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知識獲得の視点に基づく社会科授業の分析 : 中学校社会科地理的分野「マレーシアのゴム」の授業事例をてがかりにして (<特集2>「教科教育における認知科学研究」)

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Academic year: 2021

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知識獲得の視一・烹古こ基づく社会科授業の分析 一中学校社会科地理的分野「マレーシアのゴム」の 授業事例をてがかりにして一 社会系教育講座中村哲 1. はじめに 教科教育の研究は、授業実践に関する規則性を解明し、解明した規則性に基 づいて授業を改善することにある。 その為には、授業分析の方綾が求められる。 そこで、知識獲得の視点に基づく授業分析の方法を、中学校社会科地理的分 野「マレーシアのゴム」の授業事例をてがかりにして述べる。 なお、本小論は 本学会のr教科教育における承知科学研究」グループにおける研究会にて、知 識渡得の視点から社会科授業の分析について発表したものであり、拙著『社会 科授業実践の規則性に関する研究』に記載しているものである。 2. 知識獲得の視点に基づく授業分析の方法 分析対象である授業実践としては、教師と学習者の発言記録を取り上げる。 取り上げた発雷記録を、問い・教材(活用資料)・回答の視点から分析する。 そして、分析結果としての問いの種類と関連及び回答内容を、社会事象の知識 獲得の内容に関するr知識の構造」と社会事象の知識獲得の方法に関する「探 究方法」のモデルに基づいて検討する. 「知識の構造」としては、複数の社会的事実の共通性や関連性に関する概念 的知識と特定の社会的事実に関する事実的知識の二層構造をモデルとする。 「 探究の方法」としては、事実探究・原因探究・法則探究の三方法をモデルとす る。事実探究は、法則と原因を前操にして結果としての事実を推察する探究方 法である。 原因探究は、法則と事実を前提にして結果としての事実の原因を確 定する探究方法である。 法則探究は、事実と原因を前提にしてそれらの関係を 示す法則を発見する探究方法である。 3. 知識獲得の視点に基づく授業分析の事例 分析対象である「マレーシアのゴム」の授業では、天然ゴム栽培がマレーシ アでなされている原因と合成ゴムの生産に伴う天然ゴム生産の課題に関する理 解が目棟とされている。 そして、「どうして天然ゴム生産はマレーシア地域に

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ー38-集中しているのか」という学習問題が設定され、その原因が熱帯雨林の気候条 件によって探究されている。 しかし、マレーシアの天然ゴム生産が気候条件だ けでは説明できないので、「熱帯雨林気候の地帯は、東南アジアだけではない のに、なぜ天然ゴムの生産はマレーシアに集中しているのか」という学習問題 が設定されている。 その為、歴史的・社会的条件となるプランテーション農業 の原因が探究され、プランテ-シSrン農業の概念として一癖化がなされている。 さらに、天然ゴム栽培以外のプランテーション農業としてラテンアメリカのコ ーヒー栽培が取り上げられ、その原因が探究されている。 最後に、合成ゴムの 進出によって天然ゴム生産が直面している現実問題とその対策が教師によって 述べられている。 このような授業実践の授業記録を問い・教材(活用資料)・回答の視点から 分析し、その分析結果を「知識の構造」と「探究方法」のモデルに基づいて検 討すると、次のような規則性が指摘できる0 本授業における社会事象の知識獲 得の内容は、プランテーション農業に関する概念的知識とマレーシアの天然ゴ ム生産及びラテンアメリカのコーヒー栽培に関する事実的知識になっている。 そして、「プランテ-シ曽ン農業では、欧米人による資本・技術の導入、現地 人の安い労働力の利用、生産物の温帯先進国-の輸出が行われている」という 概念的知識に基づいてマレーシアの天然ゴム生産及びラテンアメリカのコーヒ ー栽培に関する事実的知識が系統づけられている。 また、本授業における社会 事象の知識獲得の方法は、「天然ゴム生産はマレーシア地域に集中している」 という事実と熱帯雨林気候及びプランテ-シロン農業の原因との関連性を示す 法則の探究がなされている。 さらに、その法則とラテンアメリカのコーヒー栽 培の事実によって、コーヒー栽培の原因が探究されている。 このような本授業における社会事象の知識獲得の内容と方法に関する規則性 は、他の題材に基づく社会科授業の改善と開発に有効な示唆を与えるものと言 える。 4. おわりに 今後の研究課題としては、価値的知識や手続き的知識をも含む「知識の構造」 モデルと「探究の方法」だけでなく価値的知識に関連する「討論の方法」をも 含む知識獲得の方法に関するモデルの構築が求められる。

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