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植物防疫に関する情報発信改善の取り組み―茨城県植物防疫シンポジウムを開催して―

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Academic year: 2021

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植物防疫に関する情報発信改善の取り組み―茨城県植物防疫シンポジウムを開催して― ― 61 ― 339 植物防疫に関する情報の伝達 病害虫防除所では,植物防疫法に基づいて調査を行 い,病害虫の発生による被害を最小限に抑えるために発 生予察情報を発表している。本県では,農業者のための 情報は,農業改良普及センターや全農等の関係機関,病 害虫防除員,農薬販売店を経由して提供している(図― 1)。また,「病害虫注意報」などの重要な情報はプレス リリースしている。さらに,農薬の適正使用を推進する ため,指導資料である「農作物病害虫・雑草防除指針」 の作成や,「果樹等病害虫参考防除例」の監修を行うほ か,農薬適正使用アドバイザーに最新の農薬情報をE メール配信するなど,農業者へ効果的に情報が伝わるよ うにしている。 しかし,情報を農業者や関係機関に伝える場合は,価 値ある情報を提供するのはもちろんのこと,情報の活用 方法を紹介するなど,さらに幅広い取り組みが必要と考 えた。 情報発信の取り組み 当所では,以前から情報を効果的に伝える取り組みと して,普及指導員研修をはじめ,農薬適正使用アドバイ ザーなどを対象とした各種講習会や研修会へ積極的に講 師を派遣してきた。平成22 年度には当所職員が 25 回の *現所属:茨城県県央農林事務所 経営・普及部門

茨城県病害虫防除所

植物防疫に関する情報発信改善の取り組み

―茨城県植物防疫シンポジウムを開催して―

岡部 克

*(おかべ かつ) 県庁 (エコ農業推進室) 関東農政局など 記者クラブ (警報,注意報発表時) 農業総合センター 農林事務所(普及センター) 市町村 病害虫防除員(全県81 名) 病害虫発生予察情報 全農茨城県本部 県農薬卸連絡協議会 (一社)県植物防疫協会 県農業共済連合会 (公社)県農林振興公社 農協 農業共済組合 たばこ耕作組合等 農薬販売店 農業大学校・農業高校 農業者 【インターネットなど】 【新聞など】 【普及情報など】 図−1  茨城県における発生予察情報の提供体制

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植 物 防 疫  第70 巻 第 5 号 (2016 年) ― 62 ― 340 講師を務め,計1,944人に情報を提供することができた。 しかし,このうち当所主催の研修会は病害虫防除員研修2 回のみで,植物防疫にかかる情報の活用方法につい て積極的に伝える機会は少なかった。 そこで,病害虫防除に関する指導者が発生予察情報な どを有効に活用できるよう,県関係機関を対象に平成 23 年度および 24 年度に「植物防疫に関する情報活用推 進会議」を企画した。会議では,「農作物病害虫・雑草 防除指針の有効な活用法」,「発生予察情報の読み方とポ イント」,「薬剤感受性検定結果に基づく防除への活用」 等について情報を提供した。 その結果,「業務に活用できるため継続して開催して ほしい」と高い評価があった一方,「一般的な発生予察 情報活用方法だけでなく,具体的な病害虫を取り上げた 防除方法などの情報にもニーズがある」ことや,参加者 はほとんどが普及指導員であったため「普及指導センタ ー以外の指導関係者に植物防疫をアピールできない」と いう課題が生じ,あらたな情報提供方法を検討すること になった。 なお,平成26 年に県内農業者および関係者 194 名を 対象に実施した発生予察事業に関するアンケートでは, 農業者や普及指導員および病害虫防除員の多くが発生予 察情報を見ているのに対して,市町村職員では,「活用 する場面がない」として約3 割が見ていないことが明ら かとなっている。これを改善するためにも,新たな取り 組みが必要であると考えた。 シンポジウムの開催 (一社)日本植物防疫協会や一部の県では,毎年植物 防疫に関する「シンポジウム」が開催されている。これ をヒントに,県関係機関だけでなく農業者や農薬関連業 者も含めて植物防疫にかかわる多くの人と情報を共有で きるよう,実際に活用してもらえる実践的情報を発信 し,広く伝達することを目的に,(一社)茨城県植物防 疫協会と共催で「茨城県植物防疫シンポジウム」を初め て企画した。なお,講演のテーマは,先に開催した会議 アンケート結果においてニーズの高かった内容を参考に し,農業者にも理解および活用できるよう「効果的な病 害虫防除のあり方を考える」とした。 平成28 年 1 月 15 日に開催したシンポジウムには,農 業者や農薬販売店,農薬メーカーならびに市町村を含め た指導機関から約100 名が参加した。講演は,最初に丸 和バイオケミカル(株)・技術士の川島和夫氏(図―2) に「展着剤を上手に使うための基礎と応用」と題して, 展着剤の種類と特性ならびにアジュバンドの応用と使用 上のポイントについてお話いただいた。続いて,奈良県 病害虫防除所所長の國本佳範氏(図―3)には,「イチゴ やキク等におけるハダニ防除のための薬液付着性向上」 と題して,薬剤感受性低下が大きい中で防除を成功させ るためのポイントについて様々な事例をもとにお話いた だいた。また,事例紹介では,「イチゴのハダニ類防除 における薬剤の効果的な使用方法の検討」,「ナシのハダ ニ類に対する薬剤感受性検定結果」について発表し,意 見交換した。 アンケートの結果から,参加者の多くが「新しい情報 をわかりやすく勉強でき,たいへん参考になった」と感 想を持ち,参加者の98%から「今後も開催を希望する」 と回答を得られ,シンポジウム開催の目的を達成するこ とができたと考えている。 今 後 の 方 向 当所では,多くの農業者にダイレクトに情報を伝える 手段としてホームページによる情報発信に取り組み,農 業者が価値ある情報として活用できるよう工夫してい 図−2  丸和バイオケミカル(株)・技術士 川島和夫氏 図−3  奈良県病害虫防除所所長 國本佳範氏

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植物防疫に関する情報発信改善の取り組み―茨城県植物防疫シンポジウムを開催して― ― 63 ― 341 る。掲載する発生予察情報には,毎月発表する「病害虫 発生予報」や迅速な防除を促す「病害虫速報」のほか, 主要害虫の適期防除のため毎週更新(冬季除く)する「フ ェロモントラップ・予察灯データ」などがある。さらに, 農業者自らが病害虫の診断ならびに防除対策ができるよ う,病害虫の特徴や防除方法について紹介する「病害虫 資料室」コーナーでは,内容の充実を図りつつ,「農作 物病害虫・雑草防除指針」をベースに新設する「環境に やさしい防除技術」コーナーと連動させる予定である。 今後は,ホームページやシンポジウムを通して,植物 防疫事業にかかわる有用な情報の発信やアピールを図り つつ,農業者および関係者に広く情報を伝えられるよ う,メール配信サービスの導入など地道な情報発信も検 討していきたい。

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