A
地域 における
COPD
患者の-ルスケアニーズ と
包括的支援 に関す る研究
一
地域連携 を含 めた急性期 における看護のあ り方 を検討す る
-山田正実,小海菊江1),古揮弘美2),吉沢清美2),後藤佳子2) 竹原則子2),平揮則子,飯吉令枝,小林 理2) 新潟県立看護大学,1)新潟県立柿崎病院,2)新潟県立中央病院 キー ワー ド:COP
D
,-ルスケアニーズ,地域連携,包括的支援 は じめに 慢性 閉塞性肺疾患(
COPD)
は,喫煙 を主な外因子 として,労作性 の呼吸困難 と慢性の咳噺, 啄疾 を主症状 とす る進行性の疾患である.また,体重減少,栄養障害,全身性炎症,骨粗菓症, 循環器 ・内分泌疾患を併発す る全身性疾患でもあ り,年間死亡率は約1
万5
0
0
0
人 (国民衛生の 動向,2
01
0
)
で,自覚症状がない例 も含 め患者数 は5
0
0
万人以上 と推定 され,今後 も増加 が予想 されている. 疾患管理 として安定期 には,呼吸 リハ ビリテー シ ョンを中心 としたセル フマネジメン トが重要 となる.セル フマネ ジメン トは,急性増悪の予防や早期受診の判断には欠かせ ない.増悪 はCOPD
の死亡率の2
0
-3
0
%
を占め,死亡に至 らな くて も重症化の重要な要因 となる.増悪 は患者 のQOL
をさらに低下 させ,医療費に与 える影響 は多大である. 一方,COPD
患者 の4
割 は掃除す ら困難で,6
割 は気軽 な交際ができず,このよ うな活動制限 か らス トレスにつなが りうつ病の傾 向にあることが多い と報告 されてい る (週刊保健衛生ニュ「 ス,2
01
0
)
.
日常生活が制限 され るCOPD
患者 は外出を控 えることも多 く,福祉サー ビスや介護 保健サー ビスを上手に活用 して閉 じこも り予防やADL
維持 を図 ることが課題 である と考 え られ る.しか し,COPD
患者 の病態 は正確 には評価 されず,患者家族や関係者 の理解 も十分ではない ため,身体障害者手帳や介護認定 を受 ける者 は少 ない. そ こで,本研究においては,A
地域 におけるCOPD
患者の療養生活の実態か ら医療 ・福祉 ・介 護 ニーズを明 らかに し,COPD
患者 が地域でQOL
を維持 し,その人な りの 自立を促すために必 要な当地域 での包括的支援 のあ り方 を検討す ることとした.また,急性増悪患者 を受 け入れ る, あるいは在宅酸素療法の導入 といった包括的支援 の一部を担 う急性期病院の看護 のあ り方 につい ても地域連携 を含 めて検討 したい と考 えてい る. 研究 目的 初年度 は,A
地域 におけるCOPD
患者 の-ルスケアニーズ として,息切れの程度 と息切れ に伴 う生活の困難 さ,セル フマネジメン トの状況,QOL
について実態調査 を実施す る.次年度 は,医 療お よび社会的支援の必要なCOPD
患者 について,個別 に事例検討 を行い,必要な支援計画 を立 案 し実施お よび評価す る.以上の結果 か ら,COPD
患者 が地域でQOL
を維持す るために必要な 包括的支援 のあ り方 と,その一部 を担 う急性期病院の看護 のあ り方 について地域連携 を含 めて検 討す る. 平成22年度 の研究活動 研究 目的 を達成す るために,今年度 は次の3テーマの研究活動 を行 った.(
1
)A
地域 におけるCOPD
患者 の-ル スケアニーズ調査A
地域の病院 ・診療所 を受診す るCOPD
患者 を対象 に-ル スケアニーズに関す る自記式質問紙 調査 を実施 した.期間は平成2
2
年6
月∼9
月未で,7
7
名 か らの回答があった.(
2
)COPD
患者の個別 の療養生活の実態調査 (1)の調査で追調査-の協力 を得 られた患者 と家族 を対象 に,訪 問調査 を実施 中である.期間は - 49-平成22年 10月∼平成 23年 3月で,対象者 は25名程度の予定である.調査内容 は,前調査で の 「日常生活で困っていること」の具体的内容や工夫 されていること,LINQ (Lunglnformation NeedsQuetionnarie)を使用 したセル フマネジメン トに関す ることである. (3)介護福祉施設 におけるCOPD療養者等-の居宅サー ビスに関す る調査 上越市内の介護福祉施設 の管理者 を対象 に、郵送法 による質 問紙調査 を行い、居宅サー ビスに おけるCOPD等療養者 の受 け入れ実態 について把握 した。調査期間は平成23年2月か ら3月で, 質問紙 を郵送 した134施設 の うち,108施設か ら回答があ1った. 本報告書では,「A地域 におけるCOPD患者 の-ルスケアニーズ調査」で,平成22年 7月未 までに寄せ られた回答 について集計解析 した結果 を報告す る. 「A地域 にお けるCOPD患者 の-ル スケアニーズ調査」 1.日的 A地域 におけるCOPD患者 の 自己管理や 日常生活状況な どの実態,お よび医療や介護福祉-の ニーズを把握す る.COPD患者 が急性増悪 を防ぎ,地域でQOLを維持す るために必要な包括的 支援のあ り方 を検討す るための資料 とす る. 本調査 における-ルスケアニーズは,疾患COPD,COPDによる息切れ,安定期 を維持す るセ ル フマネジメン ト,QOLの4つの概念 で捉 え,息切れの強 さとセル フマネジメン トやQOLとの 関連 を分析す ることか ら顕在お よび潜在す るニーズを把握す る. 2. 方法 研究デザイ ンは,量的記述的デザイ ンである.調査対象は,新潟県A市 とA市に隣接 した市の 一部を含む地域で,病院や診療所でCOPDと診断 され治療継続 中の患者 とした.調査 は 自記式質 問紙調査 で,受診時に主治医が調査票 を配布 し,郵送で回答 を得た.調査期間は平成 22年 6月 ∼7月未 (最終調査 日は9月末)であった.協力機 関は,病院4施設,診療所12施設であった. 分析対象者 は45名 で,平均年齢76.4歳 (SD6.44),男性44名 ,女性 1名 であった.
調査内容 は,治療期間,BMI(bodymassindex),在宅酸素療法の有無,息切れの程度 (MRC
スケール),ADL時 (食事, トイ レ,着替 え,入浴,洗面,平地歩行,階段昇降)の息切れの程 皮 (5件法),連続歩行距離,COPDセル フマネジメン トに関す る事項,介護 ・福祉 に関す る事項, 日常で困ってい ること (記述),健康 関連QOL (sf-36v2)とした. 分析 は,息切れの強 さ (5段階) と,治療期間,セル フマネジメン ト,健康 関連QOLとの関 連 を検討 した.統計的解析 にはⅠBM SPSSstatistics19を使用 し,差の検討 にはノンパ ラメ トリ ック検定 を行 った.sf・36v2のスコア リングには専用 ソフ トを使用 した.
3.
倫理的配慮 対象者候補 には,研究参加 は強要 されず 自由意思で決定できること,不参加 でも不利益 を受 け ない ことを口頭 と書面で説 明 した.参加 の意思確認 は調査票の返送 をもって同意 とした.個人情 報は厳重 に管理 した.また,協力施設お よび所属す る大学の倫理審査で承認 を得た. 4. 結果 (1) 対象者の背景 同居家族では,一人暮 らしが5人,配偶者 と二人暮 らしが 16人,配偶者 と子あるいは子世帯 との同居 は22人であった.介護保 険利用では,「申請は していない」が36人で,「要支援」3人, 「要介護も1」1人,「要介護2」2人,「要介護3」2人であった.家庭での役割 は,「とくに決 まっ たものはない」が最 も多 く34人で, 「家事 をす る」6人, 「仕事で収入 を得 る」2人, 「子 どもの 世話 をす る」2人な どであった. (2)疾患 と息切れの状況 治療期間は平均 91か月 (SD70.78)の約 7年半で,1年 か ら5年未満が13人,5年 か ら10 年未満が 14人で,全体の6割 を占めていた.在宅酸素療法 は13人が受 けていた.BMIは18.5 - 50-未満 (やせ)が
1
1
人,1
8.
5-25
未満 (ふつ う)が3
0
人,2
5
以上 (肥満)が4
人であった. 息切れの 自覚は,MRC
「グ レー ド1」5
人,「グ レー ド2」1
2
人,「グ レー ド3
」8
人,「グ レー ド4」1
3
人,「グ レー ド5
」7
人であった (表1
)
.また,在宅酸素療法 中の患者 は,「グ レー ド3
」
に2
人, 「グ レー ド4」
に6
人, 「グ レー ド5
」
に5
人であった.グ レー ド別 に治療期間を比較す るとグ レー ドが高いほ ど治療期間が長 かった(
p<0.
05
)
(表2).
表1.
息切れ の程度 (MRCスケール) (人) グレード1
激しい運動をした時だけ息切れがある5
グレード2
平坦な道を早足で歩く、あるいは琴やかな上り坂を歩く時に息切れがあ1
2
る グレード3
息 切れがあるので、同年代の人よりも平坦な道を歩くのが遅い、あるいは平坦な道を自分のペースで歩いている時o息切れのために立ち止ま8
ることがある グレード4
平坦な道を約1
0
0
m
、あるいは数分歩くと息切れのために立ち止まる1
3
グレード5
息切れがひどく家から出られない、あるいは衣服の着替えをするときも7
ADL時の息切れでは,食事でグ レー ド5の5人が 「少 し苦 しい」 「苦 しい」 と息苦 しさを 自覚 していた. トイ レ動作では,グ レー ド 3の 1人 とグレー ド5の 2人が 「非常に苦 しい」 と回答 していた. 入浴ではグ レー ド3と 4で約半数が息苦 しさを 自覚 し,グ レー ド5 では3人が 「非常に苦 しい」 と回答 していた.平地歩行ではグ レー ド2でも3人が息苦 しさを 自覚 し,階段昇降ではグ レー ド3以上の 患者 の約半数が 「苦 しい」「非常に苦 しい」と感 じていた.連続歩行 距離では,「
5
0
m
以内」がグ レー ド5
で全員, グ レー ド4
で4
割 , グレー ド3では半数であった. 表2. MRCグレー ドと 治療期間 MRC 平均値 (月) グレード1 36.6 -グレード2 56.4ー グレード3 95.3 グレード4 96.0 (3) セル フマネジメン ト 喫煙 の有無では, 「以前吸っていた」3
9
人,「吸 う」2人, 「吸わない」4人で,ほ とん どは非 喫煙者だった.急性増悪では,1
年以内に 「入院 した」1
5
人, 「救外 を受診 した」5
人,「予約 日 以外に受診 した」9人だった.入院 した人はグ レー ド3で 2割, グ レー ド4で 5割,グ レー ド5 で7
割 と,グレー ドが高 くなるにつれて多かった(
p<0.
05
)
. 日頃気 を付 けていることは,「イ ン フルエ ンザ ワクチンの接種」3
7
人, 「薬 を正 しく飲む ・吸入す る」3
6
人,「早めの受診」23
人な どで,「感染予防に心がける」1
8
人はグ レー ド1
の人が多 く回答 してお り(
p<0.
05
)
,「健康的な 食事」1
7
人ではグレー ドの高い人に回答が多 くみ られた(
p<0.
05
)
.セル フマネジメン トのため に必要な情報は, 「息切れ を軽 くす るADLの工夫」29
人で最 も多 く,「病気 の行方」25
人,「病 気や息切れの原因」25
人 と疾患 に関す ることが多かった.「パニ ックコン トロール について」1
9
人ではグ レー ドの高い人 に回答が多かった(
p<0.
05
).
(4) QOLs
f
」
36
v2
の結果 では,国民標準値(
5
0.
0)
と比較 して特に低 かった項 目の全体平均値は 「身体 機能」26.
5
,「日常役割機能 (身体)
」30.
0
, 「日常役割機能 (精神)」3
2.
3
であった.MRC
グ レ - ド別 に平均値 を比較す ると,下位 8項 目すべてについて,グ レー ド5 が最 も低 くく,グ レー ド3は 4よ り もすべての項 目で低い結果 となった (図 1). 日常生活 で困っていることを3つ 記述 して もらった結果,「息切れ と日 常生活 (食事,更衣,入浴 な ど)」「息6
0
国MRC1 田MRC2 闘MRC3 図 1.S
ト36下位8項 目の得点(MRCグレード別平均)切れ と社会活動 (仕事,コミュニケー シ ョン,人間関係 な ど)」「身体症状-の不安 (咳∴疾,鼻 水 な ど)」の 3つのカテ ゴ リーにま とめ られた.息切れの強 さに応 じて困難 の状況には差がある が,コミュニケーシ ョン ・人間関係では 「そろそろ人 と出かけるのを諦 めなければな らない」,さ らには 「(外出ができず)仲間が来て くれない」「家族 と食後の団興ができない」 といった深刻 な ものもあった. (5)介護福祉 に関す る情報ニーズ 社会資源 について知 りたい ことでは,「福祉サー ビスについて」23人,「介護保険について」23 人,「患者会 について」