食品の基礎知識に衡する実態調査と教材開発
斜 ・ 領 域 教 育 専 攻
生活・健康系(家路コース
真 鍋 奈 月
1
.
研究の背景と目的
成長期の子どもたちにとって,健全な食生活
は健康な心身を育むために欠かせないもので
あると同時に,将来の食習慣の形成に大きな影
響を及ぼすものであり,極めて重要である。し
かし,近年は食生活の蓄ぽLも顕著になってきて
おり,子どもたちの食に関する問題の共通要因
として f食の基樹怜先識不足J,
r
食に対する
関心の薄れj等が考えられる。具体的には,普
段の食事で食べている身近な食品でさえ名前
が分からない,そしてそのことに不安や疑問を
抱かないこと等が挙げられる。
そこで,本研究ではこのような問題点を具体
化するため食品の基勝目識に関する実態調査
を行い,そして学校現場明j用可能な教材開発
を行うことを主目的とした。第一に実態調査に
おいては,食品の知識の鶴専と成長過程との関
連を調査するため,食生活の基繭拘段階である
小学生と大学生を対象とし,初等・中等教育の
影響を調査した。また,食品の知識の習得と食
生活との関連を調査するため,家庭での食事や
経験等に関する実態調査も合わせて行ったoこ
れらの結果から小学生と大学生の比較研究を
行い,今後の家庭科教育においてどのような食
教育が必要であるか考察する目的切子った。第
二にその結果と考察から,食教育の基礎段階を
担う小学校家庭科においての取り組みが重要
であると考え,食品の基礎知識が習得できる教
指導教員 西 川 静
材の開発と,その効果を検証するための授業実
践を目的とした。
Z 実態調査
本学附属小学校の 5年生, 1侶名(男子 50
名,女子 53名,平均年齢 10.7
。
歳
に対し, 2飾
年12月4日, 6日の二日間で実擁した。また,
本学の学部 1年生, 73名(男子 29名,女子 44
名,平均年齢18.9劇に対し, 2勝 年11月6
日に同様の調査を行った。また,実態調査は全
て質払噺法を用いた。
(1)食品の基礎知識に関する実態調査におい
て,食品の収穫時期を f句Jという表現を用い
て寵査するため,その言葉と意味の認知度を最
初に読査した。その結果,言葉の認知度は
98%
,
その意味の認知度は
84%
と全体的に高い正答
率であった。
(2)小学校家庭科の現行教科書に掲載されて
いる食品から,比隣句頻出度が高い野菜類,果
実類,キノコ類,魚介類,肉
-
g
陳 等 の
4
0
品
目を選出し,各食品の{名称j,
r
句J,
r
栽培・
収穫場所jおよび「栄養親扮類jの4項目を
調査した。その結果i各食品の f名称jの正答
率に関しては,ほとんどの野菜類,果実瓶キ
ノコ類および肉・
9
瀬 が
90%
以上であったが,
魚介類および一部の野菜類では
50%
未満の食
品があった。特に,
r
アジ
j
ω
、学生:
4
8
%
,大
学生:64%)や「サパJ(小学生:47%,大学
つ
J
U
つ
U
4
生 :56%)そしてfシュンギクJ(.小学生:11%,
大学生:38%) は,全体的に低い正答率であっ
た。次に,各食品の f匂
J
の正答率では,秋の
「サンマJや夏野菜の「スイカj等その執行を
代表する食品に関しては,小学生・大学生とも
に
9
0
%
以上であったが,特有によるぱらつきが
目立つ回答もあった。これは,加工技術や粉吾
技術の発達によって一年を通して目にし,
r
句J
が判別できない食品の出現の影響が調査結果
にも現れたものと考えられる。そして,各食品
の「栽培・収穫場所jの正答率は全榊旬こ高く,
回答のばらつきが少なかった。しかし,
r
ナスJ
や「トマトJのような果菜類を木の実と回答し,
野菜と果樹の判別を出来ない者が数多く存在
した。最後に,各食品の「栄養素白扮類jの正
答率は,他の3調査項目よりもさらに低下傾向
を示した。特に,小学生男子の正答率治、i低く,
果実類,魚介類および肉・卵類の持つ代謝句な
栄養素の理解が不十分である傾向を示す結果
となった。
(3) 日常の食生活の実態を調査するため,
r
食
事形態J,
r
自炊状況J,
r
食事の手伝い掬兄J,
r
食
材の買出し側兄Jおよび「食に陵ずる知識の獲
得方法Jの5項目を調査した。その結果,大学
生よりも小学往,そして男子よりも女子の方が
家庭での食生活に協力する傾向が明らかにな
った。特に,
r
食材の買出し状況Jにおいては
小学生
64%
が買出しに参加しているのに対し,
大学生の参加率は
3
4
%
と大きく下回った。この
ことから,小学生の方が食品と直議関わるよう
な実践約・体騨句舌動をより多く経験している
と考えられる。
以上の結果,日常の食生活の関与と食品の基
礎失煽哉の獲得は非常に関連がある傾向が明ら
かになった。特に,積極的に食生活に関与して
いる小学生は食品に関する輿味・関心が強く,
知識が非常に豊富であった。つまり,食生活の
基礎ができる学童期での食体験や学習が,今後
の成長過程において重要な役割を果たすと考
えられる。そこで,以上の実態調査を基に小学
生を対象とした教材を開発し,授業実践を行い,
さらにその毅燥を検討することにした。
3. 教材化およ割愛鯨践
小学校での家庭科教育の開始が小学校5年生
であることから,より早し時期から食教育に取
り組か〈きであると考え,今回はその小学校5
年生を対象基準とした学習内容や語句表現に
よる食品の基礎知識学習教材の開発を行った。
教材はホームページ作成ソフトを利用して作
成した学習ソフトであり,画像の提示や情報更
新が簡易であること等を利点とするマルチメ
ディア教材の特徴を生かしたものにした。
そして,この教材を使用した授業実践を本学
附属小学校の5年生 3学級に対して実施した。
その後の授業アンケートの結果から,現代の食
農帯離の現状を子どもたちが自分自身の問題
として理解できるようになったと考えられる
意見や,生きることと食べることの深い関係性,
自分たちの元に食品が届くまでに携わる者に
対する感謝の念まで感じ取れるようになった
等の意見があり,単なる食品に関する基勝目識
の取得ではとどまらない大きな効果がみられ
た。以上のようなことから,授業を通じて子ど
もたちの f食の基聯句な知識不足J,
r
食に対す
る関心の薄れJに対する改善の動機付けとなっ
たと考えられる。
このように,開発した食品の基礎知識学習教
材の利用効果は高く,今後の小学校家願牛キ総
合学習等,多くの場面での活用が期待される。
円
弓
U
つ
山
4