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表面張力による液滴の変形と双対多面体の関係について

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会第 78 回全国大会. 4D-01. 表面張力による液滴の変形と双対多面体の関係について 笠 晃一 福岡工業大学 情報工学部. 1.はじめに 流体力学の分野で液滴振動という現象が知られ ている.これは,無重力空間内に置かれた水滴な どの液滴が表面張力により変形し,液滴の形が振 動するというものである.2次元における液滴振 動の研究が多いが,3次元における液滴振動につ いても調査されており,数値シミュレーションも 実施されている [1].しかしながら,これらの研 究は液滴の幾何学的形状に焦点を当てたものでは なく,解析的な研究は液滴振動の周期や振幅を求 めるために,また数値シミュレーションは表面張 力が正しく計算されているかどうかを検査するた めに実施されている. 液滴振動を幾何学的な視点から観察すると新し い知見が得られる可能性がある.たとえば,数値 シミュレーションによれば,2次元における正方 形の液滴は近似的に元の正方形を 45°回転させた 形状へと変形し,その後ほぼ元の正方形の形状へ と復帰する [2].つまり近似的にではあるが,正 方形から別の正方形へと変形し,その後元の正方 形 に 戻 る. 3 次 元 の 場 合 に は, さ ら に 興 味 深 い 現象が生ずる.これも数値シミュレーションの一 例であるが,立方体の形状の液滴は近似的に正8 面体の形状へと変形し,その後またほぼ元の立方 体の形状へと戻る [1].すなわち,この場合には 液滴は立方体と正8面体の間を振動することにな る.ところで,幾何学的な観点からすると立方体 と正8面体は互いに双対関係にある.つまり,一 方が他方の双対多面体になっている.ここに,双 対多面体とは,簡単に言えば多面体の面と頂点を 入れ替えたときにできる多面体のことである. 我々は,この双対性に興味を持ち,正多面体や 半正多面体を初期値として持つ液滴の表面張力に よる変形について数値シミュレーションを実施し た.つまり,正多面体や半正多面体も双対多面体 を持っているが,液滴がこれらの双対多面体へと 変形するかどうかの調査を行った.なお,数値シ ミュレーションには VOF 法を使用した.これは空 間を小さいセルに分割して,各セルにおける液体 の割合を 0 から 1 までの数値を用いて表し,セル The relation between deformation of liquid drops and dual polyhedrons Koichi Ryu Fukuoka Institute of Technology. 4-1. (a) マーチングキューブ 法のみによる表示. (b) 提案手法による表示. 図1 正四面体の液滴に対するレンダリング結果. の面を通過する液体の量を計算することで,液体 表面の時間発展を求めるというものである.VOF 法は液体の体積が保存されるという特長を持って おり,計算の進行に伴い液体の体積が減少すると い う こ と は な い. こ れ に 対 し, 空 間 を 格 子 で 分 割し各格子点における液体の割合を計算するとい う手法もあり,こちらは液体の体積の保存が保証 されないが,マーチングキューブ法などの可視化 手法が用意されており,コンピュータグラフィッ クスで使用しやすいという特長がある.しかし, VOF 値 で 表 さ れ た 液 体 表 面 の 可 視 化 手 法 に つ い てはほとんど研究がなされておらず,マーチング キューブ法を代用しているのが実情である.本研 究ではこの点も考慮し,VOF 値で表現された液体 表面を可視化するための手法も提案している.. 2.VOF 値の可視化 VOF 値に対しマーチングキューブ法を用いたと きの問題点の一つは,平面で構成される液滴に筋 状の模様が発生するというものである.図 1(a) に 正四面体の形状の液滴に対するレンダリング結果 を示す.この問題に対する対応策の一つとして, VOF 法における液面の再構築を利用することが考 えられる. VOF 法では VOF 値,すなわち各セルにおける 液体の割合を使用して液面の再構築を行う.液面 の再構築には PLIC と呼ばれる手法が使用される ことが多いが,これは液面を平面によって近似す るというものである.すなわち,VOF 値を用いて 勾配ベクトルを計算し,この勾配を単位ベクトル 化して平面の法線として使用する.また,VOF 値 自身により平面の位置を決定する.これを各セル ごとに実行するため,再構築された液面は一般的 に不連続な面となり,このままではコンピュータ グラフィックスに使用することは不可能である.. Copyright 2016 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(2) 情報処理学会第 78 回全国大会. そこで,平面の位置として平均値を使用するこ とを考える.ただし,格子点の近傍の法線の標準 偏差が大きいときには VOF 値を使用して液面を生 成することにする.このようなハイブリッド的な 手法を用いるのは,法線の標準偏差が大きいと再 構築面を使用する方法では表面に凹凸が発生する ためである.以上のことから,次のようなアルゴ リズムを使用して液面の生成を試みた. (1)格子点を1つ選択し,この格子点に隣接 する 2 × 2 × 2 個のセルの中に液面を含むセル,つ ま り 0 < VOF < 1 を 満 足 す る セ ル が あ る か ど う か 検査する. ( 2) も し あ れ ば, そ の 格 子 点 を 中 心 と す る 4 × 4 × 4 個のセルについて,再構築面を持つセル に対し再構築面の法線の標準偏差を計算する.. ( 3) 標 準 偏 差 が あ る 一 定 値 σ t 以 下 で あれ ば, この格子点に隣接する 2 × 2 × 2 個のセルのうち再 構築面を持つセルに対して再構築面から格子点ま での符号付き距離を計算し,その平均値を格子点 に与える.さもなければ,格子点に隣接するセル の VOF 値の平均を求め,符号付き距離との整合性 を取るために一次式によるスケーリングを実施し た上で格子点の値とする. (4)上の処理をすべての格子点に対して実行 してから,マーチングキューブ法より液面を生成 する. このアルゴリズムを正四面体の形状の液滴に対 して適用した結果を図 1(b) に示す.筋状の模様は 発生していないことが確認できる.. 3.正多面体と半正多面体の液滴振動 多面体のうちすべての面が正多角形で,しかも 頂点の形状がすべて合同なものを一様多面体とい うが,このうち凸で正多面体でないものを半正多 面体という.半正多面体は全部で 13 種類ある [3]. 多面体に対し,辺で接する面の重心同士を線分 で結んだときにできる多面体をこの多面体の双対 多面体という.正多面体の双対多面体は正多面体 になる.一方,半正多面体の双対多面体はアルキ メデス双対と呼ばれるが,これは本来の双対多面 体ではなく,そのアルキメデス双対の面の中心を 結んだとき,元の半正多面体になるような多面体 のことである. 我々は正多面体と半正多面体およびアルキメデ ス双対のすべてについて,この形状を持つ液滴を 作成し,表面張力による形状の変化を観察した. 正十二面体の場合の例を図 2 に示す.その結果次 のようなことが分かった. (1) 程 度 の 差 は あ る が, ほ ぼ す べ て の 多 面 体 について双対多面体への近似的な遷移が観察され た.近似的というのは,遷移後の双対多面体の辺. 4-2. (a) 正十二面体の初期値. (b) 変形後の正二十面体. 図2 正多面体の表面張力による変形の例. が鋭いエッジにならないという意味である.つま り,双対多面体の隣り合う面はなめらかな曲面に より接続されていた. (2)特に半正多面体の場合,アルキメデス双 対は本来の双対ではないが,アルキメデス双対へ の遷移を確認することができた. (3)頂点の立体角が小さい多面体では,双対 多面体の頂点付近が丸みを帯びていた.これは, 多面体の頂点の立体角が小さいと,双対多面体の 頂点の立体角も小さくなり,さらに双対多面体の 辺が丸みを帯びるのが原因と考えられる. (4)頂点の立体角が大きい多面体では,隣り 合う面の境界が不明瞭になることが多い.頂点の 立体角が大きいと,双対多面体の立体角も大きく な り, 2 つ の 面 が な す 角 度 が 180 °に 近 く な る. これに加えて双対多面体の辺は丸みを帯びるた め,辺が不明瞭になるのだと考えられる.. 4.おわりに VOF 値 を 可 視 化 す る 試 み と, こ れ を 使 用 し た 正多面体などの形を持つ液滴の振動のシミュレー ションについて述べた. 液滴振動では,変形前の多面体の頂点の立体角 が小さくても大きくても結果として得られる双対 多面体の精度が悪くなる.原因はともに遷移後の 双対多面体の辺が鋭いエッジにならないからであ るが,これが数値シミュレーションの際の空間の 分割精度が不足しているためか,それとも液滴の 持つ本来の性質のためなのかはさらなる調査が必 要である.. 参考文献 [1] 松本昌明,棚橋隆彦 : 表面張力対流の数値解析 , 日本計算工学会論文集 , Vol.2001(2001), 論 文番号 20010031. [2] J. U. Brackbill, D. B. Kothe and C. Zemach : A Continuum Method for Modeling Surface Tension, Journal of Computational Physics, Vol.100, pp.335-354 (1992). [3] 一 松 信: 正 多 面 体 を 解 く, 東 海 大 学 出 版 会 (1983).. Copyright 2016 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

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参照

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