• 検索結果がありません。

病院における診療ガイドラインとは

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "病院における診療ガイドラインとは"

Copied!
41
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1

病院における

診療ガイドラインとは

財団法人

倉敷中央病院

総合診療科・医師教育研修部

福岡

敏雄

(2)

創立日:1923年6月2日 83床 創立者:大原孫三郎 創立日:1923年6月2日 83床 創立者:大原孫三郎

倉敷中央病院

倉敷中央病院

2

(3)

3

倉敷中央病院の概要

• 病床数: 1,135床(一般1,125床、第2種感染症10床) • 平均外来患者数 2,940人/日 • 平均入院患者数 1,116人/日(平均在院日数12.6日) • 救急センター受入患者数 68,711人/年 • 救急車受入数 6,967台/年(ドクターカー搬送含む) • 手術件数 11500件 分娩数 1032件 • 職員:(平成21年 4月) • 医師数: 408人 看護職員 約1200人 • (研修医:55人 後期研修医:約130人) 3

(4)

DPCから見た症例数と診断分類数

(平成20年度 7月~12月・全MDC)

(5)

アウトライン

• 臨床判断の枠組みとガイドライン

• ガイドラインと医療の標準化

• 医療の標準化と現場の判断

• 現場の判断を「支える」システム

5

(6)

臨床判断の枠組みとガイドライン

(7)

臨床経験 技術・腕前 研究からの根 拠・推論 患者・家族の願 い・価値観 社会的規範・法 利用可能な 資金・器材・ 人員

臨床判断の枠組み

(8)

臨床判断の4要素

• 根拠: 最も妥当な,結果の明白な,状況に当

てはまる

• 価値観: 患者の価値観・好み,社会の価値

観・価値基準

• 経験: 医療者側の専門職としての経験・技能

• 資源:利用可能な資金・人材・設備など

(9)

ガイドラインの要素

臨床経験 技術・腕前 研究からの根 拠・推論 患者・家族の願 い・価値観 社会的規範・法 利用可能な 資金・器材・ 人員

ガイドライン

ガイドライン

(10)

ガイドラインの要素

研究からの根 拠・推論

ガイドライン

ガイドライン

臨床で確かめられた根拠の収集 妥当性の高い情報の集大成 情報の妥当性に基づいた推奨 多くのオプションについて検討

(11)

ガイドラインの要素

臨床経験 技術・腕前

ガイドライン

ガイドライン

臨床の専門家の経験 患者の価値観の代弁 あらゆるオプションの想定 判断に重要な因子の検討 平均的技術・期待される技術の見積もり

(12)

ガイドラインの要素

患者・家族の願 い・価値観 社会的規範・法

ガイドライン

ガイドライン

患者・社会の価値観 ガイドライン設定段階での患者・住民参加 ガイドラインの共有・患者版の作成 個別の判断での反映・変更の余地 社会からガイドラインへのフィードバック

(13)

ガイドラインの要素

利用可能な 資金・器材・ 人員

ガイドライン

ガイドライン

あらゆる状況・現場の想定 ガイドラインの試行と手直し ガイドラインの共有 現場の事情の反映とその余地 現場からガイドラインへのフィードバック

(14)

臨床経験 技術・腕前 研究からの根 拠・推論 患者・家族の願 い・価値観 社会的規範・法 利用可能な 資金・器材・ 人員

ガイドラインの要素

ガイドライン

ガイドライン

(15)

ガイドラインと医療の標準化

(16)

標準化とは何か

中央大学 経営システム工学 中條武志

• 標準化の定義

– 標準を設定し,これを活用する組織的行為

– ここで言う“標準”とは「関係する人々の間で利益

又は利便が公正に得られるように,統一・単純化

を図る目的で定めた取決め」

16

(17)

標準化の対象:例

• 製品や部品の規格・性質:ネジの寸法、添加物の量など • 製品や機械、人材などの能力:証明具の照度、資格制度など • 物の配置や状態:アクセルの位置、レバーの方向、標識など • 仕事の手順・内容:工具の使い方、年次休暇の申請法など • 職務上の役割・決定権:出荷の判断の責任と権限など • 考え方や概念:品質に関する用語、略語など • 記号とその使用法:図表の様式、危険物のマークなど • 測定単位:重さや長さに関する単位、その物差し 17

(18)

標準化の役割

• 互換性:異なった場所で作られたものであっても、規格さえ チェックすれば利用可能である。 • 思考・情報伝達の省略:道の譲り合いと、交通信号を比較す ると、信号によって個人の自由はわずか制限されるが、全体 の効率は向上し、活動しやすくなる • 信頼性・安全性の確保:確認するポイント、守るべきルール が明確になると、トラブルは未然に防ぎやすい。単にルール で押さえ込むよりも、必然性も伴うほうが守りやすい。 • 改善の支援:発生した問題をシステムや個人の技術的な問 題として把握しやすくなり改善が容易になる。 18

(19)

医療の標準化

• 用語や指標、臨床スコアなどの標準化

• 検査や試薬、その正常値などの標準化

• 現場で用いられる、薬剤や医療機器の規格標準化

• 患者情報や電子カルテなどの標準化

• 疾患の診断基準や病期、重症度評価の標準化

• 身体診察手順や処置手順の標準化

• 検査計画、治療計画の標準化

• 現場での判断手順の標準化

19

(20)

医療における標準化の障害

標準化できないことがある

• 自分で作るネジは標準化できても、目の前

に現れる患者は標準化できない

• 標準化した手順を取っていても、まれな合併

症発生や頻度の少ない疾患の見落としなど、

特殊な状況に至る場合がしばしばある。

• 技術的に高度な「技」が要求される領域では、

標準化の対象となりにくい。

(21)

医療における標準化の障害

標準化が期待されず選択されにくいことがある

• 患者・家族・住民の価値観・好みは、必ずしも「標準的」では なく、「標準化」と合致するものばかりではない • 個別の結果が重視されれば、手順標準化の意義は小さくな る – 標準的ではない実験的な治療による良好な結果がもてはやされ、標 準的な治療による予測範囲内の好ましくない結果が厳しく責めらると、 現場は実験的な治療や「とりあえず良くなる」治療へと駆り立てられる • 意図・労力が重視されれば、手順標準化の意義は小さくなる – 何かしなければという誤った動機付けが、経過観察という標準手順を 選択しにくくする

(22)

それでも標準化:パラダイムの変化

• 従来のパラダイム

– 「よい医師の行う医療行為が、よい医療行為である」 • 医師主導、医師の裁量、医師のさじ加減、医師の自己規制・自主 管理、医師の主治医権

• 新しいパラダイム

– 「よい医療行為のできる医師が、よい医師である」 – さらに「医師の専門知識や技術は、よい医師であるための 一要素である」「飛び抜けて優れた医師でなくても、よい医 療が継続的に行われるシステムがよい医療システムであ る」 • 医師の能力・適性、医療行為の質とその向上、医師の説明責任、 インフォームドコンセント、患者中心、医師・医療機関の評価・認定

(23)

医療の標準化と現場の判断

バラツキにどう対応するか

(24)

医療における標準化の障害(再掲)

• 標準化できないことがある

– 自分で作るネジは標準化できても、目の前に現

れる患者は標準化できない

– 標準化した手順を取っていても、まれな合併症

発生や頻度の少ない疾患の見落としなど、特殊

な状況に至る場合がしばしばある。

– 技術的に高度な「技」が要求される領域では、標

準化の対象となりにくい。

(25)

バラツキはすべて許されないか

• 実際には、現場では患者の状態や状況、患

者・家族の願いや、法的・社会的要請、など

から、全く画一的な医療は行われていない

• ある種の状況では、バラツキを認めないけ

ればかえって現状に合わず混乱を招く場合

がある

• では、「許されるバラツキ」と「認めがたいバ

ラツキ」とを、どう区別すればよいのだろうか

(26)

標準化とは:画一化までは要求し

ていない。あそびのある「標準化」

(27)
(28)

適切なバラツキと標準化

• 医療行為を、単なる請け負い作業ではなく、

個別性・専門性の高い行為であると認める

なら、ある程度のバラツキを容認しなければ、

適切な判断は実現できない

• 認められたバラツキを、適切な判断につな

げるためには、適切な判断を実現しようとす

る専門職の行動規範・「文化」と関連付けら

れた「標準化」が必要になる

(29)

専門職文化を支える「標準化」

• 最新の知識・情報を反映した標準化

• やむを得ない事情・要因によって修正の余地を認

めた標準化

• 疑問点、問題点を指摘され反映される標準化

• 公正で、不合理な責めの根拠とならない標準化

• 専門家の学び、トレーニングと一体化した標準化

• チーム医療を支える標準化

• 自分の成長・向上や、役割を任されそれに答えら

れるための標準化

(30)

現場の判断と「支える」システム

(31)

臨床経験 技術・腕前 研究からの根 拠・推論 患者・家族の願 い・価値観 社会的規範・法 利用可能な 資金・器材・ 人員

臨床判断の枠組み(再掲)

(32)

32

臨床での判断

研究からの根拠

根拠のギャップ

(33)

6Sモデル:それぞれの例

33

Haynes RB: Of studies, syntheses, synopses, summaries and systems: the “5S” evolution of

(34)

6Sモデル:特徴と傾向

(35)

Evidenceの歴史

そして人間の…

35 BMJ 1998; 317: 1246-1248 BMJ 1998; 317: 1246-1248 情報は多すぎる。だからこそ、見極める目 が必要になっている 情報は多すぎる。だからこそ、見極める目 が必要になっている

(36)

現場の判断を支えるシステムと

ガイドライン

• 良質な情報源と利用法の提供・支援

– ガイドラインも現場での判断支援の一つのツールである

• 現場でのマニュアル・クリニカルパスへ作成での利用

• ガイドライン逸脱の場合には、チームで確認し、判断

に思い込みや見落としがないか確認する

思わぬ経

過を取った場合にもカンファレンスで検討する

– 多職種カンファレンス – 合併症発生例の事後カンファレンス(M&Mカンファレンス) 36

(37)

最後に

(38)

標準化とガイドライン

• 法的側面のまとめ

– ガイドライン制定に伴い「標準的医療」が明確に

なることで、それに従うことで法的な訴追を受け

る危険性は減る

– しかし、やむなくそれを遵守できなかったときに

はかえって危険性が高くなる懸念がある

(39)

医療過誤4900万円賠償命令

倉敷中央

病院に心臓治療で後遺症

地裁判決

2007年6月22日 読売新聞 • 心臓機能が低下する「心房細動」になり、心臓に電気ショッ クを与える治療で脳に血栓が詰まって脳こうそくになり、機能 障害が残ったとして、倉敷市の無職の男性(62)が、治療を 行った倉敷中央病院(倉敷市)を相手取り、慰謝料など約68 50万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、地裁で あった。広永伸行裁判長は「医師に過失があり、病院は使用 者責任に基づいて損害を賠償すべきだ」などとして、病院側 に約4900万円の支払いを命じた。 39

(40)

医療過誤4900万円賠償命令

倉敷中央

病院に心臓治療で後遺症

地裁判決

2007年6月22日 読売新聞 • 広永裁判長は、治療の前後、医師が血栓をできにくくする 薬を投与しなかったことに対して、日本循環器学会が定めた 治療のガイドライン(指針)を正当な理由なしに守っておらず、 過失があると認定。「出血の恐れがあり、別の薬を投与した」 などという病院側の主張も退けた。判決について、同病院の 内田璞(すなお)院長は「主張が認められず残念。判決文を よく読んで今後の対応を検討する」とのコメントを出した。 40

(41)

アウトライン

• 臨床判断の枠組みとガイドライン

– 根拠 価値観 経験 資源

• ガイドラインと医療の標準化

– 標準化は利点が大きいが、医療においては障害が多い

• 医療の標準化と現場の判断

– 現場でのバラツキの余地をどう認め制御するか

• 現場の判断を「支える」システム

– 情報利用 判断支援 振り返り

• 「医療過誤」の一例:ガイドラインの意味は大きい

41

参照

関連したドキュメント

および皮膚性状の変化がみられる患者においては,コ.. 動性クリーゼ補助診断に利用できると述べている。本 症 例 に お け る ChE/Alb 比 は 入 院 時 に 2.4 と 低 値

全国の緩和ケア病棟は200施設4000床に届こうとしており, がん診療連携拠点病院をはじめ多くの病院での

等に出資を行っているか? ・株式の保有については、公開株式については5%以上、未公開株

 工学の目的は社会における課題の解決で す。現代社会の課題は複雑化し、柔軟、再構

日本における社会的インパクト投資市場規模は、約718億円と推計された。2016年度の337億円か

ハンセン病は、1980年代に治療薬MDT(Multidrug Therapy;

社会学研究科は、社会学および社会心理学の先端的研究を推進するとともに、博士課

※1 Economically Viable Application of Best Available T echnology