複数診療科・nurse practitioner連携による脳卒中診療体制の構築
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(2) Fig. 1 N‒SHOT flow‒chart for LVO cases.. N‒SHOT: Nagasaki Medical Center stroke hotline, LVO: large vessel occlusion, NP: nurse practitioner.. 働き方改革が推奨され,政府の方針として 2024. 対象および方法. 年に年間 960 時間,特例でも 1860 時間を上限と する規制が適応される2).特に地方都市における. 1)救急科初動の脳卒中ホットライン(Nagasaki. 医師不足はますます深刻化しており,そのような. Medical Center stroke hotline: N‒SHOT). 状況下で医師の働き方改革にどう対応するかは切. 2014 年 10 月から,高度救命救急センター(救. 迫した課題である.. 急専従医 12 名)が常時管理し,救急科が初動す. 長崎県は 600 近くの離島が存在し,全国最多で. る脳卒中ホットライン(N‒SHOT)を導入した.. ある.そのうち有人島は 51 島で,県総面積の約. また脳外科と脳神経内科は連携し脳卒中待機を設. 38%を占める.離島の医師は本土と比べ不足して. けた.. おり,常駐の脳卒中専門医は皆無である.. N‒SHOT 担当救急医が脳卒中と判断した場合,. 当施設は長崎県央地区の急性期中核病院であり, 事務より脳卒中待機医(脳外科あるいは脳神経内 離島医療の hub 施設としての役割も担っている3). 科)及び関連各部門に一斉に連絡し,並行して複 離島の神経救急は脳神経外科(脳外科)医が担当. 数の救急科研修医及び看護師と共に,受け入れ・. しており,離島と本土の双方に常時対応する待機. 諸検査と初療にあたる(Fig. 1).頭部 CT 施行後. 脳外科医への業務負荷の大きいことが,長年の課. に頭蓋内出血が否定されれば,頭部 MRI/頭部. 題であった.. MR angiography を施行する.脳卒中待機医師は可. 当施設では,2014 年4月から本格的に急性期. 及 的 早 期 に 合 流 す る.急 性 期 脳 主 幹 動 脈 閉 塞. 脳. 塞に対する血栓回収療法を開始した.同年の. (large vessel occlusion: LVO)が判明した時点で脳. 脳卒中ホットライン導入に際してタスクシフトの. 血管内治療医に連絡が入る.脳卒中待機医が同意. 考え方を採用し,比較的人数が確保され,交代勤. 書を取得し,脳血管内治療医は血管撮影室に合流. 務制で院内に常駐している高度救命救急センター. する方針とした(Fig. 1).2016 年より NP が脳外. 救急医が初期対応する運用方針とした.さらに. 科 に 配 属 さ れ,平 日 日 勤 帯 に お い て NP は N‒. 2016 年より脳血管内治療医に対する nurse practi-. SHOT の 初 期 対 応 を 支 援 し た.2014 年 10 月 ∼. tioner(NP)のサポート業務を開始した.. 2020 年3月の期間における N‒SHOT の臨床像を. 脳血管内治療医のワークライフバランスを意識. 検討した.. した脳卒中診療体制について紹介する.. 2)急性期脳. 塞に対する rt‒PA 療法,血栓回収. 療法 2014 年度までは脳血管内治療医2名(1名は. 18. Neurosurg Emerg Vol. 26, No. 1 2021.
(3) Fig. 2 Since the start of N‒SHOT, the number of cases of rt‒PA and mechanical thrombectomy has increased over the years. The number of neurologists has increased as well, and since 2016, NPs have been assigned to the Department of Neurosurgery. rt‒PA: recombinant tissue plasminogen activator, N‒SHOT: Nagasaki Medical Center stroke hotline, NP: nurse practitioner. 放射線科所属) ,2015 年度以降は1名で対応して. による支援が得られた後の 2016 年4月∼2020 年. いる.血栓回収療法は脳神経内科,放射線科と協. 3月を NP 支援群とし,脳血管内治療医が主治医. 働して行った.脳血管内治療医が 2013∼2019 年. として担当した患者数,その死亡率,同期間の血. 度 の recombinant tissue plasminogen activator(rt‒. 栓回収療法症例数について年度別に示し,また. PA)および血栓回収療法症例数の推移,血栓回収. NP が実施した特定行為の内容を検討した.. 療法の治療成績などを検討した.離島医療施設に. 統計学的検討は統計ソフト IBM SPSS version. て rt‒PA を施行し,drip and ship 法により当院に. 25.0(IBM Corp., Armonk, NY, USA)を 用 い,|2. ヘリコプター搬送された症例も rt‒PA 症例数に含. 検定を適用し,危険率5%未満を有意水準とした.. めた. 3)Nurse practitioner(NP)による脳血管内治療 専門医への支援体制. 本研究は国立病院機構長崎医療センター倫理審 査委員会の承認を受けている.. NP は,5年以上の看護経験と修士課程修了を. 結 果. 要件に NP 教育大学院協議会から認証される職種. (NP 教育課程修了者)4)であり,医師の指示のもと, 1)救急科初動の脳卒中ホットライン(N‒SHOT) 厚生労働省の定める 38 項目の特定医療行為の実. N‒SHOT 件数は 546 件(男性 295 例:54.0%). 施が可能である. で あ り,年 齢 の 中 央 値 は 72.0 歳 で あ っ た. .2016 年より脳外科医のタス. 5, 6). クシフトを目的に1名の NP が配属され,2019 年. (Table 1).脳卒中は 414 例(同 75.8%)で,脳. 度からは3名に増員されている.脳血管内治療医. 塞が 230 例(同 42.1%)を占めた(Table 1).N‒. は少なくとも1名の NP とパートナーを組み,協. SHOT 症例の中で,rt‒PA 投与は 74 例,血栓回収. 働して診療を行った.NP の業務は,脳血管内治. 療法 42 例,破裂脳動脈瘤に対する瘤内コイル塞. 療医が主治医となる患者のほぼ全例をともに担当. 栓術 5 例,破裂脳動脈瘤に対する開頭クリッピ. し,病棟業務にあたった.そのほか N‒SHOT をは. ング術 18 例,脳内出血に対する開頭血腫除去術. じめとする急患への初期対応,特定行為,転院の. は 20 例であった.一方で非脳卒中疾患は 132 例. 調整や転院時の搬送同行 などを行った.NP によ 7). (24.2%)であった.. る支援体制が構築される以前の 2014 年4月∼ 2016 年3月の期間中の症例を NP 未支援群,NP. Neurosurg Emerg Vol. 26, No. 1 2021. 19.
(4) Table11 Baseline characteristics of patients managed with N‒SHOT Table N-SHOT. . 546. ¶M V ³, n (%). . 295 (54.0% *). s, n (%). . 251 (46.0% *). |Ą, DrQ (IQR). 72.0 (63.0-82.0) 414 (75.8% *). Ô_D Ôm. 230. ÔTUß. 125. @íÔÞß¼L. 32. ÚAUß. 26. ā\Òçû. 1 132 (24.2% *). þÔ_D £º rt-PA ý¥º¤. 74. ßjcº¤. 42. ÀâÔ\Ò¹v ¹T%. 5. ;má. ÀâÔ\Ò¹v õÿ#:)1>$á. 18. ÔTUßv õÿßÖø`á. 20. [Abbreviations] N-SHOT: Nagasaki Medical Center stroke hotline, IQR: interquartile range, n: number, rt-PA: recombinant tissue plasminogen activator. * Percentage of the total number of N-SHOT cases.. 2)rt‒PA 症例,血栓回収療法の推移/血栓回収療. (22.5%)であった.また脳神経内科が血栓回収療 法症例の主治医を行った割合は 73.3%であり,脳. 法の治療成績 N‒SHOT 導入以降 rt‒PA,血栓回収療法の症例. 外科主治医の症例はわずか 26.7%にとどまった.. 数は経年的に増加した(Fig. 2).2015 年より脳血. 血栓回収療法 120 例の door to puncture time(DTP). 管内治療医は1名に減ったが,脳神経内科は増員. 1 の中央値. 93.0 分(interquartile range: 47.3‒138.0 分) ,. され,2019 年から脳外科医は7名に増員された. door to reperfusion time(DTR)の中央値 171.5 分 また,2016 年より NP が脳外科に配属された.. (interquartile range: 128.3‒222.8 分)で あ っ た.. 2015 年より,救命センターに入室する急性期. modified Thrombolysis in Cerebral Infarction. 脳外科疾患及び脳卒中患者の全身管理は救急科主. (mTICI)grade 2b 以上の再開通率は 82.1%であり,. 導で行っている.脳卒中待機の6∼7割は脳神経. 3か月後の modified Rankin Scale(mRS)0‒2 の割. 内科が担当,3∼4割を脳外科が担当しており,. 合は 44.6%であった.. 脳神経内科は院内当直が免除されている.2014∼ 2019 年までに血栓回収療法を施行した 120 例で,. 代表症例(離島発症の drip, ship, retrieve) (Fig. 3). 脳外科単独で施行した症例は 67 例(55.8%)のみ. 87 歳 女性,離島在住.倒れているところを発. であり,脳神経内科医と協働で施行した症例は. 見され,20 分後に近医に搬送となった.病院到着. 26 例(21.7%) ,放射線科医との協働症例は 27 例. 時,重 度 左 片 麻 痺 を 認 め,National Institutes of. 20. Neurosurg Emerg Vol. 26, No. 1 2021.
(5) Fig. 3 This is a case managed using the drip, ship, retrieve method. An 87‒ year‒old woman living on a remote island was transported to Kamigoto Hospital 20 minutes after the symptom onset. DWI‒MRI (A) showed a new infarction in the right deep white matter, and IV rt‒PA therapy was started 170 minutes after the onset. She was transferred to our hospital by helicopter emergency medical services and arrived 230 minutes after the onset. Cerebral angiography showed occlusion of the right MCA M1 segment (B). Complete recanalization was obtained after mechanical thrombectomy (C). Postoperative MRI showed asymptomatic hemorrhagic infarction (D: DWI, E: T2*WI). MRA showed recanalization of the right MCA M1 segment (F). MRI: magnetic resonance imaging, DWI: diffusion‒weighted imaging, IV rt‒PA: intravenous recombinant tissue plasminogen activator, MCA: middle cerebral artery. T2*WI: T2*‒ weighted imaging, MRA: magnetic resonance angiography. Health Stroke Scale スコア 15 点,MRI で急性期脳. 例に対し NP 支援群 23 例であった.NP による支. 塞が疑われ,遠隔画像伝送システム(あじさい. 援が得られた4年間に,NP によって実践された. ネ ッ ト を 介 し た 富 士 フ イ ル ム の SYNAPSE. 特定行為は,気管カニューレの交換や創部ドレー. Teleradiology)を通じ画像コンサルトを受けた.. ンの抜去をはじめ多岐にわたり,38 項目中 19 項. 右島皮質及び基底核の一部に新規脳. 目に及んだ(Table 3).これら 19 項目は,NP 未. 塞を認め,. 発症から 170 分で rt‒PA 静注療法が開始となった. 支援群の期間ではすべて医師の業務として行われ その後ドクターヘリにて当施設へ搬送され,発症. ていた行為である.血栓回収療法症例を施行する. から 230 分で到着した.CT 撮像後,同 275 分で. 際には,患者到着から血管内. 血管内. コーディネート,治療中には患者の鎮静や呼吸管. 刺を行った.右中大脳動脈 M1 の閉塞で. あり,吸引カテーテルおよびステントリトリーバ. 理等が,NP により主体的に行われた.. ーを使用し mTICI 3 の完全再開通が得られた.無 症候性の出血性. 考 察. 塞を認めたものの,3か月後の. mRS は2まで改善した.. 刺までの多職種間. 1)タスクシフティングを目指した救急科初動の. 3)NP による診療支援. 脳卒中ホットライン(N‒SHOT). 脳血管内治療医が主治医として担当した患者数. N‒SHOT により搬入された症例は,脳卒中が. (中央値)は,NP 未支援群では年間 159 例に対し, 75.8%であり,N‒SHOT を介する rt‒PA 症例は 74 NP 支援群では 194 例であった(Table 2).入院中. 例,血 栓 回 収 療 法 42 例,出 血 性 脳 卒 中 151 例. の死亡率の中央値は,NP 未支援群 4.4%,NP 支. (27.7%),その中でもくも膜下出血の 23 例で外. 援群では 3.4%であり有意差はなかった.血栓回. 科治療が行われた.一方,24.2%に見られた非脳. 収療法の年間症例数(中央値)は NP 未支援群 15. 卒中疾患は救急科主導でトリアージされ各診療科. Neurosurg Emerg Vol. 26, No. 1 2021. 21.
(6) Table 2 Comparison of the clinical results between the NP unsupported and supported groups Table 2 NP . . NP . . 2014. 2015. 2016. 2017. 2018. 2019. ÔßÅT£ºwó^. 141. 176. 151. 231. 212. 176. S÷D F°*, %. 5.0. 4.0. 4.6. 5.6. 0.5. 2.8. ßjcº¤. 12**. 18. 17. 34. 24. 21. E£^S÷Í. [Abbreviations] NP: nurse practitioner. * Percentage of the total number of admitted patients. ** Two neurointerventionalists in 2014. で適切に加療された.脳卒中担当医が初動する脳. っている.血栓回収療法症例の3か月後の mRS. 卒中ホットラインでは,脳卒中以外の疾患の際,. 0‒2 の割合は 44.6%であった.症例の選択基準は. 他科との連携に難渋することも多い.また院内に. 異 な る た め 比 較 す る こ と は で き な い も の の,. 24 時間脳卒中待機医が常駐していない施設では, EXTEND‒IA11)や SWIFT PRIME12)における同療法 脳卒中ホットライン運用による時間的・身体的負. 3か月後の mRS 0‒2 の割合は 60%以上である.. 担は大きい.近年厚生労働省主導による医師の働. 転帰は,発症から治療開始までの時間に依存す. き方改革が推進されており,その対策事例として, る13).再灌流時間が1時間遅れると転帰良好例が ①医師間の業務整理及びタスクシフト,②他職種. 19%減少すると報告されており,合理的な目標と. へのタスクシフトが挙げられている .. して DTP は 75 分以内,DTR は 110 分以内が提唱. N‒SHOT は,通常業務として院内に 24 時間常. されている14).当施設の検討では DTP の中央値. 駐する救急医が運用することで,脳卒中コール担. 93.0 分,DTR の中央値は 176 分にとどまった.血. 当医は院内待機する必要がなく,医師の働き方改. 管内手技の短縮および DTP のさらなる短縮が必. 革の観点からもその意義は大きいといえる.. 要である.一方で Williams ら15)は,コール対応の. 2)複数の診療科と連携する急性期脳. システム下で呼び出された脳血管内治療医が,実. 8). 塞診療. N‒SHOT が導入された 2014 年以降,急性期脳. 際の血栓回収療法を行わなかった場合でも 27 分. 卒中症例については脳神経内科と協働で診療にあ. の業務時間が費やされると報告している.米国の. たっており,虚血性脳卒中は脳神経内科が基本的. 脳血管内治療医の実に 56%が燃え尽き症候群の. に主治医を担い,出血性脳卒中は脳外科が担当し. 基準を満たしていたと報告されており1),脳血管. ている.N‒SHOT 開始以降,脳神経内科は院内当. 内治療医のワークライフバランス維持も考慮すべ. 直が免除されている.. きである.当施設では LVO が判明した時点で脳. 当施設では1名の脳血管内治療医が血栓回収療. 2. 血管内治療医にコールが入るため,コールを受け. 法をマネジメントしている.複数の脳血管内治療. た多くの症例で血栓回収療法に至っている.血管. 医による診療体制で業務を分担することが望まし. 内. いものの,地域の状況によっては脳血管内治療医. 管回収療法症例における脳外科主治医の症例はわ. の人員が限られる.診療範囲を広くカバーするた. ずか 26.7%であり,脳血管内治療医が治療に専念. めに少人数体制の脳血管内治療医が各地で対応し. できる体制を構築しているといえる.しかしなが. ているのが現状である. .救 急 科 初 動 の N‒. ら専門医不在時には転院となった症例もあり,長. SHOT 導入により初期対応がバイパスされ,さら. 期的視野からは専門医の育成または増員が課題で. に脳神経内科と協働することで脳血管内治療医は. ある.. LVO が判明した時点で連絡を受けており,1名. 3)NP による脳血管内治療専門医業務の支援体制. の脳血管内治療医でも十分に対応可能な体制とな. NP により複数の業務を担当医の指示の元で代. 22. 9, 10). 刺は多くの症例で非専門医が行っている.血. Neurosurg Emerg Vol. 26, No. 1 2021.
(7) Table 3 Table 3 Specific medical practices conducted by nurse practitioners ®uà 1. Éd²¡Å(8?2aÉă²¡Å(8?2JÌé 2. Næ½úk¡èuo 3. þNæ½úk¡èuo 4. H{gfű Ív òýÝCïé 5. H{gfhûÓ 6. ¡Å".8?<G 7. @½3?&7?"Lbű 8. @½3?&7?":?,` 9. ɾ½Îä[ãÌLbű 10. q\ÒT/;?>0>1>$ûÓàä[Ā}é 11. i,<?>` 12. KkÑÕTÊf~hf~kèubo 13. ÑÕ,<?>` 14. ØÕ,<?>`ąØÕT´Ì ÄXððeĆ 15. Ï"*?*;Ü
(8) ×"*?*;aÏ4'>G 16. ÙÐ"*?*;G 17. DýÒ"*?*;` 18. ´ÌlDýÒ¥x²"*?*;S 19. å¸a ZR£º ߦn ÈËø` 20. ZRv ùkôñº¤ 21. Zî,<?>` 22. ¿\ÒÄX¤ß 23. ā\Ò9. >ÂO. 24. ߨ§]º¤ ߨìhaߨì«íhLbű 25. ʬ©DĂ"=:?ë¨Cïé 26. Ó¢¶¯v ë¨ä 27. PÍv ÝYÛC 28.. >&:>Cïé. 29. ÁÚp"*?*;ò·YCbCïé 30. ʬ©D"*%95>Cïé 31. ʬ©D-+:!6":!6a#=?;Cïé 32. ʬ©DökYCïé. 3 33. ʬ©DÇêë¨aüçêë¨Cïé 34. ʬ©DWyYCïé 35. YÛC 36. ÆÃµÝÛC 37. BtÝÛC 38. »YIÝYßÅpªU
(9) &*=. ,Ýz¥xbCïé. The gray part of this table shows 19 specific medical practices performed by NP at department of neurosurgery in our hospital.. 行可能である.19 項目にも及ぶ特定行為をはじめ, いて,重要な役割を果たしている.脳血管内治療 N‒SHOT や急患の初期対応や手術等による担当. 医が主治医として担当する入院患者数及び血栓回. 医不在時の病棟業務対応・転院時の患者/家族と. 収療法症例数は NP 支援後に増加したものの,入. メディカルソーシャルワーカー間の調整・離島の. 院中の死亡率は増加しなかった.NP 支援後,脳. 患者を中心とする重症患者転院時の同伴などにお. 血管内治療医の病棟業務へ費やす時間は明らかに. Neurosurg Emerg Vol. 26, No. 1 2021. 23.
(10) 減ったと実感している.このことは脳血管内治療. 文献. 医が NP とパートナーを組むことにより,一定の 診療の質を保ちながら業務の効率化が得られたこ とを示唆している.NP による支援および複数の 診療科との連携により,脳血管内治療医のモチベ ーションは維持され,燃え尽き症候群を回避でき ていると考えている. NP の需要は徐々に高まっており,毎年 50∼70 名が認定され,2020 年4月時点での国内の NP 資 格認定者は 487 名である.先進の米国では,NP が施行する血管内. 刺や脳血管撮影手技での合併. 症リスクは上がらないと報告されており,血管内 手技のアシスタントをも担っている16).当施設で は,血管内手技や開頭術に NP がアシスタントと して携わった事例は少数にとどまった.現時点で は病棟業務を中心に活動することが効率的である と思われるが,今後の増員に伴い,将来的には手 術のアシスタントとしての役割も期待される. 本研究の限界として,脳血管内治療医の勤務状 況を数値化しておらず,脳血管内治療医のワーク ライフバランスへの N‒SHOT 及び NP によるサポ ートの効果を統計学的に示していないことが挙げ られる.. 結 語 脳血管内治療専門医1名体制でも,救急医初動 の脳卒中ホットライン(N‒SHOT)の導入,複数 の診療科との連携,NP による診療支援により一 定の治療成績を維持しながら増加する血栓回収療 法 に 対 応 す る こ と は 可 能 で あ る.DTP お よ び DTR の短縮は依然課題である. COI(利益相反) :著者は,日本脳神経外科学会へ の COI 自己申告を完了しています.本論文に関す る開示すべき COI はありません. 謝辞:本稿の執筆にあたりご協力いただいた国立 病院機構長崎医療センターの畑上尚一氏,伊東ま すみ氏,古賀レイ子氏に深謝いたします.. 24. 1) Fargen KM, Arthur AS, Leslie‒Mazwi T, et al: A survey of burnout and professional satisfaction among United States neurointerventionalists. J Neurointerv Surg 11: 1100‒4, 2019. 2) 厚生労働省:医師の働き方改革に関する検討会 報告書.https://www.mhlw.go.jp/content/10800000 /000496522.pdf(2019 年3月 29 日アクセス) 3) Hiu T, Ozono K, Kawahara I, et al: Efficacy of the Drip and Ship Method in 24‒h Helicopter Transportation and Teleradiology for Isolated Islands. Neurol Med Chir (Tokyo) 59: 504‒10, 2019. 4) Fukuda H, Miyauchi S, Tonai M, et al: The first nurse practitioner graduate programme in Japan. Int Nurs Rev 61: 487‒90, 2014. 5) 草間朋子:日本における NP を巡る 10 年.日本 NP 学会誌 1:1‒4,2017. 6) 村嶋幸代:働き方改革とチーム医療の推進に向 けて NP の制度化に向けた議論を.医療と社会 27:163‒164,2017. 7) Hiu T, Otsuka H, Nakamichi C, et al: Task‒shifting Carried out by an Emergency Department s Stroke Hotline and Medical Care Support Conducted by Nurse Practitioners. No Shinkei Geka 48: 781‒92, 2020. 8) 医師の働き方改革に関する検討委員会 第7回 医師の働き方改革の推進に関する検討会 資料. https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/ 000611812.pdf(2020 年3月 11 日アクセス) 9) Ota K, Matsubara N: [Current Status of Thrombectomy Calls for Acute Ischemic Stroke for a Single Neurointerventionist in a Regional Hospital]. No Shinkei Geka 47: 1143‒9, 2019. 10) 松原功明,宮地 茂,泉 孝嗣,他:脳血管内治 療医の専門医取得後キャリアの現状調査—脳血 管内治療医の働き方を考える— 脳血管内治療 5:73‒9,2020. 11) Campbell BC, Mitchell PJ, Kleinig TJ, et al: Endovascular therapy for ischemic stroke with perfusion‒imaging selection. N Engl J Med 372: 1009‒ 18, 2015. 12) Saver JL, Goyal M, Bonafe A, et al: Stent‒retriever thrombectomy after intravenous t‒PA vs. t‒PA alone in stroke. N Engl J Med 372: 2285‒95, 2015. 13) Goyal M, Menon BK, van Zwam WH, et al: Endovascular thrombectomy after large‒vessel ischaemic stroke: a meta‒analysis of individual patient data from five randomised trials. Lancet 387: 1723‒ 31, 2016. 14) Saver JL, Goyal M, van der Lugt A, et al: Time to Treatment With Endovascular Thrombectomy and Outcomes From Ischemic Stroke: A Meta‒analysis. JAMA 316: 1279‒88, 2016. 15) Williams MM, Wilson TA, Leslie‒Mazwi T, et al: The burden of neurothrombectomy call: a multicenter prospective study. J Neurointerv Surg 10: 1143‒8, 2018. 16) Schwegel C, Rothman N, Muller K, et al: Meeting the evolving demands of neurointervention: Implementation and utilization of nurse practitioners. Interv Neuroradiol 25: 234‒8, 2019.. Neurosurg Emerg Vol. 26, No. 1 2021.
(11) Abstract. Stroke care system through collaboration with multiple departments and nurse practitioners Takeshi Hiu1,2), Kazuya Honda3), Ayaka Matsuo1), Kei Satoh1), Keisuke Ozono1), Fumiya Kutsuna4), Hiroaki Otsuka4), Tomoya Moritsuka3), Takehiro Itoh3), Chikaaki Nakamichi5), Hiroshi Iwanaga4), Atsushi Miyazaki6), Yoichi Morofuji1), Ichiro Kawahara1), Tomonori Ono1), Wataru Haraguchi1), Takayuki Matsuo2), and Keisuke Tsutsumi1) Department of Neurosurgery, National Hospital Organization Nagasaki Medical Center, Nagasaki, Japan1) Department of Neurosurgery, Nagasaki University, Nagasaki, Japan2) Department of Neurosurgery, nurse practitioner, National Hospital Organization Nagasaki Medical Center, Nagasaki, Japan3) Department of Neurology, National Hospital Organization Nagasaki Medical Center, Nagasaki, Japan4) Department of Emergency, National Hospital Organization Nagasaki Medical Center, Nagasaki, Japan5) Department of Radiology, National Hospital Organization Nagasaki Medical Center, Nagasaki, Japan6) With the increase in the number of cases of acute cerebral infarction requiring mechanical thrombectomy (MT), overwork and burn‒out syndrome of neurointerventionalists (NIs) have become major concerns. We herein report a new stroke care system that takes the work‒life balance of a single NI into consideration. In 2014, the Nagasaki Medical Center launched its stroke hotline (N‒ SHOT), through which the emergency department receives the first call and manages initial care. The Departments of Neurosurgery and Neurology work together to treat stroke patients. MT is managed by a single NI and is performed in collaboration with the Departments of Neurology and Radiology. The NI receives MT calls when patients with acute ischemic stroke are found to have large vessel occlusion. Because the number of inpatients under the NI s charge and the number of MT cases increased, support from nurse practitioners (NPs) was started in 2016. Even in a hospital with only one NI, it is possible to deal with MT cases while maintaining a certain level of clinical outcome by taking advantage of N‒ SHOT, collaborating with multiple other departments, and receiving medical support from NPs. (Received June 22, 2020) (Accepted September 25, 2020) Key words: task‒shifting, work‒life balance, stroke hotline, drip and ship, retrieve, nurse practitioner. Neurosurg Emerg Vol. 26, No. 1 2021. 25.
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図
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