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WS 質料形相論の多角的な検討と応用 導入資料 10/14/ 質料形相論の復活 質料形相論 Hylomorphism; Hylo が近年 分析哲学に おいて 復活 の様相を呈し始めている 質料形相論の これまで と これから ルネサンスというわけではないが 関連文献は増加傾向 ただし

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(1)

質料形相論の

「これまで」と「これから」

予稿の補足的イントロ

2018年10月14日

WS「質料形相論の多角的な検討と応用」

横路佳幸(慶應義塾大学)

質料形相論の復活?

質料形相論(Hylomorphism; Hylo)が近年、分析哲学に

おいて「復活」の様相を呈し始めている

– ルネサンスというわけではないが、関連文献は増加傾向

ただし・・・

– 他のXX主義と同じく、二千年以上それは何度もザオラルされてきた

– 復活の背景には、分析形而上学におけるアリストテレス主義の隆盛

があると言えないこともない

cf. 1-4

– が、アリストテレス主義者でもHyloの積極的な擁護を躊躇しがち

– 必ずしも分析的トミズムの影響によるわけでもない(ゼロでもないが)

14thOctober 2018

02

基本教義

実体とは、質料と形相を構成要素とする結合体である

– 主に、アリストテレス『形而上学』Z巻という魔境に由来

– 銅像は、青銅という質料と、形状という形相からなる結合体

– なぜHylo?・・・e.g. 生成変化を説明するため

– 実体の生成変化が可能であるのは、質料が持続しながらも、形相

(や欠如体)が持続しないから

換骨奪胎されつつ、質料・形相の二分法は長らく残り続けた

– 直観理解:ハンバーグを作るには、食材とレシピという二要素が必要

– 歴史上の大哲学者の多くは、質料・形相の用語を用いてきた

14thOctober 2018

03

過去のもの?

17世紀科学革命以降、影響力が「次第に」低下

– 物理学上の裏付けのない独特の術語への疑念

– 純粋形相、第一質料、四原因、欠如体、同名異義原理など、厄介

なテーマも・・・

– 少なくともそのままでは、科学的世界観にそぐわなさそう

分析哲学では、歴史的な関心以外では見過ごされがち

– e.g. 心の哲学概論:心身二元論は、ボコボコに殴られるのが世の常

である一方で、Hyloは、しばしばリングにすらあげてもらえない

– 自然・物理主義全盛の時代に、質料・形相はお呼びでなさげ

14thOctober 2018

04

(2)

Fineの先駆性

Hylo復活の立役者は、Kit Fine

– 90年代半ばから、従来の古典外延メレオロジーに代わるor並び立つ

メレオロジー体系として、Hyloを構想

cf. 5-7

– 着想:形相とは、諸部分に構造・階層をもたらす原理(関数)

– 質料を諸部分、形相を原理、実体をその二者から成る構造化され

た全体に見立てる

– ハムサンドとは:二枚のパンとハムと、それらを構造化し挟み込む原理

Bから成る全体

– 構造性:同じ材料でも異なる原理B#で挟まれると、異なるハムサン

– 階層性:パンやハム自体も、諸部分と原理から成る全体

・・・etc.

14thOctober 2018

05

波及

ゼロ年代後半以降、復活の機運が加速

– 特に風向きを変えたのは、Johnston, Koslicki, Reaら

cf. 8-11

– その後、Brower, Evnine, J. Heil, Koons, Sattigらも参入

cf. 12-18

– メレオロジーだけでなく、三次元主義、物質的構成、自然種、潜在性、

本質、因果的力能など、分析形而上学上のテーマとの連携も進む

現在、Hyloは色々な類型を持っている

– 特に、形相をどう理解するかに応じて、数多くのHyloが出現

– Hyloでどのような理論を指すかは、論者の間で開きがある

– 日本語の論文でも一部が紹介されつつある

cf. 19, 20

14thOctober 2018

06

同調

Hylo復活は、時同じくして各所でも

① 古典哲学からのアプローチ

– FineやKoslicki自身が古典哲学者でもある

cf. 21, 22

– 現代哲学にも目配せしつつ、新しいHylo解釈を提唱

cf. 23, 24

② 他分野からのアプローチ

– 心の哲学:物理主義と心身二元論等に対抗する

cf. 25-27

– 人の存在論:従来の動物説の難点を乗り越える

cf. 28, 29

– 科学哲学:生物の発生モジュール性構造を説明する

cf. 30

– 分析神学:三位一体論や復活、受肉等を捉え直す

cf. 31-33

14thOctober 2018

07

∴Hylo復活は、一部の形而上学者の「身内どうしの盛り上がり」

というわけではなさそう

(かといって完全否定もできないが・・・)

ワークショップの目的

比較的好意的に、Hyloを検討することを出発点にする

– 主に、古典哲学(桑原)、分析形而上学(横路)、生物学の哲

学(千葉)の分野から

– 「これまで」を念頭に、「Hyloは理解可能で有意義」という前提に立つ

現代におけるHyloの応用可能性を多角的に検討する

– 細かい議論や論点にはあまり拘泥せず、なるべく大きなフレームワークの

もとで「これから」を考える

– 現代の形而上学における意義・射程・含意を、各提題者独自の観点

から問い直し、Hyloの可能性と展望を広げる

14thOctober 2018

08

(3)

最大公約数的な定義?

Hyloを、最大公約数的に次のように定義しておく

– たしかに、HYはあいまいすぎるし広すぎる…が、そもそも実体や質料、形

相、「なる」があいまいだし広すぎる

– それでも、質料と形相に相当する二つの要素というアイディアを用いて、

実体を考えることに価値はあるはず

– 特に、生物と人工物という個物について考えたい

– ある理論がHyloの名に値するかどうかは、後で考えればよい

14thOctober 2018

09

実体の相当物は、質料の相当物と形相の相当物から

「成る」

質料形相論(HY)

同床異夢

各個人発表の概要は、以下の通り

– 桑原:アリストテレスの質料形相論における認識論的な側面

– 横路:質料形相論化された構成主義の必要性と多様性

– 千葉:生物を質料形相論的な対象として捉える見方の妥当性

提題者どうしが(非物理的に)殴り合う姿を

お見せしたい

– 各提題者は、Hyloの可能性を信じるものの、

目指すものや議論の仕方はまったく異なる

14thOctober 2018

10

予定

この後すぐ、個人発表に移る

– 桑原、横路、千葉の順で、各25分程度

休憩後、提題者間のディスカッションを行う

– 合計25分程度

残りの時間で質疑応答

– 20分程度

– 時間の都合上、疑問や反論等はここで頂戴する

14thOctober 2018

11

謝辞

本ワークショップは、やまなみ書房さまの助成金によるご協力・

ご後援を得て開催されるものです。ここに謝意申し上げます。

– やまなみ書房 学術コミュニティー活性化事業 助成事業 助成番号

W00001

https://www.yamanami.tokyo/supporter_sponsor/20181014h

ylomorphism

– また、本発表に対して的確な助言をくださった方々、特に桑原司氏、

千葉将希氏、中崎紘登氏に謝意申し上げます。

14thOctober 2018

12

(4)

参考文献

1. Tahko, T. E. (eds.) (2012), Contemporary Aristotelian Metaphysics, Cambridge University Press. 〔『アリストテレス的現代形 而上学』,加地大介ほか訳,春秋社,2015年〕

2. Groff, R. and Greco, J. (eds.) (2013), Powers and Capacities in Philosophy: The New Aristotelianism, Routledge. 3. Novotný, D. and Novák, L. (eds.) (2014), Neo-Aristotelian Perspectives in Metaphysics, Routledge.

4. Simpson, W. M. R., Koons, R. C., and Teh, N. J. (eds.) (2018), Neo-Aristotelian Perspectives on Contemporary Science, Routledge.

5. Fine, K. (1999), “Things and Their Parts”, Midwest Studies in Philosophy 23, 61–74.

6. Fine, K. (2008), “Coincidence and Form”, Proceedings of the Aristotelian Society, suppl. vol. 82, 101–18. 7. Fine, K. (2010), “Towards a Theory of Part”, Journal of Philosophy 107, 559–89.

8. Johnston, M. (2006), “Hylomorphism”, Journal of Philosophy 103, 652–98. 9. Rea, M. (2011), “Hylomorphism Reconditioned”, Philosophical Perspectives 25, 341–58. 10. Koslicki, K. (2008), The Structure of Objects, OUP.

11. Koslicki, K. (2018), Form, Matter, Substance, OUP. 12. Oderberg, D. S. (2007), Real Essentialism, Routledge.

13. Stump, E. (2013), “Emergence, Causal Powers, and Aristotelianism in Metaphysics”, in [2].

14. Brower, J. E. (2014), Aquinas’s Ontology of the Material World: Change, Hylomorphism, and Material Objects, OUP. 15. Sattig, T. (2015), The Double Lives of Objects: An Essay in the Metaphysics of the Ordinary World, OUP. 16. Evnine, S. (2016), Making Objects and Events: A Hylomorphic Theory of Artifacts, Actions, and Organisms, OUP.

13

18. Heil, J. (2018), “Hylomorphism: What’s Not to Like?”, Synthese (published online), https://doi.org/10.1007/s11229-018-https://doi.org/10.1007/s11229-016-1295-6 1792-x

19. 谷川卓 (2011)「具体的対象の存在論についてのノート:「質料なき形相」という概念をめぐって」,千葉大学大学院人文社 会 科 学 研 究 科 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト 報 告 書 第 203 集 『 哲 学 的 自 然 主 義 の 諸 相 の 展 開 』 , 67–72 頁 , https://core.ac.uk/download/pdf/97008924.pdf

20. 加地大介 (2017)「物的対象の自己統一性と質料形相論」,埼玉大学紀要第52巻,97–105頁.

21. Fine, K. (1994), “A Puzzle Concerning Matter and Form”, in T. Scaltsas, D. Charles, and M. L. Gill (eds.), Unity, Identity,

and Explanation in Aristotle’s Metaphysics, Clarendon Press.

22. Koslicki, K. (2006), “Aristotle’s Mereology and the Status of Form”, Journal of Philosophy 103, 715–36. 23. Marmodoro, A. (2013), “Aristotle’s Hylomorphism without Reconditioning”, Philosophical Inquiry 36, 5–22. 24. Peramatzis, M. (2018), “Aristotle’s Hylomorphism: The Causal-Explanatory Model”, Metaphysics 1, 12–32. 25. Madden, J. (2013), Mind, Matter, and Nature: A Thomistic Proposal for the Philosophy of Mind, The Catholic University

of America Press.

26. Jaworski, W. (2016), Structure and the Metaphysics of Mind: How Hylomorphism Solves the Mind-Body Problem, OUP. 27. Koons, R. C. (2018), “Against Emergent Individualism”, in A. J. L. Menuge and J. P. Moreland (eds.), The Blackwell

Companion to Substance Dualism, Wiley-Blackwell.

28. Hershenov, D. (2008), “A Hylomorphic Account of Personal Identity Thought Experiments”, American Philosophical

Quarterly 82, 481–502.

29. Toner, P. (2011), “Hylemorphic Animalism”, Philosophical Studies 144, 65–81. 30. Austin, C. J. (2018), “A Biologically Informed Hylomorphism”, in [4].

31. Brower, J. E. and Rea, M. C. (2005), “Material Constitution and the Trinity”, Faith and Philosophy 22, 487–505. 32. Jaworski, W. (2013), “Hylomorphism and Resurrection”, European Journal for Philosophy of Religion 5, 197–224. 33. Turner, J. T. Jr. (2019), On the Resurrection of the Dead: A New Metaphysics of Afterlife for Christian Thought, Routledge.

質問時間

(3分程度)

【個人発表】

桑原司

「アリストテレスの質料形相論における

認識論的な側面」

(5)

【個人発表】

横路佳幸

「質料形相論的な構成主義

——その必要性と多様性」

【個人発表】

千葉将希

「生物は質料形相論的対象か」

休憩後、

ディスカッションを行います

ディスカッション

(6)

桑原発表に対して①(横路)

発表者は、アリストテレスの質料形相論の持つ認識

論的な側面を強調する。

しかし、本当にその強調は正しいのか。認識論的な

側面がまったくないことはありえないにせよ、最終的

にはアリストテレスは、認識論というよりも、実在の

構造やありさまを描く存在論を主張したいのではな

いか。

桑原発表に対して②(横路)

発表者は、一般人も質料と形相の目的論的関係、

例えば板の質料は、机の形相を実現するためになっ

ているということをある程度理解しているとみなす。

しかし、一般人による対象の認識は、本当に目的論

的な理解まで要求するのだろうか。日常経験に鑑み

ると、これは一般人の認識論にとって強すぎる要求

ではないのか。

横路発表に対して①(千葉)

発表者は、構成関係の成立の仕組みを、内在形

相と種別概念、基礎づけ関係を用いて説明しようと

する。

しかし、質料形相論化することで、構成主義にいっ

たいどのような恩恵があるのか。たとえば、これは構

成関係を基礎づけ関係などに還元しようとしている

のか。

横路発表に対して②(千葉)

発表者は、内在形相が無制限かもしれないし、自

然種に制限されるかもしれないし、反応依存的かも

しれないと主張する。

しかし、この問題については、内在形相を自然種で

制限すればよいのではないか。実際、生物や粘土な

どが自然種だというのは比較的受け入れやすい。内

在形相を自然種と関係するようなものに限定すると

いうアイディアはそこまで悪くないように思える。

(7)

千葉発表に対して①(桑原)

発表者は、形質の目的論的機能はその目的そのも

のだと論じている。

しかし、むしろその形質が属する全体の維持に資す

ることこそ、本来の形質の目的論的機能なのではな

いか。この点に関する発表者自身の考えはどうなっ

ているのか。

千葉発表に対して②(桑原)

発表者は、目的論的機能こそ生物の形相だと主張

する。

しかし、このような形相は、質料形相体が何であるか

の規定としては幾分肌理が粗すぎるのではないか。

例えば、同じ目と呼ばれる形質であっても、ヒトの目

とタコの目のように種の違う目であれば形状もさまざ

まに異なるため、別の形質として区別するのが自然

に思える。

長時間ご清聴いただき、

ありがとうございました

残り時間で質疑応答を行います)

参照

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