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改めて個人情報保護の的確な理解を求める(PDF:112KB)

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Academic year: 2021

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個人情報保護法が4月1日に全面施行されて半 年になる。 日本における個人情報保護制度のあり 方検討段階 (1999 年7月∼2000 年 10 月), 個人情 報保護法案の審議段階 (2001 年3月∼2003 年5月), 個人情報保護法の全面施行までの準備段階 (2003 年5月∼2005 年3月) にも多様な議論があったが, 全面施行段階に入ってからも多くの議論が交わさ れている。 それらを聞いたり見たりしていると, 改めて個人情報保護 (法) についての理解を求め たくなる。 個人情報保護 (法) について的確に理解するた めには三つのメイン・ポイントがあると考えてい る。 それらは, ①個人情報保護の基礎にあるプラ イバシー権理解の必要性, ②個人情報保護のグロー バル・スタンダード理解の必要性, 及び③個人情 報保護法それ自体の理解の必要性である。 第一に, 個人情報保護の基礎にあるプライバシー 権については, アメリカで 19 世紀末に提唱され, 20 世紀の中葉までは, もっぱら 「ひとりにして おかれる権利」 として捉えられてきたが, コンピュー タ化などに代表される情報化社会の飛躍的発展の なかで自己情報コントロール権的な捉え方を含む ものへと展開してきている。 この考え方は, 個人 の情報を収集する段階から廃棄する段階までのプ ロセスについて情報主体である本人が関与するこ とができるとするもので, 特に雇用関係において は被用者が使用者に対して自己の個人情報の開示 を求めることが議論になってきた。 第二に, 個人情報保護のグローバル・スタンダー ドが, さまざまな国際機関などで定められてきて いる。 経済協力開発機構 (OECD) の 1980 年プ ライバシー・ガイドライン, 欧州連合 (EU) の 1995 年データ保護指令などは世界的に広く知ら れているが, 雇用関係における個人情報保護につ いてもいくつかのスタンダードが明らかにされて きている。 例えば, ①1989 年1月には, 欧州評 議会 (Council of Europe) で 「雇用目的のために 利用される個人データの保護に関する加盟国への 閣僚理事会勧告」, ②1996 年 10 月には, 国際労 働機関 (ILO) 「労働者の個人データの保護に関す る実施綱領」, ③1997 年6月には, ILO 民間職業 事業所に関する条約 (第 181 号) が, それぞれ採 択された。 ③について見ると, これは ILO 総会 において大多数の国の政労使一致の賛成により採 択され, その第6条で, 民間職業事業所による労 働者の個人情報の処理について規定されている。 これは, 日本では, 職業安定法等の改正で対応し ている。 第三に, このようなことを踏まえて, 個人情報 保護法それ自体が的確に理解される必要がある。 個人情報保護法は厳しすぎてこれに対応するのは 困難であるという意見も聞くし, 雇用関係にまで 適用する必要があるのかという意見もある。 果た してそうであろうか。 個人情報保護のグローバル・ スタンダードと比較すると, 相対的に緩やかな法 律である。 しかも, 日本の個人情報保護法は, ヨー ロッパの先進諸国よりも 20 年以上も遅れて制定 された。 先進国では当然視されている法的ルール が, 日本では法的ルールとしては確立していなかっ たことになる。 厳しいと受け止める人の中に, 個 人情報保護法を理由に個人情報の第三者提供を拒 否する傾向が出てきている。 これは, 過剰反応" であると見ることができる。 他方, 緩やかな法律 であるからあえて対応する必要がないという意見 を聞くこともある。 これは, むしろ, 過少反応" であるともいえる。 日本における個人情報保護システムのグランド デザインを描く役割を担った者として, 個人情報 保護法そのものを的確に理解するようになること を強く求めたい。 そうすることにより, 法の目的 である 「個人情報の有用性に配慮しつつ, 個人の 権利利益を保護」 しなければならない。 (ほりべ・まさお 中央大学大学院法務研究科教授) 1

改めて個人情報保護の的確な理解を求める

堀部 政男

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