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生活環境が子どもの衝動性と価値割引に及ぼす影響-児童養護施設と一般家庭の比較-

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Academic year: 2021

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(1)生活環境が子どもの衝動性と価値割引に及ぼす影響      一児童養護施設と一般家庭の比較一                              学校教育学専攻                             臨床心理学コース.                                 M07076A                                 加藤佐世           目的. 家庭群:2008年12月4日から12月13目にかけて.  選択行動における衝動性とセルフコントロール. 実施した。. に関する研究は様々な立場から研究されている。. (3)実施場所及び状況 施設群(H学園中学生):.  本研究においては、子どもが置かれている環境の. 中学生棟の中の、8畳ほどの広さの学習室で実施し. 違いに焦点を当て、児童養護施設に入所している子. た。施設群(H学園高校生):15畳ほどの広さの会. どもと一般家庭で生活している子どもとを、『価値. 議室で実施した。施設群(K学園):中高生ともに. 割引』での仮想的金銭報酬問の選択実験場面と質問. 6畳ほどの広さ同じ部屋で実施した。全てにおいて、. 紙を用いて比較していく。衝動性が生じやすいこと. 特に人の出入りもなく静かな場所であった。家庭群. を説明する理論のひとつに『価値割引』がある。こ. (中学生):中学校の教室内で学級ごとに実施した。. れは、同時に提示される2つの選択肢の、一方はす. 家庭群(高校生):各家庭内において実施した。. ぐに得られる少量報酬をもらうことで、もう一方は. (4)実験材料施設群:選択肢をカードで作成し. 将来得られる多量報酬をもらうことについての、選. た。カードは、6.7㎝X12.5㎝のカード2枚をA4. 択を求められた時に、遅延する多量の報酬の価値を. 用紙を横置きに左右に並べ、ラミネートしたものを. 低く見積もってしまうことである。制限された環境. 用いた。カードの1例を、Fig1.に示す。家庭群:. の中で生活している児童養護施設に入所児童と一. 質問紙による選択肢を作成した。質問紙の構成は、. 般家庭で生活している子どもとの間にセルフコン. ①教示②回答例③下降系列④上昇系列⑤回答に関. トロールの程度に違いがあるかを比較検討し、それ. する質問を、それぞれA4用紙に印刷し、1ヶ所綴. ぞれのセルフコントロールの特徴を明らかにする. じて配布した。. こととした。. ■■1.            方法 (1)対象:施設群においては、児童養護施設K学. 園とH学園に入所している、中学生20名(男子9  Pig,1、施設群における仮想的金銭報酬問の選択実験に使用したカードの一例. 名・女子11名)、高校生I5名(男子7名・女子8 (4)手続き施設群:室内に実験者と対象者が1. 名)計35名を対象とした。家庭群においては、一. 対1で着席し、対象者の前に2つの選択肢を提示し. 般家庭で生活しているK市内の中学生86名(男子. 選択させた。2つの選択肢は、「今もらえる5万円」. 38名・女子48名)、H市内の高校生(男子16名・. と「16種類の遅延時間(25年後・20年後・15年後・. 女子6名)計108名を対象とした。.   (2)実施期間:施設群:2008年8月22目から. 1O年後・8年後・6年後・5年後・3年後・1年後・ 8ヶ月後・6ヶ月後・3ヶ月後・2ヶ月後・1ヶ月後・. 9月17日にかけて実施した。. 一166一.

(2) 2週間後・1週問後)にもらえる1O万円」であった。. フコントロールを示し、高校生になると衝動性を示. 初めに下降系列を実施し、遅延してもらえる1O万. したことになる。中学生よりも高校生の方が、衝動. 円を選んだ時点で下降系列を終了し、次に、「今も. 性が高く、年齢を重ねていくことで衝動性からセル. らえる5万円」と「1週問後にもらえる1O万円」を. フコントロールヘ移行していく先行研究とは一致. 提示して選択させ、続いて遅延時間を長くしていく. しなかった。. 上昇系列を実施した。「今もらえる5万円」を選ん.  この結果から、「生活の中で様々なことを制限さ. だ時点で上昇系列を終了し、続いてインタビューを. れている施設の子どもは、自由なお金も制限されて. 打つだ。. いるので衝動的になる」という仮説は否定され、「自.  家庭群:中学生は学校に配布し、教室内で学級ご. 由にお金が持てて、自由に使える高校生の方が衝動. とに担任教師に実施してもらい、学年ごとに回収し. 的になる」ということが示唆された。. た。高校生においては、筆者の知人に依頼レ、友人.  今後の課題として、ユ対ユの選択実験を実施する. に配布してもらい、各家庭で実施したものを知人を. 際、教示を行っていく時に、もっと丁寧に説明する. 通して回収した。. か、ボードを使用して教示していくことも必要だと.          結果と考察. 考えられた。また、比較していくためには、選択実.  Fi&2.に各群の遅延時間の平均値を、下降系列・. 験か質問紙かのどちらかで統一し、実施していくこ. 上昇系列別に示した。この図から、施設群では下降. とが必要だと考えられる。. 系列と上昇系列で、著しい差が見られた。家庭群は. 平均に差はなく約7年で、直後小報酬と遅延犬報酬 問の選択が逆転することが分かった。なお、対象者 の人数が著しく異なっていたため、統計的な分析は. 25 遅. 四 時. 行わなかった。. 間5 奉.  Fig.3.4.に各群の中学生の対象者の下降系列と上. 話0. 昇系列で選択された遅延時間を示した。施設群は、. 平. 下降系列においては、1O名が25年後の遅延時間を. 値0. 示したが、下降系列と上昇系列で著しく差が見られ た日このことは、仮想的選択実験の手続き上の失敗. 均5. ,           壬 聴.2一施設群と家庭群の下降系列と上昇系列における遅延時間の平均値. であると言える。家庭群は、全体的なバラっきはあ. ったが、下降系列で22名、上昇系列で23名の対象 者が、25年後を選び、下降系列と上昇系列との差は. 主任指導教官:市井雅哉. 見られなかった。. 指導教員   嶋崎まゆみ.  先行研究では、大人になるにつれてセルフコント ロールが高まると言われている。しかし、本研究に おいては必ずしもそうではなかった。家庭群で、施 設群のような失敗はなかったが、中学生と高校生の 結果に著しく差が見られた。これは、中学生はセル. 一167土.

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