第1学年 数学科学習指導案
指導者 1 題材名 円周率を探ろう ~円周は直径の何倍だろう?~ (課題学習) 2 指導観 (1)私たちの身の回りに多数存在する円、その円周の長さは直径の何倍であるのか、というごく素朴 な問いから生まれた値が円周率πである。円周と直径を測って割り算すれば、すぐに求められそう な値なのに、実際には、割り切れずに小数点以下が無限に続いてしまう。しかも、不規則に数字が 出現し、次にどの数字が出てくるのか、予想できない。また、「2乗すれば2になる数」というよ うな、他の数を使って表現することさえできないため「超越数」と呼ばれている。i(虚数)、e(ネ ピア対数の底)、1(乗法の単位元)、0(加法の単位元)と並んで、円周率πは、宇宙を作ってい る要素だという説さえある。 一方、πの値をなるべく正確に知る努力が、古代ギリシャ時代から続けられてきた。アルキメデ スは正96角形を使って、π=3.14を得た。それ以降さまざまな人がπの値に挑んだ。そして、 今年の8月、筑波大学が2兆5769億桁まで求めることに成功し、ギネス記録となった。 3.141592・・・ と、無限に数字が続いていくが、その数字の並びの中に、神秘的な法則が 隠れているという。この地球に住むすべての人の誕生日がその数字のどこかに含まれているという。 それどころか、世界中のあらゆる文書の内容が、その中に含まれているのだという。 円周率πが、これだけ特別な存在であるにもかかわらず、日ごろの学習では、生徒の目に触れる 頻度は少なく、第1学年3学期の図形の計量の学習で、円周率をπと書くことを紹介した後に、面 積や弧の長さの計算練習で使うにとどまっている。そこで、課題学習として、円周率そのものにつ いての認識を深める場をつくりたい。また、小数で正確に表すことが困難な特別な数であるため、 πという文字で表現することを知らせたい。 (2)本学級は男子10人、女子6人の計16人で構成されている。2学期当初に行った課題テストで 40点未満(100点満点中)だった生徒が10人であり、原因を探ってみると、学習理解に時間 がかかるタイプであることと、それ以上に学習に対しての基本的な習慣が身についていないことが 分かってきた。また、学習障害の傾向がある A は、自尊心が強く、全体の中では、「何もしようと しない」という態度をとる傾向にある。 円周率に関しての事前アンケートの結果は次の通りである。質問1:「円周の長さは直径の長さ の何倍だと習いましたか」に対して、「忘れました」が6人、「2倍」が3人(A を含む)で、ただ しく「3.14倍」と答えた生徒は7人に過ぎなかった。質問2:「そのことを何と言いますか」に 対して、「忘れました」が10人、正解の「円周率」は6人に過ぎなかった。質問3:「それをどの ようにして確かめましたか」に対しては、「忘れました」が16人全員だった。(※なお、『円周率 は3で指導』というマスコミ報道は誤りである) (3)本題材の指導においては、小学校の復習として、実測することから始めたい。導入にあたっては、 身の回りに存在する円を多数ピックアップし、実在感を与えた後に、円形の品物(実測値が3桁に なるもの)を与え、円周の長さと直径を実測させ、円周が直径の何倍になっているか電卓で計算す ることにより、実測では、2桁は一致しても3桁目からは一致せず、3.14が概数であることを認 識させたい。次に、人類の歴史の中で、4桁目以降を知るための努力をした人々がいることを知らせ、最新の 値は、8月に筑波大学が2兆5769億桁を求めることに成功し、ニュースとなり、ギネスブック 記録になったことを知らせたい。 最後に、πの値の不思議な性質として、その数字の並びの中に、この地球に住むすべての人の誕 生日がどこかに含まれているという話を紹介し、実際に生徒たちの誕生日を検索しπの不思議さに 触れさせたい。 3 目標 実測をもとにしたπの近似値を求める作業を通じて、πの小数点以下の数字の並びの不思議さや競 争に没頭した学者たちの存在を知ることを通じて、数学に関する関心を高める。 4 題材の位置づけ 配時 活動内容 評価規準 評価の観点 1 円周率を探ろう ~円周は直径の何倍だろう?~ ・興味をもって実測と円周率の計算ができ る。 ・興味をもって自分の誕生日を探すことがで きる 関心・意欲 態度 5 本時 平成21年 10月16日(金曜日) 第5校時 場所 1年生教室 (1)本時のねらい 実測をもとにしたπの近似値を求める作業を通じて、πの小数点以下の数字の並びの不思議さや 競争に没頭した学者達の存在を知ることを通じて、数学に関する関心を高める。 (2)本時の指導上の工夫 円形物を自分で測り、円周率を計算することで、3.14 という値は身近なところに存在しているこ と、近似値であること、詳しい値を知るためのドラマが展開されていることを実感させたい。さら に、πの値1億桁をパソコンで実際に提示し、生徒各自の誕生日を検索して感動させたい。 (3)準備 生徒用:学習プリント、メジャー、円形物、電卓 教師用:PC、プロジェクター、新聞記事(2兆桁達成記事)、円周率計算ソフト、πの値、
(4)展開 過 程
学習活動
指導上の留意点
評価の 観点 形 態 配 時 導 入 展 開 1.本時の学習内容を確認す る。 ○私たちの身の回りには円 がたくさん存在している。 1.実測する。 ○どうやって調べるか考える。 ○円形物を各自実測し、班とし てまとめる。 ○電卓で各自円周率を計算し、 記録する。 3.発表しあい円周率の近似値 を求める。 「円周率は約3.14 だったはず」 ○3.14は誰がどうやって求 めたのか。 「円周率はπで表す」 4.4桁目以降を詳しく知る努 力が続けられてきたことを知 る。 ①4桁目の数字を予想する ②πの値の歴史を知る。 ・ルドルフが35桁まで ・ 世 界 初 の コ ン ピ ュ ー タ ENIAC で 2037 桁まで ○ 身の回りにある、さまざまな 円の撮影画像を見せ、円の実在 感を与える。 ○ 円柱を作りたい小学生から 「円周は直径の何倍なのか、中 学生のお兄ちゃんお姉ちゃん教 えて?」という問いかけの形で 動機付けをする。 ○「測ってみればいい」という声 ○極端な測定誤差が生じないよう に、班員で測定値を確認させる。 ○8 桁表示通り各自記録させる。 ○それぞれの値を各班から発表さ せ、2桁目は共通し、3桁目がば らつきがあること、原因は測定誤 差であること、を理解させる。 ○アルキメデスが正96角形を使 って求めた。 ○円周率を表すのにπを用いるこ とを紹介する。 ○まだ続きがありそうであること も確認する。 ○各自の予想結果を黒板に提示す る。 ○ルドルフの値を黒板に提示す る。(4桁目は1) ○そのあとはスクリーンに画像を 提示しながら、話を紹介する。 興味 関心 態度 一 斉 班 一 斉 5 10 10 5 円周は直径の何倍だろう③現代のPC に円周率を計算さ せたら、どうなるかを知る。 ④8月に新記録が作られたこ とを知る。 ・ 何桁ぐらいか予想 5 円周率の値の中に自分の 誕生日を探す。 ○ENIAC で70時間もかかった 計算が、最近の PC では1秒で終 わることを示す。計算結果のプリ ントを配布する。(3000 桁) ○筑波大学が2兆5769億桁と いう新記録を出した。 「せっかく計算したので、皆さん にも配りたいが、あまりにも、デ ータが多くて、配ることができま せん」という談話を紹介する。 ○まず、3000 桁プリントを使って 探させ、その後、PC のテキストエ ディタで検索。 関心 意欲 態度 一 斉 5 10 ま と め 7.本時の学習をまとめる ○分かったこと、感じたことを文 章でまとめさせる 個 人 5