . 文 法 事 項 聞 の 語 葉 難 易 度 バ ラ ン ス に つ い て ここで は旧版 ・現 行 版 教 科 書 例 文 別 に,文 法 事 項 に よ っ て 例 文 語 葉 レ ベ ル の バ ラ ン ス に差が あ る か ど う か を 確 認 す る。そのため, 現行/旧版 13文 法 事 項 例 文 XJACET 8語 群 /CEFR-J7語 群,と計4通 り の 組 み 合 わ せ で カイ 2乗 検 定 を 行 っ た。そ の 結 果 い ず れ も 効 果量は 低 い も の の , 語 項目数 の 偏 り は 有 意 で あ っ た ( 現 XJACETχ2(84)=242.15, p<.OI, Cramer's V=.07,旧XJACETχ 2(84)=173.41, Pく.01,Cramer's V=.06,現 XCEFR-J:χ2(72)=218.82, p<.OI, Cramer's V=.07,旧 XCEFR-J:χ2(72)= 164.08, p<.O 1, Cramer's V=.06)。表 4-1 に は そ の 後 残 差 分析を 行 っ た 結 果 を 示 し て い る。なお,不 定 詞 と 受 動 態 は 有 意 差 の あ る 語 群 が な か っ た た め,表 か ら 除 外 し て い る。 表 4-1か ら は こ の 結 果 に 固 有 名 詞 の及ぼ す 影 響 が 大 き い こ と が伺える。そ こで,今 度 は 語 葉 レ ベ ル をJACET6語 群 (5レベル +L外), CEFR-J 5語 群 (4 レベノレ +8外) に 限 定 し て,改 め て 4通 り の カイ 2乗 検 定 を行った。す る と 旧 版 例 文 で は 有 意 差 が 見 ら れ た (JACET:χ2(60)=218.82,Pく 05,Cramer's V=.05, CEFR-J:χ2(48)=67.33,p<.05, Cramer's V=.05) が,現行版 例 文 で は ど ち ら の 語 葉 表 で も 語 項目数 の 偏 り は 有 意 で な か っ た (JACET:χ2(60)=66.24,CEFR-J: n h U F h d

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χ ¥48)=40.49)。旧 版 例 文 で の 残 差 分 析 の 結 果 は 表 4-2の 通 り で あ る。 表4-1文法事項×語嚢レベル残差分析の結果(全レベルより) JACET CEFRーJ L4 L6 L 固有 A1

i

A2 81

i

82 B L1 L2: L3 -5-8 外 外I固有 時制相 マ [企 マ{ '

.

比較

文構造

'

.

企 '

.

│日 関 係 代 名 調

マ(企 企 版 関係副詞 マ 教 分詞 マ !¥7 マ 科 助動調 企 マ 企l Iマ 書 仮定法 企 マ マ 比形 式 主/目 動名詞

i

マ 企i Iマ 分詞構文

マ マ 企1 Iマ 時制相 マ lマ

i

¥7

.

'

比較 マ Iマ

マi :企 文構造 ーマ

1

.

現 関係代 名 詞 :

:

.

版 関係畠JI詞

I企 教 ノλ

J吾Eヨ町 科 助動詞 .i 書 仮定法 I企 マ

.!

Iマ 比形 式 主/目企 マI企 マ ¥7 動名詞

:

マ 企! マ 分詞構文

l企 企 マ 1企 :¥7 注1現旧いずれも有意差のない文法事項その他」は未掲載 注2:企有意に多い.¥7有意に少ない (pく05) 表4-2文法事項×語葉レベル残差分析の結果(固有名詞等を除く) JACET CEFR-J L1 L2目L3 L4白L6 L A1 !A2 81目82B -5; -8 トヲ 外

時塑

l

担一見巳ι巳見一見巳 マ 一一千一一一 │日 比 較

.

'

.

関係代名詞 ーV企

4

1

1十14

版 圃l 唱. ・ ・1 企:マ 教

金調

会盟主重

x

一一 マ 書J助動詞一一 E・・眉晶 関係副詞 企 仮 定 法

マ 注 1 有意差のある文法事項のみを掲載。 注2:企有意に多い,マ有意に少ない (pく.05) ワ d F h d

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表5 5文法事項の例文で使用されている固有名詞数並びに具体例 時伽1比較 :文構 関係代 関係 伊l 相 1 造 名詞 冨11詞

人物 61: 26! 51 43 18 199 Ken/Tom(5), Bobl John(4)

場 所 36 181Japan/Tokyo(5), 円 qドk?i~.()N~買k9/リ S類(手)一一

A

々〔言語

L

6 37-!"J?".~,,_se_<?)J円高l[sh_<4L 敦檀

1

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苦 手j垣一一一 一 3 9 .t!êY旦Þ.~2ê/~~.t",m.W~一一……ー 時 5 _~b空~空LM空MUL--一一一一一一一 芸3街一一一一 2 4 白血旦~í12 杢ャラクーターて~二

4 [)c>rae l1) ()n!!<i~tyU)_ その他 2 B NPOIOlympics(l ) 計 127: 80

87 93 69 456 注 ()は出現文法事項数 表4-1か ら は さ ら に , 固 有 名 詞 の 使 用 実 数 差 が 有 意 に 多 い 文 法 事 項 ( 時 制 相/比較/文構造/関係代名詞/関係副詞) と 少 な い 事 項 ( 分詞/助 動詞/仮定法/it [形 式 主 語/目 的 語]/動 名 詞/分 詞 構 文 ) に 分 か れ る こ と が 伺 え る。 そこ で 表 5 で は , 固 有 名 詞 の 使 用 実 数 差 が 有 意 に 多 い5文法 事項 の 現 行 版 例 文 か ら JACET又 はCEFR-Jで レ ベ ル 外 と な っ た 固 有 名 詞 を 意 味 の 特 徴 別 に 分 類 し , 具 体 例 を 加 え て 示 し て い る 。 こ の 表 か ら , 人 物 に 関 す る 固 有 名 詞 を 最 も 多 く 使 う 文 法 事 項 ( 時 制 相 ・文 構 造 ・関 係 代 名 詞 ) や 場 所 を 最 も 多 く 使 う 文 法 事 項 ( 比 較 ・関 係 副 詞 ) が 確 認 で き る 。 ま た こ の 表 か ら は , 多 く の 文 法 事 項 で 共通 し て 使 わ れ て い る 固 有 名 詞 も 確 認 で き る。 なお 時 を 示 す固有名詞 は い ず れ の 語 葉 表 で も レ ベ ル 内 に 分 類 さ れ て い る た め,こ の 表 に は 含まれ て い な い。 4.2.文 法 事 項 別 現 旧 版 聞 の 語 葉 レベル 差 に つ い て こ こ で は 第 一 に , 例 文 全体の 語 実 レ ベ ル に 現 行 版 ・旧版 問 で 変化が あ る か ど う か を 分 析 す る。ま ず 現 行・旧版 別 に 13文 法 事 項 全 例 文 を 一 つ に ま と め た 上で, JACET' CEFR-Jの 語 群 別 語 項目数 ・語 葉 リ ス ト を作成 し た。 そ の 後, 現 行・旧版 例 文x1) JACET 8語 群,2) JACET 6語 群,3) CEFR 7語 群,4) CEFR 5語 群 , で カイ2乗 検 定 を 行 っ た。そ の 結 果 , い ず れ も 語 項 目 数 の 偏 り は 有 意 で あ っ た (1)χ2(7)= 25.35, p<.OI, Cramer's V=.07, 2)χ2(5) = 20.98, pく.01, Cramer's V=.07, 3)χ2(6)=15.29,p<.05, Cramer's V=.05, 4)χ2 (4)=11.53, p<.05, Cramer's V=.05)。次 に そ れ ぞ れ 残 差 分 析 を 行 っ た 結 果 が 表 6に示されている。 現 版 で , 両 語 葉 表 の 最 易 レ ベ ル の 語 項 目 数 が 有 意 に 少 な く ,両 語 桑 表 の レ ベ ル 外 語 群 (L外, B外)とJACETの 最 難 レ ベ ル(L6-8)の 語 項 目 数 が 有 意 に 少 な い こ と が 分 か る 。 ま た固有 ・その他を 除 い た 各 語 葉 表下段 の 現 旧 パ ー セ ン トを比較すると, JACETでは level2,CEFR-Jで は A1ま で で 現 行 版,そ れ 以 O O F hd

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表613文法事項全例文における現旧教材×語葉レベルの残差分析の結果 L L 2 L 3 L 4-5 L 6-8 L外 固 有 そ の 他 計 市 語 項 目 数 967マ 495 267 136 176. 229企 432企 69 2771 J ---- 号も 34.90 17.86 9.64 4.91 6.35 8.26 15.59 2.49 100.00 語項目数 916企 422 195 106 113

146¥7 307¥7 51 2574 A I日 C % 3 5.59 16.39 7.58 4.12 4.39 5.67 11.93 1.98100.00 E 現 語 項 目 数 967マ 495 267 136 176企 229企 2270 T ..."!<! ....A~6.0. ...21..8.1...JL7i!...~.~.~ ....7.}~ ....JCI,()!l ...JQ()..Q() 旧 語項目数 916企 422 195 106 113

146

1898 。1> 48.26 2223 1027 558 595 769 10000 A1 A2 B1 B2 B外 固 有 そ の 他 計 T同 語 項 目 数 860

598 449 143 C 一 %30.67 21.33 16.01 5.10 語項目数 791企 499 348 118 │ 日 与も 34.66 21.87 15.25 5.17 R 現 語 項 目 数 860

598 449 143 % 3 7.87 26.33 19.77 6.30 J 旧 語項目数 791. 499 348 118 与も 41.72 26.32 18.35 6.22 注 A有意に多い、マ有意に少ない(p<05) 221企 463 70 2804 7.88 16.51 2.50 100.00 140

336 50 2282 613 14.72 2.19 100.00 221. 2271 9.73 100.00 140マ 7.38 1896 100.00 後 の 語 群 レ ベ ル で 旧 版 の パ ー セ ン トが も う 一 方 を 上 回 っ て い る。なお,現 行 版 の 語 項 目 数 が ほ と ん ど の 語 葉 レ ベ ル で旧版 を上回 っ て い る の は , 分 析 教 科 書 数 の 差 に よ る も の で あ る 。 ち な み に,表 中 の IL外 B外」は 1)も う 一 つ の 語 実 表 で は レ ベ ル内の 語 (e.g.galaxy[JACET: level 5, CEFR・B外]),2)日本 語 等 派 生 の 非 英 語 単 語 (e.g.wadaiko), 3)と も に ラ ン ク 外 の 語 (e.g.excavate) か ら 成 っ て い る。旧 版 中 の 語 数 はJACETが 1)55, 2) 26, 3) 65, CEFR-Jが 1)49, 2)26,3)65, 現 行 版 で は JACETが 1)66, 2) 45, 3) 118, CEFR-Jが 1)58, 2) 44, 3) 119で あ っ た。なお,カイ 2乗 検 定 (4x 3)の 結 果,χ2(6)=6.99で 語 項目数 の 偏 り に 有 意差は な か っ た。

第 二 に , 文 法 事 項 別 に 現 行 ・旧版 問 で 語 象 レ ベ ル の バ ラ ン ス 変化を見る。 1 )全 語 群 (JACET 8, CEFR-J 7), 2)固 有 ・そ の 他 を 除 く 語 群 (JACET6, CEFR-J 5), 3)易 ・難 ・レ ベ ル 外 語 群 (JACET: level 1 +2+3・level4-5+6-8・L 外,CEFR-J:Al+2'Bl+2'B外),の三通 り で カ イ 2乗 検 定 を 行 っ た。カイ 2 乗 検 定 の 結 果 p<.05レ ベ ル で 語 項 目 数 の 偏 り が 有 意 で あ っ た 文 法 項 目 に つ い て,さ ら に 残 差 分 析 を 行 っ た 結 果 を 表 7に ま と め て い る。こ れ に よ る と,仮 定 法 が 両 語 葉 表 に,比較 ・助 動 詞 ・分 詞 がJACETのみ,関 係 副 詞 ・it[形 式主 語 目 的 語]がCEFR-Jの み に 掲 載 さ れ て い る。ま た 表 7中で,最 易 (Ll,Alを 含 む)レ ベ ル 語 群 の 語 項目数ノf一 セ ン トに お い て 全 て の 旧 版 例 文 が 現 行 版 を 上 回る一方,レ ベ ル 外 固 有 名 詞 ・最 難 (L8,B2を 含 む)レベ ル 語 群 の 語 項 目 数 の パ ー セ ン ト に お い て 全 て の 現行版 例 文 が 旧 版 を 上 回 っ て い る こ と が 分 る。な お , 不 定 詞 が 2)JACET 6語 群 の カ イ 2乗 検 定 でp<.IOながら,同様 の 59

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傾向が 見 ら れ る た め,参 考 まで に表 外 に 掲 載し て い る。 表7文法項目別による現旧×語嚢レベルの残差分析の結果(抜粋) U L2 L3 L4-5 L6-8 L外 固有 検定結果 比 較 現 57.14 マ 13~8 6~5 123マ 3.35'" 3.00 12.17企 x2(7)二27.22,pく01 民主主一"~"Jj:Lg~L~,,.lQJL 一主i~~,,~,,~,,~~里 ~~.JL~Q. 豆空 7里~"~,,.L!L~豆~役割里E 仁ピヲ .17..ー ~一 助動詞 現 64.16マ13.58 5.35 2.75.

3.76 2.60 6.65 X 2(7)=17.36, p<.05 助動詞 旧 74.09... 10.49 3.43 0.86マ 3.21 3.00 4.28 Crame内 v=.12 L L 2 L3 L45 L678 L外 比 較 現 67.50 16.04 7.50企 1.46マ 3.96企 3.54 x 2(5)= 19.17, p<.Ol 比較 旧?A,Q.L ...!1.84 .3,.9.旦"1..~..9.~"'.Q}型"1...5.26 .çr~切紅5..11."J~ 仮定法 現69.76マ13.85 7.77 2.70 2.70 3.21 X2(5)= 12.74, p<.05 仮定法 旧79.27企10.48 5.01 2.05 1.59 1.59 Crame内 Vニ 11 助動詞 現 69.59マ14.73 5.80 2.98企 4.08 2.82 X 2(5)=13.52, pく05 助動詞 旧77.93...11.04 3.60 0.90マ 3.38 3.15 Crame内 v=.11 L123 L45678 Lタキ 分 詞 現 88.45マ 6.25 5.30 X 2(2)=6.71, p<05 分 調 旧 93.21 ... 3.82 2.97 Cramer's V = .08 A A 2 81 82 B外 固有 検定結果 関係副詞 現 55.27マ14.84 7.23 1.56 4.10企13.48 X 2(6)ー15.22,ρ<.05 関係副詞 旧 65.38... 13.57 6.33 1.13 1.36マ10.18 Cramer乍 v=.13 A A 2 81 82 8~j. 仮定法 現61.24マ21.31 11.91 2.35 3.19

.

X2(4)ー12.25,pく05 J.&.定法一一一」甲68.64...19.77~ 2.05 0.68マ Cramer'sV = .11 関係副詞 現 66.59マ17.88 8.71 1.88 4.94

.

X 2(4)=10.56, p<.05 関係副詞 旧 74.48... 15.46 7.22 1.29 1.55マ Cramer'sV = .11 A 8 8外 仮定法 現82.55マ14.26 3.19企 X 2(2)=10.72, p<.Ol -館主点 l目88.41 ...10.91 0.68Y' Crame内 v=.10 関係副詞 現 84.47マ10.59 4.94企 X 2(2)=8.66, p<.05 関j精)1鼠 1日 明里5._.~..~lliL._..~. 主E 空 Q"明智'5~J,.'竺 1旦 比形式主/目 現83.76マ12.99企 3.25 X 2(2)=6.51, pく05 比形式主/日 旧 89.92... 7.90マ 2.18 Crame内 v=.09 j主1語葉レベル内の数字は%主2企有意に多い。マ有意に少ない(ρ<05) # 参 考 L L 2 L3 L45 L678 L外 不定詞 現 66.76マ15.78 5.87 3.35 3.35 4.89 X 2(5)=9.34, .05くp<.10 不定詞 旧 73.30企 1236 538 1B7 323 3D6 Cramer'sV = .08 5. 考 察 RQl 主要二寸 法 募 要 即 で 案 文 法 仰二ぞ の 草 案 レ ベ ルjご五重いが;h-?うか。 表 4-1,4-2から, 旧版 に つ い て は 仮 定 法 で 易 レ ベ ル 語 支 の 使 用 多 , 時 制 相 で 易 レ ベ ノ レ 語 葉 の 使 用 少 , 比 較 の 難 レ ベ ル 使 用 多 , 等 の 傾 向 が 伺 え る 。 し か し , 現 版 で 固 有 名 詞 を 除 く と 有 意 差 が な い こ と か ら , 文 法 事 項 問 で の 使 用 語 象 レ ベ ル の パ ラ つ き が 解 消 さ れ つ つ あ る こ と が 推 測 で き る。但 し こ れ は,文 法事 項 を 問 わ ず概 し て 同 じ 割 合 で 難 レ ベ ル の 語 が 使 わ れ て い る , と い う こ と で も あ る。図 lで 示 し た 語 葉 表 別 の レ ベ ル 別 語 項 目 数 の う ち,表 6で 示 し た 英 文 法 例 文 中 の レ ベ ル 別 語 項 目 の 活 用 率 を 示 し た の が 表 8である。 表 6から, JACET及び CEFR-Jで 定 め て い る 教 科 書 高 2レベ ル の 語 葉 (JACET level 3まで, CEFR-JA2ま で)は 全 体 の 5-6割 程 度 し か 占 め ず,表 8

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表8コーパス語嚢レベル語項目の教科書例文中での使用率 level 1 level 2 level 3 l4ev/e5 617l leve/l8 total l1ev2e3l JACET語項目数 1250 1000 1000 2000 3000 8250 3250 現版使例用文率中語(%項)目数 967 495 267 136 176 2041 1729 77.36 49.50 26.70 6.80 5.87 24.74 53.20 A1 A2 81 82 total A CEFR-J語項目数 1165 1416 2453 2789 7823 2581 現版例文中語項目数 860 598 449 143 2050 1458 使用率(%) 73.82 42.23 18.30 5.13 26.20 56.49 か ら は , そ れ ら 比 較 的 易 レ ベ ル 語 葉 の う ち 使 わ れ て い な い も の が 約4害11ある こ と が 分 る。易 し い 単 語 を 使 い こ な さ ず, 適 切な レ ベ ル を 超 え る 単 語 を 安 易 に 含 め た 例 文 は 学 習 者 が 英 文 法 を 学 ぶ 上 で 負 担 と な り 得 る 一 要 素 だ と 考 え る。も ち ろ ん , 固 有 名 詞 は 使 わ れ て い る 状 況 を 特 定 し , 文 内 容 に よ り 現実味 を 与 え る と い う 意 味 で は 有 効 で あ る が,綴 り や 発 音 の 難 し さ が 負 担 と な る 場 合 も あ る (e.g.In 2006, Dr. Mchazime, who is a wel¥-known Malwian educator, heard about the windmill.)。 ま た レ ベ ル 外 語 葉 中 で , ア ル フ ァ ベ ッ ト表 記 の 日 本 語 は 日 本人学習 者 に と っ て 内 容 のイメ ー ジ を よ り 明 快 に す る 等 の 効 果 が 期 待 で き る が , そ れ 以 外 の 語 は か え っ て 負 担 と な る い g.Itis said that they are deities.)恐 れ が あ るO も ち ろ ん 本 文 引 用 例 文 は 本 文 を ほ ぼ そ の ま ま 使 わ な け

れ ば なら な い た め , 語 業 面 の 操 作 は で き な い で あ ろ うO だ が 理 解 可 能 なイン プッ ト と い う 観 点 から す る と , 例 え ば JACETのlevel3まで, CEFR-JのA2 ま で の 語 棄 を 事 前 に 念 頭 に 置 き, 本 文 引 用 以 外 の 例 文 中 に よ り 多 く 使 用 す る ことも 考 え ら れ る の で は な い か 。 但 し 語 葉 レ ベ ル を 優 先 さ せ 過 ぎ る こ と で, 2.1で 示 し た 良 質 な 例 文 の 条 件 が 損 な わ れ る の は 本 末 転 倒 で あ る。例 文 の 内 容 が 無 味 乾 燥 な も の に な ら ぬ よ う , 文 内 容 の 充 実 は 常 に 念 頭 に 置 く べ き で あ る。 RQ2. IJ章宏ダ1-'/王子のiJ{(t

n

ご所い, 主要二寸法夢Jjf

c

p

の 英 文 法

W

二て の 定 案 レ ベ ル jご 変 化,;j3‘

A

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f

i

!

でい-3か。 表 6か ら は , 全 体 と し て 易 し い 単 語 使 用 が 減 り , 難 レ ベ ル の単語 の 使 用 が 増 え て い る 傾 向 が 伺 え る。表7を 見 る と 助 動 詞 や 形 式主語/目的語の ltが そ の 典 型 例 で あ る と 言 え る。一方 比 較 で の 固 有 名 詞 の 使 用 増 は , 比較 対 象 が 具 体

的 で あ れ ば学 習 者 もイ メ ー ジ し や す く な る (e.g.Lake Biwa is almost as large as Awaji lsland.)という点ではし

w

、傾 向 だ と言え る が,そ の一方 JACETlevel 6-8の 語 葉 使 用 が 増 え て い る の は 問 題 で あ ろ う。仮 定 法 ・関係副詞はレベノレ外 単語 の 使 用 頻 度 が高く な っ て い る が,ロ ー マ 字 日 本 語 の 使 用 は 例 文 の 状 況 設 定 に役立 つ で あ ろ う(e.g.Were itfine, 1 wouldbe able toair my futon./ That is

ー よ c u

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how udon is served in local restaurants in Kagawa.) が , そ れ 以 外 の レ ベ ル 外 語 葉 使 用 は 難 レ ベ ル 語 葉 と 同 様 に,例 文 を 学 習 者 に と っ て 必 要 以 上 に 難 解 な も の にする一要 素 に な り 得 る。た だ 例 文 内 容 の 観 点 か ら は, 比較 ・仮 定 法 ・関係 副 詞 で は , 例 文 内 容 を 具 体 化 す る 必 要 性 か ら 固 有 名 詞 や レ ベ ル 外 単 語 の 使 用 頻 度 が 高 く な っ て い る 可 能 性 も 考 え ら れ る。 ま た 語 葉 表別に見ると, ま ず 「 将 来 英 語 を使って仕事をする(JACET)Jとい う 視 点 か ら は, 比較 ・助動 詞 に お い て 高 校 生 に 適 切 な レ ベ ル を 超 え た 語 葉 使 用 の 増 加 傾 向 が 示 唆 さ れ た 。 そ の一方 CEFR-Jの 基 準 か ら は , 関 係 副 詞・仮 定 法 ・形 式 主 語 目 的 語 の Jtに お い て 「 英 語)Jの 核j と な る レ ベ ル 以 上 の 語 集 使 用 の 増 加 傾 向 が 示 唆 さ れ た 。 原 因 のーっ と し て , 学 習 指 導 要 領 改 訂 に よ る 語 葉 レ ベ ル 難 化 の 影 響 を 上 記 文 法 事 項 が 特 に 受 け た 可 能 性 が あ る 。 そ の 意 味 で は , 上 記 文 法 事 項 自 体 に 難 レ ベ ル 語 集 と 結 び つ き や す い 特 徴 が あ る の か も し れ な い 。 し か し , 難 レ ベ ル 語 葉 の 存 在 が 負 担 増 と な り 英 文 法 学 習 の 妨 げ に な る と す れ ば , 学 習 者 に と っ て は 逆 効 果 と な る 恐 れ が あ る こ と に 留 意 す る 必 要 がある。 6.今 後 の 課 題 本 研 究 で は 課 題 点 が 幾 っ か 残 っ たO ま ず 文 法 事 項 に よ っ て 例 文 数 に ば ら つ き が あ り , 特 に 文 数 の 少 な い 事 項 は 結 果 に 影 響 を 及 ぼ し て い る 可 能 性 が あ る 。 ま た 本 研 究 は コ ク ラ ン の 規 則(Cochran'srule)の 範 囲 内 で カ イ 2乗 検 定 を 行 う こ と が で き た が , 今 後 例 文 を よ り 細 か な 基 準 で 分 け る と 期 待 値 が 5以 下 と な る セ ル 数 が 20%を 上 回 る こ と も 十 分 考 え ら れ る。そ の た め サ ン プ ル 数 を も う少 し 増 や す 必要 が あ る と 考 え る 。 ま た,検 定 全 体 を 通 し て 効 果量が 少 な い 点 も 留 意 し な け れ ば な ら な い 。 今 回 は 「 語 葉 レ ベ ル 」 を 中 心 に 論 じ , 教 科 書 例 文 も 本 文 引 用 例 文 を 混 合 し て 分 析 を 行 っ た。 し か し 今 後 は , 本 文 引 用 例 文 と そ れ 以 外 の 例 文 に 分 け て 分 析 を 行 う 中 で,本 文 以 外 の 例 文 の 中 で 難 レ ベ ル 語 を 含 む 例 文 を 具 体 的 に 提 示 し た上で 分 析 を 行 い た い。さ ら に , 語 葉 の 易 し さ と そ れ 以 外 の 良 質 な 例 文 条 件 と の 聞 の 関 連 性 等 に つ い て , 具 体 的 教 科 書 例 文 を さ ら に 提 示 し た 上 で 議 論 を 深 め た い と 考 え て い る。 上 記 の 通 り 幾 つ か の 課 題 は 残 っ た も の の, 本研 究 に よ っ て,英 文 法 例 文 の 語 葉 に 関 し て 固 有 名 詞 や ロ ー マ 字 日 本 語 の 多 用 に よ り 文 内 容 の 具 体 化 が 図 ら れ て い る 可 能 性 が あ る一方,全体 的 な 易 レ ベ ル の 語 葉 使 用 の 減 少 傾 向 , 難 レ ベ ル の 語 葉 使 用 が 増 加 傾 向 に あ る 文 法 事 項 の 存 在 等,例 文 内 諾 葉 の 難 化 傾 向 も 確 認 す る こ と が で き た。本 研究 が 今 後 の 英 文 法 例 文 の 質 的向 上 に つ 4 c u

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つ な が れ ば 幸 い で あ る。

本論 文 は , 第 41回 全国英 語 教 育 学会熊 本 研 究 大会で の 研 究 発 表 で 用 い た デ ー タ に 基 づ き , 新 た な分 析を加え て 再構成 し た も の で あ る。

参 考 文 献

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中 住 幸 治 (2014). 1例 文 の 効 果 的 な利 用 に 基 づ く 英 文 法 指 導 に 関 す る研究 ー 日 本 の 高 校 生 を 対 象 に 」 広 島 大 学 大 学 院 教 育 学研究科文 化 教 育 開 発 専 攻 博士論 文 松 畑 照一 ・高 塚成 信 (1989).~英語授業を魅力的に』大修館書庖 村 野 井 仁 (2011).1新学 習 指 導 要 領 に お け る文 法 指 導J~英語教育~60(刀,10-12 文 部 科 学 省 (2010).~高等学校学習指導要領解説 外 国語編・英 語 編 』 開 隆 堂 文 部 省 (1999).~高等学校学習指導要領解説 外 国 語 編 ・英語編』 開 隆 堂 渡 辺 敦 司 (2014).1芸 術 は 前 年 度比 1.8%減 2014年 度高 校 教科書 採択 状 況 文 科 省 ま と め ( 下 )J ~内外教育~ 6307,10-18 和 田 さ っ き (2010).1例 文 の 探 し 方 海 外 の 辞典・ ネット etc.J~新英語教育』 489, 19-20. Appendix 文 法 項 目 別 , 語 葉 レ ベ ル 別 , 現 旧 教 科 書 例 文 別 語 項 目 数 表 教 JACET 8000 CEFR-J Wordlist 育 Level overu以 舛 の 短 縮 陪総語数 A 日 over" 以 外 の 短 縮 形総語数 聾.. 2 3 4・56・7・8Level8国有名嗣数字等 実数 2' 2 AB 固有名銅数字等 実数 比 較 現 324 77 36 19 17 69 18 567 292 97, 53 14 23 79 171 575 │ 日 225 36 12 12 16 25 51 334 206 52' 24 14 35 51 343 仮定法 現 413 82 46 16 16 19 37 51 634 365 127' 71 14 19 47 41 647 │ 日 348 46 22 22 41465 302 87' 39 9 3 31 31 474 関名係詞代 現 468 102 57 16 18 29 77 12 779 431 143' 66 18 30 93 111 792 │ 日 413 67 32 13 25 61 626 348 119: 44 17 19 80 61 633 関係詞副 現 313 49 24 11 19 58 19 501 283 76, 37 21 69 181 512 │ 日 309 43 17 10 35 10 436 289 60: 28 45 91 442 助動詞 現 444 94 37 19 26 18 46 8 692 437 124' 59 15 18 55 71 715 │ 日 346 49 16 15 14 20 31 467 328 66, 31 11 11 28 21 477 。t形/目式主現 329 39 20 11 15 16 20 31 453 275 86, 41 15 14 28 21 461 │ 日 282 47 15 21 31 389 263 67, 23 6 8 27 21 396 不定詞 現 478 113 42 24 24 35 59 782 449 145' 76 19 32 70 61 797 │ 目 431 75 34 11 19 18 52 10 650 405 109: 50 16 16 59 91 664 分詞構 現 391 72 29 22 16 16 27 11 574 354 108: 50 23 15 35 01 585 文 │目 312 59 23 15 13 51 20 31 450 289 66' 51 13 13 24 21 458 分詞 現 367 63 37 12 21 28 33 31 564 351 95' 51 11 25 40 21 575 │ 日 349 62 28 12 14 25 51 501 325 83, 48 4 13 33 41 510 動名詞 現 318 56 25 11 171 17 21 454 294 80' 41 15 24 11 464 │ 目 256 38 12 13 9 9 01 344 246 49' 28 9 4 15 01 351 受動態 現 305 55 33 12 19 40 41 477 290 81' 36 17 51 31 486 │ 目 255 52 14 10 12 26 31 380 247 57' 26 10 12 34 31 389 時 制 相 現 465 96 40 16 24 31 108 27 807 449 120' 67 22 25 122 261 831 │ 日 429 91 33 16 15 25 77 18 704 408 117, 53 14 18 95 171 722 文構造 現 468 95 43 12 21 34 79 71 759 426 146: 56 21 24 87 61 766 │ 日 426 74 42 13 12 24 70 81 669 399 108' 44 21 19 81 71 679 64

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