公開シンポジウム
日本環境教育学会第31回年次大会(オンライン)報告
―公開シンポジウムの記録―
鈴木 隆弘(高千穂大学・緊急研究プロジェクトチーム副代表)・ 阿部 治(立教大学・緊急研究プロジェクトチーム代表)・ 秦 範子(都留文科大学(非)・緊急研究プロジェクトチーム事務局長)・ 住田 昌治(横浜市立日枝小学校校長)・ 加藤 超大(日本環境教育フォーラム事務局長)・ 阿久根 佐和子(森であそぼう in Stockholm 代表)Ⅰ 大会報告
鈴木 隆弘 高千穂大学・緊急研究プロジェクトチーム副代表 1 全体の報告 第31回年次大会は、2020年8月21日(金)から8月23日 (日)の3日間、日本環境教育学会として初めてのオンラ インにて開催された。大会テーマは、「新型コロナウイ ルスに対応した環境教育の可能性-オンライン技術の活 用法を探る」である。 新型コロナウイルス蔓延前では考えられなかった参加 者同士をネット回線でつなぐ形態をとりつつ、従来の学 会大会と同様、口頭発表、ポスター発表、自主課題研究 が実施され、2つの常設・特設研究会が実施された。ま た、国際交流企画として“Online Roundtable Session:Environmental education and COVID-19: Impact and Response”(環境教育とCOVID-19:影響と対応)がオ ンラインの特性を生かし、リアルタイムで韓国・台湾・ 北米・オーストラリアと日本をつなぐ形で実施され、各 国・各地域が置かれた現状、新型コロナウイルス蔓延の 影響とそれに対する環境教育の役割についての議論が行 われた。 2 シンポジウムの概要 公 開 シ ン ポ ジ ウ ム「 新 型 コ ロ ナ ウ イ ル ス 感 染 症 (COVID-19)による環境教育への影響と課題」は、8月 22日(土)の午後、ウェブ会議システムのZOOMを使 用し、オンラインで実施されたものである。YouTube も活用し、リアルタイム同時配信も実施された。 本シンポジウムは、5月16日付け理事会緊急方針に基 づき発足した「環境教育における新型コロナウイルス感 染症(COVID-19)の影響と対応」緊急研究プロジェク トチームが計画にあたったものである。(以下緊急研究 プロジェクトチームと記す。)同プロジェクトチームは、 5月以降、「新型コロナウイルス対応に関する日本環境 教育学会会員緊急アンケート調査」を実施、6月には調 査を踏まえ「新型コロナウイルス感染症(COVID-19) に対応した環境教育活動に関するガイドライン(ver.1)」 を公表している。 シンポジウムでは、まず秦範子会員より、上述アン ケート結果の分析及び上述ガイドライン(ver.2)につ いての説明、次に、横浜市立日枝小学校校長である住田 昌治先生より、新型コロナウイルス蔓延下及びそれに伴 う休校措置後の子どもと先生たちの状況についての報告 を受けた。日本環境教育フォーラム事務局長、加藤超大 会員からは、上述アンケートと同時期に実施された自然 学校を対象としたアンケート結果についての報告と今後 の課題について、そして、森であそぼう in Stockholm 代表の阿久根佐和子会員からは、オンラインの利点を最 大限に発揮し、スウェーデンで暮らす環境教育実践者の 目線からの報告を受けた。詳しくは、この後の報告をお 読みいただきたい。 なお、本シンポジウムは、現在、YouTube日本環境 学会チャンネル(https://www.youtube.com/channel/ UC8vSoxqra4bOs9ZbuS8oS4g)にて視聴できます。ぜ ひ、ご覧ください。
Ⅱ シンポジウム
趣旨説明 阿部 治 立教大学・緊急研究プロジェクトチーム代表 なぜ私どもの学会が、今回、本企画を行うのか。新型 コロナは、今の社会を変える大きなパラダイムシフトに なるのだろうと感じている。この新型コロナウイルスそ のものが、人間と野生動物の共通感染症であるというこ と、人と自然との関係に起因しているという問題が存在 する。長期的なスパンに立った文明論的な視点から考え なければならない。短期的に見たときには、感染拡大の 中で、私どもの環境教育の学びの場、活動の場である学 校、地域、自然の中での活動が厳しくなる。感染防止の ための「三密の回避」という状況の中で、私どもの活動 が制限されていく。 このような状況の中で、学会では3月に「新型コロナ ウイルスに関連した感染症対策への対応に関する緊急 声明」を発表した。子どもたちが屋外や野外で活動する ことに対しさまざまな批判がなされたが、本学会声明で は「子どもたちが外で学ぶ権利を最大限保障してくださ い」と示した。その後、緊急アンケート調査を行い、「新 型コロナウイルスに関する日本環境学会緊急方針」をま とめた。緊急事態宣言が解除された5月にも、「新型コロ ナウイルス対応に関連する日本環境学会緊急方針」を示 し、さらに6月、先ほどの緊急アンケート調査をふまえ 「新型コロナ感染症に対応した環境教育活動に関するガ イドライン」をまとめた。これらはすべて学会ホーム ペ ー ジ(https://www.jsfee.jp/general/145-covid-19/400-response-covid19)に掲載している。ぜひご参 照いただきたい。 報告① 「学会員の環境教育活動および研究への影響に関する緊急 アンケートの結果と新型コロナウイルス感染症 COVID-19 に対応した環境教育活動に関するガイドライン」 秦 範子 都留文科大学(非)・緊急研究プロジェクトチーム事務局長 1 アンケート結果から 1)緊急アンケート調査 5月28日から6月14日まで、学会員にご協力をいただ き、105件の有効回答数を集めることができた。学会会 員数における有効回答数が9.6%であり、全体の一割程度 の回答である。 2)回答者の属性 学校と大学の関係者が全体の7割、残り3割は多様な所 属になっている。「55歳から64歳」の年齢層が一番多く、 「40歳から54歳」「25歳から39歳」が続く。居住地は、4 月7日に緊急事態宣言が発令された地域、東京など7都 府県に地域の居住者が51%、4月16日緊急事態宣言対象 が全国に拡大をした際に指定された上記7都府県にプラ スされた特別警戒都府県、北海道などの居住者が15%、 上述13の都道府県以外の地域の居住者が33%である。所 属機関、団体等の活動地域は、上記とだいたい同じよう な結果になっている。 3)環境教育活動及び研究への影響など 活動を中止延期したプログラムや講座、講演会の回数 については「中止や延期がなかった」が6%、1回から10 回が67%、次が11回から30回、それ以上中止という回答 もある。 次に収入について。まず個人収入、影響がないとの回 答が86%。これは学校、大学の関係者が多いためと思わ れる。しかし、一方で25%減や半減した、あるいはほと んど収入がなくなったという回答もあり、深刻な事態で あることがうかがえる。 所属団体、組織等の事業収入は、個人収入に比べると 「影響はない」が49%、約半数。そして25%減、半減、 ほとんど収入がなくなったという回答は、個人における 影響とほぼ同じ結果となっている。本質問項目では「わ からない」という回答の方も34%である。 4)学校一斉休校の影響 2020年2月28日の文科省事務次官通知を受け、翌週の 3月2日より順次学校が臨時休校となった影響について。 まず3月休校の影響は、「大いに影響している」「影響 している」をあわせると、影響ありが実に88%、多数の 会員に影響しているということがわかる。そして、緊急 事態宣言後の影響。こちらは「大いに影響している」「影 響している」を合わせると97%、ほとんどが影響したと 回答している。5月の緊急事態宣言延長(5月4日)によ る影響度は、やはり同じぐらいの96%ぐらいである。 5)自由記述 緊急事態宣言後の影響についての自由記述について。 KH Coderを用いて、多変量解析を行った。 まず「活動におけるどんな制約がありますか」。大学 は、7月末まで全ての授業がオンラインで行うことに なった、博物館ではイベントが中止になったなど。また、 NPO所属の方の回答では、保育園や学校での環境体験 学習の全てが中止または延期になった、自主事業の中止 など活動の自粛をされている、団体職員の方は、主催事 業が中止になった、受託事業激減という回答があった。 研究への影響として、フィールドへの移動ができな い、調査対象の活動も中止になっている。大学、研究者 の方は、質的研究に必要なインタビュー調査ができなく なった。学生は、大学の施設が使えない。そういったこ とも、我々は受け止めなければいけない。6)活動の再開時期 活動再開や活動再開の方法の見直しについて、調査段 階での状況に関する質問項目。再開時期は41%が「すで に再開している」と回答している。学校は、少人数授業、 時差通学をなどいろいろな工夫によって、全国で6月頃 から再開しているが、この実情が反映したと思われる。 1ヶ月以内、3ヶ月以内、それ以上という回答もかなりあ るが、再開のめどは立ってないという回答も。このよう な厳しい回答については、自然学校の状況が反映してい ると推察する。 7)自由記述 緊急事態宣言発令後の活動の方法の見直しとその工 夫についての自由記述について。 学校、大学では、たとえば対面式の調査指導を遠隔授 業やアンケート調査に切り替える、NPOは感染拡大防 止のためのチェックリストを作成、参加者自ら参加の可 否について判断してもらう、博物館では、展示に触れな いように工夫する、自然体験等の活動では、隣接する都 道府県内までに活動場所を制限するなど詳細に回答い ただいた。このような具体的な記述が、学会によるガイ ドライン作成の際に大変参考になりました。 研究への影響は、国内外で共同研究について先方の状 況が厳しいため、全く見通しが立たないという回答も あった。 8)国の方針に対する評価 国の方針に対する評価について。 学校の一斉休業。「とても評価している」「評価してい る」を合わせると36%程度、「どちらとも言えない」も 36%程度とほぼ同数になっている。一方、緊急事態宣 言については「とても評価している」「評価している」 を合わせると64%程度。延長に対する評価もほぼ同数で、 一斉休業と同様の傾向が見られる。学校の一斉休業につ いては、かなり影響があったという結果と思われる。 2 学会ガイドラインについて 学会では、緊急アンケート調査結果をふまえガイドラ インを作成したが、今回は現在準備中のバージョン2を お示しする。第2波の拡大が指摘される中でより細かな 活動指針が必要であると考え、国内外の環境教育に関す るガイドラインを参考に改良を加えた。 本ガイドラインの目的は「野外活動等の環境教育活動 を継続して実施するために新型コロナウイルス感染症 予防に向けて最大限注意を払いながら具体的な対策を 講じるための指針」を示すものである。基本的な考え方 は次の4つ。①「指導者は新型コロナウイルス感染症予 防を参加者が自ら考え行動するための働きかけを行 う。」②「指導者は感染症から回復したもしくは無症状 を含む人が差別されるなどの人権侵害を受けることの ないように意識向上を行う。」③「繰り返しリスク評価 を行う。」④「地域の状況や活動内容によって工夫しな がらリスクマネジメントを行っていく。」 具体的な対策は、文科省の業種別ガイドラインなどと 同様に2つ。感染予防の3つの基本「身体的距離の確保」 「マスクの着用」「石鹸による手洗い、アルコール等に よる手指消毒」を守る、そして三密を回避した活動を行 うこと。 マスク着用は8月のいま現在、熱中症を避けるために も、野外で、身体的距離を取れる活動であればマスクを 外すことも問題ないと思われる。今回書き加えたのはマ スク着用ができない方への配慮である。2歳以下の乳幼 児や自らマスクの着脱ができない方や障害のある方、そ して「着用を強要をしない」ということも覚えておかな いといけないだろう。 従事者における対策は今回書き加えた。感染者が発生 した場合に備えて対応マニュアルを作成し、同時に、担 当者を決めておくということが重要と考える。 参加者への周知に書き加えたのは、接触確認アプリな どの活用であり、参加者に呼びかけることが必要と思っ ている。 最後、活動内容に基づいた個別的な留意点について、 環境教育の場として4つの場所を例に書いている。 まず、自然体験活動について。活動グループは小人数 で実施する野外でも身体的距離をやはり確保していた だきたい。そして、重要な点として、共用をする教材、 教具の消毒を徹底、その教材、教具の材質にも注意が必 要である。それから、病院に行く必要があるようなけが はしない、させない。リスクマネジメントを徹底すると いうことです。 博物館、動物園、水族館、環境学習施設等の社会教育 施設について。たとえば、直接手で触れることができる 展示物は、当面控える。グループワーク、調理などのリ スクの高い活動は極力、感染拡大の時には避けるという ことに努めていただきたい。 学校に関しては、室内の実験はできる限り小人数グ ループに分ける。自然観察活動などの屋外でも、注意し ていただきたい。 最後に講座・講演会も、いまの感染状況で考えるとや はり50人以上の活動は避けていただきたい。50人未満で あっても、対面での実施を避けてオンラインでの開催を 検討していただきたいと思っている。 ぜひ本ガイドラインについて、皆様のご意見をいただ いて改良していきたい。どうぞ忌憚のないご意見を頂け ればと思います。
報告② 「コロナ禍の中での子どもたち」 住田 昌治 横浜市立日枝小学校校長 1 子どもと教師たちの状況 コロナ禍における、実際の子どもたちの様子、また学 校の様子、コロナ禍でどのように学習をしているのかに ついて報告する。 まず子どもたちについて。学校再開後も、土曜授業が あり、夏休みも当然に短くなって、行事や運動会などの 楽しい行事、修学旅行とかがなくなる、または形を変え て実施せざるを得ない状況にある。そして教室では距離 をとり、話をしないようにする、三密を避けるようにす ると大変に制限がかかった状態にある。しかも、学習の 遅れが言われている。とにかくどんどん勉強を進めよう という状況が、増えているような気がしている。 その中で教員は、本当に疲労してしまって、疲れ果て てしまっている。先生方は、子ども達が群れて遊ぶとか、 一緒に話し合いながら学習進めるとかすることをこれ まで良しとしてきた。しかし、今はそれと真逆のことを 言わなければならない状況にある。また、感染症への恐 れ、自分だけでなく、クラスの子どもたちが罹ったらど うしようかというようなことを抱えている。そこに、や らならなければならないことを抱えて、ストレスが増大 している状況が学校の中にはある。 そういう状況下で、学校はまず何をまず取り戻さなけ ればならないのか。学校は、本来子どもたちにとって楽 しい場所、子どもたち同士で学んだり先生と一緒に学ん だりしながら安心して楽しく学べる場所である。今、子 どもたちにとって取り戻さなければならないのは学校 の楽しみであり、子どもたちが笑顔で楽しく過ごせると いう状況を作っていくことがなによりも大事である。し かしなかなかそういう状況になっていない。 2 学校とベターノーマル 「夏休みの思い出を書こう」と指示すると、「お祭りに 行った」とか「海に行って遊んだ」とか、そういう楽し い思い出を描く。ところが、今年の2年生が書いたのが 衝撃的だった。「とにかく暑い日だったということが伝 わるように色を塗りました。」と書いている。子どもた ちにとってもこの暑さというのは本当に印象深い、そう いう状況になっているのだろうと思う。 横浜市は、今週8月17日から学校が開始されたが、感 染症予防に加え、熱中症の予防が非常に大きな問題とし てある。子どもたちが登校してくる8時30分の段階で、 本校の校庭の気温が37.2度、教室内の気温は30度を超え てしまう。そこで本校では、プロジェクトチームをつく り、どうすれば子どもたちが安心・安全に教室で過ごす ことができるのか。エアコンと換気、熱中症予防プラス 新型コロナウイルスの感染予防、この両面を非常に苦慮 しながら試行錯誤しながら進めている。 先生たちもコロナ禍で元気に笑顔で過ごさないと子 どもたちも笑顔になっていけない。教員も子どもたちも やはりまず健康第一でいることが、今まさに学校に求め られていることだと思う。疲弊して疲れ果てて、イライ ラしている状況ではなくて、先生方がワクワクできるよ うな、そういう状況を作り、ワクワクしているものが子 どものワクワクに繋がると考える。今こそESDを体現 するときだろうなと考えている。それは何かというと、 これまでの枠や考え方にとらわれないという意味で教 員自身が変容していくことが必要となる。 よく考えてみるとコロナ前が持続可能なわけではな く、SDGsやESDがあっても、持続不可能にどんどん陥っ ていたわけで、コロナ前に戻ってはいけない。よって「新 しい日常」をつくっていくという過程においては、これ からの教育のあり方を、みんなで話し合いながら対話し 続け、学習者である子どもたちが意思決定をしていく方 向性を考えていく必要がある。子どもの意見、子どもの 考えを取り入れながらこれからの教育をしていく必要 がある。そうなると、ニューノーマルというより「ベター ノーマル」、これまでより良い日常にしていくというこ とをみんなで考えていく必要がある。 3 身近なものへ目を向ける しかし、あまり外に出て繋がることができないとすれ ば、やはり身近にあるものとつながる必要がある。 1年生の学校探検では、校内をぐるぐる回りながら質 問し、そこで体験してくるということを今まではしてい た。校長室に入ってくるときには礼儀正しく、「何年何 組なんとかですけど校長先生いますか」と礼儀正しくふ るまう。ところが今年は、1年生の先生が今まで違うこ とをやろうとして、白い帽子をかぶると子どもが岩にな る、岩になった子どもは誰にも気がつかれないという ルールをつくった。そうすると子どもたちは白い帽子を かぶると誰にも気がつかれないので、学校探検でそーっ と校長室に入ってくる。そして、私のことをずっと見て いる。そういうようなことが3日ほど続いた。今までと は真逆のことを実施し、子ども達が学校の様子を詳しく 観察するというようなことをやっていた。こういうこと がすごく大事なのかなと思っている。今まで正しいと 思っていた、本当はやっちゃいけないよと言われたこと をここでは推奨してやっていくということ。今まで通り にいかないのであれば、今まで出来なかったことができ ると考えれば良く、正解がわからないならば間違いや失 敗はないと考える。だから、とにかくどんどんチャレン ジしていく。身近にあることに目を向けていくというこ とです。
校舎内を回っていくと、ビニール傘が結構ある。そこ に目をつけた子どもたちが、ビニール傘を作る会社の人 を呼んで、ビニール傘はどうやってできているのかを学 び、愛着をもって長く使えるようにするためにはどうし たらよいかと、自分たちで絵を書いたり、飾ったりして、 「使う者としての責任」をどう考えるかについて学んで いく。 給食では、牛乳を飲む際にストローが出る。これはプ ラゴミとしてどうなのだろうかと考えた子ども達が、農 家の人に連絡をとって、麦わらストローを作ってみた。 やったら麦臭くて飲みにくいと言っていた。こういうこ とにもチャレンジしている。 5年生の例。私が以前「エコバッグが有料になる」と 朝会で話をした時、自分たちが今まで着ていた服をエコ バッグにしてしまおうと取り組んだ子がおり、クラスで も取り組むことになった。自分たちが大事に使ったもの はただ捨ててしまうのではなく、形を変えて使っていこ うという試みである。その時に、これはどこかと繋がっ た方が良いとなり、企業や大学生と連携しながら子ども 達の活動をやっていこうかということを考えている。 身近な地域では、近所の大岡川にアクアパークがあ る。2年生の子どもたちに元気がない、とにかく学校の みんなを元気にしたいということで日枝っ子アクアパ ラダイスを見に来てもらおうという活動を考えている。 このように、学校の中で子どもたちは学習が遅れてい るからといって、国語・算数・理科・社会だけを徹底的 にやっているわけではない。先生たちがいろいろなこと を考えながらワクワクしながらやっていけば、やれるこ とはたくさんある。 内部にあるリソースを活用しようというようなこと について学ぶということもある。そして、オンラインで 繋がれる状況が今あるので、エコバックの事例のように 直接は会えないけども、オンラインでつないでやってい く。そういう可能性も出てきている。 4 子どもたちの変化 小学生の教科書の中にも環境の問題については非常 に詳しく書かれていて、持続可能な社会をつくるという 言葉は明確に表記をされている。教科書には、QRコー ドがついている。タブレットでスキャンするとさまざま なデータを見ることができる。本来は実際に見に行った 方が良いものがたくさんあるが、居ながらにして様々な 情報を吸収することができる。 社会科の教科書でも、地球の環境と共に生きる、持続 可能な社会を目指すという文言、SDGsのことも明確に 書いてある。そのような状況の中で子ども達は、小学生 のところから知り学び、そして自分たちでできることは 何か、行動していくというようなことが目指されてい る。これまでは、やらなければならないが、どうやって やれば良いかわからないというのがあった。しかし、こ れから当たり前のように、子どもたちはやっていくと思 う。逆に大人が遅れないようにしなければならない。 5 学校の役割とは 子どもたちが学校に来るのが楽しい、学ぶことが楽し い、みんなと活動することが楽しいということを取り戻 さなければ、学校が存在する意味が本当になくなってし まう。そのためには、やはり教員がまずワクワクする。 教員に元気がなければダメですし、疲れ果ててはいけな い。教員をどうやって元気にさせるかということが第一 で、その次に子どもたちがしっかりとワクワクしながら 学べるようにしなければならない。とにかく今はゆとり が必要だと思う。ぎゅうぎゅう詰めにして、とにかく日 数をこなさなければならないとか、やらなければいけな いことがたくさんあって、追い詰めていく、そういうよ うなことが決してあってはいけないなと思う。 ポストコロナと言われるが、実際にはウィズコロナが おそらく続いていく。その中で先ほどからお話ししてい るように、感染症対策、夏だと熱中症、冬だとインフル エンザなど様々なことに配慮しながら教育活動をやっ ていかなければならない。その時にどうすれば良いのか をみなで考えていく必要がある。学校や教育は誰のため なのかということを、みなでしっかり共有しながら、子 どものための、子どもが主役になる、子どもが主になる 教育をしていかなければならないと考えながら日々過 ごしている。 報告③ 「新型コロナウイルスによる自然学校への影響と課題」 加藤 超大 日本環境教育フォーラム事務局長 1 はじめに 自然学校とは、地域の自然を舞台に自然体験やエコツ アーを提供する事業体。学童クラブ、森のようちえんな ど、自然学校という名称を使用していない学びの場も自 然学校として捉えることができる。地域振興・地方創生 に向けた取り組みにも活動の幅を近年広げており、持続 可能な地域づくりの拠点としての役割も期待されてい る。1980年代前半に日本では最初の自然学校が誕生し、 2011年の調査では、全国で約3700校が活動している。 この自然学校でも、他の業種の皆さんと同じく新型コロ ナウイルスによるさまざまな影響が生じている。 今回は、今年の4月以降、日本環境教育フォーラム (JEEF)と自然体験活動推進協議会(CONE)、日本ア ウトドアネットワーク(JON)の3団体が中心となって 進めてきた活動の概要について報告する。具体的には、 ①自然学校への影響調査について、②要望書について、
③安全管理ガイドラインの作成について、④クラウド ファンディングの4点である。 2 自然学校への影響調査について 4月14日から21日に全国の自然学校に対して実施した 緊急調査について。 調査では、JONとCONEのほか「日本エコツーリズム センター」などにも協力いただき、各会員に対しWEB アンケートを送付、そのうち236件ご回答いただいた。 回答団体の法人格でもっとも多いのは NPO80団体 (33.8%)、次に任意団体37団体(15.6%)、個人経営35団 体(14.8%)、株式会社32団体(13.5%)であった。 団体の2019年度の予算規模は、「1000万円~3000万円」 60団体で最も多く、「100万円~500万円」54団体、「500 万~1000万円」31団体の順となっている。 本日は5つの調査結果を重点に置いて、お伝えしたい。 1点目、4月末までの減少した売上見込額。3月学校一 斉休校が始まり、4月は緊急事態宣言に伴う措置が始 まったため、春休みに予定していたキャンプや事業が自 然学校でも延期・中止された。それが自然学校の売り上 げにも影響を及ぼしている。被害額「10万円~100万円」 の団体が最も多く87団体、「100万円以上」見込みの団体 数も半数近くにのぼっている。4月末までに減少した売 上見込額は、全体で約5億9200万円。1団体当たりの平 均額は約310万円という結果である。 2点目、5月以降に減少した売上見込額。5月以降、 100万円以上の被害が見込まれる団体は6割超。5月以降 までに減少した売上見込額は全体で約12億1800万円、1 団体当たり平均は約627万円という結果である。本調査 は、4月中旬に実施しため、緊急事態宣言の延長及び夏 休みの短縮による被害額は、現時点でさらに大きくなっ ているのではないか。 3点目、活動内容および法人への影響について。活動 内容に影響が出ていると回答した団体は9割弱あり、法 人経営に現在影響が出ていると回答した団体は6割弱で あった。現在ではもっと大きな被害が見込まれる。 4点目、自然学校が持続化給付金や雇用調整助成金な どを申請しているかどうかについて。6割の団体が申請 した、または申請を検討していると回答しており、この ことから多くの団体が存続の危機に直面していること がわかる。 5点目、中止延期したプログラム数及び参加者数。4月 末までに中止延期したプログラム数「1本~5本」45%、「6 本~10本」20%となっている。参加者総数は、19万7806 人、1団体当たりの平均は841人。5月以降は、「1本~5本」 37%、「6本~10本」23%であった。参加者総数は38万 2926人、1団体当たりの平均は1679人という結果であっ た。 調査結果のポイントについて。 1点目、多くの自然学校が団体存続の危機に直面して いるということが被害総額からわかってきた。2点目、 子どもたちの生きる力が失われることが懸念されるこ と。自然学校には、自然と子どもを繋ぐ大きな役割があ り、体験活動を通して正解がない問いと向き合ったり、 活動を自分自身で決める決断力を養ったりなど、生きる 力を育む場所である。しかし、自然学校が減少、消滅し てしまうと、体験活動を実施する機会や場所が失われ、 生きる力の低下につながるのではと危惧している。3点 目、感染症対策を盛り込んだ安全管理マニュアルの策定 が望まれるということ。 これらの結果を踏まえてJEEF、CONE、JONの3団体 では要望書の作成や安全ガイドラインの作成クラウド ファンディングを実施してきた。 2 要望書について 上記3団体で要望書を作成し、5月14日に関係省庁及び 国会議員に対して提出した。要望書のポイントとしては 3つ、1つ目、自然学校等への夏休み期間を含めた経済 支援、2つ目、自然の中で安全に過ごすガイドライン普 及への支援、3つ目、コロナウイルス収束後、自然学校 等が自然の中での体験活動を進める助成事業の展開で ある。 1点目、夏休み期間を含めた経済的支援について。先 ほどの調査結果の通り、全国の自然学校は、持続可給付 金や雇用調整助成金を活用して危機を乗り越えようと しているが、夏休み期間の短縮、集団行動に対する危機 感等によって、繁忙期である夏のプログラムが実施でき ないのではないかと危惧がありましたし、実際に十分な 活動ができなかった。文科省調査では、休校を実施した 全国1794の教育委員会のうち、95%が夏休みなどの長期 休みを短縮している。 2点目、ガイドラインの普及について。感染症専門家 等の意見を参考に、自然の中で過ごすことの心身への有 用性や安全管理について作成した。このガイドラインの 普及に、各省庁や都道府県知事からも支援を要請した。 3点目、自然の中で体験活動を進める助成事業の展開 について。感染終息後、すみやかに自然学校は活動を再 開し、以前の事業形態に回復するための人件費や管理費 等の助成事業をお願いできないかというもの。また、子 どもが自然と触れ合う機会というのを減少してしまい、 生きる力の低下が危惧されている。これらを学校の教育 活動等で補えないか。現在、「青少年自然体験活動等の 推進に関する法律案」が国会審議中のため、同法案も早 期成立させ、自然体験に関する取り組みを学校教育の中 でも盛んにしてほしいという点である。 3 安全管理ガイドラインの作成について 自然体験活動、自然教育・野外教育・環境教育を実施 している事業体における新型コロナウイルス対応ガイ
ドラインを5月末に3団体で作成した。ガイドラインで は、主に感染拡大の予防と社会経済活動の両立を図った 上で必要と考えられる対策を例示し、各自然学校におい ては施設の規模や事業の内容等を勘案し、移動方法や食 事の取り方、宿泊方法などをそれぞれの自然学校に合わ せて作成する際の元となるガイドラインとなっている。 今夏キャンプの実施にあたり、プログラムに合わせたマ ニュアルを自然学校では作成している。また、参加者の 募集に安心のため、マニュアルをホームページに掲載し ている自然学校も多数ある。 4 クラウドファンディングについて 夏休み前にも調査を行ったが、夏休み期間の短縮や集 団行動に対する危機感によって、自然学校は繁忙期間で ある夏のプログラムが十分に実施できていない。見込み 数の大幅な減少、三密回避のため定員を半分にしたが、 準備運営の人件費等は変わらないため採算が合わない。 かつキャンプの参加費を高くすることは難しい。また、 長期キャンプでは、三密回避が難しいことから、期間を 短縮して実施している。移動制限もあり首都圏からの参 加者を集めることが難しい地方もある。さらに大学授業 のオンライン化により、学生リーダーやボランティア確 保が困難、消毒・検温等によるスタッフへの負担も増加 しているなど、活動的にも経営的にも厳しい現状がある ことがわかった。 そのため、全国の自然学校を金銭的・精神的に応援し ようという目的と、多くの人々に自然体験、特に子供の 頃の自然体験の重要性や自然学校の役割を伝えたいと 考え、7月1日より「自然学校エイド基金」を立ち上げ、 全国75の自然学校に賛同団体とともにクラウドファウ ンディングを開始した。 本クラウドファンディングは、寄付したい自然学校に 対して支援者が指定をして、寄付をできる仕組みとなっ ている。目標金額を500万円と設定したが、開始1カ月 で達成できた。現在は、ネクストゴール1,000万円に挑 戦をしているが、今回のクラウドファンディングによっ て、自然学校が多くの人に愛されていると強く実感する 機会となった。支援者の中には、たとえば以前キャンプ に参加したことがある子どもたちとその保護者、元ボラ ンティアリーダー、元インターン生など多くの方々ご寄 付と共に応援メッセージを頂いております。日本環境教 育学会会員の皆さんからも、多くのご支援を頂きまし た。本当にありがとうございます。 この皆に愛されている自然学校は新型コロナウイルスで 潰してはならない。もっと頑張らないといけない。それが、 ネットワーク団体である私の責任かなと感じている。 5 まとめ 私たちを取り巻く環境は、新型コロナウイルスの影響 で大きく変わったと思っている。しかし、マイナス面だ けでなくプラス面もあったのではないか。自然学校も、 オンラインを活用したエコツアーや生き物観察会が実 施され、活動の幅が広がってきている。私自身も3団体 で一緒に活動したことによって、これまで以上にネット ワーク団体の連携強化になったと考えている。 今年の学会大会はオンラインでの開催となったが、こ れまでの環境教育を見直すとともに、これからの10年を 考える良い機会でもあると考える。 特にこのコロナ禍においては、正解がない問いに対し て立ち向かうことの難しさ、必要性が改めて浮き彫りに なったのではないか。環境教育として社会を変えるため には、これまでの環境教育をさらにアプローチや規模の 面から発展させていく必要があるのではないかと感じ ている。 もちろん自然学校も、従来のビジネスモデルからさら に進化して続けていくことの必要性を感じるが、具体的 にどうするのかと聞かれても、大変申し訳ないが、まだ 私自身も答えを見つけられていない。研究と実践の両立 を目指し、日本環境教育学会の皆さんとぜひ一緒に協力 をしながら、新しい環境教育のあり方を考えていけると 嬉しい。 報告④ 「外で遊ぶ権利の保障と関わるスウェーデンのCovid-19 対策下での自然体験活動の現状報告」 阿久根 佐和子 森で遊ぼう in Stockholm 代表 新型コロナが蔓延しているこの時期でも公園で子ど もたちが遊ぶ、それが全く変わらない形でスウェーデン にはある。そういった日常を権利や外遊びの視点で切り 取ってお伝えするのが本テーマで報告する理由である。 最初にスウェーデンの対策とその展開、その展開にお いて子どもの権利がどう語られており、対策の中身はど うなっているのか。外で遊ぶことはどのように語られて いるかに焦点を当てて報告する。また、自分の活動内容 について、どのような対策を取っているかについて触れ る。 1 スウェーデンの対策とその姿勢 スウェーデンのCovid-19対策の全体像を、公衆衛生庁 の資料を元にご報告する。 1、2月は1月31日に中国から帰ってきた感染者がいた 以外は、対岸の火事を見るような雰囲気だった。それが 2月28日のスポーツ休みがターニングポイントとなり、 3月に爆発的に感染が広がった。スポーツ休みは、冬期 にできるスポーツを一生懸命、みんなで楽しもうという 1週間の休みだが、この休みを利用してイタリアなど海 外へ旅行した方々がおられた。その後、3月11日に死者
が出て、これは対策を立てねばとなった。 その中で、中学までの子どもを対象とする施設は通常 通り開校するというのが他国と大きく違う対策である。 中学までの子どもを対象とする施設とは、保育所、それ から学童、小学校、中学校である。一方、その他の高校、 大学、成人学校は最初の頃からすぐにオンラインへ切り 替わった。 3月22日、首相演説で皆の注意喚起があり、その3月に いろいろな対策が取られ、その後も対策はほとんど変わ らず続き、6月13日から学校は約2ヶ月間の夏休み、そし て8月20日前後から学校が開始され、来週には新学期が ほとんどの学校で始まる。 今ご紹介した3月22日の首相演説が国民の連帯感を高 めたという一つの要因になっているが、国と政府の姿勢 を少しお話したい。人々の生活と健康を守りつつ、医療 崩壊を防ぎ、感染を抑制するというのが全体目標。その 目標のために、人々が何をやればいいか、やるべきかを 演説した。その中で、同胞、責任、助け合いという言葉 がたくさん出てきて、社会が一丸となってこのウイルス に立ち向かっていこうという強いメッセージが伝えら れた。その中で私の頭に残ったことは、「大人は大人ら しく振る舞い、パニックや根拠のない噂を流さない。」 それと共に、「きちんとした情報を出すことで不安を軽 減することをします」という言葉であった。 スウェーデンは、今年1月1日から法律制度の中に子ど もの権利条約を入れたこともあり、子どもたちへどうい う対応を取るのだろうという点にとても興味があった。 この政府演説の前にロベーン首相は、子どものための 記者会見を開催している。国民の全体への演説の前に子 どもへの対応をとることで、政府も子どもたちを見てい るという姿勢を示し、子どもの聞く権利と知る権利を保 障するというのがわかった。 4月に入り、子どもの権利を所轄する平等大臣が、ま た子どものために2回の記者会見を開いている。会見開 催理由は、子どもたちの知る権利を担保するためとのこ とだが、そのほとんどすべて女性の関係省庁の責任者が 会見に参加し、子どもたちからの質問に丁寧に回答して いた。 2回目の会見時には、教育省の大臣が来て、主になぜ 学校が開いているのかについての質問と回答があり、学 校は子どもの学びと安全な生活のために大切なところ であると発言していた。大臣が、新型コロナウイルスへ の対策によって、失う知識も多いかもしれないけれど も、この経験こそが人生のためにとても大切なものに なっていくと力強く発言したのは、とても印象深かっ た。また会見全体の中では、質問に答える形で、「不安 になったら周りにいる信頼できる大人に相談しなさ い。」それと共に「子どもに大きな影響は出ていないし、 重症化する人はあまりいないから普通の生活をしなさ い。」と発言、子どもたちの不安を抑制しようという雰 囲気の会見だった。 スウェーデンでは、対策などの具体的な中身について は事案に応じ、専門家集団が対処していく。今回の新型 コロナの場合は、公衆衛生庁というところが音頭をと り、政府よりも強い力を発揮して対策を取ってきた。こ の公衆衛生庁の対策は、まさにwithコロナ。国家疫学 者のアンダーシュ・テグネルが、エビデンスをもとに説 明していたが、たぶん長期化するだろう、今年1年は影 響があるだろう、感染力が強くて人から人へ移る、高齢 者への影響が強く重症化しやすいが子どもへの影響は 小さい。それと共に、新型コロナに限らずだが、日常的 な生活をすることが健康へ繋がる。 また、エビデンスに基づいて、細かい規制がある。全 員が対象とされる規制は「50人以上の集会の禁止」「高 齢者施設への訪問の禁止」「酒場での混雑の禁止」「国外 よりスウェーデンへの旅行禁止。」「高齢者施設への訪問 の禁止」は子どもたちが、おじいさんおばあさんに会え ないということ。「酒場での混雑の禁止」だが実際には 開いている。「国外へ出てはならない」は90%の人が守っ ていたようだが、現在は少し緩んでいる。あとは、自粛 だが、日本とそれほど変らず、清潔を保ち、密を避け、 ソーシャルディスタンスを保つということが目的と なっている。しかし、日本と違う点は、咳がでるとか、 気分が悪いとか病気の症状が少しでも出たら家にとど まる。学校や職場に来るのは元気な人たちだけとなる。 一方で、マスクをつける人は、10人中1人ぐらい。未だ に論議が続いているが、まだ着用が義務づけられていな い。公共交通機関の使用を避けるために自転車が推奨さ れている点や、70歳以上の高齢者でも健康であれば、人 となるべく会わないようにして、自然の中で歩こうとい う点はスウェーデンらしいと思う。 では、外で活動するとは具体的にはどのようなことな のか。公衆衛生庁のWEBページには、健康に関係する ものとして野外生活がある。そこでは、ルールだけは守 り、新型コロナの時でも外に出ましょうと薦められてい る。さらに誰でも利用できる学校用のポスターがあり、 そこにはこうしたら良いのではというヒントが書かれ ている。その中にも、外に出て、体を動かすことが推奨 されている。新聞記事でもいつも行われている活動を続 けていくことが大切だから、健康のために夏休みの野外 活動に出ましょうという記事が掲載されている。つま り、外で何かをする、体を動かすということ自体には規 制はなく、注意することだけが求められているとわか る。 2 「森で遊ぼう」という活動とスウェーデンの実際 私の「森で遊ぼう」という活動は、2013年に始めた。 スウェーデンに点在しているご家族の方々が、土日に集
まり、普段できないことを、ストックホルムの身近な自 然の中で遊び、やってみようという活動である。 コロナの話が徐々に広まり、不穏な感じがしてくる3 月、子どもの様子を見るために対策を行いながら活動を 実施してみた。距離を保つことをゲーム化したものを取 り入れて、新型コロナの話という紙芝居を行い、コロナ から逃げろと名付けた遊びをやってみた。この中で見え てきたのは、子どもはもうすでにいろいろな情報をつか んでいて、いろいろなことを知っていた。ただ、やはり 不安を持っており、どうなるのだろうか、何ができるの だろうかという不安が感じられた。 情報収集を進める中で、学校や行政では、外へ出るこ とへの対策がいろいろと取られている。室内でできない こと、強制できないことは外でやろう、外で過ごす時間 を増やそう、それから夏休み中には、ストックホルム市 内でもできる、普段の年ではできないことを増やして、 さまざまなことをやりますという案内も出ていた。こう いった活動を参考にしたが、当方は完全に活動を自粛し た。その代わりに、ホームページに、暇つぶしにできる ことなどの情報を提供した。 活動は、完全自粛をしたが、いつ何ができるか分から ないということもあり、私自身は外に貪欲に出るように した。 たとえば、3月20日、私の所属している他団体が実施 した、体を動かそうという集まり。そこでは、いろいろ な工夫がされていたが、団体としてアナウンスがしにく いためか、個別で友達と集まってやってみようとしてい た。 3月22日の日曜日の写真。みな外に出ていないのでは と思っていたが、普段よりも家族単位でピクニックして いるのが目に入った。家族のための公園があるが、そこ でも家族連れでいつもあふれている状況。みな情報をつ かみつつ、外に出よう、外で過ごすことがさまざまな意 味で健康な生活に良いことだというのが定着している と感じられた。 6月、夏になると、好天の時にはたくさん人が出てく る。そういう写真が日本でもたくさん出たのではないか と思うが、みなソーシャルディスタンスを確保するため に点在している。ただぼーっとしている中で何かできな いのかと思われた方々から、連絡を頂くことも増えてき た。私自身の経験を生かして、近所を個別で歩く、自転 車に乗るなど、様々なアドバイスをしたが、それが今も まだ続いている。 このような活動ができるのは、実は地域、身近な環境 の中にいろいろな公園、緑地があるからだろう。 3 まとめ 全体として、スウェーデンでは、政策に変化はなかっ たが、やはり信頼と連帯をみなが感じていたのが大きい のではないか。そして、子どもの権利と学校の役割、情 報の透明性によって、さまざまな情報をつかむことがで き、いろいろな情報の中から自分のための情報をつかん で、さらに批判的な見方を加えて、自分の生活を作ると いうことがなされているということは感じられた。この 背景には、やはり外で過ごすことが良いことという意識 が、共通のコモンズとして皆の中にあること。そして場 所や機会が社会の中にあること。それによる安心感が、 私には感じられた。