中学校「技術・家庭科」への制御教育導入のための機構-制御組合せ教材の開発
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(2) 264. 林. 秀昭・八高. 隆雄. あるoまた,内容的にも構成要素の一部として定値制御を行っているに過ぎない。ここで は教育としての制御ではなく,制御機能をもった1個の部品として取り扱われている。 表1現行の技術・家庭科における制御題材 (1)電気サーモスタットのしくみ(電気1.自動温度調節の仕組み) 自動制御 定性的 シーケンス制御機械 (2)気化器のフロート弁のしくみ(機械2.ガソリンエンジン) 自動制御 定量的 フィードバック制御 (3)ガソリンエンジンの回転数制御機構(機械2.ガソリンエンジン) 自動制御. 定量的. フィードバック制御. 一方,中学校の機械領域は機構と内燃機関に関する学習が中心であり,機構に関する学 習では,図1に示すような,回転運動から始まろ一連の学習展開が見られる。ここで扱う 回転は連続的な一方向であり,時間によって回転方向を変化させたり,ステッビングさせ ることはない。また回転速度は主に歯車,ベルト車,等によって機械的に変化させること を目的としている。さらに,回転運動を基にして往復運軌揺動運動等の学習も組み立て られているo主な機構の学習が回転運動を中心にしていることから,回転運動の方向や回 転時間に制御学習を組み合わせることにより,現在扱っている機構の学習を祖なうことな く制御学習も取入れられる可能性がある。 回転運動一回転運動. 回転運動を伝える機構. ・E冨芸子車 平歯車. ラックとピニオン. 回転方向 回転速度 回転軸の方向 滑り 立 日. 垂歯卓 ウォームとウォーム チェーンとチキーン. 歯車 歯車. リンク装置 +4節リンク装置 てこクランク機構 両てこ機構 平行クランク機構 両クランク機構 往復スライダークランク機構 揺動スライダークラン.ク機構. 回転運動-揺動運動 揺動運動一括動運動 揺動運動-揺動運動 回転運動-回転運動 回転運動-直線往復運動 回転運動一括動運動. カム装置 偏心カム 直動カム. 回転運動-揺動運動 回転運動一直線往復運動 直線往復運動-直線往復運動. 図1教科書に見る機構学習の内容1).
(3) 265. 中学校「技術・家庭科+-の制御教育導入のための機構. 従来,機構の学習用教材は,リンクやカム機構を扱ったものがほとんどであった。それ は,回転運動や直線運動のような単純運動に比べて意外性が子供達の興味を引くためであ ろう。制御教育を機構学習に組み入れる効果は,回転運動や直線運動のような単純運動に 時間的な意外性を与え,より興味あるものに変える役割も期待できる。 3.教材の概要. 教材の基本構成は,. 16ビットのコンピュータ(日本電気製9801VMを使用)によって機. 構内に組み込まれたモータの動きを制御することにした。機構学習のリンク機構と回転運 動ならびに制御学習のシシーケンス制御とフィードバック制御の学習を目的として,次に 示す2種類の教材を開発した。なお,インターフェース,リレー回路盤およびプログラム 環境は両者で同じものを使用した.また,制御学習をできるだけ単純化する目的で,制御 はリレーをon/offさせる方式を採用した。インターフェースではコンピュータからの8ビ ットの出力によって,リレーをon/offさせ,モータが正転,逆転,停止の動作ができるよ うにした。 (1)機構展開彼のシーケンス制御教材 機構展開板としてリンク機構にシーケンス制御を組合わせた教材の例を図2に示す。機 構学習用の展開板*上にリンク機構とモータを組み込んである。リンク機構の動きを生徒に 分かりやすくするため,田宮模型製のウォームギヤボックスHEによってモータの回転を 減速した。 ●●●■●●●●●●●●●●●●●●Jr8●●■●●●●●●. ooo●oo●●●●●●●卓●●○●●●●○●○●●○● ●●●○●●●●○●●●●●●●●●●●●e●●●●●● -●●ooooo●○●●○●. ;::::スライダー.-..。.=..'=。= ○●●○● +r●I+Jt4tt4+t+t4■●●4P ●_I_I_L●▲●.●_I..I.●_●. 。;::;:クランク榊;;;:;o.}・A:・F:・!:・!:・E:・!: ‖婚。oA甲 ○●●●●●●Q●●●●●●●. =-. L*. モータ. .・;.…;;LBg:.;;■;;;-:Ll;;■::.I.'…L'.}導 ●●oo●○●oooo●●ooo●○●●●●○●●●●. ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●・●●●●●●. ●●●○●oooo●○●●●●●00●000●○●●00 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●○●. ●ooo●●oo●●.BOO●●●●00●●●○●●○●○● ○・○●●●●●●○●●●●●●●●●●●●○●●●●○● ○●●○●○●○●●○●●○●oo●○●●○●○●00● l■l▼rlTf41fIJI-t▼Tl1.11I■-1▼▼-1I.,.I.■l,I.ll.1▼,l”T■l▼lllP. ■■■■■■▲■■■一■一■1-..一一一-一一-▲-■一一1--lA-I----■-▲■-■▲■■■■■LLd4. 図2. 機構展開板のシーケンス制御教材(スライダークランク機構). (2)動くおもちゃのフィードバック制御教材 動くおもちゃとして2台のモータの回転運動にフィードバック制御を組み込んだ教材の 例を図3に示す。この教材では左右の車輪にそれぞれ独立したモータと減速ギヤボックス が組み込まれている。車の先端に取り付けた棒は内部のマイクロスイッチと接続し,この 事が障害物に接触した場合にこのスイッチが作動するようになっている。なを,車の移動 方向およびマイクロスイッチの作動によってどの様な反応をするかは,利用者のプログラ *この板にねじでモータやリンク、カムなどを取り付けて機構学習を行う。.
(4) 266. 林. 秀昭・八高. 隆雄. マイクロ スイッチ. モ-タ 4J. ::Z. I. ●. ●. ●. ●. ●. ■. ●. ●. ■. L'.. ■ ̄■l. f:i. ●■●■■●. '・.. ㌫三':. こた. I.. ● ●. ■. ●. ■1■. ●●. ■. ■■. ●. ● ●. ●●●●. ●一 ●. : ::'ヽ. ●●. ●●. ●. 臥:::. ヽl●●■●. ■● ▲. ■. ■FI l. ●▲. ● ●. ●. ▼■■ヽ ● ● ●. ■■●●▼lヽ 44t. B. -p. 図3. ■■■●▼ヽ. 動くおもちゃ. L41t41. ミングによって設定できる。 4.コンピュータとの凄統部 インターフェースではⅠ/0ポートからリレースイッチを-てモータを制御し,入力はマ イクロスイッチからポートCによりコンピュータに入るようにした。これらの各部分は多 くの研究者によってほぼ確立されているので,新たに回路の設計は行わずに,それらの回 路を組み合わせて利用することにした。図4にインターフェース都全体の構造図を示す。. 8回紬 トーbス. ホ○-tA. りし-I. 制御盤 Jl.J)1JLJ. 3)tlDl-?. IJOホ‖-ト‖ ホ○-トB ‖一夕. r8255). リし-1 リし-2 ● ■. ■. ●. りし-8. (未使用) C. 入力 コント□-JLI. 図4. インターフェースの構造図. 回路盤. スイ+}チ1 スイッチ2. スイ+}チ8. (1) Ⅰ/0ポート2). コンピュータと外部入出力を制御する8255のLSIブロック図を図5に示す。このLSIに B, Cの3つの8ビットパラレルⅠ/0ポートがあり,合計24ビットの入出力が可能. はA,. である。このILSIを使用することによりコンピュータのCPUは,出力に割り当てられた端 子に対して任意の組合わせで高(2.OV以上),也(0.8V以下)の電圧を出力することがで きる。また,入力に割り当てられた端子から高,低の電圧を入力することもできる。プロ グラミングに当たっては,最初,初期設定としてポート入出力の指定を行う。ここではポ.
(5) 2 6・7. 中学校「技術・家庭科+-の制御教育導入のための機構. 1ループ A. ∼. グループ ▲ ze-I I i. パ. I. 入出力 P¢l一戸¢†. 上世( 4). データ. r-タ/1ス. l. 紬). ▲. Dl-07. PA. ボート▲. ダJ>-プ #. 入出力 F>Ao-. ス. I(ッ7T. グループ B ボ.I- 1 C. 入出力 PQ8 Pe7 -. T位( 4). 好. 9'IL'-1. 守訂. l)-ド. Ao・. ライl. AI. *. グループ. B. N. 入tbカ 印●-. PB7. B ボー18. ♯. +. (l〉. RESET. 召す. 図5. 8255のブロック図. Bを出力用,ポートCを入力用として.その結果,出力は16ビット,入力は8ピ. -トA,. ットとなった。 (2)リレースイッチ回路3). 8255Ⅰ/0ポートから出力される8ビット分のデータをそれぞれ8つのリレーの開閉動作 に変換する(図6)。リレーはモータの正転,逆転,停止の動作が行えるように, 鞍点で, 2つのリレーを組み合わせて使用した。この接続方法を図7に示す。. 1回路2. (3)入力回路4). 図8にコンピュータに接続する入力回路配線図を示す.こe)回路は,スイッチの開閉に 伴うチャタリング防止機能を備えている。また,. 8回路のマイクロスイッチからの入力が. できる。. 5.プログラム環境 (1)初期設定 インターフェース′のA,. Bポートを出力に,. Cポートを入力にするためのプログラム上. の設定が必要である。実際には出力命令は「OUT+を,入力冷食は「IN+を使用し,イン ターフェースの8255のコントロールレジスタ(8255のレジスタアドレスを表2に示す)に 対して目的のコントロールコマンドを表3に示す数値で指定した。 (2)出力の設定 A,. Bポートの端子より7)レ「スイッチのon/offを行う.今回の制御ではAポートの. みを使用した。 Aポートの端子に接続された8つのリレーは,コンビュ十夕上のプログラ ムの「OUT+命令の最後の数値によって任意のスイッチの開閉状態を作り出す。.
(6) 268. 林. 秀昭・八高. 隆雄. リレー制御盤. =●=Ⅰ. Tr. R. PaO. ● ●. リレーl. lJL,-I. I)レ-2. リレー2. I ●. Tr. ∩. Pl. 亘葡 l. コンto11タ リし-3. IJOホ†しト. -i. Tr. R. Pa7. 逮. リしI-4. I) L/-8. 塑. ・一夕. ”. l. 刀. ・TE-・タ. DC3V +. .蔓. I. 垂. ●*-. ●. 卸町 ●●l. 図6. 塑. ●. 図7. リレー制御盤の回路図. モータとリレー制御盤の接続. R スイ +}チ1. +5V. 匪知. lc. 8255 P亡0. 7414 ,R. 表2. 8255のレジスタアドレス. レ. ジ. ス. タ. スイ oJ・$2. 16進数10進数. ト. A. DO. 208. ト. B. D2. 210. ト. C. D4. 212. コントロールレジスタ D6. 214. 求 求 ポ. -. -. -. i三重 図8. 陸>. 8255 P. 7414. 入力回路. (3)入力の設定 Cポートに接続しているマイクロスイッチの状態をプログラム上で見る場合に使用する。 命令は「IN+を使い,知りたいポート番号(この場合は212)を後ろに付ける。. Cポートは. スイッチを8つ接続することができるので,この禽令によって応答する数値がスイッチの 状態を示す。表4にその対応表を示す。. cl.
(7) 269. 中学校「技術・家庭科+-の制御教育導入のための機構. 表3. 8255のコントロールコマンド (出-出力,入-入力) コ. マ. 出 出 出 出. 出 出 出 出. 出. 入 入 入 入. 出 出 出 入 入 入 入 入 入 入 入. 出 出 出 出 入 入 入 入. 表4 lo逸数. 2進数. (o-3ビット) 16進数10進数. 出 出. 出. 80. 128. 入. 81. 129. 入 入 出. 出. 82. 130. 入 出 入. 83. 131. 88. 136. 89. 137. 出. 8A. 138. 入. 8B. 139. 出 出 出. 90. 144. 91. 145. 92. 146. 入. 93. 147. 出 出 出. 98. 152. 99. 153. 9A. 154. 入. 9B. 155. 出 入 入. 出 出 A 入. 出 出 入 入. Cポートのスイッチの状態 スイ. ッ. チの状態. 全部のスイッチがOFF. 0. 00000000. 1. 00000001. 2. 00000010. 3. 00000011. 4. 00000100. 5. 00000101. lのスイッチはON,他はOFF 2のスイッチはON,他はOFF 1, 2のスイッチはON,他はOFF 3のスイッチはON,他はOFF 3, 1のスイッチはON他はOFF. 255. 11111111. 全部のスイッチがON. 2進数に表した場合, 0はOFF, に対応する。 数で表す。. ド. ン. (4-7ビット)小【r 求_トAだニト,?ポートB空ニケ.L? L'. 8つの位の数がそれぞれ8つのスイッチ 1はONを意味し,実際にはこれを10進. 6.駆動操作. 上記の2つの教具について日本語LOGO(ロゴライター,. Ver.1.1,ロゴジャパン社製). を用いて駆動実験を行った。制御の学習で拭インタフェイスとコンピュータとの信号の やり取りから,プログラムの中に利用者にとって,制御の学習よりもプログラムの学習で っまずく場合が多い。そこで操作環境を利用者に合わせて設定する命令(プロシイジャー) を,表5のように作成した。.
(8) 270. 林 表5. 秀昭・八高. 隆雄. (1)モータの状態を作る余命 命令. プロシイジャー. みぎへまわれ. ・モータの正転. TOみぎへまわれ .OUT2081. ENP ひだりへまわれ. ・モータの逆転. TOひだりへまわれ .OUT2083 END. ていし. ・モータの停止. TOていし .OUT2083 END. (2)マイクロスイッチの状態を知る 禽令 スイッチ TOスイッチ .IN212 END. 命令. もし. スイッチ[(1)][(2)]. スイッチの状態がONのときには(1)の内容のプログ ラムを実行しもしOFFのときには(2)の内容を行うた めの分噸二のための命令文である。. 丁.おわり. に. 従来から行われている技術家庭科の機械領域の機構学習に制御学習を合わせて取り入れ るための教材開発を行ったo. 2つの異なる学習内容を一緒にすることは,ともすれば余計 に難しくなる可能性がある。しかし,機構の学習では単純な回転や直線運動よりも複雑な リンクやカムの運動の方が生徒の興味を引くことが以前から指摘されていた。今回開発し た教材は,プログラム言語として日本語LOGOを用いることによって,プログラミングに 起因するトラブルを除くことができ,また制御によって運動の意外性を引き出すことによ つて,それぞれを個別に学習させる場合に比べてより生徒に興味を抱かせる可能性がある。 参考文献 1)新しい技術・家庭科(下),開隆堂(1990),. P.8. 2)例えば,斉藤浩之:PC工作入門,日本ソフトバンク, 3)例えば,仲井秀一:Ⅰ/0,. γol.. No.ll. 4)例えば,長野県高等学校情報処理研究会;. (1986), P.29. (1986), P.158 --ドゥェアと計算機制御,. (1985),. P.305.
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