第6回群馬がん看護フォーラム
日 時:平成 21年 6月 6日 (土) 13:00∼17:00
会 場:前橋市 合福祉会館
主 催:群馬がん看護研究会
理事長:神田 清子 (群馬大医・保・看護学)
メインテーマ:がん患者の生活を支えるケア
《特別講演 》
座長:神田 清子(群馬大医・保・看護学)
がん患者の生活を支えるケア 生活を見据えた退院支援
細矢 美紀 (国立がんセンター中央病院)
WHOによると, 緩和ケアは疾患の早期から治療と並
行して受けるものであり, がん対策基本法の第十六条に
も, がん患者の状況に応じて疼痛等の緩和を目的とする
医療が早期から適切に行われることが謳われています.
がん看護専門看護師として, がん患者さんとご家族がが
ん治療を続けながら, 身体的心理社会的な苦痛がなく,
安心してその人らしく生活できることを目指して活動し
ていますが, 試行錯誤の連続です.
再発や進行したがんの治療は, 症状の緩和と良好な
QOL を目指した生存期間の 長が目標となり,長期間に
及びます. 患者さんとご家族は, 痛みや治療の副作用な
ど身体的な苦痛に加え, 病状悪化や死の不安, 経済的な
懸念など多くの困難を抱えて生活しています. 患者さん
とご家族の苦悩をよく聴き, 多様なニーズを把握した上
で, がん治療の早期から緩和ケアを受けられる資源 (緩
和ケアチーム, 緩和ケア病棟, 在宅療養支援診療所や訪
問看護, 介護福祉サービスなど) の情報を提供し, 退院支
援を行うことが重要です.
《特別講演 》
座長:野本 悦子(群馬大医・附属病院)
私の患者体験とお願い
一柳 一男 (ひまわりの会)
1.がんの診断と手術
私が胃がんと診断されたのは平成 6年 11月 17日に T
病院で受けた定期検診の時でした. がんと聞いた瞬間は
頭の中が真っ白になってしまい何も えられませんでし
た. そんな私に向かって先生はてきぱきと仕事を進め S
病院への紹介状を持たせてくれました. 平成 7年 2月 17
日, 胃の開腹手術を行い, 胃の 2/3と胆囊と周りのリン
パ節を切除しました. 後日リンパ節への転移は見られな
かったと聞き, ほっとしたのを覚えています. ダンピン
グの症状が起きたのは入院中のことでした. 急に気持ち
が悪くなり, あげてしまいました. 嘔吐が止まると今度
は下痢です. 嘔吐と下痢が 互に 10 置きぐらいに起
き非常に苦しかったのを覚えています. 気をつけていた
のですが, 退院後二日目にまた同じ症状が起きてしまい
ました. これが手術後一番つらいことでした. 私の苦し
む様子を見ていた孫が, そっと部屋に入ってきて「おじ
いちゃんの病気はがんなんだって, 治らないの?」と聞
いてきました. 大人たちの話すのを聞いて心配になった
のでしょう.
2.家族の理解と協力
人は永久に生きられるわけではありません. たとえが
んにならなくとも, 人は必ず死というものを迎えます.
私はがんの他にもいろいろと大病をしています. その都
度私流に え病を乗り越えてきたつもりです. 悪性腫瘍
と言われた時も, 一瞬思 が止まりましたが, 慌てず受
け止めることができました. 家族にもがんであること,
手術をすること, 手術の後の闘病生活のことなどを冷静
に話すことができました. 闘病生活には家族の協力が強
い味方です. がんと告知されたからと行って死ぬわけで
はないと自 に言い聞かせ, 平静を保つように心がけて
います.
3. 患者からの願い
がんを告知された患者の悩みは, 10人 10色と思いま
す. その悩みはがんを告知されたものでないと, 本当の
ところはなかなか理解できないかも知れません. 私は 1
379
Kitakanto Med J
2009;59:379∼383
月の終わりに床に入って必ず思うことがあります. それ
は明日があるということです. たとえどんなことがあっ
ても, 明るい日と書く明日が必ずやってくると自 を元
気づけるようにしています. いろいろの思いを持った患
者たちですが, 医療に従事されている方たちや担当の先
生の穏やかな表情や看護師さんや家族の優しさなどが患
者にとって力強い助けになっています.
一般演題>
第1群 生活を支えるケア
座長:柳川 寿子(桐生厚生 合病院)
1.病的骨折のリスクを抱えた患者の外出実現に向けて
の支援
阿部 美保 (国立病院機構沼田病院)
【はじめに】 当病棟は肝・胆・膵臓等の消化器難治癌と,
乳癌・内 泌癌等の治療を行っている外科と放射線科の
混合病棟である. 今回, 乳癌術後で多発性骨転移がある
患者との関わりの中, 病的骨折のリスクを抱えながらも
試験外泊により, 退院をすることができた事例と関わる
機会を得た. 退院後も外出実現に向けての支援を継続し
ており, その経過と対応を報告する. 【経過と結果】 患
者は, 病状の進行による脊髄損傷の可能性・疼痛に対す
る不安・ADL の制限があり多くの問題を抱えていたが,
自宅に帰って今までのような生活をしたい」という強い
希望を持っていた. 入院中, 痛みが軽減すると歩ける状
態ではないのに歩いてしまったり, 骨に負担となる体勢
をとることがあった為, 退院に向けて家 での注意点や
痛みの対処方法について, 個別にパンフレットを作成し
指導を行った. その結果, 無理な体勢をとることもなく,
慎重に行動するようになった. 試験外泊もすすめ, 外泊
中問題なく過ごせたことから自信へと繫がり, 退院する
ことができた. さらに退院後は「外出して買い物や食事
がしたい」という希望を持つようになってきた. しかし
医師から, 外出時は家族の付き添いが必要・車椅子を
用・家 での生活に十 慣れるまでは外出を控える等の
指示があり, 患者も「外出して痛みがでたり骨折したら
どうしょう」という不安を抱えていた.現在「外出」の実
現に向けて, 医師と相談しながら, 家族の協力範囲や移
動手段等について継続した関わりを継続している.
2.人工肛門を造設しパニックに陥った高齢がん患者へ
の看護支援 ∼アギュレラの危機問題解決モデルを用
いて∼
角田 明美,瀬山 留加,二渡 玉江
神田 清子 (群馬大医・保・看護学)
杉本 厚子 (群馬大医・附属病院)
【はじめに】 緊急入院でがんと診断され人工肛門を造設
することになった高齢者に, 理論を用いることで, 患者
の陥りやすい危機的状況を瞬時に捉え危機が回避でき,
セルフケアへと繫がったので報 告 す る. 【事 例 紹 介】
A 氏 80代男性, ADL は自立. 診断名は直腸がんである.
緊急入院 5日目に直腸がんと診断され, 10日目に人工肛
門造設について説明を受け, 人工肛門の指導後手術とな
るが, 術後人工肛門のパウチがもれたことでパニックに
なってしまう. A 氏は人工肛門, 特に排泄機能について
の理解が曖昧であり, このままでは危機に陥ってしまう
ためアギュレラの危機問題解決モデルを用いて介入し
た. 【結果・ 察】 A 氏には[出来事に対するゆがんだ
知覚][適切な社会的支持がない][対処機制がない]の
3つのバランス保持要因が欠如していたため, バランス
保持要因充足に向けての看護の展開を行う事で「肛門様
がここにきたんだ」と人工肛門の排泄機能について理解
し問題が解決できた. そして, 処理の意欲が出てセル
フケアに繫げる事で 衡状態が回復し, 危機を回避する
ことができた. 緊急入院でがんと診断された A 氏にとっ
て, 人工肛門造設は受け入れがたい事実であり, 患者の
反応を整理し看護介入を行うことで危機が回避できた.
また, 患者の年齢やパーソナリティー, 特に高齢者の場
合は視覚的教材の活用や患者の理解度を 1つ 1つ確認し
ながらケアをすすめていくことの示唆を得た.
3.大腸全摘・回腸ストーマ造設術後患者の在宅療養に
向けての関わり
田中 美奈,富田美津枝
(独立行政法人国立病院機構 西群馬病院)
【はじめに】 在宅療養が困難な事例に関わり, 患者・家
族の希望であった在宅療養を叶えることができたため,
その関わりを報告したい. 【事例紹介】 60歳代 女性
S 状結腸がん 夫と二人暮らし 【経過と結果】 平成
19 年 A 病院で S 状結腸切除術,B病院で大腸全摘出・回
腸部 切除・回腸ストーマ造設術施行.本人,夫と共に強
い退院希望があったが, 仙骨部に 度の褥瘡を有しス
トーマからの排液が 4000ml/日と多量で容易に脱水・腎
不全傾向となるため在宅療養は厳しい状態であった. 自
宅に近いがん専門病院ということで, 平成 20年 C 病院
に転入となった. 転入時より, いつまで入院しなくては
いけないの?」「こんな状態ではもう家に帰れないのね」
第 6回群馬がん看護フォーラム
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