招待論文
シリコンフォトニクスと光エレクトロニクス実装技術
蔵田
和彦
†a)Opt-Electronics Packaging Technology for Silicon Photonics
Kazuhiko KURATA
†a)あらまし シリコンフォトニクスが注目され始めてから約10 年経過した.様々な研究開発が進展し,製品も 登場している一方,本来の光電子集積の魅力が十分活かされているかという視点では,まだ多くの開発課題を残 している.光電子集積パッケージングの解も,大きな課題の一つである.パッケージングでは,光エレクトロニ クス実装の特殊性である光接続技術に起因の課題が残る.本論文では,Si フォトニクスを光電子集積の実装技術 の視点でまとめた後,解決に向けたアプローチの一つとして光エレクトロニクス実装技術開発プロジェクトのア クティビティの概略を紹介する. キーワード Si フォトニクス,光回路実装,光電子集積,光インタコネクション
1.
ま え が き
シリコンフォトニクス(Siフォトニクス)は,将来 の光電子集積を実現するコアデバイス技術として研究 開発が活発化している.従来の光デバイスでは達成で きない超小型,高集積化,省電力化,低コスト化を実 現でき,様々な光集積回路がLSIと同様に共通のプロ セス,共通の設計手法により実現できる点に魅力があ る.最終的には光と電子が融合した大規模な光電子融 合集積回路の実現が期待されている[1].光回路の開 発と並行してデザインキットの整備も徐々に進展して おり,将来,LSIの水平分業と同様のエコシステムが 形成されていくと思われる.光集積回路の主要機能は チップ上で実現され,多くの光集積回路がLSIと同様 の分業体制で開発,生産されるようになる.このよう なSiフォトニクスによる光集積のパラダイムシフトの 中で,Siフォトニクスの超小型,高集積化,低コスト 化の魅力を最大限引きだすには,光エレクトロニクス 実装技術の進化も必須となってきている.光エレクト ロニクス実装の特殊性は光接続と考えられており,エ レクトロニクス実装と整合性の高い光接続技術の開発 †研究協同組合光電子融合基盤技術研究所,つくば市Photonic Electronics Technology Research Association, Ad-vanced Industrial Science and Technology, west7A, 16–1 Onogawa, Tsukuba-shi, 305–8569 Japan
a) E-mail: [email protected] が,喫緊の課題となる.本論文では光エレクトロニク ス実装の視点から,光インタコネクションへの活用に 向けての光回路実装の展望を述べ,我々のアクティビ ティを紹介する.
2. Si
フォトニクス技術
Siフォトニクス技術は従来の1/100程度の超小型 の光デバイスが半導体製造プロセスで作製可能で,生 産性が高く低コストの光集積回路チップがSiウェハ上 への一括形成で得られる.一方,作製には巨額の半導 体製造ラインが必要であり,光集積回路の開発では半 導体製造ラインをもつ研究拠点及びCMOSファブと の連携が必要となっている.光集積回路と電子回路を チップレベルで集積すれば,様々なシステムへSiフォ トニクス集積回路の導入が可能となるが,チップから システムまでの各実装階層をつなぐ実装の重要性が高 まっている.図1にプロセス,デバイスからシステム 及び実装に関し,Siフォトニクスと各レイヤの関係を 示す. Siフォトニクスプロセスからシステムまで物作りの フローと主な要素技術を図2に示す. ほとんどのデバイスはCMOSプロセス技術により 作製可能であるが,光集積回路にはCMOSプロセス に含まれない加工やシリコン以外の材料の適用が必 要であったり,異種材料のデバイスを同一基板上に作 る必要があるものも出てくる.LSIの後工程で,パッ図 1 Siフォトニクスを取り巻く各階層の関係 Fig. 1 Relation of each layer around Si photonics.
図 2 プロセスからシステム化のフローと要素技術
Fig. 2 Fundamental techniques in the flow from pro-cess to system. ケージングに必要な電極パッドを作製するのと同様に 光エレクトロニクス実装でもSiチップと光配線をパッ ケージング容易な形で接続できる光接続点の作製が必 要となる.エレクトロニクス実装はLSIの出現により 高密度かつ微細化が可能な接続技術が発展したが,光 エレクトロニクス実装でもSiフォトニクスによる光 回路集積化の実用化に伴い,高密度かつ微細な光接続 技術の開発が求められる.顕在化しているインタコネ クションのI/Oボトルネックに対し,Siフォトニク スデバイスと光配線の組み合わせは,高密度,低損失, 広帯域性で非常に魅力的であるが,容易に接続可能な 光配線とSiフォトニクスデバイスのパッケージング の解が出てこないと,今後,この部分が光I/Oボトル ネックとして顕在化してくると思われる.
3.
光インタコネクションへの活用
Siフォトニクスの活用が期待される領域に,光イン タコネクションがある.「つなぐ」「処理する」「蓄える」 の情報処理機器の要素のうち「つなぐ」性能の向上が 情報処理機器の進化の中で非常に重要となってきてい る.情報処理機器の性能向上に対しインタコネクショ ンでのI/Oボトルネックが顕在化している[2].光イ ンタコネクションは光配線の高帯域,低損失の特徴に 図 3 光インタコネクション構成の発展Fig. 3 Expansion of the structure in optical intercon-nect technology. より,古くから実現が期待されてきており,比較的長 い距離から導入が始まっている.I/Oボトルネックの 解決に向けて光電気変換機能をLSIに極力近接して 配置する概念が古くから提案されている[3], [4].基本 的な考え方は現在も変わっていない.しかしながら, チップやボードレベルまでの導入には,光部品の小, 低コスト化,高信頼化等の課題が残っている.Siフォ トニクスはこれらの課題を解決するコアデバイス技術 としての期待が高まっている.電子回路との整合性が 良いことに加え,Siウェハ上への光集積回路の形成に より,従来の延長線上にない小型,低コスト化が可能 となる.また,CMOS LSI技術では各デバイス構造 や材料,プロセス等に関しての膨大な信頼性データの 蓄積がある.これらの知見に沿って光集積回路を設計 していけば,光固有のプロセス,材料を用いる部分を 除きLSIと同等の高い信頼性が達成できると考えられ る.実装の視点では,集積化による接続点の削減や光 回路実装技術への半導体の実装技術の積極的活用で, 半導体パッケージと同等の信頼性が期待される.コス トに関しては,光回路実装の特殊性である光接続の低 コスト化が残る.Siフォトニクスの魅力を最大限引き 出すには,従来の光回路実装技術では,複数部品のア センブリにより光接続が行われているが,小型化に限 界がある.Siフォトニクス集積回路では,非常に小型, 高密度な光接続が必要であり,アセンブリ技術から脱 却した光接続技術を開発していく必要がある.図3に 光インタコネクション構成の発展の概念図を示す. 現在,光トランシーバをコネクタに内蔵したAOC (Active Optical Cable)からデータセンタ等のきょ う体間接続に導入され始めている.ボードの設計が
電気と光で共通で容易に光インタコネクションが導入 できる反面ボード上のI/Oボトルネックは残る.I/O ボトルネック解決には,LSIパッケージ内に光トラン シーバ機能の配置が必要である.SiフォトニクスはSi インタポーザとの整合性が良くITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors)にも概 念が記載され始めており[5],Siインタポーザ上に光 集積回路を形成し,その上にロジックLSIを複数搭載 した2.5D,3D実装への集約が期待される.
Siインタポーザへ光集積回路を内蔵するためには, 電子回路の実装でも課題となっているKGD(known Good Die),熱マネジメントやTSV(Through Sili-con Via)技術等の開発も同時に必要となってくる.Si フォトニクスは,現時点では,光トランシーバとして 実現性が証明されてきた段階である.Siインタポーザ 上への高集積化には,まず,小規模集積により技術を 枯らしつつ,高集積化に移行していくアプローチが必 須と思われる. 光エレクトロニクス実装の視点でSiフォトニクス に基づく光電子融合実現に向けて各実装階層での要検 討事項と必要な実装技術の関係を図4に示す. チップからボードの階層間での関連性が強く相互の 整合性の良い解を見つける必要がある.光接続はそれ ぞれの階層をつなぐ部分であるが,現在はアセンブリ 技術が中心の高精度な光軸合わせが,生産性の向上, 低コスト化の阻害要因となっている.エレクトロニク スがアセンブリから,プロセス技術を組み合わせ現在 に至った様,光エレクトロニクス実装でも現在のアセ ンブリ中心からプロセス技術を活用したアプローチが 重要と考えられる.光固有の技術からエレクトロニク ス実装と整合性が高く,エレクトロニクス技術者でも 扱えるような,光接続技術の開発が求められる. 図 4 各実装階層での要検討事項と必要実装技術
Fig. 4 Problem statement and request techniques in each packaging layer.
4.
光エレクトロニクス実装システム技術
Siフォトニクスの実装の取組みとして,超低消費電 力型光エレクトロニクス実装システム技術開発プロ ジェクトがある[6].Siフォトニクス技術を活用した 光配線の実用化で光と電子が融合した光電子集積イン タポーザを開発し光電子集積サーバの実現を目指して いる.インタコネクト部では,Siフォトニクスによる 高密度集積で従来の光回路の1/100の小型化,また, 光デバイスの低電圧駆動化,ロジックLSI内への駆動 回路集積,光回路駆動回路の簡略化で,現在の電気イ ンタコネクトの1/10の省電力化を図っていく.開発 は3期に分け,期ごとに確立した要素技術を実用化し ていく計画となっている.実用化により,光電子融合 実現で必須となるシステムやエレクトロニクス実装の 知見をユーザからフィードバックし,エレクトロニク ス技術の進歩と同期を取った段階的なステップアップ を図る計画である.図5に開発計画と開発技術の概要 を示す. 第一期は,先の最先端PJのPECST [1]で開発さ れたSiフォトニクスデバイス技術を活用し,低電圧 駆動による省電力化,高密度光集積回路,新規な光接 続構造の実証を行う.I/Oボトルネック解決に向けた, 光集積回路の高密度設計技術の確立,光配線による高 密度化の検証として,高密度多並列光集積とWDM 光回路の開発等が含まれる.成果の一部は,ユーザが 様々な用途に容易にカスタマイズできる超小型の光ト ランシーバチップ(光I/Oコア)として実用化する. 第二期で光I/Oコアの要素技術と並行開発の光配線を 図 5 開発計画と開発技術の概要図 6 狭ピッチ化を決める構成要素の概念図 Fig. 6 General image for restriction on fine pitch
lay-out.
図 7 各構成要素の帯域密度の概算
Fig. 7 Rough estimate of band width density in each part.
内蔵したLSIインタポーザへ集積した光I/O付LSI 基板,第三期で,シリコンインタポーザへ光I/Oを集 積した光電子集積インタポーザを実証する計画となっ ている.現在は第一期の成果をまとめる段階に来てい る.以下,第一期で開発技術の内,高密度多並列光集 積技術を活用した超小型の光トランシーバチップ(光 I/Oコア)について概念及び開発状況概要を述べる. 4. 1 高密度多並列光集積の検討 光トランシーバは変調器,受光器,送受信IC及び 光と電気のI/O,それと光源で構成される.送受信IC は先端CMOSプロセスの適用による低消費電力化を 目的にSiフォトニクスチップ上へのフリップチップ実 装を想定している.多並列化では送受信器のピッチを 決定する要素になる.最もピッチを必要とする要素が 密度の上限を決める.図6に光送信器の構成と狭ピッ チ化を決める構成要素の概念図を示す.光源の考察は 後述の光I/Oコアにて述べる. 帯域密度は電気及び光の入出力,各デバイスの接続 部及び駆動回路,光回路の幅で決まる.図7に各構成 要素について帯域密度を概算した結果を示す.概算に は電気の接続点には差動信号を想定し,現状技術での パッドサイズ,ピッチを参照し,駆動ICは現状技術 でのレイアウトを参考にしている.光回路は電気パッ ドも含め実際にレイアウトを行い求めている. 各構成要素の伝送密度を概算した結果,LSIパッ ケージとプリント基板を接続するパッド部分の伝送密 度がもっとも低くなっている.近年I/Oボトルネッ クと呼ばれている部分でパッドの微細化が課題となっ ている.図からわかる様,現在発表されている小型の EOM(Embedded Optical Module)はプリント基板 への実装のためのパッドが大きさの制約要因となり,2 次元レイアウト等の工夫が必要となる.また化合物光 源を直接変調する場合には光I/Oピッチと合わせる必 要が出てくるが光源と駆動回路の接続パッドの微細化 が課題となる. Siフォトニクスでは光回路の狭ピッチ化に優位性が あり,クォータピッチ(62.5µm)でのレイアウトが可 能であるが,駆動回路構成及び入出力パッド及びSiイ ンタポーザの接続部の微細化の進展が必要となる.駆 動回路は現在の設計でもハーフピッチ(125µm)が可 能であることを検証している.ハーフピッチルールを 適用した場合,LSIパッケージへの実装を仮定すると プリント基板への実装より,より微細な接続が適用で き,現在の1/2の狭ピッチ化が可能となる.1chあた り25Gbpsの速度を想定した場合,クォータピッチで 400Gbps/mm,ハーフピッチで200Gbps/mmの伝送 密度となる.1×1cm程度のLSIを想定し,LSI周辺 に配置する場合1辺あたりそれぞれ4Tbps,2Tbps伝 送容量となり,4辺を使用した場合は16Tbps,8Tbps と試算される.これらの数字は理想的に配置した場 合の概算値であり,実際にはロジックLSIチップ上の I/Oレイアウトによる配線設計への制約,パワー/シ グナルインテグリティを考慮する必要がある.実際の LSIとの接続検証を通して,これらの設計制約条件を 明確にしながら,課題を解決する工夫を盛り込む必要 がある.シリコンインタポーザ適用の高集積光インタ コネクションを実システムに導入するには,光I/O付 LSI基板,光電子集積インタポーザと実システムと段 階的に課題をクリアしながら開発を進めることが,電 子回路実装との同期した開発の必要性を考慮した場合, 遠回りに見えて,結果的に近道となるものと考える. 4. 2 光I/Oコア 第一段階として,Siフォトニクス技術による多並 列化の検証として,チップ型光トランシーバチップ
である光I/Oコアの開発を進めている.5×5mmの チップに125µmピッチで光回路を搭載し,300Gbps (25Gbps×12ch)を5mW/Gbpsで駆動することを目 標においている.低消費電力化,狭ピッチ化,狭ピッ チ化に適合する光入出力構造の実装の検証を行うとと もに,成果を実用化し,システムユーザからのフィー ドバックを得て,次のステップの開発課題へ反映させ ていく予定である.光I/Oコアの光と電気の入出力 部と基板や光ファイバ等の後付け部品の接続部を規格 化し,モジュラー化システムを提案するものである. 光と電気の必須の機能をチップに集約し,光のインタ フェースも電気同様パッド状にし,最低限の光接続機 構を設けたチップとなっている.ユーザは光と電気の 切り口情報をもとに様々な基板,コネクタをカスタマ イズして多用途に適用できる事を狙っている. 4. 2. 1 適用光伝送路と実装 Siフォトニクスでは光回路がシングルモードであり, 長波を用いることから,シングルモードファイバ適用 が通常であるが,光I/Oコアは,実装の観点から,マ ルチモード伝送を適用した.以下その狙い述べる. シングルモードファイバは∼10km程度までカバー 可能だが光接続部に高精度の実装精度が要求される. 最終的ゴールの光電子集積SiインタポーザはCPU 間,CPU-スイッチ間等の,現在の屋内よりも,さら 短距離での光インタコネクションの実現を目指してい る.この場合,非常に短距離から屋内での伝送を考え た場合マルチモード伝送路を適用し,実装精度を緩和 する方が,電子部品実装との整合性が良いと考えてい る.図8に市販の実装設備の生産能力と実装精度をプ ロットしたグラフを示す. 電子部品の実装も小型化,微細化に伴い精度の向上 が進んできた.現在は,LSIのフリップチップ実装等 では,10µm以下の実装精度を有する設備が市販され ており,高精度品では2-3µmの実装精度となってい る.生産能力は,一般の高精度な光部品搭載設備より も1∼2桁高い.マルチモード伝送路は突合せ接続で約 5µm程度の許容トレランスがあり,光入出力構造の工 夫で10µm程度までの拡大が可能である.LSI-PKG 上での光接続を想定した場合,マルチモード伝送を適 用すれば,市販の実装設備の適用が可能となり生産性 が電子部品と同等となる.ボード上での光接続の場合 では,実装機の実装精度は20-30µmのため,今後,許 容トレランスを拡大する構造を開発していく.市販の 実装設備が適用できるようになれば,電子部品と同時 図 8 実装設備の生産能力と実装精度
Fig. 8 Productivity and mounting accuracy of moun-ters. に搭載することも可能となり光部品の実装コストの削 減に大きく寄与する.これらの理由から光I/Oコアに はマルチモード伝送系を適用した.一方,Siフォトニ クスチップ上でのLDと光導波路の結合に1µm以下 の実装精度の要求が残る.この部分に関しては,最小 限のLDをパッシブアライメント実装で搭載しコスト への影響を最小限にする工夫が必要である. 4. 2. 2 適 用 波 長 Siフォトニクスでは光導波路の低損失化が得やすい 1.5µmが適用されるケースが多いが,送受信器の光導 波路は数mm以下と短く実際の光導波路損失は光接続 損失ほどバジェットに大きく影響しない.光I/Oコア には伝送路媒体の選択肢の多さから,1.3µm帯の波長 を適用した.1.3µm帯では既存のマルチモード光ファ イバや,基板上等での短い光配線へのポリマ光導波路, あるはプラスティックファイバ等伝送媒体の適用等選 択肢が広がる.また,現在の短距離伝送の中心である 0.85µm VCSELでは25Gbps以上の伝送速度で長距 離化の限界が見えつつある.シングルモードを用いた Siフォトニクスでは,光ファイバ接続部品,接続コス トに起因する低コスト化の壁が懸念される.1.3µmは ゼロ分散波長でありGIファイバを用いて屋内配線で 必要となる500m程度までの伝送距離を低コストでカ バーできる可能性が出てくる[7].チップ間から屋内 の光配線までを同一仕様でシームレスに接続し,また 1.3µm SMFで標準化されている10kmまでの伝送と 合わせて,1cmから10kmまで同一波長(光源)の適 用の可能性が出てくる,同一の構成を広い領域に適用 し生産量を増すことで低コスト化が進めやすくなる期
図 9 1.3µm 帯を適用した場合のカバー領域
Fig. 9 Possible length in transmission using 1.3mi-crons wavelength.
図 10 光 I/O コアの基本構成
Fig. 10 Diagram of the function of an Optical I/O core. 待がある.図9に適用波長と可能な伝送媒体の,及び 現在の標準化の範囲と,1.3µm帯を適用した場合のカ バー領域を示す.標準化での議論が必要であるが,現 在は電気で細かく分割されている10mより短い伝送 領域へ光伝送を浸透させていければ,1cm-500mまで 同一仕様で接続でき,10kmまで1.3µm帯波長で統一 できる期待が出てくる. 4. 3 光I/Oコアの基本構成 以上に述べた光I/Oコアのコンセプトを具現化すべ く開発を進めている.光I/Oコアの光送受信器の基本 構成を図10に示す. 光集積回路を形成したSiフォトニクスチップ上に送 受信IC,LDを搭載し,インタポーザを介して,光と電 気の入出力端子を設けたチップ型の光トランシーバと なっている.Siフォトニクスチップには,PECSTの 成果[8]を活用し,光変調器,受光素子,光分岐,LD 結合用のスポットサイズコンバータ(SSC)に加え, 図 11 光 I/O コア Fig. 11 Optical I/O core.
新規に光出力用に出力光ビーム径をマルチモードファ イバの0次モードの径に整合させたグレーティング カプラを配置している.受光素子は面型の受光素子と している.消費電力は,光源よりも送受信ICの消費 電力が支配的となる.低電圧のCMOS ICを適用し 5mW/Gbpsの低消電力化を目指している.チップの サイズは主に放熱に必要な面積と電気の入出力端子で 決まる.低消費電力化と電気入出力パッドレイアウト の工夫で25Gbps×12chで5mmと小型化を目指し ている.光I/Oコアで集積光トランシーバの必須要 素技術を確立する.その後,得られた知見を元に第二 期,三期では極端距離用低振幅電気インタフェース, ロジックLSI内への送受信回路の内蔵等の更なる低消 費電力化へ展開し,より高密度集積化を目指す. 4. 4 光I/Oコアの実装構造 図11に開発中の光I/Oコアの概要を示す. 図は125µmピッチで配列した12chの光回路の内, 4chを駆動し機能検証を行った初期試作のレイアウト を示している.LDが電気I/Oのレイアウトスペース を阻害しているが,次試作では,Siインタポーザへ の搭載も念頭に,LDが電気I/Oの配置を阻害しない 位置に配置し,狭ピッチ配置の利点を活かした設計と している.光入出力部は,グレーティングカプラ及び 受光素子と光伝送路を接続するための光ピンと呼ぶ縦 型の光導波路を介在させている.光ピンのコア及びク ラッドはUV硬化性樹脂で構成されており,コア用樹 脂を塗布した後,コア断面形状のパターンを設けたマ スク上からUV光を照射して縦方向のコアを形成し, その後,周りにクラッド用樹脂を充てんして作製され る.光I/Oコアチップを個片に切り出す前にプロセ スで一括形成ができる.マスクの径及び光源の照射パ
図 12 光ピン部の断面構造
Fig. 12 Schematic cross-section of optical pin.
ラメータを変化させる事でコア径及び光軸方向の導波 路形状の制御が可能で,数10µmのコア径,高さ約 300µmでストレートからテーパー状の形状が得られ る.光ピンによりチップの表面に電気パッドと同様の 光パッドが,チップの同一面に形成される.Siフォト チップの光導波路や光ファイバ端末との光接続には, 接着固定や勘合構造等を設ける必要があり光回路と比 較して非常に広い面積を必要とする.Siフォトチップ 上にはドライバIC,LD,チップコンが搭載され光接 続のための広い面積を得るには,チップ面積を大きく しないといけない.光ピンを用いて光接続面をチップ 表面にもってくることで,チップ表面に光接続のため の面積を,チップサイズを犠牲にすることなく確保で きる.また,光ピンはコア系を光軸方向に沿ってテー パー状に形成することで,チップ表面への導光機能に 加え,レンズと同様の光ビームのサイズ変換機能をも つ.マルチモード伝送路で50µm径程に広がった光 ビームをテーパー状の光ピンを用いて受光素子面で, 30µmと受光素子径に合わせて縮小できる.光ピンと マルチモードファイバとの接続では,光ピン自身及び 光接続損失合わせて1dB以下の接続損失が得られて いる.図12に光ピン部の断面構造を示す.
5.
光
I/O
コアから光電子集積インタポー
ザへ
光I/Oコアの開発にて,高密度化,高集積化を可 能とする実装の基本技術の確立,光電子集積インタ ポーザに向けた課題のデータ抽出を行っている.また 光I/Oコア(光トランシーバチップ)は,実装部品 図 13 光 I/O コアのモジュラー化と適用イメージFig. 13 Modular formation in optical I/O and appli-cation. メーカが各自の部品を使って基板やコネクタ搭載し, 容易にカスタマイズ製品に展開し様々な領域に適用し ていけるように仕組みつくりを開始している.カスタ マイズのイメージを図13に示す.光I/Oコアの切り 口を規格化したモジュラー化を基本としており,それ に適合する部品を用意すれば様々なカスタマイズが可 能となり,様々な領域への迅速に適用を目指している. 実証として,光I/Oコアを搭載するポリマ光導波路 付LSI基板や光ファイバと基板を組み合わせてAOC のプロトタイプを並行して開発している.AOCや光 学エンジンへの搭載だけでなく,ソケットやLSIパッ ケージ,基板への組込みへの展開もある. ロジックLSIとの複合化に向けて,現在,LSI基板 にポリマ光導波路を形成し,その上に複数個の光I/O コアを搭載した光I/O付LSI基板の開発を進めてい る.2.4Tbps(送受)相当のスループットを有し,ロ ジックLSIと接続した場合の課題抽出を行う.最終的 には,光集積回路をSiインタポーザに集積し,より大 容量の光インタコネクションをパッケージレベルで実 現することを目指している.図14に光I/O付LSI基 板から光電子集積インタポーザへの進化のイメージを 示す. インタポーザ化では,光I/Oコアの項で述べた様, 電気インタコネクトを阻害しないLDの配置が重要 となる.将来は,配置の制限を排除する方法として Siフォトニクスチップ上にLDを形成する技術が必要 となる.この場合,LDがロジックLSIの下に配置さ れると仮定するとLSI同様の125◦C程度の高温動作 が求められる.高温動作に優れた量子ドットレーザで の実現が期待される[9].光と電子が融合しSiインタ ポーザを実現するには,電子回路と共通のKGD課題 の解決が必要である[10].光集積技術としても,多並 列集積の章で述べたようにクォータピッチの高密度化
図 14 光電子集積インタポーザへの進化 Fig. 14 Evolution to photonics-electronics
integra-tion interposer. は重要課題であるが,実現には,エレクトロニクス実 装と同様,KGD,熱マネジメント,パワー/シグナル インテグリティ等の課題がある.これらの課題は今後, 実際にロジックLSIと光集積回路を集積して明らか にしていく必要がある.これらの課題に関し,次のス テップの光I/O付LSI基板の開発を通し光とLSIの 相互の関係を明確にし,Siインタポーザへの集積開発 に反映させていく計画である.
6.
む す び
Siフォトニクス技術に関し,光エレクトロニクス実 装の視点俯瞰した後,光インタコネクションへの適用 の課題について述べ,我々のアクティビティを紹介し た.3段階のステップの開発の狙いと,第1段階の目 標である光I/Oコアの開発の取り組みを紹介した.今 回,変調器は受光器,LD実装等の光I/Oコアに適用 のデバイス技術の紹介は割愛させていただいたが,今 後,適宜デバイスの成果に関しても公開していく. 光エレクトロニクス実装でも新しい概念の創出や, 技術へ取り組み始めているが,光電子融合の視点では, やっと端緒を開いた状況である.光電子融合がICTの 普遍的,必須技術にまで成長するには,可能性を検証 しながら,地道に技術を仕上げていく必要がある.今 後,益々様々な領域の技術者,研究者のご協力を得な がら開発を進めていく所存である. 謝辞 本論文記載の検討にあたり,ご指導を頂いて いる光エレクトロニクス実装システムのプロジェクト リーダーの東京大学の荒川泰彦教授をはじめ,鋭意議 論をさせて頂いているプロジェクトメンバーに感謝致 します. 記載の研究はNEDOの「超低消費電力型光エレク トロニクス実装システム技術開発」により委託を受け たものである. 文 献[1] Y. Arakawa and T. Nakamura, “Silicon photonics for next generation system integration platform,” IEEE Commun. Mag., vol.13, pp.72–77, 2013.
[2] M.B. Ritter, Y. Vlasov, J.A. Kash, and A. Benner, “Optical technologies for data communication in large parallel systems,” TWEPP, Oct. 2010. [3] K. Kurata, I. Hatakeyama, K. Miyoshi, T. Shimizu,
J. Sasaki, M. Kurihara, and K. Yamamoto, “Opto-electronics packaging techniques for interconnec-tion,” LEOS 2003. The 16th Annual Meeting, pp.364–365, 2003.
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装学会,光回路実装技術委員会,2008.
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[6] 超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム開発プロジ
ェクト,http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu101/ siryo2-1 2.pdf
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[8] 賣野 豊,堀川 剛,中村隆宏,荒川泰彦,“シリコンフォ
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学技報,PN2013-01-17,Jan. 2013.
[9] Y. Arakawa, S. Iwamoto, Y. Ota, A. Tandaecha-nurat, and M. Nomura, “Quantum dot photonic crystal nanocavity coupled systems for cavity-QED,” Sweden-Japan Workshop on Quantum Nano Physics and Electronics, Tokyo, Japan, Jan. 2013.
[10] 塚田 裕,“最近のパッケージ技術開発動向,”エレクトロ
ニクス実装学会誌,vol.17, no.3, pp.163–168, 2014. (平成 26 年 7 月 8 日受付,10 月 16 日再受付,
蔵田 和彦 (正員) 1985年,日本電気株式会社入社.主に光 モジュールの開発に従事.PLC ハイブリッ ド集積光送受信モジュール,光インタコネ クションモジュールを開発実用化.H24 よ り光電子融合基盤技術研究にてシリコン フォトニクスの実装基盤技術の開発に従事. 超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発プロ ジェクト,サブプロジェクトリーダ.