ネットワークを介した分散画像処理環境の構築
著者
佐藤 公則, 尾尻 博文, 棚田 嘉博, 長澤 庸二
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
35
ページ
155-159
発行年
1993
別言語のタイトル
Construction of Environments for Distributed
lmage Processing on a Network System
ページ
155-159
別言語のタイトル
Construction of Environments for Distributed
lmage Processing on a Network System
ネットワークを介した分散画像処理環境の構築
佐藤公則・尾尻博文*・棚田嘉博・長津庸二
(受理平成5年5月24日) ConstructionofEnvironmentsfOrDistributedlmageProcessingonaNetworlKSystem
KiminoriSATO,HirofumiOJmI,YoshihiroTANADA,and YojiNAGASAWA TheauthorsconstructedenvironmentsfOradistributedimageprocessmgsystemonanet‐ work・Thesystemconsistsof2parts:animageacquisitionpartcontrolledbyapersonalcomputer fbrstoringdigitizeddatainthememory,andanimageanalyzingpartfbrprocessingdigitizedim‐ agedataontheworkstation・Imagedataistransferredtoaworkstationinstantaneouslybyusinga networkfilesystemThesedistributedconfigurationsresultinauserfriendlyimageprocessing systemwithhighspeedandgreatcapacity. 1 . は じ め に 近年,画像処理技術は,目覚ましい発展を遂げ,医 療分野,工場の生産ラインにおける検査・監視,天体 観測,指紋や顔画像による個人認識など様々な分野に おいて応用されている[1,2]・ 実際,パーソナルレベルで画像処理に関する研究を 行なう際,画像処理支援システムの導入が必要となる。 特に,画像データを取得するには,取得環境に応じた システムを構築していく必要がある。 そこで我々は,システムの汎用性を追求し,ネット ワークを介した分散画像処理環境の構築を行った[3]o これは,コンポジットのビデオ信号をディジタル化し, メモリに格納する画像取得部と,画像データを各種処 理する画像処理部に分けられる。画像取得部はパソコ ンとビデオ入力回路との'/oインタフェースで構成 され,画像処理部はワークステーション(WS)であ る。パソコンとwsは,イーサネットを介し接続さ れている。wsからみてパソコンは,画像取得のため の単なるインタフェースとして動作することになる。 以上の構成によりパソコンとwsに機能を分散化 し,高速,大容量及びユーザフレンドリな画像処理環 * シ ャ ー プ ㈱ 境を構築できた。 ま た W S 上 で 動 作 す る 画 像 処 理 ソ フ ト ウ ェ ア シ ス テムは,画像変換,2値化,細線化,論理演算,アフイ ン変換,図形の融合,ヒストグラム表示,ヒストリー 表示,切出し機能,モザイク機能などの処理機能を備 えている。 本画像処理システムは,Windowを用いたため,初 心者でも容易に操作でき,高速,大容量に対応した画 像処理システムが完成した。 本論文では,これら分散画像処理環境について,そ の内容を報告する。2.ネットワークを介した分散画像処理シス
テ ム 2 . 1 シ ス テ ム の 全 体 構 成 本システムの全体構成を図1に示す。イーサネット を介して,パソコンとワークステーション(WS)と のネットワーク化を図る。その結果,パソコンで取得 した画像データが瞬時にWSに転送でき,その後の 各種処理がWS上で容易に行えるようになった。ネッ ト ワ ー ク 化 に は ネ ッ ト ワ ー ク フ ァ イ ル シ ス テ ム (NFS)を利用している。イ ー サ ネ ッ ト ﹄〆 図 3 に ビ デ オ 入 力 回 路 の ブ ロ ッ ク 図 を 示 す 。 PC-9801とタイミング発生回路で相互に制御信号を 送ることにより,ビデオ信号をA−D変換し,メモリ に格納する。クランプ回路は,A−D変換に適した信 号に加工し,さらにコンポジット信号の中から輝度信 号成分のみを取り出す。マイクロ・インダクタ(L) 及びセラミック・コンデンサ(C)を使用してサブキャ リア除去フィルタを構成し,ビデオ信号中の色信号 (3.58MHz)をカットする。今回使用したLCの値
は式(1)によって決定し,L=20〃H,C=lOOpFとした。
ネ ッ ト ワ ー ク シ ス テ ム を 利 用 し て パ ソ コ ン と W S と の画像ファイルの共有を実現した。図2に示すように, パソコンのGドライブとWSの/home/gdataディレ クトリは,同一のものとなる。WSから見れば,ビデ オ 入 力 回 路 と パ ソ コ ン は 一 つ の ブ ラ ッ ク ボ ッ ク ス と な り , あ た か も W S に 直 接 画 像 が 取 り 込 ま れ る よ う な 動作となる。 2 . 2 画 像 取 得 部 2 . 2 . 1 画 像 取 得 部 の 構 成 図1の全体構成のうち,画像取得部について述べる。 本システムでは,ビデオ信号を入力とし,パソコン (PC-9801)側から取り込み指令があったならば, 1フレーム分の画像データ(横320ドット×縦200ドッL
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比=3.58MHz (1) ワ ー ク ス テ ー シ ョ ニ卜
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C − 9 8 0-
…
1
− 戸 再 丙 一 再 一 一 一 一 一 画 = − = 同期分離回路にビデオ信号を入力すると,水平同期 信号,垂直同期信号,フィールド識別信号がTTL出 力で得られる。タイミング発生回路は,ビデオ信号を A−D変換し,メモリに格納する制御を行なう。A−D 変換部では,全並列型,分解能8ビット,最大20 M H z サ ン プ リ ン グ が 可 能 で あ る A − D コ ン バ ー タ モ ンジュールを用いている。メモリは256kbitの S-RAM(スタティックラム)を2つ用いた。このメ モリに64Kbyteの画像1枚分が一時的に格納され, パソコンからの命令によってパソコン及びWSに転 送される。 図1に示した構成で,ディジタル化された画像デー タをパソコンに転送し,64Kbyteのファイルとして 保存するためのプログラムを作成した。 ビデオ信号からの画面データの取り込み範囲を図4 に示す。画面データ取り込みでは,水平同期信号を32 パルスやり過ごした後に,水平同期信号200パルスに ついてデータを取り込む。横方向のデータは,最初に10.4/xs(64サンプルパルス)待ってから,各水平同
期信号毎に,320ドットのデータを取り込む。サンプ リングレートは6.144MHzとした。よって,各水平同期信号毎に,320ドット×163,s=52.1〃sの変換時
嵯
ビデオ 入 力 回 路 '/oインタ+フェイス プルI…
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画像取得部 図2.パソコンとワークステーションとのネットワー ク化 = sample・imgsampIejmg ワ ー ク ス テ ー シ ョ ニ ワ ー ク ス テ ー シ ョ シ ■ ■ ー '11リ│リlIll職.lF 1 弓 扇 詳 弓
図1.分散画像処理環境の全体構成 gashi()
ワ ー ク ス テ ー シ ョ ン N F S VetwoIkFileSy 共 有 し て い (同一) 罰 一 診 stem)|/homell時
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A−タ 157 8ビット データ ワークステーション(WS)上で動作する画像処理 プログラムを用いる利点として以下のようなことが挙 げられる。
間となる。1画面の取り込みに要する時間は,63.5/a
s/ライン×232ライン=14.7,sとなる。 制御信号 図3.ビデオ入力回路のブロック図 320ドット 一 一増,
同 期 分 離 タ イ ミ ン グ 垂 生 回 路 グ ン路 1 0 0 ド ッ トI
2 0 0 ド ッ ト メ モ リ 64Kbyte A−D コ ン バ ー タ ビデオ 信号 佐藤・尾尻・棚田・長津:ネットワークを介した分散画像処理環境の構築 262. PC-9801 1.マルチタスク,マルチウインドウ機能を用いて, 処理の高速化,多重化が可能 2.WSの強力なネットワーク機能を用いて,処理の 分散化が図れ,リアルタイム的な操作が可能 3.ウインドウやマウスを扱う関数を持っており, ウインドウを開くことやメニューボタンを作るこ とが比較的容易にできる。 3 . 2 画 像 処 理 項 目 本画像処理プログラムには表1のような処理項目が準 備されている。 以上のように,市販の画像処理システムに劣らない 機能を有するシステムを構築できた。TIAS(TVIm‐ ageAnalyzingSystem)モードを選択することによ り,ビデオカメラからの画像を,ディジタル化し, WS上に表示することができる。 3 . 3 画 像 処 理 例 3.2節で述べた処理項目の中から主な画像処理の 例を以下に示す。 図6にここで用いた原画像を示す。以下の処理例は この原画像に各処理を施すものとする。 図7はヒストグラムを表示したものである。 図8はラプラシアンフィルタを用いて画像強調処理 を行ったものである。 図9はソーベルフィルタを用いてエッジを検出した 例である。 1I
ビデオ信号の第1フィールド 図4.ビデオ信号からの画面データの取り込み範囲 』【ラ
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図 5 . 画 像 処 理 シ ス テ ム の 画 面 構 成:
雪
:
:
二
二
二
両
に 二
I
3.Windowを用いた画像処理システム 3 . 1 概 要 本画像処理システムはSUNのOpenWindowシス テムを用い,画像をウインドウ上にIこ表示し,マウス で ウ イ ン ド ウ に 設 け ら れ た 処 理 ボ タ ン を 押 す こ と に よって,画像の読み込み,保存,処理などを行う。本 システムの画面構成図を図5に示す。 1つの画像を表示するのに横320ドット縦200ドット あるいは,横160ドット横lOOドットを要する。l画面 上に9画像十6画像の計15画像を一度に表示すること ができるので,処理前後の画像や,他の処理との比較・ 検討が容易にできる。 ファイル名入力以外はフルマウスで操作することが できる。扱える画像は,256階調のグレースケールで ある。開発言語としてC言語を使用しており,機能 の追加や改良が容易にできる。メインメニューには25 種類の処理項目が設けられており,サブメニューも合 わせると約65種類もの処理などが可能となる。 イン 「ン 3 2 0 ド ッ ト / ラ イ ン × 2 0 0 ラ イ ン × 8 ビ ッ ト = 6 4 0 0 0 ド ッ ト × 8 ビ ッ ト = 6 4 0 0 0 バ イ ト 戸S う0ドット図 9 . ソ ー ベ ル フ ィ ル タ に よ る エ ッ ジ 検 川 の 例 255histo9ram国> 閃7.原lTili像のヒストグラム 4 . お わ り に 我 々 が 椛 築 を 進 め て い る 分 散 画 像 処 理 環 境 に つ い て,その内容を報告した。ネットワークを介した画像 取得環境を椛築することを月的とし,パソコンとワー ク ス テ ー シ ョ ン ( W S ) を イ ー サ ネ ッ ト で ネ ッ ト ワ ー ク化した。その結果,パソコンで取得した11W像をWS に転送する煩雑なプロセスを行うことなく,WSに凹 像データを転送することに成功した。これによってパ ソコンからwsへの而像転送が大'冊に簡略化され, その後の画像処叫が'11滑にできるようになった。また, パソコン上で開発した阿像処理システムを発鵬させ, WS上のWindowシステムを附いて,より尚速かつ 大容量なⅢi像処理システムを構築することができた。 今後は,本画像処理システムを用いて人物の顔画像 より,個人を識別する研究を行ってゆく予定である。 図 8 . ラ プ ラ シ ア ン 強 調 後 の 画 像 蕊亀
診撫
霧
墓
閃 6 . 原 画 像嬢 雪
蕊鱗
Afnne SmooLhing :.ogic Edge Fixed Dyllamlc Dither 呪rr-dist Avr-err Avr-Iimit 1、IAS SAVE IjOAI〕 Reversc CLS HISTORY IMG…GET QUIT MIinc変換 平滑化 pixGl間の論理演算 ユッジ検出 固定しきい値法によ為2値化 動的しきい値法による2値化 デイ・ザ法IF.よる2値化 誤差配分法IF.よる2値化 平均誤差最小法に‘kる2値化 平均値制限法 パソヨンからの画像の取り込み 6 4 k b v t e に よ る セ ー ブ 64kbvteの画像デーータのロー‐ド 画 像 の 反 転 阿像の消去 処理のとストリーを見る 範 囲 指 プログラムを終了(画面消去〉佐 藤 ・ 尾 尻 ・ 棚 田 ・ 長 津 : ネ ッ ト ワ ー ク を 介 し た 分 散 画 像 処 理 環 境 の 構 築 参 考 文 献 [l]高木,下旧高木,下田:“画像解析ハンドブック,',東京大 学出版会(1991). 島田,磯部,塩野:“眉を含む両眼付近の部分画 像を用いた個人識別実験",信学技報,PRU 92-10,pp.、73-80(1992). 尾尻,入佐,佐藤,棚田,長津:“画像処理シス テムのネットワーク分散処理",平成4年度電気 関係関係学会九州支部連合大会,1142(1992). 159