〈論文〉企業年次報告における環境リスク開示の発展
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(2) 第60巻. 1は. 第1号. じ. め. に. 企 業 の 事 業 に重 要 な 環 境 問 題 に関 す る リス クの 情 報 を,企 業 年 次 報 告 にお いて 適 切 に情 報 開 示 す る こ とを 求 め る制 度 お よ び法 規 制 が,ア メ リカ合 衆 国,ま た 欧州 連 合(European Union:EU)地. 域 の 国 々 に お い て,1980年. 代 以 降,発 展 して きた(1)。一 方,環 境,社 会 お. よ び統 治(Environmental,Social,andGovernance:ESG)情 示 につ いて,世 界 の 様 々な 証 券 市 場 で 徐 々 に注 目 され,ま. 報の年次報告での制度開 た これ らESG情. 報 の よ うな 非. 財 務 情 報 を財 務 情 報 と統 合 的 に報 告 す る枠 組 み の 開 発 に焦 点 を 当 て た 国 際 的 な 議 論 も進 展 しつ つ あ る。 しか し,そ も そ も リス ク情 報 の 制 度 開 示 の 内容 が,投 資 家 等 に どの 程 度 有 用 か,ど の よ うな 情 報 伝 達 の 枠 組 み が 望 ま しいか を 巡 って,統 合 的 報 告 の 思 考 を 含 む 最 近 の 様 々な 企 業 統 治 にか か る議 論 が あ る。 そ して,リ の 不 確 実 性 に対 す る判 断,あ. ス ク と言 わ な い まで も,ビ ジネ ス環 境 にお け る事 象. る い は不 確 実 な 内容 に対 す る見 積 も りの 妥 当 性 の 評 価 に関 す. る会 計 的 議 論 が あ る。 これ ら2つ の 側 面 を ふ まえ る と,と. りわ け,企 業 報 告 にお け る情 報. の 信 頼 性 に保 証 を 与 え る会 計 専 門 職 が,将 来 的 に,リ ス ク情 報 の 信 頼 性 につ いて どの よ う に関 与 で き るか と い う社 会 貢 献 の 文 脈 で,リ. ス ク情 報 開 示 の 問 題 は非 常 に重 要 と言 え る。. 環 境 リス ク につ いて は,様 々な 環 境 問 題 へ の ビ ジネ ス社 会 の 認 識 の 変 化 を 背 景 に,企 業 の 長 期 的 価 値 創 造 能 力 の 評 価 の 面,企 業 財 務 の 健 全 性 の 面,統 治 の 透 明 性 の 面,あ. るいは. 環 境 資 本 の 受 託 責 任 の 説 明 の 面 で,今 や,非 常 に重 要 な 企 業 情 報 の 一 つ と いえ よ う。 この よ うな 企 業 情 報 開 示 の 信 頼 性 に関 す る課 題 を,環 境 リス ク情 報 に焦 点 を 当 て て,法 制 度 の 発 展 お よ び経 済 社 会 で の 実 践 課 題 の 両 面 で 検 討 し,最 善 の 実 務 を 志 向 す べ く検 討 を 加 え て い くこ と は,透 明 性 の 高 い企 業 内容 の 開 示 お よ び証 券 市 場 の 信 頼 性 に資 す る政 策 的 議 論 の 基 礎 を提 供 す る もの と して 非 常 に重 要 で あ る。 本 稿 の 構 成 は以 下 の と お りで あ る。 第2章 で 環 境 リス クの 開 示 の 意 義 を 検 討 し,第3章 で 環 境 リス ク開 示 に関 連 す る主 な 諸 外 国 の 法 規 制 の 状 況 を 検 討 し,第4章. で リス ク開 示 や. その 法 規 則 の 有 用 性 を 巡 る議 論 を 吟 味 し,第5章. で国際的大企業の年次報告書での環境 リ. ス ク お よ び関 連 情 報 の 開 示 事 例 を 検 討 し,第6章. で 結 論 を 述 べ て い く。. (1)「 開 示 」 と 「報 告 」 とい う2つ の 用 語 は,様 々な 法 規 制 制 度 の 様 々な 文 脈 で 用 い られ る もの の, 企 業 内 容 に関 す る外 部 へ の 情 報 伝 達 とい う一 般 的 意 味 合 いで 「開 示 」 の 用 語 を 用 い な が ら議 論 を 進 め て い きた い 。 -2(2)一.
(3) 企 業 年 次 報 告 にお け る環 境 リス ク開 示 の 発 展(川 原). H環. 境 リスクの開示 の意義. リス ク と い う場 合,通 常,損 失 を 被 るか あ る い は利 益 を 減 らす と い う可 能 性,あ. るいは. 他 の 何 か 不 利 益 と い う マ イ ナ スの 意 味 合 いが あ る。 リス クを 報 告 す る文 脈 にお いて,リ ク は様 々な 意 味 で 使 わ れ る。 例 え ば,リ ス ク と機 会 と い う組 み 合 わ せ で,あ. ス. る い は,リ ス. ク と報 酬 と い う組 み 合 わ せ の 文 脈 で 使 わ れ る場 合 を み て も,リ ス クの 概 念 が 機 会 や 報 酬 と い う利 益 の 意 味 合 いの 概 念 と組 み 合 わ され る。 実 際,第 三 者 へ の リス ク開 示 あ る い は報 告 と い う場 合,不 利 益 な 感 覚 で リス クの 用 語 が 使 わ れ が ちで あ る。 一 方,リ. ス ク は不 確 実 な. 将 来 の 結 果 を意 味す る文 脈 で は,潜 在 的 結 果 の 良 い 場 合 も悪 い場 合 の いず れ か を意 味す る。 加 え て,リ. ス ク と不 確 実 性 を 明 確 に区 別 す る文 脈 も あ る。 す な わ ち,リ ス ク は測 定 可 能 で. あ り,不 確 実 性 は測 定 不 可 能 で あ る と い う見 方 で あ る。 予 め統 計 的 に予 測 可 能 な リス ク は ビジ ネ ス で は通 常 見 られ ず,確 実 性 の 程 度 を あ る 出来 事 の 母 集 団 に お け る統 計 的 確 率 を も って 測 定 され る場 合 が あ る。 例 え ば,繰 を用 い た保 険 計 算,あ. り返 しの 生 産 工 程 に お け る作 業 誤 りの 発 生 確 率. る い は金 融 工 学 に お いて 過 去 の 価 格 変 動 を も と に金 融 商 品 の リス ク. を測 定 す る計 算 な ど,過 去 の 資 料 が 確 実 性 の 計 算 に十 分 な 基 礎 を 提 供 す る場 合 も あ る。 金 融 機 関 の リス ク管 理 で は期 待 値 と して の リス ク算 定 は重 要 とな る。 しか し,将 来 の 不 確 実 性 を測 定 で きな い,客 観 的 な 感 覚 で は測 定 不 可 能 な 場 合,リ. ス クの 測 定 は不 適 当 で あ る。. ビジネ スの リス ク報 告 が 重 要 と され る理 由 は,叙 述 的 あ る い は数 量 的 範 囲 に も及 ぶ 報 告 の いず れ も,主 観 的 で 範 囲 を 制 限 せ ざ るを 得 な い よ うな リス クが 対 象 にな る こ とで あ る(2)。 リス クの 用 語 が 不 確 実 性 の 用 語 に代 替 され て 企 業 報 告 の 文 脈 で 用 い られ る場 合 が 見 られ る。 最 近,財 務 情 報 と非 財 務 情 報 を 統 合 報 告 す る国 際 的 枠 組 み を 開 発 して い る国 際 統 合 報 告 審 議 会(lnternationalIntegratedReportingCouncil:IIRC)に. よれ ば,報 告 事 項 に. 不 確 実 性 が あ る場 合,そ の 不 確 実 性 を 報 告 す る こ とを 求 めて い る(3)。 環 境 リス ク は,企 業 の 将 来 の 事 業 活 動 との 関 係 性 を み れ ば,そ の 事 業 活 動 が 環 境 へ 及 ぼ す 影 響,あ. る い は環 境 が 事 業 活 動 に及 ぼす 影 響 の 両 面 に お け る可 能 性 の 意 味 合 いで 定 義 で. き る。 国 際 金 融 公 社(lnternationalFinancialCorporation:IFC)の の 持 続 可 能 性 に関 す るIFC業 出来 事 の 起 こ る確 率,お. 績 基 準」(IFC基. 準)に. 「環 境 お よ び社 会. よれ ば,環 境 リス ク は,あ る偶 然 の. よ び その よ うな 出来 事 が 結 果 と して も た らす 影 響 の 重 大 さの 組 み. (2)ICAEW(2011),p.3。 (3)IIRC(2013),p.31.. 3(3)一.
(4) 第60巻 合 わ せ と して,2つ. 第1号. の 要 素 か ら定 義 され て い る。 そ して,環 境 影 響 とは,物 理 的,自 然 的,. あ る い は文 化 的 環 境 へ の 潜 在 的 あ る い は実 際 の 何 らか の 変 化 を い い,ま た 事 業 活 動 に起 因 す る周 辺 地 域 社 会 お よ び労 働 者 へ の 影 響 と して,広 範 に定 義 され て い る④。 IFC基 準 は,環 境 リス ク お よ び影 響 の 特 定,環 境 リス クの 未 然 防 止,低 減,あ. る い は管. 理 の た めの 環 境 お よ び社 会 の 持 続 可 能 性 業 績 基 準 で あ り,事 業 者 お よ び金 融 機 関 に有 用 な 示 唆 を提 供 して い る。 例 え ば,IFC基. 準 の 第 一 基 準 「環 境 お よ び社 会 リス ク と影 響 の 評 価. と管 理 」 は,環 境 お よ び社 会 の リス ク お よ び影 響 の あ るす べ て の 事 業 活 動 に適 用 され る一 般 基 準 の 性 質 を 有 して い る。 ま た,IFC基. 準 の 第 一 基 準 は,環 境 リス ク管 理 につ いて 以 下. の3つ の 重 要 な 側 面 を 扱 って い る(5)。す な わ ち,環 境 影 響,リ. ス ク,お. よ び機 会 を 統 合 的. に評 価 す る こ と,直 接 影 響 を及 ぼ す 問 題 に つ い て地 域 社 会 へ の 情 報 開 示 お よ び コ ミュニ ケ ー シ ョ ンを通 して 効 果 的 に地 域 社 会 と関 与 を す る こ と,ま た,事 業 活 動 の ラ イ フサ イ ク ル を通 じて 環 境 業 績 を 管 理 す る こ とで あ る。 事 業 に関 連 す る環 境 リス クの 情 報 を ス テー ク ホル ダー に対 して,具 体 的 に,定 期 的 に報 告 す る こ と は,持 続 可 能 な 方 法 に よ る事 業 活 動 と して 重 要 で あ るが,IFC基. 準の第一基準. で は,影 響 を直 接 的 に及 ぼす 地 域 社 会 に対 して 情 報 開 示 を す る場 合 の5つ の 重 要 な 要 素 を 挙 げて い る。 す な わ ち,1つ 続 期 間,3つ 置,4つ. 目 に事 業 の 目的,性 質,お. よ び規 模,2つ. 目 に事 業 活 動 の 持. 目 に地 域 社 会 へ の リス ク お よ び潜 在 的 に及 ぼす 影 響,お. よ び関 連 す る緩 和 措. 目 に将 来 予 想 され る ス テー ク ホル ダー の 関 与 の プ ロセ ス,そ. して 苦 情 処 理 の 機 構. で あ る(6)。加 え て,同 基 準 で は,外 部 者 との コ ミュニ ケ ー シ ョ ンにつ いて,環. 境 お よ び社. 会 の 持 続 可 能 性 報 告 の 定 期 的 な 公 表 を 推 奨 して い る。 ま た,現 在,影 響 を 直 接 的 に及 ぼ し て い る地 域 社 会 に対 して は,最 新 の 緩 和 措 置 あ る い は行 動 に関 す る報 告 を1年. に1回 以 上. す る もの と して い る(7)。 環 境 業 績 の 改 善 の た め に は良 い環 境 マネ ジ メ ン トシ ス テ ムの 存 在 が 重 要 で あ る こ とを, IFC基 準 の 第 一 基 準 は明 瞭 に説 明 して い る。 す な わ ち,効 果 的 な 環 境 マ ネ ジ メ ン トシ ス テ ム と は,経 営 者 に よ って 着 手 され,支 援 され る活 動 的 で 継 続 的 な プ ロセ スを い い,企 業, 労 働 者,地 域 社 会,影 響 を 受 け る関 係 者 な ど ス テー ク ホル ダー の 間 の 積 極 的 関 与 を 必 要 と す る もの と定 義 で き る。 そ して この シ ス テ ム は,計 画,実 行,チ. ェ ック,お よ び改 善 と い. (4)IFC(2012),p.5. (5)1わ'諾,P.3. (6)1わ'(乳,p.13. (7)こ. の 基 準 に お い て 動 詞 の 前 に はshallあ. る い はshouldで. れ て い る。 -4(4)一. な く,ほ. と ん ど の 場 合,willが. 使わ.
(5) 企 業 年 次 報 告 にお け る環 境 リス ク開 示 の 発 展(川 原) う 事 業 経 営 プ ロ セ ス の 確 立 し た 要 素 を も っ て,環. 境 リス ク お よ び影 響 を 管 理 す る方 法 論 的. 手 法 を 必 要 と す る も の で あ る 。 事 業 の 性 質 お よ び 規 模 に 適 し た 良 い 環 境 マ ネ ジ メ ン トシ ス テ ム に よ っ て 健 全 で 持 続 可 能 な 環 境 業 績 が 促 進 さ れ,そ. して 財 務,社. 会,お. よ び環 境 の 結. 果 を 改 善 す る こ と に 結 び つ く可 能 性 が あ る(8)。 最 近,気. 候 変 動 あ る い は 水 供 給 の 危 機 な ど の 地 球 環 境 に 関 連 す る リ ス ク は,世. 界の ビジ. ネ ス リー ダ ー に重 要 な 世 界 的 リス ク と して 認 識 さ れ つ つ あ る 。世 界 経 済 フ ォ ー ラ ム(World EconomicForum:WEF)が2013年1月. に 公 表 した. Risks2013EightEdition)」 環 境 的,地 挙 げ,そ. 政 学 的,社. 「世 界 的 リ ス ク2013年8版(Global. の 結 果 か ら そ の 状 況 は 明 ら か に 伺 え る(9)。WEFは,経 会 的,お. よ び 技 術 的 の5分. の 合 計50種 類 の リ ス ク に 対 して,世. 野 に 関 して,そ. れ ぞ れ10種 類 の リ ス ク を. 界 的 リ ス ク と して 認 識 さ れ る 順 位 を 調 査 して. い る 。 例 え ば,「 気 候 変 動 」 の リ ス ク は 環 境 的 リ ス ク の 分 類 に,ま リ ス ク は 地 政 学 的 の 分 類 に 含 め られ て い る 。 ま た,そ ち,「 発 生 可 能 性 の 高 さ 」,お よ び 「影 響 」 の2つ そ の 結 果,発. 済 的,. た 「水 供 給 の 危 機 」 の. れ ぞ れ の リ ス ク は2つ. の 面,す. なわ. の面 で リス クの重 要 性 が考 慮 さ れ て い る。. 生 可 能 性 の 高 さ の 面 か ら重 要 と 評 価 さ れ た リ ス ク の 上 位5位. まで を 順 に見 る. と,「 深 刻 な 収 入 格 差 」,「長 期 的 財 政 不 均 衡 」,「温 室 効 果 ガ ス(GreenHouseGases:GHGs) 排 出 量 の 上 昇 」,「 水 供 給 の 危 機 」,お よ び 「人 口 高 齢 化 の 管 理 の 誤 り」 と い う リ ス ク が 挙 げ られ て い る 。 同 様 に,影. 響 の 面 で は,「 重 大 で 組 織 的 な 金 融 の 失 敗 」,「水 供 給 の 危 機 」,. 「長 期 的 財 政 不 均 衡 」,「大 量 破 壊 兵 器 の 拡 散 」,お よ び 「気 候 変 動 へ の 適 応 の 失 敗 」 と い う リ ス ク が 上 位5位. ま で に 順 に 挙 げ られ て い る ⑩。. 環 境 リ ス ク は,社. 会 的 責 任 投 資(SociallyResponsibleInvestment:SRI)な. ど,企. 業. 責 任 や 持 続 可 能 性 を 考 慮 し た 投 資 指 標 を 構 成 す る ポ ー トフ ォ リオ に 株 式 銘 柄 を 組 み 入 れ る 際 の 判 断 尺 度 の 一 つ と して 重 視 さ れ る 。 例 え ば,FTSE4Good指 人 権,サ. プ ラ イ チ ェ ー ン 労 働 基 準,贈. 収 賄 行 為 へ の 反 対,お. 能 性 項 目 に よ る 評 価 尺 度 が あ る 。 そ して,金. 分 し,金. よ び 気 候 変 動 の5つ. 境,. の持続可. 融 機 関 の 取 引 先 の 環 境 問 題 が 及 ぼ す 財 務 リス. ク を 重 視 して い る 。 環 境 尺 度 の 設 定 に つ い て,企 産 業 分 野 を3区. 標 シ リ ー ズ に は,環. 業 活 動 の 環 境 に 及 ぼ す 影 響 度 を も と に,. 融 機 関 は そ の 中 程 度 と して い る 。 そ して,金. 融 機 関 で は土 壌 汚 染. な ど を 考 慮 し て 環 境 信 用 リス ク評 価 を 通 常 の 貸 付 業 務 プ ロ セ ス に 組 み 込 む べ き で あ る こ と, 特 殊 な 環 境 貸 付 に は 引 当 が 重 要 で あ る こ と,お. よ び通 常 の 財 務 分 析 に環 境 要 素 を 統 合 す る. (8)1わ'諾,P.5. (9)WorldEconomicForum(2013),p.13. ⑩WEFの る が,そ. 毎 年 の リ ス ク 調 査 で は,集 計 す る リス ク 項 目 の 名 称 や そ の 内 容 に 若 干 の 変 更 が 見 ら れ の こ と に 鑑 み て も 関 係 者 の リス ク 認 識 の 変 化 が 伺 え る 。 -5(5)一.
(6) 第60巻. 第1号. こ と の 必 要 性 を 指 摘 して い る(11)。 環 境 情 報 の 開 示 に あ た り,財. 務 的 要 素 と 関 連 さ せ た 情 報 内 容 は,と. りわ け,投. 資家の リ. ス ク 情 報 要 求 に 見 合 う 可 能 性 が あ る 。 国 際 会 計 士 連 盟(lnternationalFederationofAccountants:IFAC)は,ESG情 調 査 を 実 施 し,会 ESG情. 報 開 示 を 投 資 家 が ど の 程 度 要 求 しつ つ あ る の か に つ い て. 計 職 業 専 門 家 に と っ て の 意 味 合 い を 提 供 して い る 。 そ の 調 査 に よ れ ば,. 報 が 長 期 の 全 体 的 な 投 資 成 果 に 影 響 す る と い う4つ. 多 くの 投 資 家 が,最. 近,国. Investment:PRI)に. の 証 拠 が 示 さ れ て い る ⑫。 ま ず,. 連 責 任 投 資 原 則(Unitednations'PrinciplesforResponsible. 署 名 し て い る と い う。2つ. 目 にESGの. 問題の解決を含む株主提案. の 数 が 増 加 しつ つ あ る と い う 。3つ. 目 に,投. 受 益 者 の 長 期 の 利 害 を 最 大 化 し,よ. い統 治 お よ び持 続 可 能 性 に向 けた 企 業 の 実 践 が 長 期 の. 株 主 価 値 の 創 造 に 寄 与 す る と,投 セ ス にESG情. 資 プ ロ セ ス にESGの. 資 家 は ま す ま す 考 え つ つ あ る と い う 。 最 後 に,投. 報 お よ び そ の 分 析 を 組 み 込 む 投 資 家 の 方 が,同. 獲 得 して い る と い う 。 そ して,IFACは,伝. う 。 同 様 に,収 標,排. 益 あ る い は 税 引 前 利 益,税. 出 量 取 引 の 及 ぼ す 財 務 的 影 響,環. よ び 利 益 へ の 影 響 な ど も,評. 皿. 1ア. 僚 に 比 べ て よ り投 資 利 益 を 報 を 統 合 させ て い. 要 素 お よ び そ のKPIsを. 財 務 的 要 素 と結 び. 付 け る こ と が で き る と主 張 し て い る 。 例 え ば,ESG要 益 へ の 影 響,資. 資 プロ. 統 的 な 財 務 分 析 にESG情. る 多 くの 投 資 家 が い る こ と を ふ ま え,ESGの. シ ュ ・フ ロ ー の 変 化,利. 項 目 を 統 合 す る こ と で,. 素 の 財 務 的 結 果 に つ い て,キ. 本 コ ス ト,お 金,減. ャ ッ. よ び資 産 価 値 の 点 で 評 価 で き る と い. 価 償 却 と カ ー ボ ン ・コ ス トを 比 較 す る 指. 境 法 令 遵 守 コ ス トの 及 ぼ す キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー お. 価 指 標 と な り う る と い う ⑱。. 環境 リスクに関す る欧米の開示制度. メ リ力合 衆 国. 企 業 の 環 境 リ ス ク を 含 む リ ス ク 開 示 制 度 が,1980年 い て,ま. た,企. りわ け,ア. 以 降,世. 界 の 様 々な 諸 外 国 地 域 にお. 業 情 報 開 示 に 関 連 す る 国 際 的 組 織 の 活 動 に よ り,徐. メ リ カ 合 衆 国,お. よ び ドイ ツ,イ. ギ リ ス,フ. 盟 国 が こ こ で い う主 な 諸 外 国 地 域 で あ る 。 ま た,国. ラ ン ス を 含 む 欧 州 連 合(EU)加. 際 決 済 銀 行 の バ ー ゼ ル 銀 行 監 督 委 員 会,. 国 際 財 務 報 告 基 準(lnternationalFinancialReportingStandards:IFRS)の. P. 3. F. 3. 0 9白 -⊥ . 0 0 7 2 ∩ ∠ -⊥ く く ゜ E P C ,. D 勿 3 q q q. ㎜器. で あ る 国 際 財 務 報 告 審 議 会(lnternationalAccountingStandardsBoard:IASB),お. 6(6)一. 々 に 発 展 して き た 。 と. 設定主体.
(7) 企 業 年 次 報 告 にお け る環 境 リス ク開 示 の 発 展(川 原) よ び 前 述 のIIRCが. こ こ で い う 主 な 国 際 的 組 織 で あ る 。 以 下,こ. れ ら の 地 域 で,あ. るいは. こ れ らの 国 際 的 組 織 が 要 請 す る リ ス ク 開 示 お よ び 報 告 に 関 す る 制 度 の 主 な 内 容 を 順 に 検 討 して い き た い 。 最 初 に,ア. メ リ カ 合 衆 国 で は,企. 業 の リ ス ク 開 示 に 関 連 す る 主 な 規 則 は,. 信 頼 性 あ る情 報 を 投 資 家 と証 券 市 場 に提 供 す る こ とで 証 券 市 場 の 信 頼 性 を 回 復 す る こ とを 目 的 と し た1933年. 証 券 法 ω に お い て 定 め られ て い る 。1934年. 証 券 取 引 法 ⑮ に よ って 設 立 さ. れ た ア メ リ カ 証 券 取 引 監 視 委 員 会(SecuritiesandExchangeCommission:SEC)は, 所 定 の 公 開 企 業 に 所 定 の 財 務 諸 表 等 の 書 類 を 提 出 す る こ と を 義 務 づ け て い る⑯。 1933年 証 券 法 で 要 請 さ れ た,リ factors)に. 関 す る も の,(2)経. ysis:MD&A)に Act:SOX)⑰ の 項 目 は,年. よ び(3)サ ー ベ イ ン ス ・オ ッ ク ス リー 法(Sarbanes-Oxley. が 挙 げ ら れ るq8)。以 下,順. に そ の 内 容 を 見 て い き た い 。 ま ず,(1)リ. 次 決 算 の 開 示 様 式 の10-K様. 式(Form10-K)な. 半期決算の開示様式で ある. 最 新 情 報 を 開 示 す る よ う 要 請 さ れ て い る 。 リ ス ク 要 因 と して. 開 示 す べ き 内 容 は,SECに る ⑲。 す な わ ち,リ. ス ク要 因. ど にお いて 開 示 が 要 請 され. の リ ス ク 要 因 の 内 容 に 変 更 が あ る 場 合,四. 式(Form10-Q)で. ス ク 要 因(risk. 営 者 の 討 議 お よ び 分 析(Managementdiscussionandanal-. 関 す る も の,お. て い る 。 そ して,そ 10-Q様. ス ク の 開 示 に か か る 主 な 規 則 に は,(1)リ. 提 出 が 義 務 付 け られ る 目 論 見 書 の 要 求 事 項 の 中 で 定 義 さ れ て い. ス ク 要 因 と は 目論 見 書 の 証 券 へ の 募 集 を 投 機 的 ま た は 危 険 を は ら む も. の に す る 最 も 重 要 な 要 因 と 定 め ら れ て い る 。SECで. は,企. 業 は リス ク開 示 の 討 議 に お い. て,「 一 方 で 」,「 で は あ る け れ ど も」,あ る い は 「しか しな が ら」 と い う 和 ら げ る 言 葉 を 使 う こ と を 一 般 に 避 け る べ き で あ る と い う 。 実 際,企 か に つ い て は,以. 下 に 述 べ るMD&Aの. 次 に,(2)MD&Aの. 業 が ど の よ う に リ ス ク を 管 理 して い る. 項 目で 開示 して い る と見 られ て い る⑫ ① 。. 項 目 で も リ ス ク に 関 す る 記 述 が 要 請 さ れ て い る ⑳。MD&AはSEC. に よ る 公 開 企 業 の 年 度 開 示 の 要 求 事 項 に 含 ま れ て い る 。 最 近 の 様 式 に お け る 要 求 事 項 は, 多 数 の 改 訂 が さ れ て い る が,そ つ い て ま で 及 ぶ 。 例 え ば,以 SECの. も そ も1980年. に 遡 る 。MD&Aは. 企 業 が直 面 す る リス ク に. 下 の 要 求 事 項 が あ る 。 重 大 な 影 響 を 及 ぼ す 状 態 に お い て,. 登 録 企 業 の 流 動 性 を 増 加,あ. る い は 減 少 さ せ る 結 果 に 将 来 な る で あ ろ う,あ. か な り高 い 発 生 確 率 で そ の 結 果 に な る と い っ た 既 知 の 傾 向,あ. ωTheSecuritiesActof1933. q5)TheSecuritiesExchangeActof1934. ⑯SECweb-site,http://www.sec.gov/index.htm. q7)TheUSSarbanes-OxleyActof2002. q⑳ICAEW(2011),pp.47-48. ⑲Item503(c)ofRegulationS-K. (2①1∂'4.,p.47. (2D1わ1紘,p.47.. -7(7)一. る い は 既 知 の 需 要,契. るいは 約,.
(8) 第60巻 出来 事,あ. 第1号. る い は不 確 実 性 を特 定 す る⑳。 登 録 企 業 の資 本 的資 源 に 重大 な影 響 を 及 ぼ す 既. 知 の 傾 向,有 利 あ る い は不 利 を 説 明 し,そ して,そ の 資 源 の 混 在 す る また は関 連 す る コ ス トに お け る重 大 な変 化 を指 摘 す る㈱。 これ まで に あ っ たか,ま. た は,純 売 上 また は収 益,. あ る い は税 引 後 継 続 事 業 に よ る利 益 に対 して,重 大 な 有 利 あ る い は不 利 の 影 響 を 及 ぼ す で あ ろ う と登 録 企 業 が か な り思 う既 知 の 傾 向 あ る い は不 確 実 性 を 説 明 す る⑳。 MD&Aの. 項 目 で こ の よ うな リス ク の記 述 を要 請 す る趣 旨に は,企. 業 の 財務 諸 表 の 利 用. 者 が,こ れ らの 財 務 諸 表 に お いて 過 去 の 情 報 か ら将 来 につ いて の 結 論 を 不 当 に導 く リス ク が 存 在 す る こ と に あ る。 そ して,SECの. 財 務 諸 表作 成 の た め の 指示 書 で はMD&Aの. 留 意 点 を示 して い る。 す な わ ち,MD&Aの. 開 示 につ いて 以 下 の 重 要 な. 開 示 は,報 告 さ れ た財 務 情 報 が,将 来 の 事 業. の 結 果 あ る い は将 来 の 財 政 状 態 を 必 ず しも暗 示 す る もの にな らな い結 果 を もた らす と い う 経 営 者 が 知 る と こ ろの 重 大 な 影 響 を 及 ぼす 出来 事 お よ び不 確 実 性 に焦 点 を 当 て る もの で あ る。 よ って,MD&Aの た事 柄,ま. 開 示 に は,将 来 の事 業 に影 響 を及 ぼ し,過 去 に影 響 して こな か っ. た,報 告 され た事 業 に影 響 を 及 ぼ して お り,そ して 将 来 の 事 業 に影 響 を 及 ぼ す. こ とが 予 想 され な い事 柄 を 含 め る㈱。 さ らにSECのMD&Aに. 関 す る指 針 で は,そ の 要 求 事 項 は標 準 化 で きな い情 報 に関 す. る も ので あ る こ と を認 め て い る。 そ こで,MD&Aの も の に な って い る。 そ の理 由 は,2つ と って よ いMD&A開. 要 求 事 項 は意 図 的 に柔 軟 で 一 般 的 な. の 登 録 企 業 が 全 く同 じで は な く,あ る登 録 企 業 に. 示 が,他 の登 録 企 業 に と って も必 ず し も よいMD&A開. は限 らな いか らで あ る。異 な る年 次 で 同一 の登 録 企 業 のMD&A開. 示で あると. 示 が 同 じ内容 で あ る こ. と は認 めて い る。 な お,カ ナ ダ で はMD&Aに 3つ 目 に,SOXの404項. 関 す る要 求事 項 は ア メ リカ合 衆 国 の そ れ と類 似 して い る㈱。 は,上 場 企 業 の 年 次 報 告 の 中 に,財 務 報 告 の た めの 内部 統 制 組. 織 お よ び手 続 きの 効 果 を 評 価 す る 内容 を 含 め る こ とを 求 め る規 則 を,SECに. 規 定 させ る要. 求 事 項 を含 む 。 企 業 の 財 務 報 告 シ ス テ ムの 基 礎 とな る統 制 や 手 続 きが,企 業 全 体 の 統 制 の 重 要 な 構 成 要 素 で あ るの で,企 業 の リス ク,お よ び ま た は リス クを 緩 和 す る手 続 きを 評 価 す る た め に は,内 部 統 制 組 織 お よ び手 続 きの 開 示 が 潜 在 的 に有 用 と認 め られ る⑳。. ⑳Item3030fRegulationS-K,paragraph(a)(1). ㈱Item3030fRegulationS-K,paragraph(a)(2)(ii). ⑳Item3030fRegulationS-K,paragraph(a)(3)(ii). ㈱Item3030fRegulationS-K,Instruction3toParagraph303(a). ⑦③ICAEW(2011),p.48. ⑳1わ1紘. 一8(8)一.
(9) 企業年次報告 にお ける環境 リス ク開示の発展(川 原) これ まで 見 て き た リス ク開 示 規 則 は,気 候 変 動 の 問 題 に関 す る リス クを 考 慮 した 場 合 に も適 用 され る こ とが,SECが2010年. に 公 表 した 「気 候 変 動 の 開示 に 関す る解 釈 指 針 」 の 文. 書 に お いて,明 瞭 に示 され て い る。 この 指 針 の 公 表 の 背 景 に は保 険 業 界 の 重 要 な 動 向 が あ る。 それ は,気 候 変 動 の 問 題 に関 連 した財 務 リス クを 重 要 な リス ク と して 保 険 業 界 が 認 識 した結 果,業 界 内で 統 一 の 気 候 変 動 問 題 の 開 示 基 準 を 設 定 した と い う経 緯 で あ る㈱。 ま た,こ の 指 針 で は,一 般 事 業 会 社 に お いて も,気 候 変 動 の 問 題 がSECの. 登録企業の. 財 務 リス ク に潜 在 的 な影 響 を及 ぼ す 点 を取 り上 げ て い る⑳。 す な わ ち,そ の 企 業 以 外 の 他 の 企 業 へ の 物 理 的 リス クか ら財 務 リス クが 生 じる可 能 性 を 重 視 して い る。 例 え ば,気 候 変 動 に関 連 した物 理 的 な 変 化,お. よ び不 動 産 が 海 岸 地 域 に あ る と い う危 険 要 因 に よ って,リ. ス クの あ る地 域 に位 置 す る企 業 に銀 行 が 貸 し付 けを 行 って い る場 合,そ の 銀 行 が 信 用 リス クの 要 求 を提 示 す る可 能 性 が あ る こ とを 指 針 で は説 明 して い る。 他 に も,こ の 指 針 で は, 干 ばつ や 洪 水 に よ って 悪 影 響 を 受 け る農 業 者 か ら農 産 品 を 購 入 す る よ うな,気 候 変 動 の 影 響 を受 け る供 給 者 に企 業 が 依 存 して い る可 能 性 を 例 と して 挙 げて い る。 さて,前 述 の 指 針 で は,気 候 変 動 問 題 に関 す る リス クを リス ク要 因 の 項 目で 開 示 が 可 能 で あ る こ と を 明示 して い る⑱ ① 。 こ の リス ク要 因 の項 目で 開 示 可 能 な 内 容 と して,法 ス ク を挙 げて い る㊤1)。 そ の 内 容 は具 体 的 には,ま. 規制 リ. ず,既 存 の あ る い は継 続 中 の,気 候 変 動. に関 連 す る法 規 制 につ いて の 開 示 を 要 請 す る もの で あ る。 その 気 候 変 動 の 法 規 制 の 結 果, 登 録 企 業 が 直 面 す る特 定 の リス クを 考 慮 す べ きで あ り,い か な る企 業 に も適 用 可 能 な 一 般 的 な リス ク要 因 を 開 示 す る こ とを 避 け るべ きで あ る と い う。 エ ネ ル ギ ー 分 野 の 登 録 企 業 の よ う に,と. りわ け,温 室 効 果 ガ ス法 規 制 の 影 響 を 受 けや す い登 録 企 業 は,交 通 分 野 の 登 録. 企 業 の よ うな,温 室 効 果 ガ スを 排 出す る製 品 に,現 在,依 拠 す る登 録 企 業 に比 較 す る と, 重 大 な 気 候 変 動 の 法 規 制 に よ る様 々な リス ク に直 面 す る可 能 性 が あ る と い う。 次 に,こ の 指 針 で は,気 候 変 動 につ いて の 法 的,技 術 的,政 治 的 お よ び科 学 の 発 展 に よ り,登 録 企 業 に新 たな 機 会 あ る い は リス クが 生 ず る可 能 性 が あ る こ とか ら,法 規 制 に よ る 間 接 的 な 影 響,あ. る い は事 業 の 動 向 に関 す る情 報 を,リ ス ク要 因 あ るい はMD&Aの. 項目. で 開 示 す る こ とを 求 めて い る働。 同様 に,こ の 指 針 で は,リ ス ク要 因 の 開 示 と して 考 慮 が 必 要 な,気 候 変 動 に起 因 す る潜 在 的 で 間 接 的 な リス クの 他 の 例 と して,登 録 企 業 の 評 判 に影 響 を 及 ぼ す リス クの 開 示 を 求 (2⑳SEC(2010),p.3. (291わ. 諾,P.7.. ⑤①1わ(乳,P.15. ㊤D1∂4.,p.22. ㊤2)1わ. 紘,p.25.. 9(9)一.
(10) 第60巻. 第1号. めて い る㈱。 す な わ ち,登 録 企 業 の 事 業 の 性 質,お. よ びそ の 企 業 の 世 論 の 影 響 の 受 けや す. さ に も よ るが,温 室 効 果 ガ ス排 出 に関 連 す る入 手 可 能 な 公 的 な 資 料 につ いて の 世 間 の 認 識 の た め に,評 判 失 墜 に起 因 す る事 業 あ る い は財 政 状 態 に潜 在 的 悪 影 響 を 及 ぼ す 危 険 に,登 録 企 業 が さ らされ て い るか ど うか を 考 慮 しな けれ ばな らな い可 能 性 が あ る と い う。 さ らに,気 候 変 動 の 物 理 的 リス ク につ いて,こ の 指 針 は,事 象 に関 連 した 激 しい天 候 あ る い は気 候 に弱 点 が あ る事 業 を 営 む 登 録 企 業 は,公 的 提 出が 義 務 付 け られ る開 示 書 類 にお いて,そ の よ うな 事 象 の 重 大 な リス ク,あ る い は事 象 に よ る結 果 の 開 示 を 検 討 す る よ う求 めて い る⑳。. 2EU地 EU地. 域 域 で は,所 定 の企 業 の年 次 報 告 に お い て環 境 に 関連 す る情 報 開示 をEU指. り要 請 して い る。EU理 施 行 とな っ たEU議. 令 によ. 事 会 の第4指 令 ㈲ お よ び第7指 令 ㊤ ③を 改 訂 し,2003年7月17日. 会 お よ び理 事 会 指 令 ㊨ の,い わ ゆ る 「現 代 化 指 令 鯛. は,EUで. に. 一 貫 して. 適 用 され る,財 務 報 告 の 透 明 性 と高 い品 質 に向 け た欧 州 の 方 針 を 明 示 して い る。 この 第4 指 令 お よび第7指 令 は,年 次 報 告 に お け る企 業 が 直 面 す る リス ク お よ び不 確 実性 の分 析 が, 事 業 の財 務 的側 面 に制 限 す べ きで は な い こ と を明 示 して い る㈱。 リス クお よ び不 確 実 性 の 分 析 は,必 要 に応 じて,環 境 お よ び従 業 員 の 問 題 につ いて の 情 報 を 含 む,個 連 した非 財 務 の 重 要 業 績 指 標(KPIs)を. 々の 事 業 に関. 含 む もの で あ る。 これ に よ り,企 業 は,環 境 問 題. が 企 業 の 事 業 業 績 に関 連 す るか 否 か を 判 断 しな けれ ばな らな い こ と にな る㈹。 前 述 のEU指. 令 は2005年 以 降 の財 務 報 告 の 「事 業 の概 況(BusinessReview)」. の部分. に お いて,企 業 の 発 展,業 績 ま た は状 況 を 理 解 す る た め に必 要 な 程 度 にお いて,非 財 務 情 報,環 境 お よ び社 会 のKPIsを. 含 む 記 載 を 要 請 して い る。 この 指 令 自体 に は,年 次 報 告 に. 含 まれ るべ き指 標 の種 類 に つ い て何 らの 要 求事 項 の 説 明 が な い ω。 そ こで,多. くの 加 盟 国. ⑤31わ'(乳,P.26. ㊤4)1わ'諾,P.27. ㈱. 第4理. 事 会 指 令 はtheFourthCouncilDirective78/660/EECof25July1978を. 鱒. 第7理. 事 会 指 令 はtheSeventhCouncilDirective83/349/EECof13June1983を. さす 。 さす 。. ⑳EC(2003),article1(14).2003年 の こ の 指 令(Directive2003/51/EC)は,1978年 の 指 令(Directive 78/660/EEC)の 第46条 で は 示 さ れ て い な か っ た 環 境 情 報 の 開 示 を 要 請 し て い る。 ㈱. 「現 代 化 指 令(the"ModernisationDirective",FEE(2008),p.1,)」 い う2003年 の 指 令(Directive2003/51/EC)は,欧 州 委 員 会(EC)の. は 通 称 で あ る。 こ こで ウ ェ ブ サ イ トで は 「会 計. 規 則 の 現 代 化 お よ び 最 新 化(Modernisationandupdatingofaccountingrules)」 い る(http://ec.europa.eu/internal _market/accounting/officialdocs_en.htm)。. と示 され て. ㊤9FEE(2008),p.1. q①1わ'(乳,P.8. ω. 年 次 報 告 と呼 ぶ 名 称 の 書 類 は国 の 制 度 に よ り正 式 名 称 お よび 要 求 され る記 載 事 項 が 異 な る。 制 度 開 示 書 類 と して,日. 本 で は 金 融 商 品 取 引 法 の も と で の 有 価 証 券 報 告 書 が 代 表 的 で あ り,ア. 一10(10)一. メ リ/.
(11) 企 業 年 次 報 告 にお け る環 境 リス ク開 示 の 発 展(川 原). で は,2009年11月. まで に この 指 令 を 採 用 し,政 府 主 導 で 関 連 指 針 を 企 業 に提 供 す べ く自国. の ス テ ー ク ホル ダー と協 議 して き た幽。 前 述 のEU指. 令 は,年 次 報 告 につ いて 主 に4つ の 内 容 を 要 請 して い る㈹。 まず,年 次 報. 告 は,企 業 が 直 面 す る主 な リス ク と不 確 実 性 の 記 述 と と も に,企 業 の 事 業 の 発 展 と業 績, お よ び企 業 の 状 況 につ いて の 公 正 な 概 説 を 少 な くと も含 む 。2つ 事 業 の 発 展 と業 績,お. 目 に,そ の 概 説 が 企 業 の. よ び企 業 の 状 況 につ いて の バ ラ ン スの とれ た,か つ 包 括 的 な 分 析 で. あ り,事 業 の 規 模 や 複 雑 さ と一 貫 して い る。3つ. 目 に,企 業 の 発 展,業 績 また は状 況 の 理. 解 の た め に必 要 な 程 度 で,そ の 分 析 が 財 務 のKPIsと,適. 切 な 場 合 に は,環 境 や 労 働 問 題. に関 連 す る情 報 を 含 む,特 定 の事 業 に 関連 す る非 財 務 のKPIsの. 両 指 標 を 含 む。4つ. 目に,. その 分 析 を提 供 す る際 に,年 次 報 告 は,適 切 な 場 合 に は,年 次 財 務 諸 表 で 報 告 され た 金 額 との 参 照,お. よ び追 加 的 な 説 明 を 含 む 。. 加 え て,EUの2004年. の透 明性 指 令 鱒 は公 開 企 業 に適 用 され るが,こ の 指 令 の 要 求 事 項. で,中 間 経 営 報 告 で,決 算 年 の 残 り6カ 月 間 の 主 要 な リス ク お よ び不 確 実 性 の 記 述 を 含 む よ う要 請 して い る㈲。. 3ド. イツ. ドイ ツ に は,前 述 のEUの. 要 求 事 項 が2005年 に課 され る以 前 に,ド イ ツ企 業 の 年 次 報 告. の 一 部 に あ る 「経 営 報 告 」 で の リス ク開 示 を要 請 す る制 度 が あ る。 年 次 の 「 経 営 報 告 」㈹ は,「 ドイ ツ商 法 典 」㊨ に お いて 有 限 責 任 会 社 に分 類 され る個 別 事 業 体,お. よ び企 業 グル ー. プ につ い て要 求 さ れ て い る⑱。 こ の 「経 営 報 告 」 は,事 業 体 の 予想 され る将 来 の 発 展 を, 事 業 体 の 重 要 な リス ク お よ び機 会 を 合 わ せ て 評 価 し,予 測 の 仮 定 を 開 示 す る こ とを 求 めて い る㈹。 さ らに,前 述 のEUで. 課 され る要 求 事 項 に追 加 的 な もの と して,企 業 グル ー プの 経 営 報. \ 力 合 衆 国 で は 証 券 取 引 法 お よ び 証 券 取 引 委 員 会(SEC)の 規 則 の も と で のForm10-KやForm 20-Fが 代 表 的 書 類 で あ り,英 国 で は 会 社 法15部(Part150ftheCompanyAct2006)の の 財 務 諸 表 お よ び 報 告 書(accountsandreports)が. の 企 業 報 告 書 を ア ニ ュ ア ル レ ポ ー ト と 通 称 し て い る が,イ. ギ リス で は 法 定 書 類 で あ る 。. 働Wensen,Katelijnevan,6'α1.(2011),pp.51-52. ㈱EU(2003),Directive2003/51/EC,Article1(14). 幽EU(2004),Directive2004/109/EC. ㈲. 乃'諾,Article5(4).. ㈹ManagementReport(Lagebericht). ㈲TheGermanCommercialCode(Handelsgesetzbuch:HGB),article289(1)and315(1). ㈹Dobler(2005),p.1191. (491わ1紘,p.1193. -11(11)一. も とで. あ る 。 日 本 や ア メ リカ 合 衆 国 で は 任 意 開 示.
(12) 第60巻 告 に つ い て は,ド. 第1号. イ ツ 会 計 基 準 審 議 会 ⑳ に よ り設 定 さ れ た ドイ ツ 会 計 基 準 第15基 準. 報 告 」6Dに よ っ て 報 告 要 求 事 項 が 特 定 さ れ て い る 。 そ し て,こ さ れ,ド. イ ツ 会 計 基 準 第5基. 分 を な す リ ス ク 報 告 は,1998年 盟 国 で は2005年. 準. の 基 準 の 内 容 は2001年. 「経 営 に拡 大. 「リ ス ク 報 告 」励 と な っ た 。 す な わ ち,「 経 営 報 告 」 の 一 部 以 来,ド. イ ツ で 制 度 化 さ れ 明 示 的 に 要 求 さ れ た が,EU加. に 同 様 の 要 求 事 項 が 導 入 さ れ た こ と に 鑑 み,国. 際 的 に先 導 的 な 開 示 制 度 で. あ る と評 価 され る暁 前 述 の 第5基. 準 は リ ス ク 開 示 の 内 容 と 様 式 を 特 定 して お り,今. 後,リ. ス ク報 告 が 国 際 的. に 基 準 化 さ れ る 際 の 先 進 的 な 役 割 を 果 た して い る 励。 こ の 基 準 に お い て リス ク は 「将 来 の 財 政 状 態 に マ イ ナ ス の 影 響 を 及 ぼ す 可 能 性 」 と 限 定 的 に 解 釈 さ れ て お り,機 不 確 実 性 と い う 面 は 含 ま れ な い ㈲。 ま た,同. 第5基. 会 につ いて の. 準 の 第10項 お よ び20項 は,銀. 行お よび. 保 険 会 社 の リ ス ク 報 告 を そ れ ぞ れ 扱 っ て い る6㊧。 ドイ ツ 投 資 専 門 家 協 会(DeutscheVereinigungfUrFinanzanalyseundAsset Management:DVFA)が2010年 統 治 問 題KPIs財 ESG情. に 公 表 し た 「ESGの. 務 分 析 と企 業 評 価 にESGを. た め のKPIs一. 報 の 開 示 箇 所 は,前. ツ 会 計 基 準 第15基 準 の も と で 要 請 さ れ る 年 次 報 告 の う ち のMD&Aの. 首 尾 一 貫 性 の 観 点 でESG情 資 家 はESG情. 4イ. 報 は 監 査 人 の 読 む 対 象 と な る こ と か ら,そ. 報 を 価 値 あ る 情 報 と 考 え る とDVFAは. よび. 次報告 に 述 の ドイ. 記載箇所で あること. 次 報 告 の 監 査 人 の 監 査 プ ロ セ ス に お い て,財. 務 諸 表 との. の こ とを も って 投. 指 摘 し て い る 働。. ギ リス. イ ギ リ ス 会 計 基 準 審 議 会(AccountingStandardsBoard:ASB)⑬. に よ っ て1993年. 表 さ れ た 「事 業 お よ び 財 務 の 概 説(OperatingandFinancialReview:OFR)」69に る 自 主 的 な 企 業 の リ ス ク 情 報 開 示 の 枠 組 み は,リ. ス ク報 告 の 改 善 に向 けた 制 度 の 議 論 の 萌. 6DTheGermanAccountingStandardNo.15"ManagementReporting(Konzernlagebericht)". 勧TheGermanAccountingStandardNo.5"RiskReporting". ㈹Dobler(2005),p.1191. (54)1わ'諾,p.1192. 砺 諾. ㈲ICAEW(2011),p.48. (5のDVFA(2010),p.13. ㈹ASBは2012年. に 民 間 組 織 の 財 務 報 告 審 議 会(FRC)に. (59ASB(1993).. -12(12)一. に公 お け. 6①TheGermanAccountingStandardsBoard(DeutscherStandardisierungsrat).. ㈲. 会,お. 統 合 す る た め の 指 針 」 で は,年. 報 を 開 示 す る こ と を 推 奨 し て い る 。 望 ま し いESG情. を 明 示 して い る 。 こ れ に よ り,年. 環 境,社. そ の 業 務 を 移 管. し て い る 。.
(13) 企業年次報告 にお ける環境 リス ク開示の発展(川 原) 芽 と して 評 価 され る㈹。ASBの. この 文 書 は強 制 的 で はな いが 最 善 実 務 につ いて の 声 明 書 で. あ る。 その 後,広 範 囲 に改 訂 を 続 けて い る。1993年 のASBの 企 業 に,事 業 業 績. 声 明 書 は,イ ギ リスの 上 場. お よ び その 結 果 お よ び財 政 状 態 の 基 礎 とな る要 素 につ いて 討 議 お よ び. 分 析 をす る た めのOFRを,企. 業 の年 次 報 告 の 中 に含 む よ う推 奨 して い る。 当初,OFR. は過 去 の 情 報 で あ る前 年 の 業 績 報 告 につ いて の 討 議 で あ る と考 え られ て いた が,ア 合 衆 国 のMD&Aと. 同様 に,財 務 諸 表 の利 用 者 が,将 来 の 業 績 を 予 測 す るた めの 基 礎 と し. て,前 年 の結 果 を どの 程度 利用 で き るの か を判 断 で き る こ とがOFRの 結 局,OFRと. メ リカ. 中心 の 目的 とさ れ,. は,第 一 義 的 に将 来 を考 え た 開示 の枠 組 み と考 え られ て い る。OFRの. の 特 徴 の 一 つ は,将 来 の 事 業 に影 響 を 及 ぼす と予 想 され る,既 知 の 事 象,傾 向,お 確 実 性 に関 して 討 議 す べ き こ と に あ る と,前 述 のASBの. 必須 よ び不. 声 明 書 は明 示 して い る。 声 明 書. の 詳 細 な 指 針 に よれ ば,将 来 の 結 果 に主 な 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 の あ る主 な 要 因 お よ び影 響 が 報 告 対 象 期 間 で 重要 で あ った か ど うか にか か わ らず,そ れ らを討 議 す べ き と い う。ま た, この 指 針 で は,討 議 に は,主 要 事 業 に お け る主 要 な リス クを 管 理 す る方 法,お. よ び質 的 な. 点 に お いて 結 果 に潜 在 的 に及 ぼす 影 響 の 性 質 に関 す る論 評 と と も に,リ ス クお よ び不 確 実 性 を特 定 す る討 議 を 含 む こ と にな る と い う。 そ して,ASBの. 声 明 書 で 示 され た 討 議 内容. の 例 に は,環 境 保 全 コ ス トお よ び潜 在 的 な 環 境 負 債 に関 す る記 述 が 含 まれ て お り,こ れ ら の 内容 の 開 示 を重 視 して い る こ とが 伺 え る。 2003年 にOFRが. 改 訂 され た際,リ. ス ク お よ び不 確 実 性 の 開 示 につ いて の 重 要 な 変 更 は. 見 られ な か っ た。 しか し,2006年. にOFRが. 大 幅 に改 訂 され,企 業 が 直 面 す る主 要 な リス ク と不 確 実 性 に. 対 す る取締 役 の取 り組 み つ いて の 概説 と合 わせ て,リ ス クの記 述 を含 む こ とが推 奨 され た。 OFRの. 報 告 声 明書 は,本 文(1-24頁)の. るか に関 す る実 務 指 針 が,KPIsを のOFRは,当. 初,前 述 のEU指. 後 に,OFRの. 推 奨 す る 内容 を どの よ う に準 拠 す. 含 む 事 例 と と もに提 供 され て い る(25-61頁)。2006年 令 の 「事 業 の概 説(BusinessReview)」. の実施の要求. 事 項 と して 作 成 され たが,政 府 は上 場 企 業 へ の 強 制 適 用 の 制 度 化 を2005年 に見 送 り,任 意 適 用 と され た㈹。 しか し,前 述 のEU指 前 述 の2006年 のOFRの. 令 を 反 映 し続 けて い る もの と解 釈 され て い る勧。. 後 半 部 分 の 実 務 指 針 で は,労 働. 6①ICAEW(2011),p.53. 6Dhttp://www.frc.org.uk/Our-Work/Codes-Standards/Accounting-and-Reporting-Policy/ Reporting-statements/Operating-and-financia1-review.aspx. ㈹ICAEW(2011),p.53.. -13(13)一. 地 域 社 会 の 問 題 と 同様 に,環.
(14) 第60巻 境 問 題 の 開 示 につ いて,具. 第1号. 体 的 に説 明 され て い る㈹。 まず,環. 境 リス クお よ び不 確 実 性 が. 企 業 の 将 来 の 事 業 に影 響 す るの で,下 記 の よ う に,こ の 情 報 が 投 資 家 の 意 思 決 定 等 にお い て 重 要 で あ る と明 示 され て い る㈹。. 浴2Z総 方 よ び爾. と クわ ゲ競. グズ ク 方 よ び不 礁. の方 針 〆 ご影 響 あ 受ぽ ず 可廃二 盤が あ るの で. の影 響 を及 ぼ ず6エ ネノ〃ヂ'一鰭. β獺. 辺〒 の美籟 ζ 〆 ご影 響 ず るか る 乙力 な ひ,環 鞭 画/ご美)旋 ずカ ぱ塗 業 の 長鮒 チ ェ ー ン方 よ び製揚 へ の縣 こ と〆 ごガ 乙乙 の た め の励. ま た,2006年. 源. 雌 ぱ雌. 家 の、 煮 醒戻 焔. あ るρ ぱ鹸. 勿 の不 デ分 な 鯉. 鷹. 直. 勘 ∫漂 々仁 重オ 〆 ごな クぞ ラな場 含,謙. 方 よ び礫. 遵 勿 な注 斎 を 払 ラご と属. 着∼. ずべ τの塗 業 〆 ごお`)τ あ る叢. な 舶 ξ〆 ご右 の τ グズ ク と な るか6乙 影頚. 灘. 礫. 力な 砺. 計. サ プ ライ. が 行 ラ勇業 〆 ごつひ τの甜 樹 を遵 守 ず る の 挺 会磁 評 脅 の た め,薯 業 を 営 む兜 誹. 〆 ご右 の τ重 要 であ る。. のOFRの. 実 務 指 針 は,水 使 用,エ ネ ル ギ ー 使 用,廃 棄 物,気 候 変 動(地. 球 温 暖 化 へ の寄 与 と排 出管 理 を含 む),お. よ びオ ゾ ン層 の破 壊 と い う環 境 問題 の 開 示 項 目. を明 瞭 に掲 げて い る。 加 え て,環 境 に重 大 な 影 響 の あ る産 業 分 野 に属 す る企 業 につ いて, 重 要 な 環 境 リス ク に対 処 す る た めの 目標 の 設 定,お. よ び戦 略 の 適 用 が 重 要 で あ る と指 摘 し. て い る㈹。 そ の説 明 の た め に,原 油 流 出,二 酸 化 炭 素 排 出,お. よ び廃 棄 物 につ いて の 開 示. 例 を詳 し く示 して い る。 ま た,環 境 リス クの 管 理 が 企 業 の 評 判 に影 響 を 及 ぼ す 場 合 に も, 情 報 開 示 を推 奨 して い る。 と こ ろで,前 述 の と お り,ド イ ツ に はEUに. よ って 課 され る要 求 事 項 に加 え て,ド. 会 計 基 準 に よ る リス ク報 告 の 制 度 が あ る よ う に,イ ギ リス に お いて も,EU指. イツ. 令 に対 して. 付 加 的 な 要 求 事 項 と も いえ る,「 イ ギ リス企 業 統 治 規 範 」㈹ に お け る リス ク報 告 に関 す る規 定 が あ る。「イ ギ リス企 業統 治 規 範」 は,イ ギ リス の財 務 報 告 審 議 会(FinancialReporting Council:FRC)に. よ っ て公 表 さ れ た上 場 企 業 に適 用 さ れ る規 範 で あ り,取 締 役 会 の リス ク. 管 理 を明 示 して い る。 そ の 主 な 内 容 に は 以 下 の もの が あ る㈹。 ま ず,取 締 役 会 は,企 業 の 戦 略 的 目標 を達 成 す る 際 に あ え て取 る重 要 な リス ク の性 質 や 範 囲 を 決 定 す る責 任 が あ る. ㈹ASB(2006),pp.41-45. ㈹1わ. 泓,pp.41-42,IG21.. 6励1わ'(乳,P.42. (6③FRC(2012a). ㈲ICAEW(2011),p.48.. 一14(14)一.
(15) 企業年次報告 にお ける環境 リス ク開示の発展(川 原) (C.2項)。 取 締 役 会 は リス ク管 理 と内部 統 制 シス テ ム を維 持 しな け れ ば な らな い(C.2項)。 取 締役 会 は,少 な く と も年 に一 度 は,リ ス ク管 理 お よ び 内部 管理 シス テ ムの 効果 を レビ ュー し,そ の 実 施 につ いて 株 主 へ 報 告 す べ きで あ る(C.2.1項)。 これ らの リス ク管 理 等 の レ ビ ュー に関 す る要 求 事 項 は,FRCが2005年. に公 表 した 「内部. 管 理:統 合 規 範 に関 す る取 締 役 の た め の改 訂 指 針 」㈹の 指 針 にお いて,既 に 明示 され て いた もの で あ る㈹。 この 指 針 は以 下 に述 べ る主 な4つ の 要 求 事 項 を示 して い る。 まず,企. 業の. リス ク管 理 プ ロセ ス お よ び 内部 管 理 シ ス テ ムの 主 な 特 徴 につ いて,株 主 の 理 解 を 促 進 す る た め に必 要 で あ る と取 締 役 が 考 え る時 に は,意 味 の あ る,高. レベ ル の 情 報 を 年 次 報 告 お よ. び財 務 諸 表 に含 まな けれ ばな らな い し,ま た誤 解 を 招 く印 象 を 与 え て はな らな い(33項)。 2つ 目に,「 イ ギ リス企 業 統 治 規 範」 の 第2原 則 を どの よ うに 適 用 した か を企 業 が 解 説 す る声 明 書 の 中で,取 締 役 会 は,最 低 で も,企 業 が 直 面 す る重 要 な リス クの 特 定,評 価, お よ び管 理 の た めの 継 続 中の プ ロセ スが あ る こ とを 開 示 しな けれ ばな らな い。 そ の プ ロセ ス は,レ. ビュ ーの 対 象 年 度,お. よ び年 度 報 告 と財 務 諸 表 の 承 認 日 まで に存 在 す る プ ロセ ス. を い う(34項)。 3つ 目 に,こ の 第2原 則 の 適 用 に関 連 した開 示 は,企 業 の 内部 統 制 シ ス テ ム,お よ びそ の 効 果 の レ ビュー に関 す る責 務 に あ る取 締 役 会 に よ る確 認 書 を 含 まな けれ ばな らな い。 そ の 確 認 書 は,内 部 統 制 シ ス テ ムが 事 業 目的 の 達 成 に失 敗 す る リス クを 低 減 す る よ りもむ し ろ管 理 す る た め に企 画 され て お り,ま た,重 要 な 虚 偽 記 載 あ る い は損 失 に対 して,合 理 的 な 保 証 を提 供 す るだ けで,絶 対 的 保 証 を 提 供 す る もの で はな い こ と も説 明 しな けれ ばな ら な い(35項)。 4つ 目 に,「 イ ギ リス企 業 統 治 規 範 」 のC.2.1項 に関 連 して,取 締 役 会 は,内 部 統 制 シ ス テ ムの 効 果 を レ ビ ュー す る際 に適 用 さ れ た プ ロ セ スを(必 要 な場 合,そ の委 員 会 を通 して) 要 約 しな けれ ばな らず,そ. して,レ. ビュー で 特 定 した重 要 な 失 敗 あ る い は弱 点 を 改 善 す る. た め に必 要 とな る行 動 を これ まで と って き た,あ る い は,現 在,そ の 行 動 を と って い る こ と を確 認 しな けれ ばな らな い。 取 締 役 会 は,年 次 報 告 お よ び財 務 諸 表 にお いて 開 示 した 重 要 な 問 題 に関 す る重 要 な 内部 統 制 の 側 面 を 取 り扱 う た め に適 用 して い る プ ロセ ス も また 開 示 しな けれ ばな らな い(35項)。 と こ ろで,イ ギ リスの 上 場 企 業 は,イ ギ リスの 金 融 行 為 監 督 機 構(FinancialConduct Authority:FCA)㈲. の 「上 場 企 業 の た め の 開示 規 則 お よ び透 明性 規 則 」 の 中 で,「 経 営 者. ㈹ FRC(2005). ⑲ ICAEW(2011),p.49. れ ま で の 金 融 サ ー ビ ス 機 構(FSA)が2013年 σ ① FCAは,そ -15(15)一. に 分 割 さ れ た こ と に よ り,FSAの. 消/.
(16) 第60巻 報 告(adirectors'report)」 statement)」. 第1号. に 含 め る べ き 「企 業 統 治 声 明 書(acorporategovernance. に お い て,財. 務 報 告 に関 連 す る企 業 の 内部 統 制 お よ び リス ク管 理 シ ス テ ムの. 主 な 特 徴 の 記 述 を 含 め る よ う 要 請 さ れ て い る σ1)。 こ の 規 則 に は 前 述 のEUの a(1)(c)が 注 記 さ れ,そ. の 関 連 性 が 示 さ れ て い る 。 よ っ て,上. リ ス 企 業 統 治 規 範 」 お よ びFCAの 方 で,一. 場 企 業 の 場 合,前. 令46項. 述の. 「イ ギ. 「上 場 企 業 の た め の 開 示 規 則 お よ び 透 明 性 規 則 」 の 両. つ の 内 部 統 制 声 明 書 に 関 して 同 様 の 内 容 の 開 示 が 求 め ら れ て い る こ と に な る⑫。. 企 業 の リ ス ク 開 示 情 報 の 利 用 者 で あ る 機 関 投 資 家 等 が,リ. ス ク 情 報 に 対 して 受 託 責 任 の. 範 囲 で 関 心 の 高 さ を 示 す こ と が 重 要 で あ る 。 こ の 受 託 責 任 の 範 囲 で,投 ク 監 視 等 を 義 務 付 け た 規 範 が,前 の 規 範 は,前 ン,お. 第4指. 述の. 述 のFRCに. 資 家 に企 業 の リス. よ る 「イ ギ リス 受 託 責 任 規 範 」⑬ で あ る 。 こ. 「イ ギ リ ス 企 業 統 治 規 範 」 と は 別 に,上. 場 企 業 に よ る コ ミュニ ケ ー シ ョ. よ び 企 業 と 投 資 家 と の 間 の 関 与 の 品 質 を 改 善 す る た め に,FRCが2010年7月. 発 し公 表 し た も の で あ る ㈲。 こ の 規 範 は2012年 責 任 と そ の 規 範 に 関 す る7原. に 改 訂 さ れ た が,そ. 則 が 明 示 さ れ て い る 。 そ の 第4原. に開. の中で投資家等の受託. 則 にお いて 投 資 家 の 重 要 な. 受 託 責 任 は 企 業 の リ ス ク に つ い て の 監 視 お よ び 関 与 で あ る と 明 示 さ れ る こ と に よ り,そ. れ. らが 要 請 さ れ て い る ㈲。 前 述 のFRCお. よ びFCAに. の ア プ ロ ー チ と も い え る,温. お け る企 業 統 治 に関 す る開 示 の 面 か らの リス ク開 示 と は別 室 効 果 ガ ス 排 出(GHGs)報. 告 が あ る。 こ れ は,2013年4月. 施 行 の 「2008年 気 候 変 動 法 」 お よ び 「2006年 会 社 法 」㈹ に よ る 制 度 上 の 開 示 要 請 で あ る 。 こ れ に よ り,ロ. ン ド ン証 券 取 引 所 の 所 定 の 上 場 企 業 は,そ. の 「経 営 者 報 告 」 に お い て,GHGs. を 報 告 す る よ う 義 務 付 け られ て い る 。 こ の 報 告 に あ た り,イ. ギ リ ス の 環 境,食. 料,お. vironment,FoodandRuralAffairs:Defra)が す る 指 針 は,イ も と よ り,小. よ び 農 村 地 域 省(DepartmentforEn提 供 す るGHGsの. 測 定 お よ び報 告 に関. ギ リ ス 企 業 に 幅 広 く適 用 可 能 で あ る 。 制 度 上 の 報 告 義 務 の あ る 上 場 企 業 は. 規 模 企 業,あ. る い は 公 的 分 野 の 組 織 も 対 象 と して い る 。 ま た,こ. 前 述 の 年 次 報 告 の 中 の 「事 業 の 概 説 」 で,環. 境 問 題 を 報 告 す る こ と を ふ ま え,そ. の指針で は れ にGHGs. \費 者 保 護 お よ び 市 場 規 制 に 関 す る 業 務 を 引 き 継 い だ 新 た な 組 織 で あ る 。 ⑳FCA(2013),TheDisclosureRulesandTransparencyRules,7。2.5.こ 則 あ る い は 法 令 で 用 い るshallあ 語 が 使 わ れ て お り,義. る い はshouldで. こで の 英 語 表 現 は規 は な く,必. 然 性 ま た は 強 制 を 表 すmustの. 務 を 表 す 点 で は 強 く命 令 的 で あ る 。. ⑫ICAEW(2011),p.49. ㈹TheUKStewardshipCode. ㈹Wensen,Katelijnevan,6'α1.(2011),P.62. ㈲FRC(2012),p.1,Article4. ㈹TheClimateChangeAct2008,Section85,お. よ びtheCompaniesAct2006,Section416. (4). -16(16)一. 単.
(17) 企業年次報告 にお ける環境 リス ク開示の発展(川 原) の 資 料 お よ び その 補 助 説 明 を 加 え る こ とを 推 奨 して い る⑰。GHGs資. 料 の 正 確 性 と網 羅 性. を担 保 す る検 証,す な わ ち第 三 者 に よ る保 証 は,こ の 指 針 で は強 制 して いな い。 た だ し, 年 次 報 告 お よ び財 務 諸 表 で 報 告 され た環 境 問 題 の 情 報 に関 して 監 査 が 要 求 され る企 業 の 場 合 に は,GHGs資. 料 が 財 務 諸 表 と首 尾 一 貫 して い るか ど うか を 外 部 監 査 人 が 評 価 す るた め. に読 まれ る情 報 にな る⑱。 す な わ ち,年 次 報 告 で 開 示 され るGHGs資. 料 は,投 資 家 の 誤 解. を与 え な い よ う,公 認 会 計 士 等 が 年 次 報 告 の 監 査 の 際 に見 る こ とが 想 定 され て い る。. 5フ. ランス. フ ラ ンス で は,企 業 の統 合 報 告 を制 度 と して 求 め る 「グル ネル 第 二 法 」 第225条 ⑲ が あ る。 パ リの グル ネ ル で2007年 に開 催 され た環 境 懇 談 会 の 「環 境 グル ネ ル 」 で の 約 束 を 受 け て,総 合 的 な環 境 対 策 の基 本 法 に位 置 づ け られ る 「グル ネ ル 第 一 法 」が2009年 に制 定 さ れ, その 具 体 的 適 用 を 定 め た実 施 法 に位 置 づ け られ る 「グル ネ ル 第 二 法 」 が2010年7月. に制 定. され た。 この 「グル ネ ル 第 二 法 」 に よ り,年 次 財 務 お よ び経 営 報 告 の 中で,社 会 お よ び環 境 情 報 と い う非 財 務 情 報 を 財 務 情 報 と統 合 的 に報 告 す る よ う求 め られ て い る。 これ らの 非 財 務 情 報 に対 して,第 三 者 に よ る検 証 また は保 証 が 要 請 さ れ て い る。 た だ し,「 グル ネ ル 第 二 法 」 を非 遵 守 した場 合 の 罰 則 規 定 はな く,株 主 の 訴 訟 判 断 に任 され て い る。 前 述 の 「グル ネ ル 第 二 法 」 は,所 定 の 企 業 経 営 者 に持 続 可 能 性 へ の コ ミ ッ トメ ン トを 明 瞭 に求 め て い る。 「グル ネ ル 第 二 法 」 の 制 定 まで,2001年. の 「新 経 済 規 制 法 」 の第116条 ⑱ ①. が,公 開 企 業 の 年 次 報 告 に お いて,社 会 お よ び環 境 に関 す る事 業 活 動 の 結 果 につ いて の 情 報 を開 示 す る よ う要 請 して い た 。 そ して,「 グル ネ ル第 二 法 」 で は,統 合 報 告 の透 明 性 と 信 頼 性 を求 めて,公 認 会 計 士 等 に よ る報 告 プ ロセ ス に対 す る第 三 者 検 証 あ る い は保 証 を 義 務 付 けて い る。 その 他,非 財 務 報 告 を 財 務 報 告 と 同 じ時 期 に作 成 す る よ う求 めて い る。 さ らに,持 続 可 能 な 発 展 へ の コ ミ ッ トメ ン トを 経 営 者 が 表 明 し署 名 す る よ う求 めて い る。 前 述 の 「グル ネ ル 第 二 法 」 の 対 象 範 囲 は幅 広 い。 フ ラ ンス国 内上 場 企 業 に と ど ま らず, フ ラ ンス で上 場 す る外 国 企 業 子 会 社,フ 万 ユ ー ロ以 上,お. ラ ンス所 在 の 外 国 企 業 非 上 場 子 会 社,売. 上 高100. よ び ま た は従 業 員500人 以 上 の フ ラ ン ス企 業 も該 当 す るな ど,か な り幅. 広 い。 この 規 則 は,ま ず 上 場 企 業 に2012年 事 業 年 度 か ら適 用 され て い る。. ⑰Defra(2009),p.25. (7⑳1わ'諾,p.28. ⑲TheGrenelleIIAct,Article225. 侶①TheNewEconomicRegulationsAct(1aloisurlesnouvellesr6gulations6conomiques) (NRE),Article116.. -17(17)一.
(18) 第60巻. 第1号. こ こで 先 進 的 な 他 国 の 規 制 の 状 況 と比 較 す る と,ブ ラ ジル の ボベ スバ 証 券 市 場侶Dは自 ら 統 合 報 告 書 を公 表 して お り,そ の 市 場 に上 場 す る企 業 に対 して 環 境,社 会,お. よ び統 治 の. 問 題 に関 す る報 告 を 改 善 す る こ とを 促 進 して い る。 ま た,南 ア フ リカ共 和 国 で は,統 合 報 告 に 「報 告 せ よ,さ もな けれ ば説 明 せ よ」 の ア プ ロー チを 採 用 し,ヨ ハ ネ ス ブル グ証 券 取 引 所 の 上 場 企 業 に適 用 して い る。 さ らに,デ ン マー クの 法 規 制 で は,統 合 報 告 を 制 度 上 強 制 して お り,監 査 人 に よ る検 証 を2010年 の 事 業 年 度 か ら採 用 し,大 企 業1,100社 に導 入 して い る。 これ らに比 較 して も,前 述 の 「グル ネ ル 第 二 法 」 は先 進 的 な 統 合 報 告 の 法 規 制 と い え る。 さて,前 述 の 「グル ネ ル 第 二 法 」 に よ り報 告 が 要 請 され る 内容 は,ま ず,年 次 報 告 で の 公 表(制 度 書 類 あ る い は取 締 役 会 の 経 営 報 告)で の デ ク レ鋤 に列 挙 され た 社 会,環 境,お よ び統 治 の 情 報,お. よ び除 外 した情 報 に関 して その 情 報 が 関 連 性 が な い と考 え た 理 由の2. つ で あ る。 ま た,独 立 の 第 三 者 に よ って,資 料 を 検 証 す る こ とが 要 請 され て お り,そ の 者 は,年 次 報 告 で 要 請 され た情 報 の 存 在(網 羅 性)お の 公 正 性,お. よ び除 外 した 情 報 の 正 当 性,公 表 資 料. よ び資 料 を 検 証 す る た め に実 施 した評 価 手 続 き につ いて の 意 見 を 含 む 証 明 を. 表 明 す る こ とが 明 示 され て い る。 そ して,前. 述 の 「グ ル ネ ル 第 二 法 」 は,持. SocialResponsibility:CSR)報 ブの 指 標 とISO26000基. 続 可 能 性 お よ び企 業 社 会 責 任(Corporate. 告 に 関 す る2つ の 国 際 的基 準 と され るGRIイ. 準 ㈹ を 基 礎 と して お り,環 境,社 会,お. ニ シアティ. よ び統 治 の3分 野 を 含 む. こ と を要 請 して い る。 ま た,上 場 企 業 に は,13指 標 の 開 示 を 追 加 して 要 請 して い る。 最 後 に,前 述 の 「グル ネ ル 第 二 法 」 は,環 境 リス ク に関 す る財 務 引 当 金 の 開 示 と土 地 利 用 につ いて の 開 示 を 上 場 企 業 に特 に求 めて い る。 その 他 の 環 境 方 針,汚 染 お よ び廃 棄 物 管 理,持 続 可 能 な 資 源 利 用,気 候 変 動,お. よ び生 物 多 様 性 保 護 につ いて の 内容 は,対 象 企 業. す べ て に開 示 す る よ う に求 めて い る。 例 え ば,環 境 保 護 お よ び環 境 リス クの 低 減 の た めの 予 算 につ いて の 開 示 が 挙 げ られ て い る。. 6国. 際決済銀行のバーゼル銀行監督委員会. 銀 行 業 を営 む 企 業 の リス ク報 告 の 開 示 規 定 に は,国 際 決 済 銀 行 の バ ー ゼ ル 銀 行 監 督 委 員 ⑱DBM&FBOVESPA. 働. デ ク レ は 一 般 に,政 令,省 令 お よ び 命 令 な ど 行 政 機 関 の 文 書 に よ る 命 令 を 指 し,フ は法 律 の 強 制 力 を 有 す る立 法 府 あ る いは 主 権 者 の 所 定 の 行 為 を 指 す 。. ㈱ISO26000は,国 際 標 準 化 機 構(lnternationalOrganizationforStandardization)が, 2010年 に 公 表 した,組 織 の 「社 会 的 責 任 に 関 す る 指 針(ISOstandard26000)」 は,約100力. 国 に わ た る 公 的,民. を 得 た も の で,組. 間,お. ラ ンス 法 で. を 指 す 。ISO26000. よ び 非 営 利 組 織 セ ク タ ー に所 属 す る様 々 な参 加 者 の 妥 協. 織 の 社 会 的 責 任 を ど う考 え るべ きか と い う見 方 に関 す る指 針 で あ る。. 一18(18)一.
(19) 企 業 年 次 報 告 にお け る環 境 リス ク開 示 の 発 展(川 原) 会 に よ る銀 行 の 国 際 的 規 制 の た め の 最 低 限 の 基 準 と して 設 定 さ れ た2004年 が あ る 。 こ の 法 に は,最. 低 自 己 資 本 比 率 規 制,銀. つ の 支 柱 が あ る 。 第3支. 柱 で あ る 市 場 規 律 に 関 す る 規 則 は,リ. 銀 行 に 要 求 して い る 。 第3支. 柱 は,銀. 行 監 督 当 局 の 検 証,お. 「バ ー ゼ ルH法 よ び 市 場 規 律 の3. ス ク に焦 点 を 絞 った 開 示 を. 行 の 情 報 開 示 の 透 明 性 を 高 め る こ と に よ り健 全 な 経. 営 を 促 す 市 場 規 律 を 強 化 す る こ と が 意 図 さ れ て い る 。 第3支. 柱 で は,銀. 行 が 自 らの 自己 資. 本 充 実 度 を よ り明 確 に 示 す た め に 必 要 な 情 報 開 示 の 内 容 が 示 さ れ て い る 。 しか し,バ ル1工の 開 示 内 容 が 財 務 諸 表 の 部 分 を 必 ず し も 構 成 す る も の で な い こ と か ら,ほ 州 の 銀 行 は2008年. 」. ーゼ. とん どの 欧. の 金 融 危 機 ま で こ の 規 則 に 準 拠 して い な か っ た と 見 ら れ て い る 。 香 港 上. 海 銀 行(theHongkongandShanghaiBankingCorporationLimited:HSBC)を い くつ か の 銀 行 は,財. 務 報 告 の 開 示 内 容 と 重 複 しな が ら も,バ. 含む ー ゼ ルHの. 第3支. 柱 に関 し. て 別 の ス テ ー トメ ン トを 公 表 して い る 鴎。 HSBCは,バ. ー ゼ ルHの. マ ー ケ ッ ト リス ク に 関 す る部 分 を 修 正 し た2006年. 「EU適. 正資. 本 指 令 」㈹ の も と,イ. ギ リ ス の 金 融 サ ー ビ ス 機 構(FinancialServicesAuthority:FSA). が 設 定 し た 「銀 行,住. 宅 金 融 組 合 お よ び 投 資 業 者 の た め の 安 全 規 則 」㈲ に お け る 規 制 に 準 拠. す べ く 「資 本 お よ び リ ス ク 管 理. 第3支. 柱 開 示 」 の 報 告 書 を 公 表 して い る㈱。HSBCは. の 報 告 書 で リ ス ク を 自 己 資 本 を 経 由 す る リス ク と経 由 しな い リス ク の2つ. こ. の タ イ プ に 分 け,. 後 者 の タ イ プ に 持 続 可 能 性 リ ス ク を 含 め て い る 。 そ して 持 続 可 能 性 リ ス ク の 性 質 を 以 下 の よ う に 説 明 して い る ㈹。. 薙髭 鴨. 盤 グズ ク. 嫉髭聯. 盤 グズ ク ぱ,寿 瀦1務. な醗. 〆 ご必 要 な るの とぱ戴 プの 方遊〃ご句 か ラ礫. プ 々 ジ ェク 〃 ご」 会翻 サ ー どズ を擢 μ ず る ご と〆 ごよ ク塗0る 。 ラζ際 〆 ご賦 競. み よ び置 会 〆 ごガ ず る課. 諺 淫 グズ ク ぱ,醐. 費添 β労 を 贋 ラ6の で1そ の舅 珍,あ. ず る グズ ク 〆 ごぽ 必須 の紛. 「資 本 お よ び リス ク管 理. ごの グズ ク ぱ. 鶴 益よ ク重 要 遅が ま さ る募 否 〆 ご塗0る 。 薙 髭 可. グズ ク での経 渤. 客 み よ ひ産 業 へ の貸 がL〆 ご購. HSBCは. か窟渤. や. る種 の願. とな つ τの る。. 第3支 柱 開 示 」 の 報 告 書 と年 次 報 告 お よ び財 務 諸 表. ㈹ICAEW(2011),p.49. ㈲TheDirectiveoftheEuropeanParliamentandtheCouncilof14June200620ncapital adequacyofinvestmentfirmsandcreditinstitutions(No,2006/9/2EC). ⑱③ThePrudentialSourcebookforBanks,BuildingSocietiesandInvestmentFirms,Chapter11. 侶のHSBC(2013a)。 (8⑳1わ1紘,P.75.. -19(19)一.
(20) 第60巻. 第1号. を 参 照 で き る よ う に 関 連 す る 頁 を 明 示 して い る ㈹。 持 続 可 能 性 リ ス ク の 説 明 に つ い て み る と,ほ. ぼ 同 様 の 文 言 に よ る 説 明 が 見 られ る ⑲ ①。. HSBCは,自 リ ス ク,コ. 社 の リ ス ク を,流. 動 性 お よ び 資 金 リ ス ク,年. ン プ ラ イ ア ン ス リ ス ク,持. 続 可 能 性 リ ス ク,お. プ ロ フ ァ イ ル に 並 べ て 表 示 して い る ⑤1)。 ま た,リ ス ク の 性 質 は,企. 金 リ ス ク,信. 用 リ ス ク,評. 判. よ び保 険 リス ク と と も に リス ク. ス ク 管 理 の 項 目 に お い て,持. 続可能性 リ. 業 グ ル ー プ 全 体 の そ れ ぞ れ の リ ス ク 管 理 プ ロ セ ス に よ っ て 取 り扱 わ れ る. も の で あ る と 明 示 して い る 働。. 7国. 際 財 務 報 告 基 準(IFRS). 国 際 財 務 報 告 審 議 会(IASB)に. よ る国 際 財 務 報 告 基 準(IFRS)で. う用 語 を必 ず しも用 いて いな い もの の,リ IAS第1号,IFRS第7号,お. は,「 リス ク」 と い. ス ク開 示 に関 連 す る基 準 と してIAS第37号,. よ びIFRS第8号. が挙 げ られ る。 「リス ク」 と い う用 語 の. 代 わ りに 「不 確 実 性 」 とい う用語 で 開示 を 要 求 して い る基 準 が あ り,具 体 的 に は,引 当金, 偶 発 負 債 お よ び偶 発 資 産 に関 す るIAS第37号 要 求 して い る。 まず,引. が 挙 げ られ る㈱。 この 基 準 で は以 下 の 開 示 を. 当金 につ いて は,そ れ ぞ れ の 種 類 ご と に,予 測 され る資 金 流 出の. 金 額 ま た は時 期 の 不 確 実 性 の 証 拠 が 開 示 され な けれ ばな らな い(par.85)。. 次 に,偶 発 負. 債 につ いて も,そ れ ぞ れ の 種 類 ご と に,資 金 流 失 の 可 能 性 が ほ とん どな い場 合 を 除 き,実 施 され う る,資 金 流 出の 金 額 ま た は時 期 に関 連 した不 確 実 性 の 証 拠 が 開 示 され な けれ ばな らな い(par.86)図 。一 方,偶 発 資 産 につ い て,不 確 実 性 に関 す る比 較 可 能 な 要 求 事 項 は こ の 基 準 に見 られ な い もの の,偶 発 事 象 が 偶 発 資 産,あ. る い は偶 発 負 債 に分 類 され るか ど う. か と い っ た,偶 発 事 象 に関 す る開 示 を 考 慮 す る こ と は リス ク開 示 と して 合 理 的 と評 価 され て い る㈱。 次 に,財 務 諸 表 の 表 示 に関 す る基 準 で あ るIAS第1号 れ た仮 定,お. で も,企 業 に将 来 に関 して な さ. よ び他 の 見 積 も りの 不 確 実 性 に関 す る主 な 資 源 につ いて の 情 報 開 示 を 求 めて. い る。 継 続 企 業 の 前 提 の 不 確 実 性 に関 連 して,IAS第1号. は 以 下 を 要 求 して い る。 まず,. 財 務 諸 表 作 成 の 際,経 営 者 は継 続 企 業 と して 継 続 で き る企 業 能 力 を 評 価 す る。 経 営 者 が, その 評 価 で,継 続 企 業 と して 継 続 で き る企 業 能 力 に対 して,重 大 な 疑 義 の あ る事 象 あ る い ㈲. 砺 諾. ㊤①HSBC(2013b),p.126. (9D1わ'(乳,p.20. (92)1わ'諾,p.273. ㈱ICAEW(2011),p.49. (94)1∂'4.,P.49. (9∂1わ1紘,P.50.. 一20(20)一.
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