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中学生の持つ「食卓イメージ」と食生活との関わり

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Academic year: 2021

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(1)中学生の持っ『食卓イメージ」と食生活との関わり 教科・領域教育学専攻 生活・健康・総合内容系コース. M082231 北本 裕子 I研究の背景と日的. 2008年8月6目に集合法による質問紙調査を行った。. 近年,環境やライフスタイルが変化してきた中で家. 庭を中心とする食育が十分に行われていないことが. 回収数50(回収率68%),有効回答率は100%であ った。. 指摘されており,実際に中学校という教育現場でも,. 乱れた食生活の実態が垣間見られるようになってき た。しかし中学生時代は最も多感な時期であるため,.  中学生の食生活の全体的傾向をつかみ,生徒そ. プライバシーの面を考えると,実際の家庭での食生. れぞれが持つr食卓イメージ」と食生活に関わる種々. 活の様子はなかなか見えにくい。ところが中学時代. の要因との関連を調べることを目的として質聞紙調. が心身の成長期であることも考えると食の基盤であ. 査を行った。調査は2009年4月から7月にかけて兵. る家庭の「食卓」を見過ごすことはできない。. 庫県内2校の中学2年生256人(男子116人,女子.  食卓を扱った先行研究では,小学生に食事風景. 140人)を対象に実施した。有効回答率は98%であ. の絵を描かせたり,実際に食べたものを聞き取ったり. った。. した結果を分析したものなどがいくつか見られるが,.  アンケートでは「食卓イメージ」「食行動」「食環境」. 中学生にとっての食卓と食生活に関わる種々の要. r良知識」r調理技能」r食べの興味・関心」r健康状. 因について検討した研究は見られない。. 態」の7項目について回答を得た。「食卓イメージ」と.  そこで本研究では家族で囲むr食卓」に焦点をあ. 他の6項目との関連を調べるために,r食卓イメージ」. て,中学生が持っているr食卓イメージ」と食生活の. を得点化した『イメージ得点」を算出し,各項胃の回. 関わりについて明らかにすることを目的とした。その. 答ごとにイメージ得点の平均値を比較した。. ためにまず中学校における食育の状況を調べ,課 題を整理した後,中学生の持っ食卓イメージと食生. 3.食卓を見直す授業実践. 活に関する調査を行った。さらにプライバシーに配.  プライバシーに配慮するために既存のマンガの食. 慮するために既存のマンガの食卓場面を教材とした. 卓シーンを教材とした,食生活分野の導入授業を実. 授業を実践し,その学習効果を調べた。. 践した。対象は2009年4月に兵庫県内のA中学校.  そして現代の中学生の抱える食の現状や問題を. 2年生138人(男子58人,女子80人)である。教材. とらえ,今後の教科指導や生活指導に役立てたいと. には,自由に好きなものを好きなだけとって食べる. 考えた。. 「家族との会話が少ない形式」と,各自に盛りつけら れた料理を「家族と会話しながら囲む形式」という二. II研究内容と方法. つの家庭での食べ方の違いを提示したストーリーの. 1.中学校における食育の現状と課題調査. マンガ資料を用いた。評価は,学習前後の食卓の意.  中学校での食育の実施状況を把握するために,. 識についての記述内容と,授業内のワークシート及. 神戸市y中学校の家庭科教員(73人)を対象とし,. び授業評価の記述内容を調べることにより行った。. 一438一.

(2) 低いことより,ひとりで食事をする習慣とr食卓イメー. 皿結果. ジ」の関連がうかがえた。. (1)全校計画をもとに全校で食育を推進している学校. はわずか4%であり,半数以上の学校は全体計画で. 3.授業実践の評価. はなく一部での取り組みであり,家庭科の時間で食. (1)「食卓ときいて思い浮かぶこと」として学習後に加. 育を行っていることがわかった。. 筆されたキーワードはr家族・会話・共食・コ食」といっ. (2)家庭科の年間授業時数の少なさに多くの教員が. た家族に関わるものや,食マナーや,手伝い,栄養・. 苦労している様子がうかがえた。またその限られた時. 健康に関わるものが多かった。. 間内で今よりも学ばせたいこととして最も多くあげられ. (2)学習前は理想の食卓としてr家族との会話が少な. たのは「基礎的な日常食の調理」(60%,30人)で,. い形式」と「家族と会話しながら囲む形式」を,ほぼ同. 次いで「食品の選択」(38%,19人),「食のマナー」. 数の生徒が選んでいたが,学習後は86%の生徒が. (38%,19人),「家庭や食卓の大切さ」(32%,16. 後者を選んだ。. 人)などであった。. (3)授業の感想ではr授業はわかりやすかった」. (3)中学生の食に関して気になることとして,中学生. (86%),r食卓の大切さを考えられた」(80%)をはじ. の食習慣や家庭での食生活の乱れに関する内容を. め,良好な回答の割合が高かった。. マンガ教材を授業に取り入れることで理解しやすく. あげた教員が22人と最も多かった。. なり,また食卓のイメージをふくらませて自分たちの. 食生活に関心を持つことができたため,本授業は食 生活分野の導入になりうることが示された。. (1)食行動に関する「インスタントカップ麺の利用頻. 度」が週2回以上と答えた者は男子で12.3%,女子 で4.3%と男子の利用頻度が高く,またr食事の手伝. IV考察. いをする割合」は男子で64.0%,女子では84.1%な.  食に対しては男女の意識の差が大きいことを踏ま. ど男女間で有意な差が見られた。さらに調理技能や,. え,食に対する興味・関心を持たせられるような授業. 食べの興味欄心,健康状態についても男女差が顕. を構築する必要があると考えられた。また,よい食卓. 著に見られ,男子の意識の低さが目立った。. イメージと良好な家族関係や家族に対する好ましい. (2)食卓に対して概ね肯定的なイメージを持っている. 感情は関連があることが明らかとなったが,家族関係. 者が多いことがわかったが,会話に関わる「楽しい」. は大変デリケートな問題であるため,授業で扱う際は. rにぎやかだ」についてあてはまると回答した女子は. 客観的に家族の大切さを考えさせるような工夫が必. 男子よりも多かった。このことより女子が家族との会話. 要である。さらに食卓イメージと食行動との関連も見. を好み,またそれが「家族への関心」の高さとも関わ. られたことから,踏み込みにくい家族や家庭の食に. っていると考えられた。. ついて直接アプローチしなくても,食行動を尋ねるこ. (3)食卓イメージの得点をもとに食生活に関わる種々. とによってある程度家庭の様子を推察できると考えら. の要因との関連を分析した結果,r食行動」r食環境」. れる。さらにそこから中学生にとって身近な食の指導. 「食べの興味・関心」の中の,家族との関わりに関す. を行うことを通して生活指導することも可能である。. る内容のものと「食卓イメージ」との間に関連が見られ ることがわかった。. (4)「インスタントカップ麺の利用頻度」や「子どもだけ. で夕食を買って食べる頻度」の高い者,「食事のあい. 主任指導教員  岸田恵津. さつを言う頻度」が低い者では食卓イメージの得点が. 指導教員    岸田恵津. 一439一.

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