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日本における野鳥の重金属汚染に関する疫学的研究

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Academic year: 2021

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Title

日本における野鳥の重金属汚染に関する疫学的研究( 内容の

要旨 )

Author(s)

望月, 眞理子

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 乙第084号

Issue Date

2004-03-15

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2328

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本(国)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 学 位 論 文 題 目 審 査 委.員 会 望 月 眞理子 (東京都) 博士(農学) 農博乙第84号 平成・16年3月15日 学位規則第4条第2項該当 日本における野鳥の重金属汚染に関する疫学的研究 主査 静岡大学 教 授 森 誠 副査 信州大学 教 授 小 副査 静岡大学 教 授 高 副査 岐阜大学 教 授 伊 珠 哲 憤 野 坂 藤 論 文 の の 要 旨 ▲本論文は、カモ類を指標として環境中の重金属汚染を推測する事が可能であるかを検討 したものである。環境指標とは、国際環境科挙用寄集によると<生物の種類や生活型など の現象によって無機的環境の状態を知る場合の生物あるいは現象>と定義されている。こ のような環境指標の生物として、水系汚染を検討した総鋭の中では、収集場所の状況を再 現するためにはその場所に定住しているものが望ましいことがあげられている。この現に よると、野生のカモ類の多くは渡り鳥として海外で繁殖を行い日本国内で越冬することか ら、環境の指標とすることができないと結論されてしまう。さらに、■野鳥を幕境指標とし

て用いた研究では、単なる平均値による此較に終始している報沓が多いのも事実である。

そこで本論文においては、カモ類の腎臓と肝臓中の重金属含量を求め、その分布を比較し た後、数種類の重金属を取り上げ、重金属含量?統計学的分布の状況、繁殖地や生息地の と汚染状況の関係を検討した。 はじめに生物材料中の重金属分析に対する高周波誘導結合プラズマ発光分光分析の有用 性を検討し、分光干渉の種類と程度が元素によって大きく異なっていることを示した。し かし生物材料中に比較的多く存在するCa、Fe、K、晦、Na、P、S、SiおよびZnに起因する 干渉は少なかった。また分光干渉め確認は高周波誘導結合プラズマ発光分光分析の特性を 生かした多元索同時分析により分析対象外の元素を同時に観察することで可能であり、さ らに状況に合わせて希釈などを行うことで制御することが可能であると考えられた。4つ の標準試薬(TORT-2、紺8415、BCRNo185およびBCRNo186)を分析検討したところ、標 準試薬中のそれぞれの推奨値と分析催との間に有意な差はなかった。以上中経臭から、生 物試料中の多元素同時分析装置としての高周波誘導結合プラズマ発光分光分析の有用性が 示唆されたので、カモ類臓器中の重金属含量の検討に本装置を使用することとした。 そこでカモ目カモ科に属する野鳥におけるTl、Ⅴおよ側0汚染を検討した。最初にこれ らの元素の分布を調べ、その後野鳥の種類、繁殖地を含む棲息地および捕獲地などの分類

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-166-により、汚染状況の違いを観察した。その結果、腎臓と肝臓中におけるⅤ、Tlおよび肋含 量の分布において、平均値と大きな差が認められた個体が存在した。ユーラシア大陸で繁 殖を行うヒドリガモでは、腎臓と肝臓におけるTl含量間の強い相関が観察された。本邦の 留鳥であるカルガモでは、人間の居住地区に密接する場所で捕獲されたもので申み、腎臓 と肝臓におけるⅤ含量間で強い相関が観察された。これらの野鳥における当骸元素の臓器

中含章鱒、他に比べ高いものであった。カルガモではその肝臓においてⅤと3種類の元素(C

d、LiおよびTi)間でも高い相関が観察された。また、北米大陸で繁殖を行うオナガガモ とスズガモの肝臓でのみMoとCuの間に強い正の相関が得られた。これらのうち他と異なる

傾向を示した野鳥の棲息地または繁殖地は、当核元素による汚染め可能性が他の報告に募

り明らかな場所であった。以上のこ'とから、当該元素の臓器間での相関、一臓器内におけ る異なる元素間の相関は、平均値のみの比較を補助するものとして、汚染を把握する上で の指標になる可能性を持つことが示唆された。 そこでこの相関の意味について、野生動物、ヒトおよび実験動物での報告が数多いカド ミウム(Cd)を取り上げて詳細に検証した。既に報告されている野生動物における成績を 用いてCd標準回帰直線(CSRL)を作成したところ、この回帰直線は動物の種、棲息域およ び食性に左右されないものであったことから、この直線は対照とする動物が正常な代謝を おこなっているか否かを判定する指標となることが示された。さらにCS礼をイタイイタイ 病患者、各種実験動物の成練と比赦することで、この回帰直線を汚染の指標とすることの 有用性が確定された。カモ類におけるCd汚染の状況を観察した結果、より高い土壌中Cd含 量が報告されている地区で捕獲されたカモ類セは、CRSLから逸脱する便向にあった。これ

らの成績から、カモ類で得られた成績とCRSLの比較によづて、地域により異なる汚染の状

況を詳細に把握することが可能であることが示唆された。

このように本研究で検討した野鳥は、①希少種で無いものは多くの国々で一般に観察さ

れる種であり、多国間での比較が可能である、②採餌の方汝(表面採餌・潜水痍餌)や食

性(肉食・雑食・草食)の違いにより食物連鎖を考慮しての比較ができる、③棲息域から 淡水域に生息する淡水ガモと海ガモに分類でき、棲息域からの影響を考慮することができ る、④留鳥を含み異なるそれぞれの繁殖地を持つことから繁殖地の環境の状況を推測する ことができる、といった特徴を持つことから、これらを単独にあるいは組合せて検討する ことによって限定された区域での汚染の状況を知るだけでなく、棲息域における様々な汚 染状挽を知ることが可能であることが示された。本研究による薪知見は日本における野鳥 の重金属汚染を研究する上で非常に重要な基盤となると考えられる。 審 査 結 果 の 平成15年11月20日(木)に静岡大学農学部において審査委貞を含む関連教 官、学生の出席のもと、望月眞理子氏の博士論文公開発表会が行なわれ、・引き続き 質疑応答が行なわれた。

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種多様な元素とその化合物の利用は地球上に数々の公奮や環境汚染をもたらすこと になった。現在先進国では、エ業化に伴う環境悪化を防止するための規制や、下水 道の完備が進み、なによりも国民が環境閉居に大きな関心を持っていることが多い。 しかし、過去に環境に流出された重金属の間皆は、多くの場合解決されていない。モ また、発展途上国では実施体制の不備と人材・技術・経験・資金の不足から公害に 対しての対策が遅れがちである。また、過去においては環境汚染は特定埠域の問題 とされているのが常であったが、南極に棲息するペンギンの臓器で非常に高いカド ミウムが検出されるなど、人間の生活活動と無縁と考えられる場所やそこで棲息す る生物から高い濃度の重金属が検出され、一地域や国で発生した重金属汚染が地球 的な規模で広がる可能性が示唆されている。このような汚染物質のヒトへのリスク 評価および環境での動態を把握するために、野生生物を指標として利用することが 推奨されている。これは、汚染物質による影響が、世代交代がヒトより早くJ環境 に密接.して生活する野生動物では顕著に現れること、野生生物で得られた成練から ヒトにおけるリスク評価が可能なことによる。しかし、多くの指針において、植物 からと.▲トを含む哺乳類までの生態系すべてを研究の対象とすべきであると提唱され、 ているのにもかかわらず、生物指標としてその有用性が定着し報告が多いものは一 部の地衣類、海草類および貝類にすぎない。

以上のこ.とから、望月眞理子氏は本邦で観察されるカモ類を材料とし、これらの

野鳥が重金属汚染の指標となりうるかを検討した。、一般に共存元素が複雑な生物材一 料中の元素分析を行う場合には、原子吸光法が採用されてきた。この装直は共存元 素による影響が少ない反面、一回に一元素のみの分析が可能である。これに対して、 高周波誘導結合プラズマ発光分光分析は、多元素中岡時分析が可能である。このた め本装置は、複合的な元素汚染を括らえるのに有効であると考えられるが、生物材

料を対象とした使用例は原子吸光法に比較しては早かに少ない。その要因のひとつ

は、高周波誘導結合プラズァ鱒半分光分析は分光干渉が大きく、複雑なマトリック」ノ

スを持つ生物材料の分析に支障をきたすことがあるからである。そこで、本研究で

は生物材料中の元素分析に対する高周波誘導琴合プラズマ発光分光分析の精度を観

察した後に、野鳥における各種元素の汚染状況を観察した。次に、工業的に有用で その使用量も増加しているが野生動物での報告が極端i羊少ないバナジウム、タリウ ムおよびモリブテンをとりあげ、野鳥の棲息地、繁殖地などの疫学的な観長を用い

て汚染状況の差を検討レた。疫学的なアブロ「チ申みで鱒染を考察する手法時、鱒

照群を設定することが困難であり、またメカニズムの説明抜きで厚因と結呆の強い

結びつきを示唆する場合が奉ることから、通常の科学甲観点カナらは批判される場合

もある。・,そこで、望月眞理子氏はカドミウム.を取り上げ、野生動物、イタイイタイ

病患者を含むと卜串皐び各席実験動物の成績を総合的に埠証することで薪た寧指標

を作成し、∴カ亨類におけるカドミウム汚染の状況を観察したふ

本研究で得ら叫坤皐時日本に料ナる野皐甲重金属汚鄭土→いて重要な知見を含宣

む内容であり、二層李貴会貞一襲で本論文が岐阜大学大学院連合農学彿罪科の学位論

文として充分価値のあるものと罷めた。・

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-168-学位論文の基礎となる学術論文 1MAⅢEOMocmzum,FuKIKOUmA,SAKURASASA札RYOHoN∞(199?)Vanadium ∝血inationandtherelationbetwcenvanadiumandother.dementsinwiIdbirds. Ⅰ加vi代〉nmenhlPdludon,106:249∼251 2′MARⅨOMocI重ZUKI,RYOHoNDO,mCⅢKuMON,RⅢSASAEI,HIRONORIMATSUBA, FuKIKOUEDA(2α)2)Cadmium00ntaminationinwi)dbirdsisanindicatαd environmentalpdludomBIVirormentalMonitoringandAssessment,73:229∼235 3 MARⅨOMocH旺UⅢ,RYOHoNDO,FtJE]KOUEm(200?)SimdtaJ)eOuSaJ)aly$i$指r''1

mitiPethcavymetasincontaminatedbidlogical$am由es.BidqgicalTraceEIemeh・fこ・

Res¢a血,87:211∼223 既発表学術論文 1TOSHIROARAI,MARⅨOMocⅢZUm,YosⅢ00KI(1988)Change$Ofg]ycdydc enzymeaLCdvide$andplasmaihsulinlcvelsindiabedcheI蜘omusvdesandKXmice. Jpl.J.Vd.Sd.,50:859∼864 2 MARIKOM∝ⅢZUⅢ,FtTKLmU日払,TADASIⅡSANO,RYOiIoNDO(200qRela血ship betweenvan?dateinducedrelaxationandvanadiumcontentingulnCaPigtaqpiacdi・ .CanadianJournalPhysioIogyandPharmacdogy,78:339∼342 3 FLⅨIKOUⅢ)A,MIHOSuoAMATA,MIⅢAoTA,MARIKOMocⅢZⅧ,Ft)MTYA YAMADA,RYOHoNDO(200?)Swiftandd成niteserotypingforisolatedLideria 肋乃町中gg肘∫St戚ns・Mic鵬idqgicち25:165∼171 4 MARKOMocHZXJm,RHSASAIC[,YuKOYAMASHrrA,MAYUMIAKINAGA,NANA ANAN,SAKURASASAKI,RYOHoNDO,n皿UEDA(2(氾Z)恥di$tribud00d mdybdenuminthetissuesdwildducks・駄vironmentalMonitoring弧dAsse$Sment, 77:155∼161

参照

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