回転振動によるねじ締結体のゆるみとその防止法
79
0
0
全文
(2) 目 次. 1. 第1章 緒論 1◆ねじのゆるみ一…一一…一一………一…一…一…一…一一…一一一………一一一一一…一一一一一…一一…. 1. 1.1 ゆるみの機構 一…一一…一一一一一一一…….一一…一一…一一一一一一…一…一………一一一……. 1. 1.2 ゆるみの防止法 一一……. 2. 2 従来の研究の展望…一一一一…一一一……一一……一…………一一一一…一一一……一一…一一一…. 4. 2.1 軸まわりの回転振動変位によるゆるみ ……一………一…一一一…. 4. 2.2 嫌気性接着剤によるゆるみ防止 一…一…一一一…一…一一一一…一一一一一一…一一一一. 7. 9. 3 本研究の目的と概要一…一… 3.1 本研究の目的. 9. 3.2 本研究の概要. 9. 第2章実験方法. 14. 1.実験条件一…一………一一一…一一一一……一一一一一一一……一一一一一……一…一一…一…一……14 2.実験装置一一…一………一…一一…一…一………一一一一…一…一一一一一一…一一一一…一……一一一一14. 2.1 振動発生機によるゆるみ実験 一一一一……一…一一一一一一一…一一一…一一15 2.2 手動によるゆるみ実験 一……一一…一…一一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一一17 2.3 ロードセル 一一一一一一一一一一…一一一一一一…一一一一一一一…一一……一一一一一一一一一一一20. 3.測定方法…一一一……一…一…一………一一…一一一…一一一一…一……一一…一一一……一一…一…一・24. 3.1 締付け軸力の測定方法 一…一一…一一r一一一一一…一…一一一一一一…一一一r一……一一24 3.2 相対回転角の測定方法 一…一一一一一一一一一一一一一一一t一一一一一一一…一…一一…一一一一一一一一.一一一…24. 第3章 実験結果および考察. 25. 1.ゆるみの判定一一一一一一…一一一一一一一一…一一一一……………一一…一…一…一……一一一一一一…一一一25. 2.ゆるみ限界回転角の求め方一………一一一…一…一………一……一一一一一一一一一一一一…29. 3.マシン油塗布の場合一……. 30. (1)締付け軸力5kNでのゆるみ限界回転角 ……一一一一一一一一…一一一一一一一一一一一30. (2)締付け軸力8kNでのゆるみ限界回転角 一一…一一…一一一…一一一一一一一一31 (3)締付け軸力12kNでのゆるみ限界回転角 一一一一一一一一一一一一一一一…一一…・32 (4)締付け軸力16kNでのゆるみ限界回転角 一一一一一一一…一一一一…一一一一一…一一…一33.
(3) (5)考察 一…一一一一一…一一…一一一……一…一一一一一一一一一一…………一一一一…一…一………一一一一……34. (a)締付け軸力の違いによるゆるみ限界回転角の変化 一一………・34. (b)ゆるみ限界回転角の実験値からの摩擦係数の推定 一………一35. (c)ゆるみの条件が満たされるねじ面,座面の摩擦係数の検討35 (d)ゆるみ限界回転角の理論的検討 ……一…一…一一.…一一…一……一一一一一一一一一38 4.接着剤充填の場合…一一一…一……一…一一一.一…一一一一…一…一一一一一…一一一一……一一…一一…45. (1)締付け軸力3kNでのゆるみ限界回転角 …一一一一一一一一一一…一…一一一一一一一一一一一45. (2)締付け軸力5kNでのゆるみ限界回転角 一一一一一一…一一一一一一一一一一一一…一…46 (3)締付け軸力8kNでのゆるみ限界回転角 一r一…一一一一一一ニー一一一一一一一一一一一・47. (4)締付け軸力12kNでのゆるみ限界回転角 …一一一一一一一一一一一…一…一一一一一一・48 (5)締付け軸力16kNでのゆるみ限界回転角 一一一一一一一一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一・49. (6)接着剤の種類によるゆるみ防止効果の比較 一一………一一…一…一一一…50 (7)接着剤充填後の保持時間がゆるみに及ぼす影響 一一一…一一一一一一一……51 (8)考察 一一……一…一一…一一一一一一…………一一一…一…一…………一…一……一一……一…一一…一一52. (a)締付け軸力の違いによるゆるみ限界回転角の変化 一一一一一…一52 (b)接着剤充填によるゆるみ防止効果 一一一.一一一…一一……一一一……一一一一一一…一53. (c)ゆるみ限界回転角の実験値からの摩擦係数の推定 一……一…・54. 第4章 結論. 55. 付録…一一一……一一一一一一一一…一………一一一一一一一一一一一…一一…一…一一…一……一一……一一一…一…一一……一一58. 参考文献一一一…一一…一…一…一…一一一……一一…一…一…一……一…一一一…一…一一…一一一一一一一一一一一74. 謝辞一一…一…一一一一一……一一一一一……一……一…一一…一一……一一一一一t…一一一………一…一一一一一一一一一…一一76.
(4) 第■章. 緒論. 1.ね層じのゆるみ. ねじ締結体が外力の繰返しを受けあるいは高温環境にさらされる ときは,しばしば締付け軸力が低下する。これがねじのゆるみであ る.ゆるみが生じると,被締結体の離間荷重が減少し,離間荷重を 越える外力が作用するときは,ボルトに付加される軸力が急激に増 大してボルトが降伏し,また,外力が繰返される場合は疲労破壊の 危険性が高まるので,ゆるみを防止することが大切である。. 1.1 ゆるみの機構. ボルト・ナット締結体を,ゆるめるのに必要なトルクは,簡単な計 算から締付けトルクのほぼ80%であることが知られる1).使用中に. このような大きいゆるめトルクが締結部に働くことは考えられない にもかかわらず,現実にはゆるみが発生していることから,その機 構については多くの説が出されており,賀勢2)はこれらを表1のよ う!こ分類している.. ねじのゆるみは,ナットがもどり回転しないで生じるものと,ナ ットがもどり回転して生じるものとに大別される.ナットがもどり. 回転しないで生じるゆるみは,表1からもわかるように,ほとんど が材料の降伏に起因するものであり,塑性変形が起こらないように 設計の段階で高い強度の材料を選ぶか,ある期間使用した後に増し 締めを行うなどの対策をとることにより,ゆるみの発生を防止する ことができる.. 1.
(5) 表1 ねじのゆるみの機構 分. 機. 類. 構. 戻り回転しないで. 1.初期ゆるみ. 接触部の凹凸のへたり. カじる場合. 2.陥没ゆるみ. 座面部全面の塑性変形. 3.微動摩耗によるゆるみ. 接触部の横ずれに伴う摩耗. 4.密封材の永久変形によるゆるみ. ガスケット等のへたり. 5.過大締付けによるゆるみ. ボルトの塑性変形の進行. 6.熱的原因によるゆるみ. 締結体各部の違い,リラクゼーション. 戻り回転して生じ. 7.軸直角振動によるゆるみ. 髀鼾. 8.軸回り振動によるゆるみ. はめ合いねじ部,座面部の相対変位. 9.軸方向振動によるゆるみ 10.軸直角衝撃によるゆるみ. 衝撃波による接触力の消失,低下. 11.軸方向衝撃によるゆるみ. 問題が多いのは,外力がボルト軸方向あるいは軸直角方向に繰返 して加わるときにナットがもどり回転して生じるゆるみで,その原 因がはめ合いねじ部,座面部の相対変位であり,これを防止するこ とは非常に困難である.ゆるみに関する研究のほとんどは,この相 対変位に起因するゆるみが生じないようにするためのものであり, 機構の解明とこれにもとつくゆるみ防止法が対象とされている.. 1.2 ゆるみの防止法. 表1の機構などにもとづいて,ゆるみ防止には次のような対策が とられている.. ①ねじ締結部の塑性変形によるゆるみに対しては,前節で述べた ように,塑性変形が起こらないようにすればよい.具体的には,ボ ルト・ナット,被締結体,座金などに強度の高いものを用いるとか 接触部の表面を凹凸のないように滑らかに仕上げるなどがある.. ②ナットがもどり回転をしないように,またもどり回転してもな. 一2一.
(6) お十分な締付け軸力を保持しているように,高い初期締付け軸力を 与えておく.そのためには,ボルト材料に強度の高いものを用いる か,あるいはボルトの直径を大きくする.. ③ボルト軸部を細くするか,締付け長さを大きくして,ナットの もどり回転による締付け軸力の急激な低下を防ぐ(伸びボルト).適. 正な反力のあるばね座金を用いても同様の効果が期待できる.. ④ 被締結体が互いにずれないように,機械的なずれ止めや接着な どを行う.. しかし,設計上の制約から上述の対策をとれない場合も多く,ま た,たとえとれても完全なゆるみの防止は期待できないことが,多 くの実例で示されている.. 最近では,新幹線”のぞみ”の電動機取付けボルトの破損,瀬戸 大橋の伸縮装置取付けボルトの脱落など,ねじのゆるみに起因する 事故の報告がされている.いずれも大事故には至っていないが,ね じ締結のゆるみ防止法がいまだに確立されていないのがうかがえる そこで,多くのゆるみ防止手段が考案され,実用化されている.. 山本3)4)5),中村6)は各種のゆるみ防止手段について解説してい. る.また,岩井7)はゆるみ試験により多くのゆるみ防止手段の評価 を行っている,このほか,小瀬8)の各種ばね座金のゆるみ防止効果. の実験結果と,推奨されるこれら座金の使い方の解説なども参考に なる.また,高温にさらされない部位では,嫌気性接着剤の効果は 非常に大きいようである6)9).. 一3一.
(7) これらのゆるみ防止手段の評価は必ずしも研究者共通の認識とは なっていないが,ナイロンリング入りナットと接着剤10)の利用は多. くの研究者が有効と考えている。しかし,ゆるみが絶対に生じない という手段はなく,また,加工費がかさみ製品のコストが高くなる ので,あくまで補助的手段と考えるべきである、. 2.従来の研究の展望 上述のことを考慮して,本研究では嫌気性接着剤のゆるみ防止効 果を,ねじ締結体が回転振動変位を受ける場合について明らかにす ることとした.そこで,回転振動変位によるゆるみと嫌気性接着剤 によるゆるみ防止に関する研究の展望を行った.. 2.1遠まわりの回転振動変位によるゆるみ 軸まわりの回転振動変位によるゆるみは,軸直角方向に作用する 外力によって被締結体同士が相対的にねじの軸線のまわりに回転変 位し,それによってナットがもどり回転して生じる.. 小玉ら11)は,締結座金をボルト軸線まわりに回転振動させる試験. 機を用い,Mユ0極目ねじのボルト・ナットのはめ合いねじ部および ナット座面にスピンドル油を塗布した状態で,ゆるみ実験を行って いる.また,座金の硬さがゆるみに及ぼす影響を調査する目的で,. 焼入れによりRC57と硬くした座金と黄銅の座金での比較実験も行っ ている.これらの実験から,同一呼びのねじでは並目ねじよりも細 目ねじが,はあ合いねじ部,座金部の摩擦係数の大きい方が,また,. 平滑な仕上げをした軟らかい座金の方がゆるみにくいとの結果を得. 一4一.
(8) ている.. 小瀬8)も,小玉式試験機を用いて,ばね座金類のゆるみ防止性能. を評価し,ギザ付きさらばねが最も効果があるという結果を得てい る.. 酒井12)は,軸まわりの繰返し回転変位を受けるボルト・ナット締. 結体のゆるみ機構を理論的に考察すると共に,ゆるみ実験を行って いる。. ゆるみが発生するには,被締結体がナットをゆるめる方向に回転 する場合は,はめ合いねじ部ですべり,締付ける方向に回転する場 合は,ナット座面ですべることにより,ナットのもどり回転が蓄積 されなければならない.座面ですべらせるのに必要なトルクをTw, はめ合いねじ部ですべらせるためのトルクを,締付け時T、f,ゆる め時T。2とすれば,これらの間には,. Tsf>Tw>Tsg (1). の関係が成立しなければならない.これに,T、f, T。, T、aをねじ. 面と座面での摩擦係数μ。,μ。により表す式を用いることにより, d。ぎ乙、αμ・+2,。〉のd。ぎき、αμ・. p zdw. (2). となる.ここに,d2はねじの有効径, dwは座面の等価直径, pは ねじのピッチ,αはねじ山半角を表す.μ。,μwが式(2)を満たす場 合のみナットはもどり回転をする.. 一5.
(9) しかし,式(2)が成立しても,締結体の相対回転角がボルトの弾性 ねじれ角として求められる限界値θ。,以上にならないとゆるみは起. こらない.これは,θcr以下の相対回転角では,相対回転はすべて ボルトのねじり変形により吸収されて,ねじ面においてすべりは発 生せず,ナットはゆるみ回転を起こし得ないからである. θ。,は,被締結体の厚さ£に相当する長さのボルトに,T。a+Tw. =Tcのトルクが加わったときの弾性ねじれ角として求められる. Taとθ。,の関係は,丸棒のねじれ角の計算式と,ねじの締付けトル クの計算式より,. θ一一. ル一黙{。81α俸;+d・Ptw}. (3). となる.ここに,dはボルト軸部直径, Gはボルト材質のせん断弾 性係数,Qはボルト軸力である.. ゆるみ実験より締付け軸力が大きいほどゆるみにくく,同一締付 け軸力では,相対回転角が大きいほど軸力の減少が大きいという結 果を得ている.また,ねじ面,座面でのすべりの測定より,一定の 回転変位の繰返しにおいてもμ、,μwが実験中に変化すること,ゆ るみを生じているのは常に(2)式の関係が成立しているときのみであ ることを見出している.. 山本13)は,酒井の研究結果を用いて,ねじ締結体でゆるみが発生 するか否かを判定できるグラフを作成している。すなわち,(2)式に 一般的なねじ締付けでの数値を入れると,. 一6一.
(10) Tsf : Tw: Tsa :5 :5:3. 程度であり,また,多くの場合Tw>T、、であるから. Tsf>Tw がゆるみ発生の条件となる.μ、=μ。=μとして,μ=0,10,0.15,. 0.20のときに,T、f=Twとなるdw/d2とリード角βとの関係を示 す直線を描いている.ねじ締結体で(dw/d2,β)は決まってい るので,これをグラフ上にフ。ロットしたとき,T、f ==Twの直線より. 下にあればゆるむと判定される.. 2.2 嫌気性接着剤によるゆるみ防止. 嫌気性接着剤は,空気中では液状を維持し,空気を遮断すると硬 化するという特性を持った重合性組成物で,接着や封着,固定など に利用されている.. 1953年,アメリカのゼネラル・エレクトリック社で開発され,そ の後,アメリカン・シーラント社から「ロックタイト」という商品名. で市販されて以来種々の改良が加えられ,今日では国内外数社から 多種類の商品が市販されている.欧米では需要領域がかなり広く,. アメリカではMIL規格も制定されているが,日本では用途が比較的限 定されており,業界規格もJISもまだ制定されていない14).. 山本3)は,Junkerらの直線振動試験による24種類のゆるみ防止手段. の評価を紹介している.ゆるみの評価は10点法によっているが,油. 潤滑状態のゆるみ防止のない短いボルトの評価を0としたとき,ダ. ブルナットは2,ナイロンリング入りナットは4であるが,はめ合. 一7一.
(11) いねじ部に接着剤を充填したものでは8と高く評価されている.. 永吉ら10)は,エアハンマーで繰返し軸直角方向衝撃を加えて,MIO 薬注ねじのボルト,ナット締結部に,接着剤(ロックタ朴262)を充填し. た場合の締付け軸力の変化を測定している.締付け軸力24kNでは,. マシン油塗布の場合は約7秒後に軸力は0となるが,接着剤充填の 場合は軸力の低下はほとんどみられず,接着剤の効果が大きいこと を示している.この実験は,トカルスキーらの実験の追試であるが 同様の優れたゆるみ防止効果が得られている.. 中村6)は,嫌気性接着剤とエポキシ樹脂の二五混合形接着剤につ. いて,使用上の長所,短所を比較している.嫌気性接着剤では,組 立数時間後から効力を発揮し始めるが,二液混合形は,反応が完結 するのに一晩ないし一昼夜が必要である.また,嫌気性接着剤は再 使用できないが,二液混合形は初回の締付けで微小カプセルがすべ てこわれるわけではないので,数回の分解組み立てまでは効力が期 待できるとされている.. 古賀ら9)は,ねじ締結体に軸方向の繰返し衝撃を加えるゆるみ実. 験により,ゆるみ防止法としての接着剤の効果は非常に大きいこと を示している.. 岩井7)は,各種のゆるみ防止法の中でも,接着剤の効果はかなり. 良好であるが,トルクを増大することによるゆるみ防止などのよう. 一8一.
(12) に作業速度を早くできないこと,完全に固まるまでに数時間を要す ること,使用箇所に油分がないように洗浄することが必要であり,. また,温度などの使用条件,引火や人体に対する安全などにも考慮 して接着剤を選ぶことが重要であると指摘している.. 山本ら15)による,軸直角振動によるねじのゆるみ実験では,ばね. 座金,さらばね座金と比べると,接着剤は最高のゆるみ防止性を示 している.. 3.本研究の目的と概要 3.1 本研究の目的. 第1節および第2節で述べたように,各種のゆるみ防止法が考案 ・採用されているが,その一つとして,はめ合いねじ部への接着剤 の充填があり,顕著な効果があるという報告が多い.接着剤の長所 は,ゆるみ防止性能にすぐれ,座面の硬さによって性能が変わるこ とはなく,ねじ面および座面を傷つけないことである。また,あら ゆる寸法のねじに適用できる,などがあげられる.しかし,ゆるみ 防止効果についての定量的な評価は十分にはなされていない.本研 究では,嫌気性接着剤のゆるみ防止効果を,回転振動変位により締 付け軸力との関連において明らかにすることを目的とする.. 3.2 本研究の概要. 第1章では,まず,ねじに生じるゆるみと,ゆるみにより引き起 こされる問題点,ゆるみの原因,ゆるみ防止法について述べた.つ. 一9一.
(13) いで,軸まわりの回転振動変位によるゆるみおよび嫌気性接着剤に よるゆるみ防止の研究についての展望を行った. 最後に,本研究の目的と概要について述べた.. 第2章では,まず,実験条件について述べた.供試体にはMlO並 目ねじを用い,締付け軸力は5∼16kNとした。また,基準のボルト ・ナット処理は,はめ合いねじ部とナット座面へのマシン油塗布の 場合と嫌気性接着剤をはめ合いねじ部に充填した場合についてゆる み実験を行うこととした.. 次に,振動発生機を用いたゆるみ実験装置と,その実験結果を示 した.この装置では,加振力不足のため,被締結体に十分な回転変 位を与えることができず,また,振動波形も若干不安定であったた め所期のゆるみ実験を行うことができなかった.そこで,大きな回 転変位を安定した波形で与えられるような,手動によるゆるみ実験 装置を考案した.また,締付け軸力の測定方法,相対回転角の測定 方法についても説明した.. 第3章では,ゆるみ実験の結果について述べ,これに対する考察 を行った.. (1) マシン油塗布の場合のゆるみ限界回転角θ。,は,締付け軸力. 5kN,8kN,12kN,16kNでそれぞれ±0.33Q,±0.93。,±1.510, ±2.31。で,軸力に比例して大きくなっていることが認められた. マシン油塗布の場合のθ。,からのねじ面の摩擦係数μ。=座面の摩 擦係数μw=μとしたときの,μの推定値は0.17∼0.35であった.. 10.
(14) μは本来軸力に無関係のものであるが,ここでは軸力の増加ととも に大きくなっている.. 座面ですべらせるのに必要なトルクをTw,はあ合いねじ部ですべ らせるのに必要なトルクを締付け時T、f,ゆるめ時T、aとすれば, ゆるみの条件であるT、f>T。>T。cが満たされるμ、,μwは,μ、一 μw=μのときは,μ≦0,11であり,また,μ。一1.2μwのときは,. μw≦0.22であった.現実にはμ、〉μwであるとされているので, μ、==μWと仮定したときよりμ。,μWの広い領域でゆるみが生じる ことがわかった.. ボルトのしまり方向の弾性ねじれ限界角をθ。,1,ゆるめ方向の弾 性ねじれ限界角をθ。,2とすると,θ、,は,. Ocr 2it 一12“2’!一!一±ri+ Ocr2. 2. により求められることを示した。なお,ゆるめ方向の回転変位によ り締付け軸力の低下が生じるので,θ。,1,θ。,2ともに締付け軸力. より得られる値よりは若干小さくなり,θ。,も上式で得られる値よ りも若干小さくなる.. (2) 本研究の主目的である接着剤充填をした場合のθcrは,締付け. 軸力3kN,5kN,8kN,12kN,16kNでそれぞれ±0.94。,±1.570, ±2.170,±2.650,±3.120で,軸力に比例して大きくなってい ることが認められた.. 接着剤充填の場合は,マシン油塗布の場合と比べて同一締付け軸 力でのθ。,は約2倍となり,接着剤のゆるみ防止効果が大きいこと. 一11一.
(15) が明らかになった,. 接着剤充填の場合のθ、,からの摩擦係数の推定では,μ、一μw=μ. のとき,μは0.46∼0.73であった.μは軸力が増大するとともに小さ. くなっており,通常の摩擦係数の挙動とは異なる結果となった,こ れは締付け軸力が大きくなると,ねじ面,座面の面圧が増大し,接 着剤の層が薄くなることも一因ではないかと考えられるが,更に検 討を行いたい。 ロックタイト社製とスリーボンド社製の接着剤のゆるみ防止効果を比較した.. 結果は,ほぼ同等のゆるみ防止効果があることがわかった.. 接着剤充填後の保持時間がゆるみに及ぼす影響については,充填 後15時間以上保持して実験を行えば,ゆるみ防止効果に差は認あら れないことが知られた.. 第4章では,以上のことを結論としてまとめた。 (1) マシン油塗布の場合のθ、,は,締付け軸力にほぼ比例して大き くなっている.. 本実験でゆるみの条件が満たされるμ、,μWは,μ、〉μWのとき は,μ、=μW=μとした場合に比べて,広いμ。,μW領域でゆるみ が生じることがわかった. また,θ。,はボルトのしまり方向の弾性ねじれ限界角θ。,1とゆる. め方向の弾性ねじれ限界角θ、,2の平均値として求められることを示 した.. (2) 接着剤充填の場合でも,θ。,は締付け軸力にほぼ比例して大き. くなり,また,マシン油塗布の場合の約2倍となり,接着剤のゆる. 一12一.
(16) み防止効果が大きいことが明らかになった、 ロックタイト社製とスリーボンド社製の接着剤では,ほぼ同等のゆるみ防止. 効果があり,接着剤充填後15時間以上保持すれば,保持時間による ゆるみ防止効果の影響はない.. 一 13 一.
(17) 第2章. 実験方法. 1.実験条件 供試体は,MIO三目ねじのボルト・ナットで,締付け軸力は5∼ 16kNとした.また,供試体は原則として試験ごとに更新するが,座 金は傷がつかないようにRC55程度に硬くして繰返し使用した. 購i証したナットは座面が平面ではなく外周部が凸となっているた. め,ナットごとに座金との接触状況が変化し,これが実験結果のば らつきの原因になることが考えられたので,座面が平面になるよう に耐水研磨紙で研磨した.. ボルト,ナット,座金は,すべてトリクレンで洗浄・脱脂を行っ た後,はめ合いねじ部,ナット座面にマシン油を塗布,あるいは, はめ合いねじ部に嫌気性接着剤を充填した. 接着剤充填後の実験開始までの保持時間については,ロックタイト社の. 技術資料では,17時間でほぼ完全に硬化するとしているが,ここで は余裕をみて24時間とした. 嫌気性接着剤は,主としてロックタイト社製ロックタイト262(高強度)を,性能. 比較のためにスリーボンド社製1324N(中強度)を使用した.. 2.実験装置 本実験では,図1に示すように,被締結体である支柱とアームと の間で,ボルト軸まわりの繰返し回転変位を与えた。ボルトは頭部 で回転を拘束して,ナットでゆるみ回転を起こさせるようにしてい る.. 一 14 一.
(18) 2.1 振動発生機によるゆるみ実験. 図1のゆるみ実験装置では,取付け台に支柱を固定し,ボルト・ ナットでロードセル,支柱,アーム,座金をはさみ締付ける.また,. 支柱とアーム間の摩擦を減少させるために,フラットローラーを挿 入した.振動発生機(アカシ製ASE−12)で加卜することより,アーム. の先端に取付けられた重錘に上下方向の加速度を与えて,支柱とア ームとの間で供試ボルトを中心とする回転変位を起こさせる.スト ッパーは,ゆるみが生じたときにアームが重錘とともに下がって, 変位測定用板ばねが塑性変形するのを防止するためのものである.. 相対回転角は,変位測定用板ばねにより重心の上下方向変位の振 幅を測定し,これを調整ねじの位置から供試ボルト中心までの距離 で除すことにより求めた.また,加振時に板ばねと調整ねじの先端. が離れないように,調整ねじで板ばねを,接触した状態から更に1 ㎜押し下げた状態に設定して実験した.. ボルト軸力は自家製のひずみゲージを接着したロードセルにより,. また,板ばねの上下方向変位は,板ばねに接着したひずみゲージで 検出し,動ひずみ計を介して電磁オシログラフにより同時に記録し た.. はめ合いねじ部,ナット座面にマシン油を塗布した状態で,締付. け軸力Ffを8kN,10kNとしたときの結果を,縦軸に相対回転角,横 軸に締付け軸力をとって示したものが図2である.同じ相対回転角 でも,ゆるむ場合とゆるまない場合があり,ゆるみ限界回転角を求 めることができなかった。. これは,ゆるみ実験装置の重量が大きく,振動発生機の容量の限. 15 一.
(19) 界近くで加振しているため,十分な変位振幅を与えることができな かったこと,また振動波形に若干のみだれがみられたことなどが原 因と考えられる.そこで,手動で正確に所定の変位を繰返し与える ことができるように実験装置の改造を行った.. 400 288 支柱 ㊨. マ位測定用 @ 板ばね 目”[=コ. ㊥. フラットローラー. 重錘. ロードセル. スットパー アーム 取付け台 供試ボルト・ナット 座金. _ ◎◎. ねじ 調整ねじ. 変位測定用/ 用/ 板ばねね. ㊥. ⑨. g. 翻. o〈⊃. ^∠. ひずみゲージ. 振動発生機. 図1 ゆるみ実験装置一1. 一16一.
(20) ○…ゆるまない o. ×…ゆるむ. 鴨. 振動周波数30Hz. 十1. 0.1 回. 欝. 匝10.05. 無. 管. 。. 8締付け軸力Ff〔kN〕 10 図2 実験結果. 2.2 手動によるゆるみ実験. 実験装置は図3に示すように,前述のゆるみ実験装置一1の支柱 アームはそのまま利用した.取付け台に支柱を固定し,ボルト・ナ ットでロードセル,支柱,アームを一体に締付ける.. 一17一.
(21) ハンドル ζ). ◎. ロードセノ. ひずみゲージ. o. Aーム @. 支柱. 〈⊃. フラットローラー. ◎. 座金. @ 供試ボルト・ナット. 取付け台. 270 100 変位調整用ボルト. B. A ハンドル. 供試ボルト・ナット. ダイヤルゲージ. アーム. 座金. 変位調整用ボルト 取付け台. ハンドル. 図3 ゆるみ実験装置一2. 図4に示すように,手でハンドルを回して変位調整用ボルトを上 下させることにより,アームに上下方向の変位を与えて,支柱とア ームとの間で供試ボルトを中心する回転変位を起こさせる.また,. 支柱とアーム問,変位調整用ボルトとアーム間には,摩擦を軽減さ せるためにそれぞれフラットローラーが挿入されている.. 18 一.
(22) ハンドル. @変位調整用ボノ. フラットローラー ローラー. アーム. 取付け台. 用ボルト 変位調整用ボルト. @. ハンドル. 図4 回転変位を与える方法. 一19一.
(23) 2.3 ロードセル. ロードセルは図5に示す形状のもので,1800距たった2つの平面 部に軸方向,円周方向にひずみゲージを接着し,実際のひずみの. 2(1+v)倍の出力が得られるような4ゲージ法の結線とした. なお,ンはロードセルの材料のポアソン比である、破線のようにボ ルト頭がロードセルのみぞに入るようにして,ボルトでのもどり回 転が起こらないように工夫されている。. ひずみゲージ. A−A断面. /. A. A \. 図5 ロードセル. 一 20 一. ノ.
(24) ロードセルの較正は,図6に示すように,インストロン1137型万 能試験機により治具に引張荷重を加えて,ボルト・ナットで締結した. ときと同様にロードセルに圧縮荷重が加わるようにして行った.ロ ードセルのひずみを動ひずみ計を介してX−Yレコーダ(横河電機製. 作所Type3036250mm)のX軸に,インストロンの荷重計の出力をY軸 に入れて,荷重ひずみ線図を描かせた。これを数回繰返し,最小二. 乗法によりロードセルの較正曲線を求めた.図7は,縦軸に圧縮荷 重P(kN)を,横軸にひずみεをとって示した3個のロードセルLC1, LC2, LC3の較正曲線である.. /)t”. 一[. 乞一ゴ. インストロンチャック. ロードセル ロードセル較正用治具. ひずみゲージ. M10ナット t8. インストロンベッド. ×一. 一一]. ¢50. 1−li一一12 UNC. 図6 ロードセルの較正. 一21一.
(25) 20. i i. 2 ど. A 15. l I ロ. __________騨___一円」一____ __曽_____. 1. 灘10. び. 5. ’. び. ,♂ ,’ ’. 0. o. ノ. ノ:ラ/ 一____一_______ 1 1. ’. 1 1. ロ. ロ. 1. 200. i. 1. 1. _1_________________⊥_________一___一一__1.. l l. コ. i. l I. l l. i. i. _一__ ______一_一一__一___」___一_________一一一一I l l l. l l l. l. 1. 願. LC3. ;. __L________________I. 1. ,. コ. _. l. iノ!’\LC2i. ’” ・,. り ロコロエコロ ロコロリロ. ’ ’. 1. iLCエ\/’12’. ジコげ. ロコロコリココ り. :ご. ,’ ” ノ. ____ _________”ご. i :. I I. I I I. l. l. l. l l. l l. I I. I I. 600. 400. ひずみ ε. 800 × 10−6. 図7 ロードセルの較正曲線. 図8に示すように,ロードセルがボルトとともに,その中心軸ま わりに回転しないように,ロードセルも支柱のみぞにはめ込まれて いる.. ナットを締付けることによって生じるロードセルのひずみから, 較正曲線を用いて圧縮荷重を求め,ボルト軸力とした.. 軸力の測定には,ボルトに直接ゲージを貼る方法もあるが,接着 剤の効果を調べる場合,実験ごとにボルトの交換が必要なためロー ドセル方式を採用した.. 一 22 一.
(26) フラットローラー 支柱. ひずみゲー. Aーム ロードセ. ナット. 供試ボノ. @座金 グ. 取付け台. 図8 ロードセルの取付け状況. 一 23 一.
(27) 3.測定方法 3.1 締付け軸力の測定方法. 実験開始時と終了時の締付け軸力は,静ひずみ測定器(共和電業 SMD−10A型)で測定し,実験中の締付け軸力の変化は,ロードセルの ひずみを動ひずみ測定器(共和電業DPM−305B型)を介してX−Yレコー ダ(グラフテックWX3000型)のY軸に入れ, X軸は時間送りとして記 録した.. 3.2 相対回転角の測定方法. 相対回転角は,図3に示すように,供試ボルトの中心から100mm距 たった位置でのアームの上下方向変位とボルト中心位置での上下方 向変位を,それぞれダイヤルゲージ(共和電業DT−10D)A, Bで測定. し,その差からダイヤルゲージAの位置でのアームの回転に伴う上. 下方向変位を求める、これをダイヤルゲージA,B間の距離で割る ことにより相対回転角θが得られる.. 一24一.
(28) 第3章. 実験結果および考察. Lゆるみの判定 ゆるみ実験は,「ゆるむ」か「ゆるまない」かの判定が重要である。. ゆるみの判定は,原則的として試験開始後150サイクル経過時の軸 力低下率にもとづいて行った.判定基準は,白面ねじ研究協会で採 用されたものに従い, (判定時の軸力/締付け軸力)×100として軸 力低下率(%)を求め,これが30%以上のとき「ゆるむ」とした。ゆる. み実験で得られた締付け軸力の変化のX−Yレコーダによる記録の 一例が図9である.図中の一点鎖線は基準位置を示し,これより上 方への移動が軸力低下を示す.また,各回数の軸力の変化量を,図 上の回転変位の回数↓の位置で測定し,↑は軸力低下の大きさを表 す.なお,ゆるみ判定時点に軸力低下率(%)を示す.. しかし,ある程度以上にはゆるみが進行しない場合や,軸力は低 下するがその進行が遅い場合には,350サイクルまで繰返してゆるみ の判定を行った場合もある.. また,150サイクルを越えて繰返した場合のゆるみ挙動を知る目的 で,500サイクル前後の繰返し回転変位を与えた場合の記録例を図10,. 11に示す.これからもわかるように,150サイクルまでにゆるむ場合 は,引き続き軸力が低下し,ゆるまない場合はそれ以降の繰返しに よってもゆるみを生じない.このことにより,ゆるみの判定時点は 150サイクルとした.. 付録にマシン油塗布と接着剤充填の場合の締付け軸力ごとにゆる まない場合およびゆるむ場合の軸力変化の記録例をまとめた.. 一 25 一.
(29) ゆるまない (マシン油塗布,締付け軸力8kN,相対回転角±0.9。). 書忙. ・. 一.. 毫;慧章≒…±/iiiliilii;1;…li・奉iii壷ま…士…1…謙壬ξ識塵・. 基準 ヲ験臨時)・…江』∴.∴・.・・.、. ..一一. ...:‘:∴『一」00回1一.. =manmim−im一一inmvets一 ’ . t. 一. 一._.:..r 凸 差一 J t u t ’ 一 t. t. 一. t. t. =},s.iliaj11rigptlr;!rr!±±htiirrztwll”6c&lilllilk1krny.. 一一一・sih4ET;g. 軸力低下率 21%. 囮. ’. (マシン油塗布,締付け軸力8kN,相対回転角±1.0。) −i:・二7.・一.三二∵. 詐.._ モー oo @_. =世=. .・1・{・’. _ ’1__ .幽. 』_’ 一 基準・一一. 7「一. 』.1.’事1二・ご一「’’’”T. ぼ’=一=≒÷混. ’:. 皿. ;’1’. w’==’:罪50回「.・ ;,.._・』二噛 =F,. 一. ■ ”. :門一 一幽’騨コ國騨■’「’. ’. (実験蹴i講;:脳嵩「….堕. 、ち. ,一・・:∴熟三.欝軽:…溝‘”・ 9る. kr..m.””.一一”一一}Jt一 :.. 童6。回. .一 ・一一一: 一 一一 一・一 一一一一 一 ・一. 150回t D.. 図9 軸力変化の記録例. 一 26 一.
(30) 匝生玉蔓・1・マシ凋1獅,締1寸け勒・6・1湘鯛転角…2・・. i[一ll 一一.”. ..4.’1.1’II・・....,..’. ..’・・回 (実験開始時5.. ヒ. コ. ロ. じ. 1一≒干一一二. _,.... _二.二.__L.. 2・・回. 7鱒嚇三三嚇禰噺細三脚禰r一一 一一一一一…繍興野締野州≒r一 ぐ. 一,一. J湘糊糊…繍榊三三細三崎町ニ. ー…. 蝟蛻齊l一脚…輔≒=一 ヨ の. 一一…. V㎜……轡…三二マ[.一. 一醐脚飼脚締轍蜘脚働認≒[ 一一. 寬O三齢湘三三鮒論』三一」 .一_... ... ..軸力低下率 14?”. 図10 150サイクルを越えた軸力四花の記録例(1). 一 27 一.
(31) 『7(マシン∵騨相対 ) 垂... 基準 一.・・..二. .…. 、1.ltt.・. .:・.. t..J.・・. 、5e回. (実験開始時).. la⑪回 ’1. ,繭 cyW)cyYv(WywWyyYYYvrlYtl(wniYYY!IWYY,A.m 一一.一一一一一一一一.一m. YVVwwWWYWwwwwwwWWY 遡壁]二.. 、2・5咽 幽. 30fi回. ’ 350荷. , 4叩回. .450同. 1『嗣.. whwwwwwy,pmLpmpmN......,. L.・」. 軸プ」低’F峯 81?6. 図11 1’ 50サイクルを越えた軸力変化op記録例(2). 一 28 一.
(32) 2.ゆるみ限界回転角の求め方 ゆるみの実験でゆるみ限界回転角を求める方法には,相対回転角 を単調に増加または減少させていく一方向段階法と,相対回転角を ゆるみ限界回転角をはさんで上下させるステアケース法の二つが考 えられる.ステアケース法は,疲れ試験で疲れ限度を求める統計的 手法の一つである.本実験では,ゆるみ限界回転角を精度よく,か つ効率よく求めるため,ステアケース法によることにした.. ステアケース法によるθcrは次式で求めた. θ。.一1{X(2)+X(3)+…X(・)+X(…)}. ここで,nは実験番号, X(i)はi番目の試験におけるゆるみ評価因 子x(ここでは相対回転角)の値である.x(i)の値は(i−1)番目の. 実験結果によって決める.X(1)は一つ前の結果がないので式では用 いず,代わりにn番目の実験結果から決まるX(n+1)を用いる.. また,ダイヤルゲージによる変位測定値の有効桁数は3桁で,供 試ボルト中心からダイヤルゲージAまでの距離の測定値の有効桁数. は3桁であるので,これらから計算される回転変位の有効桁数は3 桁まで示した.. 一 29 一.
(33) 3.マシン油塗布の場合 (1)締付け軸力5kNでのゆるみ限界回転角. 図12は縦軸に相対回転角,横軸に実験番号をとって示したゆるみ 実験結果で,ゆるみ限界回転角θ、,は±0.33。であった.. o. 2.0. 魅. 1.8. 十1. 1.6. ○…ゆるまない ×…ゆるむ. 1.4 1.2. 回. 1.O. O.8 0.6. ¥一一>5(一一〇一一X’一一×’一”一mommT Ocr=±O.330. 0.4 0.2. 0 1 2 3 4 5 6 7. 実験番号. 図12 マシン油塗布,締付け軸力5kN. 一30一.
(34) (2)締付け軸力8kNでのゆるみ限界回転角 相対回転角±O.7∼1.ooの範囲で実験を行い,. 結果を図13に示す. θ。,は±0.930であった.. 2.0 む. as l.8. O…ゆるまない. 十I l.6. ×…ゆるむ. 1.4. 1.2 回1.0. 鞍0・8 睾0.6. 沿鼈黶Z一一X…o−X一一一〇一一X一一一一一一一 ocr==±o.g30. 00 “一一一. 0.4 0.2. 12345678 実験番号. 図13 マシン油塗布,締付け軸力8kN. 一 31.
(35) (3)締付け軸力12kNでのゆるみ限界回転角 相対回転角±1.4∼1.60の範囲で実験を行い,. 結果を図14に示す. θ。,は±1.510であった.. ○…ゆるまない ×…ゆるむ. 2.0 as 1.8 十1 1.6. モ秩 一一〇一一X一×.一... 」L−. 1.4. o. o. ””T @Ocr=±1・510. 1.2 回 1・0. 1 0.8 睾 O.6. 0.4 0,2 1 2 3 4 5 6 7. 実験番号. 図14 マシン油塗布,締付け軸力12kN. 一 32.
(36) (4)締付け軸力16kNでのゆるみ限界回転角 相対回転角±2.2∼2.4。の範囲で実験を行い,. 結果を図15に示す. θ。,は±2.310であった.. 2.6. 2.4 2.2 2.0. 一一. o. ミ一X一σX一 O一一…一…〃・r一±2・31.. o. 箆1.8 ○…ゆるまない ×…ゆるむ. 十1 1.6. 1.4. 1.2 回 1・0 較 0.8 聖 0.6. 0.4 0.2. 1 2 3 45 6 7. 実験番号. 図15 マシン油塗布,締付け軸力16kN. 一 33 一.
(37) (5)考察. (a)締付け軸力の違いによるゆるみ限界回転角の変化. 図16は縦軸にゆるみ限界回転角,横軸に締付け軸力をとって示し たもので,θ。,は締付け軸力にほぼ比例して大きくなっている.理論 解析からも軸力に比例してθ,,が増加することが予測され,また,. 酒井12)の回転振動によるゆるみ実験の結果と同様の傾向である、. 2.6. 0 2.4 岩. qb 2.2 十1. 2.0 1.8. 厚1・6 回 1.4. 昧1.2 麟1.O O.8. 9 O.6 0.4. 0.2 5. 10 15. 20. 締付け軸力 kN. 図16 マシン油塗布,締付け軸力の違いによるθ。。の変化. 一 34 一.
(38) しかし,この直線を左下の方向に延長すると,締付け軸力が3.5kN. でθ。,=0となり,この軸力以下では回転変位を与えなくてもゆる. みを生じることになる.現実にはこのようなことは起こり得ず,今 後の検討課題である.. (b)ゆるみ限界回転角の実験値からの摩擦係数の推定 θ。,の実験値を酒井の次式に代入し,ねじ面の摩擦係数μ。一座面. の摩擦係数μw=μとしたときのμを求めたものが表2である。. θ cr一. } + dwptv}. ?鼬ao。81α俸. 表2 μ。=μ。=μのときのμの推定値 処理. マシン油. 5kN. 8kN. 12kN. 16kN. θ。,. 0.33。. 0.93。. 1.51。. 2,310. μ. 0.17. 0.28. 0.31. 0.35. 轍. h布. μは本来軸力に関係なく一定とされているが,ここでは軸力の増 加とともに大きくなっている.この理由については今後の検討課題 である.. (c)ゆるみの条件が満たされるねじ面,座面の摩擦係数の検討. 座面ですべらせるために必要なトルクをT。,はめ合いねじ部です べらせるためのトルクを,締付け時T。・,ゆるあ時T、aとすると,. 一 35 一.
(39) 回転変位によるゆるみの条件は,T、,>Tw>T、gである. T。,,Tw, T、、は,それぞれ次式で求められる. T・t一号(。暮きαμ・+÷〉……〈・). Tv== {llL’ dvgeT ”一Hm”’一一一一一一一一一一’(2). Tsg = ={li’ (一Eil.1−k−Eik. pts 一 g) 一一一一一一 (3). ここで,(1)∼(3)式をそれぞれFf/2で除した, T、f/Ff/2, Tw/F・/2, T、、/F,/2は,μ、,μ。,ねじ山半角α,ねじのピッ. チp,ねじの有効径d2,座面の等価直径d。から求あられる. (i) μ。=μW=μの場合. 本実験での値d2=9.026mm, d w=14.7mm*,α=30。,p=1.5mm を(1)∼(3)式に代入すると次式のようになる。 T,,/F,/2 =10. 42 pt +O. 48 T. /F ,/2一 14. 7 pt. T,,/Ff/2−10. 42 pt 一〇. 48. 縦軸に摩擦係数,横軸にT、f/Ff/2,Tw/Ff/2, T、a/Ff/2 をとり,この関係を描くと,図17のようになる.図よりT、2/F,/2. は常にTw/Ff/2より小さいので,繰返し回転変位によりゆるみを 生じるのは(T、f/F・/2)〉(Tw/F,/2)となり,この条件を満 たすμは0.11以下となる.. * dwは,ナットの二面幅をB,ボルト穴の直径をD、とすれば, ヨ. ヨ. dw= (0.608B −0.524Di)/(0.866B −0.785Di). の から求められる 。これに今回の実験での値B=17㎜,Di=11㎜ を代入するとdw=14.7皿nとなる.. 一36一.
(40) O.25 : O.20. 蔑. ミ. O.15 懸0。10. 0.05. 0 0. 0.5. 1.0. 1.5. 2.0. 2.5. 3.0. 3.5. ノ ノ ノ 同点,謡・(TsfFf/2),(鐸ラ、),(謡). 図17 ゆるみの条件が満たされるμ。,μw. (ii) μ。〉μWの場合. いまμ、=1.2μwとしたときの, (T sf/ F f/2) X, (T w/ F f/2) ’ , (T sa/ F f/2) ’. を計算すると, (T,f/Ff/2) ! 一12. 51 pt w+O. 48 (T. /F f/2) ’ 一 14, 7 ,cL .. (TsD/Ff/2) ’ 一12, 51 LL .一〇. 48. これも図17中に示してあるが, (T、g/F,/2)tは常に(Tw/ F,/2)’より小さいので,繰返し回転変位によりゆるみを生じるの に必要な条件は, (T、f/Ff/2)t>(T。/Ff/2)!となり,こ れを満たすμwは0.22以下となり,μ、=μwの場合よりも広いμ。,. 一37一.
(41) μwの領域でゆるみが生じることが知られる.. (d)ゆるみ限界回転角の理論的検討. (i) 回転変位±θ、をゆるめ方向から加える場合(0→一θ。→0→ +θ。→0→一θ。の繰返し回転変位を与える場合). 座面ですべらせるための必要なトルクをTw,はめ合いねじ部です べらせるためのトルクを締付け時T、f,ゆるめ時T、aとしたとき, T。f>Tw>T、aが成立しているとする. ボルトの弾性ねじれ限界角θ。,2が,θ。より大きい場合はナット のゆるみ回転は生じないので,θ。,2がθ。より小さい場合について 検討する. (a) O一’一〇a. θ。,2の回転変位を越えると,はめ合いねじ部ですべりが生じるの で,以後はナットのみがθ。までゆるみ方向に回転をする.それゆえ,. θ。一θ。,2だけボルトに対してナットがゆるみ回転して,軸力が低 下する.. 締付けられているボルトとナットが相対的に1回転するときには,. ナットはねじのピッチpだけ軸方向に移動するので,ボルト締付け 部分の長さを2とすれば,ボルトに付加されるひずみεは,ε=. p/2となる.このときのボルト軸力の変化は,ボルト材料の縦弾. 性係数をE,ボルトの断面積をAとすると,εEAとなる.したが って, (θ。一θ。,2)だけナットがゆるみ回転するときの軸力低下 量△Ffは, AF f= s E A ( e .一 e ,,2) /2z 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一 (1). 一38一.
(42) となる.この軸力低下によって,締付け軸力F,のとき,ボルトの弾 性ねじれ限界角θ、,2は減少し,θ。,2!となり,. Ocr2’ =Ocr2 (Ff−AFf) /Ff で求あられる.それゆえ,0→一θ。のときの軸力低下量は(1)式の (θ。一θ。,2)の代わりに(θ。一θcr2’)を用いた値になる.. この計算を繰返すことにより,ボルトの弾性ねじれ角は急速に一定 の値に収算する.この値を(1)式のθcr2に入れて得られる値が, 一θ。の回転変位を与えたときの軸力低下量である.. しかし,θ。,は締付け軸力Ffのときのボルトのしまり方向の弾性 ねじれ限界角θ、,1に近い値となることが予測される,θ、,1とθ。,2. は大きな差はなく,したがって, (θ。,一θ。,2)の値は小さいので. (1)式で得られる△F,と,収敏計算によって求めたボルトの弾性ね. じれ角を用いたときの軸力低下量と大差はないと考えられる。そこ で,一θ。での軸力低下量は(1)式の△Ffを用いることとする. (b) 一e..O. ボルトではθ。,2の弾性ねじれが0となり,更に(θ。一θ。,2)だ. けしまり方向に弾性ねじれを生じる.ナットはθ。だけゆるみ方向に 回転していたものが,θ。だけしまり方向に回転し元の状態にもどる (c) O.+e.. ボルトは(θ、一θ、,2)+θ。一2θ。一θcr2だけしまり方向に弾. 性ねじれを生じ,ナットも+θ。まで同様にしまり方向に回転する.. このとき,次の2つの場合が考えられる. (C−1) 2θ。一θ、,2<θ。,1のとき. ボルトは(2θ。一θ、,2)だけしまり方向に弾性ねじれを生じ. 一39一.
(43) る.ナットはθ。までしまり方向に回転する.ただし,ここでもθ。,1. は△F・の軸力低下によりθ、,1(F,一△Ff)/F,となっているが, ここでは近似的にθ。,1とする. (C−2) 2θ。一θ。,2>θ、,1のとき. θ。,1だけ弾性ねじれを生じ,それ以後はT。・>Twであるからナ. ット座面ですべりを生じ,はあ合いねじ部ではすべらないので,ナ ット,ボルトともに,しまり方向の回転は起こらない.このときの ナットの回転角は,θ、,1一(θ。一θ,,2)=(θ。,・+θcr2一θ。) である. (d). 一トθa→0. (d−1) 2θ。一θ。,2<θ、,1のとき((c−1)に対応). ボルトはθ。,1の弾性ねじれが回復して0となり,ナットの回転も 0にもどる.第2サイクル以降は(a)∼(d−1)の過程が繰返されるの. で,ナットのゆるみ回転は進行しない.よってねじ締結体にゆるみ は生じない. (d−2) 2θ。一θ、,2>θ、,1のとき((c−2)に対応). ボルトはθ。,1の弾性ねじれが回復し,更に(θ。一θ。,1)だけゆ るみ方向に弾性ねじれを生じる。ナットは(θ。,1+θ。,2一θ。)一 θ。=(θ。,1+θ,,2−2θ。)だけゆるみ方向に回転する。. (e) 第2サイクルの0→一θ、 ボルトはθ。,2の弾性ねじれが生じ,ナットは(θ。,1+θ。,2− 2θ。)一θ。=(θ。,1+θ。,2−3θ。)だけゆるみ方向に回転する. このときのナットのゆるみ回転角は{3θ。一(θ。,1+θ。,2)}. 一ecr2=3ea−Ocri−20cr2== (ea−ecri) 十 {2ea’. 一40一.
(44) (θ。,1+θ。,2)}となる.すなわち,ナットのゆるみ回転が第1サ イクルより{2θ。一(θ。,1一←θ。,2)}だけ増加する.これにより. (d−2)中で示したθ、,1+θcr一2θ。<0がゆるみの進行する条件 となり,このときのθ。がθ。,となることがわかる.すなわち,. Ocr ;}}i 一!2.E’.1..1一±ri+ Ocr2. 一一一一一一一一一一一一.d−m.一一一一一 (2). 2 の関係が得られ,θ、,はθ、,1とθ。,2の平均値となることがわかる。 また,θ。,1とθ。,2は(3)(4)式から求められる. i¥/2k8−24GQ {E−i.SigEig.pt,+¥+d,pt,}一一一一一(3). Ocr1 =. 0 cr2 ==. 黙{6nlt:1gEls2crpts ’ 一1;一 +d.#.}一一…(4). 実際には,(a)の過程での軸力低下により,ボルトの弾性ねじれ限 界はθ。,1,θ。,2より若干小さくなるので,θ。,も(2)式で得られ. る値より小さい値となる.それゆえ,(2)式によるθ。,では必ずゆる. みが生じることになる.これより,酒井はθ。がθ。,2より大きくな. ればゆるむとしているが,それよりは大きなθ。でなければゆるみは 生じないことが明らかとなった.. (ii) 回転変位±θ。をしまり方向から加える場合(0→+θ。→0 →一 ニ。→0→+θ。の繰返し回転変位を与える場合) (ii)一1 θ、,1>θ。のとき (a) O 一〉 +e,. 一41一.
(45) ボルトはθ。だけしまり方向に弾性ねじれを生じ,ナットはθ。だ けしまり方向に回転する. (b)十 0 a一’“ O. ボルトはθ。の弾性ねじれが回復し,ナットはθ。だけゆるみ方向 に回転して,ともに元の位置にもどる. これ以降のプロセスは,(i)の(0→一θ。→0→+θ。→0)のとき と同じになる. (ii)一2 θ。,1〈θ。のとき. θ。,1>θ。でもゆるみが進行する場合があるから,この場合は当. 然ゆるみが進行する.しかも,ゆるみ速度は大きくなる.以下はそ の検討である. (a) O 一’ +Oa. ボルトはθ。,1まで弾性ねじれを生じ,その後ナット座面ですべる (b) 十e.一>O. ボルトはθ。,1の弾性ねじれの回復と(θ。一θ、,1)のゆるみ方向. の弾性ねじれを生じる.ナットはゆるみ方向にボルトと同じ角度θ、 だけ回転する. (c) O一〉一e.. ボルトは一θ。,2までゆるみ方向に弾性ねじれを生じ,その後はね. じ面ですべりを生じる.ナットは更にθ。だけゆるみ方向に回転する すなわち(θ。一θ。,1)+θ、=(2θ。一θ、,1)だけゆるみ方向に. 回転する.この時点での軸力低下は2θ。一θ。,一θ。,2=2θ。一 (θ、,1+θ。,2)に対応した値である.ただし,この場合も上記の 軸力低下によるθ、,2の減少は無視することにする.. 一 42 一.
(46) (d) 一〇a’O. ボルトはθ。,2の弾性ねじれの回復をし,さらに(θa一θ。,2)の. しまり方向の弾性ねじれを生じる.ナットは一(2θ。一θ。,1)+ θ。=一(θ。一θ。,1)までしまり方向に回転する.この時点での軸 力低下は, (θ。一θ。,2)+(θ。一θ。,1)== 2θa 一一(θ。,1+. θ。,2)で(C)と変わらない.θ。〉θ。,1>θ、,2であるから,この値 は正である。. (e)第2サイクルの0→+θ、 ボルトはθ。,1まで弾性ねじれを生じ,その後ははめ合いねじ部で. はすべらず,ナット座面ですべる。このとき,ナットはθcr1一{ 2θa一(θ。,1+θ、,2)}=2θ。,1+θ。,2−2θ。まで回転する.. この時点での軸力低下は(2θ。,1+θ。,2−2θ。)一θ。,1=一 {2θ。一(θ。,1+θ。,2)}に対応したものとなり,これも(C)と. 変わらない.この時も軸力低下によるθ。,1の低下は無視することに する.. (f) 十 e.一>O. ボルトはθ。,1の弾性ねじれの回復と(θ。一θ、,、)のゆるみ方向. の弾性ねじれを生じる.ナットはゆるみ方向にθ。回転し(2θ、,1+ θ。,2−2θ。)一θ。一2θ。,1一←θ。,2−3θ。の位置にくる.. この時点での軸力低下は{3θa一(2θ。,1+θ。,2)}一(θ、 一θ。,1)=2θ。一(θ、,1+θ。,2)に対応した値となり,(C)と変 わらない.. (g) O.一e.. ボルトは一θ。,2までゆるみ方向の弾性ねじれを生じる、ナットは. 一43一.
(47) ゆるみ方向にθ。回転し,一θ。でのゆるみ方向の回転角は{3θ。一 (2θ。,1+θ,,2)}一θ。={4θ。一(2θ。,1+θ。,2)}とな. る.この時点での軸力低下は{4θ。一(2θ。,1+θ。,2)}一 θ。,2=4θ。一(2θ。,1+2θ、,2)となる. (ii−2)(C)と比較すると2θ。一(θ。,1+θ。,2)に対し{2θ。一. (θ。,1+θ,,2)}×2であり,急激にゆるみが進むことがわかる. μ、=μw ==μとし,マシン油塗布時の摩擦係i数としてμ=0.15,. 0.20を用いたときのθcrを(2)式により計算した結果と,マシン油塗. 布の実験結果を,縦軸にゆるみ限界回転角,横軸に締付け軸力をと って示したのが図18である.計算値と実験値にはかなりの差があり, これも今後の検討課題である.. む. 実験値. ‘ 十i. 2.5. 2.0. 回. ,4. 1.5. ゆ. μ一〇.20(計算値). tltt)’ 一/. //f/Pt 一〇・15(計算値) 1.0. /./一/” O.5. //1/. ,ノ. 5 10 15 20 締付け軸力 kN 図18 θ。.の計算値と実験値の比較. 一44一.
(48) 4.接着剤充填の場合 (1)締付け軸力3kNでのゆるみ限界回転角 相対回転角±0.8∼1.1。の範囲で実験を行い,結果を図19に示す θ。,は±0.94。であった.. k 十1. 2.0. ○…ゆるまない. 1.8. X…ゆるむ. 1.6. 1.4 1.2. 回. O.8. 畢. :一J一×’一:’o”X“o一一一〇一一一一?f一[一一×一一一一一 Ocr= ±o.g40. 1.O. 0.6. 0”o. 0.4 0.2. 123456789 実験番号. 図19 接着剤充填,締付け軸力3kN. 一 45 一.
(49) (2)締付け軸力5kNでのゆるみ限界回転角 相対回転角±1.4∼1.70の範囲で実験を行い,. 結果を図20に示す. θ。,は±1.57。であった.. 2.0. 箆 十1. 1.8 1.6 1.4. 盾浮iX−o’一一Q一’×”nXo一一XJ’ ocr一三1.s70 ””’. 0. 1.2. 回. 翠. 1.O. ○…ゆるまない. O.8. X…ゆるむ. 0.6. 0.4 0.2. 123456789 実験番号 図20 接着剤充填,締付け軸力5kN. 一46一.
(50) (3)締付け軸力8kNでのゆるみ限界回転角 相対回転角±2.0∼2.30の範囲で実験を行い,. 結果を図21に示す. θ。,は±2.17Qであった.. 2.4 2.2 。. ×. b’v−XLoL=O一一一一一一一X一一一一 Ocr一三2.170. 2.0. 鴨. 1.8. 十1. 1.6. ○…ゆるまない ×…ゆるむ. 1.4 1.2 回. LO O.8 0.6 0.4 0.2. 1 2 3 4 5 6 7. 実験番号. 図21 接着剤充填,締付け軸力8kN. 一47一.
(51) (4)締付け軸力t2kNでのゆるみ限界回転角 相対回転角±2.6∼2.7。の範囲で実験を行い,. 結果を図22に示す. θ。,は±2.650であった.. 3.0. 2.8. X一〇一一X一一σXて)一一一一θcr一±2.65.. 2.6 2.4 。. 魅. 2.2. ○…ゆるまない ×…ゆるむ. 2.0. 十i. !.8. 1.6 1.4. 回. 1.2 1.O. O.8 0.6 0.4 0.2. 1 2 34 5 6. 実験番号. 図22 接着剤充填,締付け軸力12kN. 一 48.
(52) (5)締付け軸力16kNでのゆるみ限界回転角 相対回転角±3.0∼3,2。の範囲で実験を行い,. 結果を図23に示す. θ。,は±3.12。であった.. 3.4 3.2 3.0. 一X−O一)ぐ×一一一σ…一一θcr一三3.12・. o. 2.8 2.6. ○…ゆるまない ×…ゆるむ. 2.4 2.2 2.0 。. 魅. 1.8. 十1. 1.6 1.4 1.2. 回. 1.O. O.8. 睾. 0.6. 0.4 0.2. 1 2 34 5 6. 実験番号. 図23 接着剤充填,締付け軸力16kN. 一49一.
(53) (6)接着剤の種類によるゆるみ防止効果の比較 ・締付け軸力12kN(スリーボンド謹製). ロックタイト社製接着剤を用いた場合の締付け軸力12kNでのθ。,の値±. 2,650から予測して,実験は相対回転角±2.7。から行った.結果を図 24に示す,θ。,は±2.640であり,ロックタイト社製でのθ。,と同等のゆる. み防止効果があるといえる.. 3.0 2.8 2.6 2.4 2.2 2.0. X一一〇一一一X一×一一一一一て)一一Q…一θcr一±2.64.. o ○…ゆるまない ×…ゆるむ. 箆L8 十1 1.6. 1.4 1.2 回 LO 3 O.8 睾 0.6. 0.4 0.2 1 2 3 4 5 6 7. 実験番号. 図24 スU一ボンド社製接着剤充填,締付け軸力12kN. 一 50 一.
(54) (7)接着剤充填後の保持時間がゆるみに及ぼす影響. 実際のねじ締結で早期に作業を行わなければならないときなど,. 接着剤充填後の保持時間が短い場合のゆるみ防止効果を知る目的で 締付け軸力12kNで接着剤を充填し15時間保持後に実験を行った. 結果を図25に示す,θ、,は±2.680であり,24時間保持後のθ。,一. 2.650と同等であり,15時間以上保持すればゆるみに及ぼす影響は ないといえる.. :lg. ×. Z12. Z”一〇’一’m:”דJ− 潤h一X一一nH’. 一一. 題1:1. Ocr=±2e680. ○…ゆるまない ×…ゆるむ. 十1. 1.8 岨 1・6 導 1・4 回 1.2 1i 1.O. O.8 0.6 0.4 0.2 1 2 3 4 5 6. 実験番号. 図25 接着剤充填後の保持時間がゆるみに及ぼす影響. 一51一.
(55) (8)考察. (a)締付け軸力の違いによるゆるみ限界回転角の変化. 図26は縦軸にゆるみ限界回転角,横軸に締付け軸力をとって示し たもので,θ。,は締付け軸力に,ほぼ比例して大きくなっている。. この場合はマシン油塗布の場合と異なり,締付け軸力が0でもθ。,. は0.70となっており,何らかの外力が加わらない限りゆるみは生じ ないことがわかる.また,スリーボンド二二接着剤を用いたときのθ、,,. 接着剤充填15時間保持後のθ、,も図中にあわせて示す. 3.4 3.2 3.O. e. o 2・8. diu 2.6. ×. 十1 2.4. 2.2 2.0. e ●ロックタイト. 回 ユ・8. 。 スリーホ’ンド. 昧 1・6 豊 1.4 糟 1.2 ゆ. 1.O O.8 0.6 0.4. ×15時間保持. e. e. 0.2. 5. 10 15. 20. 締付け軸力 kN. 図26 接着剤充填,締付け軸力の違いによるθ。.の変化. 一 52 一.
(56) (b)接着剤充填によるゆるみ防止効果. 図27はマシン油塗布と接着剤充填のゆるみ特性をあわせて示した ものである.同一締付け軸力での相対回転角を比較すると,接着剤. を充填することによりゆるみ限界回転角は約2倍となり,接着剤の ゆるみ防止効果が大きいことが明らかである.. 接着剤充填. 3.4 3.2. e. 3.0 0. 2.8 8. 鵯 十1. 2.6. マシン油塗布. 2.4 2.2. e. 2.0. 回. 1.8 1.6. e. ’;’(. 1.4 ゆ. L2 1.O. e. ダ. O.8 0.6 0.4 0.2. 5. 10 15 締付け軸力 kN. 図27 接着剤充填,マシン油塗布の比較. 一 53 一. 20.
(57) (c)ゆるみ限界回転角の実験値からの摩擦係数の推定 θ。,の実験値を酒井の式に代入し,ねじ面の摩擦係数μ、=座面の. 摩擦係数μw=μとしたときのμを求あたものが表3である.. 表3 μ。=μw一μのときのμの推定値 処理. 接着剤. 3kN. 5kN. 8kN. 12kN. 16kN. θ。,. 0.94. 1.57. 2.17. 2.65. 3.12. μ. 0.73. 0.73. 0.64. 0.52. 0.46. 轍. [填. 計算で求められたμは軸力が増大するとともに小さくなっており,. 通常の摩擦係数の挙動とは異なるものである.締付け軸力が大きく なると,ねじ面,座面の面圧が増大し,接着剤の層が薄くなること も一因ではないかと考えられるが,更に検討を続けたい。. 一54一.
(58) 第4章. 結論. 1.マシン油塗布の場合 1)ゆるみ限界回転角. マシン油塗布の場合のゆるみ限界回転角θ。,は締付け軸力に,ほぼ. 比例して大きくなっている.これは理論解析から予測される.. 2)ゆるみ限界回転角の実験値からの摩擦係数の推定 θ。,の実験値を酒井の式に代入し,ねじ面の摩擦係数μ、=座面の. 摩擦係数μw=μとしたとき,求めたμは0.17∼0.35であった。μは. 本来軸力に無関係であるが,ここでは軸力の増加とともに大きくな っている.この理由は今後の検討課題である.. 3)ゆるみの条件が満たされるねじ面,座面の摩擦係数の検討. 座面ですべらせるのに必要なトルクをTw,はめ合いねじ部ですべ らせるためのトルクを締付け時T、f,ゆるめ時T、aとすれば,ゆる みの条件であるT、,>Tw>T、aが成立するμ、,μ。の値を検討した μ、=μw=μの場合は,μ≦0。11であり,また,μ、一1.2μwの場合. は,μw≦0.22となり,μ、一μwの場合より広いμ。,μwの領域でゆ るみが生じることがわかった.. 4)ゆるみ限界回転角の検討 θ。,1をボルトのしまり方向の弾性ねじれ限界角,θ。,2をゆるめ 方向の弾性ねじれ限界角とすると,θ。,は,. 一 55.
(59) Ocrl+ Ocr2. 0 cr lll1. 2. により求められる.これより得られるθ。,は,実験によるθ。,より. かなり小さい値であり,今後実験値とより一致が得られるような解 析法について検討する.. 2.接着剤充填の場合 1)ゆるみ限界回転角. 接着剤充填の場合のθ。,は,マシン油塗布の場合と同様に締付け 軸力にほぼ比例して大きくなっている.. 2)接着剤充填によるゆるみ防止効果. 接着剤を充填することによりゆるみ限界回転角は,マシン油塗布. の場合の約2倍となり,接着剤のゆるみ防止効果が大きいことが明 らかになった.. 3)ゆるみ限界回転角の実験値からの摩擦係数の推定 接着剤充填の場合のθ。,からの摩擦係数の推定では,μ、一μw=. μのとき,μは0.46∼0.73となり,また,軸力が増大するとともに. 小さくなっている.これは通常の摩擦係数の挙動とは異なっている 締付け軸力が大きくなると,ねじ面,座面の面圧が増大し,接着剤 の層が薄くなることが一因ではないかと考えられるが,更に検討を 続けたい.. 一 56 一.
(60) 4)接着剤の種類によるゆるみ防止効果の比較 スリーボンド社製接着剤とロックタイト社製接着剤では,ほぼ同等のゆるみ. 防止効果がある.. 5)接着剤充填後の保持時間がゆるみに及ぼす影響. 接着剤は15時間以上保持すれば,保持時間によるゆるみ防止効果 の影響はない。. 一57一.
(61) 付録 X−Yレコーダにより記録された回転変位の繰返しによる軸力の 変化の一例を以下に示す.図画の一点鎖線は基準位置を示し,これ より上方への移動が軸力低下を示す.また,各回数の軸力の変化量 を,図中の回転変位の回数/の位置で測定し,↑は軸力低下の大き さを表す.なお,ゆるみ判定時点に軸力低下率(%)を示す.. 1.マシン油塗布の場合 (1)締付け軸力5kN 一……一……一一一一一一一一一一P. 58. (2)締付け軸力8kN ………………一一一一一一一一一P.59 (3)締付け軸力12kN …一一一一一一一一…一一一一……P.60 (4)締付け軸力16kN ………一一一一一一一一一一…一一P.61.62. ゆるまない (マシン油塗布,締付け軸力5kN,相対回転角±0.3。). 51,回. 壽. lo H回. 150回. 基準・. (実験開始時)一. ’争力低理.一三雪. J. 國. (マシン油塗布,締付け軸力5kN,相対回転角±0.46). ヒニ. 基準. ∵』ww一一r”−:50回 コ. ロ. 話義=……舜…豪__ _. N. (実験開始時)’. m絢 h一一:一 =T==trL−ny一一m一.. ’150回.. 軸力低下率 6596. −58一.
関連したドキュメント
断面が変化する個所には伸縮継目を設けるとともに、斜面部においては、継目部受け台とすべり止め
実際, クラス C の多様体については, ここでは 詳細には述べないが, 代数 reduction をはじめ類似のいくつかの方法を 組み合わせてその構造を組織的に研究することができる
太宰治は誰でも楽しめることを保証すると同時に、自分の文学の追求を放棄していませ
各テーマ領域ではすべての変数につきできるだけ連続変量に表現してある。そのため
HACCP とは、食品の製造・加工工程のあらゆる段階で発生するおそれのあ る微生物汚染等の 危害をあらかじめ分析( Hazard Analysis )
↑校長先生から一言もらいました。 ↑2
1.はじめに
しかしながら,式 (8) の Courant 条件による時間増分