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盲・弱視・健常児の「知識」 : WISC-R「知識」検査を使用して

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Academic year: 2021

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(1)Title. 盲・弱視・健常児の「知識」 : WISC-R「知識」検査を使用して. Author(s). 末岡, 一伯; 藤原, 等. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 45(1): 81-90. Issue Date. 1994-10. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/5328. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第4 5巻. 第1号. 平成6年10月. lo f Hokka i do Un i i fEduca i i l journa ty o t t ver s on(Sec onIC)Vo .45 ‐l , No. oc tobe r ,1994. 盲 ◎ 弱視o健常児の 「知識」. --WI SC-R 「知識」 検査を使用 して--. 末. 1. 問. 岡. 伯・藤. 原. 等. 題. 1‐ 問題の所在 ( 1 ) 「知識」 とその研究の概観 ( ァ ) 一 般 に 「知 識」 と は, 「知 恵 と見 識」, 「知 る こ と」, 「認 識」, 「理 解」, 「知 っ て い る 内 容」, 「知 ら れ て い る 事 物」, 「ある 事 項 に つ い て 知 っ て いる こ と」 ま た 「そ の 内 容」, 「知 ら れ て い る 内 容」, 「認 識 に よ っ て 得 ら れ た 成 39 果」 な どと 言 わ れ て い る‐)). ”) 教育学的には学力の分析・分類のときに使用されることも多く, 例えば, 学力を能力概念としてとらえるよう 1 1 な場合には )「理解」 「知識」 「技能」 「思考」 「態度.興味」 「習慣」 「鑑賞」 などとして表すことがあり, この場 合の 「知識」 という取り扱われ方 である‐ ( ゥ ) 教育心理学的には, 「知識」 とは事実や手続きなどに関する情報の集合であると言われている‐ 「知識」 は人類 が生活探究活動の過程の中で作り出したものである. 人類出現以来, こうした活動が積み上げられてきており , その中で知見が, 一つの体系としてまとまり知識が構造化してきたものとも言える. しかし, この体系は単純な ものではなく, たえず変化と修正, 消滅と生成を繰り返して今日に到っている‐ 学校教育では, 国語 社会 数 , , 学, 理科, 音楽, 美術, 体育, 外国語などの各教科に分けて 「知識」 を分類・整理することも 「知識」 の構造化 の一例である‐ 例えば, 国語という教科の中に, 更に細かな 「知識」 を構造化することもできるだろう. 特に学 6 ) 校教育における指導は, このような 「知識一 体系に依存して行われているわけである. 更に近年, 認知科学や情報科学, 人間科学などの新しい展開は 「知識」 の再構造化を図ることが必要であると. 6 ) 指摘 して お り, 以 来, 少 し時 間が 経 過 して いる‐. ◎. 心理学的には, 近年, 言語理解における先行的役割としての 「知識」 が注目されている‐ 言語理解と協動して 内側から情報解釈の仮説を発見させるものが,「知識 ( knowl ) edge 」 であると言われ, その 「知識」 は長期記憶内. に蓄積されると推論されている. この 「知識」 には, 言語に関する知識 (語義や文法の知識) だけではなく 外 , 界についての一般的知識が含ま れていると言われる‐ 一 般的知識は, 「事実に関する知識」 (宣言的 知 識 , decl i dge arat ve knowl ) と, こ れ ら の 「宣 言 的知 識」 を どう 使 う か と 言 う 「使 い 方 に つ い て の 知 識」 (手 続 的 知 lk 識, procedura ) も含まれている‐ これらの 「宣言的知識」 と 「手続的知識」 を総称して認知心理学で nowl edge. は, ス キ ー マ ( schema) と 呼 ば れ る‐ Rume l har tら, 認 知 心 理 学 の 研 究 者 た ち は, こ のス キ ー マ を 「入力 情 報 の中 に そ の ス キ ー マ に よ っ て 表 現さ れ ,. 1 8 ) ) る概念の具体例を示すものがないかどうかを探す手続」 と定義している‐ i f 的 人工 知 能 ( i i li l i t l ) の研究者たちは,「知 識 表 現 (knowl ar c a nt e i t gence edger )」 の 研 究 に も 取 り組 epresenta on. んできた. 知識をコンピューターのデータとして定義し利用するために形式化することを 「知識表現」 と言って いる‐ 「宣 言 的 知 識 (knowi t ) ng wh a 」 ( ~であることを知るためには, ある関係や性質を知ればよい, と言う形式. で表される知識, 言語と世界に関する事実からなる知識) で表現する方法が最初に考えられたが 実際の問題と , して 「手 続 的知 識 (knowi ( ~することを知るためには ng h ~する条件を発見する と言う形式で表さ ow) 」 , , 81.

(3) . 末岡一伯・藤原. 等. れる知識, いかに物事を行うかについての知識) も重要であることに気がついたと言うのである‐ 普通の場合, この2つの知識形式は単独に存在する ことは少なく, 2つが組み合わされた形式で使用されていると言うのであ 第) る‐ 「手続的知識」 は 「宣言的知識」 の手続的付加として取り扱われることが多いようである‐ 反面,「知識」 を経験的なもの, 事実的なものという視点から迫ろうと言う, 従来からの考え方もあることを忘 れて はな ら な い‐ i t on でも あ る と 言 う わ け で ある‐ W I S C - R の言 語 nfo・ma edgeでも ある がi ( ヵ ) 上のことから 「知識」 は, knowl 「 edge ではなく 性検査の第1番に出てくる 「知識」 の下位検査は, WI S C 一 R 知 能 検 査 法」 に よれ ば, knowl i てinformat on な の だ と 言 う こ と に 注 目 して おく こ と が 大 切 で あろ う‐. fman ( Kau 9 9 ) によれ ば, この 「知識」 の下位検査 が測定している能力は, 「言語理解」 「習得知識」 「記憶 1 7 (1次的)」 「情報の蓄え」 「長期記憶」 「一般的事実についての知識範囲」 などである.「習得知識」 であると考え 4 ) るならば, これは学校と関連を持ち, 家庭環境の影響を受け, 長期記憶を含んでいると指摘している. 2 ) 視覚障害と 「知識」 ( 「知識」 が体系化され, 構造化されるものであれ ば, その記述方法には, 言語が利用されるであろう. 1つは 音声言語的な利用であり, 他の1つは, 文字言語的な利用である. 音声言語的な利用は聴覚音声理解的言語 (話. ( ァ ). し言葉・聞き言葉) であり, 文字言語的な利用 は視覚記号理解的言語 (書き言葉・読み言葉) である. 永続的な視覚情報遮断下にある盲児 (者) や永続的な視覚情報入力制約下にある弱視児 (者) の場合, 視覚情 報の制限が原因となって, 聴覚音声理解的言語による 「知識」 の方が視覚記号理解的言語による 「知識」 に比べ て体系化・構造化が比較的容易にできると考えられる‐ ) ところが, 周知のように聴覚音声理解的言語そのものが, 即時的・÷過性であるために長期記憶の貯蔵には, どちらかと言えば不向きである‐ 不向きで困難であっても実際のところ長期記憶の貯蔵だけが頼りなのである‐ 口承文化的な 「知識」 の貯蔵も存在することはあっても, その検証 が時間の経過と共に困難になることが多いの で あ る‐. 視覚記号理解的言語は,「知識」 の体系化・構造化をはかる時に比較的有利でありメ検索により検証も可能 であ る. 短期記憶に書き込んで, 必要なものは長期記憶に貯蔵することも可能であり, 読み書きの自由度も高く, 時 間の経過に対しても比較的耐え得るものである. 視覚障害があれ ば, 聴覚音声理解的言語による 「知識」 の方がなじみ易い.「知識」 の体系化・構造化と言うこ とになれば, 視覚記号理解的言語の方が便利である. だから, 点字と活字の利用による言語理解的な 「知識」 に なるわけだが, 触知覚は部分的, 継時的な特性を持つので 点字による理解 「知識」 には, 情報量と しての制約 が, ないわけではない‐ 一方, 視知覚は全体的, 同時的な特性を持っているが, 弱視児 (者) は, 視覚情報入力 に制約を受けているから活字の利用, 特に漢字の読み書きに問題を抱えている場合が多い. 活字による理解 「知 識」 の場合, 情報量としての制約がないわけではない‐ 視覚障害と 「知識」 は, 点字と活字の情報量の函数とし て 表す こと が で き る か も 知 れな い.. 2l o 9 ) )}は, 弱視児の語桑理解過程における聴覚.視覚変換の難しさを示唆している‐ 聴 1 9 9 2,1 9 3 藤原.末岡 ( 覚音声言語的な語桑情報に視覚的情報である絵情報を対応・選択させた結果, 小学5年生~中学3年生の弱視児 のレベルと, 健常視力4年生のレベルの間に差がなかったことを示している‐ 視覚障害児の言語 理解の制約が 「知識」 に影響を与えているのではないかと思われる. 2‐ 研究の目的 情報入力に際して, 盲児と弱視児, 健常視力児の感覚モ ダリティ が違っていることに注目 しながら, 言語理解におけ 0歳の視覚障害児・健常視力児を対象にして る先行的役割としての言語的な 「知識」 がどのような習得態様なのかを, 1 比較分析, 検討することを本研究の目的とした.. 82.

(4) . 盲・弱視・健常児の 「知識」. =. 方. 法. 1‐ 対象 1 0歳0月~11月の先天性盲児1 3名 (男6, 女7), 先天性弱視児26名 (男1 3 3 ), 健常視力児2 6名 (男1 3 3 )‐ , 女1 , 女1 先天性盲児1 3名の月齢の平均値1 2 6 2 6名の月齢の平均値1 二9 2, SD‐3 2 6 9, 健常視力 ‐97 , SD‐3 , 先天性弱視児2 ‐4 ‐8 児26名の月齢の平均値1 24 7 og視力再変換平均値 ‐31 ‐59であった. 先天性弱視児の遠距離視力の中央値は0 , SD‐2 ‐0 ,l は0 6 0 og視力再変換平均値は0 .11 ‐3 .01であった‐ 先天性弱視児の近距離視力の中央値は0 , 最大値0 , 最小値0 ‐0 ‐1 ,l , 最大値0 2であった. 健常視力児の遠距離視力は0 ‐3, 最小値0 .0 ‐7~2 ‐0であった‐ 2. 時期 1990年 ~1993年‐. 3. 材料. 「 日本版WISC-R知能検査法の中の6つ言語性下位検査の第1 0課題 ,番 知識」 テスト (日本版)‐ 第1課題から第3 まで全問実施した. 4. 研究手続き. 盲児と弱視児を こ対しては,「日本版WISC-R知能検査法」 に従い標準検査法通り個別に実施した. 但し, 第1課題 から第30課題まで全問実施した. 健常視力児には,「日本版WISC-R知能検査法」 に従い標準検査法の実施要領のね らいに基づき, 第1課題から第30課題まで, 全問にわたる質問紙法で実施‐ 学級単位による集団法とし, 教室教師が注 意深く実施した‐ 健常視力児には各課題は活字で個別に提示され, 他と相談することなく答は鉛筆で文章記述するよう 求めた‐ 実施者の教室教師は, 各課題毎に 「日本版WISC-R知能検査法」 の通りに課題文を読み上げ 音声聴覚言 , 語を使用した‐ 対象児の全員が終了するのを確認してから次の課題へ進んだ‐ 対象児が当該課題に答えられなかったと きには, その課題解答欄に×印を記入するように求めた‐ . 検討の方法 ( 1 ) 第1課題から順に成功率を求め50%,7 0%を基準に検討した‐ 2 ( ) また, 各課題が内包している主情報を7名の職業の違う成人に整理してもらい, 課題を 「具体的」 と 「抽象的」 , 「感覚的」 と 「非感覚的」 「数量的」 と 「非数量的 「宣言的 と 「手続的 課題の 4つの課題タイ プに分別L 」 」 」 , , , 成功率について検討した‐ 分別にあたり見解の分かれた課題は多数見解を採った. 3 ( ) WISC-R 「知識」 検査, 各課題の分別タイ プ一覧 ( ) 以上の( 4 1 )から( 3 )までについて盲児群・弱視群・健常視力群の3群について分析的に その教育 心理学的諸特性に , ついて分析検討を試みた‐. 83.

(5) . 末岡一伯・藤原. 等. 表1. 各課題の主内容と分別課題タイ プ 課題楠 .. 課. 題. の. 主. 内. 容. 課題1 親指の名称 課題2 耳の数, いくつ 課題3 大の足, 何本 課題4 にわとりの子, 何という 課題5 1年の季節, 何々 課題6 1 ダー ス, 何 本 課題7 1週間は何日 課題8 太陽沈む方角, どちら 課題9 飲むお湯をわかす方法, 教えて 課題1 0 桜の花びらの数, 何枚. タ. イ. プ. 感覚的・具体的・非数量的・宣言的 感覚的・具体的・数量的・宣言的 感覚的・具体的・数量的・宣言的 感覚的・具体的・非数量的・宣言的 非感覚的・抽象的・数量的・宣言的 ・ 非感覚的・具体的・数量的・宣言的 非感覚的・抽象的・数量的・宣言的 感覚的・具体的・非数量的・手続的 感覚的・抽象的・非数量的・手続的 感覚的・具体的・数量的・宣言的 非感覚的・抽象的・数量的・宣言的. 課題1 5 油が水の上に浮かぶのは、 なぜ 6 アメリカの発見者は, だれ 課題1 課題1 7 カ ズノコはどんな動物から取れる 8 課題1 電球の発明者は, だれ. 感覚的・抽象的・非数量的・手続的 非感覚的・具体的・非数量的・宣言的 感覚的・具体的・非数量的・宣言的 非感覚的・具体的・非数量的・宣言的. 9 象形文字とは, なに 課題1 課題20 チリという国, 何という大陸にあるの 課題21 ギリ シ ャ の 首 都 は, どこ. 感覚的・具体的・非数量的・手続的 非感覚的・抽象的 ‘非数量的・手続的 非感覚的・抽象的・非数量的・宣言的. 課題2 2 アメ リカ は, どこ の 国 か ら独 立 した の 課題2 3 地球の陸と海の面積の割合はどのくらい 課題2 4 鉄 は, 何 に よ っ て サ ビる の 課題2 5 アメリカ合衆国の隣りのニつの国の名前 課題26 イランという国は何という大陸にあるの. 非感覚的・抽象的・非数量的・宣言的 感覚的・抽象的・数量的・手続的. 課題30 バ ロメ ー タ ー と は, 何 の こ と. 果. 題. 課題11 1 ト ンの 目方 ・重 さ は→ 何 k g ですか 2 昨日が火曜日だとしたら→明日は何曜日 課題1 課題1 3 胃は, どんな働きをするの 4 うるう年に1日多くなるのは何月 ですか 課題1. 課題27 チ ャ ー ル ズ ・ ダー ウィ ンは, どう い う 人 8 ガラスを作る, 原料はなに 課題2 課題29 東京から福岡までは, おおよそ, 何キロ. 皿. 結. 課. と. 考. 非感覚的・抽象的・数量的・手続的 非感覚的・抽象的・非数量的・手続的 非感覚的・抽象的・数量的・手続的. 感覚的・抽象的・非数量的・手続的 非感覚的・抽象的・数量的・宣言的 非感覚的・抽象的・非数量的・手続的 非感覚的・抽象的・非数量的・手続的 感覚的・具体的・非数量的・手続的 非感覚的・具体的・数量的・手続的 感覚的・具体的・非数量的・宣言的. 察. 1. 課題ごとの通過率につ いて 0番以降の正解者は0名であった‐ 弱視群は, 課 課題は30番まである. 盲児群は, 課題1~19番まで正解者がおり,2 5番,2 6番は正解者がおり, それ以外の課題では 2番,2 8番までと,20番,2 題1~1 .正解者は0名であった. 健常視力群 6番,29番は正解者 がおり, それ以外の課題では正解者は0名であった‐ 課題21番 5番,2 9番までと,2 では, 課題1~1 23番, 24番, 27番, 28番, そ して30番 に つ い て は, 3 群 の 何 れ に お い て も正 解者 は 0 名 で あ っ た‐ 図 1 と 図 2 の 縦 軸 は. 成功率, 横軸は課題番号を表 している‐ 0%以上で見るとき 2. 成功率5 ( 1 ) 盲児群・弱視群が成功, 健常視力群が失敗した課題 「太陽沈む方角 どちら」 2 ). 盲児群成功率69 課題8番 ( ‐3%, 健常視力群成功率38‐5% で ‐2%, 弱視群成功率9 , あった‐ この課題に関しては, 視覚障害児の方が習得知識の定着率が確実なのではないかと思われる‐ 盲児は自分 の視覚では 「太陽の日没」 方向を確かめようもない‐ 同じように視覚を使えても極めて厳しい制約のもとにある弱 84.

(6) . 盲・弱視・健常児の 「知識」. 100 100 100. 1 81 g 8 88 g錨警醒一61 龍8 , 69 92. 61. -. 77. 38. 69 69 46 54 50 50 62 42 38 5o 38 58 8 31. 42 31. 圃 盲児群 冒 弱視群 圏 健常群. O. ヱ. 2. 3. 4. 5. 6. ▼7. ▲ 8. 図1‐ 課題別成功率. 髪 38 捧 31. 10. 40. ヱ OZ Zヱ 2 ヱ 3ヱ 4ヱ 5. 盲・弱視・健常児の比較 (その1). 46. %. 5o. 9. 42. 祈 ▲ Y. 27. 圃 盲児群. 昌 弱視群 圏 健常群. 30 20 10. 8. 8. 8. 8. 8. 4. 0. 0. 4. 8. 0. 0. 0. 0. 0. 0. ^= U. 0. 0. 0. 0. o. o. 0 o. 8 0. 0. 0. 0. 0. 0. o. o. o. 0. 0. ヱβ ヱ 7ヱ8 ヱ9 20 2ヱ 22 23 24 β5 26 2728 29 30 図2. 課題別成功率. 盲・弱視・健常児の比較 (その2). 視児も, 自分の視覚で 「太陽の日没」 方向を確かめることは可能な部分もあるが困難の方が多い したがって 習 ‐ , 得知識として確実に記憶しているものと思われる‐ 健常視力児の場合は, 視覚を自由に使えるだけ 自分の視覚で , 「太陽の日没」 方向を確かめられるだけ余裕があり その分だけ暖昧にな て 東西南北の概念化の未発達が失敗 っ , , の原因になったのではないかと推察される‐ ( 2 ) 弱視群・健常視力群が成功, 盲児群が失敗した課題 ( “ 課題1 0番 (「桜の花びらの数は, 何枚」)‐ 盲児群成功率77% 弱視群成功率500% 健常視力群成功率500% , ‐ , ‐ であった. 弱視群・健常視力群の成功率も,50 ‐0%で高いものとは言えないが, 盲児群との差は, 視覚情報処理 と触覚 (触運動知覚的) 情報処理の差ではないかと考えられる‐ 盲児を こ 「桜の花 びらの数一 の観察経験が仮に あったとしても, それは極めて困難を伴う観察である‐ 観察の経験量も少なく 他種類の花の花びらの数との比 , 85.

(7) . 末岡一伯・藤原. 等. 較経験も乏しく, 図鑑や挿絵, 写真や映像などから情報を得ることも困難であるから, この知識習得の機会が皆 無ではないにしても, 知識として記憶するまでには到っていなかったものと推察される‐ 「うるう年に1日多くなるのは何月 ですか」 9 ). 盲児群成功率38 ”) 課題1 4番 ( .2%, 健常視力 ‐5%, 弱視群成功率6 群成功率53 .8%であった‐ 盲児用 (点字) カレンダーは存在するが, 弱視児や健常視力児のように, 日常的にカ レンダーを利用することは少ない. 対象とした10歳の盲児の生活活動の中で, カレンダーを利用することは極め て稀である‐ 学級 (盲学校) や寄宿舎の自分の部屋に 点字カレンダーが掛けられていることは (ほとんど) 事実 である. しかし盲児が生活する家庭の場合は, そのように配慮されている家庭と, まったく配慮されていない家 庭があるのも事実である. 点字カ レンダーがあちこちに、 普通のカレンダーと同量程度に掛けられていることは ない‐ 例え同量程度掛けられていたとしても, そのカレンダーに1つ1つ接近して触察しなけれ ばならないから 0歳程度の盲児はカレンダーなしの生活をしている ことも多い. 「何 情報量が飛躍的に増大するわけではない.1 月何日か」 は, 音声言語で質問すれ ば大体の生活には支障がおこらない‐ 抽象的・手続的な知識として 「うるう 年に1日多くなるのは何月か」 を意識する日常性が少ないこと, 経験量としての少なさが盲児群の失敗の要因で はないかと推察される. ある日ある時, 突然カレンダーに興味関心を示す盲児が存在し, サヴァ ン的な能力 (未 来や過去の何年~何十年先の暦を言い当てる) を発揮する者もいる‐ 感覚モダリティ の違いによる情報様式の違 いと言えるかも知れない‐ ( 3 ) 健常視力群が成功, 盲児群・弱視群が失敗した課題 「胃は どんな働きをするの」)‐ 盲児群成功率4 2 6 課題1 3番 ( ‐2% .3%, 健常視力群成功率69 .2%, 弱視群成功率4 , であった‐ 視覚障害児にとって 「胃」 は, 具体物のようにも思われるが, 実際に日常的に, 触ってみることのでき ないものであり, 「その働き」 については抽象的であり, 手続的であり, 確かな知識として記憶する ことが暖味に なっているのではないかと思われる. 健常視力児にとっては, 触ってみることのできないものだが, 視覚情報とし て必要に応じて 「胃」 と 「その働き」 についての知識を相当量取得することが可能である‐ 弱視児は、 視覚情報を 利用することはできても, かなりの努力をして目的意識を働かせない限り困難を伴う. 視覚情報量や質の違いが弱 視児と健常視力児の差ではないかと推察される. ( 4 ) 盲児群・弱視群・健常視力群の3群とも失敗した課題 1番についてのみふれるが,「1トンの目方・重さは→何脳 ですか」 という課題であ 5番~30番であった‐1 1 1番,1 0 る‐ 盲児群成功率3 ‐0%であった. 単位の換算に絡む非感覚的. ‐5%, 健常視力群成功率50 .8%, 弱視群成功率38 抽象的・数量的・宣言的 「知識」 である‐ この場合, 宣言的知識であるとの分別について は見解の相違が見られ討 論を要した‐ 手続的過程を経て最終的には 「宣言的知識」 になるということで落ち着いた‐ 単位換算過程が数量的 ・抽象的・手続的であることが対象の3群とも失敗 した要因ではないかと推察される. 手続的過程を省略して 「1 0 0o kg トンの重さは,1 」 と記憶されても良いのではないか, その意味で, 宣言的知識とした方が良いのではないか という見解でまとめられたが, その場合は, 盲児群・弱視児群の成功率が, もう少し高くなっても良いのではない かと思われる. 成功率が健常視力 児群を含めて高くならなかった原因の1つに、 課題が単位の換算なの で数量的・ 抽象的・手続的理解をしようとして失敗したのではないかということも伺わせる. 0%以上で見るとき 3‐ 成功率7 ( 1 ) 弱視群・健常視力群が成功, 盲児群が失敗した課題 「鉛筆1ダースは 何本ですか」)‐ 盲児群成功率61 2 ( ァ ) 課題6番 ( .3%, 健常視力群成功率 .5%, 弱視群成功率9 , 1 00%であった‐ 盲児群はどちらかと言えば数量的知識に弱いのだろうか. 2 9 ” ) 課題7番 (「1週間は何日ですか」)- 盲児群成功率6 ‐3%, 健常視力群成功率96.2%で ‐2%, 弱視群成功率9 あった‐ この課題の場合でも, 盲児群は, どちらかと言えば数量的知識情報処理に弱いことを伺わせる. 「飲むお湯をわかす方法, 教えて」 0 )‐ 盲児群成功率61 ( ) 課題9番 ( ゥ ‐8%, 健常視力群成功率 ‐5%, 弱視群成功率8 「 その操作法をイ 92 .3%であった‐ 盲児群の場合, 非数量的であっても 飲むお湯をわかす方法」 については, 0歳の盲児の メージするとき, 触知覚的に抽象的に手続的に思考理解することが多いのではないかと思われる‐1 学習場面を考えるとき, 学校や寄宿舎で数回にわたる指導は受けていても, 日常生活場面で弱視児ほどその操作 86.

(8) . 盲・弱視・健常児の 「知識」. 法の情報が提供されるわけではない‐ 家庭においても, どちらかと言えば盲児は弱視児や健常視力児ほど実際に 自分で操作する機会を持てない. 弱視児や健常視力児は, 実際に自分で操作することがなくても家族の誰かが操 作 している場面を視覚的に経験することができる. 盲児が触覚 (触運動知覚) 的に, 家族の誰かが操作している 場面を経験しようとするときには、 実際場面に目から参加することが必要になる‐ 盲児群の成功率の低さの原因 は, 感覚モ ダリティ の違いによる情報量と経 一験量の差ではないかと考えられる‐ ( 2 ) 弱視群が成功, 盲児群・健常視力群が失敗した課題 「太陽沈む方角 どちら」) 盲児群成功率6 9 課題8番 ( ‐3%, 健常視力群成功率38‐5%で .2%, 弱視群成功率92 ‐ , 1 )で ふれ たの あった‐ この課題における極端な健常視力児群の成功率の低さについては, 上の 「結果と考察」 2 の( で省略する‐ 3 ( ) 盲児群・弱視群・健常視力群の3群とも失敗した課題 課題1 0番~30番で, 3群において, 何れの課題においても成功率7 0%をこえるものはなかった‐ 4. 課題ごとの3群における成功率と失敗率の関係 3 × 2の分割表を使って3群と成功率・失敗率間の相関を見た‐ 衰2‐ 課題 ごとの3群における成功率と失敗率の関係 課題N Q I. 統. 計. 2 = 8 108 x .. 量. (df= 2) p< .05. 3群とも成功率 1 0 0%. 2. ズ2 =20 ‐341 x2 = 4‐656 x2 = 8‐333. p< .01. 8. x2 =61 .828 2 =34-585 z 2.088 z2 =4. p< ‐0l p< ‐0l p< .0l. 3 4 5 6 7. n‐S‐ p< ‐05. 9. x2 =27‐142. p< .01. 10. {銘 尤2 =51 ‐0. p〈 ‐0l. 11. p< ‐05. 12. 2 = 7 716 x ‐ 2 = 0‐型1 7 ヱ. 13. 7.024 x2 =1. 14. 9.331 x2 =1. p< p<. 15. 2 = 3 562 ヱ .. n‐S.. 16. 9‐671 x2 =1 x2 = 2-849. p< ‐0l. 19. ズ2 ;25 ‐223 2 = 8‐333 x. P< -01 p< ‐05. 20. ヱ. 2 =16 438 ‐. P< -01 ‐. 17 18. 21 22 23 24 25 26 27 28 29. 30. n.S‐. ‐0l ‐01. n.S‐. 3群とも成功率 0% x2 =1OJ25. p〈 .01. 3群とも成功率 0% 3群とも成功率 0% ヱ2 = 8‐333 2 ; 8 451 ズ ‐. p< .05 p〈 -05. 3群とも成功率 0% 3群とも成功率 0% 6‐438 x2 =1. p< ‐01. 3群とも成功率 0%. 成. 功. 率. の. 傾. 向. 盲児群=弱視群>健常視力群 盲児群=弱視群=健常視力群 弱視群>健常視力群>盲児群 健常視力群>弱視群>盲児群 健常視力群>弱視群>盲児群 健常視力群>弱視群>盲児群 健常視力群>弱視群>盲児群 弱視群>盲児群>健常視力群 健常視力群>弱視群>盲児群 健常視力群=弱視群>盲児群 健常視力群>弱視群>盲児群 盲児群=弱視群〉健常視力群 健常視力群>盲児群>弱視群 弱視群>健常視力群>盲児群 弱視群>盲児群=健常視力群 健常視力群>盲児群>弱視群 盲児群>弱視群>健常視力群 健常視力群>弱視群>盲児群 盲児群>健常視力群>弱視群 弱視群〉盲児群=健常視力群 盲児群=弱視群=健常視力群 弱視群>盲児群=健常視力群 盲児群=弱視群=健常視力群 盲児群=弱視群=健常視力群 弱視群>健常視力群>盲児群 弱視群=健常視力群>盲児群 盲児群=弱視群=健常視力群 盲児群=弱視群=健常視力群 健常視力群>盲児群=弱視群 盲児群=弱視群=健常視力群. n‐S‐ p>‐05. 87.

(9) . 末岡一伯・藤原. 等. 5‐ 課題タイプごとの3群における成功率と失敗率の関係 3 × 2の分割表を使って3群と成功率・失敗率間の相関を見た. 表3. 課題タイ プごとの3群における成功率と失敗率の関係 課題タイ プ. 統. 宣言的 知識. x2 = 3 ‐309. 手続的 知識 感覚的 知識. x2 = 0 ‐664 2 = 10 x . oo 2 3 33 x = ‐9 2 = 1 71 z ‐ 1 x2 = 1 .950. 非感覚的知識 具体的 知識 抽象的 知識 数量的 知識. 成. 功. 率. の. 傾. 向. 健常視力群>弱視群>盲児群 弱視群>健常視力群>盲児群 弱視群>健常視力群>盲児群 健常視力群>弱視群>盲児群 弱視群=健常視力群>盲児群 健常視力群=弱視群>盲児群 健常視力群>弱視群>盲児群 健常視力群=弱視群>盲児群. p> .05 p> ‐05 p> ‐05 p> ‐05 p> ‐05 p> .05. 2 = 4 929 ズ ‐ 2 = 16 x . 32. 非数量的知識. (df= 2). 量. 計. p> -05. p> ‐05. 6. 3群から見た課題タイ プごとの成功率と失敗率の差 2 × 2の分割表を使って分析した‐. ( 1 ) 盲児群の場合 表4‐ 盲児群における課題タイ プごとの成功率と失敗率の差 成. 功. ′率. の. 傾. 向. 統. 富言的知識課題>手続的知識課題 感覚的知識課題>非感覚的知識課題 具体的知識課題>抽象的知識課題 数量的知識課題>非数量的知識課題. 計. 量. ( df= 1). 2 = 9 898 x ‐. p< ‐0l. x2 = 4 .367 ズ2 = 4 .978 2 =1 1 x ‐705. p< ‐01 p< -05 p< .01. ( 2 ) 弱視群の場合 表5‐ 弱視群における課題タイ プごとの成功率と失敗率の差 成. 功. 率. の. 傾. 向. 統. 宣言的知識課題>手続的知識課題 感覚的知識課題>非感覚的知識課題 具体的知識課題>抽象的知識課題 数量的知識課題>非数量的知識課題. 計. 量. (df= 1). 3-973 x2 =1 2 = 2 956 ズ .. p< ‐01. z2 = 4 ‐604. p< p<. n・S.. x2 =17 .026. ‐05 ‐01. n.S‐ p>‐05. 3 ) 健常視力群の場合 ( 表6. 健常視力群における課題タイ プごとの成功率と失敗率の差 成. 功. 率. の. 傾. 向. 宣言的知識課題>手続的知識課題 感覚的知識課題>非感覚的知識課題 具体的知識課題>抽象的知識課題 数量的知識課題>非数量的知識課題 n‐S. p>‐05. 88. 統. 計. 量. (df= 1). x2 =18‐603. p< ‐0l. 2 = 0 328 x -. n.s.. x2 = 4 .604 2 =18‐182 ズ. p< ‐05 p< -01.

(10) . 盲・弱視・健常児の 「知識」. ‐ ‐. 龍 57. 54. 44 4・ g. 6. 59 9 5. 0 48 5. 5 6 “. 36 28 35. 60. 5 0 44. 宣 言的. 4o35. 23. 30. 30. 菖 手続的 圏 感覚的 圏 非感覚的 圏 具体的 皿 抽象的 圏 数量的 璽 非数量的. nV. 盲児群. 弱視群. 健常群. 図 3‐ 3群から見た課題タイ プごとの成功率. 7‐ 全体をまとめて ( 1 ) 課題ごとに見た3群間の成功率は,50%,7 0%水準で検討した課題8番,1 0番, 1 3番, 6番, 7番, 9番 4番,1 のすべては, 統計的な分析でも (表2) 1%水準で有意なものであった‐. ( 2 ) 宣言的知識課題>手続的知識課題, 具体的知識課題>抽象的知識課題, 数量的知識課題>非数量的知識課題, の 成功率に関する傾向は盲児群, 弱視群, 健常視力群の3群に共通することが統計的な分析でも (表4, 5, 6) 示 唆された (p<‐0 5 ). ところが盲児群では, 感覚的知識課題>非感覚的知識課題, が p<‐05を 示 して いる ,p<‐01 が, 弱視群と健常視力群では, 感覚的知識課題>非感覚的知識課題, の傾向は示しているものの5%水準で有意で はなかった‐ 盲児群の知識情報処理過程には感覚的なものが影響を与えていることが伺える‐ 弱視群, 健常視力群 の知識情報処理過程には感覚的なものが, それほどには成功率に影響を与えていないようである‐ ( 3 ) 盲児群, 弱視群, 健常視力群の知識は, 宣言的で具体的で数量的なものほど成功率は高い傾向を伺わせる‐ 盲児 群は, それに加えて感覚的なものが成功率を高くする傾 向を伺わせている‐ 感覚モダリティ の違いが成功率に影響 を与えていることを伺わせる課題 (9番,1 0番,1 3番,1 4番) もあったので, 盲・弱視児の 「知識」 傾向の理解に は配慮が必要であろう‐. N. 参. 考. ・. 引. 用. 文. 献. 1) 内田伸子( 1 98 1 ):理解‐ 藤永 保他編:新版心理学事典.pp 810 ‐808‐ ‐ 平凡社‐ 2) 藤原 等・末岡一伯( 19 9 2 ):弱視児の語い理解における聴覚・視覚変換過程について‐ 北海道心理学研究‐ 第1 5号 pp‐19‐20‐ 3) 久松潜-監修( 19 74 ):改訂新潮国語辞典‐ 改訂第2刷‐p.122 5 ‐ K 4) aufman l l i i 1979 ):lnte t ththe WISC-R‐john Wi l ng wi gent Tes nc ,A‐ S. ( y & Sons ,l .中塚善次郎・茂木茂八‐田川元康訳 19 83 ( )‐ WISC-R による知能診断‐ 日本文化科学社‐p‐136 ‐19 2‐ ,pp‐183 5) Lachman f i l d 1979 i i ter ) : Cogn t l i e i ve Psycho t ‐ ogy and l . L‐ nf orma on Process ,R ng : An , Lachman ,J , & But , E- C. ( l i l baum As t i nt r oduc on t s o c a 19 88 ) 認知心理学と人間の情報処理 皿 サイエンス e sl nc ‐Lawrence Er .箱田裕司・鈴木光太郎監訳(. ,. ‐. 社‐ pp‐607‐656‐. 6) 梶田 正( 1991 ):知識の構造化. 三宅和夫他編:教育心理学小辞典‐ 有斐閣‐p‐226 ‐ 7) 溝口文雄( 199 3 ):人工知能‐imi da 2‐7 23 s ‐ 集英社‐pp‐72 ‐ D E l 7 d i H 工 8) Rumelhart 1 9 7 t t t f i i t l rma on Pr oces s ng 1979 )‐ 人間の情報 ns nc y & So , . .( ): nro uc on o uman no .John Wi .御領謙訳( ,l 処 理‐ サイ エ ンス 社. pp‐101‐202‐. 9) 新村出編( 19 91 ):広辞苑‐ 第4版第1刷‐ 岩波書店‐p ‐1647 . 89.

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参照

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