− 421 − 小学校における命に関する学校道徳教育について 一日中比較研究 教科・領域教育専攻 国際教育コース 華 明 琳 一、研究背景 命は人聞が成長し生活する基礎であり,人間 にとって何よりも大切なものである。命の安全 な環境を作ることは国の,社会の,そして人々 のすべきことである。したがって,命に関する 道徳教育は,教育の中で最も基本的な,重要な 内容である。 日本と中国で、は様々な悪質な事件が起こった。 子どもの命の安全を脅かす軒牛が次々と起こっ ている。子どもは事件の被害者となるだけでな く,時に加害者にもなる。日本も中国も,子ど もの命を守れる環境にあるとは言い難く,命に 関する道徳教育は十分できているとも言い難い。 日中両国とも,小学校から道徳教育の時間に 命に関する内容を教えている。少なくとも,教 科書に命に関する内容は含まれている。しかし, 学校での命に関する道徳教育が成すべき役割を 果たしているかについては疑問が上がっており, 日本では道徳教育は学校ですべきか,そもそも 道徳は教えられるかをめぐっても論争になって し、る。 命に関する道徳教育は,日本においても中国 においても諒該Hなね兄にある。 二 研 究 目 的 1.日本と中国の学校道徳教育のあり方を探 求し,示唆を得るための基礎的な資料や情報を 指導教員 石 村 雅 雄 得ることを目的とする。 2. 日本と中国の命に関する学校道徳教育の 現状を托躍し,互いの利点と欠点を分析し,学 校道徳教育に必要なものを探し出す。 3.子どもに対し,大人になるまで無事に成 長できるような環境を作るために,学校道徳教 育は何をしているのか,何ができるのれそし て何が成されるべきなのかについて調べる。 子どもの命に関する正確な意識を育むために は,様々な要素が関係しており,学校道徳教育 だけではすべての問題を解決することはできな いということを重々承知の上で,学校道徳教育 が行うこと・できること・すべきことを探究す る。問題をすべて解決できないという理由だけ で,命に関する学校道徳教育の意義を疑うべき ではない。学校での義務教育は,家庭教育や社 会教育,そして宗教教育などよりも安定した環 境で,すべての子どもに対し,知るべき知識を 教えることを僻章できる。 命に関する道徳教育を行っても殺人朝牛は絶 えないと言われているが,せめて無知という原 因で命を失うこと,及び命を奪うといったこと をなくすのが本研究の目的である。 三、研究方法 文献調査によって, 日中両国の命に関する学 校道徳教育の現状について調べ互いの利点と
− 422 − 欠点を比較し,分析する。また, 日中両国の道 徳教育の内容を扱っている授業の教科書(日本 の「道徳」と中国の「品徳と生活jと「品徳と 社会J)を比較し,両国の小学校における命に関 する学校道徳教育の内容を明確にし,比較する。 また,中国の現職の小学校郡市にアンケート調 査を行い,中国の小学校の命に関する道徳教育 の現状を明らかにし,命に関する道徳教育に対 する教師たちの見解を調査する。 四、結論 日本と中国の小学校における命に関する学校 道徳教育は,どちらも完全であるとは言えない。 しかし,双方に自国の特徴があり,お互いにつ いて学びあうことには価値がある。中国では, 命に関する教育が「生命教育」と呼ばれていて, 独立したシステムがあるため,命に関する教育 の研究はより進めやす川また,