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<論文>企業間の協調的な競争関係 利用統計を見る

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著者

柿崎 洋一

著者別名

Kakizaki Yoichi

雑誌名

経営論集

49

ページ

205-224

発行年

1999-03-31

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00005599/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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経 営 論 集 第49 号 (1999 年3 月 )

企業 間 の協調 的な競 争関 係

柿 崎 洋 一

はじめに1. 協調関 係の基 本的 性格2. 協調関 係と競争 関 係(1) 戦略 グル ープと 協調関 係(2) 競争 企業と 協調関 係3. 協調的 な競争関 係 の性 格と形 態(1) 協調 的な競争 関 係の 基本的 な性 格(2) 生産 過程に 基づ く協 調的な 競争 関 係(3) 事業 の多様化 に 基づ く協調 的な 競争 関 係4. 協調的 な競争 関係 の経営 的な 意義 お わりに 205 は じ め に 企業 間の 協調 関 係 と は、 統一的 な指 揮 のも と完 全に 統 合(Integration) さ れた合 併 形態 とは ゆ か ない まで も 、企業 活動 のいろ いろ な面 でゆ るや かな 結 びつ きを長 期 的に 形成 す る協 働(Zusammen-arbeit ) 関 係 を い う。 こ れに は合弁 事業 (JointVentures )、 ラ イ セ ソ ス ーや フ ラ ソ チ ャ イ ズ契 約

(Lizenz づFranchising −Vertrage)、 納 入 や 下 請 け 契 約 (LangfristigeLiefervertrage/Sub-Unternehmerschaft)

、そ の他 のさ まざ まな契 約や 約 束 が含 ま れ る。企 業 間 の協 調 関 係は 目新 しい も ので ぱな い が、 そ の 性 格ぱ 変 わりつつ あ る。 競 争 関 係に あ る大 規 模企 業同 上 が協 調 する こ とに より、 経 営的 な 重 要性 を 一層 高 めつつ ある。 従 来の協 調 は、 あ る企 業 が直接 に 競争 す るこ とを望 まない 地 域で市 場 に 接近 す る な ど の受動 的な協 調 関係 の形 成 が多 か った。 協 調 関 係 の一 般 化 なら びに 競争 戦 略(competitivestrategy)へ の結合度 の 高 まりが 企業 に おけ る協 調関 係 の経 営的 な 理解 の必 要性 を 増 大 さ せた 犬 ここ で は、協 調関係 の一 形態、す なわ ち同 じ産業 内で 競合 す る企業 間 の協 調 関 係を と りあげ る。 企業 間に 形成 さ れ る 協調 関 係には、 一 般に 相手 主 体 が競 争企 業 の場 合 と非 競争 企 業 の場 合 とがあ る。競 争 企業 との協 調 関 係 はcollaborationと呼 ば れ、非 競 争企 業 と の協 調 関係 はcooperationと呼ぶ こと がで き る2)。 し かし 、collaborationとcooperationは 、 明 確に 区別 し て 使用 され て い る 訳 で は な く、 むし ろ 同義 に 用 い ら れる こと が多 く 見ら れ るの であ る。 した が って 、 ここ で はcollaborationとcooperation の区 分 よ りも、 競 争企 業 と の協調 関 係 とい う意 味 で、 協 調的 な競 争 関 係 (Kooperative

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Wettbewerbsbeziehungen,cooperativecompetition) と い う表 現を 用い るこ とに す る。 と くに 、競 争 企業 と の協調 関 係に は、 従 来、い わ ゆる カ ルテ ル(Kartell,cartel) が想 起 さ れる ので あ る。 し か し、 こ こで 取 り上げ る競争 企業 と の協調 関 係 は、 主に 企 業 が市 場競 争を排 除 す る とい う 目的 で 形 成 す る市 場 独 占形 態 の一 種と して の カル テル と は異 な り3)、 競 争す る ために 形成 さ れ る、 な い し 競 争 関 係 と の共存 とい った 性格を もつ の であ る。 た と えば 、一 部 の 部品を 共通 化 し、 生産 費 用 の削 滅 を 計 りつ つ も、 最 終 製品 では 競争 関係 にあ る よ うな場 合 で あ る。 また、 特定 の製 品 や 事業 分 野で は 合 弁 事業 を 形成 し な がら も、そ の他の製 品 ない し 事業 分 野 では 競争 関 係にあ る ような場 合 であ る。 この ような 協 調関 係 と競争 関 係の共 存は 、 い うまで も な く市場 経 済体制 のな かで営 利 目的 を 実現 す るた めに 形 成 さ れる ので ある。した がっ て、協調 的 な 競争 関 係 の形成 は、市場 経 済に おけ る競 争を 前提 と して 、 個別 企業 の競争力 を 強化 す るた めに 実 施 さ れ るも のであ る。 ただ し、 競 争 相手 と の協 調 関 係 の形 成 は、一 般的 に製 品、技 術、マ ー ケテ ィン グ、そ れに 経 営資 源な ど の側面 で ど の企業 より も競 争 相手 の ほ うが 自社 と同 じ ような も のを 持 って い る のであ る。 そ こで は、 自社 が弱体 化 し た り、 また仕 事 を 奪わ れ る可 能性 が存 在 す るので あ る。 し かし 、 重要 な利 益 機会を 犠 牲に す る よ うな こと がない の であ れ ば、 戦略 が類似 し てい るた め 共通 の課 題 や 認識 を得 やす い とい った 点 て競 争 相手 と の協調 関 係 が効 果を 発揮 す る こと が考え ら れ る ので あ る4)。 こ こで は、 個別 企 業 が 自 ら の競 争 力 を 強化 す る ため に 競争 企業 との 間に 形 成す る 協調 関 係形 態 を協 調 的 な競争 関 係 と 呼 び5)、 そ の 基 本 的 な性 格 と経 営 的 な意 義に つ いて 検討 す るこ とに し たい の であ る。 な お、 競争 者 間の 協調 関 係 とい う 意味 で競 争 的 な 協調 関 係(competitivecooperation) 、coopetiton(competitionpluscooperation)と い う表現6)も こ こでは 同義 に理 解 す るこ とに す る。 1. 協 調 関 係 の 基 本 的 性 格 企業 間 の協 調関 係は 、協 調 関 係の主 体で あ る企 業 の 視点 か ら 見る と、個 別企 業 間 の経 営資 源 の相 互 補完 、 資本 投 下に とも な う危 険 の分 散や 重 複投 資 の 回避 な どに よっ て、 企業 活 動に おけ る成果 可 能 性 の確保 また は新 た な発 展を 意 図し て形 成 さ れる の であ る。 とくに、 市 場 の グpi ー バ ル 化 (glo-balization )、急 速 な技 術 進歩 、そ して 急 激に 上昇 す る固定 費(一 般的 に は研 究開 発分 野)や 時 間要 因 の 高ま る企 業 活 動上 の 意義 な どの企 業環 境 の変 化 と 経営 資 源 の分 散化に 対 する 個別 企業 の経 営施 策 とし て 位置 づけ ら れる ので あ る≒ そし て 、企業 間 の協 調 関 係 は、基 本的に 自社 開発 、市場 取 引そ し て合 併や 買 収 に よっ て得 ら れな い利 益を 獲 得 でき る場 合に 採 用 さ れる ので ある。 企業 間 の 協 調関 係に よっ て企業 に もた ら さ れる利 益 と し ては 、 第1 に2 社の 活動 を1 社 に集中 す る ことに よる 規模 ま たは 習熟 の経 済効 果 を得 るこ とで あ る。 第2 の利 点 は、 あ る企 業 がす でに そ の 能 力 開発 に 費用 を かけ てい ると か、そ の 事業 活 動に お い て好 ま しい 市場 地 位を 確立 して い る とか、

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企業 間 の協調 的な競 争関係 207 優越 し た資 源を保 有し てい るな ど、 企 業 間に 非 対 称 が存 在す る事 業活 動を 遂行 す る知 識 や 能力 を 取 得 、 集 積、 販 売す るな ど の接近が で き るこ とで あ る。 そ し て、第3 に は、 どち ら の当 事者 も事業 の 危険 や費 用 を すべ て負 担す る わけ で はな い ので 、 危険 を 回避 す るた めの魅 力 のあ る 仕 組 みで あ る。 第4 の利 点 は 、自 社に 有利 な競争 関 係を形 成 で き るこ と であ る8)。もと より、こ れら の 協 調 関 係の利 点 は、 複合 的 に追 求さ れ化 り、獲 得 され る こ とが あ る。 ま た、当 事者 問で も協 調 関 係 に よっ て得 ら れる利 点 は異 なる こ とも考 えら れる が、 基本 的 に は当 事 者 間の合 意(Konsens ) が あ れ ば 形 成 さ れ るこ とに な る。 ただし、 当 事者間 の 合意 は、 企 業 の法 律 的、 経 済的 な独立 性 だけ で な く、 経 営的 な 意思 決定 に おけ る自立 性(Selbstandigkeit)')を 踏 まえ た も のであ る。 さ て、 協 調 関 係の基 本的 性 格は、 競争 企業 か非 競 争企 業 であ るかを 問 わず 、経 済 的 に も経 営的 に も 独立し た 自由企 業を 前提 とし て形 成 さ れる企 業 間 の関 係 で あ る 点 に 求 め ら れる の で あ る。 し た が って、 企業 間に 経 済的 な従 属関係 ( と くに資 本 所 有に 基 づ く主従 関 係) や 一方 的 な 経 営的 意 思決 定 の関 係 が存 在 する 場合 は、 協調関 係 では な く、 い わ ゆる 支配 ・従 属関 係 とみ る こ とが で き るの で あ る。 こ の意 味 で、企業 間の協調 関 係 は、 協 働関 係や 双務 的な 関 係と も よば れ、 参 加 企業 が 自由で 対 等 な 関 係に あ るとい うこと がで きる ので あ る。 た だし 、市 場 で の取 り引 き関 係 とは 異 な り一 時的 で一 回性 の も のでは なく、 活動を 共 有し 機 能的 な関 係 が形 成さ れ る のが協調 関 係 とみ る こ とが で き る のであ る。 同時 に、 協調 関 係は、 経 済的 に も経 営 的に も独立 し た自 由企業 を 前提 とし て形 成 さ れ る企業 間 の関 係 であ るこ とから 、当 然 の こと と し て解 消 の自 由を 内包し た弾 力 的な 関 係 で もあ る。 つ ま り、 協調 関 係 の当 事者 であ る企 業 に とっ て 、協 調 関 係の経 営的 な 有姶 良な いし 重 要 性 が喪 失 し た場 合に は解 消 され るとい うことで あ る。 し た が って、 企 業 間の協 調 関 係は、 つ ねに 活 動を 共 有 し、 機能 的 な 関 係 と解消 の自 由を 内包し た弾 力 的 な 関 係 の均衡 に よって形 成さ れ る もの であ る10)。 さら に 、企 業 間 の協調 関係 には、 当 該 の協 調 領 域 内で 参加 企業 の利 害 が継 続的、 長 期 的 に 合致 す る とは 限ら な い とい う欠点 が ある。多 く の場 合 、変 化 す る企業 の 環境 条件 は、 当初 の相 互 補完 的 な い し友 好 的 な 関 係を対 立的 な 関係に 変 え てし ま うか もし れない のであ る。 も と より、 企 業 間 の協 調 関 係に ぱ、 図 表−1 の よ うに契 約に も とづ か な い 同調 行動 や ライ セ ン ス契 約 から合 弁 事 業 とい った よ り緊 密 な関 係まで 含めら れ るので あ る。 し か し、 企業 間 の協調 関 係がつ ね に活動 を 共 有 す る機 能 的な 関 係 と解 消 の自 由を 内包 した弾 力 的 な関 係 の 均衡 に よ って形 成 さ れる ものであ る点 を 考慮 すれ ば、 安 易 な経 営 施策 とし て理 解す るこ と は、 経 営 者 の責 任 とい う意 味 で避け なけ れ ぼな ら な い とい え るで あろ う。 他企 業 の経 営資 源 へ の依存 性が 高 まる こ とは 、 同 時に 企業 の経営 的 な自立 性 への 制約 を 高め るこ とに な る ので あ る。 した がっ て、企 業 間 の協 調 関 係 は自 社 の経営 的 な 自立性 を 維持 する ため に も、 自ら の競争 上 の中 核的 な 優位 性(advantage )(買 手 のた めに 創造 で きる 価値か ら生 まれ る) を 著し

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価格 き の 引 手 代 取 相 交 契 約 形 態 長期 的 供給 契 約 /下 ライセ ン 監 査 利 益 単 | 位 組織/ 機 能 戦 略 事 組織 図 表 −1 契 約 形 態 , 調 整 機 構 お よ び 統 制 手 段 ( 出 所 )Wildemann,Horst.,KoordinationvonUnternehmensnetwerken,in:ZeitschriftfurBetriebswirtschaft,67.Jg.H.4.,1997,S.421. く損 ね る よ うな関 係は避け なけ れ ば なら ない ので あ るU)。要 す るに、 企業 間 の協 調関 係 は、 そ れ ぞ れ の経営 的 な 自立 性を 守る よ うに 、 さら に 進 んで 高 める よ うに形成 さ れなけ れ ばな ら ない のであ る。 こ の よう な協調 関 係と経 営 的 な自 立性 とい う逆 説 的 な関 係は 、 パ ート ナ ーが競 争 企業 であ る 協調 的 な 競争 関 係におい て より顕 在化 す る ので あ る。 こ の 意味で 協調 的な 競争 関 係は 、 企業 間 の協調 関 係 が 有す る 逆 説的な 性 格 とい う基 本 問題 を 明 確に す る もの といえ るで あろ う。 2. 協 調 関 係 と 競 争 関 係 協 調 と競 争 は長い 間、 アン チ テ ーゼ (antithesis) とし て理 解さ れて き た。 し か し 、 急 速 に 拡 大 し 、変 化 す る競 争 環境 の変 化 は、 企 業 の競 争 上 の優 位性 を短 い期 間に 喪失 さ せ る こ とが みら れる よ うに な った 。言 うまで もな く、 個別 企業 が 単 独 でそ の優 位性を 維 持し、 発 展 さ せる に は 自ら の努 力 に よっ て経 営資 源 の開発 と蓄 積 を 必要 とす る ので あ る。 しか し、 経営資 源 の分 散 化 と 高度 化 の急 速 な 進展 は 、 ます ます 企業 が 単独 で の経 営資 源 の開 発 と蓄 積を 困難に し てい る の であ る。 もはや 、急 速 な競 争 環境 の変 化 が企業 単 独 で の経 営資 源 の 開 発 と蓄 積を 凌 駕しつ つ あ る場 合 には 、 自 ずか ら企 業 は 他 の 企業 な どと協 調 して変 化 へ の先取 りや対 応を 思考 す るこ とにな る ので あ る。

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企 業 間 の 協 調的 な 競 争 関 係 209 (1) 戦 略グ ループ と 協調 関 係 競 争 と 企業 の関 係は 、こ れ まで主 に特 定 の産 業 分野(Branche) に 焦点を 当 てて 展 開 す る産 業組 織 論的 な 理解 に 従っ て考察 さ れ て きた ので あ る。 そ こ では 、特定 の産業 分野 内 にお け る集 中 と分 散を 企 業 の 相対 的な地 位 に着 目し て検討 し て きた ので ある。 し かし 、特 定 の産 業 分 野 内 の競 争 は、同一 で は ない のである 。つ ま り、各企 業 が、特定 の産業 分野 内に幾 つ か の戦略 的 グル ープ(strategischeGruppen) を 形 成し てい る のであ る。 さて 、 ここに 戦略 グル ープ とは 、 同一 ない し 類似 の戦 略 パタ ーンに よっ て形 成 さ れ る のであ る。 具 体的 には 、専 門度( 製 品、顧 客層 、販売 地域を 限定 し てい る 程度)、ブ ラン ド指 向 度 、品質 、技 術の リ ーダ ーシップ 、 コスト 面 で の地 位、 サ ービ ス提 供度 や 価格政 策 な どに よ って グ ル ープ 化 する こと がで き るの であ る12)。た とえ ば、図表 −2 の よ うに 製品 収益( 価 格)と製 品費 用 の 構 造に よっ て グル ー プ化 す るこ ともで き るの であ る。 そ し て、 産業 政策 的 な 視点か らは 戦略 グル ープ が 消 滅 し、 特定 の 企業 に よって 独占 さ れる 状態 に注 視 す るこ とに な るの であ る。 しか し、 競 争関 係 と協 調 関 係の共存 は、 こ の よ うな産業 分 野 内に形 成 さ れ る戦略 グル ープ とい う現 象を踏 まえ て理 解 さ れ るこ と がある。 つ ま り、こ の よ うな 戦略 グル ープを 利 用 し た協調 関 係 の形 成 が行 わ れる こ とがあ る の であ る。 製 品 収 益 ︵ 価 格 ︶ 高 い 低 い 4. ロールス と イス ダイムラー ベンツBMW ス ルボA ゥディ

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3. \ 2. フォルクス 脱 水 ヮ  ̄ゲダ ィァット ☆ 東欧メーカー タプ ジョー

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ボルボ 高 い 低 い 製 品 費 用 図 表 −2 自 動 車 産 業 に お け る 構 造 変 化 の 戦 略 的 問 題 ( 出 所 )Albach,Horst,StrategischeAllianzen ,StrategischeGruppenundStrategischeFamilien,in:ZeitschriftfurBetribswirstsch αft,Heft.4 ,1992,S.663

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自動 車販売委 託な ど

ス ズ キ い す ゞ マ ツ ダ エ ンジ ン・自動車 供給 GM フ ォ ー ド 子 会 社 子 会 社 ア ウ デ ィ(独) 一 一 1 子 会社 フ ォ ル ク ス ワ ー ゲ ン(独) ロ ー ル ス ・ ロ イ ス (独 ) 一一 I1 § し : 犬 匹 匹 レ : 11 共同 開発。 生産委 託l^m ぷm 滝│ 。-■… …I I −III

「萌聶卜 竺 芦

出資 関係 一一一一一一--一 生 産・販 売 等 の 提 携 関 係

戸 匹

図 表 −3 自 動 車 産 業 の 協 調 関 係( 出 所) 朝 日 新 聞( 朝 刊) ,1999 年1 月14 日 ,13 版 を も と に ,Backhaus,Klaus/Piltz ,Klaus,StrategischeAUianze −eineneueFormKooperativenWettbewerbs?,in:SchmalenbachsZeitschrijt μrbetriebswirtschaftlicheForschung,Sonderheft27,1990,S.5.Ohmae,K.,MachtderTriade −DieneueFormdesweltweitenWettbewerbs,Wiesbaden ,1985,S.154f.BayerischeMotorenWerkeAktiengesellschaft,AnnualReport1994 お よ びVolkswagenAktiengesellschaftAnnualReport 詞94 も 参 照 し , 作 成 し た 。 同一 の戦略 グル ープ 間 の協 調関 係は 、戦 略 が類 似 し てい るた め 協調 関 係を 形 成 し 易い とさ れるが 相 互 補完的 な 協調 関 係 の形 成 に よ る効果 を 期待 で きない と さ れ る の で あ る。 他 方 の 異 な る 戦 略 グ ル ープ 間に 属 する 企業 間 の協調 関 係は、 異質 の戦 略 能力を 結 び 付け る こ とに よ る 相乗 効果 が 期待 さ

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企業間 の協調的な競 争関 係 211 れ る の で あ る 。 た だ し 、 異 質 の 戦 略 グ ル ープ に 属 す る 企 業 間 の 協 調 関 係 で は 、 同 一 の 戦 略 グ ル ー プ に 属 す る 協 調 関 係 よ り も、 何 ら か の 統 合力 が 必 要 で あ ろ う と さ れ る の で あ る13)。 こ の よ う な 戦 略 グ ル ープ に も と づ く 企 業 間 の 結 び つ き は 、 図 表 −3 の よ う に 展 開 さ れ る の で あ る 。 と り わ け 、BMW 社 が 展 開 し た ロ ―ル ス ・ ロ イ ス 社 やP ー バ ―・ グ ル ー プ の 企 業 買 収 活 動 、 ま た は フ ォル ク ス ワ ー ゲ ン 社 に よ るp ー ル ス ・ ロ イ ス 社 や ア ウ デ ィ 社 の 企 業 買 収 活 動 は 、 異 質 の 戦 略 グ ル ープ に 属 す る 企 業 間 の 結 合 で あ り 、 協 調 関 係 よ り も統 合 力 (Integrationsgrade ) の 強 い 関 係 と い え る の で あ る14)。 し か し 、 同 一 戦 略 グ ル ー プ 内 の 企 業 間 協 調 は 、 直 接 的 な 競 争 相 手 と の 協 調 関 係 で あ り 、 協 調 的 な 競 争 関 係 を 形 成 す る こ と に な る の で あ る。 こ の よ うに 産 業 部 門 の 競 争 は 、 ま ず 棲 分 に よ っ て 戦 略 グ ル ー プ が 形 成 さ れ る の で あ る 。 さ ら に 異 な る 戦 略 グ ル ー プ 間 で 協 調 関 係 が 形 成 さ れ 、 個 別 的 な 協 調 関 係 の 束 な い し グ ル ー プ へ と 拡 大 す る こ と に よ っ て 新 た な 協 調 関 係 グ ル ー プ に よ る 競 争 関 係 が 生 み 出 さ れ る の で あ る 。 こ こ で は 、 異 な る戦 略 グ ル ープ を 踏 ま え た 新 た な 協 調 関 係 グ ル ー プ に よる 競 争 関 係 が 生 み 出 さ れ る 場 合 も 競 争 と協 調 の 共 存 と 理 解 し て い る が 、 固 有 の 意 味 で の協 調 的 な 競 争 関 係 と は 位 置 づ け て い な い の で あ る 。 も と よ り、 協 調 関 係 は 、 経 済 的 に も 経 営 的 に も 独 立 し た 自 由 企 業 を 前 提 と し て 形 成 さ れ る も の で あ り 、 企 業 の買 収 や 合 併 と 異 な り 特 定 の産 業 分 野 内 の 企 業 数 を 減 少 さ せ る も の で は な い 。 ま た 、 協 調 関 係 グ ル ー プ 内 の 個 別 企 業 間 で 形 成 さ れ る 関 係 内 容 も一 様 で は な い の で あ る 。 た と え ば 、 生 産 活 動 、 研 究 開 発 活 動 、 そ し て 販 売 活 動 な ど多 様 で あ る。 こ の よ う に 協 調 関 係 グ ル ー プ に よ る 競 争 は 、 個 別 企 業 の 競 争 力 を 支 援 す る よ う に 形 成 さ れ る と と も に 、 よ り 多 様 な 競 争 形 態 へ と 移 行 す る 契 機 を な す も の で あ る 。 (2) 競 争企 業 と 協 調関 係 さ らに 、協 調 関 係 グル ープ の個 別企 業 がそ の他 の協 調関 係 グル ープ の個 別 企業 と 限定的 か つ部 分 的 な 協調 関 係を 形成 す る場 合 があ る。 そ して、 異 なる 協調 関 係 グル ープ に 属 す る個 別企業 間に おけ る部 分的 な協 調 関 係は 、 協 調関 係のな かに 、 さらに 協調 関 係を 織 り込 む 形 で形 成 し てい ると み るこ とが でき るの で あ る15)。つ ま り、競 争関 係 と協調 関 係 の重層 関 係 が形 成 さ れ るので あ る。そし て、こ こで の協調 的 な競 争 関 係 と は、異 な る協 調 関 係グ ル ープ 間 の同 一 戦略 グル ープ に属 する個別 企 業間 の部 分的 な協 調 関 係 、 ない し 競争企 業 間の 部分的 な 協調 関 係 と理 解さ れる ので あ る。 ただ し、 協調 関 係の形 成に よ る競 争関 係 として は、協 調 関係 グル ープ の形 成 に よる協 調 関 係グル ープ間 の競 争関 係 も含 まれ る ので あ る。 し か し、同 一戦 略 グル ープ 内 の企業 間 協 調は 、 直 接的 な競 争 相手 と の協調 関係 であ り、 固 有 の 意味 で の協 調的 な競 争関 係を 形成 す る こと に な るの であ る。 そ し て、同 じ 戦略 グル ープ 内で の 協調 関 係 は 、直接 的 な競争 関 係に あ る場 合で あ り、 戦 略 グ ル ープ 内 の競 争状 況を変

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化 さ せる こ とに な る のであ るい こ れに対 し て、 異 な る戦略 グル ープ に 属す る個 別企業 間 の協調 関 係 は、同 一 の産 業 部 門に 属 する が、 戦略 グル ープ が 異な る ため に直 接 的 な競争 関 係に ない と考え ら れ るので あ る。 し た が って、 協 調的 な競争 関 係は 、同 一 の戦 略 グル ープに 属す る 企業 間 の協 調関 係に お いて 典型 的 に 理 解 され るも のであ る。 こ のこ と は、 同時 に 異 なる 戦略 グル ープに 属す る 企業 間に 形 成さ れ る協 調 関 係 も競争 と 協調 の共存 とい う意味 で広 義 め協調 的 な競 争関 係 に含 ま れる ことに な るので あ る。 こ こ では 、主 に直 接的 な競 争関 係 にあ る 企業 間 の協 調 関 係に焦 点を 当て て、企 業 の競 争 戦略 と の密 接 な 関 係にお い て検討 し、 そ の経営 的 な 意義 を 明ら か にし たい の であ る。 も と より、 産業 分 野 内に 戦略 グル ープ が存 在し ない 場合 もあ り うる が、そ の場 合に は一つ の戦略 グル ープ と考 え るこ と がで き る であ ろ う。 3. 協 調 的 な 競 争 関 係 の 性 格 と 形 態(1) 協 調 的 な競 争 関 係の 基本的 性 格 協 調的 な 競争 関 係は、 個別 企業 が 自ら の競 争力 を 強化 す る ため に 競争企 業 と の間に 協 調関 係を 形 成す る こ とであ る 。 そし て、 こ の ような 競争 企業 ぱ 、一 般 的に 製 品、 技術 、 マ ーケテ ィン グ、そ れ に経営 資 源 な ど の側面 で ど の企業 より も自社 と類 似 して い る企 業 とい うこと がで きる の であ る。 し たが っ て、 相互 補 完 的な 効果 とい うよ りも、共 通 の課題 や 認識 に 基づ く協 調関 係の効 果に 着 目す る こ とに なる ので あ る。 企業 間関 係を 単に協 調 関 係と 競争 関 係 の何 れ か二者 択一 とし て 理 解す るこ と は必 ずし も企 業 間 関 係 の適切 な理 解 とは 必ずし も言い が たい ので あ る。 この 意味 では 、企 業 間の 協 調 関 係は より弾 力 的 で機能 的 な理 解を す べき であ る とい え る であ ろ う。協 調的 な 競争 関 係は、 競 争 を 回避 す る ので は な く、い か に競 争 する のか とい うこ とで あ る。 そ の基本 は 自社 の競 争 優位性を よ り強化 し、 そ の 強 みを 的 確に 理 解し てぱ じめ て成 功 する 戦略 で あ る。 協調 的 な競 争 関 係 は、部 分 的な 協調 関 係であ る。 全面 的 な協 調 関 係は、 競争 関 係を 失 うこ とであ り、 もはや 協 調 的 な競 争関 係では な くなる こ とを 意味 す る ので あ る。 しか し、 部 分的 な協 調関 係 で ぱ、 企 業活 動 の一 部分を 対 象 とす る協 調関 係 であ る こと から 、 企 業活 動 の構造 を 分析 する こ とが重 要 であ る。 企業 活動 の構造 は 、機能 的 な生 産過 程 の 構造を 基 盤 と しな がら 、事 業 の多 様化 や国 際化 に よる多 角 的 な 事業 構 造が 考 えら れる のであ る16)。 した が っ て、 こ こで は協 調的 な競 争 関 係 の 性 格 と形 態を つ ぎ の2 つ に 区分 し て検討 す るこ とに し たい 。1 つ は 、 生産 過程 に基 づ く部 分的 な協 調関 係 であ り、 い ま1 つ は多 角 的 な事業 構 造に 基づ く も ので あ る。 た だし、 こ れら の 視点 は、 さら に細 分化 さ れる こ と が考 えら れ る のであ る。 そし て、細 分化 が進 み 、 協調 する 部分 が きわ めて 限定 され 小規 模 であ る ほ ど、 競 争関 係は 維持 さ れる こ とに なる の であ る。

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企業 間の協調的 な競争関係 213 (2)生 産 過 程に 基づく 協 調的 な 競争 関 係 協 調的 な 競争 関 係は、 競 争を 制 限す る ため に利 用 さ れるべ き ではな い。 し た が っ て 、協 調的 な競 争 関 係は、 お 互 い の競争 状 況に 何ら の影 響 を 及ぼ さな い活 動に 対 象を 限定 す べ き で あ る とさ れる の で あ る。つ ま り、 自社 の競 争優位 性 を よ り強 化し 、そ の強 みを 的 確に 理 解し て は じ め て成 功す る戦 略 であ る こ とを 基本 とす る のが協 調 的 な競 争 関 係であ る。 物 流 の 共 同 化 図 表−4 価値連 鎖間 の 相互 関係の 例( 消費者 向け紙 製品 の場 合) ( 出所)Porter,MichaleE.,CompetitiveAdvantege,WithanewIntroduction,NewYork,TheFreePress,1998,p327. 土 岐坤 ・中辻 萬治 ・小野 寺武夫 (訳)『競争 優 位の 戦 略』 ダイ ヤ モ ンド社,1985年12月,389頁 。

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企 業A イ ン テ ル( 供 給 者) PCs マ イクロ・プ ロ セ ッサ ー 市場 で競争 図 表 −5 競 争 的 な 購 入 者 と 供 給 者 ( 出 所 )Dowling,MichaelundLechner,Christian,KooperativeWettbewerbsziehungen:TheoretischeAnsatzeundManagementstrategien,in:DieBetribswirtschaft,58 パ998,S.86 −102. 企 業A: シ ー メ ン ス 製 品A: 自動 車電 子 部品 家電製 品の 合 弁事 業 企業B : ボッ シュ 製 品A : 自動 車電 子部 品 図 表 −6 競 争 的 な パ ー ト ナ ー ( 出 所 )Dowling,MichaelundLechner,Christian ,α.a.O.,S.86-102. さて 、 この よ うな 協調 的 な 競争 関 係を 企業 の生産 過程 とい う視点 から 検討 す る なら ば 、企業 の生 産 過 程 に基 づい て 協調 す る 活 動 と競 争 する 活動を 明確に 区 分し、 さ ら にそ れ ぞ れ の競 争 優勢性を 強 化 す る方 向 に進 め なけ れ ば なら な い こ とに なる。 た だし 、生 産過 程 に 基づ く協 調 的な 競 争関 係は、 多 角的 な事業 構 造に 基 づ く 協調 的 な 競争 関 係に 比べ る と、 極めて 限 定的 で 調 整 過 程 の不安 定性 が高 い と 考え ら れる の であ る。 つ ま り、生 産 過 程は 、調 達、 製造 、販 売 とい った 基 本的 に 投 入 一産 出過 程 から 構 成 され 、 部分 的 な 協調 関 係 は 前後 の生産 過 程 と密接 に関 連 し てい る か ら であ る。 生産 過程 に 基づ く協調 関 係は 、 基本 的 に 図 表−4 の よ うな生産 活 動 の価値 連 鎖に 基 づい て理 解 さ れる ことに

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企業 間 の協調的 な競争関 係 215 な る。 生産 活 動はそ れぞ れ 異な った 経 済特 性を もつ も のであ り、企 業 の競 争 優位 性 の源 泉を 形 成す る も のであ る。 こ の ような生 産過 程に 基 づ く協 調 的 な競争 関 係とし て は、 図表 −5 、 図 表−6 の よ うな 部品 の供 給や 合弁 事業 な どの 協調 関 係 が考 え ら れる のであ る。 部品 の供 給 と 購 入を 協調 関 係に よっ て形 成し な がら も、そ の 部品を 用 い た製 品 につ い ては 、競 争関 係に あ る場 合 が あ る。 部 品 の供 給 企業 は 、安 定し た 収益 とそ の拡大 を 目的 とし て、 ま た購 入企業 は 内製化 す る こ と の費 用を 削減 す る こ とが で きるな らば 有利 な協調 関 係 と なる。 ただ し、 購 入企業 は、 特定 の 協調 関 係に よっ て調達 す る部 品以 外 に製 品 の競 争 優位性 を も って い る なら ば、 こ の ような協 調関 係 は競 争 優 位 性を 強 化す る ことに なる のであ る。 さら に、 自 動車 メイ カ ーにお け る部 品 の共通化 が 競 合自 動 車 メイ カ ーの間 で行 わ れて 収益 性 の改善 がな され てい ると の指 摘 があ る。 つ ま り、 より広 い部 品 取 引 ネ ット ワ ーク を 築 きな がら 、 同時に 企業 間 の協 調 関係を 構築 す る ことが 、 サプ ラ イ ヤ ー と 自 動 車 企 業 の双 方 に とっ て重 要 である と考 えら れ るの であ る17)。 そ こ で は、 部品 の共 通化 とい う購 買 政 策 に お け る 協調 関 係 の構築 に よる 合理化 を 進め る と同 時に 、 製 品市 場 で の競 争 優位 性を 維持 し、 高 め るた めに 何ら か の付 加的 な競 争 上 の製 品 価値を 生 み 出す こ と が重 要 とな るの であ る。 こ の意味 で は、 協 調 関係 の 構 築に よ り、 自社 の競争 優位 性を 高 め る競 争上 の付 加的 な価値 を 高 める活 動に 、 限 ら れ た 経営 資 源 を 効果 的 かつ 効 率的に 集 約す るこ と が で きる ので あ る。 それ は、 と りもな お さず 企 業 の 経営 的 な 自 立 性に つ い て の意識を 高 揚す ると と もに 、そ の ため の具 体的 な経営 施策 で もあ る 。 協 調的 な 競 争関 係 の構 築 は経 営的 な 自立性 の 確立を 促 進 し、 協 調 関 係の経 営的 役割 を 明示 する と い う意味 で も 決し て看 過 さ れて はな らない であろ う。 (3)事 業 の多 様化 に基 づ く協調 的 な競 争 関 係 つ いで 、企 業 の事業 構 造 の多 様 化 (多 角 化) に 基づ い て形 成 され る協調 的 な競 争 関 係ぱ、 特 定 の 事業 分野 で は協 調関 係を形 成 しな が ら も、 他 の事 業 分野 では 競争 関 係が存 在 して い る場 合 が考 えら れ る ので あ る18)。 こ の場 合 、競 争 と協 調 関 係 が2 つ の企業 間に 同 時に 存在 す る こと に な る ので あ る。 要 す るに、 個 別企業 の経営 者は 、 相手 企業 と協 調 しな が ら競争 し てい る ことに な る の で あ る。 この よ うな 協調 的 な競 争関 係は 、事業 構 造 の多 様 化 と 競争 条件 の急 速 な変 化 に よるも の で あ る。 ま ず、 事業 部制組 織 は、 図表 −7 の ように 個 別 の事業 分 野に よって協 調 関 係を形 成 す るこ と がで き る の であ る。 こ の ような協 調的 な 競 争関 係は、 競 争 関係 と協 調関 係を 分離 し、 よ り協 調 関 係 の対 象 を 限定 し、 相 互に 調整 す るため の努力 を よ り限定 す るとい う利 点 があ る。 し た が って 、 生産 過 程 に 基づ く協 調 的 な競争 関 係に 比較 し て、 よ り協 調 関係 を 形成 し易 い といえ るであ ろ う。 と くに 、協 調 関 係 の対 象 とな る事業 活 動 と競 争関 係の 対象 とな る事業 活 動 との間 に戦 略的 な 違 い や 市場 分野 が 異 な る な どの 事業 分野 間に 競争 上 の距 離 が長 い ほ ど協 調的 な 競争 関 係を形 成し 易 い と 考 えら れる の

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であ る。 とはいえ 、協 調 関 係 の対 象 とな る 事業 活動 が経 営的に 重 要度 が 高い 場 合 に は、 相 互 の利 害 対 立 や企 業 の経営 的 な自 立性 とい う点 で そ うで ない場 合 よ りも難 しい 課題 を 生 じ る と と もに形成 が 困 難 であ る と考え ら れる の であ る。 し た が って 、競争 関 係 と協 調 関 係を 分離 し 、 より協 調 関係 の対 象 を 限定 し、 相互 に調 整 す るた め の努 力を よ り限定す る とい う利 点が あ る とし て も、 自社 の競争 優 位 性を 維 持し 、高 める こ と が基 本 とな る ので あ る。 写真 フ イ ル ム 図 表 −7 事 業 単 位 に よ る 分 離 ( 出 所 )Dowling,MichaelundLechner,Christian.,a. α.O.,S.97. 写 真 フ ィ ル ム つい で、 企業 グル ープ を 前提 とし た協 調 的な 競 争関 係は、 事業 部制 組 織 に比 べて 競 争 関 係と協調 関 係の 分離 が より徹底 さ れ る形 態 とい うこ とが で きる。 こ の ような 企業 グル ープ を 前 提 とし た協調 的 な 競争 関 係に おい ては 、 さら に 企業 グル ープ の全体的 な 視点 から グル ープ の 競争 優 位性 を 維持し 、 高 め るこ と が必 要であ る、 そ こで は 、企 業 グル ープ の グル ープ経 営 の構 造 と性 格が 重 要 であ る。 極 め て 分権 的 な企業 グル ープ では 、 他 の グル ープ 企業 へ の影 響はそ れぞ れの 自立 性に もとづ いて 限定 さ れ るこ とに な る。 これ に対 し て、 集権 的 な場 合 は、協 調 関 係の内容 と形 態に よっ て は形 成が 困難 とな る場 合 が考え ら れる の であ る。 さら に、 企 業 の事業 構 造の多 様化 を 制 度的 に 展 開 し た別会 社、 つ ま り子 会社に よる企業 グ ル ープ の形 成 とい う方向 性を 考 えるな ら ば、 特定 の 子会 社 間で は協 調関 係が形 成 さ れてい る もの の、 他 の子 会 社 で は競 争関 係に あ るとい う場 合 が 考え ら れ る ので ある。 こ の場 合 に は、企 業 グル ープ 間 の関 係に おい て、 協調 関 係と競 争関 係 が共 存し て い る とい え る のであ る。 た とえ ば、A 企 業 グル ープ の一 員 で あ る子 会社(a ) がB 企 業 グル ープ の 子会 社 (b ) へ部品 を 供 給 し ながら 乱 最終 製 品を 販売 す る 販売 子 会社 では 競争 関 係にあ る とい った 場 合 であ る。 この ように 協調 的 な競争 関 係 では 、 企業 に おけ る事業 の多 榛 旨 と制度 化に よっ て、 協 調 関 係 と競争関 係

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企 業 間 の 協 調 的 な 競 争 関 係 の分離 を 促 進す る とい う形 態 が展 開 さ れ うるので あ る。 217 4 .協 調 的 な 競 争 関 係 の 経 営 的 な 意 義 協調 的 な競 争 関 係を 経営 的 な視点 から 捉え るなら ば 、 端 的に 経 営 の自 立性 とい う課題 に 収斂 する ことに な る ので あ る。 つ ま り、協 調 関 係と競 争関 係は 、 と もに 自 由企 業 観を 前提 とし、 さら に 経営 的 な 自立性 を そ の基 盤 とす る ものであ る。 経 営的 な 自立 性 のな い 企業 間 関 係は、一 体 とな った 組織 体 であ り階 層 的 な調 整 に よって規 定 され る のであ る。 同 時に 、 そ こで は市 場競 争 関 係で ぱ なく 、組 織的 な 調整 とい う 内部管 理 的な思 考に よって 展開 され る の であ る。 協 調的 な競 争 関 係は、 競 争上 の 優 位性を 構 築 す る 目的を もって主 体的 に形 成 され る とこ ろに 経 営的 な 特質 があ る の であ る。 こ の意 味 では 、協 調的 な 競 争 関係 は対外 活動 とし て 経営 の 自立 性を 基 盤 とし て形 成さ れ る点 が 看過 さ れて は なら ない の であ る。 し た がって 、経 営 の自立 性を 失 うよ うな 協調 的 な競 争関 係 の形 成 は、 経営 的 に避 け なけ れば な ら ない 。 と同時 に、 協調 的 な競争 関 係を 企 業 の対 外 活動 とし て理 解し、 競 争 関係 の焦 点つ まり競 争 優 位性 の 構築を 絶え ず 目的 として 経 営的 な 意 思決 定を 行 うこ と が求 めら れ る ので あ る。そ の中 心 課 題 は、 経営 的な 自立性 に あ る。 つ ま り、 競 争 関 係は、 企 業 の自立 性 を 具現 化し た も のであ り、 協 調 性 が 自立性を 制 約す る もの として 機 能す る こ とに は、 慎 重に対 処 し な くて はなら ない ので あ る。 同 じ産業 内で 競 合す る 企業 間の協 調関 係 では、 お 互 い の競 争 状況 に 何ら の影 響を 及 ぼさ ない 活動 に 対 象を 限定 す べ きで あ る とされ るの であ る。つ まり 、 自社 の 競争 優 位性を より強 化 し、 そ の強 み を 的 確に 理解 し て は じめ て成 功す る戦略 であ る こと が看 過 さ れ ては なら ない のであ る。 企業 間 の協 調 関 係は、 合 弁 事業 、 ラ イ センス契 約、 納 入契 約、 販売 契 約、 そ の他 さまざ まの契 約 が含 ま れ る。 この よ うな協 調 関 係の多 榛 胞は、企業 の経営 的な 自 立性 に 複 雑 な思 考を 取 り込 むこ とに な る。 なぜ な ら、 図表 −8 の よ うに 合弁 事業 は 、一 般に 当事 者 企業 以 外 の新 た な企 業 活動 の主 体を 形成 するこ とに な り、 合弁 事 業 そ の も のの経営 的な 自立 性 とい う課 題 を生 じさ せる から であ る 呪 もっ と も 、 合弁 事業が 協 調的 な 競争 関係に含 まれる 場 合には 、 合弁 事業 の経 営的 な 自立 性を 確 立す る こ とに よ り、 協 調関 係 と競 争 関 係を 分離 で きる とい う利 点を 当事 者 企業 が享受 で き るので あ る。 しか し 、合 弁 事業 は資 本 出資を 伴 う よ り緊密 で 固い協 調 関 係であ り、 他 の協 調 関 係に 比較し て 解 消に 伴 う費用 や 損失 が大 きい とい う点 で弾力性 に 乏しい とい え る の である 。そし て 、協 調 的な競 争 関 係で は、「い かに 協 調関 係を 形 成 す るか とい う」研一究に 偏 るこ と な く、 協調 関 係そ のも のの経営 的な 意義 や あ り 方に つい て も研 究を 進 める こ とが 不可 欠 であ る。

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次 元 統 制 の 対 象 合弁 合 弁事業 と パート ナ ー 統制 の形態 階層 的な 統制 と 所 有者的な 統制 信頼 の表示 権 限の委 譲と 合弁 事業 の自立 性 要 求 される 高い 信 任水 準 協調 形態 少数 資本 参加 パ ート ナ ー 所有 者的 な統制 出資 のな い協調 パ ート ナー 契 約 的 な 統 制 議 決 の 機 構 よ り も 契 約 的 な 弾 力 性 配 分 の 機 構 と し て ■・ 血■aj ●一4 ■■ 持 分 をmm す る 中 位 低 い 図表 −8 協調形 態 と 信頼, 統制 そ して信 任 ( 出所)Teng,Bing −sheng,BetweenTrustandControl:DevelopingConfidenceinPartnerCooperationinAlliances,in:AcademyofManagementReview,Vol.23,No.3,1998,p.469. さら に 、 協 調的 な競 争関 係 では、 業 界 の競 争構 造 分 析が 重要 で ある 。た とえ ば 、協 調 的な 競争 関 係とし て す でに 提示 し た図 表 −6 の ように 位 置づ け ら れた 場 合で も、 関 連する 業 界 の視 点か ら競 争 構 造 分析 が 図表 −9 の ように戦 略 グル ープ が形 成 さ れ る場 合 があ る20レ た とえ ば、 ボ ッ シ ュ社 が 自 動 車 の電 子部 品 事業 の相乗 効果 を めざし て 地上 通 信 関 連の 製品 生 産に 参入し た 場 合で あ る。 地上 通 信 事業 は シ ーメン ス社 の中核 的 な事業 分野 であ り、 ボッシ ュ社 と競合 す るこ とに なっ た。 さら に 、 シ ーメン ス社 は 、 ボ ッシ ュ社へ の報 復(Vergeltung ) とし て 自動 車 の電 子 部品 事業 を 自 社 の中核 的 な 事業 分 野 と位 置づけ 、 激し い 競争 が展 開 さ れる こ とに な っ た のであ る21)。つ ま り、 当 該 の 産 業 分 野を 分 析 す るだけ で な く、 競争 相手で あ る と同 時 に 協調 相手 で あ る企業 の競争 優位 性を 明確 にす る こ とが 必 要 であ る。 と くに 、当 該 の産 業 分 野 と接 近し て い る産 業 分野に つい て は、 協 調関 係 に よっ て生 み 出 さ れる成 果 が もたら す 新た な 事業 機会 と も関連 し て多 面的 に 分析 する こ とが 必要 で ある。 し たが っ て、 協調 的 な競 争 関 係では、 多 面的 な 視 点か ら 当 該 の産業 分 野におけ る競 争 構造を 分析 す る とと もに 、 企業 の 競争 優位 につ い て よ り緻 密 な 位 置づけ が必 要 であ る。 同時 に、 こ の よ うな企業 の競 争優 位を 明確 に する た めの多 面的 な 産業 分 野 の競 争 構 造分 析に よって、 新 たに 協調 的 な競 争 関 係を形 成 す る 可能 性 が発 掘さ れ、 促進 さ れ る とい うこと が で きる であろ う。

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企業 間の協 調的な 競争関 係 衛 星 通 信 製 品 シ ス テ ム ・DASA ・ANT 衛 星 通 信 サ ー ビ ス シ ス テ ム ・ ボッ シュテレ コ ム ・DASA ・DEBIS 支 配 的 企 業 ・ シーメンス ・ ボッ シュ ・SEL-Alcatel 地 上 通 信 製 品 シ ス テ ム 支 配 的 企 業 ド イツ・ブ ンデス ポスト テレ コム 地 上 通 信 ネットワーク・テレコミュニケーシヨン ← 川 上( 製 品 指 向) (サ ービ ス指 向)川 下→ 図 表 −9 ド イ ツ に お け る 電 話 通 信 シ ス テ ム の 戦 略 グ;l.ープ ( 出 所 )Gerybadze,Alexander,StrategicAlliancesandProcessRedesign,Berlin,WalterdeGruyter,1995,pp.217 −221. 219 ま た、 当 初 は同 一 の戦 略 グル ープ に 属す る場 合で も、 企 業 の競 争 優 位を よ り強化 す るこ とに より 異な る戦 略 グ ル ープ に属 す る企業 間 の協 調関 係に みら れる 相 互 補完 的 な効果 を 生 み出す こ とが 考え ら れる の であ る。 こ の意味 で は、 協調 的 な競 争関 係は、 そ れ ぞ れ の企業 の競 争 優位を 明 確 にし、 経 営資 源 の集 中 を 計 るこ とが経営的 な 意義 とし て理 解 さ れる の であ れ ば、 戦略 グル ープ 間 の 移動や 新 しい 戦略 グル ープ の形 成へ 向け た経営 施策 であ る と もい え るで あろ う。い ず れに せ よ、 協調的 な 競 争 関 係 の形 成 とそ の運営 は、 企業 の競 争優 位を 確立 し 、 自 社 の戦略 的 な方 向づけ を 明 確に す るた め の一つ の 試 み とし て 位置 づけ られ るこ とに なる の であ る。 お わ り に 協 調 関 係と 競 争 関 係の共 存 は、 企業 間 関 係とい う視点 だけ でな く 、 社会経 済 的に も過 度 の競 争に よる 生産 資 源 の浪 費 を 防 ぐとい う点 で一定 の役 割を 果 た す と考 え る こ とがで きる のであ る。 過 度 の 競 争に よっ て重 複 投資 や 過 剰設備 とい った 社会 経 済的 な 浪費 を 防 ぐ と ともに 、 限ら れた生 産資 源を 集 中的 に投 入 す る こ とに よる経済的 、 社会的 な 効用 も期 待 で きる ので あ る。 こ のこ とは、 企業 の競 争戦 略 が よ り適 切 に構 想 さ れ、実施 さ れる こ とに よっ て 社会 経 済的 な 効用 も 高め られ る とい うこ と

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であ る。 と くに 、 個別企業 の競争 優位 が 明確 に され 、重 要 な利 益 機会を 脅 かす のでなけ れば 競 争企 業 との協 調 関 係を 形 成す る こと が企 業活 動 の 合理 化 とい う点 で効 果的 な施 策 とな るで あろ う。 同時 に社 会経 済 的 な 効用 を高 め ることに もな ると いえ る であ ろ う。 企業 間 の協 調 関係 は、競 争優 位を 強化 す る ため の 選択 肢 の一 つ とみ なさ れて い る。 と くに、 協 調 関係は 企 業 活動 のあら ゆ る側面 で合 理化 す る ため に利 用 で き る。 しかし、 同 時 に協 調 関 係は 他企 業 との関 係 活 動に おけ る調整 能力 を も複雑 化 す るの であ る。 こ れは、 協調 関 係が 異な る動 機 を もつ 他 の独立 企業 と 連携 す ること から 派生 する ので あ る。 協 調 関 係の 費用 は幾つ かの理 由 から 協 調期 間 中 を通 じ て変 化す る。 調整 の 苦労 は各当 事者 企 業 が と もに 働 くこ とを 経験 し、そ し て、 信 頼 関係 が 生 ま れる につ れて 減 少す る。 同 様に 、協 調関 係が 、互 い に利 益 があ ること がわ か り、当 事 者 の一 方 が 勝手 に 進行 す る 可能 性 が減少 す るにつ れて 、 協 調上 の 費用 は 低下 す るだろ う。 し か しな がら 、 調整 費用 は、 一 方 ま たは 双方 の当 事者 が関 心や 目標を 高 め るに し た がって増 大 す る。一 方 の当 事 者 が協 調や 継 続的 な寄 与を通 じて得 ようとし た技 能 や 自社 組 織 内の地 位 を得、 他 方 が脱落 す る なら ば、 協 調 上 の費 用 は 大 きく なる だろ う22)。 信 頼度 が高 いほ ど緊 密 な 関 係、つ ま り競 争優 位に 与 え る 影 響 も 大 き くな る の であ る。 協調 的 な 競争 関 係ぱ 、現 象的 に は相手 企 業 と協 調 関 係を 結 びな がら 乱 競 争 関係 に あ ると い うこ とであ る。 こ の よ うな 企業 におけ る協調 関 係 と競 争関 係の 共存 は 現象的 な理 解 であ り、 企業 の経 営 とい う視点 から み る と異な った 理解 がな さ れ るこ とに な る。 とくに 協調 的な 競 争関 係 では 、 自社 の 競争 優 位、 つ ま り価 値 連鎖に おい て 最 も経 営的 に重 要 な 活動 の協調 関 係は、 あ ま りや るべ き では な い と考 え ら れて い るので あ る。 企 業 が当該 産 業 分野 に おい て 競 争優 位を 保持 し よ うとす る なら ば、 そ の活動 を 最 終 的に は 自分で マ ス タ ーし なけ れ ばな ら ない23)。 し たが って、 企業 に おけ る 競 争的 な 協 調 関 係 の運 営 は、 基本的 に 企業 活動 にお け る協 調 関 係 と競 争 関係を 分離 し て対 処す る こ とに なる。 し か も、 企 業 活動 の 構造 は、 機能 的な 生産 構 造 から 事業 別 の 構 造、 さらに 特定 の事業 を遂 行 す るた めの新 会 社 設 立、 他企 業 の買 収や 合併に よ って形 成 さ れ る企業 グル ープ構 造を 活用 す る な ど多 様 化 し てい るの で あ る。 この よ うな企業 活 動 の構 造的 な多 様 化 は、 協 調関 係 と競 争関 係を 分離 し て対処 す る経 営 的 な 基盤を 提 供す る もの であ ると い うこと が で きるで あ ろ う。 さらに 、 こ のこ とは 、協 調 的 な競 争 関 係を 単に 部 分的 な最 適化 とい う視点 か ら だけ で な く、 他 の生産 活動 、事 業 活動 そ して 他 の グ ル ープ 企 業 と の価 値連 鎖 のな かで全 体 と して 位 置づけ 、 自社 の競争 優 位を 明 確に す る必 要性を 高 める こ とで もあ る。 そ の ため には 、企 業 の経 営的 な 自 立性 を 基 盤とし た 協調 的な 競争 関 係 の形成 とい う構想 が 不 可欠 で ある とい え るであ ろ う。

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企業 間 の協調的な競争関 係 221

( 注 )1

)Schneider,DieterJ.G ・,じnternehmungszieleund じ'nternehniunsskooperation,Wiesbaden,1973,S.37

−51.Porter,M.E.andM.B.Fuller,CoalitionsandGlobalStrategy,in:Porter,MichaleE.,ed.,CompetitioninGlobalIndustries,Cambridge,HarverdBusinessSchoolPress,1986,pp.315 −316. 土 岐 坤 ・中 辻 萬 治 ・ 小 野 寺 武 夫 (訳 )『 グp ―バ ル 企 業 の 競 争 戦 略 』 ダ イ ヤ モ ン ド 社 ,1989 年2 月 ,289-290 頁 。Wildemann,Horst,KoordinationvonUnternehmensnetzwerken ,in:ZeitschriftfurBetribswirtschft,67.Jg.H.4,1997 ,S.421.2 )Kollaboration,Collaboration に は , と く に 敵 対 関 係 の あ る 相 手 と 協 力 関 係 を 結 ぶ と い っ た 意 味 で 用 い ら れ る こ と が あ る (『 新 英 和 大 辞 典 』 研 究 社 を 参 照 )。 こ こ で は ,KoUaboration,Collaboration もKooperation,Cooperation に 含 め て 理 解 し て い る。3

)Kartell,Cartel とKooperation,Cooperation の 違 い に つ い て は ,つ ぎ の 図 表 −10 の よ うにKartell,Cartel を 市

場 に お け る 競 争 相 手 が い な い 独 占 形 態 と 理 解 す る点 に 求 め ら れ る の で あ る(Gomes −Casseres,Benjamin,TheAllianceRevolution,Cambridge,HarvardUniversityPress,1996,pp.6 −10.)。 多 数 社 社M-4-iua >Oiwm ^ 1 社 カ ル テ ル 独 占 1社 協 調 グ ル ー プ 集 合 的 な 競 争 企 業 の 三 者 関 係 双務 的な 協調 募 占 少数 市 場 で の 競 争 者 数 完全 競争 多 数 図表 −10 集合的 な競争 の範 囲( 出所)Gomes −Casseres,Benjamin,TheAllianceRevolution,Cambridge,HarvardUniversityPress,1996,p.7. 4 )Lewis,JordanD.,PartnershipsforProfit,NewYork,TheFreePress,1990,pp.69 −71. 中 村 元− ・ 山 下 達 哉 (JSMS ア ラ イ ア ン ス 研 究 会 )( 訳 )『 ア ラ イ ア ン ス 戦 略 』 ダ イ ヤ モ ン ド 社 ,1993 年9 月 ,117-120 頁 。5 ) こ こ で の 協 調 的 な 競 争 関 係 と い う 表 現 は , つ ぎ の 文 献 に 基 づ い て 用 い て い る 。Dowling,MichaelundLechner,Christian,KooperativeWettbewerbsbeziehungen:Theoretische

(19)

AnsatzeundManagementstrategien,in:DieBetribswirtschaft,58,1998,S.86 −102.6 )Balling,Richard,Kooperation,FrankfurtamMain,PeterLang,2.,Aufl,1998.S.I9.Dowling,MichaelundLechner,Christian,a.a.O 。,S.86.7 )Hammes,Wolfgang,StrategischeAlUanzenalsstrategischenUnternehmens μhrung,DeutscherUniversitatsVerlge,Gabler,1994,S.2 −4.8)Porter,M.E.andM.B.Fuller,op.cit,pp.322 −325. 前 掲 訳 書 ,301-303 頁 。9) 経 営 的 な 自 立 性 に つ い て は , 経 営 的 な 意 思 決 定 の 機 能 的 な 自立 性 と 理 解 し て い る 。 な お , 法 律 的 な 独 立 性 は 法 人 格 (m 人 企 業 あ る い は 会 社 形 態 ) を 保 持 し て い る 点 に , ま た 経 済 的 な 自 立 性 は 資 本 所 有 に 基 づ い て 理 解 し て い る 。Thommen,Jean −Paul,ManagementorientierteBetriebswirtschaftslehre,BernundStuttgart,Haupt,1988,S.50.10

)Gahl ,Andreas,DieKonzeptionstrategischerAllianzen,Berlin,Dunker&Humblot,S.5 レ フO. そ こ で

は , 協 調 目 標 の 達 成 に 関 連 し て 機 能 性(Funktionalitat) が 理 解 さ れ , 機 会 主 義 的 な 行 動 ( 解 消 の 自 由 度 ) の 保 護 と い う 意 味 で 弾 力 性 (Flexbilitat) が 理 解 さ れ て い る の で あ る 。11

)Lewis,JordanD.,op,cit.,p.71. 前 掲 訳 書 ,120-121 頁 。Porter,M.E.andM.B.Fuller,op べit,p342.

前 掲 訳 書 ,325 頁 。12 )Porter,MichaleE ・,Competitivestrategy,TechniquesiorAnalyzingIndustriesandCompetitors(withanewintroduction).NewYork,TheFreePress,1998,p.129 −132. 土 岐 坤 ・ 中 辻 萬 治 ・ 服 部 照 夫 ( 訳 ) 『 競 争 の 戦 略 』 ダ イ ヤ モ ン ド 社 ,1982 年10 月 ,183 −186 頁 。Albach,Horst,StrategischeAUianzen,strategischeGruppenundStrategischeFamilien,in:ZeitschriftfiirBetribswirtschaft,Heft.4,1992,S.663 −670.13 ) 岡 本 康 雄 [ 国 際 的 戦 略 提 携 と は 何 か ⑤ ],『 や さ し い 経 済 教 室 』 日 本 経 済 新 聞 ,1993 年5 月26 日 ( 朝 刊 ),12 版 。14 ) な お ,BMW (BayerischeMotorenWerkeAktiengesellschaft ) 社 とVW(VolkswagenAktiengesells-chaft) 社 の 戦 略 グ ル ー プ を 活 用 し た 企 業 グ ル ー プ 活 動 に つ い て は ,BayerischeMotorenWerkeAktiengesellschaft,AnnualReport1994 私 参 照 し た 。 と く に ,BMW 社 はBMWRolls −RyceGmbH で 航

空 機 エ ン ジ ン (aeroengines) の 開 発 も し てい る 。 ま た ,BMW 社 とVW 社 に よ るRolls −Royce 社 へ の 企 業

買 収 活 動 に つ い て は , 生 産 部 門 をVW が 買 収 し た も の の , エ ン ジ ン 事 業 で 有 効 関 係 を 築 い て き たBMW 社 が 「Rolls−Royce 」 の 商 標 権 を 譲 渡 さ れ る こ と に な っ た ( 日 本 経 済 新 聞 ,1998 年7 月29 日 ( 朝 刊 ),12 版 ) と 報 じ ら れ て い る 。15 ) た と え ば , 自 動 車 メ ー カ ー の 協 調 関 係 ( 提 携 関 係 ) に つ い て は , 図 表 −11 の よ う に 協 調 関 係 グ ル ー プに 限 定 さ れ ず に 多 様 な 協 調 関 係 が 形 成 さ れ て い る。 た だ し , よ り緊 密 な 協 調 関 係 と い う 点 で は , や は り 協 調 関 係 グ ル ー プ が 形 成 さ れ て い る と 考 え ら れ る の で あ る 。 な お , 図表 −11 は ,1980 年 か ら1992 年 ま で の 協調 関 係 ( 提 携 関 係 ) を 示 し た も の で あ り , そ の 後 の 変 化 は 示 さ れ て い な い 。Hammes,Wolfgang,a.a.O.,S.325 −366.

(20)

企 業 間 の 協 調 的 な 競 争 関 係 § 皿 り八 で1I 卜4y 卜 ふy ト y 卜 1m 隋 ト H 為 政 恥 | ぺ 命 べy □ 尺 政1 □

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ム(aninput −outputsystem ), つ い で 階 層 的 な 投 入 一 産 出 シ ス テ ム(aninpu トoutputsystem ), そ し て

事 業 部 制 に よ る 投 入 一産 出 シ ス テ ム(aDivisionalizedinput-outputsystem )に 区 分 し て 生 成 史 的 に 検 討 し

て い る 。17

) 延 岡 健 太 郎 「第7 章 部 品 サ プ ラ イ ヤ ー の 顧 客 ネ ッ ト ワ ー ク 戦 略 」, 藤 岡 隆 宏 , 西 口 敏 宏 , 伊 藤 秀 史 編

『 リ ー デ ィ ン グ ス サ プ ラ イ ヤ ー ・ シ ス テ ム 』 有 斐 閣 ,1998 年1 月 ,182 頁 。18

)Dowling,MichaelundLechner,Christian.,a.a 。0.,S.96−97.19

)Teng,Bing −sheng ,BetweenTrustandControl:DevelopingConfidenceinPartnerCooperationinAlliances,in:Academy0/ManagementReview,Vol.23,No.3,1998,pp.49

ト512 ・20 )Gerybadze,Alexander,StrategicAlliancesandProcessRedesign,Berlin,WalterdeGruyter,1995,pp.217

−221.21

)Dowling,MichaelundLechner,Christian,a 。α.O.,S.95 −96.22

(21)

23)idid 。,pp.34ト342. 同 上 訳 書 、323-325 頁 。Lewis,JordanD ・,op,cit.,p.71. 前 掲 訳 書 、120-125 頁 。そ こ で は 、 競 争 関 係 と協 調 関 係 を 分け て 考 え る こ と が 、 競 争 相 手 企 業 と の 協 調 関 係 か 破 滅 的 な 対 立 に な ら な い 施 策 で あ る と し て い る 。(1999

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