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泌尿器骨盤外科の魅力: Surgeon scientist になるために

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Academic year: 2021

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全文

(1)

泌尿器骨盤外科の魅力: Surgeon scientist にな

るために

著者

荒井 陽一

雑誌名

東北医学雑誌

130

1

ページ

1-2

発行年

2018-06

URL

http://hdl.handle.net/10097/00128770

(2)

1 ―

最  終  講  義

― 2018年 2 月 16 日 : 星陵オーディトリアム講堂

泌尿器骨盤外科の魅力 : Surgeon scientist になるために

東 北 大 学 教 授 荒  井  陽  一

(3)

2 略 歴 昭和 53 年 3 月  京都大学医学部医学科卒業 昭和 53 年 7 月  京都大学医学部附属病院 研修医 昭和 54 年 7 月  公立豊岡病院医員 昭和 60 年 4 月  同医長 昭和 62 年 8 月  京都大学医学部附属病院 助手   平成 2 年 12 月  京都大学医学部 講師   平成 5 年 5 月  財団法人倉敷中央病院 主任部長 平成 13 年 12 月  東北大学大学院医学系研究科 教授 平成 16 年 11 月  東北大学病院副病院長併任 平成 24 年 4 月  東北大学大学院医学系研究科副研究科長併任          東北大学医学部副医学部長併任 平成 30 年 3 月  退職

(4)

荒井 ─ 泌尿器骨盤外科の魅力 : Surgeon scientist になるために 東北医誌 130 : 1-2, 20181

最終講義

泌尿器骨盤外科の魅力 : Surgeon scientist になるために

Fascinated by Urologic Pelvic Surgery : A Road to Surgeon Scientist

荒  井  陽  一 東北大学大学院医学系研究科 泌尿器科学分野 は じ め に 私は昭和 53 年に京都大学医学部を卒業し,同泌尿 器科の吉田 修教授の指導を受けました.昭和 54 年 からは 8 年間,公立豊岡病院(兵庫県)に医員,医長 として勤務しました.昭和 62 年に京都大学に助手, 講師として勤務した後,平成 5 年からは財団法人倉敷 中央病院泌尿器科に主任部長として赴任しました.約 9年間の勤務を経て,平成 13 年 12 月に本学泌尿器科 学分野教授に就任しました.経歴からもわかりますよ うに,私の教授就任までの業績は一般病院での臨床研 究が主体となっています.以下,それぞれの時期での 主な研究を紹介させていただきます. 公立豊岡病院時代 京都大学医学附属病院での 1 年間の研修の後,当初 1人医長として赴任し,約 8 年間,臨床修練の日々を 過ごしました.卒業当時の前立腺癌は希少癌でほとん どが進行癌でした.しかも本邦では臨床病期に関係な くホルモン療法が画一的に行われており,泌尿器癌の 中では唯一手術のない癌でした.一方,欧米では既に 手術,放射線療法を含め stage by stage の治療が行わ れていました.日本との大きなギャップのある前立腺 癌に関心を覚え,特に根治手術に興味を持つようにな りました.1982 年の日本泌尿器科学会総会(弘前市) で偶然にも Mayo Clinic の Myers 教授から前立腺癌根 治手術のレクチャーを受ける機会に恵まれました.そ して同年末に前立腺癌根治手術を開始することが出来 ました.このとき参考にした日本の文献が本学泌尿器 科の初代教授である宍戸仙太郎先生の手術書でした. 同じ 1982 年には Johns Hopkins 大学の Walsh 教授に より,性機能温存を可能にする神経温存手術が発表さ れました.幸運にも浅野定病院長のご高配で,1985 年に Myers 教授と Walsh 教授の前立腺癌根治手術を 実際に学ぶ機会を得ました.山陰の一地方病院から私 のような若輩者を海外へ送り出していただいたことに あらためて感謝したいと思います.このときの貴重な 体験が手術への自信につながり,1987 年に本邦で最 初の神経温存前立腺全摘術の成績を発表することがで きました.ここから前立腺,海綿体神経との長い付き 合いが始まりました. 京都大学時代 昭和 62 年に京都大学に助手として戻りました.丁 度,前立腺癌診断における PSA の有用性が報告され 始めていました.新しい PSA 測定法を開発し,PSA の臨床的意義に関する研究で学位を取得しました.前 任地で開始した神経温存前立腺全摘術の改良を進める とともに,尿禁制型尿路再建術の開発研究を行いまし た.また本邦で最初の精巣腫瘍治療における QOL ア ウトカム研究を行いました. 倉敷中央病院時代 平成 5 年からは財団法人倉敷中央病院泌尿器科の主 任部長を拝命しました.本院は倉敷紡績株式会社社長 の大原孫三郎によって創設されたベッド数約 1,200 床 の大規模民間病院です.診療・研究を支援する体制が 充実しており,ここでの約 9 年の間はもっぱら手術三 昧の日々を送りました.同時に臨床研究の環境を整え, 内外で多数の研究成果を発表してきました.前立腺全 摘術では,群馬大学の黒川公平先生と共同で術中電気 刺激ナビゲーションによる神経温存術に取り組みまし た.前立腺癌の早期診断法の確立,前立腺肥大症の低 侵襲治療の開発,射精神経温存後腹膜リンパ節郭清術 の導入,尿路結石症,尿路再建術など幅広い領域で臨 床研究を行い,そのいくつかは国内外での共同研究へ と発展しました.

(5)

2 荒井 ─ 泌尿器骨盤外科の魅力 : Surgeon scientist になるために 東北大学での研究 平成 13 年に本研究科泌尿器科学分野教授に就任し, 腹腔鏡 ・ ロボット手術に代表される低侵襲手術の開 発,骨盤内手術における機能温存 ・ 再建,再生医学, 泌尿器癌における QOL を含むアウトカム研究,泌尿 器癌の糖鎖生物学,排尿障害の基礎 ・ 臨床研究などを 推進してきました.卒業当時には希少癌であった前立 腺癌ですが,2015 年には日本人男性癌の第一位の罹 患数となっています.前立腺全摘術は泌尿器科でも最 も多いメジャー手術となっています.まず内外との共 同研究を含め,QOL アウトカム研究で多くの成果を 上げました.前任地で開始した術中電気刺激ナビゲー ションの手法を発展させ,海綿体神経の機能や解剖に ついて多くの新知見を発表しました.同手法を射精神 経温存後腹膜リンパ節郭清術にも応用し,腰内臓神経 の外科解剖の解明にも取り組みました.札幌医科大学 泌尿器科の塚本泰司教授との共同研究では術後 ED 発 症メカニズムの一端を解明し,その予防法の研究を行 いました.京都大学の後輩にあたるピッツバーグ大学 薬理学教室の吉村直樹教授とクシャミ尿禁制反射機構 の解明や難治性排尿障害の研究に取り組んできまし た.この基礎研究と前立腺全摘術のアウトカム研究か ら黄体形成ホルモン LH と尿道機能との関係があきら かとなりました.今後,LH は閉経後女性の尿失禁に 対する新たな治療ターゲットになる可能性がありま す. 関連施設とは東北 EBM フォーラムを組織し,共同 研究の環境作りを行ってきました.ここで得られた腎 盂尿管癌根治術後の膀胱内再発予防に関する RCT の 成果(J Clin Oncol, 2013)は欧州泌尿器科学会のガイ ドラインにも採用され,JCOG 第 III 相試験へと発展 しています.さらに東北地区でも泌尿器腫瘍研究グ ループを立ち上げ,前立腺癌を中心に幅広い共同研究 を展開しています. お わ り に 以上述べましたように,私は常に日常臨床の疑問を 原点に研究を行ってきました.これからも多くの研究 心豊かな外科医が育って行くことを願っています.最 後に本学の益々の発展を祈念するとともに,これまで ご支援いただいた多くの方々にあらためて感謝申し上 げます.

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