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<論説>三浦事件--二重主権と共同謀議罪

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Academic year: 2021

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(1)三浦事件. 三浦事件. 二重主権 と共同謀議罪. Shawn. 昨 年,三. 二重主権 と共同謀議罪. Huizenga"'. 浦 元 被 告 の サ イパ ンで の 逮 捕 と カ リフ ォル ニ ア州 へ 送 還 が 法 曹. 界 だ け で な く 日 本 中 で 話 題 に な っ た が,私. は ア メ リ カ の 弁 護 士 と して 自 分. の 生 徒 や 知 り合 い か ら次 の よ う な 質 問 を 多 数 受 け る こ と に な っ た:ま 「三 浦 元 被 告 が 奥 さ ん の 殺 人 事 件 に 直 接 的 な 関 係 が な け れ ば,ど 起 訴 さ れ る の で し ょ う か 。」 あ る い は,も 事 件 に 対 して,三. ず,. うや って. う少 し細 か く言 え ば,「 そ の 殺 人. 浦 元 被 告 本 人 の 具 体 的 な 行 為 が な け れ ば,ど. うや って 殺. 人 罪 で 起 訴 さ れ る の で し ょ う か 」。 そ の 質 問 の 次 に は,た で 起 訴 さ れ,最. い て い こ う 聞 か れ る 。 「三 浦 元 被 告 は す で に 日 本. 終 的 に 無 罪 に な っ た の に,ど. う や っ て ア メ リ カ で 同 じ殺 人. 事 件 で 起 訴 で き る の で す か 。 ア メ リ カ に は 一事 不 再 理 の 原 則 は な い の で す か 。」 こ の 質 問 に 答 え る に あ た っ て,こ. れ は コ モ ン ・ロ ー か ら 発 達 した ア メ リ. カ 法 と 日 本 の 法 律 の 重 要 な 違 い が 反 映 す る ポ イ ン トに な っ て い る の で 次 の 二 つ の テ ー マ に 分 け て 解 説 し た い と 思 う 。 一一 つ 目 は コ モ ン ・ロ ー に お け る 伝 統 的 な 共 同 謀 議 罪(Conspiracy)で,次. は 二 重 主 権(DualSovereignty). の 概 念 で あ る。. (1)近 畿 大 学 法 学 部 准 教 授 。 こ の論 文 の執 筆 に あ た り私 の 日本 語 を 見 て 下 さ った 堀 川 貴 久 子 先 生 に この 場 を 借 りて お 礼 申 し上 げ ます 。. 59.

(2) 近畿大学法学. 背. 第57巻 第4号. 景. 三 浦 事 件 を 扱 って い た カ リフ ォル ニ ア州 ロサ ンゼ ル ス裁 判 所 は,そ の 事 件 の 全 容 を 次 の よ う に ま と め た。. 1981年11月,ロ. ス 中心 部 の 駐 車 場 で 三 浦 和 美 が 何 者 か に よ って 突 然 頭 部. を銃 で 撃 たれ た。 その 際 三 浦 元 被 告 も足 を 撃 たれ た。 二 人 は事 件 を 切 り抜 け たが,三 浦 和 美 は昏 睡 状 態 にな り,後 に 日本 で 亡 くな っ た。 この 銃 撃 事 件 は,同 年8月13日. に三 浦 元 被 告 の 当時 の 愛 人 で あ る矢 沢 美. 智 子 被 告 が 三 浦 和 美 を 襲 っ た後 に起 き た。8月13日. の 事 件 で は,矢 沢 美 智. 子 被 告 が 三 浦 和 美 の ロ ス滞 在 中の ホ テル の 部 屋 に入 り込 み,金 づ ちで 三 浦 和 美 を殴 打 した。 1985年9月10日. 三 浦 元 被 告 と矢 沢 被 告 は殴 打 事 件 に基 づ く 「殺 人 未 遂 」. の 疑 いで 日本 で 逮 捕 され た。 矢 沢 被 告 は その 容 疑 を 認 め,三 浦 元 被 告 に対 す る証 言 を 述 べ た。 三 浦 被 告 は1987年8月7日. に殴 打 事 件 に基 づ く 「殺 人. 未 遂 」 で 有 罪 と され,懲 役6年 の 実 刑 を 受 け た。 更 に1988年 三 浦 元 被 告 は ロ ス銃 撃 事 件 に基 づ き 「殺 人 罪 」 と して 日本 で 起 訴 され た。 同 じこ ろ,1988年5月. カ リフ ォル ニ ア州 で は三 浦 元 被 告 に対 して 「殺 人. 罪 」 と 「殺 人 共 同 謀 議 罪 」 の 「重 罪 逮 捕 令 状 」(FelonyComplaintfor ArrestWarrant)が. ロサ ン ゼ ル ス 郡 裁 判 所 で 記 録 さ れ た 。 逮 捕 令 状 に よ. る と,三 浦元 被 告 が保 険 金(米. ドル$1,400,000)を. 受 け取 る 目的 で 何 者 か. に妻 三 浦 和 美 殺 害 を依 頼 した と い う もの で あ る。 カ リフ ォル ニ ア州 の 逮 捕 令 状 が 出 た に もか か らず,三 浦 元 被 告 は先 に 日本 で 起 訴 され,1994年3月 31日 「 殺 人 罪」で一 審 で は有 罪 判 決 を受 け た。 量 刑 は無 期 懲 役 で あ った が, 4年 後,日 本 の 最 高 裁 判 所 に よ って この 判 決 は覆 され た(2)。 60.

(3) 三浦事件. 二重主権 と共同謀議罪. カ リ フ ォ ル ニ ア 州 は 三 浦 被 告 を 「殺 人 罪 」(murder)と. 「殺 人 共 同 謀 議. 罪 」 で 起 訴 し よ う と して い た 。 逮 捕 令 状 に よ る と 三 浦 元 被 告 の は 「金 銭 目 的 の 殺 人 」(murderforfinancialgain)と inwait)で. あ り,こ. 「待 ち 伏 せ 殺 人 」(lying. の 特 別 事 情(specialcircumstances)に. 罪 は 死 刑 の 対 象 に な る 可 能 性 も あ っ た(3)。しか も,逮 7月14日. か ら1982年7月9日. の 間 に,三. 「殺 人 罪 」. よ って そ の 犯 捕 令 状 に は,1981年. 浦 元 被 告 と矢 沢 美 智 子 被 告 及 び事. 件 に加 担 した何 者 か が 保 険 金 を 受 け取 る た め殺 人 を 犯 す 共 同謀 議 に合 意 し た と 記 さ れ て い た ω。 2008年2月22日,三 さ れ,カ. 浦 元 被 告 はサ イパ ン 島で ロ スの 令 状 に基 づ いて 逮 捕. リ フ ォ ル ニ ア 州 に 引 き 渡 さ れ た 。 しか し,裁. 判 が 開 始 され る前 に. ロ ス の 留 置 所 内 で 亡 くな っ た 。. ア メ リカで は,す べ て の 州 の 州 法 及 び連 邦 法 に よ って 共 同謀 議 罪 は犯 罪 と され て い るが,日 本 で も,犯 罪 を 犯 す 「共 同謀 議 」 を 犯 罪 とす る こ とが (2) Los Angeles Superior Court Case No. A968458, People v. Kazuyoshi Miura, Order Re: Motion to Quash Arrest Warrant and Dismiss Felony Complaint for Extradition [hereinafter Court Order] 1, 2. Available online at: http://www.lasuperiorcourt.org/courtnews/ ui/HPDocumentList.aspx?title=People+v.+Kazuyoshi+Miura&casenum= A968458&date=2008-09-26%2008:59:30. Last accessed December 26, 2009. (3) CAL. PENAL CODE § 190.2(a)(1) (murder for financial PENAL CODE § 190.2(a)(15)(murder by lying in wait).. gain);. CAL.. (4) Los Angeles Municipal Court Case No. A968458, People v. Kazuyoshi Miura, Felony Complaint for Arrest Warrant [hereinafter Miura Arrest Warrant] 1, 2. Available online as part Miura's March 14, 2008 Notion of motion and motion to quash arrest warrant and dismiss amended felony complaint for extradition: http://www.lasuperiorcourt.org/courtnews/ui/HPDocumentList.aspx? title=People+v.+Kazuyoshi+Miura&casenum=A968458&date=2008 - 09 26%2008:59:30. 61.

(4) 近畿大学法学. 第57巻 第4号. 今 現 在 検 討 さ れ て い る(5)。. 一般的な共同謀議罪. 遡 れ ば,コ. モ ン ・ロ ー の 共 同 謀 議 罪(conspiracy)は. イ ギ リ ス で13世 紀. 後 半 と14世 紀 前 半 に 三 つ の 制 定 法 に よ っ て 定 め られ た(6)。当 初 は 狭 義 的 に 定 義 さ れ,偽 し,17世. 造 的 な 訴 訟 や 悪 意 訴 追 を 防 止 す る の が 目 的 で あ った。 しか. 紀 に共 同謀 議 罪 の 定 義 が 拡 大 した。. Poulterers'事. 件 で は,明. らか に無 罪 の 人 に対 して 証 人 らが 訴 追 を得 る. た め 嘘 を つ く と い う 共 謀 を し た 。 大 陪 審(起 判 断 し た が,後. 不起訴 と. に そ の 証 人 た ち を 共 同 謀 議 罪 の 被 告 人 と して 裁 判 が 行 わ れ. た。 制 定 法 の 定 義 に よ って し た が,裁. 訴 を 決 め る 機 関)は. 「共 同 謀 議 罪 」 は 成 立 して い な い と 被 告 は 主 張. 判 の 判 決 は 「有 罪 」 で あ っ た 。 コ モ ン ・ロ ー の 共 同 謀 議 罪 の 基. 本 的 な 要 素 は 「犯 罪 を 犯 す 合 意 」 で あ り,最. 終 的 な 目的 が 達 成 され て いな. くて も罪 で あ る と 判 断 し た の で あ る(7)。そ の 後 裁 判 所 の 判 決 に よ っ て,何 らか の 犯 罪 を 犯 す こ と に つ い て の 合 意 は,犯 罪 行 為 と な る と定 め ら れ た(8)。 19世 紀 の 有 名 なRexv.Jones(1832)の 状 に は 不 法 な 行 為 を 行 う,ま. 判 決 に よ る と 「共 同 謀 議 の 起 訴. た は適 法 な 行 為 を 不 法 な 方 法 で 行 う合 意 を 列. 挙 す る べ き だ 」 と さ れ て い る(9)。 し か し,こ. (5)日. の よ うな 曖 昧 な 定 義 に よ って 共 同 謀 議 罪 は よ り複 雑 に な っ. 本 は2003年. に 関 す るQ&A」. 国 際 組 織 犯 罪 防 止 条 約 に加 盟 。 法 務 省 参 照:http://www.moj.go.jp/HOUAN/KYOUBOUZAI/. referO6.html (6)WAYNER.LAFAVE,CRIMINALLAW614(4thed.2003). (7)Poulterers'Case,77Eng.Rep.813(1611). (8)LAFAVE,CRIMINALLAW,supranote6,at614. (9)Rexv.Jones,110Eng.Rep.485(1832).. 62. 「組 織 的 な 犯 罪 の 共 謀 罪.

(5) 三浦事件. 二重主権 と共同謀議罪. た 。 こ れ は 長 い 間 コ モ ン ・ロ ー 裁 判 官 や 法 律 家 を 悩 ま せ て き た 犯 罪 定 義 で あ る 。 こ の 曖 昧 な 難 し さ に は 次 の よ う な も の が あ る 。 ま ず,多 被 告 人 が 不 法 行 為 を 行 う こ とを. くの 場 合 は. 「合 意 」 し た か ど う か と そ れ が 犯 罪 意 識 と. して の 基 準 に 至 っ た か ど う か の 問 題 が あ る 。 こ の 曖 昧 さ に つ い て の も う 一 つ の 問 題 は,公. 権 力 に,本. 来 違 法 で は な い 行 為 を 起 訴 す る こ と を 許 せ ば,. 被 告 人 は ど うや って 弁 護 で き るの か と い う もの で あ る。 あ る法 律 学 者 が 指 摘 し た よ う に"ltishardtofindanantidoteforthepoisonyoucannot identify."(確. 定 で き な い 毒 に 対 す る 毒 消 し は 見 つ け に く い)⑩ 。 こ の よ う. に共 同謀 議 罪 を. 「思 想 犯 罪 」 と して 批 判 す る 法 律 家 や 学 者 は 少 な くな い 。. 共 同 謀 議 罪 に は,曖. 昧 さ以 外 に以 下 の よ うな 特 徴 と批 判 が あ る。. 裁判地 合 衆 国 憲 法 の 第6修 正 に よ って 「す べ て の 刑 事 訴 追 の 場 合 に,被 告 人 は 犯 罪 が 行 わ れ た州 な い しあ らか じめ法 律 で 定 め られ た地 区 の 公 平 な 陪 審 に よ る迅 速 な 公 開 の 裁 判 を 受 け る権 利 を 有 す る もの とす る」 と い う権 利 が 保 障 さ れ て い る(ll)。 殆 どの 州 憲 法 で も同 じ権 利 が 保 障 さ れ て い る。 この 権 利 の 保 護 と上 記 に述 べ た 「コ モ ン ・ロ ーの 共 同謀 議 罪 の 基 本 的 な 要 素 は犯 罪 を 犯 す 合 意 」 と い う 内容 につ いて 考 え る と,合 理 的 に共 同謀 議 の 起 訴 は当 然 その 「合 意 」が 行 わ れ た所 で 被 告 人 は起 訴 され る と思 わ れ るで あ ろ う。 し か し実 際 は,検 事 の 権 限 は それ 以 上 に広 い。 検 事 側 は,共 同謀 議 の 「合 意 」 が 行 わ れ た所 だ けで はな く,共 同謀 議 者 の 一一 人 が行 った 「外 的 行 為 」(overtact)の. 場 所 に お い て そ の共 同謀 議 者. 全 員 を起 訴 す る こ とが で き る⑫。 しか も,こ の 共 同 謀 議 の裁 判 地 の ル ー ル ωLAFAVE,CRIMINALLAW,supranote6,at616(quotingJ. Mitford,THETRIALOFDR.SPOCK61(1969)). (ll)U.S.CONST.amend.VI. q2>LAFAvE,CRIMINALLAw,supranote6,at617.. 63.

(6) 近畿大学法学. 第57巻 第4号. は証 拠 の 優 越 な 基 準 に よ って 立 証 され るの で,検 事 側 に相 当な 権 限 を 与 え る。 例 え ば,連 邦 裁 判 の 場 合 は被 告 人 に と って 非 常 に不 便 な 所 で(住 ん で い る所 か ら遠 く離 れ た場 所 な ど)裁 判 が 行 わ れ る こ と も珍 し くな い(③ 。. 伝聞証拠の例外 「伝 聞 は証 拠 に な らな い」と い うの は ア メ リカの 証 拠 法 の 一般 的 な 原 則 で あ るが,こ の ル ール に対 して 沢 山の 例 外 が あ る。 その 一一 つ は 「共 同謀 議 の 例 外 」 で あ る。 これ は,共 同謀 議 の 最 中及 び その 共 同謀 議 の 目的 を 達 成 す る た めの 共 同謀 議 者 の 行 為 や 発 言 は,共 同謀 議 者 全 員 に対 す る証 拠 と して 利 用 され る⑭。Lafave等. の 法 律 学 者 に よ る と,こ の 「共 同謀 議 の例 外 」 は. 実 際 の 裁 判 で も よ く適 用 され,殆. どの 「伝 聞 証 拠 」 が 認 め られ て い るの で. あ る⑮。. 状況証拠 多 くの 共 同謀 議 の 有 罪 判 決 は状 況 証 拠 に よ って 取 られ て い る。 共 同謀 議 の 伝 聞 例 外 と 同様 に,共 同謀 議 の 起 訴 で は状 況 証 拠 の 基 準 は緩 や か に適 用 さ れ,関 連 性 の 乏 しい証 拠 で も認 め られ て い る とい う批 判 が あ る。 これ は,裁 判 官 が 密 室 的 な 犯 罪 合 意 を 証 明 す る こ との 難 しさを 理 解 し,検 事 側 に 同情 しす ぎて い るか らで あ る と批 判 者 は主 張 す る⑯。. 合同裁判 数 人 の 被 告 人 が 同 じ共 同謀 議 の 仲 間(共 犯)と. 十 し a. 4。 紘 1 1. ⊥ し a. 紘 1. ﹁ D q. 8。 9 1⊥ ρU ρ 0. 紘 1. 4 q OU q. 3 q. 64. して 起 訴 され る場 合,同.

(7) 三浦事件. 二重主権 と共同謀議罪. じ裁 判 で一 緒 に 弁 護 され る こ と もあ る⑰。 当 然 で あ ろ う。 そ の共 同謀 議 の 規 模 や 被 告 人 それ ぞ れ の 役 割 を 知 る必 要 が あ るか らだ 。 しか し,こ の よ う な や り方 は,被 告 人 に は不 利 益 も あ る。 例 え ば,手 続 きの 面 で は被 告 人 全 員 が 同時 に動 か な けれ ばな らな く,予 備 尋 問 か ら最 終 弁 論 まで 被 告 人 は全 員 一緒 に受 け る必 要 が あ る。 更 に も っ と大 きな リス ク と して,複 雑 な 共 同 謀 議 の 場 合,罪. に はな らな い行 為 を 行 っ た被 告 人 が 他 の 被 告 人 と一 緒 に裁. か れ る こ とで 共 同謀 議 の 一一 員 と して 陪 審 員 か ら誤 った 有 罪 評 決 を 受 け る可 能 性 も あ る。. 共 同 謀 議 を 罪 とす る こ との 意 義 前 述 の よ う に共 同謀 議 を 犯 罪 とす る こ と に対 して 批 判 は あ る もの の,ア メ リカ で 犯 罪 と され る に は そ れ な りに正 当 な 理 由 が あ る。(実 際 に連 邦 法 及 び全 て の 州 法 で 犯 罪 と して 扱 わ れ て い る)よ. くいわ れ る理 由 と して は,. まず 「教 唆 」(solicitation)や 犯 罪 の 「未 遂 」(attempt)と. 同様 に犯 罪 を. 犯 そ う とす る人 に対 して 早 い段 階 で プ レ ッシ ャ ー とな り犯 罪 を 未 然 に防 ぐ こ とが で き る。 も う ひ とつ は,集 団 特 有 の 犯 罪 心 理(集 団 にな る こ とで 危 険 性 が 増 す)を 抑 制 す る こ とで あ る⑱。 例 え ば,グ ル ー プ行 動 は個 人 行 動 に比 べ て 役 割 分 担 に よ って 成 功 率 が 高 くな る上 に,い っ たん 犯 罪 を 犯 す と合 意 した人 が や っぱ りや め よ う と思 っ て も,仲 間 を 裏 切 る こ と とな り自分 の 役 割 を 放 棄 す る こ とが で きな い場 合 も少 な くな い⑲。. (17)Id.at620. (18)Id. ⑲Id.. 65.

(8) 近畿大学法学. 第57巻 第4号. 外的行為の要件 共 同 謀 議 罪 は,「 未 遂 」(attempt)よ る 。 前 述 の よ う に,コ. り早 い 段 階 で 犯 罪 と し て 起 訴 で き. モ ン ・ロ ー 上 の 共 同 謀 議 罪 は 「合 意 」 し た 瞬 間 に 犯. 罪 と し て の 条 件 が 満 た さ れ る。 ア メ リ カ で は 一般 刑 法 は 州 の 管 轄 権 で あ り,制. 定 法 に よ っ て 刑 法 が 定 め られ て い る が,そ. 法 に よ っ て 定 義 さ れ て い な い 場 合,こ. の 州 で 共 同謀 議 罪 が 制 定. の コ モ ン ・ロ ー の ル ー ル を 用 い る こ. と にな る。 多 く の 州 は"overtact基 (substantialstep)を. 準"を. 利 用 す る 。 こ れ は,「 実 質 的 な 行 為 」. 必 要 とす る 「未 遂 」 と違 っ て,共. る 最 初 の 「外 的 行 為 」(overtact)に. 同 謀 議 を 成 立 させ. よ って 共 同謀 議 罪 の 犯 罪 条 件 が 満 た. さ れ る と定 義 す る もの で あ る⑳。 重 要 な 点 は,こ. の 「外 的 行 為 」 と い う の. は 非 常 に 単 純 な 行 為 で そ の 条 件 を 満 た す こ と が で き る こ と と,一 一 人の共 同 謀 議 者 の 行 為 が 共 同 謀 議 の 全 員 に 対 して 適 用 さ れ る こ と で あ る ⑳。 こ こ で 述 べ た 単 純 な 行 為 に つ い て 言 う と,い 的 な 行 為 」(substantialstep)を 犯 罪 の 「未 遂 」(attempt)に. くつ か の 少 数 の 州 が. 「実 質. 共 同 謀 議 罪 の 要 件 と し て い る が,そ. れ は. お け る 「実 質 的 な 行 為 」 よ り は 緩 や か な 解 釈. を して い る と 法 律 学 者 は 指 摘 す る 四。 上 記 の よ う に 連 邦 法 の 一般 的 な 共 同 謀 議 罪 は 「外 的 行 為 」 を 必 要 と して い る ㈱。 しか し,麻 薬 売 買 に 関 す る 連 邦 の 共 同 謀 議 罪(21U.S.C.§846)に 限 っ て は 「外 的 行 為 」 を 必 要 と は し な い 。 有 名 な 例 で はUnitedStatesv. Shabani事. 件 が あ る(20。こ の 事 件 で は 連 邦 最 高 裁 判 所 は,そ. の 要 件 が 制 定 法 の 中 で 要 求 さ れ て い な い の は,国. ⑳. カ リ フ ォ ル ニ ア 州 刑 事 法 典184条. 項 参 照 。. ⑳LAFAVE,CRIMINALLAW,supranote6,at619,620. (22)Id.at626. ㈱UnitedStatesv.Sassi,966R2d283(7thCir.1992). ⑳UnitedStatesv.Shabani,513U.S.10(1994).. 66. の 「外 的 行 為 」. 会 が コ モ ン ・ロ ー の 原 則.

(9) 三浦事件. 二重主権 と共同謀議罪. (合意 の み で 犯 罪 が 成 立 す る)に 従 う とい う前 提 が あ るか らで あ る と判 断 した㈱。. 共同謀議罪の範囲 ま た,犯 罪 の 目的 が まだ 達 成 され て いな くて も共 同謀 議 の 「合 意 」 が あ れ ば,検 事 側 は被 告 人 の す べ て の 行 動 を 「外 的 行 為 」 の 証 明 と して 利 用 で き る。 細 か い判 断 は事 情 に よ るの だ が,外 的 行 為 の 要 件 を 満 た す と判 断 さ れ た例 と して,弁 護 士 との 面 会,電 話 を す る こ と,共 同謀 議 の メ ンバ ー に 金 や 品 物 を 渡 す こ と等 が あ る⑳。 行 為 の 及 ぶ 範 囲 につ いて 言 う と,あ る 「外 的 行 為 」 を 行 った 一 人 の 容 疑 者 が 無 罪 にな っ た場 合,そ の 共 同謀 議 罪 で 起 訴 され て い る他 の 被 告 人 は全 員 法 律 上 無 罪 に しな けれ ばな らな い。 しか し,他 に 「外 的 行 為 」 が あ って それ が 有 罪 にな っ た場 合 は,前 の 容 疑 者 の 無 罪 判 決 は他 の 被 告 人 に対 して 及 ばな くな るの で あ る⑳。 しか も お も しろ い こ と に,共 同謀 議 の メ ンバ ー が 互 いを 知 らな くて も, ま た共 同謀 議 の 規 模 を 認 識 して いな くて も共 同謀 議 罪 の 有 罪 判 決 は十 分 あ りう るの で あ る㈱。 通 説 で は,「 外 的 行 為 」 が ア メ リカ 国 内 で 行 わ れ た の で あ れ ば,海 外 の 共 同謀 議 に対 して も連 邦 裁 判 所 の管 轄 権 が 存 在 す る⑳。 そ れ か ら,麻 薬 売 買 の よ うな 「外 的 行 為 」 を 必 要 と しな い共 同謀 議 罪 で は,米 国 内 に犯 罪 目 的 が あ っ た場 合,海 外 で 行 わ れ た 「合 意 」 で あ って も連 邦 裁 判 所 にお け る. (2DLAFAVE,CRIMINALLAW,supranote6,at626. (26)Id.at627. (27)Id.at626. ⑳UnitedStatesv.Monroe,73R3d129(7thCir.1995). ⑳LAFAVE,CRIMINALLAW,supranote6,at201,202.. 67.

(10) 近畿大学法学. 第57巻 第4号. 共 同謀 議 罪 の 要 件 を 満 たす と い う判 例 も あ る⑳。. 共同謀議罪の独立性 以 前 は コ モ ン ・ロ ー 上,反 (misdemeanor)と. 逆 罪 以 外 の す べ て の 共 同謀 議 は軽 犯 罪. して 扱 わ れ て い たGl)。当 時 は,重 犯 罪 と軽 犯 罪 の 裁 判 手. 続 きが 異 な って い たの で,共. 同謀 議 の 目的 を 成 功 させ る た め重 犯 罪 を 犯 し. た場 合 に そ の共 同 謀 議 罪 は重 犯 罪 に 吸収 され る とLafave法. 学者 は説明 し. て い る勧。 こ の扱 い に よ って 共 同謀 議 罪 と重 犯 罪 を 別 々 に罰 す る こ と はで きず,重 犯 罪 を 立 証 す れ ば,軽 犯 罪 で あ る共 同謀 議 罪 は有 罪 と はな らな い と され て い た欝。 しか し,現 在 は異 な って い る。 共 同謀 議 罪 と その 目的 で あ っ た犯 罪 は独 立 した犯 罪 と して 取 り扱 わ れ て い る(30。 そ れ 故,目 的 の 犯 罪 だ け の起 訴 に よ って,共. 同謀 議 罪 の 有 罪 判 決 を 受 け る こ と はな く,そ の 一一 方,目 的 の 犯. 罪 に対 して 無 罪 判 決 が あ って も,一 緒 に起 訴 した共 同謀 議 罪 の 有 罪 判 決 は 有 り得 る の で あ る㈹。 しか も,も. っ と重 要 な の は,共 同 謀 議 罪 と 目 的 で. あ っ た実 質 的 な 犯 罪 の 双 方 で 有 罪 判 決 を 受 け る こ と は合 憲 で あ る と い う こ と だ(36)。 場 合 に よ って は,共 同謀 議 罪 とそ の 犯 罪 の 「未 遂 」 の有 罪 判 決 を 受 け る こ と も あ るの だ ⑳。. ([30)UnitedStatesv.Ricardo,619F.2d1124(5thCir.1980). (31)LAFAvE,CRIMINALLAw,supranote6,at661. 働Id. ㈱Id.(citingCommonwealthv.Kingsbury,5Mass.106(1809)). ⑳LAFAVE,CRIMINALLAW,supranote6,at661. ㈲14.(citingPeoplev.Robinson,43CaL2d132(1954)). (36)LAFAVE,CRIMINALLAW,supranote6,at661(citingPinkertonv. UnitedStates,328US.630(1946)). ⑳LAFAVE,CRIMINALLAW,supranote6,at661(citingStatev. Villalobos,120N.M.694(App.1995)).. 68.

(11) 三浦事件. 二重主権 と共同謀議罪. しか し,同 じ行 為 に基 づ いて 「共 同謀 議 罪 」 と 「未 遂 罪 」 も起 訴 す る こ とが で き るか ど うか は裁 判 所 の 間 に分 裂 が あ る。 例 え ば,前 述 した 麻 薬 売 買 に関 す る 連 邦 の 共 同謀 議 罪(846条 で 連 邦 上 訴 裁 判 所 の 第9巡. 下. 回 区 で は,「 共 同 謀 議 罪 」 と 「未 遂 罪 」 とを 一. 緒 に起 訴 す る こ と は許 され て いな い。 一一 方,2009年12月7日 判 所 第7巡 回 区 のUnitedStatesv.Crowder判 6,第8,第10巡. 項)の. に連 邦 上 訴 裁. 決 は,連 邦 上 訴 裁 判 所 の 第. 回 区 と 同様 に 同 じ行 為 に対 して も 「共 同謀 議 罪 」 と 「未. 遂 罪 」 を 一緒 に起 訴 す る こ と は合 法 で あ る と判 断 した㈱。. カ リフ ォ ル ニ ア州 で の 共 同 謀 議 罪. カ リ フ ォ ル ニ ア 州 で は,共. 同謀 議 罪 は制 定 法 に よ って 定 め られ て い る。. お も に カ リ フ ォ ル ニ ア 刑 事 法 の182,183,184条 こ の 制 定 法,特 (1)に は,二. 項 で あ る。. に182条 項 に は コ モ ン ・ ロ ー の 影 響 が 残 っ て い る 。182(a). 人 以 上 の 者 が 何 ら か の 犯 罪 を 犯 す こ と を 共 謀 す る(conspireto. commitanycrime)と. それ は犯 罪 とな る と い う基 本 の 定 義 が 定 め られ て い. る 。182(a)(2)及 び182(a)(3)で は,悪. 意 訴 追 や 偽 造 訴 訟 等 を 共 謀 す る こ と は犯. 罪 と し て 取 り扱 う と さ れ て い る 。182(a)(4)で は,違. 法 な 方 法 ま た は偽 装 表. 示 に よ っ て 人 の 財 産 を 騙 し取 ろ う と す る 共 謀 は,そ. の 方 法 自体 が 犯 罪 で は. な くて も 結 果 的 に は 犯 罪 に な る と して い る 。182(a)(5)で も,コ よ う な 曖 昧 な 表 現 で,公. 衆 衛 生(publichealth)や. モ ン ・ロ ー の. 秩 序(publicmorals),. 及 び 司 法 妨 害 に 対 して 有 害 な 行 為 を 共 謀 す る こ と は 犯 罪 で あ る と 記 さ れ て い る 紛。 182条 項 に 記 さ れ て い る"anycrime"(何. ㈱UnitedStatesv.Crowder(08-3320)(7thCir.2009). (鋤CAL.PENALCODE§182.. 69. ら か の 犯 罪)と. は,軽. 犯 罪.

(12) 近畿大学法学. 第57巻 第4号. (misdemeanor)で. も 重 犯 罪(felony)で. 182(a)(1)の"anycrime"は. も そ の 対 象 と な る ㈲。 し か し,. カ リ フ ォ ル ニ ア 裁 判 所 の 解 釈 に よ る と 「カ リ フ ォ. ル ニ ア 州 法 に よ っ て 犯 罪 と して 定 義 さ れ て い る 犯 罪 」 と い う 意 味 で あ り, 例 え ば,連. 邦 法 に よ っ て 犯 罪 と して 定 め られ て い る あ る 行 為 が カ リ フ ォ ル. ニ ア 州 刑 法 の 犯 罪 で な け れ ば,182条. 項 の"anycrime"の. 対 象 と は され な. い の で あ る ω。 183条 項 に よ る と,上. 記(182条. 項)の. 定 義 以 外 の 共 謀 は刑 法 の 処 分 の 対. 処 に は な らな い と 定 め て あ る 。. 外的行為 1919年 の 制 定 法 の 修 正 以 前,カ に,二. リ フ ォ ル ニ ア 州 で は コ モ ン ・ロ ー と 同 様. 人 以 上 の 者 が 放 火(arson)や. 重 犯 罪(felonyontheperson)を. 不 法 侵 入(burglary)や. 人 に対す る. 犯 す こ と を 共 謀 し た 場 合,そ. れ が合意. の み で あ っ て も 共 同 謀 議 罪 と して 扱 わ れ た 働。 し か し,現. 在 は,184条. 項 に よ っ て,そ. の 犯 罪 を 犯 す 合 意 以 外 の 行 為,. い わ ゆ る 「外 的 行 為 」 が 要 求 さ れ て い る ⑬。 三 浦 事 件 で は,カ. リ フ ォ ル ニ ア 州 検 事 は 殺 人 の 共 同 謀 議 に 対 して,20の. 外 的 行 為 を 主 張 し た 。 三 浦 元 被 告 の 逮 捕 令 状 に よ る と,次 行 為 」 が 述 べ られ て い た:三 と,三. の よ うな. 「外 的. 浦 元 被 告 が 和 美 を 殺 害 す る方 法 を 相 談 した こ. 浦 元 被 告 が 矢 沢 被 告 に 金 を 渡 し た こ と,矢. 沢 被 告 が ロ スへ の 航 空 券. ωPeoplev.Holmes,50P.675(1897);Peoplev.Anderson,202P.2d 1044(1949). ωPeoplev.Zacarias,157Cal.App.4th652(2007). (42,>Peoplev.Steelik,203P.78(1921). CAL.PENALCODE§184.184条. 項 は,こ. の 外 的 行 為 が 複 数 の 場 合,連. 邦. 法 と 同 様 に そ の 行 為 が 行 わ れ た い か な る 郡 に お い て も共 同 謀 議 罪 の 起 訴 が 許 さ れ て い る 。. 70.

(13) 三浦事件. 二重主権 と共同謀議罪. を 購 入 した こ と,三 浦 元 被 告 が 和 美 を 被 保 険 者 と して 生 命 保 険 を か けた こ と,三 浦 元 被 告 が 矢 沢 被 告 に殺 人 事 件 で の 役 割 を 指 示 した こ と,三 浦 元 被 告 が 和 美 と ロ スへ 行 っ た こ と,三 浦 元 被 告 が 矢 沢 被 告 に金 づ ちを 渡 した こ と,三 浦 元 被 告 が 矢 沢 被 告 に その 金 づ ちの 使 い方 を 説 明 した こ と,矢 沢 被 告 が 和 美 を 殴 打 した こ と,三 浦 元 被 告 が 和 美 を 銃 撃 事 件 の 現 場 まで 連 れ て 行 っ た こ と,三 浦 元 被 告 が 実 行 犯 に和 美 の 頭 部 を 撃 つ よ う に合 図 を した こ と,三 浦 元 被 告 が 和 美 の 生 命 保 険 の 請 求 を した こ と及 び三 浦 元 被 告 が 和 美 の 保 険 金(3件. 合 計 で$1,400,000米. 連 邦 法 と 同様 に,カ. ドル)を 受 け取 った こ と等 が あ った幽。. リフ ォル ニ ア州 法 の 共 同謀 議 罪 は犯 罪 の 目的 達 成 は. 必 要 と は して お らず,犯 罪 「未 遂 」 よ りも早 い段 階 にそ の 行 為 を 「犯 罪 」 と して 成 立 させ て い る㈲。 ま た,カ. リフ ォル ニ ア州 で は,共 同謀 議 罪 はそ の 目的 で あ る犯 罪 と は別. の 犯 罪 と して 定 めて い る㈹。 「外 的行 為 」を 行 う前 に被 告 人 が 共 同謀 議 を や めな けれ ば,「 撤 回」(withdrawal)と. 時. い う弁 護 は使 え な いqの 。. 効. カ リフ ォル ニ ア州 で の 共 同謀 議 罪 は連 邦 法 と 同様 に,「時 効 」はそ の 共 同 謀 議 の最 後 の行 為 を 行 っ た と ころ か ら判 断 され る姻。 カ リフ ォル ニ ア 州 で は 「時 効 」 は実 質 的 な 権 利 と して 解 釈 され て お り,容 疑 者 は 自分 の 利 害 に よ って 放 棄 す る こ とが 許 され て い る。 例 え ば,計 画 的 殺 人 の 訴 追 を 逃 れ る た め故 殺 罪(衝 動 的 な 殺 人)の 時 効 の 権 利 の 放 棄 が 許 され た 例 が あ る㈲。 幽MiuraArrestWarrant,suprαnote4,at3-7. ㈲Peoplev.Swain,909P.2d994(1996). ㈹Blumenthalv.UnitedStates,158R2d883(9thCir.1946). ⑳Peoplev.Olsen,232Cal.App.2d480(1965). ㈹Peoplev.Zamora,18Cal.3d538(1976);Peoplev.Crosby,375 P.2d839(1962). 働Cowanv.SuperiorCourt,14Cal.4th367(1996).. 71.

(14) 近畿大学法学. 第57巻 第4号. しか し,本 論 文(三 浦 事 件)に 関 して 重 要 な ポ イ ン トは,カ. リフ ォル ニ. ア州 刑 事 法 典799条 項 に よ って 殺 人 罪 及 び殺 人 共 同謀 議 罪 に対 して 時 効 は な い と い う こ とで あ る⑳。 言 い換 え れ ば,「 外 的 行 為 」を 行 う前 に共 同謀 議 罪 に対 す る明 らか な 撤 回 が な けれ ば,犯 罪 責 任 が あ るの だ 。. 共同謀議罪の独立性 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 で は,共. 同 謀 議 罪 は 重 犯 罪(felony)と. る61)。軽 犯 罪(misdemeanor)を し ま う 。 例 え ば,カ. 犯 す 共 同 謀 議 で あ っ て も重 犯 罪 に な っ て. リ フ ォ ル ニ ア 州 で は ア ワ ビを 密 猟 す る こ と は 軽 犯 罪 で. あ る がPeoplev.Tatmanの. 事 件 で は,ア. の182(a)(1)犯 罪 を 犯 す 共 同 謀 議 罪(重 ら も そ の 有 罪(重. 罪)は. ワ ビ密 猟 を 共 謀 し た 漁 師 が 上 記. 罪)の. 下 で 有 罪 に な り,上. 訴 して か. 認 め られ た6⇒。. 更 に カ リ フ ォ ル ニ ア 州 上 訴 裁 判 所 に お い てTatman事 う に,共. して 処 罰 さ れ. 同 謀 議 の 目 的 で あ る 犯 罪 を 達 成 す れ ば,共. 件 で 指 摘 した よ. 同謀 議 の メ ンバ ー全 員. が その 達 成 した実 質 的 犯 罪 と共 同謀 議 罪 双 方 の 犯 罪 責 任 を 問 わ れ る こ と に な る 。 共 同 謀 議 罪 は 目 的 と し た 軽 犯 罪 を 重 犯 罪 に 変 え る の で は な く,共 謀 議 そ の も の が 別 の 独 立 し た 犯 罪 な の で あ る63)。(Tatman事. 同. 件の漁 師 は. 最 終 的 に 共 同 謀 議 罪 と 密 漁 罪 と で 有 罪 に な っ た 。) 但 し カ リ フ ォ ル ニ ア 州 刑 事 法654条 て 刑 罰 を 受 け る 場 合,よ. 項 に よ る と,二. つ以上 の刑 によ っ. り重 い 刑 罰 を 適 用 しな け れ ば な らな い 。 しか も,. あ る行 為 に 対 して は一 つ の 刑 罰 し か 適 用 さ れ な い と定 め られ て い る。 Peoplev.Scott判. 決 が 述 べ た よ う に,殺. (5①Peoplev.Sconce,288Cal.App.3d.693(1991). (51)CAL.PENALCoDE§182. S2)Peoplev.Tatman,20CaLApp.4th1(1993). 63)Williamsv.SuperiorCourt,30Cal.App.3d8(1973).. 72. 人 罪 と殺 人 共 同謀 議 罪 と も に それ.

(15) 三浦事件 そ れ 有 罪 判 決 は有 り得 るが,654条. 二重主権 と共同謀議罪. 項 の 下 で それ ぞ れ に 対 す る刑 罰 は 許 さ. れ て い な い の で あ る勧。 これ は三 浦 元 被 告 が カ リフ ォル ニ ア州 裁 判 所 で 述 べ た 「二 重 の 危 険 」 の 違 反 の 主 張 の ひ とつ で あ った飼。 カ リフ ォル ニ ア州 刑 法182条 項 で定 め て い る よ うに,例 外 と して大 統 領 や 副 大 統 領 に対 して 犯 罪 を 起 こす 場 合 の 共 同謀 議 罪 は別 と して,一 般 的 に は重 犯 罪(felony)を. 犯 す 共 同 謀 議 罪 はそ の 重 犯 罪 と同 じ刑 罰 にな る66)。 重. 犯 罪 が 異 な る等 級 に分 か れ て い る場 合,事 実 判 断 を 行 う機 関(陪 審 また は 裁 判 官)は 被 告 人 が 共 同謀 議 した犯 罪 の 等 級 を 判 断 す る。 も しも,判 決 の 際 その 判 断 が 見 逃 され た場 合,起 訴 され た犯 罪 の 一 番 軽 い等 級 に設 定 され るが,殺 人 に関 わ る共 同謀 議 は必 ず 第 一一 級 殺 人 と して 処 分 され る勧。. 共同謀議罪の範囲 連 邦 法 と 同様 に,メ ンバ ーの 共 同の 起 訴 は許 され て い るが,そ れ は義 務 で はな い。 カ リフ ォル ニ ア州 で も共 同謀 議 の 容 疑 者 は一 緒 に起 訴 され な く て も合 法 で あ る囎。 しか も,共 同謀 議 罪 で起 訴 され た被 告 が,全 員 が 一律 に有 罪 に な らず に 一 部 の 被 告 人 が有 罪 に な る こ と も違 憲 で は な い 翻。 しか し,共 同謀 議 罪 を 起 訴 す るの に その メ ンバ ーの 間 で 共 同謀 議 が 存 在 す る こ とを 証 明 す るの で,結 局 被 告 以 外 の 共 同謀 議 の メ ンバ ー 全 員 が 無 罪,あ. る. い は唯 一一 の 外 的 行 為 を 行 っ た被 告 人 が 無 罪 にな った 場 合,法 律 上 残 って い. 励Peoplev.Scott,224Cal.App.2d146(1964);CAL.PENALCODE §654. 岡. 後 述 の 三 浦 元 被 告 の 主 張 を 参 照 の こ と 。. (56)CAL.PENALCoDE§182(a)(6). (57)CAL.PENALCoDE§182. (58)Peoplev.Richards,67CaL412(1885). (5帥Peoplev.Collins,242Cal.App.2d626(1961).. 73.

(16) 近畿大学法学. 第57巻 第4号. る他 の 被 告 人 も無 罪 にな る㈹。. 二重の危険 と二重主権. 「三 浦 被 告 は す で に 日 本 で 起 訴 さ れ,最. 終 的 に 無 罪 に な っ た の に,ど. う. や っ て ア メ リ カ で 同 じ殺 人 事 件 で 起 訴 で き る の で す か 。 ア メ リ カ に は 一事 不 再 理 の 原 則 は な い の で す か 。」 ア メ リ カ 合 衆 国 憲 法 の 第5修 Jeopardy)の. 正 に い わ ゆ る 「二 重 の 危 険 」(Double. 条 項 が あ る。 こ れ は,「 何 人 と も,同. 一 の犯 罪 に つ い て 重 ね. て 生 命 ま た は 身 体 の 危 険 に さ ら さ れ る こ と は な い 」 と 定 め て い る ⑥)。 合 衆 国 最 高 裁 判 所 は1969年 の 禁 止 は,第14修. に 判 決 に よ っ て,第5修. 正の. 「二 重 の 危 険 」. 正 を 通 して 州 政 府 に 対 し て も 適 用 す る と判 断 した 劒。 英. 米 法 で は,「 最 初 の 危 険 」 は 陪 審 事 件 の 場 合,陪. 審 が 構 成 さ れ 宣 誓 し た 時,. 非 陪 審 事 件 の 場 合 は 最 初 の 証 人 が 宣 誓 し た 時 か ら始 ま る 。 判 決 が 確 定 す る 前 で あ っ て も,「 同 一 」 犯 罪 に つ い て 重 ね て 起 訴 す る こ と は 第5修 り違 憲 で あ る 。 日 本 の 一事 不 再 理 と は 異 な り,検. 正 によ. 事 上 訴 も 原 則 と して 許 さ. れ て い な い ㈹。 この. 「二 重 の 危 険 」 の 概 念 は コ モ ン ・ロ ー の 伝 統 的 な 保 障 で あ る が,例. 外 も あ る 。 本 論 文 に お け る 一・ 番 重 要 な 例 外 は,「 二 重 主 権 理 論 」(Dual SovereigntyTheory)で. あ る。. こ の 「二 重 主 権 理 論 」 は,合. 衆 国 最 高 裁 のUnitedStatesv.Lanza判. ㈹Peoplev.James,189CaLApp.2d14(1961);Peoplev.Drolet,30 Cal.App.3d307(1973). ㊨1)U.S.CONST.amend.V. 勧Bentonv.Maryland,395U.S.784,794(1969). ㈹WAYNER.LAFAVE,CRIMINALPROCEDURE1195(4thed.2004).. 74. 決.

(17) 三浦事件. 二重主権 と共同謀議罪. で 述 べ られ た㈹。 これ は 同 一 の行 為 に対 して 連 邦 法 上 の犯 罪 と州 法 上 の 犯 罪 が 成 立 す れ ば,そ れ ぞ れ につ いて 連 邦 裁 判 所 と州 裁 判 所 で 刑 事 訴 訟 が 行 わ れ るが,そ れ は 「二 重 危 険 条 項 」 に は反 しな い とす る もの で あ る。 ア メ リカ連 邦 制 度 で は,二 重 主 権 理 論 は様 々な 場 面 に現 れ る。. 「州 起 訴 が 先 ・連 邦 起 訴 は後 」 の場 合 Abbatev.UnitedStates事. 件 で合 衆 国連 邦 最 高 裁 判 所 は,州 裁 判 所 の 起. 訴 の 後 に 同 じ行 為 に よ って 連 邦 裁 判 所 で も起 訴 す る こ と は二 重 主 権 理 論 の 下 で違 憲 で は な い と判 断 した(6D。Abbate事 件 で は,被 告 人 が まず 州 の 裁 判 で 比 較 的 軽 い犯 罪(他 の 人 の 財 産 に損 害 を 負 わ せ る共 同謀 議 罪)を 認 め て3ケ 月 の 刑 罰 を 受 けて か ら,後 に行 わ れ た 連 邦 裁 判 所 の よ り重 い連 邦 犯 罪(電 話 会 社 を 爆 発 させ る共 同謀 議 罪 ・刑 罰5年)の. 起 訴 は 「二 重 危 険 条. 項 」 に よ って 違 憲 で あ る と主 張 したが,最 高 裁 はそ の 旨を 却 下 した 。 二 重 主 権 理 論 を 支 持 し,も し被 告 人 の 主 張 を 許 した ら,今 後,州 の 比 較 的 軽 い 判 決 が 連 邦 政 府 の 重 要 な 裁 判 の 妨 げ とな り,連 邦 政 府 の 権 利 を 害 す る と判 断 した㈹。 二 重 主 権 理 論 は憲 法 学 の 中で は通 説 にな って い る。 例 え ば,よ れ て い る の が,UnitedStatesv.Wheeler判. く引 用 さ. 決 で あ る(6D。Wheeler事 件 で. は,あ る イ ン デ ィ ア ン被 告 人 が 先 に イ ン デ ィ ア ン部 族 裁 判 所 の 有 罪 判 決 を 受 け たが,同. じ行 為 に対 して 連 邦 判 所 で 起 訴 され る こ と にな った 。 州 政 府. と 同様 に,イ ン デ ィ ア ン部 族 は連 邦 と は別 の 主 権 で あ り,州 政 府 が 州 法 に 反 す る行 為 を 罰 す る権 限 を もつ の と 同様 に,部 族 は部 族 の 法 に反 す る行 為. (64UnitedStatesv.Lanza,260U.S.377(1922). (6DAbbatev.UnitedStates,359U.S.187(1959). (66>1d.at195. ㈲UnitedStatesv.Wheeler,435U.S.313(1978).. 75.

(18) 近畿大学法学. 第57巻 第4号. を罰 す る権 限 を も って い る と最 高 裁 判 所 は指 摘 した。 二 重 主 権 理 論 の 下 で 連 邦 裁 判 所 で の 起 訴 は 違 憲 で は な い と 判 断 し た ㈱。 但 し連 邦 政 府 司 法 省 は 現 在,一 一 度 州 裁 判 で 起 訴 され た人 を 起 訴 す る こ と を 差 し控 え る 内 部 政 策 「Petite政 策 」(PetitePolicy)と. い う方 針 を と って. い る ㈱。 連 邦 法 務 官 の 政 策 書(U.S.AttorneysManual)に 連 邦 利 害 が な け れ ば,連. よ る と重 要 な. 邦 裁 判 所 で 再 起 訴 は しな い 。 連 邦 の 利 害 が 州 裁 判. で 守 られ て い な い 場 合 は,再. 起 訴 を 開 始 す る前 に司 法 次 官 補 の 許 可 を 得 る. 必 要 が あ る⑳。 しか し,Lafave法. 学 者 が 指 摘 し た よ う に,こ. 策 」 は あ く ま で も 内 部 政 策 で あ っ て,被. の 「Petit政. 告 人 が 主 張 す る 権 利 と して は 認 め. られ て い な い ⑳。. 「連 邦 起 訴 が 先 ・州 起 訴 は後 」 の場 合 連 邦 最 高 裁 は,上 記 のAbbate事. 件 と 同 時 に 取 り扱 っ たBartkusv.. Illinois事件 で そ の反 対 の状 況 を検 討 したa2)。Bartkus事 件 で は,連 邦 裁 判 で 銀 行 強 盗 で 起 訴 され 無 罪 にな っ た被 告 人 が 同 じ銀 行 強 盗 事 件 を 州 裁 判 所 で 再 び起 訴 され,こ ん ど は有 罪 にな っ た。 被 告 人 は州 起 訴 が 「二 重 の 危 険 条 項 」 と 「デ ュ ー ・プ ロセ ス条 項 」 の 権 利 に反 す る と主 張 したが,最 高 裁 判 所 は二 重 主 権 理 論 を の べ,被 告 人 の 有 罪 判 決 を 支 持 した 。Abbate判. 決. と 同様 に,最 高 裁 は,あ る主 権 の 起 訴 が 他 の 主 権 の 起 訴 す る権 利 を 制 限 す る こ と は で きな い と判 断 し た。 最 高 裁 は,も (Abbate事. し被 告 人 の 主 張 を 認 め れ ば. 件 の反 対 の状 況)先 の 連 邦 の 比 較 的 軽 い判 決 が 後 の 州 の 裁 判 を. 妨 げ る こ と にな り,州 の 伝 統 的 な 刑 法 と秩 序 を 守 る権 利 を 害 す る と指 摘 し ㈹ ㈹ ⑳ ⑳ ㈱. 1d.at316. Petitev.UnitedStates,361U.S.529(1960). U.S.ATTORNEYSMANUAL§9-2.142. LAFAVE,CRIMINALPROCEDURE,s"pranote63,at1206. Bartkusv.Illinois,359U.S.121(1959).. 76.

(19) 三浦事件. 二重主権 と共同謀議罪. た ⑬。 と こ ろ が,ア. メ リカ連 邦 制 度 で は州 に よ って. 「二 重 の 危 険 」 の 保 障 が 異. な って い る。 あ る州 で は 前 述 の よ う に 連 邦 起 訴 の 後 に 州 起 訴 を 許 して い る 。 し か し,Lafave法 Bartkus判. 学 者 に よ れ ば,州. 憲 法 ま た は 州 法 に よ っ て. 決 の よ う な 状 況 で は 連 邦 の 起 訴 の 後 の州 起 訴 を禁 ず る州 も約. 半 数 あ る⑭。 しか も,「二 重 の 危 険 」 の 解 釈 も州 に よ っ て 異 な る 。 あ る州 は 同 じ 「犯 罪 」(sameoffense)の (sameconduct)に. 再 起 訴 を 完 全 に 禁 じて い る が,同. 基 づ く 再 起 訴,あ. じ 「行 為 」. る い は 「関 連 す る 事 件 」(same. transaction)に. 基 づ く再 起 訴 を も 禁 じ る 州 も あ る 。 ま た 犯 罪 の 種 類 に よ っ. て(例. 薬 所 持)再. え ば,麻. 起 訴 を 禁 じ る 州 も あ る㈲。. 「州 起 訴 か ら 他 州 起 訴 」 の 場 合 州 裁 判 所 の 刑 事 管 轄 権(裁 に 基 づ い て い る の で,被. 判 権)は. 土 地 管 轄(territorialjurisdiction). 告 人 が 同 じ行 為 に よ っ て 二 つ 以 上 の 州 裁 判 所 で 起. 訴 さ れ る の は ま れ で あ る 。 しか し,州. の 境 界 線 を ま た ぐ犯 罪 行 為 で あ れ ば. 関 係 した す べ て の 州 裁 判 所 で 刑 事 責 任 を 負 わ せ る こ と もで き る と,Lafave 法 学 者 は 説 明 して い る ㈹。 よ く 引 用 さ れ て い る の はHeathv.Alabama事 バ マ 州 で 始 ま っ た 誘 拐 事 件 だ っ た が(被. 告 人 は,ア. 件 で あ る ㈹。 こ れ は ア ラ ラバ マ 州 に住 む 自分 の. 妻 を 家 か ら 誘 拐 して 別 の 場 所 で 殺 す こ と を 共 同 謀 議 し た),隣. の ジ ョー ジ. ア 州 の 境 界 を 越 え て 犠 牲 者 が 殺 さ れ た 。 被 告 人 は ジ ョー ジ ア 州 で も ア ラ バ マ 州 で も 殺 人 罪 で 起 訴 さ れ た(ア. ラ バ マ 州 で は 重 犯 罪 を 犯 して い る 最 中 に. ㈲1d.at132(citingScrewsv.UnitedStates,325U.S.91(1945)). ㈹LAFAVE,CRIMINALPROCEDURE,supranote63,at1207. ㈲1d. ㈹1d. ⑰Heathv.Alabama,474U.S.82(1985).. 77.

(20) 近畿大学法学. 第57巻 第4号. 人 が 死 ね ば,殺 人 と して扱 わ れ る コモ ン・ロー の 伝 統 的 な ル ー ル が あ る)⑱。 被 告 人 は死 刑 を 逃 れ る た め に,最 初 の ジ ョー ジ ア州 の 裁 判 で は司 法 取 引 の 上 で 有 罪 を 認 め終 身 刑 にな っ た。 しか し,後 の ア ラバ マ州 の 誘 拐 殺 人 起 訴 で 有 罪 判 決 にな って 死 刑 を 求 刑 され た。 最 高 裁 は被 告 人 の 「二 重 の 危 険 」 の 主 張 を斥 け,そ の求 刑 を 支 持 した 。 反 対 意 見 を 書 い たMarshall裁. 判官. は,死 刑 を 得 る た めの 両 州 の この よ うな 協 力 的 な 起 訴 は デ ュ ー プ ロセ ス に 反 す る と論 じたが,多 数 意 見 は デ ュー プ ロセ ス の 問題 を検 討 しな か った⑲。 最 高 裁 判 所 は 「二 重 主 権 理 論 」 の 下 で,犯 人 が 一 つ の 行 為(inasingle act)に よ って 二 つ の 主 権 の 法 を 侵 す と憲 法 上 で は その 行 為 は二 つ の 犯 罪 と して 扱 え る と判 断 した。 二 重 主 権 の 問 題 に お いて は,一 番 重 要 な 問 題 は起 訴 しよ う と して い る機 関 が 別 の 主 権 で あ るか ど うか と い う こ とで あ る。 最 高 裁 は,連 邦 政 府 と州 政 府 の 場 合 と同 様 に 州 政 府 は そ れ ぞ れ が独 立 した 別 の主 権 で あ り,そ れ 故,Heath事. ㈲. 件 の起 訴 は合 憲 で あ る と判 断 した(80)。. 本 論 文 を 読 ん で い る読 者 は 「Heath事. 件 で は,な ぜ 被 告 人 が 共 同 謀 議 罪 で 起. 訴 され な か っ た のか 」 と い う疑 問 を持 って い る で あ ろ う。 実 は,ジ. ョー ジ ア州. も ア ラ バ マ州 も共 同 謀 議 罪 の 制 定 法 は あ る(GA.CODEANN.§16-4-8と ALA.CODE§13A-4-3参. 照)。 しか し,ジ ョー ジア 州 の 共 同 謀 議 罪 は共 同 謀. 議 の 目的 で あ る犯 罪 が 成 立 しな か った場 合 の み に制 限 され て い る。 つ ま り共 同 謀 議 の うえ 窃 盗 した場 合,窃 盗 が成 立 して い れ ば 窃盗 罪 とな り共 同 謀 議 につ い て は問 題 に され な い ので あ る。 一・ 方,ア. ラバ マ 州 で は,共 同 謀議 罪 は 伝 統 的 な. コモ ン ・ロ ー に う た われ て い る 「合 意 の み で成 立 」 の定 義 に 従 って い て 外 的 行 為 を 要 求 しな い の で,Heath事. 件 の 共 同 謀 議 罪 起 訴 は可 能 で あ っ た よ うで あ. る。 しか し,法 律 学 者 に よ る と,ア ラバ マ州 の共 同謀 議 罪 の 起 訴 は 極 め て 少 な い よ う で あ る(4AAla.Dig.,Conspiracy,Keys23-51参. 照)。Heath事. 件 の 場 合 被 告 人 が す で に殺 人 罪 を 自 白 して い た こ とか ら,裁 判 で の 起 訴 作 戦 と して 複 雑 な 共 同謀 議 罪 起 訴 よ り も死 刑 を求 刑 す る た め の十 分 な証 拠 が あ る と判 断 して 殺 人 罪 に集 中 した の で あ ろ う。 ⑲Heath,474U.S.at86. (8①Id.at90,91.. 78.

(21) 三浦事件. 二重主権 と共同謀議罪. 「複 数 の 国 」 の 場 合 「二 重 主 権 理 論 」は 国 際 的 な 場 面 に も 適 用 す る 。 ア メ リ カ 合 衆 国 最 高 裁 判 所 は 複 数 の 国 で の 連 続 的 な 起 訴 の 合 憲 性 に つ い て の 判 決 は ま だ 下 して い な い が,連. 邦 上 訴 裁 判 所 は 一一 貫 して 二 重 主 権 理 論 の 下 で そ の よ う な 連 続 起 訴. は 憲 法 の 「二 重 危 険 」 の 保 護 に は 反 し な い と 判 断 し て い る 。1978年 UnitedStatesv.Richardson判 Richardson事. 件 で は,二. 買 で 起 訴 さ れ,有 還 さ れ た が,そ. 決 は そ の 例 の ひ とつ で あ る(81)。 人 の被 告 人 が グ ア テ マ ラ共 和 国 で コカ イ ン売. 罪 判 決 を 受 け た。 後 に彼 ら は解 放 され ア メ リカへ 強 制 送 の 後 連 邦 裁 判 所 で コ カ イ ン売 買 目 的 の 共 同 謀 議 罪 な ど に. よ っ て 起 訴 さ れ た 。 連 邦 上 訴 裁 判 所(第9巡 とBartkus判. の. 決 を 引 用 し て,被. 回 区)は 前 述 のWheeler判. 決. 告 人 の 「二 重 危 険 」 の 主 張 を 斥 け た(8D。. 複 数 の 国 で の 連 続 的 な 起 訴 の 場 面 で は,「 偽 造 起 訴 」(shamprosecution) の 問 題 が あ る よ う で あ る 。 こ れ は,過 国 が 第2の. 国 の 起 訴 を 左 右 し(従. 剰 に 密 接 な 関 係 の 二 国 間 で,第1の. 来 で き な い こ と,例. れ な い よ う な 結 果 ま た は 検 事 の 利 益 な ど),第2国. え ば,本. 国 で は得 ら. の 起 訴 は 第1国. 役 と し て 動 い て い る だ け と い う も の で あ る 。Richardson判. の代理. 決 で は,上. 訴. 裁 判 所 は そ の 事 件 に は そ う い う 証 拠 は な か っ た が,「 偽 造 起 訴 」 に 対 し て 「二 重 危 険 」 の 主 張 は 有 り得 る と 述 べ た ㈱。 他 の 上 訴 裁 判 所 で も,「 偽 造 起 訴 」 の 可 能 性 を 認 め な が ら も,二. 重 起 訴 は違 憲 と い う判 決 は まだ な い よ う. で あ る 鴎。. (81)UnitedStatesv.Richardson,580F.2d946(9thCir.1978). (82>1d.at947,948. ⑬1d.at947(citingBartkus,359U.S.at123). ㈹UnitedStatesv.Rashed,344U.S.App.D.C.150(2000);United Statesv.Guzman,85R3d823(1stCir.1996);UnitedStatesv. Baptista-Rodriguez,17R3d1354(11thCir.1994);UnitedStatesv. McRary,616F.2d(5thCir.1980).. 79.

(22) 近畿大学法学. 第57巻 第4号. カ リフ ォル ニ ア州 で の 二 重 の 危 険 と二 重 主 権 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 で は,「 二 重 危 険 の 保 護 」 は 合 衆 国 憲 法 以 上 に 保 障 さ れ て い る 。 前 述 の よ う に,連. 邦 法 で は 二 重 主 権 理 論 の 下 で 同 じ行 為 は 異 な る. 主 権 に よ っ て 起 訴 す る こ と が で き る 。 し か し,カ 656条 項 と793条 項 に よ れ ば,本. 来. リフ ォル ニ ア 州 の刑 法. 「二 重 主 権 」 で 許 さ れ て い る 異 な る 主 権. に よ る 起 訴 は 禁 止 さ れ て い る ㈲。 こ の 二 つ の 条 項 は よ く似 て お り,656条 わ る 第1篇(PartI)に,793条 編(Partll)に 2004年. 項 は 刑 事 法 典 の 犯 罪 と刑 罰 に 関. 項 は 刑 事 法 典 の 刑 法 手 続 き に 関 わ る 第2. 述 べ ら れ て い る㈱。. の 修 正 前 の793条 項 で は,他. (convictionoracquittal)が. の 州 ま た は国 の有 罪 また は無 罪 判 決. あ る 場 合 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 で の 同 じ犯 罪 行 為. に 基 づ く起 訴 は 禁 止 さ れ て い た 。 同 様 に,2004年. の 修 正 前 の656条 項 は,他. の 州 や 国 ま た は 政 府 に よ っ て 過 去 に 起 訴 さ れ,無. 罪 ま た は有 罪 判 決 を 受 け. た 者 は カ リ フ ォ ル ニ ア 州 裁 判 所 で 同 じ犯 罪 の 告 発 に 対 して 以 前 の 無 罪 ・有 罪 判 決 を 弁 護 と して 主 張 す る こ と が で き る と して い た ㈱。 そ れ 故,1948年. のCoumasv.SuperiorCourt事. 件 の よ うな判 決 が あ. る ㈱。 ア メ リカ 国 籍 に 帰 化 し た が そ れ を ギ リ シ ア 政 府 に 認 め ら れ ず に い た Coumasが,カ. リ フ ォ ル ニ ア 州 で あ る 殺 人 容 疑 を か け られ ギ リ シ ア に 逃 亡. し た 。 そ の 事 件 に つ い てCoumasは (manslaughter)で. 有 罪 判 決 を 受 け た ㈹。 量 刑4年4ケ. ル ニ ア 州 に 戻 っ たCoumasに. (8DCAL.PENALCODE§. ギ リ シ ア で 起 訴 さ れ,「 故 殺 」. 対 し,カ. 月 服 役 後,カ. リフ ォ. リ フ ォ ル ニ ア 州 は 同 じ殺 人 事 件 で 起. §656,793.. ㈹Peoplev.Comingore,20CaL3d142(1977). (8Tカ. リ フ ォ ル ニ ア 州 最 高 裁 判 所 で はComingore判. 使 わ れ た 表 現 が 違 っ て も,法. 決 で,656条. 律 の 効 果 は 変 わ らな い と述 べ た 。. ㈹Coumasv.SuperiorCourt,31CaL2d682(1948). (89>Id.at684,685.. 80. 項 と793条. 項で.

(23) 三浦事件 訴 し よ う と し た 。 しか し,カ て 起 訴 を 禁 じ,被. 二重主権 と共同謀議罪. リ フ ォ ル ニ ア 州 最 高 裁 判 所 は,793条. 項 によっ. 告 人 が 要 求 し た 起 訴 禁 止 令 状(writofprohibition)を. 下 した⑲ ①。 同 様 に,1977年. のPeoplev.Comingore事. ニ ア 州 か らオ レ ゴ ン 州 ま で,所 で被告人が. 件 で は,被. 告 人 は カ リフ ォル. 有 者 の 許 可 な く車 を 運 転 した 。 オ レ ゴ ン 州. 「車 の 不 法 使 用 罪 」(unauthorizeduseofavehicle)の. 決 を 受 け,6ケ. 月 以 下 の 刑 罰 を 受 け た(実. 釈 放 さ れ た)後. に カ リ フ ォ ル ニ ア 州 に 戻 っ た 被 告 人 は 「重 窃 盗 罪(車)」. (grandtheftauto)で. 際 は 判 決 の4日. 有罪判 後,保. 逮 捕 さ れ 起 訴 手 続 き が 開 始 さ れ た が,そ. 護観察で. れ はオ レゴ. ン 州 の 有 罪 判 決 と 同 じ事 件 か ら発 生 し た 告 発 で あ る こ と か ら,第. 一審裁判. 所 は793条 項 に 基 づ き 起 訴 を 斥 け た ⑲1)。 検 事 側 は 不 服 と し て 上 訴 し た が,カ リ フ ォ ル ニ ア 州 最 高 裁 判 所 は 下 級 裁 判 所 の 判 決 を 支 持 した 働。 つ ま り,カ. リ フ ォ ル ニ ア 州 法 上 で は,同. じ 「行 為 」 か ら 発 生 した 犯 罪 は. 同 じ犯 罪 と して 再 起 訴 で き な い の で あ る 。 しか し,1988年. のPeoplev.Brown判. 決 に よ る と 犯 罪 の 「要 素 」 が 異 な. る と カ リ フ ォ ル ニ ア 州 の 「二 重 危 険 の 保 護 」 は 適 用 さ れ な い ㈱。 例 え ば, Brown事. 件 で は,被 告5人. が 事 前 に 計 画 を 立 て て ネ バ ダ 州 で 集 合 し,カ. リ. フ ォ ル ニ ア 州 で 宝 飾 店 に 不 法 侵 入(burglary)の. うえ 盗 ん だ もの を ネ バ ダ. 州 ま で 持 ち 帰 っ た ㏄。 被 告 ら は 連 邦 裁 判 所 で. 「共 同 謀 議 罪 」 の 有 罪 判 決 を. 受 け た 後,カ さ れ,有. リフ ォル ニ ア州 裁 判 所 で. 「不 法 侵 入 罪 」(burglary)で. 起訴. 罪 と な っ た 。 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 上 訴 裁 判 所 は 下 級 判 決 を 支 持 し次. の よ う に 述 べ た:. (90)1d.at688. ㊤1)Comingore,20Cal.3dat144. (92)Id.at148. ㈱Peoplev.Brown,204Cal.App.3d1444,1449(1988). (941d.at1446,1447.. 81.

(24) 近畿大学法学. 第57巻 第4号. 『連 邦裁 判 所 で,「 強 盗 」(robbery)で. 有 罪 判 決 を 受 け た被 告 人 は州. 裁 判 所 で 同 じ 「強 盗 」 と い う有 罪 判 決 を 受 け る こ と はな い。 しか し, その 被 告 人 が 連 邦 裁 判 所 で 「強 盗 」 の 有 罪 判 決 を 受 け た上 に,州 裁 判 所 で 「不 法 侵 入 」(burglary)の. 有 罪 判 決 を 受 け る こ と は あ り得 る。 な. ぜ な ら,不 法 侵 入 の 行 為(窃 盗 を 行 う 目的 で ビル に侵 入 す る こ と)は 強 盗 の 行 為(銃 で 被 害 者 を 脅 して 金 銭 を 奪 う こ と)と は異 な るか らで あ る。』㈱. カ リフ ォル ニ ア 州 上 訴 裁 判 所 はBrown事. 件 の 不 法 侵 入 と共 同謀 議 は こ. の 例 と 同 じで あ る と判 断 した。 共 同謀 議 の 基 本 的 な 要 素 は犯 罪 を 犯 す 「合 意 」 で あ り,同 じ事 件 と は いえ 不 法 侵 入 と は異 な る要 素 で あ る た め,カ. リ. フ ォ ル ニ ア 州 裁 判 所 の有 罪 判 決 は656条 項 に よ る禁 止 を 受 け る もの で はな い と した⑲ ⑤。. カ リフ ォル ニ ア州 で の. 「複 数 の 国 」 の 扱 い. カ リ フ ォ ル ニ ア 州 刑 事 法 典656条 項 と793条 項 は,と れ,「 外 国 」(anothercountry)に. も に2004年. に修 正 さ. 関 す る 表 現 を 削 除 し た(9D。 こ の 修 正 に. よ っ て カ リ フ ォ ル ニ ア 州 で は,以. 前 と 同様 に先 に連 邦 政 府 や 他 州 政 府 に起. 訴 さ れ 有 罪 ま た は 無 罪 に な っ た 場 合 は 同 じ犯 罪 で 再 起 訴 す る こ と は で き な. (95>Id.at1448. (96>Id.at1448,1450. (9D656条. 項 は. 「...anotherState,government,orcountry...」. が,「.... theUnitedStates,orofanotherstateorterritoryoftheUnited States...」. に 修 正. country...」. が. さ れ,同. じ よ う に,793条. 項 は. 「...anotherstateor. 「...theUnitedStates,orofanotherstateor. territoryoftheUnitedStates...」. に 修 正 さ れ た 。.

(25) い が,先. に 「外 国 」 で 裁 か れ た 場 合 に は,そ. の 外 国 で の 判 決 を 弁 護 と して. 使 え な くな っ た の で あ る ㈹。. 三浦事件 の起訴. 三 浦 事 件 と二 重 主 権 前 述 し た よ う に,カ. リ フ ォ ル ニ ア 州 は,三. 浦 元 被 告 を 殺 人 罪 と共 同謀 議. 罪 で 起 訴 し よ う と し た 。 サ イ パ ン 島 で 逮 捕 さ れ た 三 浦 元 被 告 は,カ. リフ ォ. ル ニ ア 州 刑 法793条 項 の 下 で 再 起 訴 は 禁 止 さ れ て い る と主 張 し た ㈱。 そ れ に 対 して,検. 事 側 は 次 の よ う に 反 論 した 。. 三 浦 元 被 告 は793条 項 の 述 べ て は い な い の で,本. 「二 重 危 険 の 保 護 」 を2004年. 件 は2004年. の 修 正 前 に一 度 も. 修 正 後 の793条 項 が 適 用 さ れ,外 国 の 有. 罪 ま た は 無 罪 判 決 は 現 在 の793条 項 に は 影 響 し な い 。793条 正 前 に,三. 項 の2004年. の修. 浦 元 被 告 が カ リフ ォル ニ ア州 政 府 に対 し日本 で の 無 罪 判 決 を 弁. 護 要 件 と して 主 張 して い れ ば 「二 重 危 険 の 保 護 」 で 対 抗 す る こ と も で き た が,修. 正 前 に 主 張 しな か っ た こ と は そ の 権 利 の 放 棄 で あ る㈹。. ま た,カ. リ フ ォ ル ニ ア 刑 法793条 項 は 実 体 法(substantivecriminallaw). で は な く,手. 続 法(procedurallaw)な. の で 刑 事 事 後 法(expostfacto). の 問 題 は な い の で あ る ㈹。 三 浦 元 被 告 は 殺 人 罪 と 同 様 に,共 あ る と 主 張 し た 。 彼 の 主 張 は3つ ㈱656条. 同謀 議 罪 を 今 回 起 訴 す る こ と は違 憲 で に分 け る こ とが で き る。. 項 と793条 項 の 修正 は,三 浦 事 件 の 影 響 が あ った の か ど うか は 不 明 で あ. るが,メ キ シ コ人 が カ リフ ォル ニ ア州 で犯 した犯 罪 を メ キ シ コ裁 判 所 が 比 較 的 軽 い刑 罰 を 下 した事 件 で注 目 さ れ た よ うで あ る。 当 時 マ ス コ ミが 特 に 注 目 した の はMendezMartinez殺. (99) Court Order, Id. at 4, 5. (100) (101)Id. at 5, 6.. supra. 人 事 件 で あ る。 note. 2, at. 2..

(26) 近畿大学法学. 1.犯. 第57巻 第4号. 罪 の要 素 で は な く,犯 罪 の 行 為 に よ って 判 断 しな け れ ば な らな い. との 主 張 。 カ リフ ォル ニ ア州 が 述 べ た共 同謀 議 罪 の 「外 的 行 為 」 は無 罪 に な った 殺 人 罪 と同 じ行 為 か ら発 生 した の で再 起 訴 は793条 項 の 下 で 違 憲 で あ る㈹。 2.日. 本 の法 典 で は 「共 同 謀 議 罪 」 と い う犯 罪 は書 か れ て は い な いが,. 実 際 に は 日本 の 裁 判 所 に は 「判 例 法 」 の 概 念 と して 「共 謀 」 と い う罪 が 存 在 し,日 本 で も 「共 同謀 議 罪 」 と い う行 為 で 裁 か れ る こ と は可 能 で あ る㈹。 3.同. じ行 為 で何 度 も刑 罰(multiplepunishments)を. 受 けることはカ. リフ ォル ニ ア州 刑 事 法 の654条 項 に よ っ て禁 止 され て い る の で,本 共 同謀 議 罪 の 起 訴 も禁 止 され るべ き もの で あ る㈹。 カ リフ ォル ニ ア州 裁 判 所 は,三 浦 元 被 告 の793条 項 に 対 す る主 張 を 殺 人 罪 と共 同謀 議 罪 に分 けて 取 り扱 っ た。 殺 人 罪 につ いて は,裁 判 所 は三 浦 元 被 告 の793条 項 の 「二 重 危 険 の保 護 」 の 要 素(日 本 で の 無 罪 判 決)が2004 年 の 修 正 前 に発 生 した と し,三 浦 元 被 告 が その 権 利 を 放 棄 して は いな い と の 判 断 の も とで 前 述 の 検 事 側 の 主 張 を 斥 け た㈹。 しか も,793条 項 が 手 続 法 で は あ る もの の,被 告 人 の 権 利 や 弁 護 に関 して も影 響 が あ り,2004年 以 降 の793条 項 を 適 用 す る と,三 浦 元 被 告 に は 以 前 に存 在 した 弁 護 が な くな る の で 修 正 後 の ル ール を本 件 に対 して 適 用 しよ う と した場 合,違 憲 な 刑 事 事 後 法 にな る と判 断 した㈹。. (102)Id. (103)Id. (1a Id. (105)Id. (10G)Id.. at. 13, 14.. at 16. at 16, at 2-6. at 11.. 17..

(27) 三浦事件. 二重主権 と共同謀議罪. 三 浦 事 件 と共 同 謀 議 罪 しか し裁 判 所 は,殺. 人 罪 と して の 起 訴 は カ リ フ ォ ル ニ ア 州 の. の 保 護 」 に 基 づ い て 禁 止 さ れ て い る が,三 は 起 訴 さ れ て い な い の で,今. 「二 重 危 険. 浦 元 被 告 は 日本 で 共 同謀 議 罪 で. 回 共 同謀 議 罪 で 起 訴 す る こ と は合 法 で あ る と. 判 断 し た ㈹。 こ の 判 決 の 根 拠 と し て,裁 Peoplev.Herrera判. 判 所 は 以 前 のUnitedStatesv.Dixonや. 決 を 引 用 し,「 二 重 危 険 の 保 護 」 の 問 題 を 検 討 す る 場. 合,「 同 要 素 基 準 」(sameelementstest)を. 適 用 す べ き と した ㈹。 三 浦 事 件. に 対 し て こ の 同 要 素 基 準 を 適 用 す る と,日. 本 の199条 項 と60条 項 に よ る 殺. 人 罪 の 起 訴 と無 罪 判 決 は カ リ フ ォ ル ニ ア 州 の 殺 人 罪 と 要 素 が 重 な っ て お り,そ. れ 故,上. 記 した よ う に カ リフ ォル ニ ア州 の 殺 人 罪 の 起 訴 は禁 止 され. る と 判 断 し た ㈹。 しか し,共. 同謀 議 罪 の 要 素 と殺 人 罪 の 要 素 は異 な る と指 摘 した。 共 同謀. 議 罪 の 要 素 は二 人 以 上 で の. 「犯 罪 を 犯 す 合 意 」 と 「そ の 合 意 を 実 行 す る た. め の 外 的 行 為 」 で あ る 。 日 本 の 殺 人 罪 に は 「犯 罪 を 犯 す 合 意 」 は 必 要 な 要 素 で は な く,ま. た カ リ フ ォ ル ニ ア 州 の 共 同 謀 議 罪 に 「殺 人 」 の 実 行 は 必 要. な 要 素 で は な い 。 しか も,殺 includedoffense)で 裁 判 所 は,ミ. 人 の 共 同 謀 議 は 殺 人 罪 の 被 包 含 犯 罪(lesser. は な い と 裁 判 所 は 強 調 し た(110。 シ ガ ン州 立 大 学 法 科 大 学 院 の 日 本 法 のMarkWest教. 証 言 も 参 考 に し た 。West教. 授 は,日. 本 法 で は 「共 同 謀 議 罪 」(二 人 以 上 の. 者 が 犯 罪 を 犯 す 合 意 と そ れ を 実 行 す る 為 に 外 的 行 為 を 行 う 事)は. (10i)Id. (108)Id. People. at. 授の. 個別の犯. 16.. at v.. 14, 15 (citing United States v. Dixon, Herrera, 136 App. 4th 1191 (2006)).. (109)Court Order, (110)Id. at 14, 15.. supra. note. 2,. at. 15.. 509. U.S.. 688. (1993);.

(28) 近畿大学法学. 第57巻 第4号. 罪 と して存 在 しな い と証 言 したq/D。 本 件 で は,共 同 謀 議 罪 は判 例 法 の 概 念 と して 日本 に も存 在 す る と い う三 浦 元 被 告 の 主 張 が,こ の 専 門 家 の 証 言 を 覆 す に は証 拠 が 足 りな い と指 摘 した。 それ 故,三 浦 元 被 告 が 日本 で 共 同謀 議 罪 の 有 罪 ま た は無 罪 判 決 を 受 け た こ とが あ る と い う証 拠 に はな らな いの で,本 件 で の 共 同謀 議 罪 の 起 訴 は合 法 で あ る と判 断 した㈹。 裁 判 所 は最 終 的 に,三 浦元 被 告 の654条 項 に 関す る主 張(同 じ行 為 に基 づ いて 何 度 も刑 罰 を受 け る こ と は禁 止 され て い る)も 斥 けた。 裁判 所 は,654 条 項 は複 数 の 事 件 を併 合 させ る 目的 の もの で あ って,他 管 轄 起 訴 に対 して は適 用 しな い と判 断 した ㈹。 仮 に本 件 で二 重 危 険 の 保 護 が適 用 され ず 検 事 側 が 「殺 人 罪 」 と 「共 同謀 議 罪 」 を ど ち らも起 訴 しよ う とす る場 合,二 つ の 罪 を一 緒 に起 訴 す る必 要 が あ り,ま た ど ち らも有 罪 判 決 を 受 け た場 合 に は654条 項 に よ り複 数 刑 罰 が 禁 止 され る こ と とな る。 しか し本 件 で は,実 際 に は共 同 謀 議 罪 の起 訴 しか して い な い の で654条 項 の 主 張 は適 用 され な い と裁 判 所 は判 断 した㈹。 ま と め と して,三 浦 元 被 告 の 再 起 訴 につ いて の 疑 問 の 答 え は,コ モ ン ・ ロ ーの 伝 統 的 な 共 同謀 議 罪 と二 重 主 権 の 概 念 の 中 に あ る。 本 論 文 で 説 明 し た よ う に,カ. リフ ォル ニ ア州 で の 共 同謀 議 罪 の 有 罪 判 決 は,犯 罪 を 犯 す 合. 意 と それ に関 連 す る一 つ の 外 的 行 為 の み を 要 求 して い るの で あ る。 殺 人 罪 と共 同謀 議 罪 は別 々の 犯 罪 と し,三 浦 元 被 告 に対 す る共 同謀 議 罪 の 起 訴 は 合 法 で あ っ た と最 終 的 に判 断 され た。 陪 審 員 が それ を ど う判 断 したか は今 にな って は知 るす べ もな く,そ れ は とて も残 念 な こ とで あ る。. (111)Id. at 16. (11?)Id. (113)Id. at 16, 17. OD Id. at 17, 18. 86.

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参照

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