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絵本の読み聞かせが小学校英語の目標達成に与える影響 : 国内研究を中心にしたレビューから

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(1)Title. 絵本の読み聞かせが小学校英語の目標達成に与える影響 : 国内研究を中 心にしたレビューから. Author(s). 金山, 幸平. Citation. 北海道教育大学紀要. 人文科学・社会科学編, 71(2): 93-106. Issue Date. 2021-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/11718. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(人文科学・社会科学編)第71巻 第2号 Journal of Hokkaido University of Education(Humanities and Social Sciences)Vol. 71, No.2. 令 和 3 年 2 月 February, 2021. 絵本の読み聞かせが小学校英語の目標達成に与える影響 ― 国内研究を中心にしたレビューから ―. 金 山 幸 平 北海道教育大学旭川校英語教育研究室. Effects of Picture-Book Reading on the Achievement of English Education Goals in Elementary School: Literature Review of Previous Studies in Japan. KANAYAMA Kohei Department of English Education, Asahikawa Campus, Hokkaido University of Education. 概 要 小学校英語が2020年度より教科として導入されたことによって,学習指導要領(文部科学省, 2017)には,従来の目標であった音声の慣れ親しみだけではなく,具体的な知識や技能の習得 が目標として掲げられるようになった。しかし,学習指導要領が掲げた授業時間数だけでは, 小学校英語の目標はあまりにも高いと感じられる。本稿では,まず,学習指導要領における小 学校英語科教育の目標,つまりどのような能力を育成して中学校へ送り出すのかについて検討 する。そして,短い学習時間で効率的な学習効果が期待できる教材の一つとして絵本の読み聞 かせの効果について,音声指導と文字指導の観点から説明する。その後,絵本の読み聞かせに 関して,国内で行われた先行研究を中心に概観することで,現在まで明らかにされている知見 と今後の研究に求められる点をそれぞれ考察する。本稿の最後に,先行研究を基に,絵本が小 学校英語科教育の目標達成のための教材と成り得るのかを検討していく。. 1.はじめに 1.1.我が国の小学校外国語教育の目標 2017年の3月に告示された小学校学習指導要領(文部科学省,2017)によると,2020年度から「領域」と して週1時間程度の外国語活動が小学校3年生から必修化され,「教科」として週2時間程度の外国語が小 学校5年生から既に導入されている。特に外国語に関しては,教科として位置付けられたため,学習指導要. 93.

(3) 金 山 幸 平. 領には,児童に求められる具体的な英語の知識や技能(実質,外国語は「英語」を指すのでこれ以降,教科 名以外では「外国語」ではなく「英語」と表記する)などが明記されるようになった。 それでは,小学校学習指導要領(pp.75-82)では英語の4技能,5領域に対してどのような目標を設定し ているのだろうか。外国語の「聞くこと」の目標は以下の3点が挙げられる。 ア.ゆっくりはっきり話されれば,自分のことや身近で簡単な事柄について簡単な語句や基本的な表現を聞 き取ることができるようにする(p.76)。 イ.ゆっくりはっきり話されれば,日常生活に関する身近で簡単な事柄について,具体的な情報を聞き取る ことができるようにする(p.76)。 ウ.ゆっくりはっきり話されれば,日常生活に関する身近で簡単な事柄について,短い話の概要を捉えるこ とができるようにする(p.77)。 このことから,「ゆっくりはっきりと話されること」を前提として,自分の身の回りのことや,食べ物, 遊び,日常生活の出来事などの情報を聞き取ったり,短い話を聞いて,話の概要をつかんだり,誕生日,時 刻,値段などの具体的な情報を聞き取ったりすることが求められていると言える。以下,「読むこと」「話す こと」 「書くこと」も同様の作業を行い,筆者がそれぞれの目標を簡潔にまとめた(表1)。つまり,4技能, 5領域に関しては,小学校の卒業時点で表1に記載されている力を身に付けて,中学校に進学することが期 待されているわけである。なお,学習指導要領には他にも「語」「文構造」「発音」「コミュニケーションへ の態度」 「異文化理解」などの学習事項が含まれているが,本稿の目的と逸れるためここでは省略し,4技能, 5領域を本稿の調査対象とする。 表1.小学校学習指導要領に基づく外国語の目標 領域. 目標. 聞くこと. ゆっくりはっきりと話されれば,身近で簡単なことや具体的な情報を聞き取ったり,短 い話の概要をとらえることができるようにする。. 読むこと. アルファベットの大文字・小文字を区別して名称を発音できるようにする。 音声に慣れ親しんだ語彙や表現は文字として見て意味を理解できるようにする。 音声に慣れ親しんだ語彙や表現は文字として見て発音できるようにする。. 話すこと(やり取り). 簡単な表現を用いて,自分の意見・気持ちを伝えあうことができるようにする。 相手のことを質問したりする,相手からの質問に答えることができるようにする。. 話すこと(発表). 話す準備をした上で,簡単なことを話すことができるようにする。. 書くこと. アルファベットの大文字・小文字を区別して書くことができるようにする。 音声で慣れ親しんだ,英語表現を書き写すことができるようにする。 例文を参考に英文を書くことができるようにする。. 小学校3年生から2年間,週1時間程度の外国語活動(35単位時間×2年間)と小学校5年生から2年間, 週2時間程度の外国語(70単位時間×2年間)の合計210単位時間程度の英語学習で表1の目標を達成する ことが求められている。このような非常に限られた時間の中で,どのような指導を通して,児童の英語学習 への気持ちを高めつつ,学習指導要領の目標を達成させることが可能だろうか。本稿ではこの問題に対して, 絵本の読み聞かせの観点から言及することが目的である。次節以降では,4技能,5領域の観点から,絵本 の読み聞かせの効果を述べていく。絵本には,英語の知識・技能の習得面以外にも,異文化理解や未知語の. 94.

(4) 絵本の読み聞かせが小学校英語の目標達成に与える影響. 意味の推測や,大意をつかむ能力,事実を分析する能力,問題解決能力などのいわゆる,批判的思考能力 (critical thinking skill)の向上にも役に立つが(リーパー,2011),本稿での趣旨ではないため割愛する。 1.2.音声指導と絵本の読み聞かせの関係性 小学校で行われている英語の音声指導方法は,学級担任とALTによるやりとりを児童が聞くことで,英 語の音声インプットを得る活動,英語の歌を歌うことで,英語の音声やリズムに慣れ親しむ活動,児童同士 で学習した英語表現を用いたコミュニケーション活動を行うなど,その種類が豊富である。それにも関わら ず,絵本の読み聞かせと音声指導の関係性に焦点を当てる理由として,第2言語習得理論と絵本の読み聞か せの相性の良さが挙げられる。1970年代に,Stephen Krashenはインプット仮説を唱え,第2言語習得(も ちろん第2言語だけではないが)にはインプットが必要不可欠であると主張した。その中でも,ただインプッ トを与えれば,言語が習得されるわけではなく,理解可能なインプット,つまり学習者の言語レベルよりも 少し上のレベルのインプット(i+1)が望ましいことを主張したことが彼の偉大な功績であり,この主張 によって, インプットの必要性自体は今日でも広く受け入れられている。しかし,言語習得においてインプッ トが必要条件であることは誰しもが認めるところだが,十分条件であることには懐疑的であった(松本, 2015)。その後,インプットをベースにした第2言語習得理論が少しずつ改変され,アウトプット仮説やイ ンタラクション仮説(Long,1996)という考えが生まれた。これらは,インプットだけではなく,発話や 対話によって言語習得がより促進されるという主張である。ただし,発話練習のような形式だけのアウトプッ トではなく,意味のある自然なやりとりを行う重要性を説いている。このことから,第2言語習得における 音声指導の最もシンプルな考え方は, 「理解可能なレベルのインプットを大量に浴び,そして意味のあるや りとりを行うこと」または「大量のL2インプット理解と,適量のアウトプット」(白井,2014,p.262)であ ることがわかる。 他の言語活動では,この考えを取り入れることが非常に難しい。例えば,歌の活動では,歌を聞いて,声 に出すことで一見すると言語習得理論に基づいていると思われるかもしれないが,歌はよほど意識しない限 りは,意味を考えることなく歌うことができるため,ただの発話練習になってしまう危険性がある(もちろ ん歌には英語特有の音声やプロソディーに慣れ親しむという目的があるため,歌うこと自体を否定している わけではない)。 また,教師とALTによる英語のやりとりを聞くことは,理解可能なインプットは大量に得ることが可能 になるので有意義な言語活動である。しかし,これ自体にはアウトプットをあまり必要としない。もちろん 教師と児童がやりとりを行う場合は,児童にとって質の高い英語の対話が生まれるが,後に言及するように, これは絵本の読み聞かせの中でも実施できる。 絵本の読み聞かせは,この「理解可能なインプット」と「意味のあるやりとり」を実現できる指導方法で あり,これは,絵本が持つ特徴によって実現される。絵本とは「絵とことばとが一体となって一つのイメー ジを伝える媒体」(松村,2019,p.143),「絵が存在し,形状的には各ページが何らかの形式で綴じられてい る。また,一冊の絵本の絵と絵の間には,ある種の連続性が存在する」(松本,2017b,p.8)などと様々に 定義されている。共通することは,単に絵があれば絵本になるわけではなく,絵と絵には作者が意図する物 語上の繋がりが必要であるという点である。当然ではあるが,絵本は視覚教材である。アレン玉井・松永 (2018)は,適切な視覚教材の使用によって児童は日本語に訳さなくても英語を聞き続ける力を伸ばすこと ができると主張している。つまり,絵本は単なるインプット教材ではなく,視覚教材という利点によって理 解可能なインプット教材へと変わる可能性を秘めている。例えば,Eric Carle作のFrom Head to Toeは,色々 な動物と様々な動作の組み合わせで構成されている絵本であり,その中には,wriggleという語彙が含まれ. 95.

(5) 金 山 幸 平. ている。JACET8000によれば,wriggleは上位8000語レベルの低頻出語彙である。しかし,ワニがお尻をく ねらせている絵と一緒に提示されているため,絵や教師のジェスチャーの活用によって,wriggleの意味を 理解することが容易になる。また,読み聞かせ中の教師と児童のやりとりによって,意味のある自然な英語 によれば, wriggle は上位 8000 語レベルの低頻出語彙である。しかし, ワニがお尻をくねらせている絵と一緒 の対話が実現可能となる。この場合,“What animals do you like?”という教師の質問から会話が発展させ に提示されているため, 絵や教師のジェスチャーの活用によって, wriggle の意味を理解することが容易にな られそうだ。実際に英語の絵本には,日本人の成人の学習者にとっても難しい英単語がたびたび登場する。 る。また, 読み聞かせ中の教師と児童のやりとりによって, 意味のある自然な英語の対話が実現可能となる。 これは,その絵本が書かれた国の語彙の頻出度と日本で使用される語彙の頻出度レベルが大きく乖離してい この場合, “What animals do you like?”という教師の質問から会話が発展させられそうだ。実際に英語の絵本に る場合があるためである。このように,読み聞かせは,物語上の繋がりを持つという絵本の特徴によって, は, 日本人の成人の学習者にとっても難しい英単語がたびたび登場する。これは, その絵本が書かれた国の 学習者はある程度の長さの理解可能なインプットを浴び続けることができ,かつ,物語の内容に関する意味 語彙の頻出度と日本で使用される語彙の頻出度レベルが大きく乖離している場合があるためである。このよ のやりとりができる。従って,英語の絵本は,音声指導に最適な教材の1つであると言えるだろう。 うに, 読み聞かせは, 物語上の繋がりを持つという絵本の特徴によって, 学習者はある程度の長さの理解可 能なインプットを浴び続けることができ, かつ, 物語の内容に関する意味のやりとりができる。従って, 英語 の絵本は, 音声指導に最適な教材の 1 つであると言えるだろう。 1.3.文字指導と絵本の読み聞かせの関係性. 絵本は音声指導だけではなく,文字指導,とりわけ読みの指導に最適である。文字を読んで意味を理解す 1.3.文字指導と絵本の読み聞かせの関係性 る方法は,伝統的に,ボトムアップ方式とトップダウン方式の2つの方法が有名である。前者は,文字から 絵本は音声指導だけではなく, 文字指導, とりわけ読みの指導に最適である。文字を読んで意味を理解す 単語,そして文へと段階を追って理解するように,より小さなまとまりから大きなまとまりに理解を積み上 る方法は, 伝統的に, ボトムアップ方式とトップダウン方式の 2 つの方法が有名である。前者は, 文字から単 げる方法である。一方で,後者は,既存の背景知識を用いて,情報を全体から大まかに理解していき,徐々 語, そして文へと段階を追って理解するように, より小さなまとまりから大きなまとまりに理解を積み上げ に細部の情報まで読み取る方法である。アレン玉井(2010)は両者の統合された,バランスド・アプローチ る方法である。一方で, 後者は, 既存の背景知識を用いて, 情報を全体から大まかに理解していき, 徐々に細 による学習が望ましいと主張している。図2は,バランスド・アプローチをモデル化したものである(畑江, 部の情報まで読み取る方法である。アレン玉井 (2010) は両者の統合された, バランスド・アプローチによる 2019)。 学習が望ましいと主張している。図 2 は, バランスド・アプローチをモデル化したものである (畑江, 2019)。 トップダウン 文字のある環境 絵本の読み聞かせ 絵本のなぞり読み. 読む力 バランスド・アプローチ フォニックス 音への気づき アルファベット. ボトムアップ 図 1. バランスド・アプローチのモデル (畑江 (2019) より引用) 図1 バランスド・アプローチのモデル(畑江(2019)より引用) この図によれば, 英語初学者がボトムアップ方式で基礎的な英語の読む力を身に付けるためには,「フォニ この図によれば,英語初学者がボトムアップ方式で基礎的な英語の読む力を身に付けるためには,「フォ ックス」「音韻認識能力」「アルファベット」の学習が必要であり, 一方で, トップダウン方式で基礎的な英 ニックス」 「音韻認識能力」「アルファベット」の学習が必要であり,一方で,トップダウン方式で基礎的な 語の読む力を得るためには,「英語の文字のある環境に身を置くこと」「絵本の読み聞かせ経験」「絵本のな 英語の読む力を得るためには,「英語の文字のある環境に身を置くこと」「絵本の読み聞かせ経験」「絵本の ぞり読み経験」が必要であることがわかる。 なぞり読み経験」が必要であることがわかる。 絵本の活用によって, ボトムアップ方式と関わりのある「フォニックス」「音への気づき」「アルファベッ 絵本の活用によって,ボトムアップ方式と関わりのある「フォニックス」「音への気づき」「アルファベッ ト」の指導がそれぞれ可能になる。音への気づきとは, 英語の音韻認識能力を指す。バトラー後藤(2015)に ト」の指導がそれぞれ可能になる。音への気づきとは,英語の音韻認識能力を指す。バトラー後藤(2015) よれば, 音韻認識能力とは, 話し言葉がどのような構造を持っているが認識できる力のことを指し, また音 96.

(6) 絵本の読み聞かせが小学校英語の目標達成に与える影響. によれば,音韻認識能力とは,話し言葉がどのような構造を持っているが認識できる力のことを指し,また 音韻認識能力の中でもオンセットとライムの区別ができることが英語の読みには重要であると主張してい る。例えば,pigという語を例にすると,pigという語はそれぞれ,/p/,/ɪ/,/ɡ/の3つの音素から成り立って おり,それぞれの音素を正しく聞き取ることや,big(/bɪɡ/)とはどこが異なっているかを理解することが 音韻認識能力と関わっている。さらに,pigは,語の最初の子音であるオンセット(/p/)と母音とそれに続 く子音であるライム(/ɪɡ/)に区別できることでより英語の音に対しての認識力が高くなり,ひいては,後 の読みの力に直結するわけである。Julia Donaldson作のThe Gruffaloでは, “A mouse took a stroll through the deep dark wood. A fox saw the mouse and the mouse looked good.”という冒頭から始まり,woodと goodの脚韻が見られる。このように多くの絵本には音韻認識能力を養うための工夫が施されている。また, 絵本の選定によって,「フォニックス」や「アルファベット」の指導もまた可能になる。Elizabeth Dolyle作 のA B SEEや,Tiger Tales作/Georgie Birkett絵のA is for Appleなどはアルファベットの名称や音の学習 のために最適な教材と成り得る。 一方で,トップダウン方式と絵本の読み聞かせの関係性が深いのは,図1の「絵本の読み聞かせ」と「絵 本のなぞり読み」である。前述した通り,トップダウン方式とは,文脈の中で全体のおおまかな意味を捉え ることである。絵本には意味理解を促進する文脈が豊富にあり,英語の意味を固まりで習得させることがで きる。そのため,たとえ,絵本に含まれる語彙や表現がすべて理解できなくても,視覚情報から意味を推測 したり,物語の内容を理解することで,全体から文字を学ぶことができるようになる。「絵本のなぞり読み」 とは,その名の通り,絵本の中の文字を指で追いながら読んでいく方法である。これは見ることによって学 ぶ文字,いわゆるサイトワードの指導に有効である。サイトワードとは,theやhaveなど,フォニックスの 規則では読めない単語である。英文を理解するためには,サイトワードが読めなくてはならない。Beech (2003)によると,a,and,for,he,is,in,it,of,that,the,to,was,youの13語のサイトワードは特 に頻出度が高く,文章全体の25%を占める場合があると報告している。サイトワードを何度も見ながら学ぶ ための学習教材例として,Sight Word Readersという絵本が挙げられ,文字を見ただけで無条件に発音で きる力を身に付け,英語が読めたという成功体験を与えることが可能である。 以上のように,絵本の活用方法次第で,トップダウンとボトムアップの両方を兼ね備えたバランスド・ア プローチが実現可能であり,それらの指導を通して,英語の文字指導,とりわけ英語の読みの指導が可能に なる。従って,前節の内容と総合すると,絵本の読み聞かせは音声指導にも文字指導にもなり得る教材であ ることがわかる。さらに,短時間学習にも適しているという点でも絵本は非常に効果的である。日本の児童 向けの英語の絵本なら,1回読み聞かせるのに5分とかからない。朝活動などの短時間学習においても十分 に活用できる教材である。そのような理由から,本研究では絵本が秘める大きな可能性に着目した。. 2.研究課題 本研究の目的は,絵本の読み聞かせが,小学校英語の目標を達成させる教材となり得るのかどうかを国内 の先行研究を概観して考察することである。従って,以下の研究課題を設定した。 研究課題1:絵本の読み聞かせに関する国内の先行研究ではどのようなことが調査されてきたのか 研究課題2:絵本の読み聞かせは小学校英語の目標を達成するための教材となるのか 次章以降では,絵本の読み聞かせに関する先行研究を概観して,これまでにどのような研究が行われてき. 97.

(7) 金 山 幸 平. たのかを概観することで研究課題1を検証する。さらに,先行研究と小学校英語の「聞く」 「話す(やりとり)」 「話す(発表)」 「読む」 「書く」の4技能,5領域の目標との関係性を考察することで,研究課題2を検討 していく。. 3.絵本の読み聞かせに関する先行研究 それでは,児童を対象とした絵本の読み聞かせに関する研究において,これまでどのような検証がされて きたのだろうか。先行研究を概観した結果,大きく分けて以下の研究が主流であったことがわかる。 1.児童に相応しい絵本の選定基準に関する先行研究 2.絵本の読み聞かせが児童の英語の知識や技能に与える影響に関する先行研究 3.絵本の効果的な読み聞かせ方に関する先行研究 次節以降では,上記の3点に関する研究を概観していく。 3.1.絵本の選定基準に関する先行研究 松本 (2017a) は,絵本の読み聞かせの成功の有無の8割以上は絵本の選定によって決まると主張しており, 小学生中学年の発達段階に応じた適切な絵本の10個の選定基準の試案を作成した。表2は松本の主張に基づ いて,筆者が作成した選定基準表である。もちろん,すべての基準を満たす絵本など存在しない。松本は, ①~⑩の選定基準の中で,①~④は英語活動では必ず満たしてほしい基準,⑤~⑦の中から1つは満たして ほしい基準,⑧~⑩は今後より長期的な検討が必要な項目であると述べている。 木原(2018)でも同様に,絵本の選定方法について言及しており,おおよそ松本(2017a)の選定基準と 一致する。ただし,②「英語の難易度」に関して,「子どもが音声を聞いてまねて繰り返し言える程度のレ ベルである必要がある」(p.57)と詳細に述べている。さらに,木原は小学校高学年向きの絵本の選定につ いて注意を促している。例えば,From Head to Toeのような作品は,小学校高学年の発達段階に合わなく, 知的好奇心を満たすことができないと指摘している。そのような場合は,絵本に関わる言語活動で難易度を 調整することを提案している。また,三宅・竹本・竹田(2011)は,小学校高学年向きの絵本の選定基準と して,絵本の総語数,総文数,1ページ以内の総語数,総文数などの観点から,それぞれ約490語彙以内, 約90文以内,約6語彙以内,約3文以内が望ましいと主張した。 さらに,長田(2018)では,どのような絵本が小学校の現場で読まれているのか,小学校英語教育に10年 以上携わっている教師8名にアンケート調査を実施した。教師が推薦する絵本を1人10冊とその理由を分析 したところ, 全部で62種類の絵本の名前が挙がり,そのうち8名中3名が共通して選んだ絵本は5冊あった。 その5冊とは,Bill Martin作/Eric Carle絵のBrown Bear, Brown Bear, What Do You See?,Nick Sharratt 作のKetchup on Your Cornflakes,Eric Carle作のThe Very Hungry CaterpillarとToday is Monday,そし て中本幹子作のWhat Can You Do?である。どれも絵本としては世界的に著名な作品ばかりで,日本語訳版 でも楽しめるものである。 絵本の選定基準に関する先行研究では,概して松本(2017a)の選定基準と一致する。要するに,児童の 集中力や知的好奇心を十分に加味して,絵本のページ数や英語自体の難易度を調整したり,発達段階に応じ て,児童にとって身近な内容を選定すること,英語の音声学習のために脚韻などのリズムが含まれている絵 本を選定すること,繰り返しや起承転結など物語に一貫した構造があることで,次の展開などを予測できる. 98.

(8) 絵本の読み聞かせが小学校英語の目標達成に与える影響. 表2.松本(2017a)に基づく小学校中学年の絵本の選定条件 選定基準. 説明. ①絵本の長さ. 授業の時間数や児童の集中力を考慮して,最大でも8分程度,見開き16ページ程 度が望ましい。. ②英語の難易度. 理解可能なインプットレベルを考慮するべき。中学生が児童を相手に読み聞かせ られる程度が望ましい。. ③英語に特徴的な音声やリズ 英語初学者である児童に英語の真正性を与えることが望ましい。 ムの有無 ④絵本作品として優秀さ. 権威ある賞(コルデコット賞など)を受賞している作品を取り入れることで児童 の英語学習への動機づけを高めることが望ましい。. ⑤遊びの要素の有無. かくれんぼのような児童にとって身近な遊びを取り入れた内容の絵本によって児 童の興味を引く。また「はらぺこあおむし」のように絵本の形状に遊びの要素が ある仕掛け教育絵本も望ましい。. ⑥他教科との融合のしやすさ 絵本の中に出てくる「色」 「動物」 「食べ物」などから,図工,理科,家庭科など 他教科に生かせる絵本が望ましい。 ⑦児童の参加のしやすさ. 読み聞かせ中,または後の言語活動で児童が積極的に参加しやすくなる絵本が望 ましい。. ⑧物語の構造. 「繰り返しの構造」または,「起承転結型」のような展開がある絵本によって,英 語特有の音やリズムが把握しやすくなる。児童の内容理解を助ける。. ⑨テーマ. 国際理解や平和教育など,何かしらの教育テーマがあることが望ましい。. ⑩登場人物の魅力. 魅力的な主人公や登場人物は児童の興味を引き,児童の動機を高めるのに役に立 つ。またシリーズ作品を導入しやすい。. ような絵本が望ましいこと,読み聞かせだけで終わらせることなく,その他の言語活動で内容をさらに深め ることができる絵本が望ましいなど,様々な基準を考慮することの重要性が先行研究の共通見解であるよう だ。 3.2.児童の英語知識や技能に与える影響に関する先行研究 それでは,選定基準に沿って選ばれた絵本を読み聞かせることで,具体的にどのような学習効果が期待さ れるのだろうか。本節では,絵本の読み聞かせが児童に与える影響について検証した研究を紹介する。多く の先行研究では,絵本の読み聞かせと児童の情意面の変化の関係性を検証している。松浦・伊東(2012)で は,小学校5年生を対象に11回の外国語活動の中で絵本の読み聞かせ(1回に付き1冊,計11冊)を行い, 「英語に対する理解度の向上」「興味・関心の向上」「聞く力(態度・意欲)の向上」という観点から,教育 的効果を検証した。読み聞かせ前と後の児童の自己評価アンケートの分析の結果,英語への興味・関心と好 き嫌い,絵本への興味・関心と好き嫌い,読むことへの興味・関心,英語を聞くことの自信,英語を聞くこ とへの意欲・態度,いずれの項目でも情意面で前向きな変化が見られた。また,読み聞かせ後による内容理 解テストでも読み聞かせの回数を重ねるたびに成績が向上していることも観察された。つまり,絵本のよう な児童の興味を引く言語活動によって,英語を聞こうとする興味や態度が好転し,それが実際に聞く力の向 上に繋がったと松浦・伊東は述べている。 吉村他(2017)では,小学校5年生の児童を対象に,約6か月に渡る絵本の読み聞かせを合計7回行い, その結果,児童の英語学習への情意面がどのように変化したのか検証した。絵本の読み聞かせ前後(6月と 12月)にそれぞれアンケート調査を行った結果,予想に反して,絵本に興味がなくなる児童の割合が51%か. 99.

(9) 金 山 幸 平. ら70%まで増えるという結果となった。その理由として,Jules Feiffer作のBark, GeorgeやEric Carle作の From Head to Toeなどの動物を扱った絵本ばかりを読み聞かせたことや,5年生には幼すぎて興味が出な いと思われるFrom Head to Toe等の絵本が続いたことが原因として挙げられる。ここから,松本(2017a) の基準からも示唆されているように,発達段階に応じた絵本の選出の重要性が再確認された。 前述したように,絵本の読み聞かせによる児童の情意面の変化が先行研究の中心であり,より具体的な英 語能力の発達との関係を検証した研究は非常に限られている。大川(2014)では,小学校2年生,4年生, 6年生を対象に1週間の間に合計4度の読み聞かせ(1回につき15分間)の授業を行った。発達段階を考慮 し,低学年には,From Head to Toe,中学年にはKaren Beaumont作のWho ate all the cookie dough?を, そして高学年にはNancy Carlson作のI Like Me!という絵本をそれぞれ使用した。また読み聞かせの前後に はリスニングテスト,スピーキングテストを実施して,その点数の差を分析した。リスニングテストでは, 取り扱った絵本の中にある英文を聞かせ,その意味に合う日本語を4つの選択肢から選ぶテストを行った。 一方で,スピーキングテストでは,絵本からの英文を提示し,教師の発話に続いて同じ英文を発話させるテ ストを録音し,正解語彙数,発音(アクセント),流暢さ(リズム)の観点から評価を行った。最後に,ア ンケート調査を行い,児童の情意面を分析した。アンケート調査では,5件法を用いて,「英語の絵本を使っ た活動は楽しかったですか」「英語の絵本を使った活動は簡単でしたか」「絵本の内容はわかりましたか」な どを尋ねた。その結果,どの学年でもリスニング・スピーキングテストともに有意な成績の向上が見られた。 またアンケート調査の結果から,中学年が絵本の読み聞かせに最適な時期であり,一方で,高学年に対する 絵本の選定が非常に困難であったことがわかった。 さらに,アレン玉井・松永(2018)は,小学校6年生を対象に約8か月間に渡って,1回につき約7~8 分程度のジョイント・ストーリーテリング活動を合計20回ほど実践した。ジョイント・ストーリーテリング とは,詳しくは次節で後述するが,物語の内容を暗唱する活動の一種である(アレン玉井,2019)。ジョイ ント・ストーリーテリング実施前後にスピーキングテスト(暗唱テスト)を行い,児童の発話が形態素レベ ルで理解できる程度に発音されているかどうかを評価した。例えば,“Don’t talk to a stranger.”なら,① Do,②n’t,③talk,④to,⑤a,⑥strange,⑦erと7形態素に分けたのである。事前テストと事後テストを 比較した結果,成績に有意な向上が見られた。児童はジョイント・ストーリーテリングの活動を通して,英 語を覚え,その記憶を保持し,正しく再生する力を身に付けたのである。 3.3.絵本の効果的な読み聞かせ方に関する先行研究 前述したように,絵本の読み聞かせの成功の有無の8割以上は絵本の選定基準で決まると言われている(松 本,2017a)。換言すれば,その他の要因も絵本の読み聞かせに影響することになる。その1つに読み聞かせ 方が関係している。どれだけ絵本が児童に適していても,教師の読み方次第では読み聞かせが失敗する可能 性もある。そこで本節では,絵本の読み聞かせ方に関する先行研究にも着目する。 松本(2017b)では,小学校1~3年生の児童を対象に,Ruth KraussとMarc Simont作のThe Happy Dayの読み聞かせの実践報告をしている。児童の内容理解のための方略として,教師によるジェスチャーの 使用が顕著であると報告された。絵本の中に動物が登場した際には,その絵を指さしながら英単語を発音す ることで,音と意味を結び付け,また作中である動作が登場した際は児童にもその動作をさせることで,体 験による理解を促した。ただし,読み聞かせの結果,児童の具体的な変化を特に検証したわけではないため, どのような効果を得られたのかは明らかにされていないが,小学校低学年を対象とした場合は,実際に動き ながら英語の学習をすることは有意義であると言えそうだ。 松本(2015)では,小学校2年生を対象に,Brown Bear,Brown Bear,What Do You See?の読み聞か. 100.

(10) 絵本の読み聞かせが小学校英語の目標達成に与える影響. せを行い,特に絵本のページのめくり方を工夫した実践を行っていた。この絵本は日本の早期英語教育の中 でも最も有名な絵本であり,多くの実践書などにも引用されている(樋口他,2017や酒井他,2017など)。 絵本の構成は見開き1ページで1つの場面が構成されており,図2は絵本の一場面である。図2の例からわ 名な絵本であり, 多くの実践書などにも引用されている (樋口他, 2017 や酒井他, 2017 など)。絵本の構成は. かるように,見開き1ページには,様々な色と動物の組み合わせで構成されており,左上には,“色+動物, 見開き 1 ページで 1 つの場面が構成されており, 図 2 は絵本の一場面である。 図 2 の例からわかるように, 見. What 開き do you see?”と右下には, “I see a+色+動物,looking at me.”と次のページに出てくる動物へと引 1 ページには, 様々な色と動物の組み合わせで構成されており, 左上には, “色+動物, What do you see?’’ と右下には, “I see a+色+動物, looking at me.”と次のページに出てくる動物へと引き継いでいく。 き継いでいく。 表 3. 実践の工夫 (松本 (2015, p. 38) から引用). 表3.実践の工夫(松本(2015,p. 38)から引用). 教師 1:Red bird, red bird, what do you see? 教師 2:Tweet, tweet (鳥の鳴き声). 教師1:Red bird, red bird, what do you see?. 教師 1:I see…. 教師2:Tweet, tweet(鳥の鳴き声) 教師 2:Quack, quack (次のアヒルの鳴き声) 教師 2:(次ページをゆっくりとめくる) 教師1:I see… 教師 1:a yellow duck looking at me.. 教師2:Quack, quack(次のアヒルの鳴き声). 図 2. Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?の一場面. 図2.Brown Bear, Brown Bear, What Do You See? の一場面. 教師2:(次ページをゆっくりとめくる) 教師1:a yellow duck looking at me.. この絵本の構造を活かして, 松本の研究では, 表 3 のようなページのめくり方の工夫を施した。絵本の読. み聞かせ中, 児童の発話には鳴き声を真似したり,「purple cat だ」「犬がいる」のような反応が返ってきたと 報告されている。また「カエル?ゴリラ?」のように自ら質問する場面も見られた。このように次に登場す この絵本の構造を活かして,松本の研究では,表3のようなページのめくり方の工夫を施した。絵本の読 る動物を工夫して提示することで, 児童たちから, 動物に対する反応を多く引き出したわけである。. み聞かせ中,児童の発話には鳴き声を真似したり,「purple catだ」「犬がいる」のような反応が返ってきた 畑江 (2012) では, 学年に応じた指導方法について紹介している。同じ絵本でも小学校低学年では受け入れ. と報告されている。また「カエル?ゴリラ?」のように自ら質問する場面も見られた。このように次に登場 られるが, 高学年の児童にとっては興味を見いだせない場合が多々見受けられるためである。例えば, 小学 校低学年には, 読み聞かせによって音声や絵から内容を推測させる活動, 中学年では, 絵本を声に出して読 する動物を工夫して提示することで,児童たちから,動物に対する反応を多く引き出したわけである。 む活動, 高学年では,「音声」「意味」「文字」を結び付けるためのなぞり読みなど, 発達段階に応じて難易度 畑江(2012)では,学年に応じた指導方法について紹介している。同じ絵本でも小学校低学年では受け入 や負荷を調整する方法を提案している。. れられるが,高学年の児童にとっては興味を見いだせない場合が多々見受けられるためである。例えば,小 先行研究の多くは, 絵本の内容理解を促す工夫を中心に実践していることがわかる。これは, 絵本の読み. 学校低学年には,読み聞かせによって音声や絵から内容を推測させる活動,中学年では,絵本を声に出して 聞かせの本来の目的が英語の聞く力を伸ばすことであるためと考えられる。そのため, インプット活動に重 点が置かれている。しかし, その一方でアウトプット活動にはなかなか至らないという問題点もある。そこ 読む活動,高学年では,「音声」 「意味」 「文字」を結び付けるためのなぞり読みなど,発達段階に応じて難 で, アレン玉井 (2019) では, ジョイント・ストーリーテリングという手法を提案している。ジョイント・ス. 易度や負荷を調整する方法を提案している。. トーリーテリングとは子どもたちが物語を再話できるように毎時間少しずつ指導し, 最終的には物語を暗唱. 先行研究の多くは,絵本の内容理解を促す工夫を中心に実践していることがわかる。これは,絵本の読み することでアウトプット活動を増やすことを目的としている。アレン玉井 (2019) は, 英語圏では物語を聞い. 聞かせの本来の目的が英語の聞く力を伸ばすことであるためと考えられる。そのため,インプット活動に重 た後に, 内容を再話することで, 話し言葉とリテラシー能力の発達が期待できること, スピーキングは聞い た音を自身で発してみることが重要であること, また, ここでの暗唱は記憶した内容を単に繰り返す行為だ 点が置かれている。しかし,その一方でアウトプット活動にはなかなか至らないという問題点もある。そこ と認めた上で, それでも母語獲得の観点から音を真似て産出することの重要性を強調している。. で,アレン玉井(2019)では,ジョイント・ストーリーテリングという手法を提案している。ジョイント・ 学習指導要領移行措置のための教材として, 文部科学省が発行した, 3 年生用教材, Let’s Try!の Unit 9, Who. ストーリーテリングとは子どもたちが物語を再話できるように毎時間少しずつ指導し,最終的には物語を暗 are you?において読み聞かせを想定した内容が取り扱われている。文部科学省は, それぞれのユニット毎に指 導案例を紹介している。それでは, 文部科学省は, Who are you?においてどのような指導を推奨しているのだ 唱することでアウトプット活動を増やすことを目的としている。アレン玉井(2019)は,英語圏では物語を ろうか (http://mext-next-kyozai.net/top/teachersguide/teachersguide3_unit9.pdf より引用)。指導案によると, 全 5. 聞いた後に,内容を再話することで,話し言葉とリテラシー能力の発達が期待できること,スピーキングは 時間分の授業が想定されており, 各時間毎に, Unit 9 の読み聞かせとそれに関連する言語活動が紹介されてい. 聞いた音を自身で発してみることが重要であること,また,ここでの暗唱は記憶した内容を単に繰り返す行 る。1 時間目は, デジタル教材を使用して最初の場面 (pp. 34-35) を提示しながら, “What can you see?”と質問 為だと認めた上で,それでも母語獲得の観点から音を真似て産出することの重要性を強調している。 しながら, 場面や状況を予測させ, その後,「なんとなく聞いてわかる」という目標を設定し, 最初の読み聞か. 学習指導要領移行措置のための教材として,文部科学省が発行した,3年生用教材,Let’s Try!のUnit 9, Who are you?において読み聞かせを想定した内容が取り扱われている。文部科学省は,それぞれのユニッ ト毎に指導案例を紹介している。それでは,文部科学省は,Who are you?においてどのような指導を推奨 しているのだろうか(http://mext-next-kyozai.net/top/teachersguide/teachersguide3_unit9.pdfより引用)。 指導案によると,全5時間分の授業が想定されており,各時間毎に,Unit 9の読み聞かせとそれに関連する 言語活動が紹介されている。1時間目は,デジタル教材を使用して最初の場面(pp.34-35)を提示しながら,. 101.

(11) 金 山 幸 平. “What can you see?”と質問しながら,場面や状況を予測させ,その後,「なんとなく聞いてわかる」とい う目標を設定し,最初の読み聞かせを行う。その際には,“I like dogs. Do you like dogs?”などと質問しな がら児童を引き付けるようと記載されている。読み聞かせ後は,「Who am Iクイズ」を行い,絵本に登場し た動物に関する質問をしながら,動物の絵カードを用いることで,動物名の語彙知識の習得を目標としてい ることが伺える。最後に,「ビンゴゲーム」を行い,教師の発話を(“I’m a mouse.”など)リピートさせる。 2時間目では,読み聞かせ最中に,読める箇所があれば一緒に読ませる活動を行う。次に,教師の発話を聞 いて,それがどの場面なのか該当するページを開かせる活動を行っている。 3時間目では,復習として読み聞かせを行った後に,「場面カード並べ」を行っている。これは,教師の 話を聞きながら,物語の展開順に絵カードを並び替える活動である。4時間目は,絵本の中に出てくる, “Who are you?” , “Are you~?”,“Yes. I’m~.”,“Sorry, I’m~.”などの英語表現を用いて児童同士でやりとりを 行う活動を紹介している。5時間目では,ペアやグループで絵本の中の好きな一場面を選び,クラスの前で 発表する活動が最後に紹介されている。このことから,多くの先行研究では絵本の読み聞かせの方法に焦点 を当てている一方で,文部科学省が推奨する指導案では,読み聞かせ後の言語活動にも焦点を当てているこ とがわかった。 以上の先行研究などを基に,筆者は,絵本の読み聞かせ前,中,後のそれぞれの指導例を作成した。表4 は国内の先行研究を中心に作成したが,一部海外からの文献(Shin & Crandall,2014)も参考にしている。 ただし, 表4の「絵本のタイトル」の欄はあくまで一例であり,実際には多くの絵本での応用が可能である。 そのため,特にどのような絵本でも使用できると筆者が判断した場合は空欄にしている。 また,表4では,絵本の読み聞かせ前,中,後に分けて,それぞれの指導例を紹介しているが,これは, それぞれの指導の目的が異なるためである。Shin and Crandall(2014)は読み聞かせ前,中,後それぞれ の主な指導目的を解説している。絵本の読み聞かせ前(導入時)には,児童に対して絵本に興味を持たせる こと,絵本の内容にスムーズに移行できるように促すこと,絵本の内容と児童自身の既存の知識や日常生活 とを結び付けて関連性を強めることが主な狙いである。読み聞かせ中の指導の最も重要な目的は児童の興味 を惹き続けながら,絵本の内容理解を助けること,そして読み聞かせ後の指導は,絵本に出てきた英語表現 や語彙などを使用して,特定の言語技能向上のための練習を行うことが目的であると主張している。. 4.考 察 4.1.研究課題1 研究課題1の目的は,絵本の読み聞かせに関する国内の先行研究を概観し,得られた結果をまとめること である。国内の絵本の読み聞かせに関する先行研究を通して,⑴絵本の選定基準に関する研究,⑵絵本の読 み聞かせと英語知識や技能などの発達の関係性の研究,⑶絵本の読み聞かせ方とそれに関連した言語活動の 3点が研究の中心であることが明らかになった。⑴に関して,絵本の選定基準に関しては,多くの先行研究 で意見が一致しており,表2で示した通りになっている。最も重要な点は,絵本の内容や英語のレベルなど を児童の発達段階に合わせることであり,小学校中学年に人気であった絵本が必ずしも高学年にも当てはま るわけではない点に注意するべきである。 ⑵に関して,絵本の読み聞かせと英語知識や技能の発達との関係性を検証した研究は,児童の情意面の変 化を扱った研究が主であり,絵本の読み聞かせが児童の英語に対する情意面にプラスの影響を与えることが 明らかになった。一方で,絵本の読み聞かせとリスニング力やスピーキング力などの具体的な英語の知識, 技能との関係を調査した研究は非常に限られていることもまた明らかになった。また,そのような研究があっ. 102.

(12) 読み聞かせ前. 対象となる動物の鳴き声や動作をまねる,場面に応じて声や表情を変える 次のページにはどんな動物が登場するか予測させながらページを開く. From Head to Toe Five Little Monkey Jumping on the Bed No, David! The Hare and the Tortoise The Hare and the Tortoise. ジェスチャーや表情,声色の使用. ページのめくり方を工夫する. 次の展開を予測させる質問. 絵本の内容の簡単な質問. 指示を出す. 補足情報を与える. 読み聞かせ中. George’s mother was so thrilled. のthrilledをhappyに言い換える. Bark, George The Very Hungry Caterpillar Who are you? Five Little Monkey Jumping on the Bed. わかりにくい表現を言い換える. 読める箇所を一緒に読ませる. 登場した人,物に関するクイズ. 全身反応教授法(TPR). A: Who are you? B: (サルのモノマネをする) A: Are you a monkey? B:Yes. I am a monkey.. Who are you? The Very Hungry Caterpillar Who are you?. 絵本にある英語表現を用いて会話. アンケート調査. 絵本の一場面を演じる. 絵本の内容を暗唱する 児童自身のオリジナルエンディングと絵を作成させる. ジョイント・ストーリーテリング. エンディング作成. かくれんぼの一場面を演じる. Do you like~?を用いて好きな食べ物ランキングを作成. 該当するページを開く,絵カードを展開順に並べる. 教師の発話から場面を考える. Put on a pajama.(パジャマを着る真似をさせる). I’m small. I like cheese. I have a long tail. Who am I?. But he was still hungry. を教師と一緒に発話する. 読み手が絵本の内容の一部を変えて再話し,児童は誤りを特定する. 間違い探し. A hare is called rabbit.. Point to the hare.. What’s this? Do you like your mom?. What is going to happen next?. ページを次々にめくり絵だけを児童に見せる. What can you see? How many animals? What is a gorilla doing?. ピクチャー・ウォーク. From Head to Toe. 表紙の絵を用いて児童とやりとり. witchやkitchenの意味を説明,場合によっては絵カードを黒板に貼る。. 物語の展開を予測させる,どのような人・物が登場するか. What’s in the Witch’s Kitchen?. 絵本のキーワードを予め説明. This is George. This is George’s mother.. 「ワンって言いなさい,ジョージ」. 具体例. 物語を聞く目的を指示. Bark, George. Bark, George. 絵本のタイトル例. 登場人物を紹介. 表紙を見せ,短い日本語で説明. 内容. 表4 絵本の読み聞かせの工夫例と言語活動例. 絵本の読み聞かせが小学校英語の目標達成に与える影響. 読み聞かせ後. 103.

(13) 金 山 幸 平. たとしても,そこで調査するスピーキング力は,教師の後に続いて正しくリピートする能力として扱われて いるなど,今後の研究において改善点があることが示唆された。⑶に関して,絵本の読み聞かせ方に関する 先行研究では,実践形式による教師の工夫が主に報告されていた。それらの工夫の目的は,絵本の内容を児 童に理解させること,絵本の内容に興味を持たせること,特定の言語項目を使って言語活動を行わせること 等であり,表4で読み聞かせ前,中,後の工夫例をそれぞれまとめた。 これらの発見を通して,今後は,絵本の読み聞かせと英語の知識や技能との関係性を調査する必要がある ことが示唆された。2011年度から始まった従来の外国語活動の目標の1つは,英語への慣れ親しみであった。 このことから,絵本と情意面の変化を扱った研究自体は非常に示唆に富むものであることは変わらないが, 2020年度より始まった外国語活動,および外国語では,4技能5領域に関わる具体的なスキルの習得が求め られている。そのため,今後の研究では,児童のリスニング,スピーキング,リーディング,ライティング の育成を目指した絵本の読み聞かせ研究が必要不可欠となるだろう。 4.2.研究課題2 研究課題2の目的は,絵本の読み聞かせが小学校英語の目標を達成するための教材となるのかを考察する ことである。まず学習指導要領における聞くことの目標は,表1によれば,ゆっくりはっきりと話されれば, 身近で簡単なことや具体的な情報を聞き取ったり,短い話の概要をとらえることができるようにすることで ある。絵本の読み聞かせはこの目標を達成するための教材になると言える。言語習得は理解可能なインプッ トをできる限り多く浴びることから始まる。前述しているように,絵本の性質上,視覚情報の有効活用によっ て,たとえ,すべての意味が理解できなくても,有意味な文脈の中で英語に触れることで,英語を固まりと して聞いて,理解することが可能になる。また,表1の目標達成のための工夫として,絵本の内容に応じて, 読み聞かせの導入時に,「どんな動物が出てくるのか」「どんなお話なのか」「〇〇(特定の登場人物など) はどんなことをしていたのか」などの教師の指示によって児童は明確な目的を持って読み聞かせを聞くこと ができる。実際に先行研究の概観によって,絵本の読み聞かせはリスニング能力の向上に役立つことが明ら かになっている(大川,2014)。 しかし,学習指導要領の目標では,必ずしも視覚情報が存在する前提で英語を聞く目標が設定されている とは限らない。相手の話を聞いて,内容を理解することも当然含まれている。絵本を使用しないで教師の口 頭による物語の伝承行為のみで児童が内容を理解できるかがどうかも検証するべきではあるが,残念ながら そのような研究は国内の研究では筆者の管見の限りあまりない。従って,絵本の読み聞かせ自体は,聞くこ との目標達成のための一助になることは確かではあるが,読み聞かせによって目標を網羅できるかは今後の 更なる調査が待たれるところである。 次に,話すこと(やりとり・発表)の目標と絵本の関係性について考察する。表1によると,話すことの 目標は,⑴簡単な表現を用いて,自分の意見・気持ちを伝えあうことができるようにすること,⑵相手のこ とを質問したりする,相手からの質問に答えることができるようにすること,⑶話す準備をした上で,簡単 なことを話すことができるようにすることの3点ある。⑴のための学習として,絵本の内容や好きな登場人 物や動物などについて話す等の活動が考えられる。⑵のための学習は,指導者からの簡単な質問(“Do you like a monkey?”など)に答える,または児童同士で絵本に関するやりとりをすることで達成できそうだ。 ⑶の目標達成には,表4で示したように,物語のオリジナルエンディングと絵を作成して,それを発表する という方法が考えられる。従って,「話すこと」の目標を達成させることは可能ではあるが,指導者が意図 してアウトプットやインタラクション活動を取り入れることが不可欠となる。ただし,国内の先行研究では, スピーキング能力を測るテストとして,絵本の中から英文を抽出し,教師の発話に続いて正しく繰り返せる. 104.

(14) 絵本の読み聞かせが小学校英語の目標達成に与える影響. かで評価していたが,これが話すことの目標に直接貢献するとは限らない点に注意してほしい。これは,文 脈と切り離した単なるオウム返しのような機械的な反復では習得が見込めない可能性もあるからである。今 後の課題として,⑴~⑶の目標を達成するために実際に行われた実践報告が待たれるところである。 次に,読むことの目標と絵本の読み聞かせの関係性を見ていく。表1によると,小学校外国語の読むこと の目標は,⑴アルファベットの大文字・小文字を区別して名称を読めるようにすること,⑵音声に慣れ親し んだ語彙や表現は文字として見ても理解できるようにすること,⑶音声に慣れ親しんだ語彙や表現は文字と して見て発音できるようにすることである。⑴の学習に関して言えば,アルファベット学習を目的とした絵 本教材が今日では数多く出版されている。また,⑵の目標達成のための学習には,音声で十分に慣れ親しん だ表現を多く含む英語絵本の選定がより重要になってくる。例えば,数字と食べ物の英単語をある程度音声 で慣れ親しんだ場合には,The Very Hungry Caterpillarの作中に登場する英単語の意味を正しく認識でき るようになるだろう。このように,絵本の読み聞かせによって,読むことの目標を達成することが理論上は 可能となる。しかし,絵本と英語の文字の読みの指導の関係性について検証した先行研究は非常に少ないた め,今後は絵本の読み聞かせと読みの指導の関係性を検証する必要がある。 最後に,書くことの目標を考察する。表1によると,⑴アルファベットの大文字・小文字を区別して書け るようにすること,⑵音声で慣れ親しんだ,英語表現を書き写すことができるようにすること,⑶例文を参 考に英文を書くことができるようにすることである。聞くこと,話すこと,読むこととは異なり,絵本の読 み聞かせには書くことの能力は一切求められない。そのため,教師の意図的な指導がない限りは書くことの 目標達成にはつながらないと言える。また,他の技能と同様に,絵本と書くことの関係性について言及して いる先行研究はほとんどないのが現状である。. 5.結 論 本稿の研究課題1の目的は,国内で行われた絵本の読み聞かせに関する先行研究の特徴をまとめることで ある。その結果,児童に相応しい絵本の選定方法や,絵本の読み聞かせによって児童の情意面に前向きな変 化がみられることや,児童に絵本の内容を理解させるために教師がするべき工夫などが先行研究の中心で あったことが明らかとなった。研究課題2の目的は,絵本の読み聞かせが小学校外国語の4技能,5領域の 目標達成のための手段となるのかどうかを検証することである。絵本の読み聞かせはその性質上,理解可能 な英語のインプットを与えるため,聞くことの目標達成のためには大きく貢献するだろう。また,話すこと の目標に関しては,指導者が意図的に言語活動を設定しない限りは,単なる機械的な反復や暗唱に留まって しまう可能性が高いことが示唆された。読むことも教師の読み聞かせだけでは育成することは難しく,児童 が1人で読むように促したり,文字に関する絵本を選定するなど,教師の意図的な介入が不可欠であるよう だ。書くことに関しては,特に指導者の工夫がない限りは児童に促すことが難しいことが本研究で得られた。 英語が小学校でも正式な教科となったことからも,その学習指導要領の目的に合わせた絵本の読み聞かせ研 究が今後必要となるだろう。. 引用文献 アレン玉井光江(2010).『小学校英語の教育法 理論と実践』東京:大修館書店. アレン玉井光江(2019).『小学校英語の文字指導 リテラシー指導の理論と実践』東京:東京書籍. アレン玉井光江・松永結実(2018).「外国語教育における音声言語の発達とジェスチャー ―物語を中心にしたカリキュラム. 105.

(15) 金 山 幸 平. を使って―」『日本児童英語教育学会誌』第37号,19-34. 大川陽子(2014).「小学校英語活動における英語絵本の活用に関する研究 ―児童の発達段階に応じた英語絵本の活用―」 『鳴 門教育大学小学校英語教育センター紀要』第5号,31-40. 長田恵理(2018).「小学校外国語教育における絵本の活用 ―指導者が選ぶ絵本―」 『國學院大學人間開発学研究』第9号, 39-56. 木原美樹子(2018).「小学校英語教育における絵本の活用について ―絵本の選び方を中心に―」 『中村学園大学・中村学園 大学短期大学部研究紀要』第50号,55-62. 酒井英樹・滝沢雄一・亘理陽一(編集)(2017).『小学校で英語を教えるためのミニマム・エッセンシャルズ』東京:三省堂. 畑江美佳(2012).「小学校外国語活動における「読む」ことへの第一歩としての絵本の活用」 『融合文化研究』第18号,2-13. 畑江美佳(2019).「第5章 小学校から系統立った文字指導 ―アルファベットの読み書きから絵本の一人読みまで」綾部保 志(編).『小学校英語への専門的アプローチ ことばの世界を拓く』(pp.82-95).横浜市:春風社. パッツィ,ライトバウン・ニーナ, スパダ(2014).『言語はどのように学ばれるか ―外国語学習・教育に生かす第二言語習 得論』(訳・白井恭弘・岡田雅子).東京:岩波書店. バトラー後藤裕子(2015).『英語学習は早いほど良いのか』東京:岩波書店. 樋口忠彦・加賀田哲也・泉恵美子・衣笠知子(編集)(2017). 『新編 小学校英語教育入門』東京:研究社. 松浦友里・伊東英(2012).「小学校外国語活動における英語絵本の導入効果に関する実践研究 ―第二言語習得研究における インプット理論の視点から―」『岐阜大学カリキュラム開発研究』第29巻,第1号,94-101. 松村麻里(2019).「第9章 小学校英語における絵本を再考する. ―絵本論の視点から」綾部保志(編). 『小学校英語への専. 門的アプローチ ことばの世界を拓く』(pp.140-153).横浜市:春風社. 松本由美(2015).「初期英語教育における絵本の有効活用 ―児童の自発的反応を引出す「読み聞かせ」の試み―」 『玉川大 学リベラルアーツ学部研究紀要』第8号,35-42. 松本由美(2017a).「小学校英語教育における教材用英語絵本選定基準の試案 ―絵本リスト作成に向けて―」 『玉川大学リベ ラルアーツ学部研究紀要』第10号,7-16. 松本由美(2017b).「英語絵本の読み聞かせの身体性と聞き手の理解⑵ ―小学校英語における英語絵本の身体性を活かした 読みあいの試み―」『玉川大学学術研究所紀要』第23号,7-17. 三宅美鈴・竹本敬子・竹田直美(2011).「「読み聞かせ」絵本選定に関する実証的研究 ―小学校5・6年生の読み聞かせに 適した絵本とは」『日本児童英語教育学会研究紀要』第30号,1-17. 吉村美幸・吉田朋世・今井信義・福原安希子(2017).「小学校における英語絵本の読み聞かせの研究 ―担任が無理なく取り 組める手法を探る―」『福井県教育研究所研究紀要』第122号,122-133. リーパー・すみ子(2011).『アメリカの小学校では絵本で英語を教えている』東京:怪書房. Beech, L.W.(2003). Sight word readers teaching guide. Scholastic. Long, M.(1996). The role of the linguistic environment in second language acquisition. In W.C. Ritchie, & T.K. Bhatia (Eds.), Handbook of second language acquisition(pp.413-468). New York: Academic Press. Shin, J.K., & Crandall, J.(2014). Teaching young learners English: From theory to practice. Boston: National Geographic Learning.. . 106. (旭川校特任講師).

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表 3.  実践の工夫  ( 松本   (2015, p. 38)  から引用 )  教師 1 : Red bird, red bird, what do you see?

参照

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