― 11 ―
近畿大学バイオコークス研究所の研究紹介
井 田 民 男
(近畿大学バイオコークス研究所)【ソックス・バイオコークスの形成とその特性】
1.まえがき 現在,国内には年間総量 16 億足以上の靴下が市場に 出回っている。しかし製造途中で廃棄対象物や,未販却 物など未使用で廃棄処分されている靴下が数多く存在し ている。一方,地域活性の一環で蒸気機関車を復活し走 らせようという計画がある。しかし蒸気機関車を走らせ るには大量の石炭と水が必要であり,環境負荷が大きい という問題点がある。そこで国内市場の廃棄処分される 靴下を高密度・高硬度固体燃料化(以後,ソックス BIC と呼ぶ)することで靴下の利活用をし,蒸気機関車で使 用される石炭の代替を計画している。本研究は,環境 負荷を軽減することを目標にソックス BIC の形成を行 い,その特性を調べる。 2.実験試料および方法 今回,綿を主な素材とする靴下を原料として用い成型 条件を,原料初期質量 100g,設定加熱温度 200℃,圧 力 4t,加熱時間 15 分としてソックス BIC を製造した。 結果として,比重 1.25を得た。この製造物を使用し, 冷間,熱間での圧縮試験を行った。冷間圧縮試験では, 試験装置内にソックス BIC をセットし,1.5 mm /min. 載荷して強度を調べた。熱間圧縮試験では,試験装置内 部を700℃にし,1.5 mm /min. で載荷して強度を測定 する試験方法を採用した。 3.市場調査 本研究では,ソックス BIC の原料となりうる靴下量 を調べるために国内年間靴下廃棄量を算出した。国内年 間靴下廃棄量=国内年間靴下総量-国内年間靴下消費量 +未使用靴下年間廃棄量から算出できる。未使用靴下年 間廃棄量 = 約 4 億足と仮定し,国内年間靴下消費量を ①の式で算出する。 Y = a/X × b … ① Y= 国内年間靴下消費量(使用量),X= 平均世帯人数 (2.46 人),a = 国内総人口(約1億 2000 万),b = 一世 帯当たりの年間靴下購入数量(16.67 足)を代入すると, Y ≒ 8 億 7000 万足となる。よって,国内年間靴下廃棄 量= 16 億 7000 万- 8 億 7000 万+ 4 億≒ 13 億足が計算 できる。質量に換算すると,1足あたり約 40g と仮定 すると約 5 万 t となる。 4.実験結果および考察 表 1に靴下(綿)の CHN 分析結果を示す。靴下(綿) の発熱量は石炭の約 3 分 2の結果となった。図 1には靴 下(綿)の熱分解特性を示す。太いラインが酸素雰囲気 内での特性曲線を表し,細いラインが窒素雰囲気内での 特性曲線を表している。TONG 曲線からガス化開始温 度は約 570 Kであることが分かる。図 2より,冷間にお ける最大圧縮強度は84MPa,その時の最大ひずみは約 図 1 靴下(綿)の熱分解特性 表 1 CHN 分析結果 試料名 (Sample Name) 化学成分 (Chemical Composition) 総発熱量 kcal/kg %C H% %N 靴下(綿) 4450 48.4 6.69 1.96 石炭 6700 69.1 4.1 1.4 参考文献:電中研レビューNO.46 における最大圧縮強度は84MPa,その時の最大ひずみは約 15%であった.図 3 より,熱間における最大圧縮 強度は2MPa,その時の最大ひずみは約 3%であった.これらの結果より,ソックス BIC は高温において, 高温環境下での炭化過程を履歴するので延性性状から脆性性状に変化することが示唆された. 表1 CHN 分析結果 図1 靴下(綿)の熱分解特性― 12 ― 図 2 ひずみ―応力線図(冷間圧縮試験) 図 3 ひずみ―応力線図(熱間圧縮試験) 図2 ひずみー応力線図(冷間圧縮試験) 図3 ひずみー応力線図(熱間圧縮試験) 5. まとめ 靴下(綿)を原料とするバイオコークスを形成し,次の結果を得た. (1) 国内年間靴下廃棄量は,約 13 億足であり,重量換算すると約 5 万トンであった. (2) 冷間最大圧縮強度≒84MPa,熱間最大圧縮強度≒2MPa を得た. 謝辞 本研究は,平成24 年度卒業,理工学部機械工学科・坂本裕二君の実験ノート及びタビオ株式会社より靴下 をご提供頂き実施しました.ここに謝意を表します. 図2 ひずみー応力線図(冷間圧縮試験) 図3 ひずみー応力線図(熱間圧縮試験) 5. まとめ 靴下(綿)を原料とするバイオコークスを形成し,次の結果を得た. (1) 国内年間靴下廃棄量は,約 13 億足であり,重量換算すると約 5 万トンであった. (2) 冷間最大圧縮強度≒84MPa,熱間最大圧縮強度≒2MPa を得た. 謝辞 本研究は,平成24 年度卒業,理工学部機械工学科・坂本裕二君の実験ノート及びタビオ株式会社より靴下 をご提供頂き実施しました.ここに謝意を表します. 15%であった。図 3より,熱間における最大圧縮強度は 2MPa,その時の最大ひずみは約 3%であった。これら の結果より,ソックス BIC は高温において,高温環境 下での炭化過程を履歴するので延性性状から脆性性状に 変化することが示唆された。 5.まとめ 靴下(綿)を原料とするバイオコークスを形成し,次 の結果を得た。 (1) 国内年間靴下廃棄量は,約 13 億足であり,重量 換算すると約 5 万トンであった。 (2) 冷間最大圧縮強度≒ 84MPa,熱間最大圧縮強度 ≒ 2MPa を得た。 謝 辞 本研究は,平成 24 年度卒業,理工学部機械工学科・ 坂本裕二君の実験ノート及びタビオ株式会社より靴下を ご提供頂き実施しました。ここに謝意を表します。
近畿大学バイオコークス研究所の研究紹介 ― 13 ―
【鉛筆を原料とする半グラファイト
バイオコークスの形成特性】
1.まえがき 現在,地球温暖化の原因となる二酸化炭素排出量の削 減および化石燃料資源枯渇問題の観点から,日本国内で の自給自足が可能な新エネルギーとしてバイオコークス が注目されている。 本研究では石炭コークスの代替燃料としてバイオコー クスを利用するために材料に鉛筆を用いて,その芯に含 まれるグラファイトの性質を活かし,より高温,高圧状 態で従来のバイオコークスよりも崩壊の起こりにくい特 性を持ったバイオコークスの製造及びその特性を調査す ることを目的として実験を行った。 2.鉛筆の年間消費量及び廃棄量 日本での国民 1 人当たりの鉛筆の年間消費量(2011 年)は約 4 本である。よって日本での鉛筆の年間消費本 数は,1 億 2000 万(人)× 4(本)= 4 億 8000 万(本),約 4 億 8000 万本である。また鉛筆 1 本当たりの重さが約 4g であるので,4 億 8000 万(本)× 0.004(kg)= 192 万 (㎏)= 1920t より約 1920t の消費鉛筆を年間で回収でき ると推察される。 これに加えて年間の製造過程での廃棄鉛筆の量が約 30t であるので合計年間で1950t の鉛筆を回収すること ができると考えられる。 次に,鉛筆の種類ごとの芯部分と木材部分の比率を計 算する。鉛筆の芯部分と木材部分のグラム比と体積比を 表 1にまとめた。 この表から2H~HB までの鉛筆は芯部分と木材部分 の比率に大きな差は見られないが B~2B の鉛筆は芯が 太く , 重くなっているのがわかる。つまり , 鉛筆は2H~ HB の芯から B~2B の芯になるにつれて木材部分に対 する芯(グラファイト)の部分の比率が大きくなってい るということである。 3.実験方法 本実験では,2 Bの鉛筆を材料として鉛筆を垂直に入 れたもの,短く切って入れたもの,粒度 1mm 以下に 粉砕したもの(含水率 3%)の3つの製造方法で製造条 件を原料:100g,製造温度:433K,加熱時:15 分,圧 力:4t,としてバイオコークスを製造した。この3 種類 のバイオコークスを用い,熱間(窒素雰囲気)において 定負荷試験と高温圧縮試験の2 種類の試験を行う。定負 荷試験では0.1MPa の圧力をかけつつ温度を973K まで 上昇させ途中で崩壊しないかどうかを調べ,高温圧縮試 験では973K の環境下での特性を調べた。 4.実験結果 高温圧縮試験の結果を表 2に示す。 結果,高温圧縮試験では粉砕を行ったものが最も圧力 に耐えることができるとわかった。よってここでは粉 砕を行ったものの熱間試験のデータを例とし,図 1,図 2 に示した。また従来のバイオコークスの代表的な例とし て緑茶を用いたバイオコークスの高温圧縮試験の結果 表 1 鉛筆の芯と木材部分の比率 2H H HB B 2B 芯(g) 1.13 1.19 1.12 1.35 1.4 木材(g) 2.92 2.85 2.91 2.69 2.66 芯(mm3) 550 578 539 696 753 木材(mm3) 2243 2204 2232 2086 2029 表 2 高温圧縮試験結果 形 状 直 接 短 切 粉 砕 強度(MPa) 0.21 0.43 5.26 図 1 定負荷試験 図 2 鉛筆バイオコークス高温圧縮試験図2 鉛筆バイオコークス高温圧縮試験 図3 緑茶バイオコークス高温圧縮試験 㻜 㻝 㻞 㻟 㻠 㻡 㻢 㻜 㻡 㻝㻜 㻝㻡 㻞㻜 㻞㻡 㻟㻜ひずみ(%)
圧 力 ( MP a ) 㻜 㻜㻚㻜㻡 㻜㻚㻝 㻜㻚㻝㻡 㻜㻚㻞 㻜㻚㻞㻡 㻜 㻡 㻝㻜 㻝㻡 㻞㻜 ひずみ(%) 圧 力 (M P a)井 田 民 男 ― 14 ― を図 3に示し比較対象とした。定負荷試験では試験開始 20 分から30 分にかけて収縮が起こっているが,収縮後 も圧力 0.1MPa を維持していることから,973K までの 上昇過程で崩壊が起こらないことがわかった。また,高 温圧縮試験では最大圧縮強度が5.26MPa であるのに対 し,同条件でコークスの製造および試験を行った緑茶バ イオコークスの最大圧縮強度が0.214MPa であること からグラファイトを含む鉛筆バイオコークスは従来のバ イオコークスよりも高い強度を得ることがわかった。 5.結 言 廃棄処分される鉛筆を原料として,バイオコークス化 の特性を調べて,次の結果を得た。 1) 鉛筆を材料とした場合,粉砕を行い製造する方法 が最も熱間強度を高めることができることを得た。 2) グラファイトを含んだバイオコークスは熱間で圧 力に十分耐えうること,また従来のバイオコーク スと比較して,より高温下で高圧力に耐えること が可能であることを得た。 謝 辞 本研究は,平成 24 年度卒業,理工学部機械工学科・ 田中祐一君の実験ノート及び金子鉛筆㈱から廃棄鉛筆を ご提供して頂いた。ここに謝意を表する。 図 3 緑茶バイオコークス高温圧縮試験 図2 鉛筆バイオコークス高温圧縮試験 図3 緑茶バイオコークス高温圧縮試験 㻜 㻝 㻞 㻟 㻠 㻜 㻡 㻝㻜 㻝㻡 㻞㻜 㻞㻡 㻟㻜
ひずみ(%)
圧 力 ( MP 㻜 㻜㻚㻜㻡 㻜㻚㻝 㻜㻚㻝㻡 㻜㻚㻞 㻜㻚㻞㻡 㻜 㻡 㻝㻜 㻝㻡 㻞㻜 ひずみ(%) 圧 力 (M P a)近畿大学バイオコークス研究所の研究紹介 ― 15 ―
【バイオ固体物質の比重に対する燃焼特性】
1.まえがき 物質の燃焼特性に関して,比重は大きな意味を持つ。 次世代のエネルギー源として,再生可能かつ持続可能な バイオエネルギーが期待される今,バイオ燃料製造の機 能化が期待される。 しかしバイオ固形物質に関して,化学組成変化や燃焼 温度等の変化に関する研究は進められてきたが,生成比 重に関する燃焼特性研究は成されていない。本研究で は,物理比重に対する燃焼特性を解明し,バイオ固形燃 料生成時の燃料設計指針の基礎データの蓄積を目的とす る。 2.実験方法 本研究室所有のバイオコークス成型装置により,異な る比重のバイオ固形物質を成型する。原料として蚊取 線香を使用した。異比重での生成に効果的な加熱温度 (120℃~150℃),生成圧力(0.175t,0.35t,0.7t),加 熱維持温度時間(1min.,5min.),を成型パラメータと して,比重のバイオ固形物質を成型した。燃焼特性は, 既存の燃焼実験装置により行い,着火特性,燃焼持続時 間等の経過データを収集した。 3.実験結果および考察 3 種類のパラメータにより0.85~1.35の比重でバイオ 固形物質の成型を行った。その比重を表 1に示す。形成 比重は,生成時の加熱温度,加熱維持時間,加圧力の上 昇に伴って比例的に増加することが分かった。 燃焼測定結果に関して,比重に伴う着火温度の上昇と 着火時間の長期化,有炎燃焼時間の短縮,燃焼時間全体 の短縮が確認できた。図 1に重量収率,図 2に着火遅れ 時間,有炎燃焼時間,チャー燃焼時間を示す。 高比重に従い,残重量が大きいことから,比重が高く なるにつれ物質内部まで酸素拡散が阻害され,酸欠状態 になっている可能性がある。また,高比重の場合,全体 の燃焼時間は長期化されるが,有炎燃焼時間は短縮され た。高比重での特異な燃焼現象が生じることを得た。 4.まとめ 同材料で異比重の燃料物質を形成し,次の結果を得 た。 1) 高比重に従い,有炎燃焼時間は短く,チャー燃焼 時間は長くなり,全体の燃焼時間も長くなる。 2) 高比重下での特異な燃焼特性を確認した。 謝 辞 本研究は,平成 24 年度卒業,理工学部機械工学科・ 菊浪剛君の実験ノートによった。謝意を表する。 表 1 試験体の比重 含水率 3%、圧力 0.175t 120℃ 130℃ 140℃ 150℃ 1min 質量(g) 1.99 2.02 1.97 1.99 高さ(mm) 7.43 6.74 6.37 5.91 比重(g/mm3) 0.85 0.95 0.98 1.07 5min 質量(g) 1.97 2.00 2.00 1.99 高さ(mm) 7.15 6.64 6.10 5.85 比重(g/mm3) 0.88 0.96 1.04 1.08 図1 重量収率特性 図2 燃焼特性 謝辞 本研究は,平成24 年度卒業,理工学部機械工学科・菊浪剛君の実験ノートによった.謝意を表する. 図1 重量収率特性 図2 燃焼特性 謝辞 本研究は,平成24 年度卒業,理工学部機械工学科・菊浪剛君の実験ノートによった.謝意を表する. 図 1 重量収率特性 図 2 燃焼特性― 16 ―
【竹とコーヒー炭化物の混合試料による
バイオコークスの成形特性】
1.緒 言 再生かつ持続可能なバイオエネルギーの取り組みが盛 んになりつつある。本研究室で取り組むバイオコークス 化は,一定の評価は得られるものの,化石資源との比較 では,劣る部分も存在する。 本研究では,次世代バイオコークス技術と位置づけ, バイオ原料の発熱量及び炭素比率増加と熱間強度増強を 目的とした研究に取り組んでいる。本来の目的である石 炭コークスの代替燃料としての代替割合を高めるために は,発熱量の向上や熱間圧縮強度特性の改善が必須とさ れる。 本研究では,竹にコーヒー炭化物を混合させた試料を 考案し,重量単位での発熱量,炭素比率を増加し,熱間 強度が増強できるかの検討を行った。 2.実験装置および実験方法 2.1 実験試料 本実験の試料である竹を粒径 1mm 以下とし,含水率 を10%(± 0.25%)に調整する。コーヒー炭化物の含 水率は気乾状態(7%± 1%)のものを使用する。また, 炭化物の混合重量割合 C は0~30%とする。 2.2 成形方法 図 1にバイオコークスの成形に用いた実験装置の模式 図を示す。内径は48mm,試料を100g 投入後,油圧プ レスにて14MPa の圧力で保持。電気管状炉を用いて15 分間加熱,403~463K の間で20K 刻みで行った。 2.3 熱間圧縮強度試験 高温環境下での圧縮強度を測定するために,炉のつい た万能試験機にバイオコークスを入れ,炉内を973K に 維持したまま圧縮強度試験を行う。 3.結果及び考察 図 2に竹の熱分解特性を示す。図 3には,常温での圧 縮試験結果を示す。また,図 4に熱間圧縮強度試験結果 【竹とコーヒー炭化物の混合試料によるバイオコークスの成形特性】 1. 緒言 再生かつ持続可能なバイオエネルギーの取り組みが盛んになりつつある.本研究室で取り組むバイオコーク ス化は,一定の評価は得られるものの,化石資源との比較では,劣る部分も存在する. 本研究では,次世代バイオコークス技術と位置づけ,バイオ原料の発熱量及び炭素比率増加と熱間強度増強 を目的とした研究に取り組んでいる.本来の目的である石炭コークスの代替燃料としての代替割合を高めるた めには,発熱量の向上や熱間圧縮強度特性の改善が必須とされる. 本研究では,竹にコーヒー炭化物を混合させた試料を考案し,重量単位での発熱量,炭素比率を増加し,熱 間強度が増強できるかの検討を行った. 2. 実験装置および実験方法 2.1 実験試料 本実験の試料である竹を粒径1mm 以下とし,含水率を 10%(±0.25%)に調整する.コーヒー炭化物の含水 率は気乾状態(7%±1%)のものを使用する.また,炭化物の混合重量割合 C は 0~30%とする. 図1 バイオコークス形成装置 2.2 成形方法 図1 にバイオコークスの成形に用いた実験装置の模式図を示す.内径は 48mm,試料を 100g 投入後,油圧 プレスにて14MPa の圧力で保持.電気管状炉を用いて 15 分間加熱,403~463K の間で 20K 刻みで行った. 図 1 バイオコークス形成装置 図 2 竹の熱分解特性 2.3 熱間圧縮強度試験 高温環境下での圧縮強度を測定するために,炉のついた万能試験機にバイオコークスを入れ,炉内を973K に維持したまま圧縮強度試験を行う. 3. 結果及び考察 図2 竹の熱分解特性 図3 常温圧縮強度特性 図 3 常温圧縮強度特性 2.3 熱間圧縮強度試験 高温環境下での圧縮強度を測定するために,炉のついた万能試験機にバイオコークスを入れ,炉内を973K に維持したまま圧縮強度試験を行う. 3. 結果及び考察 図2 竹の熱分解特性 図3 常温圧縮強度特性 図 4 熱間圧縮強度特性図4 熱間圧縮強度特性 図2 に竹の熱分解特性を示す.図 3 には,常温での圧縮試験結果を示す.また,図 4 に熱間圧縮強度試験 結果を示す.常温環境下においては,炭化物の含有量が増えると強度が低下するという結果が得られたが,高 温環境下では炭化物の含有量が10%,30%の時に従来のバイオコークスよりも圧縮強度が高くなる結果を得 た. 謝辞 本研究は,平成24 年度卒業,理工学部機械工学科・鈴木 誠也君の実験ノートによった.謝意を表する.近畿大学バイオコークス研究所の研究紹介 ― 17 ― を示す。常温環境下においては,炭化物の含有量が増え ると強度が低下するという結果が得られたが,高温環境 下では炭化物の含有量が10%,30%の時に従来のバイオ コークスよりも圧縮強度が高くなる結果を得た。 謝 辞 本研究は,平成 24 年度卒業,理工学部機械工学科・ 鈴木誠也君の実験ノートによった。謝意を表する。
― 18 ―
【バイオコークス技術を応用した
黒色化バイオマテリアルの基礎研究】
1.緒 言 石油資源枯渇状態に近づきつつある中,バイオマテリ アルの開発が一向に進まない状況にある。その理由に は,原油を原料とするプラスチック製品の価格にあり, 100 円均一に代表されるようにダウンプライスと機能性 商品開発の競争が激化しているため,地球環境にやさし い原料へのシフトが視野に入らない。 本研究室で開発されたバイオマスの高密度・高硬度化 技術は,石炭コークスの代替燃料として注目され直接的 に CO2排出量削減に成功している。本研究では,バイ オコークス化技術のさらに特徴であるリグニンの黒色化 の性質を利用し,ディスプレイの基盤材(以後,バイオ プレート:BP と略す)としての制作実験を検討した。 ここでは,限りなく黒色に近づけ,かつ薄板状のバイオ マテリアルを制作する条件を見出す。 2.フラットパネルディスプレイの市場規模 フラットパネルディスプレイの2003 年から2009 年ま での市場規模について,ディスプレイサーチ社の発表 から2003 年から2004 年にかけてはフラットパネルディ スプレイ産業は非常に好況であり市場規模も434 億ドル から,621 億ドルへと約 1.5 倍に拡大した。ただし2004 年 後 半 か ら2005 年 に 入 っ て か ら は 大 型 TFT(Thin Film Transistor)価格が急落した影響が大きく市場規 模は並行である。 種類別の市場規模をみると,LCD(液晶ディスプレ イ)が圧倒的に大きな位置づけとなっており,2005 年 で約 90%の比率を占めている。この傾向は今後も変わ らず,フラットパネルディスプレイの中心は LCD であ る。PDP(プラズマディスプレイパネル),有機 EL は 話題性が大きいが,PDP で約 8%,有機 EL は約 1%の 比率を占めているに過ぎない。この他,蛍光表示管,無 機 EL は大きな伸長は見込めないが現在の市場規模を維 持していくと見られている。 3.実験方法 成型条件は,緑茶を原料として初期含水率を10%・ 12%・15%,加熱温度を130℃・140℃・150℃・160℃ を選択し,加熱保持時間(6 分 15 秒)と加圧力(1.4MPa) を一定にして最少厚さ0.5mm を目標に BP を制作し た。 板 厚 0.5mm は, バ イ オ マ ス の 粉 砕 サ イ ズ が 約 0.1mm から5 層に相当する。しかし,0.5mm の厚みに 近づくにつれ曲げ強度が弱くなり,製造後 BP を剥離す ることが困難になり,簡単に割れた。そこで,スペー サーにアルミホイルを敷くことより,癒着を防ぎ,制作 後の剥離をスムーズに行う工夫を探った。評価として, マイクロスコープで表面直接撮影し,画像処理ソフトに より RGB 分離し,光照射の有無の比較より,その光沢 度を検討した。 4.実験結果および考察 図 1に BP の制作厚みと比重の関係を示す。図から厚 みが薄くなるにつれ,比重が増えることが分かった。比 重は,バイオマスの真比約 1.4を超え,2 近くまで到達 する興味深い結果を得た。 次に,図 2,3に BP 表面の色彩度を照射光有無の条 件で計測した結果を示す。RGB 値は,厚さが薄い BP ほど表裏共に初期含水率が高い方が数値は低くなり,黒 色に近づいている。一方,加熱温度を上げると RGB 値 は小さくなり,黒に近づいた。しかし,初期含水率が高 くても大きな変化は見られなかった。値に大きな変化は なかった。照射光の有無では,照射有で RGB 値は大き 図 1 比重と厚みの関係 0 0.5 1 1.5 2 2.5 0.5 0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8 0.85 0.9 厚み(mm) 比重( -) 【バイオコークス技術を応用した黒色化バイオマテリアルの基礎研究】 1. 緒言 石油資源枯渇状態に近づきつつある中,バイオマテリアルの開発が一向に進まない状況にある.その理由に は,原油を原料とするプラスチック製品の価格にあり,100 円均一に代表されるようにダウンプライスと機能 性商品開発の競争が激化しているため,地球環境にやさしい原料へのシフトが視野に入らない. 本研究室で開発されたバイオマスの高密度・高硬度化技術は,石炭コークスの代替燃料として注目され直接 的にCO2 排出量削減に成功している.本研究では,バイオコークス化技術のさらに特徴であるリグニンの黒 色化の性質を利用し,ディスプレイの基盤材(以後,バイオプレート:BP と略す)としての制作実験を検討し た.ここでは,限りなく黒色に近づけ,かつ薄板状のバイオマテリアルを制作する条件を見出す. 2. フラットパネルディスプレイの市場規模 フラットパネルディスプレイの2003 年から 2009 年までの市場規模について,ディスプレイサーチ社の発 表から2003 年から 2004 年にかけてはフラットパネルディスプレイ産業は非常に好況であり市場規模も 434 億ドルから,621 億ドルへと約 1.5 倍に拡大した.ただし 2004 年後半から 2005 年に入ってからは大型 TFT (Thin Film Transistor)価格が急落した影響が大きく市場規模は並行である.種類別の市場規模をみると,LCD(液晶ディスプレイ)が圧倒的に大きな位置づけとなっており,2005 年 で約90%の比率を占めている.この傾向は今後も変わらず,フラットパネルディスプレイの中心は LCD であ る.PDP(プラズマディスプレイパネル),有機 EL は話題性が大きいが,PDP で約 8%,有機 EL は約 1% の比率を占めているに過ぎない.この他,蛍光表示管,無機EL は大きな伸長は見込めないが現在の市場規模 を維持していくと見られている. 3. 実験方法 成型条件は,緑茶を原料として初期含水率を10%・12%・15%,加熱温度を 130℃・140℃・150℃・160℃ を選択し,加熱保持時間(6分 15 秒)と加圧力(1.4MPa)を一定にして最少厚さ 0.5mmを目標にBP を制作した. 板厚0.5mm は,バイオマスの粉砕サイズが約 0.1mm から 5 層に相当する.しかし,0.5mm の厚みに近づく につれ曲げ強度が弱くなり,製造後BP を剥離することが困難になり,簡単に割れた.そこで,スペーサーに アルミホイルを敷くことより,癒着を防ぎ,制作後の剥離をスムーズに行う工夫を探った.評価として,マイ クロスコープで表面直接撮影し,画像処理ソフトによりRGB 分離し,光照射の有無の比較より,その光沢度 を検討した. 図1 比重と厚みの関係 㻜 㻡㻜 㻝㻜㻜 㻝㻡㻜 㻞㻜㻜 㻞㻡㻜 㻟㻜㻜 10% 130℃ 表 10% 140℃ 表 10% 150℃ 表 10% 160℃ 表 12% 130℃ 表 15%1 30℃ 表 15% 130℃ 振動 表 10% 130℃ 裏 10% 140℃ 裏 10% 150℃ 裏 10% 160℃ 裏 12% 130℃ 裏 15%1 30℃ 裏 15% 130℃ 振動 裏 成形条件 RG B 値 㻾㻳 㻮 㻜 㻝㻜 㻞㻜 㻟㻜 㻠㻜 㻡㻜 㻢㻜 㻣㻜 10%1 30℃ 表 10%1 40℃ 表 10%1 50℃ 表 10%1 60℃ 表 12%1 30℃ 表 15% 130℃ 表 15%1 30℃振動 表 10%1 30℃ 裏 10%1 40℃ 裏 10%1 50℃ 裏 10%1 60℃ 裏 12%1 30℃ 裏 15% 130℃ 裏 15%1 30℃振動 裏 成形条件 RG B 値 㻾㻳 㻮 4. 実験結果および考察 図1 に BP の制作厚みと比重の関係を示す.図から厚みが薄くなるにつれ,比重が増えることが分かった. 比重は,バイオマスの真比約1.4 を超え,2 近くまで到達する興味深い結果を得た. 次に,図2,3 に BP 表面の色彩度を照射光有無の条件で計測した結果を示す.RGB 値は,厚さが薄い BP ほど表裏共に初期含水率が高い方が数値は低くなり,黒色に近づいている.一方,加熱温度を上げるとRGB 値は小さくなり,黒に近づいた.しかし,初期含水率が高くても大きな変化は見られなかった.値に大きな変 化はなかった.照射光の有無では,照射有でRGB 値は大きくなり白色化した.数値より,表面での全反射し たものと推察する. バイオコークス化技術により,バイオマテリアルの特性を見出し,その可能性を示唆した. 図2 照射光ありの RGB 値 図3 照射光なしの RGB 値 謝辞 本研究は,平成24 年度卒業,理工学部機械工学科・寺田裕貴君の実験ノートによった.謝意を表する. 㻜 㻡㻜 㻝㻜㻜 㻝㻡㻜 㻞㻜㻜 㻞㻡㻜 㻟㻜㻜 10% 130℃ 表 10% 140℃ 表 10% 150℃ 表 10% 160℃ 表 12% 130℃ 表 15%1 30℃ 表 15% 130℃ 振動 表 10% 130℃ 裏 10% 140℃ 裏 10% 150℃ 裏 10% 160℃ 裏 12% 130℃ 裏 15%1 30℃ 裏 15% 130℃ 振動 裏 成形条件 RG B 値 㻾㻳 㻮 㻜 㻝㻜 㻞㻜 㻟㻜 㻠㻜 㻡㻜 㻢㻜 㻣㻜 10%1 30℃ 表 10%1 40℃ 表 10%1 50℃ 表 10%1 60℃ 表 12%1 30℃ 表 15% 130℃ 表 15%1 30℃振動 表 10%1 30℃ 裏 10%1 40℃ 裏 10%1 50℃ 裏 10%1 60℃ 裏 12%1 30℃ 裏 15% 130℃ 裏 15%1 30℃振動 裏 成形条件 RG B 値 㻾㻳 㻮 4. 実験結果および考察 図1 に BP の制作厚みと比重の関係を示す.図から厚みが薄くなるにつれ,比重が増えることが分かった. 比重は,バイオマスの真比約1.4 を超え,2 近くまで到達する興味深い結果を得た. 次に,図2,3 に BP 表面の色彩度を照射光有無の条件で計測した結果を示す.RGB 値は,厚さが薄い BP ほど表裏共に初期含水率が高い方が数値は低くなり,黒色に近づいている.一方,加熱温度を上げるとRGB 値は小さくなり,黒に近づいた.しかし,初期含水率が高くても大きな変化は見られなかった.値に大きな変 化はなかった.照射光の有無では,照射有でRGB 値は大きくなり白色化した.数値より,表面での全反射し たものと推察する. バイオコークス化技術により,バイオマテリアルの特性を見出し,その可能性を示唆した. 図2 照射光ありの RGB 値 図3 照射光なしの RGB 値 謝辞 本研究は,平成24 年度卒業,理工学部機械工学科・寺田裕貴君の実験ノートによった.謝意を表する. 図 2 照射光ありの RGB 値 図 3 照射光なしの RGB 値
近畿大学バイオコークス研究所の研究紹介 ― 19 ― くなり白色化した。数値より,表面での全反射したもの と推察する。 バイオコークス化技術により,バイオマテリアルの特 性を見出し,その可能性を示唆した。 謝 辞 本研究は,平成 24 年度卒業,理工学部機械工学科・ 寺田裕貴君の実験ノートによった。謝意を表する。