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2014 IA 5 I 15, 16, 20, 21, 22, ( ) 1. e

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(1)

理 I 15, 16, 20, 21, 22, 34 組

6 月 23 日 清野和彦 数理科学研究科棟 5 階 524 号室 (03-5465-7040) [email protected] http://lecture.ecc.u-tokyo.ac.jp/~nkiyono/index.html

問題 1. 以下の極限をロピタルの定理を利用して計算せよ。

(1) lim

x→0

e

x

− 1 − x

x

2

+ x

3

(2) lim

x→0

x

− tan x

x

3

(3) lim

x→1

2e

x

− ex

2

− e

(x

− 1)

2

(4) lim

x→0

(

1

x(1 + x)

log(1 + x)

x

2

)

(5)

lim

x→+∞

x log

x

− a

x + a

(6) lim

x→0

(

1

sin

2

x

1

x

2

)

【定義】 n 回微分可能な関数 f と定義域内の実数 a に対し、n 次(以下の)多項式

f (a) + f

(a)(x

− a) +

f

′′

(a)

2

(x

− a)

2

+

f

′′′

(a)

3!

(x

− a)

3

+

· · · +

f

(n)

(a)

n!

(x

− a)

n

を f の a における n 次のテイラー近似多項式と呼ぶことにします。

問題 2. 問題 1 をテイラー近似多項式を使って計算せよ。

問題 3. f (x) = e

sin x

cos x の 0 における 6 次のテイラー近似多項式を計算せよ。

問題 4. 極限

lim

x→0

(1 + x)

1x

− e(a + bx)

x

2

が存在するための a, b の値と、そのときの極限値を求めよ。

(2)

使ってよい。(小数点以下第 4 位を四捨五入するのではありません。)

問題 6. sin 1 の値を小数点以下第 3 位まで決定せよ。(小数点以下第 4 位を四捨五

入するのではありません。)

問題 7.

3

28 の値を小数点以下第 4 位まで決定せよ。

(小数点以下第 5 位を四捨五

入するのではありません。)

問題 8. p

n

(x) を sin x の 0 における n 次のテイラー近似多項式とする。このとき、

0 以上の任意の x に対して

n が奇数なら p

2n−1

(x) = p

2n

(x)

≥ sin x

n が偶数なら p

2n−1

(x) = p

2n

(x)

≤ sin x

が成り立つことを示せ。

問題 9. e が無理数であることをテイラーの定理を使って証明せよ。

問題 10. 任意の正実数 x と a に対して

lim

x→+∞

x

a

e

x

= 0

となることを証明せよ。

(3)

理 I 15, 16, 20, 21, 22, 34 組

6 月 23 日 清野和彦 数理科学研究科棟 5 階 524 号室 (03-5465-7040) [email protected] http://lecture.ecc.u-tokyo.ac.jp/~nkiyono/index.html

目 次

1 ロピタルの定理 2 1.1 ロピタルの定理の逆 . . . . 2 1.2 ロピタルの定理と微分の定義 . . . . 2 1.3 ロピタルの定理を使った極限の計算 . . . . 3 1.3.1 問題 1 の解答 . . . . 4 1.4 ロピタルの定理の変種 . . . . 6 2 テイラー近似・定理・展開についてのあらすじ 6 3 テイラー近似多項式 8 3.1 多項式と微分 . . . . 8 3.2 結論 . . . . 11 3.3 テイラー近似多項式の定義と例 . . . . 12 4 近似の意味 12 4.1 テイラー近似の特徴付け . . . . 13 4.1.1 ランダウの記号 . . . . 14 4.2 証明 . . . . 15 4.3 応用 : テイラー近似を利用した極限値の計算 . . . . 18 4.3.1 問題 2 の解答 . . . . 19 5 近似の一意性と微分 20 5.1 積のテイラー近似多項式 . . . . 21 5.2 合成関数のテイラー近似多項式 . . . . 23 5.2.1 問題 3 の解答 . . . . 24 5.2.2 問題 4 の解答 . . . . 25 6 剰余項の表示:極限から誤差へ 26 6.1 ロピタルの定理の証明:コーシーの平均値定理 . . . . 27 6.2 ラグランジュ表示:ロピタルからコーシーへ . . . . 29 6.3 剰余項のさまざまな表示 . . . . 31 7 剰余項の表示の応用 32 7.1 e の近似 : 問題 5 . . . . 32 7.2 sin x の近似 : 問題 6 . . . . 33 7.3 累乗根の近似:問題 7 . . . . 34 7.4 sin x の剰余項の符号 : 問題 8 . . . . 35 7.5 e が無理数であること:問題 9 . . . . 37 7.6 指数関数と多項式の「発散の速さ」比べ : 問題 10 . . . . 38

(4)

1

ロピタルの定理

この節では、「テイラーの定理」の準備として、ロピタルの定理を紹介します。ロピタルの定理 はいろいろと微妙なところのある定理ですが、主役は「テイラーの定理」ですので、あまりこだわ らずに結果と使い方と使い方に関する注意だけ紹介します。証明については、「テイラーの定理」 の説明の流れの中で第 6.1 節(27 ページ)で触れます。 ロピタル (de l’Hˆopital) の定理とは ロピタルの定理  

f (t) と g(t) は [a, b) で連続 (a, b) では微分可能で、(a, b) 内の任意の t に対して f′(t)̸= 0 と する。このとき lim t→a g′(t) f′(t) が存在するなら lim t→a g(t)− g(a) f (t)− f(a) = limt→a

g′(t) f′(t) が成り立つ。   というものでした。

1.1

ロピタルの定理の逆

定理の中の太字にした「存在するなら」の部分は間違いを犯しやすいところですので気を付け て下さい。lim t→a g′(t) f′(t) が存在しなくても limt→a g(t)− g(a) f (t)− f(a) は存在するかも知れないのです。だから、 lim t→a g′(t) f′(t) が存在しない場合にはロピタルの定理からはなにも結論することができません。すなわ ちロピタルの定理の逆は成り立たないのです。 例を挙げておきましょう。 f (t) = sin t g(t) = t2sin1 t とすると、 lim t→0 g(t)− g(0) f (t)− f(0) = limt→0 t2sin1t sin t = ( lim t→0 t sin t ) ( lim t→0t sin 1 t ) = 1· 0 = 0 と収束しますが、 lim t→0 g′(t) f′(t) = limt→0 2t sin1t− cos1t cos t は振動してしまって収束しません。

1.2

ロピタルの定理と微分の定義

ロピタルの定理というのは、f (t) と g(t) が t = a で微分可能でなくても右辺の極限 lim t→a g′(t) f′(t) が存在しさえすれば成り立つという、結構「汚い」関数に対しても成立する定理です。しかし、こ こでは f′(a) も g′(a) も存在するばかりではなく、f′(t) も g′(t) も連続だという「きれい」な場合 に限るとどのようなことを主張している定理なのか考えてみましょう。 まず、左辺の lim t→aを分子と分母に分配してしまいましょう。もちろん lim t→a ( f (t)− f(a))= lim t→a ( g(t)− g(a))= 0

(5)

なのですから lim を分配すると 0 0 の不定形になるわけで、そんなことができるわけもなく、だか らこそ「定理」と呼んでもらえるわけです。しかし、分子分母を t− a で割っておくという「ひと ひねり」を入れると分子と分母はそれぞれ lim t→a g(t)− g(a) t− a tlim→a f (t)− f(a) t− a

つまり t = a における微分の定義式になるので、f′(a) と g′(a) のどちらかが 0 でない場合は lim を分子分母に分配でき、

lim

t→a

g(t)− g(a) f (t)− f(a) = limt→a

g(t)− g(a) t− a f (t)− f(a) t− a = lim t→a g(t)− g(a) t− a lim t→a f (t)− f(a) t− a = g (a) f′(a) となってしまいます1。一方、f(t) と g(t) は t = a で連続としているので、 lim t→a g′(t) f′(t) = lim t→ag (t) lim t→af (t) = g′(a) f′(a) も成り立ちます。 このように、 f′(a) と g′(a) が存在し、どちらか一方は 0 でなく、f′(t) も g′(t) も t = a で連続 という場合には、ロピタルの定理は、微分の定義式同士のわり算をしただけのものだったというわ けです。

1.3

ロピタルの定理を使った極限の計算

「f′(a) と g′(a) が存在して f′(t) と g′(t) が t = a で連続」なのに前節の範疇に入らない場合と して f′(a) = g(a) = 0 になってしまう場合があります。ことのときは左辺のみならず右辺も「0 0 型の不定型」になります。 この場合は、f′(t) と g′(t) に対してロピタルの定理を使えば lim t→a g′′(t) f′′(t) が存在するならば limt→a g′(t) f′(t) = limt→a g′′(t) f′′(t) が成り立つ となります。つまり、「1 回微分して分からなければ 2 回微分せよ」というわけです。この右辺もま た 0 0 なら 3 回微分、それもまた 0 0 なら 4 回微分、、、となります。くだらないようですが、実はこ れが「テイラーの定理における近似の意味」の源(の一つ)になります。実際、問題 2 の解答で、 ロピタルの定理を繰り返し使った問題 1 の解答と全く同じ内容をテイラーの定理の視点からもっと すっきりと説明します。 注意. なお、f と g が C級(すなわち何回でも微分可能な関数)ならこの計算を続ければ必ず 求めたかった極限が求まるか、と言うと、何回微分しても 0 0 のままということが実際にあるので、 その質問に対する答は NO です。 1f(a) = 0 のときは逆数を考えてください。

(6)

1.3.1 問題 1 の解答 (1) だけロピタルの定理の適用の仕方まで気をつけて書き、(2) 以降は雑に書きます。 (1) x→ 0 とすると分子も分母も 0 に収束します。よって、ロピタルの定理を利用して極限を決定 できる可能性があります。分子と分母を微分すると、それぞれ (ex− 1 − x)′ = ex− 1 (x2+ x3) = 2x + 3x2 となります。だから、もし極限 lim x→0 ex− 1 2x + 3x2 が存在するなら、求める極限も存在して値はこれに一致します。ところが、この分子と分母も x→ 0 のとき 0 に収束します。よって、この極限をロピタルの定理で決定できる可能性があります。分子 分母を微分すると、 (ex− 1)′ = ex (2x + 3x2) = 2 + 6x です。そして、極限が lim x→0 ex 2 + 6x = 1 2 と存在します。以上より、 lim x→0 ex− 1 − x x2+ x3 = 1 2 であることが分かりました。 □ (2) x→ 0 としたとき 0 にならないところまで分母を微分しましょう。 (x3)′′′= (3x2)′′= (6x)′= 6 です。そこで分子も 3 回微分してみます。すると、

(x− tan x)′′′=(− tan2x)′′=(−2 tan x(1 + tan2x))

=−2(1 + tan2x)2− 4 tan2x(1 + tan2x)−−−→ −2x→0

となって、2 階導関数までは x→ 0 のとき 0 となっており、3 回微分すると値は −2 です。よって、 ロピタルの定理を 3 回使うことにより、 lim x→0 x− tan x x3 = −2 6 = 1 3 となります。 □ (3) x→ 1 としたときに 0 にならなくなるまで分母を微分しましょう。 ( (x− 1)2)′′= (2(x− 1))′ = 2 です。そこで分子も 2 回微分します。すると ( 2ex− ex2− e)′′= (2ex− 2ex)′ = 2ex− 2e−−−→ 0x→1 となって、1 階導関数では x→ 1 のとき 0 で、2 次微分係数も 0 です。よって、ロピタルの定理を 2 回使うことにより、 lim x→1 2ex− ex2− e (x− 1)2 = 0 2 = 0 となります。 □

(7)

(4) 通分すると 1 x(x + 1) log(1 + x) x2 = x− (x + 1) log(1 + x) x2(x + 1) となります。 x→ 0 としたとき 0 にならないところまで分母を微分します。x2(x + 1) = x3+ x2 なので、2 回微分すればよく、 (x3+ x2)′′= (3x2+ 2x)′= 6x + 2−−−→ 2x→0 です。そこで、分子も 2 回微分しましょう。 (x− (x + 1) log(1 + x))′′= (− log(1 + x))′ = 1 1 + x x→0 −−−→ −1 となって、1 階導関数では x→ 0 のとき 0 で、2 次微分係数は −1 です。よって、ロピタルの定理 を 2 回使うことにより、 lim x→0 ( 1 x(x + 1) log(1 + x) x2 ) =1 2 となります。 □ (5) y = 1x と置き換えて y の関数の y→ 0 での極限の計算に直しましょう。 logx− a x + a= log 1 y − a 1 y + a = log1− ay

1 + ay = log(1− ay) − log(1 + ay) ですので、求める極限は

lim

y→0

log(1− ay) − log(1 + ay)

y

です。これは、ロピタルの定理を使うことにより、 = lim

y→0

(log(1− ay))′− (log(1 + ay))′ (y)′ = limy→0 −a 1−ay− a 1+ay 1 =−2a となります。 □ (6) 通分すると、 1 sin2x− 1 x2 = x2− sin2x x2sin2x となります。これの分母が x→ 0 で 0 にならなくなるまで微分しましょう。 (

x2sin2x) = 2x sin2x + x2sin 2x−−−→ 0x→0 (

x2sin2x)′′= 2 sin2x + 4x sin 2x + 2x2cos 2x−−−→ 0x→0 (

x2sin2x)′′′ = 6 sin 2x + 12x cos 2x− 4x2sin 2x−−−→ 0x→0 (

x2sin2x)′′′′= 24 cos 2x− 32x sin 2x − 8x2cos 2x−−−→ 24x→0 となります。そこで、分子も 4 回微分すると、

(

x2− sin2x)′′′′= (2x− sin 2x)′′′ = (2− 2 cos 2x)′′= (4 sin 2x)′= 8 cos 2x−−−→ 8x→0 となり、3 階導関数までは x→ 0 のとき 0 で、4 次微分係数は 8 です。よって、ロピタルの定理を 4 回使うことにより、 lim x→0 ( 1 sin2x− 1 x2 ) = 8 24 = 1 3 と計算できます。 □

(8)

1.4

ロピタルの定理の変種

ロピタルの定理の変種についても簡単に触れておきましょう。ロピタルの定理は「t→ a のとき 0 0 型」というものですが、 t→ a のとき t→ ∞ のとき 00t→ ∞ のとき 型 の三つの場合にも同じ結論が成り立ちます。(∞ は −∞ でも O.K. です。)t → a を t → ∞ にす るのは簡単なのですが、0 0 を ∞∞ にするのは、単に逆数を取ったりするだけでは上手く行かず証明 するのはなかなか大変です。実は「t→ a のとき 型」のロピタルの定理は、ε-δ 論法を使わな ければ証明できない定理として有名だそうで、しかもその証明はかなりよく読み込まないと何を やっているのか分からないという結構コクのある証明です。ε-δ で書かれた文を読むよい練習には なるのですが、話の本筋ではないということと紙数の都合で割愛します。

2

テイラー近似・定理・展開についてのあらすじ

「テイラー」の名を冠された定理や概念は、1 年生が学ぶ微積分の中で最も重要なものだと言っ てよいと思います。「テイラー」関連の話題は大きく分けて三つあります。「テイラー近似」「テイ ラーの定理」「テイラー展開」です。今回扱うのは「テイラー近似」と「テイラーの定理」の二つ で「テイラー展開」は次回扱う予定ですが、まず大雑把に話の流れをつかんでおくとよいと思うの で、以下、簡単に上記の三つの話題について説明します。 そのために、一つ用語を用意しましょう。関数 f と自然数 k に対して f(k)で f の k 階導関数 を表します。つまり f(1)= f, f(2)= f′′, f(3)= f′′′, . . . ということです。また、f(0)= f と定義 します。微分可能な関数は連続でもあることを思い出すと、f(k+1) の存在する関数の f(k) は連続 となります。f(k+1) が存在しない場合 f(k) は必ずしも連続ではないのですが、たとえ f(k+1) 存在しない場合でも f(k)が連続ならいろいろと細かいことを気にせずに議論できるようになるメ リットがあります。そこで、次の言葉を用意しましょう。   定義 1. 関数 f が n 回微分可能で n 階導関数 f(n) が連続なとき、f は Cn 級関数であると 言う。また、f が何回でも微分可能なとき、f は C∞ 級関数であると言う2   あとで見るようにテイラー展開は C∞級関数でしか意味をなさない概念ですが、テイラー近似 やテイラーの定理は途中までしか微分可能でなくても意味をなします。だから、関数の微分可能性 についての条件をどこまでゆるめられるかという微妙な問題がついて回ることになります。しか し、そこにこだわると話の流れが見難くなってしまうので、関数はすべて C∞ 級関数とし、Cn 関数については注意で触れるにとどめることにします。 これから「テイラー近似・テイラーの定理・テイラー展開」について説明して行きます。一般に この話題は

関数 f (x) と、x = a における f (x) の n 回までの微分係数 f (a), f′(a), f′′(a), . . . ,

f(n)(a) から作ったある多項式との差が f(n+1)(x) を使った式で書ける

という述べ方をされる「テイラーの定理」をいきなり突きつけられて「はいおしまい」というのが 普通なのですが、たいへん幸いなことに皆さんの受けている講義ではこのようなことはなく、キチ

(9)

ンと三つに分けて説明されます3。この定理は多くのことを簡潔に述べている定理で、その意味す るところを酌み取るのは容易ではないので、三つの話題に分けて説明することは大変意味があると 私は思っています。 そこで、このプリントでも講義と同様に (1) もとの関数と「ある多項式」との関係 (2) もとの関数から「ある多項式」を引いた差の表示 (3) 「ある多項式」の次数を無限大にとばすことができるかどうか という順で説明して行きます。(授業の進度に合わせて (3) は次回に回します。) 本論に入る前に、もう少し詳しく説明しておきましょう。 まず (1) について。関数 f (x) と x = a について、f′(a) という値は y = f (x) のグラフの (a, f (a)) における接線の傾きでした。接線というのは、大雑把に言うと 直線の中で点 (a, f (a)) において y = f (x) のグラフに一番似ているもの というものです。(「一番似ている直線」がただ一つに決まることが f (x) が x = a で微分可能なこ とに対応しているわけです。)一方、直線というのは 1 次式のグラフです。そこで、「直線の中で」 すなわち「1 次式の中で」という制限を緩めて、「2 次式の中で」、「3 次式の中で」、、、「n 次式の中 で」一番似ているもののことを a における f (x) の n 次のテイラー近似多項式 と呼ぶことにします。(正確な定義は後の節でします。)この「似ている」という言葉は、接線を雛 形としており、接線は微分の定義とほとんど同じであることから、 x→ a としたときの振る舞いが似ている という意味で解釈されるものです。(正確には後の節で説明します。)ここまでが (1) の内容です。 次に (2) について。(1) で得られた n 次のテイラー近似多項式のことを pn(x) と書くことにし ましょう。pn(x) は x→ a としたときに f(x) と振る舞いが「似ている」わけですが、では x → a とせずに a ではない x について pn(x) と f (x) はどのような関係にあるのでしょうか。これを知 るということは、f (x) と pn(x) の差 Rn+1(x) := f (x)− pn(x) を知るということと同じです。ところが、f (x) は与えられた一つの関数ですが、pn(x) は n 次(以 下の)多項式ですので、n + 1 個の項を持つわけですから、Rn+1(x) は n + 2 個の項を持つ汚い関 数です。だから、このままでは Rn+1(x) について調べることは絶望的と言ってよいでしょう。そ こで、(2) で何をするかというと、 Rn+1(x) を一つの式で表す表示方法 について考えます。具体的には f(n+1)(x) を使って表示します。この結果は「平均値の定理の一般 化」とも「微積分の基本定理の繰り返し」とも解釈できます。 3世の中の多くの講義や教科書は「はいおしまい」型のようですので、もしも自習用の参考書を買おうと考えているな ら、そのあたりの説明が十分かどうかチェックしてから買うとよいかも知れません。

(10)

最後に (3) について。pn(x) には (2) で考えた「x を動かす」という面の他に「n を増やす」と いう面もあります。(2) で Rn+1(x) の表示を得たことにより、x̸= a における f(x) と pn(x) の 差、つまり pn(x) が f (x) を(普通の意味で)近似している「近似の度合い」がある程度分かるよ うになりました。そこで、(3) では、 x を決めたとき、n を大きくすると pn(x) の f (x) を近似する度合いはよくなるのか ということ、極限の言葉を使えば、 x を決めたとき lim n→∞pn(x) = f (x) は成り立つのか ということについて考えます。その結果、指数関数や三角関数のようによく使う関数はこれが成り 立つという嬉しい結果と、任意の C∞ 級関数についていつもこれが成り立つわけではないという ちょっと面倒くさい結果が得られます。 以上が「テイラー」関連の話の流れです。以下、第 3 節から第 5 節で「(1) テイラー近似」につ いて、第 6 節と第 7 節で「(2) テイラーの定理」について説明します。

3

テイラー近似多項式

3.1

多項式と微分

よくご存じのように、n 次多項式(で表される関数)は相異なる n + 1 個の x での値を与えれ ば決まります。例えば p(1) = 3, p(2) = 8, p(3) =−1 を満たす 2 次以下の多項式は p(x) = 3(x− 2)(x − 3) (1− 2)(1 − 3) + 8 (x− 3)(x − 1) (2− 3)(2 − 1) − 1 (x− 1)(x − 2) (3− 1)(3 − 2) =−7x 2+ 26x− 16 というものただ一つに決まってしまいます。このように、多項式は有限個の点での値を決めれば決 まってしまうような、とっても自由さの少ない関数です。 一方、微分というものは、ある x での値だけでは計算することはできません。どんなに狭くて もよいから幅を持った区間での振る舞いを見ないと計算することができないのです。多項式は有限 個の点での値でさえすべてが決まってしまうのですから、微分が先に決まっていれば当然決まって しまうでしょう。そこでこの節で、注目する点 x = a を決めたときそこでの高次微分係数でどの ように多項式が決まるかをはっきりさせておきましょう。   命題. I を開区間、n を自然数とする。I 上の関数 f (x) が f(n+1)= 0 (値が 0 の定数関数) を満たすことと、f (x) が n 次以下の多項式であることは同値である。   証明. まず n 次以下の多項式の n + 1 階導関数は恒等的に 0 であることを示しましょう。f (x) を n 次以下の多項式、 f (x) = c0+ c1x + c2x2+ c3x3+· · · + cnxn とします4。すると、 f′(x) = c1+ 2c2x + 3c3x2+· · · + ncnxn−1 f′′(x) = 2c2+ 6c3x +· · · + n(n − 1)cnxn−2 .. . 4前にも注意したように、後々 n→ ∞ の極限を考えるという方向に話が進んで行きますので、それを見越して定数項 の方を先に書く「昇冪の順」を使うことにします。

(11)

f(n−1)(x) = (n− 1)!cn−1+ n!cnx f(n)(x) = n!cn f(n+1)(x) = 0 となって f(n+1)(x) は恒等的に 0 となります。 逆を考えましょう。微積分の基本定理により、任意の関数 g(x) とその導関数 g′ の間には、 g(x) = g(a) +x a g′(t)dt という関係があることを思い出して下さい5。(ただし a は g(x) の定義域である開区間 I の中に 一つ勝手に決めた実数、x は I に含まれる任意の実数です。)これを n + 1 回繰り返して使います。 まず、I 内の任意の x に対して f(n+1)(x) = 0 なのだから、f(n)(x) は f(n)(x) = f(n)(a) +x a f(n+1)(t)dt = f(n)(a) +x a 0dt = f(n)(a) となって定数関数です。(f(n)(a) と書くと関数みたいに見えるかも知れませんが、a は一つとって 決めてあるのですから、f(n)(a) は x に依らない定数です。)これをもう一度積分すると、 f(n−1)(x) = f(n−1)(a) +x a f(n)(t)dt = f(n−1)(a) +x a f(n)(a)dt = f(n−1)(a) + f(n)(a)(x− a) となります。さらにもう一度積分すると、 f(n−2)(x) = f(n−2)(a) +x a f(n−1)(t)dt = f(n−2)(a) +x a ( f(n−1)(a) + f(n)(a)(t− a) ) dt = f(n−2)(a) + f(n−1)(a)(x− a) +f (n)(a) 2 (x− a) 2 となります。これを n + 1 回繰り返すと、 f (x) = f (a) +x a f′(t)dt = f (a) +x a ( f′(a) + f′′(a)(t− a) + · · · + f (n)(a) (n− 1)!(t− a) n−1 ) dt = f (a) + f′(a)(x− a) +f ′′(a) 2 (x− a) 2+· · · +f (n)(a) n! (x− a) n が得られます。(これは x− a についての n 次以下の多項式になっていますが、各 (x − a)k を展 開して整理し直してももちろん n 次以下の多項式であることに変わりありません。)これで f (x) が n 次以下の多項式であることがわかりました。 □ 細かいこと.f(n+1) = 0(値が0の定数関数)ならf (x)n次以下の多項式である」ということの証明 に微積分の基本定理 b a g′(x)dx = g(b)− g(a) を使うのがしっくりこない人は次のように考えてください。(実質的には同じ内容です。) まず、 導関数が0である関数は定数関数のみ 5微分と違って積分は高校で学んだのとは全く別の定義をすることになります。(冬学期の最初に扱われる予定です。)し かし、もちろん積分について高校で学んだ内容はすべて正当化されます。そこで、ここでは積分については高校で学んだこ とをそのまま認めて使って行くことにします。

(12)

ということを思い出して下さい。念のため証明しておきましょう。g(x)g′= 0を満たす関数とします。す ると、平均値の定理 g(b)− g(a) = g′(c)(b− a)となるcが存在する において、g′(c) = 0ですので、g(b) = g(a)となります。これはxが違ってもg(x)の値は同じだというこ とを意味するのでg(x)は定数関数です。 これを使って「f(n+1)= 0であるf (x)n次以下の多項式である」を示しましょう。 f(n)(x)は一回微分すると0になってしまうので、上で示したように定数関数です。 f(n)= cn としましょう。(もちろん、cn = f(n)(a)aは定義域 I 内の任意の実数)ですが、見た目が汚くなるので f(n)(a)とは書かずにcnと書いたまま進めます。) f(n−1)(x)は微分して定数関数cnになる関数ということになります。そのような関数としてcnxというも のがあります。そこで、f(n−1)(x)c nxの違いを調べるために、f(n−1)(x)− cnxを微分してみましょう。 すると、 ( f(n−1)(x)− cnx ) = f(n)(x)− cn= cn− cn= 0 となって、f(n−1)(x)− c nxが定数関数であることがわかります。よって、その定数をcn−1とすれば、 f(n−1)(x) = cn−1+ cnx となります。 ということは、f(n−2)(x)は微分して1次関数cn−1+ cnxになる関数です。そのような関数としてcn−1x + cn 2x 2 という関数があります。f(n−2)(x)とそれの違いを調べるために差を微分してみましょう。すると、 ( f(n−2)(x)− ( cn−1x +cn 2x 2)) = f(n−1)(x)− (cn−1+ cnx) = (cn−1+ cnx)− (cn−1+ cnx) = 0 となって、これが定数関数であることがわかります。その値をcn−2とすれば、 f(n−2)(x) = cn−2+ cn−1x +cn 2x 2 となります。 この作業をn + 1回繰り返せば、 f (x) = c0+ c1x + c2 2x 2 +· · · +cn n!x n となることがわかります。★ 上の証明の後半で、f(n+1)= 0 となる関数が n 次以下の多項式であることがわかっただけでな く、それを x− a の多項式に整理したときの k 次の係数が f(k)(a) k! だということまでわかってしま いました。だから、与えられた値 ak を f(k)(a) の値に持つ多項式を得るには、(x− a)k の係数を ak k! とすればよいことがわかります。このことは大変重要ですので、もう一度はっきりと意識する ために重複をいとわず証明しましょう。ただし、余計な複雑さを避けるために a = 0 の場合で考 えます。上の証明も、ごちゃごちゃしてわかりにくいと感じたら、I が 0 を含むことにして a = 0 で書き直してみると、積分を繰り返すたびに一つずつ多項式の次数が上がって行く様子がよりよく 見えるかも知れません。   命題. n を自然数とし、a0, a1, . . . , an を n + 1 個の実数とする。n 次以下の多項式 pn(x) で p(k)n (0) = ak k = 0, 1, . . . , n を満たすものは pn(x) = a0+ a1x + a2 2 x 2+a3 3!x 3+· · · +an n!x n ただ一つである。  

(13)

証明. 求める多項式 pn(x) を pn(x) = c0+ c1x + c2x2+· · · + cnxn とおきましょう。要求されて いる条件は p(k)n (0) = ak k = 0, 1, . . . , n でした。これを k = 0 のときから順に考えていきましょう。p(0) = c0+ c10 +· · · + cn0n = c0 な ので、k = 0 のときの条件は c0= a0 と同値になります。また、p′(x) = c1+ 2c2x +· · · + ncnxn−1 なので k = 1 のときの条件は c1= a1 と同値になります。さらに、p′′(x) = 2c2+ 6c3x +· · · + n(n − 1)cnxn−2 なので、k = 2 のときの 条件は c2= a2 2 と同値になります。このように、n 以下の k に対して p(k)n (0) = k!ck なので、条件は ck= ak k! と同値になります。よって、条件を満たす多項式はただ一つだけあって、それは pn(x) = a0+ a1x + a2 2 x 2+· · · + an n!x n です。 □ 式が煩雑になるのを避けるために x = 0 での k 次微分係数が ak と一致することを要求しまし たが、もちろん x = a̸= 0 での k 次微分係数が ak と一致する多項式も同様にただ一つだけ具体 的に決まります。その場合は多項式を xk で整理せずに (x− a)k で整理しておけば完全に上の証 明と同じ計算ができ、答は pn(x) = a0+ a1(x− a) + a2 2 (x− a) 2+· · · + an n!(x− a) n となります。上で求めた多項式 pn(x) の x を x− a に取り替えただけのもの、つまり pn(x) を a だけ平行移動したものになるわけです。

3.2

結論

前節の結果をまとめると、多項式と微分との間には「標語的(気分的)」には次のような関係が あるということになるでしょう。   標語 2. 実数 a と 0 以上の整数 n を勝手にとり、x = a での値 a0、1 次微分係数 a1、2 次微 分係数 a2、…、n 次微分係数 an を任意に与えると、それを実現し「余計な情報」を含まな い関数がただ一つ存在し、それは多項式で表される。   a に限らないすべての点での n + 1 次以上の微分係数、すなわち n + 1 階以上の導関数がすべて 0 になっているということを「『余計な情報』を含まない」という言葉で表してみたわけです。多 項式は、

(14)

「x = a における高次微分係数の列 a0, a1, . . . , an」という目に見えない「無限小的」 な情報を普通の関数の形で目に見える「大域的な」情報に置き換えるのに最適な道具 だと言ってよいでしょう。

3.3

テイラー近似多項式の定義と例

多項式とは限らない普通の関数 f (x) が与えられたとき、前節の結果から、x = a での n 次まで の微分係数がすべて f(k)(a) と一致している n 次(以下の)多項式がただ一つだけ存在し、具体 的には pn(x) = f (a) + f′(a)(x− a) + f′′(a) 2 (x− a) 2+· · · + f(n)(a) n! (x− a) n (1) という多項式であることが分かります。そこで、   定義 3 (テイラー近似多項式の定義). 多項式 (1) を、点 a における f (x) の n 次のテイラー 近似多項式と呼ぶ。   と定義します6 テイラー近似多項式がどのような意味を持つ関数なのかを考える前に、具体例として指数関数 や三角関数の 0 におけるテイラー近似多項式の係数を調べておきましょう。調べるとは言っても n 回微分して x = 0 を代入し n! で割るだけです。これらの関数は、

(ex)′= ex (sin x)′ = cos x (cos x)′ =− sin x (log(1 + x))′= (1 + x)−1

など、任意の n に対する n 階導関数が簡単に計算できるので、テイラー近似多項式の係数は憶え るまでもなく必要なときにはすぐに計算できてしまいます。(それに、これから先いろいろなとこ ろでしょっちゅう出会うので、憶えようとしなくても憶えてしまいますから安心して下さい。)結 果は次の表のようになります。 0 次 1 次 2 次 3 次 4 次 5 次 6 次 7 次 . . . ex 1 1 1/2 1/3! 1/4! 1/5! 1/6! 1/7! · · · sin x 0 1 0 −1/3! 0 1/5! 0 −1/7! · · · cos x 1 0 −1/2 0 1/4! 0 −1/6! 0 · · · log(1 + x) 0 1 −1/2 1/3 −1/4 1/5 −1/6 1/7 · · ·

4

近似の意味

前節の結論である標語 2 の 多項式は目に見えない微分係数の情報を見えるようにする道具 という視点からすると、テイラー近似多項式 pn(x) は、x = a における f (x) の値、および 1 次か ら n 次までの微分係数という目に見えない「無限小的」な情報だけを目に見える形に具体化して くれているということになりなります。 6いろいろな呼び名があるようです。「このプリントではテイラー近似多項式と呼ぶことにする」というように理解して 下さい。ただし、そんなに標準からはずれた名前ではないので、普通は誰にでも通じると思います。なお、物理にでてくる 「n 次近似」はこのプリントの n 次のテイラー近似多項式のことです。

(15)

テイラー近似多項式 pn(x) はこれ以外に f (x) とどのような関係にあるのでしょうか。言葉を換 えていえば、テイラー近似多項式の「近似」の意味を、「x = a での n 次までの微分係数が f (x) の ものと一致する」という言い方ではなくもっと直接的に特徴づけることはできないのでしょうか。 できます。つまり、高次微分係数の値をあらわに使わずに、ある多項式が a における f (x) の n 次のテイラー近似多項式であるための必要十分条件を書くことができます。それは「テイラー近似 多項式における『近似の意味』」を明らかにする条件であると言うことができます。つまり、「x = a における n 次までの高次微分係数がすべて一致するというのは実はこういう意味だったのだ」と 言ってよい条件ということです。

4.1

テイラー近似の特徴付け

いきなり書きます。   定理 1 (テイラー近似多項式の意味). n 次以下の多項式 pn(x) に対し、 pn(x) は a における f (x) の n 次のテイラー近似多項式である。 すなわち p(k)n (a) = f(k)(a) が 0 以上 n 以下のすべての k について成り立つ。 すなわち pn(x) = f (a) + f′(a)(x− a) + f′′(a) 2 (x− a) 2+f′′′(a) 3! (x− a) 3+· · · + f(n)(a) n! (x− a) n であることと、 lim x→a f (x)− pn(x) (x− a)n = 0 (2) が成り立つことは同値である。   つまり、最後の式 (2) の成り立つことがテイラー近似多項式の特徴付けだというわけです。標語 的には、 pn(x) が a における f (x) の n 次のテイラー近似多項式であるとは、x→ a を考える とき、f (x)− pn(x) が (x− a)n に比べて無視できるほど小さい とか、 x→ a のとき f(x) − pn(x) は (x− a)n より速く 0 に収束する。 とか、 x→ a において f(x) − pn(x) は n 次より高次の無限小である などと言います。 証明は次の節にまわすことにして、もう少し「近似」という言葉の意味を考えてみましょう。 「近似」と言ってもいろいろな意味をつけることができます。ある関数 φ(x) が「関数 f (x) の 近似である」と言っても、「大域的な近似」という意味でなら、|f(x) − φ(x)| の最大値が十分小さ

(16)

いとか、あるいは、∫ab|f(x) − φ(x)|dx が小さいとかのほうが相応しいでしょう。しかし、ここで の近似は「局所的な近似」、もう少し詳しく言うと「x が a に近付くときの関数の振る舞いが似て いる」ことを「近似」と言っているのです。 微分の定義式 lim x→a f (x)− f(a) x− a = f (a) において、右辺を左辺に移項して通分すると、 lim x→a f (x)− f(a) − f′(a)(x− a) x− a = 0 となります。ということは、接線の式として皆さんもおなじみの pn(x) = f (a) + f′(a)(x− a) という 1 次(以下の)式は、 x→ a のとき、f(x) と pn(x) の差が x− a に比べて無視できる という 1 次のテイラー近似多項式なのです。 1 次のテイラー多項式が接線の式だということを n 次のテイラー近似多項式に安直に当てはめ て、a における n 次のテイラー近似多項式とは y = f (x) のグラフと x = a のところで n 重に接する多項式だ と言い表してもよいようなものなのです。 4.1.1 ランダウの記号 前節で標語として「比べて無視できるほど小さい」とか「より速く 0 に収束する」とか「より高 次の無限小である」とかと表現した性質を手短に表すための記号が用意されています。ランダウの 記号というものです。(ランダウは人の名前です。)前節の「テイラー近似多項式の意味」から予 想されるように、「より高次の無限小」を表す記号があれば、テイラー近似多項式の性質について 議論するとき、書く量をかなり減らせそうです。そこで、この節でランダウの記号を導入しましょ う7   定義 4 (ランダウの記号). 関数 f (x) が 0 以上の整数 n に対して lim x→a f (x) (x− a)n = 0 を満たすとき、 f (x) = o((x− a)n) と書く。ただし (x− a)0= 1 と定義する。  

例えば、sin x = x + o(x) です。これは、「sin x− x = o(x)」というように o(x) を定義したので

はありません。ただ単に、

7ランダウの記号はここで定義するよりもっと広い意味を持たせて使うことも多く、また大文字の O を使って表す少し 違う意味のランダウの記号もあるのですが、ここでは以下の議論で必要な部分だけを導入します。

(17)

sin x− x を x で割って x → 0 とすると 0 に収束する。 という日本語の文章、あるいは lim x→0 sin x− x x = 0 という条件式を省略して書いているだけのものです。o(x) は具体的な関数を表しているのではな いということに注意してください。だから、例えば c̸= 0 のとき f (x) = o((x− a)n) =⇒ cf(x) = o((x − a)n) つまり co((x− a)n) = o((x− a)n) です。また、n < m のとき、 f (x) = o((x− a)m) =⇒ f(x) = o((x − a)n) なので、n≤ m のとき、

f (x) = o((x− a)n), g(x) = o((x− a)m) =⇒ f(x) + g(x) = o((x − a)n) すなわち、

n≤ m =⇒ o((x − a)n) + o((x− a)m) = o((x− a)n) が成り立ちます。積に関しては、

f (x) = o((x− a)n), g(x) = o((x− a)m) =⇒ f(x)g(x) = o((x − a)n+m) すなわち、

o((x− a)n)o((x− a)m) = o((x− a)n+m) が成り立ちます。このことから、実は o(x− a)n= o((x− a)n) となっていることが分かります。 しつこいようですが、o((x− a)n) が特定の関数を表しているのではないことにくれぐれも注意 して下さい。

4.2

証明

それでは「テイラー近似多項式の意味」(定理 1)を証明しましょう。ロピタルの定理を使いま す。証明はランダウの記号を使っても使わなくても(記号に過ぎないのですから当然)可能です が、ランダウの記号を使った方がスッキリ書けますので、使って証明しましょう。(そのために導 入したのですから。)そこで、「テイラー近似多項式の意味」をランダウの記号を使って書き直して おきましょう。

(18)

  定理 2 (テイラー近似多項式の意味(ランダウの記号バージョン)). pn(x) = f (a) + f′(a)(x− a) + f′′(a) 2 (x− a) 2+f′′′(a) 3! (x− a) 3+· · · + f(n)(a) n! (x− a) n であることと、 f (x)− pn(x) = o((x− a)n) (3) であることは同値である。   見た目の複雑さを避けるために、a = 0 の場合で証明します。 まず、pn(x) が 0 における f (x) の n 次のテイラー近似多項式ならば f (x)− pn(x) = o(xn) であることを証明しましょう。 極限を考えたい式の分子、分母とも lim x→0(f (x)− pn(x)) = f (0)− p(0) = 0 lim x→0x n= 0n = 0 となっているので、問題の極限はいわゆる「0 0 型」です。そこでロピタルの定理が使えるかも知れ ません。そのために分子と分母をそれぞれ微分して x→ 0 での極限を考えてみると、 lim x→0(f (x)− pn(x)) = lim x→0(f (x)− p(x)) = f(0)− p(0) = 0 lim x→0(x n)= lim x→0nx n−1= 0 となってまた「0 0 型」です。そこで、これに対してロピタルの定理が使えるかどうかを見るために もう一度分子分母をそれぞれ微分して x→ 0 での極限を考えてみると、 lim x→0(f (x)− p(x))= lim x→0(f ′′(x)− p′′(x)) = f′′(0)− p′′(0) = 0 lim x→0(nx n−1) = lim x→0n(n− 1)x n−2= 0 となってまた「0 0 型」です。これを n 回繰り返すと、 lim x→0 f(n)(x)− p(n) n (x) n! = f(n)(0)− p(n) n (0) n! = 0 という値の確定する極限にたどり着きます。結局、ロピタルの定理を n 回繰り返し使うことで、 0 = f (n)(0)− p(n) n (0) n! = limx→0 f(n)(x)− p(n)n (x) n! = limx→0 f(n−1)(x)− p(nn−1)(x) n!x · · · = lim x→0 f′′(x)− p′′(x) n(n− 1)xn−2 = limx→0 f′(x)− p′(x) nxn−1 = limx→0 f (x)− pn(x) xn となること、すなわち f (x)− pn(x) = o(xn) がわかりました。 □ 以上はランダウの記号が全然活躍しませんでしたね。次にやる逆の証明で活躍します。

(19)

細かいこと. ここではf (x)C∞級、つまり何回でも微分できるものとして証明しました。何回でも微分で きるということはf(n)(x)は微分可能です。ということはf(n)(x)は連続関数ですからlim x→0f (n) (x) = f(n)(0) が成り立ちます。このために、 lim x→0 f(n)(x)− p(n)n (x) n! = f(n)(0)− p(n)n (0) n! となってn階導関数のところまでロピタルの定理を使えました。しかし、実はf (x)の微分可能性の条件を n− 1回微分可能で、f(n−1)(x)x = 0においては微分可能 というところまでゆるめることができます。pn(x)は多項式なのでC∞ 級であり、 lim x→0 f(n−1)(x)− f(n−1)(0) x = f (n) (0) (微分の定義式です)と、条件f(n−1)(0) = p(nn−1)(0)とから、 lim x→0 f(n−1)(x)− p(nn−1)(x) n!x = 1 n!xlim→0 ( f(n−1)(x)− f(n−1)(0) x p(nn−1)(x)− p (n−1) n (0) x ) = 1 n! ( lim x→0 f(n−1)(x)− f(n−1)(0) x − limx→0 p(nn−1)(x)− p(nn−1)(0) x ) = 1 n!(f (n) (0)− p(n)n (0)) = 0 とすることにより、n回微分のところではロピタルの定理を使わずに0に収束することが示せるのです。他 の部分は上に書いた証明と同じです。★ 次に、n 次以下の多項式 qn(x) が f (x)− qn(x) = o(xn) を満たすなら、qn(x) は 0 における f (x) の n 次のテイラー近似多項式でなければならないことを 証明しましょう。 多項式 qn(x) を qn(x) = a0+ a1x +· · · + an−1xn−1+ anxn とおき、pn(x) を 0 における n 次のテイラー近似多項式、すなわち、 pn(x) = f (0) + f′(0)x + f′′(0) 2 +· · · + f(n)(0) n! としましょう。既に f (x)− pn(x) = o(xn) が示されているので、特に、n 以下の任意の k に対して f (x)− pn(x) = o(xk) が成り立ちます。(前節のランダウの記号の説明と性質を参照して下さい。) 今、 f (x)− qn(x) = o(xn) と仮定しているので、f (x)− pn(x) の場合と同様に、n 以下の任意の k に対して f (x)− qn(x) = o(xk)

(20)

が成り立ちます。よって、

qn(x)− pn(x) = (f (x)− pn(x)) + (f (x)− qn(x)) = o(xk)− o(xk) = o(xk)

が n 以下の任意の k に対して成り立つことが分かります。 まず、k = 0 のときにこの式を使うと、 0 = lim x→0(qn(x)− pn(x)) = qn(0)− pn(0) となり、 a0= f (0) であることがわかります。これで、 pn(x)− qn(x) = (f′(0)− a1)x + ( f′′(0) 2 − a2 ) x2+· · · + ( f(n)(0) n! − an ) xn となりました。その上で k = 1 の場合の極限の式を使うと、 0 = lim x→0 pn(x)− qn(x) x = f (0)− a 1 となるので、 a1= f′(0) がわかります。そして、 pn(x)− qn(x) = ( f′′(0) 2 − a2 ) x2+ ( f′′′(0) 3! − a3 ) x3+ ( f(n)(0) n! − an ) xn となります。その上で k = 2 の場合の極限の式を使うと、 0 = lim x→0 pn(x)− qn(x) x2 = f′′(0) 2 − a2 となるので、 a2= f′′(0) 2 となります。この作業を n 回繰り返すことにより、0 以上 n 以下のすべての k に対して ak= f(k)(0) k! が成り立つこと、つまり qn(x) が 0 における f (x) の n 次のテイラー近似多項式であることが示 せました。 □ 以上の証明から、特に、二つの n 次以下の多項式 p(x) と q(x) に対し、 p(x)− q(x) = o(xn)⇐⇒ p(x) = q(x) が証明されていることに注意して下さい。このことは、このあとしょっちゅう使います。

4.3

応用 : テイラー近似を利用した極限値の計算

テイラー近似多項式が x→ a のときの f(x) の振る舞いを近似しているということから、関数 の極限を求めるときに活躍してくれるだろうと予想できるでしょう。問題 1 でロピタルの定理を何 回も使って計算したのと同じ極限を、テイラー近似多項式を利用して計算し直すことで、そのこと を確認しましょう。

(21)

4.3.1 問題 2 の解答 すべて同じ方法で計算できますので、(1) だけ計算の根拠まで説明し、(2) 以降は計算過程だけ記 します。なお、o(xn) は定数倍しても o(xn) のままであることを考慮して、係数を簡単にしながら 計算しています。「ここは o(x3) じゃなくて 2o(x3) じゃないだろうか」などと疑問に思ってしまう ことがあるかと思いますが、そのときは o(xn) のこの性質を思い出してください。 (1) x→ 0 での極限を計算したいので、分子と分母の関数を 0 においてテイラー近似しましょう。 とはいえ、分母はそのままで 0 におけるテイラー近似多項式になっています。分母のテイラー近似 多項式の最低次数の項は 2 次なので、分子を 2 次までテイラー近似します。すると、 ex− 1 − x = ( 1 + x +x 2 2 + o(x 2) ) − 1 − x = x2 2 + o(x 2) となります。よって、 lim x→0 ex− 1 − x x2+ x3 = limx→0 x2 2 + o(x 2) x2+ x3 = limx→0 1 2+ o(x2) x2 1 + x = 1 2 + 0 1 + 0 = 1 2 と計算できます。 □ (2) tan x を微分していくと tan′x = 1 + tan2x

tan′′x =(1 + tan2x) = 2 tan x(1 + tan2x)

tan′′′x =(2 tan x(1 + tan2x))= 2(1 + tan2x)2+ 4 tan2x(1 + tan2x)

となりますので、 tan x = x + x 3 3 + o(x 3) となります。これを代入して極限をとると lim x→0 x− tan x x3 = limx→0 −x3 3 − o(x 3) x3 = 1 3 となります。 □ (3) x→ 1 の極限を考えるので、ex を 1 においてテイラー近似しましょう。 ex= e + e(x− 1) +e 2(x− 1) 2+ o((x− 1)2) です。これを代入すると、 2ex− ex2− e (x− 1)2 = 2(e + e(x− 1) +e 2(x− 1) 2+ o((x− 1)2))− e(1 + 2(x− 1) + (x − 1)2)− e (x− 1)2 = o((x− 1) 2) (x− 1)2 x→1 −−−→ 0 となります。 □ x→ 0 以外の場合でも適用できる方法であることを強調するために、わざと x のまま計算して みました。もちろん y = x− 1 と置き換えて y → 0 の極限として計算した方が見た目がすっきり します。実際、 2ex− ex2− e (x− 1)2 = e(2ey− (y + 1)2− 1) y2 = e{2(1 + y +12y2+ o(y2))− y2− 2y − 2} y2 = o(y 2) y2 y→0 −−−→ 0 となります。

(22)

(4) log(1 + x) を 2 回微分することにより log(1 + x) = x−x 2 2 + o(x 2) が分かります。よって lim x→0 ( 1 x(1 + x)− log(1 + x) x2 ) = lim x→0 ( 1 x− 1 1 + x 1 x+ 1 2 o(x2) x2 ) =1 2 となります。 □ (5) y = 1x と置き換えて y の関数として 0 のまわりで 1 次まで近似すると、 logx− a x + a = log 1− ay

1 + ay = log(1− ay) − log(1 + ay) = (−ay + o(y)) − (ay + o(y)) = −2ay + o(y) となります。よって、 lim x→∞x log x− a x + a= limy→0 ( −2a +o(y) y ) =−2a となります。 □ (6) sin2x を微分して行くと (

sin2x) = sin 2x (sin2x)′′= 2 cos 2x (sin2x)′′′=−4 sin 2x (sin2x)′′′′=−8 cos 2x となります。よって、 sin2x = x2−x 4 3 + o(x 4) ですので lim x→0 ( 1 sin2x− 1 x2 ) = lim x→0 x2− sin2x x2sin2x = limx→0 x4− o(x4) 3x4− x6+ x2o(x4) = 1 3 となります。 □ 問題 1 の解答で説明した「ロピタルの定理を繰り返し適用する方法」と実施的には同じことで す。しかし、ex のようにテイラー近似多項式が簡単に導けたり憶えてしまっていたりする関数が 相手の場合、このほうがずっと見通しよく計算できますし、なにより、x→ a のとき分子と分母の 関数の中でどのような次数の「無限小」たちが足しあわされているのか一遍に見渡しながら計算で きるので、確実性もあがると思います。このような計算において「ロピタルよりテイラーの方が好 き」と感じられるようになるまでテイラー近似多項式に慣れ親しんでもらえたら思います。

5

近似の一意性と微分

n 次以下の多項式 pn(x) が a における f (x) の n 次テイラー近似多項式であることと f (x)− pn(x) = o((x− a)n) が成り立つことは同値である、ということは、適当に持ってきた n 次以下の多項式 qn(x) がたま たまこの条件を満たしてしまったら、この qn(x) は qn(x) = f (a) + f′(a)(x− a) + f′′(a) 2 (x− a) 2+· · · +f (n)(a) n! (x− a) n でなければならないということを意味します。このことは、f (x) を直接微分せずに f(n)(a) を計 算する方法があるかも知れないということを示唆しています。

(23)

例えば、 1− xn+1= (1− x)(1 + x + x2+· · · + xn) という式の両辺を 1− x で割ると 1− xn+1 1− x = 1 + x + x 2+· · · + xn となります。適当に移項すると、これは 1 1− x − (1 + x + x 2+· · · + xn) = x n+1 1− x となります。この右辺を xn で割って x→ 0 の極限をとると lim x→0 xn+1 1−x xn = limx→0 x 1− x = 0 となりますので、もちろん左辺も xn で割って x→ 0 とすると 0 に収束します。つまり、 lim x→0 1 1−x − (1 + x + x 2+· · · + xn) xn = 0 が成り立っています。ということは、 1 + x + x2+· · · + xn という関数は 1 1−x の 0 における n 次のテイラー近似多項式です。この関数は x k の係数がすべて 1 ですので、 ( 1 1− x )(k) x=0 = k! である8ことが、 1 1−x を直接微分することなく示せたことになります。 この関数はあまりに簡単すぎて直接微分した方が早いくらいなので、ありがたみが実感できない かも知れませんが、問題 3 のようなものにこの発想が使えるとなると少しテイラー近似多項式を見 る目が変わって来るのではないでしょうか。ただし、問題 3 をこの方法で解くには、関数の積や合 成のテイラー近似多項式、すなわち高次微分係数を積や合成関数を直接微分することなく計算する 一般的な方法についてまず調べておく必要があります。とは言え、どちらも(特に合成の方は)記 号で目がくらむような見た目のゴチャゴチャした証明なので、まず問題 3 の解答(24 ページ)を 読んでから一般の場合の証明に戻る方がよいかも知れません。

5.1

積のテイラー近似多項式

積 f g を直接微分することなく、f と g のテイラー近似多項式から f g のテイラー近似多項式を 求めてみましょう。 pn(x), qn(x) をそれぞれ f (x), g(x) の a における n 次のテイラー近似多項式とします。つまり、 pn(x) = a0+ a1(x− a) + · · · + an(x− a)n ak= f(k)(a) k! qn(x) = b0+ b1(x− a) + · · · + bn(x− a)n bk= g(k)(a) k! 8f (x)|

(24)

とします。すると、pn(x) と qn(x) の積 pn(x)qn(x) を x− a の多項式として整理した多項式の n 次以下の項を集めてできる多項式、具体的には rn(x) := a0b0+ (a0b1+ a1b0)(x− a) + · · · + nk=0 akbn−k(x− a)n が積 f (x)g(x) の a における n 次のテイラー近似多項式になっています。 証明しましょう。 f (x)g(x)− rn(x) = (pn(x) + o(x− a)n)(qn(x) + o(x− a)n)− rn(x)

= pn(x)qn(x) + pn(x)o(x− a)n+ qn(x)o(x− a)n+ o(x− a)2n− rn(x)

ここで、pn(x)qn(x)− rn(x) が x− a の多項式として n + 1 次以上の項のみからなる多項式であ

ることから

pn(x)qn(x)− rn(x) = o(x− a)n

であり、また、

pn(x)o(x− a)n= o(x− a)n qn(x)o(x− a)n= o(x− a)n o(x− a)2n = o(x− a)n

であることから9

f (x)g(x)− rn(x) = o(x− a)n+ o(x− a)n+ o(x− a)n+ o(x− a)n= o(x− a)n

となります。これで示せました。 □ rn(x) の係数を具体的に見てやれば、積の高次微分公式が手に入ります。rn(x) の (x− a)k の係 数を pn(x)qn(x) のものと比較すると、 (f g)(k)(a) k! = kl=0 f(l)(a) l! gk−l(a) (k− l)! となっているので、両辺に k! を掛ければ、 (f g)(k)(a) = k! kl=0 f(l)(a) l! gk−l(a) (k− l)! = kl=0 k! l!(k− l)!f (l)(a)g(k−l)(a) = kl=0 ( k l ) f(l)(a)g(k−l)(a) となります10。これが積の高次微分の公式です。もちろん k = 1 のときは普通の積の微分公式に なっています。だから、これは積の微分公式のテイラー近似の視点からの別証明にもなっているわ けです。k =1, 2, 3, 4 を書いてみると

(f g)′(a) = f (a)g′(a) + f′(a)g(a)

(f g)′′(a) = f (a)g′′(a) + 2f′(a)g′(a) + f′′(a)g(a)

(f g)′′′(a) = f (a)g′′′(a) + 3f′(a)g′′(a) + 3f′′(a)g′(a) + f (a)g′′′(a)

(f g)′′′′(a) = f (a)g′′′′(a) + 4f′(a)g′′′(a) + 6f′′(a)g′′(a) + 4f′′′(a)g′(a) + f′′′′(a)g(a) となっています。 9これらの等式はすべて「左辺は右辺でもある」という意味であって、本当の等式ではありません。このあたりがランダ ウの記号のわかりにくいところでしょう。 10 ( k l ) は、ここでは組み合わせの数kClと同じです。

(25)

5.2

合成関数のテイラー近似多項式

f (a) = b とします。g(y) に y = f (x) を代入してできる合成関数 g◦ f(x) = g(f(x)) の a にお ける n 次のテイラー近似多項式は、 g(y) の b における n 次のテイラー近似多項式 qn(y) に f (x) の a における n 次のテ イラー近似多項式 pn(x) を代入してできる多項式 qn(pn(x)) を x− a について整理し たときの n 次以下の部分 であるということもテイラー近似多項式の一意性を使って、直接微分することなく証明できます。 証明しましょう。f (x) と g(y) のテイラー近似多項式をそれぞれ pn(x) = a0+ a1(x− a) + · · · + an(x− a)n qn(y) = b0+ b1(y− b) + · · · + bn(y− b)n とします。また、式変形を見やすくするために

R(y) = g(y)− qn(y)

とおきます。f (a) = b なので a0= b であることに注意してください。g(y) に y = f (x) を代入す ると、 g◦ f(x) = g(f(x)) = qn(f (x)− b) + R(f(x)) = b0+ b1(a1(x− a) + · · · + an(x− a)n+ o(x− a)n) + b2(a1(x− a) + · · · + an(x− a)n+ o(x− a)n)2+· · · + bn(a1(x− a) + · · · + an(x− a)n+ o(x− a)n)n+ R(f (x)) = b0+ a1b1(x− a) + (a2b1+ a12b2)(x− a)2+· · · + (a1bn+· · · + a1nbn)(x− a)n+ o(x− a)n+ R(f (x)) となります。(最後の式で o(x− a)n と書いた部分は「q n(pn(x)) を x− a の多項式と見たときの n + 1 次以上の部分」と「f (x)− pn(x) = o(x− a)n として o(x− a)n を含む部分」をまとめたも のです。また、(x− a)k の係数は a i たちと bj たちの式ですが、簡単に書き表せるような形はし ていません。n と k の公約数によって変わってきます。)最後の項は、 lim x→a R(f (x)) (x− a)n = limx→a R(f (x)) (f (x)− b)n (f (x)− b)n (x− a)n = ( lim y→b R(y) (y− b)n ) ( lim x→a f (x)− f(0) x− a )n = 0· f′(a)n= 0 を満たすので、やはり o(x− a)n です。 以上より、 rn(x) =「qn(pn(x)) を x− a の多項式として整理したときの n 次以下の部分」 と定義すると、

参照

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