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共同研究プロジェクト メディア・社会心理研究の有機的統合に関する共同研究 活動報告

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Academic year: 2021

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107 本プロジェクトの目的は、新設されたメディ ア・社会心理コースの本学における位置づけを 確認するとともに、学際的研究の基礎を確立す ることにある。そのため、今年度はメディア・ 社会心理において専門科目の中核を担う教員の 元指導教官を招いた研究会を企画した。 今回、お招きしたのは、社会心理学の浅井暢 子教員の指導教官である唐澤穣氏である。唐澤 氏には、集団アイデンティティーの問題を社会 心理学がどのように扱うかについて、講演して いただいた。講演は、社会心理学において集団 アイデンティティーが研究された最初の例まで 遡って学説史的な議論を紹介しつつ、徐々に最 新の研究にまで話を広げるという展開を見せた。 社会心理学における集団アイデンティティーの 研究は「人間にとって内集団 / 外集団という感 覚がどの程度重要であるか?」という基礎的な 問いに焦点を当てたものから、徐々に愛国心 (Nationalism)や愛郷心(Patriotism)、国際主 義(Internationalism)などに関する応用的なも のへと発展していったという。 集団アイデンティティー研究における最初期 の実験では、被験者たちをとくに意味のない2 グループに分け、2つのグループのあいだで報 酬を分配させるという課題を課した。この実験 からは被験者たちが自身の属するグループと他 のグループとの間に差をつけようとする、いわ ゆる「えこひいき」の構造を抽出することがで きたという。この種の研究から発展したナショ ナリズム研究は、主に欧米で盛んにおこなわれ ている。その手法を日本に持ち込み、実際に研 究を進めている唐澤氏は、その方法論における 難しさを強調する。質問紙のワーディング1つ とっても、日本人と欧米人の間には溝が深い。 また、そもそも Nationalism と Patriotism を日 本人が分離して考えているかどうか。そういっ た手法面の議論をするだけでも、他分野の研究 との関係性が浮き彫りになってくる。とくに、 ナショナリズムの問題は、他分野でも興味の対 象となることが多いのに加え、昨今の社会情勢 とも深くかかわっているため、全員の興味関心 の結節点として作用したといえる。 研究会は発表の途中でドンドン質問してよい とする形式をとったため、2時間の間に十分に 議論を尽くすことができた。参加者がメディア 論や社会学、思想哲学、政治学、文化人類学な どの視点から様々な質問を投げかけたことで、 本プロジェクトが目指す異分野の有機的統合に も寄与したと考えられる。人数は少なかったも のの、プロジェクトの目的を十分に踏まえた意 義深い研究会となった。 このような企画はシリーズとして計画してい るため、次年度はメディア論の長﨑励朗教員の 元指導教官である佐藤卓己氏をお招きしてメデ ィア論に関する講義をしていただくことを予定 している。各教員が、互いの核となっている専 門性を理解し、敬意を抱きあうことによって、 本プロジェクトの最終目標である共著執筆が可 能になることが今後、期待される。

共同研究プロジェクト

メディア・社会心理研究の有機的統合に関する共同研究

活動報告

佐藤 知久・長﨑 励朗

参照

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