76 た.第5型は,当初自己抗体陰性で,経過中陽性化し た潜行型非定型型で,症例数は4例であった. これらは,各々,経過,病態,治療効果においても 差がみられるように思われた. 48.自己免疫性肝炎の形態的特徴に関する検討 (国立横浜病院消化器科) 米満 春美・池田 郁雄・大守 智子・ 近藤 由美・小松 達司・進藤 仁・ 林 二二 当科で腹腔鏡・肝生検を行った自己免疫性肝炎23例 について検討した. 腹腔鏡所見では,溝状∼ロート状陥凹,粗大隆起∼粗 大結節が,また表面模様では赤色紋理,血管増生が二 丁的であった. 本疾患では,壊死が局在的に集中して起こるために, 肝生検レベルからはびまん性疾患というより局在性疾 患と考えるべきで,採取された部位により組織診断は 異ってくる.しかし,組織学的に大部分の症例で最も 共通していることは,肝細胞の癒合壊死の所見である. これはウイルス性肝炎ではまれなものであり,その範 囲が広い場合に,溝状陥凹や馬鈴署肝様といった特徴 的な変化を来すものと考えられた. 49.自己免疫性肝炎の治療の現況 (国立横浜病院消化器科) 池田 郁雄・米満 春美・大守 智子・ 近藤 由美・小松 達司・進藤 仁・ 林 直諒 今回我々は自己免疫性肝炎分科会の診断基準に従が い診断した26例につき臨床病理学的所見と治療効果に つき検討した. プレドニソロン,アザチオプリン投与群18例, SNMC使用群3例,自然経過群5例,このうちプレド ニソロン,アザチオプリン投与群につき検討した.有 効例についてみると急性発症および急性肝炎型,検査 所見ではトランスアミナーゼ値300単位以上のもの,組 織所見では肝硬変像を示さないものが治療によく反応 した.しかし,γグロブリン2.5g/d1以上, ANA 80倍 以上のものでも治療効果との相関はなく,HCV抗体 陽性は6例に認められたが治療効果とは相関しなかっ た. 以上から治療面での意義を考えると,自己免疫性肝 炎の診断はもっと厳格にすべきものと思われる. 50.総胆管に合併した重複癌の1例 (県門胃腸病院) 井上 雄志・武藤 博昭・・藤本 泰則・ 藤本 章・宮内倉之助・大越 英毅・ 羽生富士夫・竹内 茂男・渡辺 悟 症例は,74歳の男性.1990年7月から,全身倦怠感, 食欲不振,黄疸が出現した.腹部超音波検査,腹部CT スキャンにて閉塞性黄疸と診断し,PTC施行し,総胆 管に,2ヵ所陰影透りょう像を認めた.胆管癌あるい は胆管結石の診断にて,9月15日,全胃幽門輪温存膵 頭十二指腸切除術を行なった.中部胆管,総胆管末端 に,それぞれ直径約2.Ocm,0.5cmの隆起性病変を認 めた.組織学的には,ともに,高分化型乳頭状腺癌で あり,多発総胆管癌と診断した. 当センターにおける多発総胆管癌は,初めてであり, 非常に稀と考えたのでここに報告する. 51.胆嚢癌腹壁転移の1治験例 (谷津保健病院外科) 小林 秀規・御子柴幸男・糟谷 忍・ 平山 芳文・藤田 徹・李 栄泰 症例:48歳女性.主訴:腹部腫瘤.二二:膀上部手 術創を中心に,皮膚にひきつれを伴う13×10cm大の 皮下腫瘤を触知.既往歴:昭和59年7月,胆石・胆嚢 二二にて当院で胆嚢摘出術.血液検査:CA19・9が57.9 U/mlと軽度上昇以外異常値なし. CT:腹部正中に腹 壁全層にわたるhigh density nlassで,腹腔内臓器と の関連なし.部分試験切除病理組織で胆嚢原発を示唆 する転移性腺癌と診断され,腫瘍を含めた広範囲腹壁 切除を施行.胆嚢切除標本は再検索で深達度ssの中分 化型腺癌で,腹壁腫瘍も同様に中分化型腺癌であり, CEA染色でも両者とも同様に染色された. 以上,ss胆嚢癌術後5年,局所再発なく孤立性腹壁 転移を来し治癒切除しえた1例を経験したので報告し た,一方,広範囲な腹壁欠損の充填にはマーレックス メッシュを用い,術後8ヵ月を経た現在,日常生活に 全く支障を来していない. 52.エコーによる胆道鏡下胆石除去の選択 (浩生会スズキ病院) 滝本 彰夫・鈴木 浩之・木下 雅道・ 淀縄 武・後町 浩二 胆嚢結石症51例に,胆嚢除去をせず,胆嚢外寸,胆 道鏡,電気水圧衝撃波を用いて結石除去を行った. 胆嚢外回は第1法(PTGBD)と第2法(肋骨弓下胆 嚢外痩術,gall bladder pick up)の2方法で行った. 第7,8肋間エコー走査により,胆嚢と肝の位置関係
を1型,II型と分類した.
77 1型:臥位から立位で胆嚢下垂が小さく,肝胆嚢接面 が3cm以上ある.1型に対しては第1法(PTGBD)を 行う.II型:臥位から立位で下垂変化が大きく肝胆嚢 接面が3cm未満で胆嚢底部が肋骨弓下にある. II型に 対しては第2法を行う. 51例全て結石除去が行われた. 53.抗トリプシン剤腹腔内投与が著効を示した二二 腹水の1例 (谷津保健病院消化器内科) 新井 信・清水 京子・ 三橋 容子・藤野 信之 症例は49歳,大酒家の男性.意識昏迷で入院した. 血中膵酵素の上昇があり,また大量の腹水は血性で TP 3.4g/dl, amylase 20,3701U/1, lipase 57,8001U/ 1,CTでは嚢胞形成を伴う慢性膵炎像を認めた.以上 より,慢性膵炎の急性増悪に伴う二二腹水と診断した. 通常の急性膵炎治療に加え,腹水穿刺および抗トリプ シン剤腹腔内投与したところ,速やかに腹水中山酵素 活性は低下し,腹水も消失した.ERCPでは造影剤の 腹腔内への漏出は明らかではなかった. 本邦では稀な膵性腹水に対し,現在までに抗トリプ シン剤の腹腔内投与を施行した報告はなく,今後,増 加の予想される膵性腹水の新しい治療法を示唆する症 例と考えた. 54.当院における胆嚢癌切除症例の検討 (防府胃腸病院・防府消化器病センター) 吉田 勝俊・三浦 修・小形 滋彦・ 戸田 智博・南山 義一・長崎 進 1990年目での23年間に,当院で経験した胆嚢癌手術 例36例中,切除例は16例(44%),治癒切除例は11例 (30%)である.切除例16例のstageは, stage III, IV の高度進行例が56%を占めている.stage別術式では, 1985年までは進行度にかかわらず,単純胆摘を施行す ることが多かったが,1989年以降は高度進行例にも PD,肝床切除,他臓器合併切除といった.進展様式に 応じた拡大手術を施行するようになり,その結果, stage IIIに術後1年8ヵ月, stage lVに術後4ヵ月と
5ヵ月,それぞれ再発所見無く生存中の症例を認めて きており,遠隔成績の向上が期待できるようになった. 今回,我々は胆嚢癌切除例16例を検討するとともに, 拡大手術を施行し治癒切除なしえた興味ある2症例を 供覧する. 55.全二二二輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した 巨大膵嚢胞の1例 (東部地域病院外科,*同病理) 吉井 克己・重松 恭祐・森脇 稔・ 落合 匠・木下 祐宏・岡野 匡雄* 症例は44歳男性,黄疸を主訴に来院,超音波,CT検 査にて膵頭部に直径10cm大の巨大なi嚢胞を認めた. 嚢胞内には隆起や隔壁等の悪性を示唆する所見は認め られなかった.血管造影では動脈系,門脈系とも圧排 所見のみであった.ERCPでこの嚢胞は膵管の分枝と 交通しており,胆管はこの嚢胞により高度に圧排され 胆汁の流出障害を来していた.術中の膵液細胞診にて も悪性所見は認められず,膵嚢胞の診断にて全胃幽門 輪温存膵頭十二指腸切除術(PPPD)(胃膵胆配列)を 施行した.術後一過性の胃内容停滞を認めたが,順調 に経過退院し,食事量も術前と変わりなく現在完全に 社会復帰している. 膵嚢胞ならびにその術式について,文献的考察を加 え報告する. 56.膵管非癒合に対し全胃幽門輪温存膵頭十二指腸 切除術を施行した1症例について (筑波胃腸病院) 大橋 正樹・戸田 一寿・ 塚原 裕二・日高 真 17歳の女性である.他院にて胃炎の治療を受けてい たが嘔気,ロ区吐,腹痛,背部痛など軽快せず,さらに 体重減少(13kg)も出現し当院受診する. ERCP等に て膵管非癒合,膵炎と診断し以後6ヵ月にわたり内科 的治療を行うも症状改善せず手術に踏み切った.副乳 頭は非常に狭小で背側膵管の拡張も全くないため,全 胃幽門二二二三頭十二指腸切除術を施行した,膵管非 癒合の膵切除例の報告は少ない.組織標本では背側膵 管領域のみにmultiple cystic lesionを認めたが,膵組 織は飾rosis等は認められず腺細胞も良く保たれてい た.膵管非癒合における膵炎発生機序を考える上で興 味深いと思われる.なお,症例は術前に比し現在18kg の体重増加をみ食欲も旺盛である. 57.Tチューブに代わる総胆管ドレナージ法の工夫 (至誠会第二病院消化器外科) 新井 俊男・梁 英樹・鈴木 寧・ 清水