Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
歯牙矯正時の歯根膜細胞の変化 : in vivo およびin
vitroによる検討
Author(s)
Moreira, Ana Tricia; 安村, 敏彦; 松岡, 海地; 国分,
栄仁; 松坂, 賢一; 井上, 孝
Journal
歯科学報, 112(2): 160-160
URL
http://hdl.handle.net/10130/2726
Right
目的:歯の移動メカニズムを想定した実験モデルは 動物実験による研究報告があるものの,分子生物学 的観点からみたものは少ない。本研究の目的は,in vivo にて矯正的歯の移動による歯根膜組織の変化を 組織学的に検索し,in vitro にて三次元培養法を用 いて荷重を付与し,圧迫モデルによる歯根膜線維芽 細胞の動態を分子生物学的に検索することである。 方法:in vivo による実験は,3週齡雄性ラット左右 第一臼歯にワイヤーを結紮し,左右ワイヤーをエラ スティックゴムにて連結させて歯の傾斜移動を行 い,3,5,7,14,21および28日後に安楽死させ た。その後,通法にて組織切片を作成し,HE 染色 および1次抗体にオ ス テ オ ポ ン チ ン,RANKL, RANK,PCNA を 用 い た 免 疫 組 織 化 学 的 染 色 を 行った。in vitro の実験ではラット門歯より歯根膜 線維芽細胞を採取して培養を行い,4継代目をコ ラーゲン内に播種して3日間培養後,1cm2 あたり 5あるいは15g の荷重を24時間与えて圧迫によるス トレスモデルを作成した。その後1,3および7日 後に mRNA を抽出して RANKL,RANK,OPG, P38 mRNA 発現量を RT-PCR 法を用いて検索し, さらにコラーゲン内で培養した細胞は免疫蛍光染色 後に観察した。 成績:in vivo の組織学的検索では,3日例の圧迫側 で歯根膜の硝子様変性を認め,その後破骨細胞の出 現や骨および歯根の吸収が観察され,RANKL 陽性 細胞の出現の後,OPG や RANK 陽性細胞を21およ び28日目に認めた。牽引側では3日例より骨芽細胞 あ る い は 線 維 芽 細 胞 が 活 性 化 し,5日 例 か ら RANKL 陽 性 細 胞 の 出 現 を 認 め た。in vitro の コ ラーゲンゲルにて培養した細胞はアクチンフィラメ ントの重合や核を中心に微小突起を放射線状に伸展 し,荷重を与えた細胞は上下への進展は半分程度に 減少した。PCR による mRNA 発現量の検索では, 非付加群と比較して5g 付加群は p38 mRNA 発現 量が3日例で低下し,15g 付加群ではさらに低下し た。ALP mRNA 発現量は15g 付加群で増加し,5 g 付加群でさらに増加を認めた。 考察:矯正により歯根膜は圧迫側で初期に RANKL が増加し,次いで OPG および RANK が増加して おり,移動を調節していることが示唆された。ま た,圧迫モデルであるコラーゲンを用いた3次元培 養法でも同様のことが証明された。 目的:唾液腺をはじめとする腺組織は再生能が低い 組織であるが,唾液腺組織の障害後の治癒過程に関 する研究は少ない。唾液腺組織の創傷治癒時におけ る幹細胞を含む細胞動態を解明することは,将来の 唾液腺再生への可能性を見出すことができると考え られる。本研究の目的は,ラット顎下腺の創傷治癒 時における発現細胞を検索するために,コラーゲン ゲルを用いてゲル内に侵入する細胞の動態を免疫組 織化学的に検討することである。 方法:4週齢 SD 系雄性ラット顎下腺にφ3mm の 欠損を生検パンチで付与し,欠損部にはコラーゲン ゲル(新田ゼラチン,大阪)を填入した。その後 1,3,5,7,14日後に組織を採取し,通法に従 い組織切片を作製した。切片は,HE 染色および一 次抗体として幹細胞マーカーとして CD34および STRO-1,間葉系細胞マーカーとして vimentin,筋 上皮細胞のマーカーとして S100および GFAP を用 いて免疫組織化学的染色をおこなった。 成績:HE 染色では,1日目よりゲル内に僅かに炎 症性細胞の浸潤像が観察され,3日目から紡錘形を 示す細胞や毛細血管の増生が観察された。5日,7 日目では更にその細胞数が増加した。14日目におい ては,欠損部は線維性結合組織で満たされ,腺管様 構造が多数認められた。免疫組織化学的染色におい ては,5日目から CD34および STRO-1 陽性細胞が 創傷部近傍の顎下腺実質内とゲルに近接する創傷部 の一部に観察された。また,3日目より創傷部コ ラーゲンゲル内に認められた増殖する紡錘形細胞は vimentin,S100,GFAP に陽性を示した。 考察:ラット顎下腺創傷部に入れたゲル内には,S 100お よ び GFAP 陽 性 の 筋 上 皮 細 胞 お よ び vime-ntin に陽性を示す線維芽細胞が観察された。14日 目でゲル内に腺管様構造が認めたことは,ゲルと創 傷部の境界部に観察された CD34,STRO-1 陽性の 幹細胞が腺管様細胞に分化した可能性,または創傷 部近傍の創傷を受けてない唾液腺に観察された CD 34および STRO-1 陽性の幹細胞が遊走し分化した 可能性も示唆された。さらに,ゲル内の筋上皮細胞 の増生が著明であったことから,筋上皮が腺管様細 胞を構成したとも考えられた。
№7:歯牙矯正時の歯根膜細胞の変化 −
in vivo および in vitro による検討−
Moreira Ana Tricia1),安村敏彦2),松岡海地1)4),国分栄仁3)4),松坂賢一1)4),井上 孝1)4)(東歯大・臨検病理)1)(東歯大・矯正)2)(東歯大・微生)3)(東歯大・口科研)4)