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第23回生物工学懇話会 報告

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Academic year: 2021

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431 生物工学 第96巻 第7号(2018)

◇第

23

回生物工学懇話会

報告◇

(企画担当理事)上平 正道・堤  浩子・伊藤 伸哉

第23回生物工学懇話会は,2018年5月24日に東京農業大学アカデミアセンター横井講堂で開催された2018年度総 会終了後,同じ会場において開催され,約80名の多くの方にご参加いただきました.誌面を借りまして演者の先生方, 参加者の皆様ならびに関係者各位にお礼申し上げます.木野邦器先生の開会のご挨拶のあと,今回は下記の2題の講 演を企画いたしました.以下に簡単に講演内容をご紹介致します. ◆「走り始めて走り続けることへの挑戦」 (株式会社ちとせ研究所)堀内 貴之 初めに,ちとせ研究所の成り立ちについて説明いただいた後,同研究所で取り組んでいる 事業のうち,バイオ医薬品生産のためのCHO細胞を宿主とする生産細胞構築,および微細 藻類を用いたバイオ燃料生産について紹介いただいた.ちとせ研究所は,独自の育種技術で ある「不均衡進化論」に基づく変異DNAポリメラーゼを用いた変異育種法により微生物から 動物細胞,動植物個体にいたるまで変異育種が可能な技術と細胞機能を最大限に引き出すた めの培養技術をベースに,農業,化学,燃料,食品,医薬,環境など,生物利用産業におけ るさまざまな分野で活発に事業展開を行っている旬なバイオベンチャーである.バイオ医薬 品生産細胞構築では,技術研究組合事業として増殖性の高い新たなCHO細胞の樹立を行い, 遺伝子導入によって抗体医薬を生産する細胞を迅速に構築する技術を確立した.バイオ燃料 生産では,高速増殖型微細藻類による燃料油生産において低コスト・大量培養を達成するための品種改良を行い,世 界最大規模の屋外培養による生産プラントを実現している.同研究所が有するユニークであらゆる生物種に適用可能 な汎用性の高い技術を武器に他企業と協業しながら事業展開を行っている点が印象的であった.事業を通して人材育 成を行っていることについても,バイオベンチャーならではの人材の有効活用・活性化術があるものと見受けられた. (座長:九州大学 上平 正道) ◆「機能性農林水産物開発の現状と課題」 (農業・食品産業技術総合研究機構)山本(前田)万里 2015年4月から機能性表示食品制度が施行され,食品事業者は自らの責任において食品の 機能性について科学的根拠を示して表示することが認められるようになった.本講演では, この制度のもと機能性表示食品として届出・受理された食品についてお示しいただいた後, 機能性食品開発プロジェクトについて,概要,成果,課題について解説いただいた.同プロジェ クトでは,国公立研究機関,大学,企業が連携して,生体調節機能が期待される農産物,そ の加工品やそれらを組み合わせた食品について,ヒト介入試験などで効果を検証し,新たな 機能性農産物を開発している.加えて,機能性農産物の生産・流通技術の確立,機能性成分 含有量などを盛り込んだ農林水産物データベースを構築し,個人の健康状態を反映する食事 診断システムの開発を目的としているとのことであった.実際に,高アミロース米,高ȕ-グ ルカン大麦,小麦全粒粉,高ルチンダッタンそば,高メチル化カテキン緑茶,高ȕ-クリプトキサンチンカンキツ,高 ケルセチンたまねぎなどで,ヒト介入試験による機能性を明らかにし,これらを用いた機能性弁当の設計と効能につ いて報告いただいた.健常者での有効性の検証,機能性成分含有量のばらつきなど今後の課題についても説明いただ いた.AIを活用して,食品を通して健康を維持するための機能性食品素材を用いた献立や調理法を提示するシステム の開発が行われつつあるとのことであり,早期の実用化が期待される. (座長:月桂冠 堤  浩子)

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